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連合北海道「2012春季生活闘争・当面の取り組み(その1) |
1.直近の情勢
政府は、2012年度の経済成長率について、物価変動の影響を除いた実質で2.2%(名目は2.0%)とする「平成24年度政府経済見通し」を決定した。見通しでは東日本大震災からの本格的な復興に伴って内需が持ち直し、輸出も回復するとしている。ただ、円高や海外経済の減速で輸出などが伸び悩むため、実質2.7〜2.9%としていた8月時点の成長率見通しからは、下方修正した。一方、民間のシンクタンンクでは野村証券が実質1.7%、日本総研が同1.8%と、政府より悲観的な見通しを示している。これは、欧州の債務危機防止策は不十分で海外景気の失速や円高で輸出が落ち込む懸念があるとみているためだが、これについて政府は「(債務危機による)世界の金融資本市場の動揺は各国政府の努力で安定化する」としている。また、完全失業率は4.3%程度、消費者物価指数は前年度比0.1%上昇と4年ぶりのプラスを見込んでいる。
■北海道の情況■
道内の経済概況について、北海道経産局は、昨年10月は「厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きが見られる」と公表していたが、11月以降今日まで「持ち直しの動きが鈍化している」に変更されている。1月における個人消費は、一部に持ち直しの動きが見られるものの、厳しい状況が続き、公共工事は減少傾向、観光も持ち直しつつも厳しい状況にある。また、生産活動は横ばい傾向にあるものの、住宅建設・民間設備投資・雇用動向は、緩やか(低調)ながら持ち直しや改善しているとされるなど、先行き不透明感の中で、全体的には景気回復を実感出来ない現状といえる。
一方、雇用情勢においても、完全失業率は5.1%(7−9月)と横ばいが続くものの、有効求人倍率は、10月期の0.49倍から11月期には0.50倍と上向き傾向にあり、44ヶ月ぶりに0.5倍台と持ち直していますが、依然として全国平均0.67倍に比べて雇用をめぐる環境は厳しい状況が続いています。取りわけ、44歳以下の求職者割合が65%にのぼるなど、若年層、女性の就職が厳しい状況であるとともに、減少傾向にあるものの、事業主都合による離職者が毎月1,600人以上発生しています。昨年10月からスタートした「求職者支援制度」の創設等による雇用維持策も打たれていますが、予断を許さない状況です。
特に、新規高卒者の就職内定率は、10月末37.7%(前年同月比+0.6%)、11月末51.8%(前年同月比+1.5%)と、前年同期を上回っていますが、全国平均73.1%と対比すると依然厳しく、また、4,203名が未定となっていることから、新規大卒者(12月1日現在:全国71.9%、北海道・東北地区69.5%:前年同期比▲0.4%)を含め多くの学生が就職未内定のまま卒業を迎える事態が懸念されることから、卒業前就職への対策が重要となります。
以上のことから、北海道内における2012春季生活闘争を取り巻く経済・雇用環境は引き続き厳しいと言わざるを得ません。
2.第180通常国会に向けた課題
2012年1月24日に開会された第180通常国会では、2012年度予算案などのほか、第179臨時国会で継続審議となった改正派遣法、国家公務員制度改革関連四法案等、重要法案の審議が行われる。これらは、東日本大震災からの復興・再生をはかり、円高・デフレ状況を早期に脱却し、日本経済を持続的成長軌道に乗せるとともに、国民に将来の希望と安心を示すために極めて重要なものである。このため、この期間に審議、成立が求められる重要法案への対応等を「政策・制度
実現の取り組み方針(その2)」(別紙)として決定し、取り組みを強化していく。
また、昨年末、労働法制に関する厚生労働省労働政策審議会における建議や、社会保障と税の一体改革素案の閣議報告がなされた。概要は以下の通り。
(1)有期契約法制
昨年12月26日、「有期労働契約の在り方について(報告)」の建議がなされ、連合が求めてきた、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合に、労働者の申出により期間の定めのない労働契約に転換させる仕組み(利用可能期間制限)の導入、解雇権濫用法理を類推適用するとした「雇止め法理」の制定法化、労働契約の期間の定めを理由とする不合理な処遇の禁止規定などについて、労働契約法の改正を中心に措置する内容となっている。
(2)高齢者雇用
昨年12月28日、「今後の高年齢者雇用対策について」の建議がなされ、2013年4月からの年金支給開始年齢の引き上げが目前に迫る中で、希望者全員の65歳までの雇用確保措置を義務付ける法整備と、高年齢者の多様な雇用・就業ニーズに応じた環境整備を求める内容が盛り込まれた。
(3)社会保障・税一体改革
政府は、1月6日「社会保障・税一体改革素案」(以下、一体改革素案)を決定し、閣議報告した。一体改革素案は、2011年6月に決定した「社会保障・税一体改革成案」に基づき、2010年代半ばまでの改革の姿を具体化したものである。
3.要求提出から交渉に向けた闘いの進め方
(1)要求と労使交渉の考え方
連合は、デフレ脱却、個人消費の回復、競争力の強化にためには、すべての労働者に成果の適正な配分を行い、家計と企業の分配のバランスの歪みを解消していくことが不可欠との考えにもとづき2012春季生活闘争を推進していくことを決定した。われわれは、こうしたマクロ的観点から、産業・企業の実態を踏まえつつ、すべての労働組合が1%を目安に賃金を含めた適正な配分を求めて交渉を展開する。
■北海道の取り組み■
連合北海道は、12月22日「第49回地方委員会」で確認された「2012春季生活闘争方針」に加え、次の項について補強することとする(以下省略)。
(1)賃上げ要求について
賃金制度が確立されている産別(組合)は、賃金カーブ維持分(相当分)の確保とその実施について早期に確認し、賃金の復元と格差是正を含めた給与総額の1%アップを目安に、労働条件の改善、全労働者の処遇改善のための取り組みを、方針にもとづき交渉を進めていく。
また、賃金制度が未整備な(定昇制度がない)産別(組合)及び、これから要求を決定する中小・地場組合は、今次闘争の趣旨を踏まえた取り組みを展開するよう、指導・支援を徹底・強化する。一方、春季生活闘争改革の一環である情報開示についても、各産別の協力のもと一層の促進を図っていくこととする。
(2)要求提出と回答ゾーンへの集中化
(a) 要求提出
1月下旬から2月下旬にかけて各地協で開催予定の「地域討論集会」において、相場波及効果を高めるべく1)マスコミ対応、2)経営側への関与、3)エントリーへの働きかけ等を意思統一する。
要求について、各産別・単組は、原則として2月末までに提出し、地場中小を含め遅くとも3月末までには全ての単組が提出する。また、各単組において要求の提出ができるよう、関係産別や地域全体で加盟単組に対し、積極的に関わりを強めることとする。
(b) 回答ゾーン
北海道においても全国の流れに最大限合わせるべく、回答ゾーンを次のとおりとします。
3月12日(月)〜17日(土):第1先行組合回答ゾーン<最大のヤマ場:3月14日(水)〜15日(木)>
3月21日(水)〜30日 (金):第2先行組合回答ゾーン
3月31日(土)〜4月6日(金):中小集中回答ゾーン
4月9日(土)〜13日(金):中小集中回答ゾーン
(c) 集中回答ゾーンへの戦術配置
回答の引き出しについて、各産別・単組は、可能な限り第1先行組合の回答ゾーン(3月12日〜17日、最大のヤマ場の中心:3月14日〜15日)により多くの組合が集中できるよう準備と事前交渉に全力をあげる。各共闘連絡会議は、中核組合を中心に情報の開示を積極的に行い、より波及力を高めることとする。
また、解決促進ゾーンは、1)3月31日〜4月6日、2)4月9日〜13日に設定されていることから、全国に歩調を合わせた取り組みを展開することとする。
4月後半以降の取り組み、地場中小の取り組みについては、産業別部門連絡会や中小・パート労働条件委員会で別途意思統一することとする。
4.中小・地場共闘強化の具体的進め方
(1)中小共闘の取り組み
構成組織は、中小組合の賃金の底上げ・格差是正に向けて交渉の支援体制を整備する。同時に、中小組合の多くが地方に所在することを踏まえ地方連合会が設置する地方共闘連絡会議(仮称)に積極的に参加し、地域における相場形成と波及に役割を果たす。
なお、各共闘連絡会議において中堅・中小代表銘柄の設定に関して議論を深化させる。
(2)地方連合会の対応(第1回地方連合会事務局長会議提出資料から抜粋)
(a) 地場共闘の強化をはかるべく、地方共闘連絡会議(仮称)を設置する。
なお、県単位の「共闘連絡会議」の設置については、「共闘連絡会議」の設置あるいは、既存の協議機関への参加者拡大等により、その機能を代替することとする。なお、設置した機関の名称と開催要領の大綱について本部に報告する。(2月末日まで)
(b) 取り組み状況の報告
地方連合会は、地場共闘に参加する組合から取組み内容・状況の報告を受け、闘争推進の情報共有を図る。同時に連合本部に対しても随時その内容を報告する。
(c) 春季生活闘争を通じた組織拡大
2012春季生活闘争は、未組織労働者も含めた「全ての働く者の処遇改善」の3年目の闘いと位置づけている。交渉期間の前後を通じ、組織拡大、組織強化・点検活動を進めるとともに、未組織・未加盟組合への情報提供、相談対応を積極的に進める。街宣活動等、「目に見える連合」をアピールしつつ、組織拡大の運動に寄与させていく。
(d) 地域ミニマム運動の展開
地方連合会での要求目安と到達水準目標値の設定にあたっては、地域ミニマム運動で把握した賃金分析結果を活用し、実態に即した方針を示す。
なお、2012春季闘争後の地域ミニマム運動で把握する賃金実態と分析については、極力早期化していくこととする。
■北海道の取り組み■
(1)中小・パート共闘
2月7日に「第2回中小・パート労働条件委員会」を開催する。「全労働者を対象にした春季生活闘争」を目指して当面の取り組みを提起する。特に、賃金制度確立や処遇改善に向けた制度等の確立、非正規労働者の課題についても全単組が要求化することを意思統一するとともに、組織化を意識した取り組みを展開することとする。
今次闘争も経済・雇用情勢が厳しい中での取り組みとなるが、「定期昇給(賃金カーブ維持分)の確保+給与総額の1%アップ」、「1歳・1年間差水準4,500円の確保」、「時間給引き上げ30円(20円)」、「総実働時間短縮・時間外等割増率引き上げ」など、ミニマム課題も、今後開催予定の労働条件委員会の中で意思統一を行い、それに基づいた統一的対応が重要なポイントとなることから、要求作りから交渉に至るまで産別や地域が関わりを強めることとする。
(2)エントリー登録
昨年は、341組合のエントリー登録が行われたが、今次闘争におけるエントリー可能組合数は約1,300組合あり、例年1/4程度のエントリー数に止まっている。
北海道方針に基づき、各構成産別(単組)段階における取り組みの強化によりエントリー組合の拡大を展開する。また、地協(地区連合)との連携も図りながら、直加盟や地域ユニオンなどの地場中小労組に対してもエントリー参加を求めながら、地場集中決戦方式への参加体制確立、地場中小への相場波及に向けて「要求・回答・妥結」について報告を求めることとする。
○ 1次集約は2月13日(金)
○ 2次集約は2月27日(月) とする。
5.非正規共闘、パート・有期契約共闘の強化
(1)非正規共闘の取り組み
すべての労働者の処遇改善のための取り組みは、今春季生活闘争で3年目となる。産別・単組は、「間接雇用労働者に向けた取り組み事例集」等を参考にしながら「職場からはじめよう運動」を進め、組合員の一層の理解を深めるとともに組織労働者としての社会的責任を果たし、同時に企業に対してはCSRの観点から協議等を積極的に行っていく。また、未組織労働者をはじめとする社会全体へのアピールのため、地方連合会も含めてキャンペーンや労働相談等を展開していく。具体的には、「非正規労働者に関わる当面の社会的キャンペーンの取り組みについて」(2011年12月2日・中央委員会確認)にもとづき運動を積極的に展開する。
(2)パート・有期契約共闘の取り組み
パート・有期契約共闘に参加する産別は、パートタイム労働者の均等・均衡待遇に向けた処遇改善のため、パート・有期契約共闘で確認した方針にもとづき取り組みを強化する。
■北海道の取り組み■
全ての産別、地協は、非正規労働者の処遇改善に向けた要求書(要請書)などを提出することを始めとして、この春季生活闘争のスケジュールに合わせて以下のとおりの行動を展開する。
(1)「非正規労働者に関わる社会的キャンペーン行動」【資料1】
《連合北海道》
連合北海道は、2月14日を「非正規労働者要求実現統一行動デー」として設定し、待遇改善に向けた要請行動を展開する。
また、3月上旬に、道・労働局・経営者団体に対する要請行動を展開する。
《構成産別(単組)》
各産業別連絡会(構成産別)と連携を図りながら、関係業界団体をピックアップし、要請行動を実施する。
当面、構成産別は速やかに業界団体をピックアップし、組織労働局へ報告すること。
《地協(地区連合)》
各地協・地区連合は、各地域春闘討論集会前段に、自治体、商工会議所や農協、漁協、NPO団体、高校などへの要請行動を、連合北海道と連携を図りながら取り組むこととする。【資料2】及び【資料5】を提出。
(2)「パートタイム労働者等の待遇改善・組織化調査(単組アンケート)」の実施
昨年は、震災の影響もあって、アンケート集約自体も中断し、39産別中12産別1地協、87組合の集約に止まったことから、今年も再度、連合北海道加盟の産別・単組を対象に「待遇改善・組織化調査(単組アンケート)」を実施する。
産業別部門連絡会にて要求内容の把握と単組交渉の状況・妥結結果などを把握し、指導・連携を強化しながら、処遇改善の取り組みに活かすこととする。
要求提出時期と併せ、2月末までに産別集約し、関係部門連絡会で活用することとする。
また、関係産別は、3月開催予定の連合北海道第2回部門連絡会幹事会前までに、組織労働局へ報告することとする。
(3)「短時間労働者など非正規労働者の処遇改善に関する要求書(要請書)」の提出【資料4】
《構成産別(単組)》
産別は、全単組において、2月末を目途に要求書の提出を指導すること。
《地協(地区連合)》
産別に所属しない単組においても、独自様式、あるいは連合北海道で示す「統一要求(要請)書」を参考にして、地協、地区連合が連携を図りながら要求書を提出し回答を得ること。
構成産別及び地協段階の取り組み集約期限は、1次3月末、2次は解決促進ゾーン後の4月末。集約結果は組織労働局へ報告すること。
(4)「官製ワーキングプアの解消と雇用の安定を求める全道統一要請行動」の取り組み
《官公部門産別(単組)、地協(地区連合)》
各地協・地区連合は、地域春闘討論集会前段に連合北海道と連携して訪問する自治体以外の市町村について、関係する官公部門産別と連携を図りながら、全自治体における要請行動を展開することとする。【資料2】の自治体要請書モデル及び【資料5】の政策・制度要求に係る要請書を提出。
取り組み期間は、「3.8全道総決起集会」前までを基本として、すべての自治体に対して関連する労働者の処遇改善に向けた要請行動を展開すること。その際、各級議員等とも十分に連携を図ること。
官公部門連絡会(官公部門関係産別・単組)は、非正規労働者の現状把握から課題解決に向けた取り組みを展開し、また、組織化に向けた取り組みを具体化する。そのために組織内教宣、学習会の開催など組織内の意思統一を図るとともに、各地協・地区連合と十分連携を図りながら、全自治体における要請行動を展開すること。
(5)「公契約条例制定・公正取引に係る労働者の処遇改善」の取り組み
《官公部門産別(単組)、地協(地区連合)》
官公部門連絡会を中心に、民間の交渉と連動して、要求書の提出、交渉配置の取り組みを展開するが、その際に、公契約条例制定や公正な取引・契約のルールを確立するための要求を行い、中小・地場で働く労働者の労働条件の底上げを図るため、公契約条例の制定や公正取引のための法整備に向けた運動を進める。
特に、「札幌市公契約条例」(2012年2月議会に提案)の内容や「連合本部の公契約条例モデル(案)」を参考にしながら、学習会の開催や関係するシンポジウムへの参加等に取り組むこと。
また、この間の基本法制定を求める自治体決議の進捗と、各自治体・議会の現状把握に努めること。
各地協、官公部門産別は、関係労働者の実質的な処遇確保・改善、組織化を展望した取り組みを展開する。
(6)その他
(a) 全国一斉「労働なんでも相談ダイヤル」
《地協(地区連合)、構成産別(単組)》
2月1日(水)〜3日(金)
※ 前日の1月31日(火)街頭宣伝を全道で実施する。相談体制等を確立し、取り組みを展開する。
(b) 「職場からはじめよう運動」等の展開
《地協(地区連合)、構成産別(単組)》
連合北海道非正規労働対策委員会と連携し、非正規労働者に関わる「職場からはじめよう運動」等の取り組みやラジオ番組・ラジオCM、チラシ、ポスター等の媒体を活用した広報活動を展開する。
6.政策・制度の取り組み
(1)第180通常国会に向けた課題
連合本部は、2012年1月24日に開会した第180通常国会に向けて成立が求められる重要法案への対応等を整理した「政策・制度 実現の取り組み方針(その2)」(2012.1.19別紙)を決定し、取り組みを強化していくこととした。
連合北海道としても、国会議員団会議へ要請した社会保障・税一体改革や労働者派遣法改正を始めとする法案の早期成立をはじめ、連合本部の提起を踏まえて、各産別・単組、地協・地区連合が一体となり、北海道段階の取り組みを展開していく。
(2)政策・制度の実現に向けた連合北海道の取り組み
2012春季生活闘争における政策・制度の取り組みは、闘争方針を踏まえ、「新卒者就職支援、雇用の維持・創出や非正規労働者に関わるキャンペーン」など雇用・労働政策に関わる課題を中軸として、「働くことを軸とする安心社会」実現に向けた政策について、各地協・地区連合における自治体や商工・経済団体要請を行い、政策制度実現の取り組みの前進をはかる。加えて、道財政再建・地方財政確立に向けた政策・制度実現の取り組みとして、関係産別との連携により各地協において街頭行動や集会等を実施する。
さらに連合本部の「政策・制度 実現の取り組み方針(その2)」では新たな課題として、「連合の求める『社会保障・税一体改革』実現キャンペーン」が当面の重要課題として提起された。具体的には、地域の組合員に対する連合が求める社会保障・税の姿(ビジョン、税制大綱)の周知、政府「社会保障・税一体改革」の理解促進に努めるとともに、地域住民に対する理解促進の取り組みを行うものであるが、今後、実施時期や方法について検討し、執行委員会の確認に基づき提起していくこととする。
7.公務労働者の労働基本権の取り組み
2011年6月に総務省と公務員連絡会で決着した「給与特例法案(2013年度末まで平均7.8%引き下げ)」と「公務員制度改革関連4法案」は、菅前政権が連合や公務員連絡会と、同時に成立させるという約束事項である。
その後、政府は、10月25日に人事院勧告の実施見送り方針を決定したが、連合は、政府との定期協議会(2011年10月20日)の中で、政府側に両法案を一体で成立させるよう再度申し入れた。しかし、自民党(将来的に給与引上げにの圧力につながる)、公明党(慎重)の抵抗により、先の臨時国会での可決・成立に至らなかったことは極めて残念である。
「自立的労使関係制度をめざした労働協約締結権」を官公労働者へ付与することは、民間労働者の協約締結権の更なる進化のためにも、喫緊の課題として、引き続く今次通常国会での法案成立に向けて粘り強く求めていく。
■北海道の取り組み■
《官公部門産別(単組)、地協(地区連合)》
連合北海道は、1月16日〜20日の間で「働くことを軸とする安心社会の実現をめざした全道街宣行動」を各地協(地区連合)の取り組みとして展開してきた。通常国会に向けた法案内容のチラシを作成し、道民に連合北海道の考え方を訴えてきた。
今次春闘において、引き続き、自律的労使関係制度の措置を含む、国家公務員制度改革関連四法案の成立に向けた取り組みを進めることとする。
<連合北海道公務労協 公務員制度改革学習会>
日 時 2012年2月21日(火)18時30分〜
場 所 北海道自治労会館 3階「中ホール」
参集範囲 公務労協各産別(単組)、各地協事務局長
内 容 「自律的労使関係制度確立に向けて(仮題)」
講 師 放送大学 道幸 哲也 教 授
8.季節労働者対策に関する取り組み
現在、ハローワークに登録されている季節労働者数は95,000人と言われているが、この間の通年雇用化施策と産業構造の変化により、季節労働者の仕事・生活は非常に困窮の度を増しているとともに、道季労の組織問題にも大きな影響を与えている。また、仕事の確保・提供、道季労組織の受け皿となっていた各地域の企業組合もその活動に濃淡が生じ出している。
道季労とも協議し、まずはその実態を把握することとして、昨年12月に「季節労働者・企業組合調査」の実施を決め、1月中旬現在では調査の集約、とりまとめの作業を行っている。
この調査結果に基づき必要な対策を講じることとしているので、今後、地協・地区連合、「季節労働者支援センター運営協議会」、「季節・建設労働対策委員会」など別途意思統一の場を設けることとする。
一方で、連合推薦国会議員、北海道労働局や北海道と連携をとって「地域通年雇用促進協議会」事業の柔軟化・実効があがる施策展開を政府担当部局に求めてきたが、その甲斐あって運用の一部が変更になったことから、若干とはいえ「地域通年雇用促進協議会」運営に反映され、通年雇用化の促進、季節労働者個々への支援が強化されるものと期待される。
9.雇用確保・創出に向けた取り組み
(1)「新規学卒者に関わる社会的キャンペーン行動」【資料2】
《地協(地区連合)》
各地協で開催される「2012春季生活闘争地域討論集会」前段に、自治体、商工会議所や農協、漁協、NPO団体、高校等への要請行動を、連合北海道と連携を図りながら取り組むこととする。
(2)「北海道地域雇用戦略会議」「北海道労働審議会」等への意見提言
連合北海道は、引き続き「総合雇用対策本部」を中心に取り組むこととし、地域においても、地協単位設置の「地域雇用対策本部」により地域の取り組みを展開する。
当面、「第2回北海道地域雇用戦略会議幹事会」は1月31日に、また、「第2回北海道労働審議会」が、2月16日にそれぞれ予定されていることから、早急な雇用の受け皿作り、中長期視点に立っての雇用創出策について意見反映をすることとする。1月下旬から開始する「新規学卒者就職支援、雇用の維持・創出全道キャンペーン」で集約した現地・現場の声を最大限反映することとする。
また、道、ハローワーク等が開催する就職支援説明会や合同面接会についても、連合傘下組合関連企業へも求人要請を取り組むこととする。
(3)「連合北海道就職活動応援セミナー」の開催
国内の連合初となる就職活動応援セミナーは、昨年12月5日(第1弾)、今年1月16日(第2弾)と開催してきた。連合北海道は、道内の大学新卒者の3年以内の離職率が、全国29.9%に対して北海道は、34.5%(2011年3月時点:北海道労働局調査)と、3人に1人にのぼることから、早期離職や失業に歯止めをかけるために、働いている側から見た仕事や労働条件の実情を紹介し、学生と企業の「ミスマッチ」をできるだけ減らそうという狙いで、未来の組合員を対象としたセミナーを開催している。
<連合北海道第3弾就職活動応援セミナー>
日 時 2012年3月21日(水)17時00分〜20時30分
場 所 札幌エルプラザホール
参集範囲 大学生、短大生、専門学校生、大学院生、卒業生
各学校の就職担当者、ヤングハローワーク等の担当者
内 容 第1部 渋谷文武さんの特別セミナー
第2部 道内(中小)企業の魅力
第3部 元労働基準監督署署長の特別セミナー
第4部 人事採用担当には聞けない本音トークを予定
10.ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組み
総労働時間を短縮し、ワーク・ライフ・バランスの実現をはかるため、割増率の引き上げ、36協定の見直しをはじめとする労働時間管理の徹底、所定労働時間の短縮、有給休暇の取得促進、インターバル休息制度の創設など、産業の実態にあった取り組みを展開する。
また、両立支援の促進は、2010年6月に施行された「改正育児・介護休業法」の周知・点検や法を上回る労働協約の改正に取り組み、これら休業、休暇取得による解雇、人事考課などによる不利益扱いとならないよう労使確認・徹底を求める。さらに、今年7月からは、100人以下の企業においても、介護休暇制度の創設等を定めた「改正育児・介護休業法」が適用されることから、育児・介護休暇を取得できる環境の整備に向けた職場点検活動を展開する。〈2012職場点検活動10のポイント「クリアファイル」の活用による啓発活動〉
11.ワークルールの取り組み
(1)労働関係法令
労働者派遣法、パート労働法、「有期労働契約の締結」などの課題について、とりわけ、労働者派遣法改正法案は、昨年12月の衆議院厚生労働委員会において、民自公3党によって法案が修正され、賛成多数で可決されたが、引き続き継続審議となっている。
■北海道の取り組み経過■
連合北海道は、昨年10月の定期大会で「労働者派遣法改正法案の早期成立を求める特別決議」を全会一致で採択し、その後、各地協において、道内選出国会議員に対する要請行動を実施し、先の臨時国会における改正法案の早期成立を求めてきた。
労働者派遣法改正は、8年掛かりの課題であり、連合北海道は、「登録型派遣」及び「製造業務派遣」の原則禁止の規定を含めた「政府案」=「連合案」の早期成立をめざしている。加えて、非正規労働者の多くを占める有期労働契約は、厚労首の諮問機関、労働政策審議会などで議論され、労働契約法改正案が提出される予定である。また、パートタイム労働法も審議会議論が大きな山場を迎え、今次通常国会へ提案されようとしている。
連合北海道は、これらの法案は非正規労働者固有の問題としてだけではなく、全ての働く者、さらには社会全体の改善につながる課題と位置付けて、「働くことを軸とする安心社会の実現をめざした全道街頭宣伝行動」を今年1月16日〜20日の集中期間を設け、全道各地で展開してきた。この行動では、道財政再建・地方財政確立、社会保障・税の一体改革の実現に向けた政策・制度課題(今次通常国会の法案内容)のチラシ(5万6千枚)を作成し、連合北海道推薦議員団と連携を図りながら、街頭宣伝と配布行動を展開し、広く道民に訴えてきた。
さらに、昨年暮から今年1月通常国会開会前の期間で、連合北海道、地協による道内選出国会議員に対する政策・制度の確立を求める要請行動を展開し、1)全世代支援型で持続可能な社会保障と税の一体改革、2)連合が求める労働者派遣法改正法案の実現、3)給与特例法案と公務員制度改革関連4法案のセットによる成立、4)3事業一体と経営の安定をめざす再編となる郵政改革法案の実現、5)低所得・不安定雇用を無くすための労働契約法改正案、パートタイム労働法の早期成立、6)希望者全員の65歳までの雇用を義務化する高年齢者雇用安定法の成立、7)地域公共交通の確保や生活移動を保障するための交通基本法の早期成立の課題実現に向けて、連合北海道、地協が一体となって要請行動を取り組んできた。
引き続き、本通常国会における法案の審議状況を監視しつつ、必要な大衆行動を展開していくこととする。
(2)希望者全員の65歳までの雇用確保(高齢者雇用「2013年問題」に向けた対応)
この課題も、現在、法の改正に向けて審議会での議論が重ねられている。
今次2012春季生活闘争においては、高年齢者雇用安定法で定める3つの雇用確保措置のいずれかを導入するよう取り組むこととしている。これは、「法に基づく労使協定」ではなく、対象者を希望者全員とした労働組合法上の労働協約に改定する取り組みであり、構成産別における取り組みを展開していくこととする。
希望者全員の65歳までの雇用確保に向けた職場点検活動については、審議会の結論が出て以降、別途提起する。
12.共闘連絡会議の開催について
各共闘連絡会議の事務局長・書記長会議と代表者全体会議を、下記の日程で開催し、産別の闘争方針をはじめ情勢等の共通認識を深め、2012春季生活闘争に臨む各産別の意思の確認と情報の共有化をはかる。
○金属共闘連絡会議 1月23日
○化学・食品・製造等共闘連絡会議 1月18日
○流通・サービス・金融共闘連絡会議 1月18日
○インフラ・公益共闘連絡会議 1月24日
○交通・運輸共闘連絡会議 1月18日
※共闘連絡会議全体集会 3月9日
■北海道の取り組み■
○連合北海道産業別部門連絡会の開催
初期段階から集中回答日までの間に2回を目標に「産業別部門連絡会」を開催し、交渉・妥結状況について意思統一を図ることとする。特に、「パートタイム労働者等の待遇改善・組織化調査票」を基に意思統一を図り、前進回答を引き出すよう相互連携を強化すること。
また、連絡会内の合意形成を図り、2012春季生活闘争へのエントリー組合数・交渉結果開示の拡大、闘争態勢・単組指導の強化に努めることとする。
各産別は、各単組まで闘争指導を強化するとともに、地域における各種行動への参加呼びかけを強めることとする。特に、賃金・処遇に係る制度等確立に向けて、また、非正規労働者の組織化に向けては大きな課題、難しい問題も多いことから下部指導・支援体制にも万全を期すこととする。
労働者総体の賃金・処遇改善に向けて、産別最賃・企業内最賃協定の締結など賃金・処遇に係る各種制度の充実を目指すこととする。
【産業別部門連絡会日程】
A部門 2月11日(土)〜12日(日) (金属・機械) 登別
B部門 2月 8日(水)16:00〜 (資源・化学・エネルギー) ほくろうビル2F会議室
C部門 2月10日(金)10:30〜 (流通・食品・建設・一般) 連合北海道会議室
D部門 2月 7日(火)10:30〜 (交通・運輸) 連合北海道会議室
E部門 2月 8日(水)13:30〜 (情報・サービス) 連合北海道会議室
F部門 2月21日(火)16:00〜 (官公部門) 自治労会館3F役員会議室
13.当面の日程
(1)本部機関会議
2012年1月17日 第2回戦術委員会
1月19日 第2回中央闘争委員会
1月30日 最賃全国会議
2月14日 第3回戦術委員会
2月16日 第3回中央闘争委員会
3月 6日 第4回戦術委員会
3月 9日 第4回中央闘争委員会
(2)本部諸行動
2012年1月25日 連合・日本経団連首脳懇談会
2月1〜3日 全国何でも相談ダイヤル
2月16日 「社会保障と税の一体改革」実現集会
2月10日 2012春季生活闘争・闘争開始宣言2.10中央集会
3月 6日 東日本大震災1周年『絆』集会
2012春季生活闘争・政策制度要求実現中央集会
3月 8日 国際女性デー全国行動・中央集会
4月 3日 2012春季生活闘争・中央共闘推進集会
■北海道の取り組み日程■
(1)2012春季生活闘争地域討論集会
(2)「新規学卒者就職支援、雇用の維持・創出、官製ワーキングプア解消に向けた全道キャンペーン」ゾーン【1月27日(渡島)〜2月24日(網走)までの期間(石狩は別途)】
(3)2.14「非正規労働者要求実現統一行動デー」【資料1参照】
(4)連合北海道 2012春季生活闘争勝利 総決起集会【3月8日(木)18時から札幌市民ホール】
(5)各種行動日程
1月
6日 2012連合白書学習会
11日 連合北海道ハイタク最賃協議会第1回幹事会、学習会
15日 2012北海道ブロック女性会議
通常国会開会前までに 「安心社会の実現に向けた政策・制度の確立を求める」道内選出国会議員への要請行動
13〜20日 「道財政再建・地方財政確立に向けた知事・教育長・各総合振興局長等への要請行動」
16〜20日 「働くことを軸とする安心社会の実現をめざした全道街宣行動」
16日 第2回就活応援セミナー
20日 平成23年度第3回北海道新卒者就職応援本部検討会議
25日 連合公務労協方針等の地方代表者説明会
第2回闘争委員会(第4回執行委員会)
第2回地協事務局長会議
26日 地公三者共闘総決起集会
27日 石狩ブロック推進会議
28日 渡島ブロック推進会議
30日 第1回全国最賃担当者会議
31日 全国一斉「労働なんでも相談ダイヤル」街頭宣伝
北海道地域雇用戦略会議第2回幹事会
1〜2月 各地協・春季生活闘争地域討論集会
2月
1日 全国一斉「労働なんでも相談ダイヤル」開設 〜3日
4日 上川ブロック推進会議
青年委員会スプリングフォーラム
6日 連合本部第2回青年活動委員会
7日 第2回中小・パート労働条件委員会
「交通・運輸部門連絡会」第1回幹事会
8日 連合北海道「情報・サービス部門連絡会」第1回幹事会
「資源・化学・エネルギー部門連絡会」第1回幹事会
9日 連合 北海道ブロック代表者会議
10日 「流通・食品・建設・一般部門連絡会」第1回幹事会
2012春闘開始宣言中央決起集会
11日 「金属・機械部門連絡会」第2回拡大幹事会
14日 「2.14非正規労働者要求実現統一行動デー」
21日 「官公部門連絡会」第1回幹事会
公務労協総会及び公務員制度改革学習会
22日 第3回闘争委員会(第5回執行委員会)
第3回地協事務局長会議
北海道経営者協会「春季労使交渉セミナー」
3月上旬までに 行政・経営6団体など関係機関への申し入れ
・=要求書の提出=
3月
1日 北海道若年者雇用問題検討会議1
4日 3.8国際女性デー
6日 春季生活闘争・政策制度実現中央総決起集会
8日 「2012春季生活闘争 全道総決起集会」(札幌市民ホール)
9日 渡島地協春闘総決起集会
21日 連合北海道第3回就活応援セミナー
27日 第4回闘争委員会(第6回執行委員会)
第4回地協事務局長会議
・「第2回 産業別部門連絡会」
・地域集中行動
12-17日 第1先行組合回答ゾーン (最大のヤマ場 14-15)
21-30日 第2先行組合回答ゾーン
31-4月6日 中小集中回答ゾーン
4月
9-13日 中小回答ゾーン
・=解決促進ゾーン= 「地場 解決促進集会」
・「第3回 産業別部門連絡会」
以 上 |
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