平成27年度 北海道最低賃金改正に関する談話

2015年8月12日

事務局長  出村 良平

8月12日夕刻、北海道地方最低賃金審議会(以下「審議会」)は、平成27年度北海道の最低賃金を現行の748円から16円引き上げ、764円に改正し、10月8日から発効することで結審した。

本年度の審議会は、生活保護とのかい離解消後の極めて重要な年であった。昨年の審議会答申において雇用戦略対話合意の「できるだけ早期に全国最低800円の確保、景気状況に配慮しつつ、全国平均1000円を目指すこと」に配意しているとの表記が初めて記載されたことを受けての審議のスタートとなった。
本年の審議に当たって労働者側は、昨年の答申を十分尊重し、最賃近傍の労働者の「最低賃金の水準」議論を積極的に進め、本来あるべき賃金水準に引き上げ、有効なセーフティネットとして十分機能するよう訴えた。特に、物価上昇以上に最低賃金を引き上げ、かつ、組織労働者の賃上げ以上の引き上げが必要であることを訴えるとともに、「最低賃金の大幅な引き上げを求める道民署名」約18万人の声を反映して審議することを主張した。また、額に汗して実直に働く労働者の賃金が、生活保護と逆転は解消したものの、時間額で全国最低9円の差にとどまっていることから、働くことに意義を見出す水準議論を尽くし、昨年以上の大幅引き上げに最大限努めるよう強調した。
これに対し使用者側は、地域の経済状況や生産性、企業の支払い能力の限界を強調し、「中賃目安の16円」を大幅に下回る額の提示に固執した。

審議会議論は上記内容についての激しいやり取りとなり、労使譲らず激しい審議が続く中、公益委員から「中賃目安などを考慮する必要もあり、16円の引き上げ」が提案された。
労働側は、引き上げに伴い、全労働者に与える影響率が14.84%(昨年11.0%)、パート労働者に至っては37.4%(昨年26.9%)と極めて大きいことや、使用者側が初めて16円の引き上げに合意したことなどから厳しい判断を迫られたが、労使一部反対により結審された。

今回の改定額について、道民署名18万人の声が審議会に十分伝わらなかったことは極めて残念であると言わざるを得ない。足元の物価上昇を考慮した生活できる水準という要求からしても納得できる改定額とは言えない。一方、1993年に次ぐ22年ぶりの高い引き上げ額であることや、引き上げに伴い35万人を超えるパート労働者に影響を与え、多くの非正規労働者の賃金引き上げに反映されるものと受け止めるものである。

また、昨年と同様、労働側が主張してきた800円、1,000円への引き上げに向けた道筋を付けるための表記が答申書に記されたことから、この答申書を足掛かりに、引き続き、賃金水準の議論を深めながら最低賃金の大幅引き上げに取り組んでいく。
本年度の地域別最低賃金の闘いは一定収束を図ることとするが、引き続く、特定(産業別)最低賃金の引き上げと、雇用戦略対話合意の800円、1,000円への引き上げに向けて、改正された最低賃金の履行確保、法令遵守を求めていく。

この取り組みに結集された産別・単組、地協・地区連合、関係各位のご協力に感謝し、引き続き、最低賃金の大幅引き上げに向けて、今後も全力を挙げていく。