建設業で従業員50人の営業所の法定労働時間は
1日8時間・週40時間であり、これを超える部分は原則として時間外労働となる

 
小規模事業場に係る特例を除き、週40時間制が全面適用。 【労基法第32条】
 

 
法定労働時間とは、1日8時間・週40時間と定められた労働時間の上限である。
 
法定労働時間の特例
 
労基法上の平均賃金とは、算定事由発生日以前3か月間にその労働者に支払われた賃金の総額(残業代や通勤手当を含む)を、その期間中の総日数で除した金額を原則としている。なお、日給・時給制などの場合の最低保障、現物給与、算定期間から除くべき期間・日数・賃金など、その取扱いが労規則・告示により詳細に定められている。(労基法第12条)
 
休業中の賃金請求権
 
<休業の帰責事由が労使ともにないとき>
天災事変などの不可抗力に該当する場合等、労働者は休業中の賃金の請求権はないが、就業規則、労働協約等の定めに従うことになる。
<休業の帰責事由が使用者にあるとき>
民法536条2項により、使用者の「責めに帰すべき事由」(故意・過失または信義上これと同視すべき事由)がある休業の場合には、労働者は休業中の賃金を全額請求できる。
就業規則、労働協約、労働契約で特段の定めをすれば別であるが、その場合でも、労基法26条による最低保障に反することはできない。
労基法26条は労働者の最低生活保障のための規定であり、使用者の民事上の賃金支払義務を減額する趣旨ではない。ここにいう「責めに帰すべき事由」は、天災事変などの不可抗力に該当しない限りこれに含まれ、機械の検査、原材料の欠乏、流通機構の不円滑による資材入手難、監督官庁の勧告による操業停止、親会社の経営難のための資金・資材の獲得困難などで休業した場合でも、使用者は休業手当を支払わなければならない。
 
休業期間中の所定休日
 

休業期間中に含まれる所定休日は休業手当を支払うべき日数から除かれる。

 

4時間勤務の土曜日の休業

 
週のある日の所定労働時間が短く定められていても、その日の休業手当は平均賃金の60%以上の額でなければならない。
 

半日休業

 
1日の一部のみ休業した場合にも、その日について休業手当を支払うことを要するので、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が休業手当に満たない場合には、その差額の支払を要する。
 
健診結果に基づく休業・短縮勤務
 
労働安全衛生法66条による健康診断の結果に基づいて、休業あるいは短縮勤務を命じられた場合には、それが不当な取扱いでない限り、休業手当支払の問題は生じない。
 
休業中の賃金未払いへの対処
 
(1) 不況を理由とした生産調整のための休業の多くは(一時帰休、自宅待機などと呼ばれたりする)、民法536条2項の債権者の帰責事由ある休業なので、賃金全額を請求すべきである。民事上も6割支給すればよいと誤解している企業もあるので、是正させること。ただし、労組があって休業手当と同じ平均賃金の6割の賃金支払義務しか認めない労働協約が締結されている場合もあるので、注意する。
なお、使用者が休業に係る手当を支払ったものとして、国から雇用保険法の雇用安定事業(雇用保険法62条1項1号)である雇用調整助成金(同法施行規則102条の3)の支給を受けている場合があるので(職業安定所行って調べる)、その場合は支払原資があることになる。
(2) 使用者に帰責事由のない休業であっても、労働災害による場合は労災保険法の休業補償給付等の支給を受けられるし、労働災害でない私傷病による場合には健康保険法の傷病手当金(健康保険法45条)の支給を受けられるので、アドバイスすること。
※裁判所に休業中の未払い賃金請求の提訴をするときに、労基法26条の休業手当の未払いがあるときは、その未払休業手当額と同額の付加金も請求でき(労基法114条)、付加金について判決確定の日の翌日から法定利率による遅延損害金を請求できる。
 
罰則
 
労基法26条違反は30万円以下の罰金
<参照条文> 労基法 12,26,114,120 (労基則 3,4 昭24労告5号)

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