2025年度「道政に対する要求と提言」及び「ラピダス課題の要請」北海道との意見交換を実施
【連合北海道・政策情報No.14(2024年10 月29日)】
連合北海道は10月17日、道庁9階経済部会議室にて連合北海道「ラピダスの北海道進出に係る北海道に対する要請」及び「2025年度道政に対する『要求と提言』」の2つの要請書に対する意見交換会を開催した。意見交換会には、構成組織から電機連合1名と北教組2名が参加した。
冒頭、道経済部の藤田栄一郎雇用労政課長が「本道は人口減少、少子高齢化に加え、雇用のミスマッチもあり、人材不足が深刻化し、人材確保が重要な課題となっている。道としては働きやすい環境整備を進めるとともに、サプライチェーン全体の付加価値向上を目指し、道内全体での賃上げしやすい環境に取り組んでまいりたい。今般、雇用対策のほか、道政全般にわたっての提言があり、今後の道政策の検討のうえで参考にしていきたい」と挨拶した。
次に、連合北海道の和田英浩事務局長が「北海道が1次産業、3次産業に頼ってきた経済状況がラピダスの進出によって北海道経済が自立していくかも知れない。連合北海道としても経済が好転していくことを望んでいる。そのうえで懸念する部分について指摘させていただきたい。ラピダスの進出は今後の経済政策、労働者政策にも繋がっていくことから、道としてもリーダーシップを発揮してほしい。事前に送付いただいた道からの2次回答には、1次回答を超える回答ができない旨のコメントが散見されており、非常に残念に思う。本日は、北海道の将来のために是非とも建設的な意見交換となるようお願いしたい」と挨拶した。
意見交換にあたって、「ラピダスの北海道進出に係る北海道に対する要請書」に関する指摘事項については、①労働環境をはじめ、②人材確保、③交通、④学校教育、保育、⑤住まい等確保への対応、⑥インフラ・環境問題など6項目を議論した。続いて、「道政に対する要求と提言」については、①半導体工場の有機フッ素化合物や処理水の排水、人材不足・資源不足と得に対する道民への不安払拭、②ものづくり教育、③コンソーシアム設立による半導体関連産業の振興、④道外大学とのUJIターン連携協定や「奨学金返還制度」創設、⑤高レベル放射性廃棄物の最終処分地の社会的合意プロセス、⑥バイオガスエネルギーの促進、⑦正規雇用の創出拡充、⑧「賃金スライド制度」の早期導入、⑨フェリー・旅客船の維持・存続、⑩私学に対する授業料など軽減補助の拡充、⑪ライドシェアにおける曖昧な雇用契約の禁止、⑫「地域公共交通確保維持改善事業費補助金」の算出の見直し、⑬黄色線区路線の利用促進、⑭トラック産業の事業適正化、⑮児童養護施設の労働条件の見直し、⑯在宅勤務導入の法整備、⑰アピアランスケア購入助成事業の推進、⑱オンライン診療のシステム導入、⑲訪問介護の基本報酬の改善、⑳介護職員の処遇改善・研修費用の負担軽減、㉑福祉灯油支給額、㉒子ども医療費助成、㉓教員の長時間労働の是正、㉔不登校児童生徒に対する環境整備、㉕学校給食費の助成、㉖カリキュラムオーバーロード、年間標準授業時間数の見直し、㉗全国学力調査の結果公表について,㉘ICT支援員の効果的配置、㉙部活動の社会移行など30項目について意見交換を行った。
とりわけ、現在建設中のラピダスの工事に伴う労働環境について、永田総合政策局長は「ラピダスの一部工事で長時間労働など労働者の負担が大きくなっており、疲労が蓄積する中、納期が迫り重大事故の発生リスクが高い。工事は順調に進んでいない。」などと現状を指摘し、道次世代半導体戦略室は「ラピダスに改めて現状を伝えたい」とした。
人材確保における産学官連携強化では、電機連合片桐事務局長が「北海道半導体人材育成等推進協議会の参加企業では少なく、道内全体の企業(半導体にサブ的に関わる企業も含め)が一緒になった取り組みが必要。また、既存企業の維持発展のための補助金や税制優遇などは道独自で制度創設をしてほしい」と要請した。それに対して、道次世代半導体戦略室は「推進協議会は経産局なので道として参画しているところ。そこに参画している企業とも連携し、人材育成や企業の協議会への参画促進に取り組んでいる。既存企業の維持発展のための補助金や税制優遇の道独自での制度創設については、参考意見とさせていただく」とした。
2025年道政に対する「要求と提言」の意見交換では、高レベル放射性廃棄物最終処分場の選定に向けた概要調査について、永田総合政策局長が「反対する姿勢を改めて申し入れる」と指摘し、道経済部資源エネルギー課は「今後において国から正式に意見を聞かれる時があるので、それまでは現時点では反対と述べている」とした。また、私学に対する財政措置の強化・充実では林総合政策局次長が「子どもたちが行きたい私立高校へ行けるような政策制度の確立」を要請し、総務部学事課は「現在も国へ要望しているが、引き続き国に働きかけていく」とした。さらに、教職員の多忙化解消、年間標準授業時数の見直しについて、北教組の西部教育文化部長は「道教委でできることを見出してほしい」と要請した。それに対し、道教育庁義務教育課は「国の有識者検討会議においても教員に対する過度な負担の解消、年間標準授業時数をこれ以上増やさないなどの議論がされており、その動向を注視していく。授業時数が増えないよう指導の徹底、さらには他県での授業時数を減らしている好事例を紹介していきたい」とした。部活動の社会教育への移行について、北教組の大野教育財政部長は「地域への部活動の移行は道教委がリーダーシップをもって進めてほしい、部活動に係る財政支援を拡充してほしい」と要請し、道教育庁部活動改革推進課は「指導者の配置、運営団体整備、バス移動などの財政措置を引き続き国に強く要望するほか、課題を整理しながら部活動の地域移行を進めていきたい」と述べるなど、多岐にわたる道政課題について指摘し、意見交換を終了した。