在沖縄米海兵隊の矢臼別移転実弾演習反対全道総決起集会の開催

連合北海道と北海道農民連盟で構成する沖縄米軍実弾演習北海道移転反対対策本部は、22回目となる移転実弾演習が強行されることを受け、9月1日、釧路市において、「在沖縄米海兵隊の矢臼別移転実弾演習反対全道総決起集会」を約350名の参加のもと開催した。

第1部として、全駐労沖縄地区本部の特別執行委員で連合沖縄石川修治副事務局長より「基地があるがゆえ」と題し講演をいただいた。講演のなかで、まず沖縄国際大学に大型ヘリ墜落事故から20年が経過したことについて触れ、「日米地位協定の合意議事録により、機体を米側が回収するまで事故現場に日本の警察、消防、行政、また当該大学関係者が立ち入りすることが出来ない」ことが説明された。

さらに、夜間訓練が頻繁に行われており、騒音被害が発生していることについて「日米地位協定は基地の勝手な運用を可能にして日本の法律が適用されない治外法権であり日米地位協定の改定が必要である」と強調した。

次に国土交通省の代執行により、辺野古大浦湾側の埋め立てが開始されたことについて「国家権力によって沖縄県知事の権限が奪われ民意も踏みにじられ、地方自治の本旨を蔑ろにする非常に残念な結果である」と指摘。

そして米兵による犯罪が相次ぎ、沖縄県に情報共有されない事態について「日本政府は綱紀粛正を米側に申し入れているが、短期間で事件が繰り返されていることから、申し入れが機能していない」と述べた。

最後に基地で飲食店の店長として働いていた当時、米軍から不当行為を受けたため全駐労に相談し裁判を行い、勝訴したことについて触れ、「裁判の一番の問題点は日本政府が米側のいいなりになり、基地の雇用主として責任を果たしていない。差別的な処分は起こりうるので今回は一定程度の抑止力となる裁判であり、全駐労の組合員の方々の応援もあり、改めて組合のありがたさを感じた」と振り返った。

引き続き行われた総決起集会で、主催者を代表し挨拶にたった連合北海道須間等会長は、まず冒頭「今回で22回目となるこの実弾演習については断固反対であり、中止すべきである」と訴えた。そして移転訓練の規模拡大や夜間訓練の追加、高機動ロケット砲システムハイマースの使用などにふれ、「こうした状況で本当に沖縄の負担は軽減されているのか。負担軽減を名目に移転訓練は固定化・拡大されようとしているように思えてならない」と厳しく批判した。また陸上自衛隊のオスプレイが初めて北海道に飛来したこと、軍備拡大についてもふれ「今、一番重要なのは軍備拡大より外交努力の強化であり、地位協定の抜本的改定と米軍基地の整理・縮小を求めて行く。皆で更に反対の声を上げていこう」と参加者に呼びかけた。

連帯挨拶では連合本部北野眞一副事務局長が挨拶にたち「私たち連合は、9月7日・8日に2024平和行動in根室を開催し、79年もの長きにわたり、ロシアにより不法占拠され続けている北方四島の一括返還の実現に向けて、全国の仲間が納沙布岬に結集する。しかし、国連・常任理事国である大国間の対立と分断が深まる中、私たちが求める領土問題の解決や元島民の望郷の願いも遠のくばかりであり、また、在日米軍基地の整理・縮小も遅々と進まない現実を突きつけられている。日本政府は、力による平和ではなく、平和を希求する国民・国家として、国際協調主義に立った世界の恒久平和の実現に向けて、積極的に役割を果たすべきである。平和なくして労働運動なし、人権なくして労働運動なしの言葉のごとく、連合労働運動は矢臼別を始めとする基地問題はもとより在日米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の抜本的見直しにむけた運動を全国で推進していく」と述べた。

続いて立憲民主党第7区総支部篠田奈保子代表より、「能登半島地震や台風が発生し、日本は危機的な状況であるにもかかわらず来年度の防衛費は8兆円以上を計上しており、国はどこに予算をつけているのか、もっとお金を回すところはあるはずだ」と強く指摘した。

そして連合北海道荒木敏安副事務局長より、訓練の中止や反対を求める産別・地域の抗議FAX行動や、移転反対対策本部による北海道や北海道防衛局、在札幌米国総領事館に対しての要請・申し入れ行動についてを報告するとともに、連合北海道は本部・連合沖縄と連帯し断固闘うとの決意を述べた。

集会アピールが採択されたのち、閉会挨拶として、北海道農民連盟出嶋辰三副委員長は「今の政治は農民からやってほしいことはなかなかやらない、先送りし、やらなくていいことは一生懸命やるように感じている。防衛費は5年間で43兆円計上しており、農業予算は5年間で2兆円である。食糧基地北海道が生き延びるためには農業の新興これが地方の発展に繋がる」と力強く訴えた。

最後に連合釧根地協淺野康敏会長による移転演習に怒りを持って抗するとした団結がんばろうによって閉会した。

終了後、参加者は市内をデモ行進し、米軍の実弾移転演習反対や不平等な日米地位協定を見直せなど市民にアピールし理解を求めた。