2001/4 国の威信より友好を
下 院議員のクヌイシ・ロシア共産党ハバロフスク地方委員会第一書記によると、共産党は日本など隣接諸国との国境問題の「法的側面」を研究している。クヌイシ議員が挙げたロシア欧州地域での世論調査のデータによると、「クリール(千島)の4
島を日本に引き渡すべきか」との質問には、「引き渡すべきでない」という回答が51%、「島に対するロシアの主権を維持すべき」が34%だった。「島々の引き渡しは大統領の権威にどのような影響を与えるか」という質問には、「低下させる」が51%、「国の権威に悪影響を及ぼす」が50%だった。し
かし、極東地方の人々の「北方領土」についての考えがこれと本質的に異なることは間違いない。占領したものは返すべきであり、その上で初めて隣国同士の協力や国民の相互理解について話し合うことができる、ということを極東の人々は理解している。
2001/4 密輸なしでは成り立たない
漁業者の生活国 の統計によると、ハバロフスク地方と日本との貿易高は2000 年、前年より約20%減少し、2 億2000 万ルーブル(約9 億5500 万円)にすぎなかった。日本との貿易高は、極東の他の地域でも同じように減少傾向にある。両国間の政治問題が未解決であることとロシア側の不誠実さが同 じ統計によると、魚とカニの密輸が正規の輸出を数倍上回っている。ロシア人密輸業者が日本の港で歓迎されており、日本の地方当局も密輸業者をロシアの司法の手に引き渡すことにあまり熱心でないという現状に対して、ロシアの政府とマスコミは強い不満といら立ちを表している。一部の官僚やマスコミはこの問題を取り上げて、日本政府への不信を表明している。しかし、極東地方の大部分の人々は、極東の漁業者の行為は正当なものであり、そのような行為に走らせているのはロシア政府のせいだ。
2001/4 生産物分与協定に注文
「 陸上の油田開発と大陸棚の油田開発とでは、生産物分与協定の条件は多少異なったものであるべきだ」。石油会社「ロスネフチ・サハリンモルネフテガス」のゼムリュク社長は3 月24 日、サハリンを訪れた下院議員団との話し合いでこのように指摘した。同社長によると、1929年から開発が行われているサハリン北部のカタングリ鉱床(陸上)では、480 の油井から一日400 トンの石油が採掘されている。一方、大陸棚では一つの油井だけで日産ゼ ムリュク社長は「私たちは97 年以来、6 つの鉱床を生産物分与協定の条件に移すための交渉を行っているが、話し合いはまったく進展していない。私たちは大陸棚プロジェクトと同等の条件に置かれており、著しく不利だからだ」と述べている。そして、こうした状況では、陸上の油田を閉鎖して労働力を削減するか、税制上の優遇措置を設けるかしかないという。同社長によると、石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン3 」が停滞してすでに4 年目になり、生産物分与協定検討委員会も4 回代わっている。「生産物分与協定が経済発展通商省の管轄に移されて、また新しい委員会が組織された。私たちはもう一度、ゼロから始めなければならなくなった」。ゼムリュク社長はこのほか、極東地域のガス化計画への支援を下院議員団に要請した。
2001/4 非合法のナマコ加工場を摘発
サ ハリン州内務局広報部によると、同局は3 月23 日、コルサコフ地区オジョルスキー村にナマコの地下加工場があるとの情報を得た。内務局経済犯罪対策課と水産資源保護局の職員が現場に急行し、民家でナマコの加工を 行っていた3 人を逮捕した。うち1 人は中国人で、サハリンに滞在する許可証を所持していなかった。3 人は自分たちで使うためにナマコを処理していたもので、原料は知らない人間から購入した、と供述している。部屋からは、前夜に水から引き揚げたとみられる103キロの原料ナマコと25 キロの乾燥ナマコ(350 キロの原料が必要)が見つかった。サハリン州ではナマコの捕獲は禁止されており、乾燥ナマコのやみ価格は1 キロ約100 ドルといわれる。加工場からはこのほか、潜水具や魚網、わななども見つかった。
2001/3 択捉島の水産加工会社、発展もたらし自信
択捉島に経済発展をもたらした水産加工会社「ギドロ択捉島に経済発展をもたらした水産加工会社「ギドロストロイ社」が14日、創業10周年を迎えた。ベルホフスキー社長は同島の新聞「赤い灯台」のインタビューで、日本などへの輸出が8割に上る経営内容を初めて明かすとともに、領土問題を意識し、「だれの援助も受けずロシア人だけで大きな成果を達成できた」と胸を張っている。同社はレイドボ、キトブィの水産加工場を前身に1991年3月設立。サケ・マス、イクラ加工といった昨年の生産量は、旧ソ連時代の5倍近い1万5000トンで、売上高は5億ルーブル(約21億4000万円)に上った。
製品の輸出先は日本をはじめ米国、欧州、中国、韓製品の輸出先は日本をはじめ米国、欧州、中国、韓国。ベルホフスキー氏は、「外貨で取引するので、インフレの影響を受けない」と、経営の強みを指摘している。従業員1500人に対する昨年の賃金総額は、1億ルーブル(約4億3000万円)。クリール地区には昨年7000万ルーブル(約3億円)の税金を納め、道路、体育館建設などの公共事業に活用された。プリコフスキー極東管区大統領全権代表、ファルフトジノフ・サハリン州知事は、同島の目覚ましい発展を評価。同社は生産と雇用拡大をさらに進める計画で、好況を背景に、領土問題では返還反対世論が強まりそうだ。