妊娠しました。時間外労働があって仕事がつらい
妊産婦が請求した場合は時間外・休日労働・深夜業はさせてはならない。

 
男女雇用機会均等法、労働基準法によって妊娠中及び産後1年を経過していない女性(妊産婦)にたいする健康管理や時間外労働の制限、業務転換、産前産後休業などが決められている。
 

妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置

 
妊娠中及び産後1年を経過していない女性が申請すれば、下記の範囲内で年次有給休暇とは別に女性労働者が母子健康法による保健指導又は健康診査を受けるために必要な通院休暇を取得することができる。
産前 妊娠23週まで 4週に1回
  妊娠24週から35週まで 2週に1回
  妊娠36週から出産まで 1週に1回
産後 医師や助産婦の指示によるところ。
事業主は、上記の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるよう、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。
 

妊産婦の取り扱い

 
妊産婦とは、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性をいう。

軽易業務への転換請求

 妊娠中の女性は、他の軽易な業務への転換を請求することができ、使用者はこれに応じなければならない。「軽易な業務」とは、原則として請求した業務である。転換により賃金の減収など不利にならないよう、話し合いをすること。

時間外労働の制限
 妊産婦から請求があった場合は、時間外労働、休日労働及び深夜残業をさせてはならない。各変形労働時間制(フレックスタイム制を除く)による場合でも同様であるから、請求があれば対象者から除外することになる。
 

危険有害業務への就業制限

 
女性については妊産婦を中心とした就業制限が定められている(女性労働基準規則)。その概要は、対象業務として24の業務が列挙され、対象者が、@妊娠中の者、A産後1年を経過しない者、B前記Aのうちその業務への不就労を申出た者、C前記@〜B以外の者の4つに区分され、業務ごと・対象者ごとに就業禁止、不就労申出による就業禁止、制限なしとなっている。 このうち、重量物を取り扱う業務については下表のとおりの制限があり、有害物のガス等を発散する場所における作業は全面禁止となっている。
満年齢 断続作業 継続作業
16歳未満 12s 8s
16歳以上18歳未満 25 15
18歳以上 30 20
 

産前産後休業

 
産前休業一休業請求
産前6週間(多胎妊婦の場合は14週間)以内の期間は、本人の休業請求により就業禁止となる。
産後休業一強制的・選択的就業制限
産後8週間は原則的に就業禁止であるが、6週間を経過後で本人が希望した場合は就労してもよいとなっている。なお、期間の超算日は出産日である。「出産」とは妊婦4ヶ月(85日)以上の分娩をいい、死産や流産、人工中絶の場合も含まれる。
(1) 強制的就業制限=就業禁止
(2) 選択的就業制限=本人が請求した場合で、医師が支障がないと認める業務には可
なお、これらの休業期間は、年休の要件である出勤率の算定に当たっては出勤したものと取り扱われる。
 

休業中の賃金の取り扱い

 
有給とするか無給とするかは就業規則等の定めによる(労働法には特段の規定なし)。なお、健康保険の被保険者は出産育児一時金(30万円)と出産手当金(休業給付として、1日につき標準報酬日額の60%相当額)が受給できる。
 

休業中の解雇制限

 
休業期間中の女性(休業請求をせず就業している女性を含む)を解雇をすることはできない。
 

育児時間

 
生後満一年に満たない児を育てる女性は、就業時間中の通常の休憩時間のほか、1日2回少なくとも各30分の育児時間を請求できる。なお、土曜日の半日勤務やパートの場合など1日4時間以内の労働の場合には、1日1回でも可となっている。育児時間の賃金は労使の話し合いによる。
 

生理休暇

 
生理日の就業が著しく困難な女性が請求した場合には、休業することができる。
 

児童就労制限
<最低年齢>

 
年少者の労働は、満15歳に達し、義務教育を終了する3月31日までは禁止。
 

児童就労制限
<軽易な労働>

 
新聞配達等行政許可による労働は13歳から。(労基法56条)
 

罰則

 
労基法64条の2、64条の3、64条の5〜67条違反は6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金。68条違反は30万円以下の罰金。
<参照条文> 労基法 12、56、64の2、64の3、64の5〜68(女性労規則)、均等法 22、23

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