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2013.03.27 2013年北海道最低賃金取り組み方針
I.連合の基本的考え方

(1)非正規労働者の増大やそれにともなう低賃金層の増大に対し、賃金の最低限を保障するセーフティーネットを強化するという最低賃金制度の役割は、ますます大きくなっている。
  連合は、組織化された労働者が対等な立場で交渉を行って獲得した労働条件を未組織労働者に波及させ、「すべての労働者の労働条件の改善」に取り組むことは、われわれに課せられた社会的責務と考える。最低賃金の影響を直接的に受ける多くの未組織労働者やパートタイム労働者は労働条件決定にほとんど関与することができない状態にあることに鑑み、今後も地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金からなる最低賃金制度を継承・発展させ、すべての労働者の賃金の底上げを図る取り組みを力強く推進する。
(2)地域別最低賃金は、2007年度に「成長力底上げ戦略推進円卓会議」の討議経過を踏まえ14円の引き上げが行われて以降、「生活保護に係る施策との整合性に配慮」が盛り込まれた最低賃金法改正(2008年7月施行)を受けて2008年度16円、2009年度10円と、従前に比して大幅な引上げが続き、さらに2010年度は雇用戦略対話における最低賃金の引き上げに関する合意(2010年6月)により17円の引上げとなった。2011年は東日本大震災の影響もあり7円の引上げに止まったが、2012年度は目安額(7円)を上回る12円の引上げとなった。
  地域別最低賃金は、「できる限り早期に全国最低800円を確保」「全国平均1,000円を目指す」という雇用戦略対話の合意は連合も共有するところであり、その達成に向けた水準改善の流れを止めてはならない。2013年度の金額改定にあたっては、生活保護水準との乖離の速やかな解消に止まらず、連合リビングウェイジと高卒初任給を重視し、より絶対水準を重視した審議を行うなかで、中期的な視点に立った引き上げの実現を目指す。
(3)特定(産業別)最低賃金については、雇用形態の多様化に対応した均等・均衡待遇の実現によって労働条件の向上と公正競争を確保する観点から、当該産業労使がイニシアチブを発揮し、賃金の底上げと格差是正につながる水準の実現に取り組むこととする。
(4)本年は、2008年施行の改正最低賃金法、および2010年の雇用戦略対話合意の見直しの年に当たっている。また、生活保護基準の検証および制度の見直しも行われている。
  これらへの対処に当たっては、最低賃金制度の機能の充実をはかると同時に水準引上げの流れを妨げることのないよう、連合本部・構成組織・地方連合会が一体となって検討を進めることとする。


II.地域別最低賃金の取り組み

1.中央最低賃金審議会における取り組み
(1)全都道府県における改正された地域別最低賃金の10月1日発効をめざし、7月末までに目安の答申が行われるよう万全を期す。
(2)中央最低賃金審議会の目安審議においては、高卒初任給(厚生労働省『賃金構造基本統計調査』推計時間額943円【註】)、春季生活闘争における取り組み、一般労働者の実態賃金との整合性および格差是正など賃金の要素、および「誰もが生活できる水準」達成に向けて勤労者の生活実態および連合リビングウェイジ(920円)などの生計費の要素を特に重視し、明らかな水準改善に結びつく目安の引き出しをめざす。
【註】 厚生労働省「平成23年賃金構造基本統計調査」の新規学卒者の初任給額(高校卒男女計産業計)156.5千円を、同所定内実労働時間数(一般労働者産業計男女計学歴計)166時間で除して算出

(3)目安決定における最終審議にあたっては、中央最低賃金審議会労働者側委員に加え、事務局長・労働条件委員長・最低賃金小委員会委員および各ランクの地方連合会代表と協議の上、最終判断を行う。

2.北海道における取り組み
(1)金額改定の基本的考え方
  地域別最低賃金の改定にあたっては、中央最低賃金審議会における目安を尊重しつつ、地域における賃金実態、生活実態・生計費を重視し、絶対額での適正な水準確保を目指して自主性を尊重した取り組みを進める。北海道の連合リビングウェイジ時間額(870円)を重視し、「セーフティーネットとしての実効性の高い水準」をめざす。
  生活保護費との乖離(現行16円)を残す北海道として、乖離解消は喫緊の課題として位置づけ取り組みを強化する。
(2)北海道労働局への要求(改定目標)提出および経済5団体への要請
  地域別最低賃金の改定などに関わる要求提出および要請は、3月4日に「経済5団体」、「北海道」、3月5日に「北海道労働局」に対して行う。
  昨年14円引き上げ改定に伴う影響率は全労働者で12.9%、パートに至っては33.5%と最低賃金に張り付く形での低賃金構造となっていることから最低賃金引き上げの取り組みは北海道経済の底上げのためにも非常に重要なものと位置づけられる。産別・地域が一体となり、世論を背景に生活保護費との乖離解消はもとより、北海道の連合リビングウェイジ870円を目指した取り組みを展開する。
(3)北海道地方最低賃金審議会における取り組み
 1) 連合北海道の方針に沿って、労働者側委員と最低賃金対策委員会が十分に連携をはかりつつ審議会対応を強化する。
 2) 金額改正審議にあたっては、北海道地方最低賃金審議会の自主性発揮に留意しながら、北海道地域最低賃金額の引き上げをはかる。
 3) 審議日程の設定にあたっては、10月1日(昨年は10月18日)発効をめざし、審議日程を配置する取り組みを行う。
 4) 審議経過は都度、連合本部に報告する。中賃目安への上積みが困難と判断した場合や後半日程で審議する地方への影響が懸念される状況となった場合は、連合本部との連携をより緊密にしつつ対応する。
 5) 情報の共有化をはかり、金額引き上げの相場形成・波及に務めるために、結審後直ちに結果を連合本部に連絡し、@RENGOの最低賃金情報システムに入力をする。


III.特定(産業別)最低賃金改正の取り組み

1.特定(産業別)最低賃金の取り組みに対する基本的方針
(1)特定(産業別)最低賃金は、労働条件の向上と事業の公正競争をより高いレベルで確保することを目的とし、労働協約による最低賃金の水準を同種の労働者すべてに波及させる役割を果たしている。また日本で唯一の企業の枠を越えた産業別労働条件決定システムとして、団体交渉を補完・代替している。その意義および役割を認識し、今後とも特定(産業別)最低賃金の金額改正および新設の取り組みを積極的に進める。
(2)北海道では4業種の締結となっており、乳糖781円(前年+9円)、鉄鋼832円(前年+9円)、電機776円(前年+9円)、船舶777円(前年+9円)となっている。地賃比の115〜120%を目標に取り組みを進めることとする。
(3)各構成組織は、労働協約ケースによる申出の拡大をめざす。なお、公正競争ケースによる申出であっても、可能な限り合意労働者に占める「企業内最低賃金協定」適用労働者のウエイトを高めるよう、企業内最低賃金協定締結の拡大と水準改善に取り組む。
(4)改定水準は、「企業内最低賃金に準拠した水準」をめざすこととし、そのための計画的な引上げを進める。
(5)産業構造の変化に対応し、各構成組織・地方連合会は、特定(産業別)最低賃金の新設・金額改正に向けた相互の連携体制の強化を図るとともに、連合本部との連携をより緊密にしつつ取り組む。特に、ハイ・タク産業での取り組みを継続し、検討を進める。

2.企業内最低賃金協定締結の取り組み
(1)春季生活闘争において、すべての組合が企業内最低賃金協定の締結をめざす。その過程において、使用者に対し、企業内最低賃金および特定(産業別)最低賃金の役割や意義について十分に説明し、労使の社会的責任について理解を求める。
(2)春季生活闘争期の各「産業別部門連絡会」の中で、企業内最低賃金協定の締結に向けた取り組みについて、情報交換・情報共有化に努め、総体の前進を図る。
(3)企業内最低賃金協定の協定額は、連合リビングウェイジの水準も踏まえ、その産業の公正基準を担保するに相応しい水準をめざす。
(4)特定(産業別)最低賃金額は、申出に関係する企業内最低賃金協定の最低額が上限となることに留意し、その引き上げに寄与する水準で締結する。

3.特定(産業別)最低賃金の申出に向けた取り組み
(1)最低賃金対策委員会を開催し、「金額改正および新設」業種の決定、「新設」の場合の産業のくくり方、対象労働者の範囲などの確定、最低賃金協定の水準改善に向けたサポートと締結の準備、合意労働者確保に向けた「必要性」の機関決議や個別合意(個人署名)の集約などに努め、申出に向けた準備を進める。
(2)「意向表明」に先立って、当該産業の使用者団体および経営者団体との意思疎通を十分にはかり、合意形成に努める。
(3)金額改正ならびに新設に係る「意向表明」については、各構成組織本部、構成組織地方支部組織、連合北海道が連携を密にし、遅くとも3月末までに行う。
(4)適用労働者数については、毎年の労働者数の増減も勘案した上で意向表明後に各労働局より通知されるが、事前に労働局との十分な意思疎通を行い、直近の雇用変化を踏まえた適正な適用労働者数を確定させ、申出の前倒しをはかる。なお、労働局より通知のあった適用労働者数が1,000人を下回る場合は、構成組織本部および連合本部と事前に協議しながら対処する。
(5)適用労働者数の大きな変化や産業分類上の扱いなど、精査が必要な案件については、労働局と事務手続上の協議を十分に行うとともに、事前に構成組織本部と連合本部に連絡する。
(6)金額改定や新設にかかわる申出の本申請は「6月末目途」を基本とし、遅くとも7月末までに完了する。申出書には「北海道○○業最低賃金の改正の決定を〜」と、金額のみに限らず幅広い審議が可能となるように記載する。

4.北海道地方最低賃金審議会における取り組み
(1)審議にあたっては、各専門部会労働者側委員と連合北海道、構成組織との連携強化をはかる。
(2)当該産業労使の合意形成に向けた事前の働きかけを強化する。北海道地方最低賃金審議会本審で行われる「必要性の審議」において必ず「必要性あり」の答申を引き出した上で、当該産業労使が参加する専門部会で金額審議を行う。
  なお「必要性の審議」においては、当該労使の意見を充分踏まえて審議がなされるように、「参考人」を招集することを考慮した運営を求めていく。困難な状況が予想される場合には、連合本部との連携をより緊密にしつつ対応する。
(3)金額改定については、「企業内最低賃金に準拠した水準」をめざす。
(4)発効日については「年内発効」をさらに前倒し、10月〜11月発効もめざす。
(5)結審後、専門部会労働者側委員は結果を連合北海道(組織労働局)へ報告する。連合北海道はその内容を@RENGOの最低賃金情報システムに入力して情報の共有化をはかり、各業種の金額引き上げ相場の形成・波及をめざす。

5.地域別最低賃金に対する優位性確保の対応
(1)近年の地域別最低賃金の大幅な引上げにより、特定(産業別)最低賃金が優位性を確保出来ない状況が一部で発生している。道内においても地賃比の優位性は鉄鋼の117%を最高に110%程度となっており、基幹的労働者の最低賃金として今後も優位性拡大に向けて取り組みを進める。
(2)地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金が著しく接近した場合は、中期的に特定(産業別)最低賃金を継承・発展させる観点から対応していく。
  具体的には、構成組織が関係する組合と連合北海道が連携し、当該特定(産業別)最低賃金が適用されている労働者の現況、当該産業の実態と今後の展望、地域における横断的賃金決定システムとしての意義を十分考慮して対応する。

6.新設の取り組み
  新設については、関連構成組織と連合本部・連合北海道がお互いの役割を認識しながら連携し、具体的着手の検討とその取り組みを進める。また、作業の実施にあたっては、当該構成組織が中心的役割を担い、業界団体や使用者の十分な理解を求める働きかけはもとより、労働局、連合北海道、関連単組との連携をはかり推進する。なお、単年度の計画にこだわらず、中期的な計画を立てて前進をめざす。


IV.最低賃金の遵守を求める取り組み

 以下の取り組みを基本に、最低賃金の遵守を求める運動を強化していく。
(1)連合本部の取り組み
  最低賃金の履行確保のためには、労働基準監督署による監督指導の強化が必要である。「政策・制度 要求と提言」の枠組みの中で、労働基準監督官の増員などにより監督行政の抜本的強化をはかるよう、引き続き求めていく。
  最低賃金の遵守および引上げに向けた行動を、構成組織および地方連合会と連携して実施する(5月下旬〜6月予定)。
  地域別最低賃金額が改定された後の周知活動に資するよう、各都道府県別のチラシを作成し、1地方連合会当たり20,000枚分(あるいは60,000円相当枚数)までの費用を負担する。新聞広告などを実施する地方連合会に対しては、その費用60,000円を上限として補助する。
(2)連合北海道の取り組み
  地域別最低賃金額が改定された後、その周知活動を行う。各地域の実情に報じた方法を選択するが、運動につなげるため、連合本部が作成するチラシを利用した街宣活動なども取り組む予定。
(3)構成組織の取り組み
  特定(産業別)最低賃金の改定について、加盟単組を通じて適用対象の全労働者への周知をはかる。


V.改正最低賃金法・雇用戦略対話合意などの見直しへの対応

(1)改正最低賃金法
  2007年に改正され2008年5月に施行された最低賃金法は、その附則第10条に「政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律の規定による改正後の規定の施行の状況などを勘案し、新法の規定に基づく規制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とする見なおし規定を置いている。
  政府の対応を見極めつつ、状況に応じて連合本部が最低賃金小委員会に諮りながら対応していくこととする。
(2)雇用戦略対話合意
  2010年6月3日の政労使による「雇用戦略対話」合意は「3.弾力的対応について」として「経済・雇用情勢や経済成長・生産性動向を踏まえ、3年後に必要な検証を行うなど「弾力的な対応」が必要と考えられる。」としている。
  現在の地域別最低賃金は全国加重平均749円、最低は652円(島根・高知県)で、「雇用戦略対話」において合意された「全国最低800円」「全国平均1,000円」の水準にはるかに及ばない。従って「検証」を行う場合であっても、現時点で数値目標を見直す必然性はないことを主張しつつ、状況に応じて連合本部が最低賃金小委員会に諮りながら対応していくこととする。
(3)生活保護水準・制度
  現在、地域別最低賃金は「生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする」とされている(最低賃金法第9条第3項)。政府が進めようとしている生活保護制度の見直しに直接影響を受けることがないよう、政府の対応を見極めつつ、状況に応じて連合本部が最低賃金小委員会に諮りながら対応していくこととする。


VI.ブロック会議・学習会などの開催

(1)連合本部の取り組み
  全国最低賃金学習会を、専ら地方連合会の担当者を対象としたもの(5月予定)と専ら構成組織本部の担当者を対象としたもの(10月ないし11月予定)の2回を主催する。地方ブロック連絡会が自主的に開催する担当者会議などに要請に応じて中央最低賃金審議会委員および連合本部担当者を派遣し、また学習会については開催費を、1地方連合会当たり2名分を上限として1名につき8,000円補助する。
  地方最低賃金審議会における審議対応に関するQ&A集を中心とした「最低賃金の手引き別冊」を発行する。同時に本冊の改定作業も進める。いずれも、電子データでの提供を基本としていく。
(2)地方ブロック連絡会の取り組み
  ブロック別の最低賃金担当者会議および最低賃金学習会などを、自主的にスケジュールを設定して開催する。
(3)地方連合会の取り組み
  連合本部が開催する最低賃金担当者会議および最低賃金学習会に参加し、北海道に持ち帰って独自の学習会などの開催に務める。
(4)構成組織の取り組み
  連合本部が開催する最低賃金担当者会議および最低賃金学習会に参加する。連合北海道が開催する諸会議への参加を加盟単組に促す。独自の学習会の開催に努める。


VII.世論形成などの取り組み
 具体的には「取り組み方針(その1)」で提起することとするが、当面、以下についての方向で検討・準備することとする。
(1)道民世論の喚起に向けた「全道キャラバン行動」
(2)道議会、市町村議会(6月議会)での意見書、決議に取り組む。
(3)産別、地協における最低賃金に関する学習会の開催
(4)ヤマ場に向けては審議会に向けたFAX行動や世論喚起に向けた各種集会の開催
(5)特に、新設を目指しての環境整備
(6)その他


VIII.今後の日程
(1)第1回連合北海道最低賃金対策委員会/3月7日(木)13時30分〜 連合北海道会議室
(2)北海道地方地域最低賃金審議会/3月14日(木)16時〜 第1合同庁舎
(3)第2回連合北海道最低賃金対策委員会/4月中旬
(4)道民世論の喚起に向けた「全道キャラバン行動」/5月中旬(20日)〜6月中旬
(5)全国最低賃金学習会/5月(専ら地方連合会の担当者を対象として開催)
            10月〜11月(専ら構成組織本部    〃  )
(6)第3回連合北海道最低賃金対策委員会/6月上〜中旬

以上

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