安保法案 参院特別委員会における強行採決に対する談話
2015年9月17日
参院平和安全法制特別委員会における安全保障関連法案の強行採決に対する談話
日本労働組合総連合会北海道連合会
事務局長 出村 良平
安倍政権は本日、多くの国民が反対する中、参院平和安全法制特別委員会で集団的自衛権行使を可能とする平和安全法制整備法案と国際平和支援法案の安全保障関連法案を数の力を背景に強行採決した。国民不在の独裁的政治に満身の怒りをこめて抗議する。
安全保障関連法案の強行採決までの過程は、欺瞞に満ちている。首相の諮問機関にすぎない安保法制懇報告で集団的自衛権の方向性を先導し、これまで憲法上許されないとしてきた自衛権に対する歴代内閣の見解を覆して、憲法解釈変更による行使容認の閣議決定を行うなど、世論を誘導して規定路線化した。
政府は安全保障関連法案の上程前に、日米新ガイドライン再改定の最終合意に集団的自衛権行使を盛り込むことに加え、安倍首相は米国訪問に際して今次国会中での法案成立をも表明した。また、11本にも及ぶ安全保障関連法案を一括的な扱いとするなど、国権の最高機関である国会を軽視し、国民的論議を封じる意図は明白である。まさに国民をあざむく政治の私物化で、決して容認することはできない。
政府答弁は二転三転し、存立危機事態など集団的自衛権行使の基準の曖昧さ、自衛隊の活動範囲や内容の際限のない拡大など、安全保障関連法案の問題性が明白となった。また、行使の具体例としてきた「中東ホルムズ海峡での機雷掃海」「邦人輸送中の米艦防護」の根拠や現実味がないことも明らかになってきている。加えて、行使の事態や判断は政府が総合的に判断するなど、法の安定性が欠落した杜撰な法案であることが白日となった。
そもそも歴代内閣が専守防衛に徹してきたものを安倍政権は憲法解釈を変更して、「他衛」の集団的自衛権行使を容認して「自衛」のためだと主張することに、本質的な誤りがある。憲法審査会では、与党推薦の参考人の憲法学者を含め、全員が集団的自衛権は違憲とした。また、中央公聴会でも「法の番人」と言われる元最高裁判事や元内閣法制局長官は違憲と断罪した。まさに憲法擁護義務に反し、憲法の信頼や権威を貶める暴挙である。
全国各地で安全保障関連法案への反対運動が広がり、国会前では多くの市民が集会・デモを繰り広げた。「安全保障法案に反対する学者の会」や「安全保障関連法案に反対する学生ネットワーク『シールズ』」、元裁判官による有志の会の結成など、一般市民はもとより各層各界から反対の声が上がった。各級議会においても、反対や慎重審議を求める意見書採択は全国で500にものぼり、北海道においても80を超えた。しかし、安倍政権は一顧だにしないで法案を強行した。立憲主義を瓦解させる歴史的な横暴は許さない。
二度と同じ過ちを繰り返さないためにも、国民の生命や暮らしを脅かす法律を許してはならない。連合北海道は、集団的自衛権行使容認する安全保障関連法に対して、引き続き反対し廃案を求めるとともに、基本的人権の尊重、主権在民、平和主義の憲法の三原則の貫徹を期し、誰もが安心して暮らせる民主的な社会の実現に向けて、組織の総力をあげて平和運動に取り組む。
以 上