第91回全道メーデーアピール
第91回全道メーデーアピール
日本のメーデーは、1920年に第1回メーデー大会が開催されて以降、今年で100年を迎えた。第二次世界大戦中は開催禁止に追い込まれたものの、働く者の団結と連帯によってメーデーは復活し、労働条件の向上、権利拡大をはじめ、人権・労働基本権の確立、民主主義の発展、恒久平和の希求に深く貢献してきた。しかし、第91回全道メーデー大会の開催にあたっては、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、開催を断念せざるを得ないという苦渋の決断をした。
新型コロナウイルスの脅威は、世界各地に広がっており、未だに終息の見通しが立っていない。東日本大震災から9年、熊本県を中心とする九州地震から4年、北海道胆振東部地震から1年が経過し、昨年は台風19号によって甚大な被害をもたらした。
度重なる災害や疫病によって住民の暮らしは脅かされていると同時に、災害や疫病対策、被災地の復興にあたるのは働く者であり、働く者の力なしにはこの社会を維持することができないことは明白である。その一方で新型コロナウイルスの影響により、国内外の経済は疲弊し、労働者へのしわ寄せが横行している。
引き続き、労働者に対する「人への投資」を求めていくとともに、災害を風化させず、支え合い・助け合いの取り組みを強化していこう。そして、メーデーの原点・意義を振り返り、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、すべての仲間が団結・連帯し、あらゆる困難に立ち向かっていく決意を固め合おう。
2018年6月に働き方改革関連法が成立し、改正労働基準法や改正労働安全衛生法等が施行されて1年が経過した。今年4月からは中小企業に対する「罰則付き時間外労働の上限規制」の適用、大企業では「同一労働同一賃金」が施行となった。
こうした状況の中、労働組合の有無にかかわらず、36協定の適切な締結やワーク・ライフ・バランスなど、長時間労働を是正するとともに、すべての職場でより良い働き方を確実に遂行していかなければならない。同時に、正規労働者と有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者など、雇用形態の違いにかかわらず賃金や一時金はもとより休暇や福利厚生等での不合理な処遇差を解消していかなければならない。雇用形態間、男女間、中小大手間、さまざまな壁を乗り越えて、誰もが安心して働くことができる職場環境を実現していこう。
今年は戦後75年の節目でもある。戦争の悲惨さや戦争を二度と繰り返してはならないという決意を新たにするとともに、世界の恒久平和に向けた運動を強化しよう。そして、誰一人取り残されることのない公正な社会の実現に向け、「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成をめざし、働く仲間の連帯と国内外の関係諸団体との連携によって、すべての人が平和・人権・環境を守り、笑顔あふれる未来をつくっていこう。
昨年、第90回全道メーデー大会を迎え、今年は連合北海道結成30周年を迎えた。メーデー100年を迎えた今日、私たちは先人たちが築き上げてきた運動の継承・発展に向けて新たな一歩を踏み出した。被災地の早期復興と再生、すべての働く者・生活者が安心して働き、暮らしていくことのできる、平和で安全安心な社会の実現に向けて、力強く前進していこう!
以上、5月1日のMayDayに向けたアピールとする。
2020年5月1日
第91回全道メーデー大会