職業安定所の募集では「退職金あり」だったのに実際は支払われなかった
就業規則を確かめて会社側と交渉を

 
就業規則等で規定があるか職場慣行があり、その要件に該当する場合には、退職金を支払う義務が生じる。
 

退職の届出
 
従業員からの労働契約解除・解約(退職)は、原則として告知から14日後の時点でその効力が生じる。
 

退職時の年休消化

 
退職時の残余年休のまとめどりは違法とはならない。
 
労働条件の明示
 
労基法第15条で、労働契約に際し、退職に関する事項も文書で明示が義務づけられているので、必ず退職金の有無の確認を。
 

就業規則等で内容の確認を

 
労働基準法では、賞与も賃金である(第11条)という規定以外に、賞与(一時金)・退職金についての定めは何もない。したがって、雇用契約の際にどういう取り決めをしているかが具体的な支払の根拠となり、契約に違反した場合においてのみ、違反行為となる。したがって、具体的な支給内容や条件を確認しておくことが大事である。
 

退職金の切り下げ

 
退職金規定が知らないうちに不利益変更され、規定どおり支払われない事例があるが、裁判では満額確保が通常となっている。証拠のためにも古い退職金規定も必ず保存すること。
 

倒産による退職金の不払い

 
倒産で退職金が支払われない場合は、未払い賃金の立替払い制度を活用できる。(倒産と未払賃金の立替払)(一時金はできない)
 

退職金規定がない場合

 
退職金制度を設けるか否かは、使用者の裁量に委ねられている事項である。したがって定めがないのであれば、法律上は退職金を支払う必要がないが、募集の際、チラシ等に書かれている場合は虚偽の条件で募集をした問題として会社と交渉し何らかの解決を迫る必要がある。
また、従来から退職に際して、それなりの額の退職金を支払ってきた場合(労使慣行)は退職金を支給することが労働契約の内容とされる判例がある。
 

7日以内の金品の返還と退職金の取扱い

 
労働者の死亡又は退職の場合、権利者が請求した場合には、7日以内に賃金を支払い、及び労働者の権利に属する金品(社内預金等)を返還することが義務づけられている。しかし退職金は通常の賃金ではないので、請求があっても、予め就業規則等で定められた支払時期(例:退職1年後)に支払っても違法ではない。
 

全額払いと相殺

 
退職金からの控除についても労基法24条の適用があるが、その控除が民法上の相殺に該当する場合には、その額の4分の1までしか相殺できない(民法510条、民事執行法152条)。
 

退職金の時効

 
賃金支払請求権の消滅時効期間は2年間であるが、退職金支払請求権は5年間である(労基法115条)。
時効前であれば退職日以降に支払日がある賃金(退職金を除く)の未払いについては、裁判上は支払日以降の期間について、年利14.6%の遅延損害金が請求でき(賃金の支払の確保等に関する法律第6条)、また時間外労働等の未払いについては、労基法114条による付加金も請求できる。
 

一時金支給日に在籍していない時

 
賞与については、賃金の一部と見なされるので、支払時に在職していなくても、算定期間中に勤務していれば請求することができる。ただし、労働協約、就業規則で賞与の支払は、「支払い時在籍者のみ」と規定している場合があるので注意が必要。
また、最近は「企業業績が悪いので賞与はださない」という場合も多くみられるが、それ自体は契約違反とはならない。このような場合は労働組合(または従業員代表) との交渉事項となる。
 

退職時の証明と書面の交付

 
退職時において(1)試用期間(2)業務の種類(3)地位(4)賃金(5)退職の事由(解雇の場合にはその理由を含む)の必要項目を労働者が請求した場合、書面で交付しなければならない。
 

禁止事項

 
請求しない事項を記載したり、ブラックリストの回覧等、計画的な就業妨害は禁止。(労基法第22条)

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