@ 相談者の立場に立って問題を受けとめる
労働相談で大切なことは、相手の話をよく聞くことです。場合によっては内容が悩みごとや“人生相談”に近いものもありますが、聞くことだけで相談となることもあります。一方、同情や怒りにより相談所の見方だけにかたよらない冷静さも必要です。
A 相談者のおかれた状況をつかむ
相談内容とも関連して、まず相談者のおかれた状況や環境を正確に知ることが大切です。たとえば相談者が組合活動の経験があるか、家族を抱えているか、職場に支援は等によって、問題解決にも異なった対応が求められてくるものです。
B 相談者が何を求めているかを正確につかむ
相談者が単に知識・情報を求めているのか、具体的対応を必要としているのかを把握します。ただ、相談者自身が決断しかねていることも多くあります。その場合は、問題点の分析をできるだけ的確に示していくことや、どの点を重視して取り組むのか等をアドバイスします。
C 相談者の主体的な行動や解決への努力を促す
相談者の希望に無責任に迎合するのでなく、本来どうあるべきかを明確にし、まず本人ができることをアドバイスし、その上で援助の手立てを講じます。
D 知識でなく、パートナーとして解決方法を求める姿勢
相談者によっては、すぐ「法律ではどうなっているのか」、「裁判ではどうなっているのか」などと性急に結論を聞きたがります。こうした時は、一応その質問に答えつつも、具体的な解決方法としては、個々のケースで異なることや多様な方法があることを認識してもらうことが大切です。
E 直本人にあって相談を受ける
電話相談は、概括的な事実や状況・データを把握し、一定のアドバイスをするには有効ですが、ケースによっては、面接しての相談へ移行させるのが必要であることを考えておくべきです。 特に、組織化の可能性がある場合や、実案が重大な場合などには、是非直接に会う必要があります。
F 必要な相談者への配慮
本人ではなく、母親や妻など家族が訴えてくるケースが増えていますが、事実が不正確になるばかりではなく、時には嘘が入ったり、無責任なものにもなるので、本人と直接コンタクトをとることが必要となります。 また、氏名を名乗らなかったり、会社名も明かさないというケースは、「秘密を守ること」、「あくまで相談者の同意があるまでこちらが勝手に動くことはない」ことなどを告げて、相手側に安心を与えるよう心掛けます。 相談者の氏名・住所・連絡先を聞くのも、相談の始めの時点でなく、ある程度のやり取りの中で、信頼関係が作られた時点(通常は相談の終わり)で聞くなどの配慮も重要です。 ただし、仕事の内容・従業員数・組合の有無などは、相談の内容に影響しますから、相談の前半に聞くようにします。
G 解決方法について
問題解決のための手法には下記のように様々なものがあります。
1 本に対応させる。
2 会社側へ電話をするか、文書を送る。
3 会社へ直接出向いて話しをする。
4 対応者のところへ会社側を呼ぶ。
5 労働基準監督署・労政事務所・職業安定所等へ働きかける。
6 関連労働組合・弁護士を活用する。
7 組織化し労組として対応する。
H 組合結成の可能性を念頭に置く
労働問題の場合には、個々の問題が解決すれば一件落着ということはありません。 一つの問題が職場全体に影響を及ぼすことが多いことから、「同じような問題を抱えている人はいないか」、「同じ意見をもっている人はいないか」などを把握しつつ、絶えず労働組合結成の可能性を念頭に置きながら、職場全体の改善を通じて問題解決を図ることを促します。
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