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連合北海道 2014春季生活闘争方針 |
はじめに
(1)日本社会は雇用労働者とその家族が国民の大勢を占める「雇用社会」と呼ばれ、働く者が安定的な雇用のもとで、安心して働くことが、日本経済・社会の健全な成長の基盤となってきた。しかしながら現状を見れば、道内の雇用労働者の42.8%、95万6千人(全国38.2%、2,043万人)が非正規労働者であり、給与所得者の実に25%超、40万人以上(全国23.9%、1,100万人近く)が年収200万円以下のいわゆるワーキング・プアと呼ばれる状態に置かれている。また、道内の生活保護受給者も17万人超(全国約216万人)と依然として高止まりしている。これら傷んだ雇用と賃金、労働条件を是正せず、格差の拡大や貧困の問題を放置すれば、社会の不安定化と劣化は一層進むこととなる。すべての働くものの労働条件の改善に向けて、総力を挙げ取り組みを進めていく。
(2)2014春季生活闘争は、こうした状況のなかで解決すべき問題は多岐に及ぶが、すべての働く者の所得の向上を実現し、消費マインドを改善し、デフレからの着実な脱却をはかり、経済の好循環を実現させることが必要である。したがって、経済成長と整合ある所得の向上をはかっていくことが最優先であり、また、わが国経済の現状や動向を鑑みると、所得向上を勝ち取ることは今後に向けた重要なステップとなる。
(3)GDPのおよそ6割を占める個人消費の回復と、わが国産業の強みである「人財」を原動力とした競争力の回復こそが、持続可能な経済成長をなし遂げる王道である。デフレからの脱却や経済成長に関わる政策や企業の行動は、働く者に犠牲を強いるものであってはならず、また、それでは成り立たない。
(4)所得再分配機能の向上、大手企業と中小企業、正規と非正規、あるいは男女間などに存在する賃金・労働条件の格差の是正と所得の底上げ、企業間における公正取引の遵守やサプライチェーン全体での成長戦略などを通じた、商品・サービスにふさわしい価格での取引ができる社会の実現をはかるなど、社会における様々な格差やゆがみを是正し、公正性を確保することも急務である。加えて、いわゆる「ブラック企業」問題に象徴される長時間労働や不払い残業の問題など、社会的にワーク・ルールを徹底させる取り組みも重要である。
(5)「2014春季生活闘争」と「2014政策・制度実現の取り組み」を運動の両輪として取り組みを進めていく。さらに、闘争の展開にあたっては、日本社会の不安定化の克服の観点からも労働運動の社会化を推進し、従来の枠組みにとらわれることなく、未組織労働者の処遇改善に波及する運動も積極的に進めていくことが必要である。「STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現」キャンペーンと連動してあらゆる不条理と闘う取り組みを推進していく。
I 取り巻く情勢
(1)世界経済は、IMFが2013年の経済見通しを3.1%から2.9%へ下方修正する等、弱めの推移が続いている。米国の債務上限問題は、ぎりぎりのところでデフォルトは回避されたものの、年明けには同様の問題が起こりかねないリスクを抱えている。欧州経済については、債務問題に伴う調整圧力は残り、引き続き注視が必要であるが、持ち直しの様相も呈している。また、新興国の経済成長についても、上記経済見通しが5.0%から4.5%へ下方修正される等、成長減速の懸念が示されている。
(2)日本の2013年7〜9月の実質経済成長率は0.5%(年率換算1.9%)と4四半期連続でプラス成長となり、政府も「内需の動きに底堅さが見られ、景気が引き続き上向いている」との見方を示しているが、個人消費の減速が影響したことにより、4〜6月期の実質経済成長率に比べ成長ペースは弱まっている。公共事業頼みの経済成長も長続きは期待できず、持続的な成長を果たすには、個人消費の下支えや企業の設備投資を促す必要がある。一方、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は対前年同月比では0.7%の上昇となっており、特にエネルギー関係(電気代、都市ガス代、プロパンガス、灯油及びガソリン)費用が増加しており、家計への影響も出始めている。
(3)2013年度の企業業績見通しは、多くの業種で経常増益、あるいは経常赤字額の縮小が予想されており、2012年度第4四半期に明らかとなった回復基調が一層強まっている。中でも、円安の恩恵を受ける輸出産業の増益が大きいものと想定される。
(4)全国の雇用情勢については、2013年9月の完全失業率が4.0%、有効求人倍率が0.95倍と改善しつつあるが、若年層の雇用の状況は依然として厳しく、24歳以下の完全失業率は7.3%と他の世代に比べても高水準にとどまっている。社会のニーズと若者の就業希望とを調整する機能も求められており、新規学卒者の採用拡大と就職促進は引き続きの課題である。
(5)労働者の雇用・労働条件は傷んだまま放置されており、復元への道筋が見えてこない。道内の生活保護世帯・受給者は増加を続けており、2013年8月時点で、12万2千世帯、17万1700人にのぼり(全国159万世帯、216万人)、全国の受給者数は2010年に200万人を上回ったまま下がる兆候がない。一般労働者の労働時間は、年換算で2,030.4時間と前年を上回る値で推移しており、高止まりの状況は改善されていない。
賃金水準については、企業規模5名以上の一般労働者の現金給与総額で見るとピークであった1997年と2012年の差は▲4.2ポイント(2011年▲4.1ポイント)と改善の兆しが見えない。
(6)北海道における雇用情勢と課題
1)北海道労働局は、10月の雇用失業情勢について、「厳しさは残るものの、改善傾向にある」と発表した。その背景は、雇用のミスマッチが大きいこと、非正規の割合が大きいこと、有効求人倍率が全国平均に及ばないことから、「厳しさは残る」としている。特に、北海道の完全失業率は3.7%(7−9月/前年同期5.0%)、10月の有効求人倍率は、0.79倍(同0.61倍)と改善しつつあるものの、その6割超が非正規の求人であり、不安定雇用に歯止めがかかっておらず、雇用の質の改善が求められる。(11月29日・北海道労働局)また、新卒者の就職環境も改善の兆しが見えており、来春の新規高卒者の就職内定率は、1996年10月以来17年振りに50%(50.1%)を超え、さらには、道内求人倍率も、10月末現在で、1.13倍(前年同期0.35ポイント上回る)と20年振りに1倍を超える好調となっているが、引き続き、新卒者の採用拡大と就職促進を進めていく必要がある。
2)北洋銀行発表の7〜9月期の道内企業経営動向調査によると、全産業の売上高の増減を示す指数(売り上げDI)はプラス19で、前期(4〜6月期)に比べて10ポイント上昇した。プラスとなるのは、1991年7〜9月期以来22年ぶりである。特に「建設業」プラス20、「木材・木製品」プラス55と高水準を記録し、「ホテル・旅館業」プラス24、「運輸業」プラス34となっている。
また、日銀札幌支店発表の12月の道内景気動向調査によると、企業の景況感を示す業況判断指数DIは、全産業でプラス15となり、1991年8月のプラス19以来22年ぶりの高い水準で、道内の景気回復が鮮明になっているが、円安や原材料の高騰などに伴う負の影響もみられ、賃金上昇への広がりは見通せない状況にある。
3)このように、物価の上昇基調に対し、世帯所得の伸びは追いついていない。今年7月、厚生労働省発表の「平成24年度国民生活基礎調査」による2012年の北海道の世帯所得は、平均で約408万円(全国平均約548万円)となっており、前年の約459万円(全国平均538万円)から約51万円も減少し、また、過去最高を記録した1994年と比べても依然として130万円以上下回っている。
II 2014春季生活闘争の取り組み内容
1.2014春季生活闘争の基本的考え方 (1)連合北海道は、「2014春季生活闘争」を、従来からの主張である「デフレから脱却し経済の好循環をつくり出す」ことを実現するための「底上げ・底支え」「格差是正」に向けた取り組みとして位置付け、正規・非正規、組織・未組織に関わりなく、すべての働くものの処遇改善の実現をめざし、公正で安心・安定的な社会の実現に向け邁進していく。
(2)経済成長と整合ある所得の向上をはかっていくことが最優先かつ今後に向けた重要なステップとなる。10年前の「いざなみ景気」を振り返れば、戦後最長の景気拡大局面であったにもかかわらず、雇用者報酬は低下の一途をたどった。それは、企業がグローバル競争において、新興国と価格競争を推し進め、人件費を中心としたコスト削減を行った結果である。GDPのおよそ6割を占める個人消費の回復と、わが国産業の強みである「人財」を原動力とした競争力の回復こそが、持続可能な経済成長を成し遂げる王道である。デフレからの脱却や経済成長に関わる政策や企業の行動は、働く者に犠牲を強いるものであってはならず、また、それでは成り立たない。
(3)景気回復と物価上昇の局面にあることを踏まえ、経済成長と所得向上を同時に推し進めていかなければ、いわゆる「悪いインフレ」となり、社会が混乱する。したがって、すべての構成組織は、月例賃金にこだわる闘いを進め、底上げ・底支えをはかるために、定昇・賃金カーブ維持相当分(約2%)を確保し、過年度物価上昇分はもとより、生産性向上分などを、賃上げ(1%以上)として求める。また、格差是正・配分のゆがみの是正(1%を目安)の要求を掲げ、「底上げ・底支え」「格差是正」に全力をあげる。
(4)そのためにも、企業間における公正取引の遵守やサプライチェーン全体での成長戦略などを通じた、商品・サービスにふさわしい価格での取引ができる社会の実現など、社会における様々な格差やゆがみを是正し、公正性を確保する取り組みを進める。また、日本経済・社会の不安定化の克服に向けて、労働運動の社会化の推進や、集団的労使関係の拡大も進めていく必要がある。
(5)「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を追求し、最低賃金の引き上げ、非正規労働者の均等・均衡処遇の実現、就業率向上につながる職業訓練や就労支援、ワーク・ライフ・バランスの実現などの取り組みを進めていく。
2.2014春季生活闘争の具体的な要求内容
(1)賃上げ要求について
1)月例賃金の引き上げ
(ア)賃金カーブ維持分を確保し、所得と生活水準の低下に歯止めをかける。加えて、景気回復と物価上昇局面にあることを踏まえて、経済成長と所得向上を同時に推し進めデフレからの早期脱却をめざすとともに、低下した賃金水準の中期的な復元・格差是正、体系のゆがみ等の是正に向けた取り組みを推進する。
(イ)規模間格差や男女間格差の実態把握とその是正をはかることや、正社員と非正規社員との均等・均衡処遇の実現をはかるために、個別銘柄の賃金水準を重視した取り組みを進める。具体的には、組合員の個別賃金実態を把握し、賃金水準や賃金カーブのゆがみ、格差是正の必要性の有無等の把握に努め、これらを改善する取り組みを強化する。構成組織は個別銘柄でのふさわしい賃金水準を設定し、実現をめざした運動を展開する。
(ウ)賃金制度が未整備である組合は、構成組織の指導のもとで制度の確立・整備に向 けた取り組みを強化する。連合が示す1年・1歳間差の社会的水準である5,000円を目安に賃金水準の維持をはかる。具体的な設定にあたっては、連合方針を踏まえ構成組織が決定する。
2)企業内最低賃金の取り組みの抜本強化
(ア)すべての労働者の処遇改善のため、企業内最低賃金の協定の締結拡大、水準の引き上げ、および適用労働者の拡大をはかる。このため、すべての組合は最低賃金の要求を行い、協定化をはかる。
(イ)企業内最低賃金は、その産業の公正基準を担保するにふさわしい水準で協定する。
特に、特定最賃にかかわる4業種については、企業内最賃の引き上げ=特定最賃の引き上げに繋がることから、ミニマム水準の大幅な引き上げに全力を傾注する。
(ウ)すべての賃金の基礎である初任給について社会水準を確保する。
18歳高卒初任給の参考目標値……165,400円(道内の2012高卒初任給146,100円)
3)一時金
月例賃金の引き上げにこだわりつつ、年間一括要求方式を基本に、年収確保の観点も含め水準の向上・確保をはかることとする。
(2)規模間格差の是正(中小の賃上げ要求)
企業数の99.7%、従業員数の約7割を担う中小企業の経営基盤の安定とそこで働く労働者の労働条件の向上、人材の確保・育成は日本経済の健全な発展にとって不可欠である。これまで以上に「中小共闘」と構成組織の力を合わせ、格差是正・底上げの取り組みの強化をはかるとともに、大手組合は、グループ・関連企業の闘争を積極的に支援する。
中小の取り組みにおいては、賃金の底上げおよび生活の基礎である月例賃金の引き上げにこだわり、賃金カーブ維持分の確保のみならず、賃金引き上げを積極的に求めていく。同時に、適正な取引関係の確立、公契約基本法・公契約条例の制定に関する取り組みを強化する。本年は、新たに「消費税価格転嫁対策特別措置法」の施行を契機に消費税の転嫁拒否等の行為について連合が関係機関へ通報する仕組み(消費税価格転嫁拒否通報ホットライン(略称:「価格転嫁ホットライン」))を設置し、悪質な取引の抑制をはかり、中小企業労働者の生活や労働条件等を確保する。
■中小・地場の取り組み(2014春季生活闘争「中小共闘」方針抜粋)■
◎ 到達水準値の設定
組合員の賃金水準の低下を防ぎ、改善をめざすには、引き上げ幅だけの取り組みでは不十分であり、これまで地域ミニマム運動で集約された300人未満規模の個別賃金データを基にした到達水準を参考指標として設定する。
(1)2014中小共闘の到達水準値は次のとおりとする。なお、この水準値を目標とすることが適当でない場合は、これとは別に中小の到達水準値を設定する。
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2014方針 |
1年1歳間差 |
2013方針 |
1年1歳間差 |
25歳 |
190,000 |
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190,000 |
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5,000 |
5,000 |
30歳 |
215,000 |
215,000 |
5,000 |
5,000 |
35歳 |
240,000 |
240,000 |
5,000 |
5,000 |
40歳 |
265,000 |
265,000 |
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(2)最低到達水準値
賃金カーブの低下と賃金水準の低下を防止し、底上げをはかるには下支えが必要である。年齢別最低賃金協定がない場合、中途採用者の初任賃金が企業内の賃金秩序から逸脱した賃金となっていることが危惧される。これは場合によっては必要な生計費を満たさない水準となっていることも想定され、賃金カーブを引き下げる要因となっている可能性がある。
こうした取り組みがされていない組織は、地域ミニマム運動で得られた個別賃金データを基に、年齢ごとに最低限到達すべき賃金水準を次のとおりとして取り組みを進める。
30歳 190,000円 *2013方針:190,000円
35歳 210,000円 *2013方針:210,000円
(地域ミニマム第1四分位)
(3)地方における水準値
中小の賃金水準は、地方における水準(地場相場)に少なからず影響される。よって、各地方連合会は、地域ミニマム運動で集約された組合員の賃金実態を基に、地域ミニマム賃金とともに到達賃金水準値を設定する。
◎ 賃金引き上げ要求目安
賃金の引き上げは、過年度物価上昇相当分の確保とともに、「格差是正」「底上げ・底支え」を確実に進めていくために、賃金カーブ維持分を確保した上で、賃金引き上げをめざすこととし、その目安を次のとおりとする。
(1)賃金カーブ維持
賃金カーブ維持分を算定可能な組合(定昇制度が確立している組合を含む)は、その維持原資を労使で確認する。
(2)賃金の引き上げ
景気回復局面、物価上昇局面にあることや、賃金水準の低下や賃金格差、賃金のひずみの是正をはかることをめざし、5,000円の賃金引き上げを目安とする。
したがって、賃金カーブ維持分が算定困難な組合は、賃金カーブの維持相当分の4,500円を含め9,500円を目安に賃金引き上げを求める。 |
(3)非正規労働者の労働条件改善
すべての働く者、とりわけ、道内雇用労働者の42.8%を占め、95万6千人(全国38.2%、2,043万人)を数える非正規労働者の労働条件の改善に重点的に取り組むことが重要である。非正規労働者の雇用や労働条件の問題は、民間の職場だけでなく、公務の職場においても、労働組合が取り組むべき課題である。
そのため、2014春季生活闘争は、すべての非正規労働者の均等・均衡処遇の実現に向けて取り組むことを基本とし、非正規労働者の置かれた状況等が様々であることを十分に踏まえた運動を展開していく。
すべての構成組織は「中小・パート労働条件委員会」に結集し、その体制の強化をはかり、非正規労働者の処遇改善に向けて取り組んでいく。また、各地域協議会・地区連合においても、地域の非正規・未組織労働者への働きかけなどに取り組み、組合のない職場で働く非正規労働者に波及させていく。
具体的な取り組みにあたっては、構成組織・単組の実情に応じて中期的重点項目を設定し、均等・均衡処遇実現を含めた総合的な労働条件向上へ向けた取り組みを推進する。
■ 非正規共闘方針(抜粋) ■
1.賃金(時給)の引き上げの取り組み
時給の引き上げの取り組みは、連合が掲げる「誰もが時給1,000円」をはじめ、地域特性や職種を考慮しながら均等・均衡処遇の実現と社会的な波及を強めるため、次のいずれかの取り組みを展開する。
(1)時給が800円に達していない組織は800円をめざし、時給が800円に達している組織は「誰もが時給
1,000円」をめざす。
(2)単組が取り組む地域ごとの水準については、構成組織は現状を踏まえ中期的に「県別リビングウェイジ」を上回る水準となるよう指導を強化する。
(3)正社員との均等・均衡処遇をめざす観点から、昇給ルールの導入・明確化の取り組みを強化する。昇給ルールが確立されている場合は、その昇給分を確保する。
(4)物価上昇局面であることや、景気回復局面にあること、「底上げ、底支え」「格差是正」を進めていくことが必要であることから、30円を目安に時給の引き上げを求めていく。
なお、月給制の非正規労働者の賃金は、正規社員との均等・均衡処遇の観点から改善を求める。
2.均等・均衡処遇実現を含めた総合的な労働条件向上への取り組み
すべての構成組織・単組は、組織化の状況に区別なく、労働者派遣法、労働契約法の趣旨や、パートタイム労働法の改正建議に則った取り組みを展開するとともに、組合員・従業員に対して、労働基準法等、基本的なワークルールの周知・徹底をはかる。また、パート・契約社員・派遣労働者等、非正規労働者の受け入れに関する労使協議などを実施するとともに、職場における働き方の実態やニーズに応じて、重点項目を基本に、均等・均衡処遇実現をめざした総合的な労働条件向上へ向けた取り組みを推進する。
【2014重点項目】
〈雇用安定に関する項目〉
1)正社員への転換ルールの導入促進・明確化
2)無期労働契約への転換促進
〈改正労働契約法などを踏まえた均等・均衡処遇に関する項目〉
1)昇給ルールの導入・明確化
2)一時金の支給
3)正社員と同様の時間外割増率適用
4)無期契約転換後における均等・均衡処遇の確保
5)福利厚生全般および安全管理に関する取り組み
6)社会保険の適用拡大
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(4)職場における男女間格差の是正
少子高齢化による労働力人口の減少が進む中で、女性の就業率を向上させ、女性が多様な能力を発揮できる社会を作っていくことは、日本の社会・経済の活性化と持続可能性にとって不可欠であり、喫緊の課題となっている。性別役割分業意識の払拭等を背景に制定された「男女雇用機会均等法」の定着・点検の強化をはかっていくこととする。
1)男女雇用機会均等法の定着・点検に向け、以下の課題に取り組む。
交渉・協議にあたっては、できる限り実証的なデータに基づき点検・検証を行い、その際には、下記の点に留意する。
(ア)配置や仕事の配分などの男女の偏在
(イ)昇進・昇格など基準の運用による男女間格差の有無
(ウ)妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの有無
(エ)セクシュアル・ハラスメント防止措置の実効性の確保
2)男女間賃金格差の是正については、個別賃金実態調査に基づいて男女別・年齢毎の賃金分布を賃金プロット手法などにより「見える化」を図り、格差の実態と要因を把握・点検し、改善へ向けた取り組みを進める。
3)処遇における男女間格差が明らかな場合は、女性に対する研修の実施や女性の少ない部署への優先配置を行うなど、積極的な差別是正措置(ポジティブ・アクション)により是正・改善を求める。
4)実質的な間接差別である生活関連手当(福利厚生、家族手当など)における「世帯主」要件*の廃止を求める。
* 住民票・戸籍上の「世帯主」あるいは筆頭者を要件とすることは、支給が一方の性に偏り、実質的な間接差別となる。また、女性だけに証明書類を請求することも間接差別とされている。 |
5)諸集会の開催
(ア) 2014北海道ブロック女性会議
と き 1月18日(土)13時〜
と こ ろ TKPガーデンシティー札幌きょうさいサロン
招集範囲 産別、地協、地区連合
(イ) 3.8国際女性デー
と き 3月 8日(土)13時〜
と こ ろ 北海道自治労会館
招集範囲 産別、地協、地区連合
(5)ワーク・ライフ・バランスの実現
1)総実労働時間縮減に向けて
(ア)連合中期時短方針(2007年7月中執確認)を踏まえた展開を継続して行う。
a)年間所定労働時間2,000時間を上回る組合は、2,000時間以下とする。
b)年次有給休暇の初年度付与日数を15日以上とし、有給休暇の取得日数の低い組合員の取得促進をはかる。なお、年次有給休暇の取得促進の取り組みを強化する必要があるが、取り組みにあたっては労働時間等見直しガイドラインも活用する。
c)時間外労働等の割増率が法定割増率と同水準にとどまっている組合は、上積みをはかる。
(イ)労働時間規制の取り組み(三六協定(特別条項付協定)の点検、適正化等の取り組み、インターバル規制等)や、過重労働対策を進める。
a)労働時間の上限規制(特別条項付き三六協定)を行い、その範囲内に収めることを徹底する。また、インターバル規制(終業と始業の間の睡眠、食事などの生活時間を確保)等を設けるなど、健康を確保する観点から過重労働を是正する。
b)休日増をはじめとする所定労働時間の短縮、労働時間管理の徹底など、産業の実態に合わせた取り組みを推進する。
(ウ)時間外割増率の引き上げ
労基法改正に伴う労働協約整備への対応方針にもとづき、割増率については、以下の水準をめざして引き上げをはかり、代替休暇制度については導入しないことを基本とする。また、時間単位の年次有給休暇の取得については、日単位の取得が阻害されないことを前提に、労使協定の締結を進める。
a)時間外労働が月45時間以下30%以上
b)時間外労働が月45時間超50%以上(対象期間が3ヵ月を超える1年単位の変形労働時間制は、月42時間超を50%以上)
c)休日50%以上
d)労働基準法第138条に規定する中小事業主については、当分の間、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率(50%以上)の適用除外となっているが、一般事業主と同様の水準での労使協定の締結を求める。
2)両立支援の促進(育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法)
(ア)仕事と生活の両立支援の促進に向けた労働組合の方針を明確にし、労使協議を通じてその必要性と重要性を確認する。
(イ)改正育児・介護休業法の定着に向け、以下の課題に取り組む。
a)法令遵守を点検し、組合員に対し周知を行うとともに、両立支援策の拡充の観点から、これを上回る内容への拡充について労働協約の改定に取り組む。
b)育児休業、介護休業、子の看護休暇、短時間勤務、所定外労働の免除や介護休暇制度の申し出・利用などにより不利益な取り扱いが行われていないか労使で点検・検証を行う。
c)不利益取り扱いの禁止については、労働協約の改定などルール化に取り組み、その内容を組合員に対し周知・徹底する。
d)女性の就業継続率の向上や男女のワーク・ライフ・バランスの観点から、男性の育児休業取得促進に取り組む。
e)非正規労働者へ制度の適用を拡充する。
(ウ) マタニティハラスメントを防止するためにも、妊産婦保護制度や母性健康管理の周知について点検する。また、妊娠・出産およびこれに関わる制度を利用したことによる不利益取り扱いの禁止を徹底する。
(エ) 次世代育成支援対策推進法における一般および特定事業主行動計画の策定を労使で取り組む。その際は、計画期間、目標、実施方法・体制などを確認し、行動計画の実現による次世代認定マーク「くるみん」の取得をめざす。
(6)ワークルールの取り組み
1)「STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現」全道キャンペーン第2弾の取り組み
労働分野の規制緩和を許さず、すべての働く者にディーセント・ワークを保障する社会的うねりをつくる必要がある。働く者の声を結集して世論を喚起し、政治と対峙するため民主党北海道と連携をはかりながら、「STOP THE 格差社会! 暮らしの底上げ実現」全道キャンペーン第2弾の取り組みを引き続き展開する。職場・地域の仲間とともに、労働分野の規制緩和と労働者派遣法改悪反対の声をあげ、各種行動に積極的な参画をはかる。
2)労働関係法令遵守の徹底
正規労働者はもとより、パート・有期契約・派遣・請負労働者などについて、労働者派遣法への的確な対応をはじめ、労働契約法、パートタイム労働法をはじめとする労働関係法令の趣旨を踏まえた遵守を徹底する。
また、障害者雇用促進法に定める法定雇用率(1.8%⇒2.0%)引き上げへの的確な対応とともに、2013年の通常国会で成立した改正障害者雇用促進法(差別禁止と合理的配慮の提供義務については2016年4月施行、精神障がい者を雇用義務制度の対象とすることについては2018年4月施行)も踏まえ、障がい者が働きやすい職場づくりへの取り組みを進める。
3)労働者派遣法に関する取り組みについて
労働者派遣法に関する取り組みについては、「今後の取り組み」を踏まえ、法令順守の点検・周知、労働協約の整備に向けた取り組みを進める。
また、労働者派遣法の見直し議論の動向も踏まえ、派遣先労働組合は、派遣労働者の受け入れや労働条件への関与を強化する。特に、「一般業務で1年超の派遣を受け入れようとする場合の派遣先の過半数労働組合等への通知・意見聴取義務」については、その趣旨を理解した上で、いっそう適切な対応を行うよう取り組みを進める。
4)高年齢者雇用安定法に関する取り組みについて
高年齢者雇用安定法に関する取り組みについて、継続雇用制度を導入し、改正法の経過措置にもとづき、その対象者の基準を労使協定で設定している場合は、「今後の取り組み」を踏まえ、希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用とする労働協約の締結に向けて取り組む。
5)労働契約法に関する取り組みについて
労働契約法に関する取り組みについては、「今後の取り組み」を踏まえ、無期転換促進の取り組み、無期転換後の労働条件の対応、クーリング期間の悪用防止、労働条件の是正に向けた取り組みを進める。
6)労働時間法制に関する取り組みについて
労働時間法制に関する取り組みについては、「労働時間法制の見直しにあたっての連合の考え方」(2013.10.24第1回中央執行委員会確認)にもとづき取り組みを進める。
7)快適な職場づくり
労働災害のリスクを低減し、快適な職場づくりを推進するとともに、長時間・過重労働対策、メンタルヘルス対策、パワーハラスメント対策なども含め、労働安全衛生法などの法令遵守と安全配慮義務の履行に向けた取り組みを進める。
職場におけるメンタルヘルス対策・受動喫煙防止対策を事業者の義務とする労働安全衛生法改正法案の内容を踏まえ、法案成立に先行して企業内の対応状況を確認し改善に向けた取り組みを進める。
また、アスベスト問題については、これから中皮腫の発症のピークを迎えようとしている中で連合北海道として、友誼団体であるNPO北海道勤労者安全衛生センターと連携をはかりながら、「北海道アスベスト問題PT」(関係産別・地協、北海道医療生協札幌緑愛病院職業病センター)を開催し、学習会(救済制度と労災認定基準)や被災者の発掘、地域相談会の企画などにより労働者の立場としての取り組みを進める。
(7)すべての組合が取り組むべき課題(ミニマム運動課題)
すべての組合が共闘して取り組む課題として、以下の7つの項目を「ミニマム運動課題」として設定し、労働組合運動の求心力を高めるとともに、交渉結果の社会的波及をめざす。
1)月例賃金を重視した賃金の引き上げを求め、また、低下した賃金水準の中期的な復元・格差是正、体系のゆがみ等の是正に向けて取り組む。
2)規模間や男女間の賃金格差の是正、均等待遇の実現に向け継続的に取り組む。
3)非正規労働者を含めたすべての労働者を対象とした労働条件・処遇改善に取り組む。
4)北海道地域最低賃金及び特定(産業別)最低賃金の取り組みを強化する。そのた めにも、改正連合リビングウェイジの水準を上回る全従業員対象の企業内最低賃金の締結拡大と水準の引き上げに取り組む。
5)賃金制度の確立・整備に向けて通年闘争化に取り組む。
6)労働者保護ルールの改悪阻止に向けて、道民世論を巻き込んだ大衆行動に結集する。
7)産業実態をふまえた総実労働時間の縮減、時間外・休日労働の割増率の引き上げ等
3.運動の両輪としての政策・制度実現の取り組み
「2014年度 政策・制度 実現の取り組み」と「賃金・労働条件改善の取り組み」を2014春季生活闘争における「運動の両輪」として、すべての労働者を対象にした生活改善・格差是正の運動を強力に進める。具体的には、以下の政策課題に取り組む(詳細は2013.10.24第1回中央執行委員会確認、「2014年度 政策・制度 実現の取り組み方針(その1)」参照。)
(1)暮らしの底上げを起点とした経済の好循環実現のための施策の推進
(2)「働くことを軸とする安心社会」を支える社会保障と税の一体改革の着実な前進
(3)生活できる水準への最低賃金の早期引き上げ
(4)非正規労働者の均等・均衡処遇の確立
(5)公契約基本法・公契約条例制定による公契約の適正化を含む中小企業支援のための施策の実施
(6)民主的で透明・公正な公務員制度改革の実現と労働基本権の確立
連合本部・連合北海道は、政府・政党への働きかけや、関係審議会への参画などを通じて積極的に意見反映に努めるとともに、シンポジウムや学習会の開催等により、構成組織、地協と一体となった取り組みを進める。さらに、政治状況や情勢変化を見極めながら、「2014年度 政策・制度 実現の取り組み方針(その2)」などで補強し、取り組みを前進させる。
III 闘いの進め方
1.基本的考え方
(1)すべての労働者を対象とした闘争を展開するために、産業別部門連絡会議、中小・パート労働条件委員会を中心として、構成産別・地域協議会・地区連合による共闘態勢を構築し、その機能と力量を最大限発揮すべく、重層的かつ総掛かり体制での闘争を展開する。
闘争による成果を広く波及させ、すべての働くものの底上げをはかるために、職場や地域で組織化を推進する。
加えて、社会的キャンペーンなどの展開によって、新卒者の就職支援、非正規労働者の待遇改善、官製ワーキング・プアの解消と雇用の安定について、広く社会へ波及をさせる運動を展開する。
(2)政府が進める「労働者保護ルールの改悪」、社会保障制度の改悪を許さず、地方財政の総額確保、税財源の確立をはかるため、「STOP THE 格差社会! 暮らしの底上げ実現」全道キャンペーン第2弾の取り組みとして、大衆行動を引き続き展開する。
(3)政策・制度の取り組みを運動の両輪と位置づけ、勤労者全体の雇用・生活条件の課題解決に向け、政策・制度実現の取り組みと連動させた取り組みを展開する。
(4)労働基本権にこだわる闘争の展開をはかる。
2.賃金の相場形成・波及、情報公開の取り組み
(1)個別賃金の絶対水準を重視した相場形成をめざしていく。そのため、中小・パート労働条件委員会や産業別部門連絡会の開催を通じて、賃金水準開示内容の整備・拡充、社会的波及力を高めるための情報開示の相乗効果を発揮し、未組織労働者への波及を意識した取り組みを進める。
個別賃金の絶対水準を重視した相場形成をめざしていくため、連合本部で示した「中小共闘の到達水準値」を年齢別の個別賃金到達基準とすることについて、中小・パート労働条件委員会(12月12日)で決定した。また、最低到達水準値は、2014地域ミニマム運動で得られた個別賃金データを基に、年齢ごとに最低限到達すべき賃金水準(別掲)をめざして取り組む。
(2)労働基本権(スト権)を確立した上での春季生活闘争の交渉を進める。
(3)地場中小の自主交渉を促進し、早期解決をめざす。また、効果的な波及が行われるよう地場集中決戦方式に取り組むとともに、エントリー組合の拡大を図る。(エントリー組合の登録は2月末迄)
(4)ミニマム運動課題などを中心に節目で情報集約と発信を行うとともに「2014春季生活闘争情報」を随時発行し、情報共有を進める。また、公表可能な情報はマスコミ等に同時発信する。
(5)構成産別は、主要組合の平均的・標準的な賃金カーブ維持分・定期昇給相当分や賃上げ(ベア)分と格差是正分を公表し、相互理解をはかる。
(6)北海道経済連合会をはじめとする経済団体や労働局・北海道などの行政に対して要請行動を実施する。
3.闘争機関の設置・強化
(1)「連合北海道2014春季生活闘争本部」を設置し【資料1】、闘争委員会(執行委員会)、拡大闘争委員会(産別・地協)を開催して、闘争状況の確認と方針の徹底をはかる。
(2)中小・パート労働条件委員会を随時開催し、方針の具体化をめざす。
(3)6つの産業別部門連絡会の活性化をはかる。
4.要求書の提出と回答ゾーンの設定
(1)要求書の提出
産別方針に基づき、要求書は原則2月末までに提出する。(地場組合は、3月末までに提出)すべての単組が提出するよう最大限取り組む。
(2)回答ゾーンの設定<集中回答日の設定>
連合本部は、12月3日「共闘連絡会議 第1回全体代表者会議」を開催し、次のとおり回答ゾーンを決定した。これを受けて、連合北海道は、第1回闘争委員会(12月20日)を開催し、同様の内容で進めることを決定した。
・3/10〜14 第1先行組合回答ゾーン(最大のヤマ場は3/12)
・3/17〜21 第2先行組合回答ゾーン
・3/24〜28 中小集中回答ゾーン
・4/中旬 中小回答ゾーン
5〜6月以降の地域春闘の闘い方については、各地協等と協議し取り組みを進めていくこととする。
5.中小・パート共闘の強化 (1)中小・パート共闘の取り組み
1)中小・パート共闘の強化により、地場での取り組みを強化する。
地域においては「全ての労働者の処遇改善」を意識し、地域全体の取り組みとなるよう創意工夫する。そのために、各経済団体や各業界、自治体などに対しての要請や地域に向けても、労働側の主張を展開するなど環境整備に努めることとする。
2)賃金引き上げ要求目安
賃金の引き上げは、過年度物価上昇分の確保とともに、「格差是正」「底上げ・底支え」を確実に進めていくために、賃金カーブ維持分を確保した上で、賃金引き上げをめざすこととし、その目安を次のとおりとする。
a)賃金カーブ維持
賃金カーブ維持分を算定可能な組合(定昇制度が確立している組合を含む)は、その維持原資を労使で確認する。
b)賃金の引き上げ
景気回復局面、物価上昇局面にあることや、賃金水準の低下や賃金格差、賃金のひずみの是正をはかることをめざし、5,000円の賃金引き上げを目安とする。
したがって、賃金カーブ維持分が算定困難な組合は、賃金カーブの維持相当分の4,500円を含め9,500円を目安に賃金引き上げを求める。また、「パートの時給1,000円」(時給が800円に達していない組織は800円をめざし、時給が800円に達している組織は「誰もが時給1,000円」)、「18歳高卒初任給163,000円」等の本部目安を踏まえ、今後、連合中央闘争委員会確認を受け、中小・パート労働条件委員会で検討の上、「当面の取り組み」で決定する。(2月)
3)非正規労働者の労働条件改善に関する取り組み
a)組合員であるか否かを問わず、同じ職場で働く仲間の労働条件改善を進めるために、それぞれの職場の実態を踏まえて、「職場から始めよう運動」の展開をはかる。
b)非正規労働者の処遇改善につながる先行取り組み事例を開示し、取り組みの波及をはかる。
c)非正規労働者との対話集会の実施など、運動の社会化をはかる。
(2)春季生活闘争地域討論集会の開催
各地協は、1月〜2月に春闘地域討論集会を開催する。
以下の3地協は、本部「北海道ブロック春季生活闘争推進会議」として開催する。
◇石狩地協 2014年1月24日・25日
◇渡島地協 2014年1月25日・26日
◇釧根地協 2014年2月08日・09日
6.産業別部門連絡会の取り組み
(1)産業別部門連絡会については、連絡会内の合意形成を図り、闘争態勢・単組指導の強化、エントリーへの結集、情報の開示などを進めオール北海道体制を構築する。なお、具体の取り組みについては、中央闘争委員会確認を受け、産業別部門連絡会(1−2月)の中で検討し「当面の取り組み」で決定する。集中回答日前に2回、回答後にも総括的会議を持つなど連絡会としての意思統一を図る。また、単組交渉の状況・結果などを把握し指導・連携を強化する。
(2)産別は政策・制度の取り組みと連動させ、全ての単組において非正規労働者に係る要求の提出を求めるとともに、単組所在地域の取り組みに参加するよう指導強化を図る。
(3)地場中小単組(地協・地区連合直加盟、地域ユニオン)については、「統一要求書(要請書)」等を活用し、全ての労組で賃金処遇の改善を求める行動を展開することとする。
7.ヤマ場の集中化に向けた取り組みの強化
(1)ヤマ場の集中化に向け、闘争委員会等を開催し、取り組みを検討する。
(2)共闘会議・部門別連絡会を構成する産別は、回答引き出し時期ごとに、情報の開示を積極的に行い、より波及力を高めていく。
(3)地場集中決戦方式を踏襲し、集中回答日・ヤマ場の設定など、タテヨコ連携した取組みを展開する。
(4)労働基本権にこだわる闘争を目指し、闘争方針の徹底や教育活動を強める。産別は、地域の取り組み強化に向けて単組オルグを実施するなど指導を強める。
(5)地協・地区連合には、「闘争委員会」を設置し、地場中小組合の参加拡大と指導・支援体制を確立するなど地場中小労働組合への支援体制を強化する。
(6)地場中小単組(直加盟・地域ユニオン)に対してもエントリー参加を求め、情報開示に加わってもらうよう要請する。
(7)官公労働者は、「連合北海道官公部門連絡会」を中心に、民間と一体となった組織行動を展開するとともに、民間の交渉と連動する時期に要求・交渉を配置するよう連携を強める。特に地公三者との連携を強め、関係機関交渉の環境づくりを図る。
(8)非正規労働者の労働条件改善
非正規労働者の労働条件改善の取り組みは、「非正規労働センター」と連携を密にし、取り組みを展開する。
8.北海道における中小の取り組み
(1)賃金制度が確立されている組合は、月例賃金にこだわる闘いを進め、底上げ・底支えをはかるために、定昇・賃金カーブ維持相当分(約2%)の確保、過年度物価上昇分や生産性向上分などを賃上げ(1%以上)として求める。また、格差是正・配分のゆがみの是正(1%を目安)の要求を掲げ、原資の確保と配分のあり方に労働組合が関与し、「底上げ・底支え」「格差是正」に全力をあげる。
(2)賃金制度が未整備な組合は、構成組織の指導のもとで制度の確立・整備に向けた取り組みを強化する。なおも未整備な組合は、賃金カーブの維持相当分の4,500円を含め9,500円を目安に賃金引き上げを求める。
(3) 配分の歪み是正に向け、中小・パート労働条件委員会を中心に、闘争情報の交流強化、交渉ヤマ場の統一ゾーンの設定などに取り組むとともに、取り組み強化の観点から、中堅組合も含めた共闘展開を行う。
(4)2014「地域ミニマム運動」の取り組みとミニマム設定
2014地域ミニマム運動の参加拡大をはかり、北海道内の中小組合の賃金の底上げと賃金体系の確立を促し、理にかなった要求基準を作成するための一助とする。
2014地域ミニマム運動で得られた個別賃金データを基本に、年齢ごとに最低限到達すべき賃金水準を以下の通りとして取り組みを進める。
【2014 地域ミニマム設定(最低到達目標)】 全産業、男子、第1四分位
年齢 |
2012
調査額(A) |
2013ミニマム
設定額(B) |
2013
調査額(C) |
2014ミニマム
設定額(D) |
2013設定額との
差異(D)−(B) |
20歳 |
149,000 |
151,400 |
145,400 |
161,500 |
+10,100 |
25歳 |
171,600 |
173,900 |
183,800 |
184,000 |
+10,100 |
30歳 |
177,900 |
196,400 |
184,400 |
206,500 |
+10,100 |
35歳 |
197,000 |
218,900 |
214,000 |
229,000 |
+10,100 |
40歳 |
201,000 |
241,400 |
199,900 |
251,500 |
+10,100 |
※1歳1年間差 4,500円(昨年と同額)
○参考−1 月例賃金(300人未満規模)の試算
・地域ミニマム集計データ 249,091円(38.9歳、13.8年) *2011年 246,168円
・2013中小共闘集計 (加重・28.9万人) 242,646円(2012年 241,958円)
(単純・3,269組合) 235,970円(2012年 236,671円)
○参考−2 賃金カーブ維持相当分
2012年に調査した地域ミニマム年齢別賃金(全産業・男女計)中位数の18歳から45歳の1歳間の平均間差額は4,294円(2011年 4,189円)である。 |
(5)公契約基本法・公契約条例の制定、「価格転嫁ホットライン」の取り組みを強化し、中小企業労働者の生活や労働条件等を確保する。
【連合北海道、地協の取り組み】
1)価格転嫁ホットラインのチラシなどを組織内外へ配布し、周知をはかる。
2)各種労働相談において、価格転嫁問題に該当するものがあれば、価格転嫁ホットライン(03− 5295−0514)を案内する。
【各産別・単組の取り組み】
1)各種会議や集会において、価格転嫁ホットラインについて周知をはかる。
2)組織内において、取引関係の発注者または受注者側に該当する企業がある場合は、消費税転 嫁対策特別措置法(資料3−1)の内容などについて周知し、適正な価格転嫁や取引関係の構築 を促す。
9.北海道の重点課題・要求の実現に向けた取り組み
(1)雇用対策の強化
6年目となる「全道キャンペーン行動」を継続実施する。
地協・地区連合においては、すでに9月〜10月を基本に自治体訪問を行ってきたが、未訪問自治体については、連合北海道の行動時に組み込んで訪問し、全自治体への要請行動を貫徹する。また、連合北海道は、1月〜2月の地域討論集会前段の期間を活用し、振興局、商工会議所、学校などを訪問し、新卒者対策などに向けた行動を展開する。具体的には、「新卒者の就職対策」「非正規労働者の処遇改善」「官製ワーキング・プアの解消と雇用の安定を求める要請」等に重点をおいた全道オルグ活動を展開する。
(2)連合北海道として、「就職活動応援セミナー」を開催する。
12月7日(土)12時30分〜(自治労会館5階ホール)
(3)2月5日〜7日の全国集中労働相談ダイヤル「解雇・雇止め 労働相談(仮)」ダイヤルをはじめとした労働相談体制等を強化した取り組みを展開する。
(4)集団的労使関係構築、労使協議による協定・協約締結運動に取り組む。
(5)公契約条例制定、公正取引の推進に向けた地方議会対策に取り組むとともに、学習会などを開催し、道内自治体への波及を促す取り組みを進める。
(6)北海道地域最低賃金及び特定(産業別)最低賃金の引き上げ及び協定化の拡大を進める。そのためにも、改正連合リビングウェイジ(北海道の時間額880円)の水準を上回る全従業員対象の企業内最低賃金の締結拡大と水準の引き上げに取り組む。また、特定最賃の4業種については、企業内最賃の引き上げ=特定最賃の引き上げに繋がることから、ミニマム水準の大幅な引き上げに全力を傾注する。
(7)連合北海道非正規労働センターと連携し、非正規労働者に関わる「職場から始めよう運動」等の非正規労働者の処遇改善と組織化をめざし取り組みを展開する。また、2月14日に非正規労働者のニーズを把握するための対話集会(古賀会長とパート・非正規組合員・組合リーダーとの交流・対話集会=公開集会)等の大衆行動を実施し、社会全体を巻き込む運動を行う。
(8)季節労働者対策に関する取り組み
「季節労働者支援センター運営協議会」、「季節・建設労働対策委員会」や地協・地区連合と連携し、「通年雇用促進支援事業」の充実と短期就労事業など確保に向けて、政府・行政各機関への対応を強化する。
10.政策制度実現
(1)地方財政の確立に向けて取り組む。また、公務員の給与削減、給与制度の総合的見直しに対しては、地域の民間賃金の決定にも大きく影響し、勤労者の生活・賃金が置き去りにされることから、道民世論の喚起を促し、地域格差が拡大することがないよう取り組みを進める。
(2)地域公共交通の確保や生活における移動を保証する法律「交通政策基本法」が成立した。交通政策基本法の付帯決議にある「交通従事者の確保」及び「労働環境の改善」は、運転士不足が深刻な状況となっている北海道においても喫緊の課題であり、早期に実効性のある施策を求め取り組む。また、交通政策基本法制定後の財源の確保、地方自治体担当者の人材育成などの課題が指摘されているが、地方自治体における交通計画策定の礎となる交通基本条例を道内各自治体に制定することを要請する。
(3)改正「タクシー関連三法」の成立を受け、タクシー運転者の労働条件の改善向上に向けて取り組む。また、タクシー産業が継続的に健全に発展し、地域公共交通として、移動困難者等の利便に寄与することをめざす。
(4)地域に必要な医療・介護提供体制を確保するため、医師不足や偏在の解消、看護・介護職員の確保と処遇改善を求め、安心の社会保障制度の確立に取り組む。
11.組織拡大・強化の取り組み
(1)労働条件の改善を、地場・中小企業、非正規労働者など未組織の労働者に拡げていくためには、組織化は不可欠であり、組織内外へ集団的労使関係(労働組合)の必要性を訴えていく必要がある。
具体的には、企業内で働く有期契約労働者、60歳以降の再雇用者、パート・アルバイトなど未組織労働者の組合員化や、組合のない子会社・関連会社での組合結成、未加盟組合に対する加盟の呼びかけを行うなど、組織拡大を積極的に進める。また、グループ内派遣会社などの組織化も着実に推進する。
こうした運動への理解・推進をはかるために、地域討論集会はもとより、中小・パート労働条件委員会、産業別部門連絡会や、各産別・地協の機関会議などの場で、集団的労使関係(労働組合)の拡大、30万連合北海道実現に向けた意思結集をはかる。
(2)相談体制の一層の充実により、「なんでも労働相談ダイヤル」の取り組みを強化する。
12.春季生活闘争を通じた労働者自主福祉運動の取り組み
労働者の相互扶助の原点である労働者自主福祉運動の拡大・充実に向けて、春季生活闘争の期間中を重点に、以下の取り組みを進める。
(1)労働金庫運動の推進
1)労金への退職金結集運動の強化にむけ、連合北海道各構成組織は最大限の取組みを展開する。
2)2014年度の新入組合員に対し、給振口座の開設や財形加入等、労金の利用促進対策を徹底する。
3)2月開始の「生活応援大作戦U(仮称)」(融資キャンペーン)の成功にむけ、教宣活動等の強化を図る。
(2)全労済運動の推進
1)「生活保障設計運動」を基軸とする共済推進活動の展開を図る。
2)「重点共済」をはじめとする各種共済の新規拡大を図る
3)共済利用者の満期継続対策と離・退職者の共済永年利用対策を実施する。
(3)住宅生協運動の推進
利用呼び掛け中心の取り組みから、介護、退職等、組合員のライフスタイル・ライフステージに合わせた提案型の推進を≪住生活応援運動≫として展開する。
(4)医療生協運動の推進
生協組合員の拡大及び出資金の拡大に努める。また、緑愛病院・緑愛クリニック・緑愛訪問看護ステーションの利用者拡大・居宅介護支援事業の拡大に向けた取り組みを強化する。
13.主な日程
2013年
12月20日 第1回闘争委員会(第55回地方委員会/第3回執行委員会)
2014年
1月 8日 ハイタク最賃協議会第1回幹事会/学習会
1月 9日 連合白書学習会(東京)
1月18日 2014北海道ブロック女性会議
1月23日 連合本部第1回戦術委員会(東京)
1月24−25日 北海道ブロック春季生活闘争推進会議(石狩地協)
1月25−26日 北海道ブロック春季生活闘争推進会議(渡島地協)
1月29日 連合北海道第2回闘争委員会
1月下旬 連合官公部門連絡会地方代表者会議
2月中 各地協・春季生活闘争討論集会(1/25−2/15)
2月 4日 第2回中小・パート労働条件委員会
2月上旬 産業別部門連絡会(B〜F部門)(2/3−10)
2月 6日 2014春季生活闘争 闘争開始宣言2・6中央総決起集会(東京)
第1回最低賃金全国担当者会議(東京)
2月5−7日 全国集中労働相談ダイヤル「解雇・雇止め 労働相談(仮)」
2月8−9日 北海道ブロック春季生活闘争推進会議(釧根地協)
2月14−15日 第2回金属・機械部門連絡会拡大幹事会
2月下旬 春季労使交渉対策セミナー
3月 5日 2014春季生活闘争勝利 全道総決起集会(札幌市民ホール)
3月 8日 3.8国際女性デー
3月10−14日 第1先行組合回答ゾーン(最大のヤマ場は3月12日)
3月17−21日 第2先行組合回答ゾーン
3月24−28日 中小集中回答ゾーン
4月中旬 中小回答ゾーン |
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