月25時間で36協定を結んでいるが、会社から50時間の協定を提案された。
一般的に月の限度は45時間。特別条項付き協定を結ぶ必要があるが詳細な検討が必要。

 
時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめられるべきものである。
36協定及び特別条項付き協定を結ぶ場合は、長時間労働が労働者の生活と健康に大きな影響を及ぼすこと、とりわけ特別条項付き協定で定める「特別延長時間」については限度となる時間の定めはなく、労使の自主的協議に委ねられていることに留意して、できるだけ対象労働者を限定し、適正な制限時間の設定に努める必要がある。
 

36協定
 
使用者が法定労働時間を超えて、時間外労働や休日労働をさせる場合は、「36協定」を労使で締結し、労働基準監督署長に届けることが必要である。
 

36協定の必要協定事項

 
(1)

時間外労働をさせる必要のある具体的事由

(2) 時間外労働をさせる必要のある業務の種類(業務を細分化し、範囲を明確にする)
(3) 時間外労働をさせる必要のある労働者の数(満18歳以上の者)
(4) 1日について延長することができる時間
(5) 1日を超える一定の期間について延長することができる時間
●1日を超え3か月以内の期間 及び ●1年間 の双方
(6) 法定休日のうち労働させる休日
(7) 有効期間(起点を明確にして、最短でも1年間)
 
延長時間の限度
 
36協定の延長限度時間は、最も長い場合でも下記の「限度時間」以内にしなければならない。
(1)一般の労働者の場合
期間 限度時間
1週間 15時間
2週間

27時間

4週間 43時間
1か月 45時間
2か月 81時間
3か月 120時間
1年間 360時間

(2)変形労働時間制の対象者の場合
(3か月を超える1年単位の変形制)

期間 限度時間
1週間 14時間
2週間

25時間

4週間 40時間
1か月 42時間
2か月 75時間
3か月 110時間
1年間 320時間
上記の「限度時間」の適用除外
(1)

工作物の建設等の事業

(2) 自動車の運転の業務
(3) 新技術、新商品等の研究開発の業務
(4) 厚生労働省労働基準局長が指定する業務(但し、1年間の限度時間は適用)
 
特別条項付き協定
 

限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない「特別の事情」が予想される場合、特別条項付き協定を結べば、限度時間を超えて延長することができる。
2003年10月、「時間外労働の限度基準」(1998年労働省告示第154号)の一部改正が行われ、特別条項付き協定を締結する場合の「特別の事情」は「臨時的なものに限る」ことが明確にされ、2004年4月1日以降に締結する協定には、「臨時的なもの」と認められる事由と1年の半分以下となるよう適用「回数」を定めることが必要となった。

 

特別条項付き協定の必要協定事項

 
(1)

1日を超え3か月以内の一定期間の「特別延長時間」及び適用限度「回数」

(2) 特別延長時間まで延長を必要とする「特別の事情」(できるだけ具体的に)
(3)

特別条項を適用する場合の労使がとる手続(協議・通知、同意、承認、届出等)

 
「特別の事情」の例
 
=臨時的と認められないもの=

(特に事由を限定せず)業務の都合上必要なとき

(特に事由を限定せず)業務上やむを得ないなとき

(特に事由を限定せず)業務繁忙なとき

使用者が必要と認めるとき

年間を通じて適用されることが明らかな事由

=臨時的と認められるもの=

予算、決算業務

ボーナス商戦に伴う業務の繁忙

納期のひっ迫

大規模なクレームへの対応

重大な機械のトラブルへの対応

 
特別条項付き協定締結の注意事項
 
(1)

「特別の事情」は、「臨時的なもの」に限り、一時的又は突発的に時間外労働を行わせる必要があるものであり、全体として1年の半分を超えないと見込まれるものでなければならない。

(2) 提出された協定に特別延長時間まで延長できる「回数」の定めがない場合は、「特別の事情」が「臨時的なもの」であることが協定上明らかである場合を除き、限度基準に適合しないものとして労働基準監督署の助言・指導の対象となる。

※限度時間を超える期間が1年の半分以下となるような、回数の定め方
特別延長の期間が1か月単位の場合 延長期間は6回以内
特別延長の期間が2か月単位の場合 延長期間は3回以内
特別延長の期間が3か月単位の場合 延長期間は2回以内

厚生労働省通達■労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準■(要旨)【PDFファイル】

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