「テロ対策特別措置法」に関する連合北海道の見解
 
 9月11日、米国ニューヨーク市の世界貿易センタービルと国防総省をハイジャックした民間航空機で襲った同時多発テロ事件は、一瞬のうちに6千人を超える尊い人命を奪うとともに、米国のみならず、世界の政治・経済・社会に被害と混乱をもたらした。このようなテロ行為は、いかなる理由や背景があろうと、卑劣きわまりない暴挙であり、地球人類への明らかな挑戦として、断じて許すことはできない。
 
 このテロで日本人を含む世界の60ヶ国以上の国民が命を失った。衷心から弔意を表明するとともに、われわれは、この地球上からテロ行為をなすものを一掃し、真に民主主義を実現し、民族・貧困・宗教などに起因する、あらゆる紛争の即時解決、そして、世界平和の確立を求めて闘うことを決意新たに誓うものである。
 
 しかし、今回の同時多発テロに対し、小泉内閣が、自衛隊の中東派遣などを柱とする「対米支援7項目」を公約したうえで、「テロ対策特別措置法等」を国会に提出し、十分な審議もせずに、与党3党の数で押し切ろうとしていることは、国論が二分する中で、性急にすぎると言わざるを得ない。
 連合北海道は、民主党が修正を求めた@国会の事前承認、A武器・弾薬の輸送禁止などに耳を傾けず退けたことは、@は文民統制の否定であり、Aは集団的自衛権の行使を意味するもので、憲法の平和主義をさらに無効化するものであると考える。
 
 今、わが国に求められているのは、国連を中心とする国際社会がテロ根絶をめざす闘いの中で、憲法に平和主義を掲げる国家・国民として、@国連への権限の集中と十分な決議に基づく行動ルールの徹底、A難民問題の緩和や国際司法への信頼の醸成、B民族・貧困・宗教・領土問題などによる諸問題の平和的解決促進など、軍事以外の活動を最重視して取り組むべきものと確信する。
 
 以上の立場から、本法案の国会での十分な論議を求めるとともに、小泉内閣が、国民の十分な理解と支持をないがしろにしたまま採決することは、断じて認められない。
 
2001年10月18日
連合北海道 会長 笠井 正行


【関連資料】
● NGO「ペシャワール会」の中村哲医師の講演会「孤立のアフガン」
● 計り知れぬ米同時多発テロの衝撃──“唯一超大国”幻想の崩壊 (高野 孟)
● 「週明けのアメリカ、その苦悩と希望」 (冷泉 彰彦)
● A.ラシッド『タリバン』──テロ事件を考えるための読書案内
● Security Council SC/7143 4370th Meeting (PM) 12 September 2001
   SECURITY COUNCIL CONDEMNS, ‘IN STRONGEST TERMS’,TERRORIST ATTACKS ON UNITED STATES

● SECRETARY-GENERAL TELLS OPENING OF FIFTY-SIXTH GENERAL ASSEMBLY
● UN Fifty-sixth General Assembly Plenary 1st Meeting (PM) 12/9/2001