2008春季生活闘争のまとめ (案)
 
<はじめに>
 
@ 連合は、格差社会からの脱却をめざし、賃金の底上げと格差是正に結びつく賃金改善、非正規労働者の処遇改善や正社員化、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた労働時間の短縮、割増率の引き上げ等に取り組むことを2008春季生活闘争方針として決定し、労働分配率の反転攻勢をめざし総力を挙げて闘争を推進してきた。同時に春季生活闘争の役割は、社会的な分配のあり方に労働組合として積極的に関与し、内需拡大などマクロ経済への影響力を発揮することにあり、マクロ的には労働側に実質1%以上の配分の実現をめざし、経済成長に見あった配分の追求を通して、非正規労働者を含むすべての勤労者への適正な成果配分を実現するとの基本的な考え方を確認し闘争に臨んだ。
 
A 北海道の闘いは、07年12月に方針を決定し、経済規模の縮小と雇用情勢の「低位安定」や非正規労働者の増加など、好景気の本州各地方とは正反対の経済状況のもとながら、地域間・企業規模間の格差是正を大きな目標に08春季生活闘争を開始した。
 賃金改善の闘いは本部の設定した「到達すべき水準値」を参考として示し、平均賃上げだけではなく水準も重視した取り組みとした。パートの処遇改善は、時間給の改善目安として、絶対額1,000円程度、引き上げ額は昨年を上回る25円程度としたのをはじめ、改正パート労働法を上回る改善要求として、正社員転換制度の導入や通勤手当の改善等とした。また、要求のなかに燃料手当の差額支給や賃金改善への加味を取り組んだ。
 これに対し、北海道の経済団体は、連合北海道の「積極賃金改善こそが北海道経済の回復を実現する」との意見に真っ向から対立し、「北海道の景気は回復基調にない」との主張を繰り返した。
 
B 交渉を取り巻く環境は、米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な景気の先行きに対する不透明感に加え、年明け以降、株安、円高(対ドル)が続き、さらに、原油高、原材料高の影響は、企業経営を圧迫し消費者物価を上昇させる等、厳しい環境となった。
 消費者物価上昇率は、生活必需品である食料及びエネルギー関係を中心に上昇し、2007年度は全国で対前年度比0.4%、北海道では3月に+2.3%の上昇となり、ガソリンや灯油、及び食料関連の値上げが、これまでの医療費の負担増や定率減税廃止などとともに低所得者層を中心に生活を直撃する状況となった。これら諸物価の上昇に対して連合北海道は、「灯油などの石油製品価格の引き下げと道民生活の安定を求める緊急全道集会」を開催するとともに、政府に原油価格高騰に対する緊急対策の申し入れを行った。また、北海道労働金庫は「家庭用燃料等の購入に係る特別融資制度」を緊急に取り組み、年金生活者など651件の低利融資をおこなった。この融資は今年の需要期にも再び取り組まれている。
 
T.2008春季生活闘争の結果と評価について
 
1.賃金をはじめとする労働条件の取り組み
 
@ 今年の闘争は、労働側は社会的な分配の歪みの是正、内需拡大による安定成長の実現、さらには格差是正、底上げを行うという観点から闘争を進め、一方、経営側は「国際競争力の維持」「月例賃金の改善は固定的なコスト増」や「成果配分は一時金で」などを基本的な考えとし、北海道では北海道経済の低迷を最大の理由に、「消費の回復による景気回復」という大局的な判断にまで踏み込もうとせず交渉は難航した。
 連合全体のこれまでの結果から、今次闘争においてめざした社会的分配を是正する観点から見れば、労働分配率の反転や分配の歪みの是正、可処分所得の増大をめざした観点では、不十分な結果と言わざるを得ないとの評価を表明している。
 
A 北海道の賃金改善の闘いは約350の地場単組がエントリーし、集中決戦方式で取り組んだが、全体で昨年比マイナスの結果となっている。しかし、3月12日〜15日までの最大のヤマ場において、多くの回答を引き出した中央産別や地場の流通などの努力の結果、社会的相場形成に一定の役割を果たし、また、地場集中決戦ゾーンでは3年連続賃金改善を行い、その流れを定着させたことは、今後の運動につながるものといえる。
 8月末の最終集計では、加重平均で全体では4,318円(昨年比−89円)、1.73%(−0.06%)、300人以上では4,639円・1.81%(−201円・−0.11%)、299〜100人では3,129円・1.42%(−102円・−0.02%)、99人以下では3,124円・1.42%(−44円・+0.01%)となったが、化学・食品・交通運輸・商業流通では昨年を若干上回った。※( )は昨年比
 しかし、9年連続で平均賃金が低下している中で、その低下傾向に歯止めをかけることができたか、あるいは諸物価高騰に対し十分対応する賃金改善の結果が得られたかなど、賃金水準そのものや比較方法の検証とともに、生活に根ざした賃金改善を求める根拠についても、検討が必要である。
 北海道における取り組みとしては、初めて「全道中小労組 情報交換交流会」を開催し、メールによる全国・全道の回答・妥結情報などを周知する取り組みや、4月から本格化した交渉を促進するため、各地で「解決促進集会」等に取り組んだが、「木の城たいせつ」の大型倒産など経済環境が引き続き低迷し、さらに諸物価や燃料費の高騰などが悪化する情勢のもとで極めて苦しい交渉となった。
 
B パートの均等待遇や処遇改善は、時間給の引き上げではおおむね時間給20円以上の引き上げで昨年を上回ったが、単組により下がったところもある。諸物価高騰の環境にあり個人消費の影響を強く受ける内需産業中心であることを踏まえれば、厳しい環境の中で精一杯頑張った結果といえる。この時間給の引き上げを最低賃金の引き上げにつなげる努力に取り組む必要がある。さらに、パート労働法や労働契約法の施行を受けて、様々な対応が行われた。特にパート労働法では、「3要素による4区分」によって差別禁止と義務・努力義務・配慮義務・実施義務などが規定され、各職場における点検と、連合方針に基づく「法を上回る労働協約獲得」が取り組まれ、正社員登用や実態調査など一定の成果を上げつつある。
 
C ワークルールの取り組みでは、連合全体として労働時間短縮で成果をあげた組合が昨年に比べ増加し、また、適正な時間管理についての労使交渉を要求する組合も増加している。長時間労働の是正や不払い残業撲滅に対する取り組み、労働時間管理の徹底など、ワーク・ライフ・バランス実現に向けた取り組みの広がりといえる。中央では、長時間労働是正のため割増率の引き上げに取り組んだ割増共闘(16産別)は、一部の組合とはいえ前進回答を引き出したことは、今後の運動展開への下地づくりになったが、一方、多くの組合で継続協議となった。このことは、割増率に対する受け止め、長時間労働是正の施策の違いなど労使の見解に大きな隔たりがあり、今後、粘り強く取り組みを展開する必要がある。これから交渉予定の産別もあり、その結果を踏まえ、労働時間に関わる具体的な運動推進につなげていくこととする。
 
D 今年度から新たに設置された「非正規労働センター」では、「実質1%以上の配分の実現」「非正規労働者を含むすべての勤労者への適正な成果配分」「未組織を含む全雇用者を視野に入れ、全体の底上げ」「法定最低賃金を生活可能な水準に引き上げる。企業内最低賃金協定の締結、改定に向けた取り組みを強化」などを基本目標にして、非正規労働者の雇用・労働条件の改善と勤労貧困層の解消等に関する要請行動や、非正規労働者に関する08春闘激励行動、2回の“なんでも労働相談”に取り組んだ。また、5月下旬には全道6コースで“ストップ・ザ・格差社会「反貧困全道キャラバン行動」”を実施し、最賃や非正規労働解消について自治体をはじめ地域経済団体に要請した。また、3月以降は「木の城たいせつ」の大型倒産による解雇者の賃金確保に精力を注ぎ一次請求の総額で約6億円の立て替え払いを実行させた。いまは2次請求の実施に向けて作業を進めている。
 
E 2008春季生活闘争は、地域において地場中小労組に未解決の組合が残されている。また、公務員や国営関係部門においてもすべてで決着しているわけではない。連合北海道は、引き続き未解決組合に対する支援を産別・地協・地区連合と連携して行っていく。
 
2.政策・制度要求の実現に向けた取り組み
 
@ 昨秋以降の灯油等石油製品価格の急騰が、本格需要期を迎えて道民生活や産業活動への影響が懸念されたため、道内各界・各層との連携による生活危機突破集会を開催して世論喚起をはかるとともに、民主党との共同で国や道、各市町村に対する要請を行い、福祉灯油制度の新設・拡充や便乗値上げへの監視、価格安定対策の強化を求めてきた。
 その結果12月25日、国は原油価格高騰に関する緊急対策をとりまとめ、福祉灯油制度への特別交付税措置を決めたことから、政令市と中核市を除く大半の自治体で制度が導入されることとなった。また、2008年度政府予算に関わる国会論議のなかで、道路特定財源と租税特別措置法が争点となり、我々が廃止を強く要求したガソリン税の暫定税率は3月末で一旦失効したものの、与党が国民生活を顧みることなく再議決を強行して復活させた。
 原油高の長期化が予想される中、漁業者は出漁しても採算が取れず廃業の危機に直面しているなど産業活動への深刻な影響が現れているほか、ガソリンが一時180円台に高騰し、灯油価格もリットル110円前後になるなど、燃料・原材料価格の高騰が物価を押し上げ、家計への負担増となっている。
 
A STOP!THE格差社会キャンペーンとして最も重視した政策課題は、地域医療を守り、安心して住み続けることが出来る地域社会の基盤を確保することである。
 国の医療費抑制政策が深刻な医師不足と病院経営の悪化を招き、地域で必要な医療が受けられないという医療の地域格差が拡がっている。さらに昨年、道が示した「自治体病院等広域化・連携構想」や「道立病院改革プラン」によって、地域の不採算医療や救急医療を担ってきた自治体病院等のあり方が今春以降、本格的に地域で検討されている。
 連合北海道は地域医療を守る対策委員会を設置して、広域化・連携に関する地域検討への参画を道と地協段階で再三求めたほか、地域医療シンポジウムの開催や、5月末の全道キャラバンを起点として、地域医療を守る100万人署名やチラシ配布など大衆行動を展開している。地域段階でも対策委員会が設置され、積極的にシンポジウムや集会、行政への申し入れを行うなど、幅広い取り組みが進められている。
 
3.北海道の独自課題の取り組み
 
 2008春季生活闘争方針に掲げた独自の取り組みについては、未だ取り組みの途中にある。したがって、今後も様々な取り組みを通じて、課題解決に向かうこととするが、これまでのなかで、以下の取り組みと状況となっている。
 
@ ハイタク労働者の労働基準の確立と最賃違反の根絶では、「北海道ハイタク協議会」を中心に、2007年12月から札幌等で料金値上げが行われたことを受け、この料金値上げが「従業員の労働条件改善」をうたっていたことの検証を継続している。9月25日には道民アピールの「政策転換集会」を行い、11月11日には交通審議会に向けた政府交渉に取り組むなどの諸行動を展開した。
 
A 季節労働者の短期特例一時金存続と援護制度では、国の通年雇用促進支援協議会事業の円滑な展開と短期就労の確保などの課題について、「北海道季節労働者支援センター」を設置して進める。
 
B トラック・バス輸送における安全の確保とワークルールでは、燃料費高騰の環境激変やガソリン等暫定税率の廃止と復活に大揺れしたが、関係産別の取り組みを支援しつつ、バス・シンポを開催する準備を進めている。
 
U.2009春季生活闘争方針の策定に向けた課題
 
@ 灯油やガソリン・軽油等の石油製品の価格暴騰は、ガソリン・軽油で落ち着きつつあるが、生活に直結する灯油が需要期を迎え高値安定する可能性もある。その影響は、道民生活各般にわたって大きく、学校や福祉施設、公共施設での暖房費の他、物品流通の全ての過程や北海道の基幹産業である一次産業でも、経費を大幅に引き上げている。
 今後、食料や飼料の輸入価格の高騰による製品価格の相次ぐ引き上げなどと合わせ、全国平均の2倍にもなる道内諸物価の高騰が、さらに組合員の生活に影響することは必至である。燃料手当は経営者団体の調査によるとほぼ昨年並みの支給が多く価格上昇が加味されていないし、支給を取りやめるところも増えている。また、自家用車通勤の実費支給(ガソリン等の代金)でもマイナス差額が生じていることがあり、この是正も緊急な課題である。
 地域最低賃金は13円引き上げて667円となり10月19日に発効となったが、生活保護との逆転は解消されず大きな課題である。公務員の人事院勧告闘争は据え置きの勧告が出され、これからの確定の闘いを組織しなければならない。そのほか国民の不安が高まる年金・医療制度をはじめ、当面の経済政策などの重要課題を国民の手により判断するため、麻生内閣の早期退陣・解散総選挙を早急に求め、政権交代を実現しなければならない。 「生活防衛・格差是正・安心の社会制度を実現する」ための09春季生活闘争を準備し、道民世論の喚起と政府・道交渉などを強める必要がある。
 
A 2009春季生活闘争の環境は、景気は踊り場あるいは下降局面と言われる中で、生活必需品を中心に物価上昇が鮮明になり、労働者の生活はさらに圧迫されているもとで闘争を推進する可能性が大きい。これまでの格差是正や底上げに向けた運動の基本的な考え方を引き続き堅持するとともに、生活防衛、未組織労働者や非正規労働者への波及方法など、さらには労働組合として社会的役割を含め議論を深めながら方針策定に臨んでいく必要がある。特に北海道は景気の回復が全く見られないうちに再び下降局面に立たされることなるが、組合員の生活を維持し地域経済に寄与する賃金改善闘争について、十分な準備をする必要がある。
 
B 方針策定に関し、具体的な論点としては、消費者物価上昇率と実質賃金の確保、個別賃金水準の引き上げ、情報開示と波及効果などが考えられる。連合全体としては、格差是正、底上げをはかる観点から、一時金に比べ社会的波及効果の高い月例賃金の引き上げに取り組むが、同時に個別賃金水準を重視した取り組みを進めていくこととしている。また、それぞれの職場では、成果主義を中心とする現在の賃金制度の評価がわかれ、若年者の定着などで課題を抱える実態もあり、新たな賃金制度について待ち望む声も強い。連合中央の「新賃金政策(仮称)」の討議に期待するとともに、北海道全体でこの議論に参加していく必要がある。
 
C 連合北海道の春季生活闘争における基本的な役割は、地場中小労働者の賃金格差是正にあると位置づけてきた。そのためには、それぞれの企業内における賃金実態を的確に把握し、その分析にもとづき具体的に交渉を行っていく体制をつくる必要があり、中小共闘(労働条件委員会)を中心に、情報交換体制の拡充や「ミニマム賃金調査」などを通じ実態の把握の取り組みを強化する必要がある。また、下請け取引改善や、公契約・総合入札など公共サービスにおける賃金レベル確保の取り組みについても、非正規労働センターと連携し、産別、地協・地区連合と協力して運動を進める。
 
D パート共闘(労働条件委員会)は、非正規労働センターを中心に、取り組み課題の重点化や「パート等非正規集会」を情報交換の「場づくり」として拡大していきたい。またパート労働法の差別禁止の遵守や義務化の徹底などとともに、法を上回る協約の獲得もめざす。連合の中期的取り組み指針(2008/7策定)も踏まえ、これまで以上に運動の拡がりを図りながら、組織拡大に結びつく一層の取り組み強化が必要である。また、企業内最低賃金は、企業内賃金条件の底上げや均等待遇にもつながる取り組みであるとともに、地域・産別の法定最低賃金の引き上げに連動する重要な闘いであることを認識し、改善と締結促進に取り組む必要がある。また、諸物価高騰にあわせ、連合リビングウェイジの見直しを進めていく必要もある。
 
E ワーク・ライフ・バランスの実現に向け、長時間労働を是正する労働時間の短縮に強力な取り組みが必要であり、中期時短方針(最低到達目標)の具体化に向けた検討と同時に、不払い残業の撲滅、労働時間管理の適正化等の取り組みや、36協定の適正化や特別条項の見直し、労働時間管理の徹底についても、粘り強い取り組みを展開していかなければならない。引き続き継続審議となっている改正労働基準法の国会対応を強化するとともに、「平日50%、休日100%」の達成に向けて運動を展開していくことが重要である。また、女性の賃金・処遇改善について、男女間の賃金格差をはじめ、様々な賃金格差を是正するために、賃金分布などの実態を把握し、課題の克服に向けた通年的な取り組みを進め前進をはかる必要がある。このため、男女平等局と女性委員会で具体的な取り組みについて検討を行う。
 
F 労働基本権については、産別ごとに対応の違いがある。しかし、その権利については、労働組合に与えられたものであり、それにこだわる取り組みが必要な情勢にあると感じられる。公務員への労働基本権付与は国家公務員に5年以内に実現する可能性が高くなった。地方公務員にも同様となるだろう。そして、諸物価・燃料費高騰や政府による国民負担の拡大により、官民問わず、実質賃金の目減りに対する組合員の怒りは高まりつつある。2009春季生活闘争は「生活防衛」を基本にして、社会の枠組みを大きく変える闘いとしなければならない。
 
以 上
2009春季生活闘争 北海道基本構想 (案)
 
1.生活・雇用の実態と取り巻く情勢
 
(1)経済の動向
 
 米国発の金融危機は世界の金融市場のみならず実体経済にも大きな影響を及ぼしつつある。日本は影響が限定的と言われているものの、外需に依存してきた今の景気が減速することはさけられない見通しとなっている。
 また、先物投資などによる原材料やエネルギー・食糧の高騰は、いくらか落ち着きを見せてきているが、消費者物価指数によると前年同月比で全国的には2%程度、北海道ではエネルギーの高騰が大きく響いて4%程度の物価高騰が続いている。(総務省統計局 10大費目指数)
 その結果、道内の企業動向や各種調査では見通しの悪化を見込むものが多くなってきている。具体的な影響は年末のこれからとなるが、消費者の買い控えや中小企業への貸し渋りなどにより、「負のスパイラル」に陥る事が懸念される。
 政府は1.8兆円と27兆円の2弾の経済対策を打ち出したが、総選挙目当てのばらまき政策が中心で、実際の景気浮揚効果は疑問視されている。国民の支持の元で生活を中心とした経済対策を確立して、内外需のバランスが取れた持続可能な経済モデルを確立するためには、総選挙を実施し政権交代することが必要となっている。
 
(2)労働者の生活実態
 
 賃金(国税庁:民間給与の実態)は9年間減少し、2007年度は1997年度に比べ6.4%減少している。労働分配率も6年連続で減少し、第1次石油危機(1973〜74年)以降では最も低い水準まで落ち込んでいる。
 雇用情勢は9月の有効求人倍率が全国0.82に対し北海道は0.47になり、失業率も全国4.0%に対し北海道は4.9%と差がある。新規求職者数が伸びており、9月は対前年比15.8%増加していることから、すでに雇用調整局面に入っていることも懸念されている。
 一方、非正規労働者は相変わらず増え続け、総務省の平成19年就業構造基本調査では全国で35.5%、北海道では38.2%が非正規労働者となっている。また、賃金は、北海道労働局の基本調査によると、全体(一般労働者+短時間労働者)の約33%が200万円以下の賃金レベルにある。短時間労働者の45%がそのレベルにある低賃金構造を改善することが全体の底上げと消費の拡大には必要不可欠である。
 
2.2009春季生活闘争の推進
 
(1)要求と取り組みの基本的な考え方
 
 日本経済を内需型に転換するために、総合生活改善を進める。そのため、賃金を含めた労働諸条件を改善し、格差の是正を実現する春季生活闘争とする。大手組合の賃金引き上げ結果を中小・未組織労働者に波及させ、「社会的所得分配」の機能強化をはかる闘争態勢とする。
 景気の回復と生活防衛の両方を実現するため、従来以上に政策・制度の取り組みを強化する。そのため総選挙闘争と一体の闘いとしなければならない。
 
(2)具体的な労働条件の要求と取り組み
 
@ 賃金改善の取り組み
 
○賃金カーブの維持を前提とし、物価上昇に見合うベースアップによって実質生活の維持を確保するとともに、経済回復と内需拡大につながる配分の是正をめざす。
○ 賃金水準の絶対額を重視し、要求内容や妥結内容が組合員や単組間の相互理解に見えやすくする。また、月例賃金を重視し、年間収入の維持と向上に努める。
○ 今年から取り組む「連合「指標」」に基づき、産別間格差や規模間格差の是正を意識した取り組みとする。
○ 地場中小の要求は次の目安に沿うものとするよう、単組内の議論を活発化させる。
<賃金カーブの算定が可能な場合>
 賃金カーブ維持分+ベースアップ分(物価上昇見合い2〜4%)+格差是正分
<賃金カーブの算定が困難な場合>
 賃金カーブ維持分(4,500円)+ベースアップ分(4,500円以上)+格差是正分
 
A その他の取り組み
 
 本部の闘争方針に沿って、以下の取り組みを重点的に進める。
 
○ 労働時間では、長時間労働の是正と有給休暇の取得促進やワーク・ライフ・バランス実現の取り組みなど。
○ 格差是正・底上げでは、公正取引や公契約運動、非正規労働者の処遇改善や正社員化、企業内最賃の促進・改善と法定最賃の大幅引き上げ・強化など。
○ワークルールでは、パート労働法や労働者派遣法など労働関係法の遵守を徹底し、労働時間管理などを強め労働安全を確立するなど。
○政策・制度では、景気回復と生活を中心とした経済政策の実現をはじめ、セイフティネットの充実、開発局や雇用・能力開発機構の廃止問題など。
 
3.闘いの進め方
 
 産別や地協からの情報をもとに、開示を積極的に行い、社会的賃金水準の形成をはかる闘争体制を構築する。
 
@ 闘争体制については、従来と同様とするが、中央の共闘連絡会議や有志共闘を意識した連絡体制をつくる。
A 地場集中決戦方式を踏襲し集中回答日に結集する体制を構築する。
B 労働基本権にこだわる闘争を展開するよう、意思統一を重視する。
C 中小共闘を拡充強化して、地場の闘いを拡大するよう体制強化する。
 
4.当面の日程
 
11月17日  労働条件委員会
11月27日  第21回年次大会
12月17日 第40回地方委員会(2009春季生活闘争方針案)
2009年1月 地協討論集会
    3月 総決起集会
 
 
以  上