2005年2月25日
 
日本労働組合総連合会北海道連合会
会長 渡部 俊弘
 
2005年度道予算案に関する見解
 
(1) 05年度道予算当初予算規模は2兆9,307億円で前年度対比で額で1,337億円、率で4.8%増加した。
 「財政立て直し」プラン初年度となる予算にも関わらず予算規模が、平成11年度以来6年ぶりに増加した。これは、借金返済のための公債償還費が1,771億円、老人医療費など義務的経費が増加し、収支不足額が1,640億円と拡大し過去最高になったことから、その財源不足を補填するため、道債(新規3,912億円、借換債2,320億円)の発行と貯金である各種基金を取り崩し900億円を繰入して予算の帳尻を合わせたためである。(借換債などの増加で実質的には前年当初予算比1.0%減の緊縮予算)
 
(2) 歳入は、道税が対前年で116億円(2.3%)増の5,202億円、地方交付税で120億円(1.8%)増の6,920億円を見込み、国庫支出金4,273億円などである。国の税財政改革(三位一体改革)により臨財債は対前年比で252億円(22.9%減)落ち込み848億円となった影響も大きい。。
 歳入に占める自主財源は、37.6%、依存財源が62.4%の割合である。歳入に占める道債(借金)のウエートは21.3%(6,231億円)で、公債負担率の警戒ラインとされている15%をはるかに超えている。歳出項目では、道の借金返済にあたる公債償還費は、初めて道税を上回り、歳出の22.6%(6,621億円)を占める。
 公債残高は平成17年度末見込みは約5.6兆円(道民一人あたり約99万円)となり、貯金(基金)はゼロとなった。早くも「財政立て直しプラン」の見直が迫られ、道財政の硬直化は一層進んだ。
 
 ※臨時財政対策債
  地方財政全体の財源不足を補填するため普通交付税の振替債として発行される赤字地方   債。後年の地方交付税で措置される。昨年末、1兆円削減することが閣議決定された。
 
(3) 道は収支見通しの中で、「このままでは、赤字再建団体転落は避けられない」として、「財政立て直しプラン」をローリング(計画のチェツク・再編)し、集中対策期間3年間(2005年〜2007年)の2年目となる06年度に07年度分の計画を前倒しすることを明らかにした。昨年8月に策定されたプランは僅か8ヶ月で破綻し、プランそのものに対する信頼を大きく損なうことになった。
 
※財政立て直しプラン
 平成16年8月に策定。平成17年度から26年度まで十カ年で収支均衡を目指す。第1段階を集中対策期間(平成17年度から19年度)と位置付け、第2段階(平成20年度から26年)を構造改革期間としている。第1段階では、平成15年度予算比で1,700億円の歳出削減・歳入確保が目標。               
 
(4) 本道の昨年の完全失業率は年平均で5.7%で全国的にも最悪の状況にある。連合北海道は、「05年度の道予算編成にあたっては、道民生活と雇用の安定・創出を最重点とする」ことを求めてきた。道は、「道政のあらゆる分野において雇用の創出と民需の誘発効果の高い政策展開をはかる」(12月27日・知事コメント)との基本にたち本道経済の活性化と産業育成に力点がおかれた予算編成を行った。しかし、経済と雇用は裏と表の関係で、経済活性化が雇用拡大を誘発するとはいえ、財政立て直し予算の影響で個別事業費は縮減されているのが現実である。
 雇用対策予算では、国の緊急地域雇用創出特別交付金事業(3年間で204億円、道内で6千人超の雇用創出)の制度が終わり、予算措置が打ち切られた影響で予算総額では大きく減少し不十分といわざるを得ない。雇用対策に大きな懸念が残る。(雇用関連予算は資料参照
 
(5) 連合北海道は、「財政立て直しプラン」の実施にあたっては、医療・福祉・教育など道民生活の根幹となる部門には十分な配慮を求めた。しかし、12月27日の交渉において、「教育や福祉分野も含め、聖域を設けることなく見直す」と知事がコメントした通り聖域なき削減・切り捨ての予算となった。歳出では、人件費削減、道単独医療費助成の見直し削減。歳入では、自動車税(バス・トラック)の引き上げによる税収確保、道営住宅使用料の見直し、職員住宅の値上げ、高等学校授業料値上げなど勤労者の家計と道内経済に広く影響を及ぼす予算となった。
 
(6) 道予算は「道財政立て直し」に終始し、道民に夢と希望を与えるメッセージがないまま、ひたすら道民に協力を求めている。道政の大きな課題となる地方分権改革(「支庁制度改革」・市町村への「事務・権限移譲」など)が、道の行財政改革として市町村への負担の付け回しになるのではないかとの反発が生まれているのもこのためである。
 この困難を克服していくためには、道民や市町村の協力が不可欠である。そのための理念・哲学、新しい北海道の姿を示す手腕(リーダー)が、いま求められているのではないか。第1回定例道議会(2月23日開会)では、予算案見直し、組み替えも視野に入れた論戦を求めていく。
以上