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2012年3月2日  すべての労働者の賃金・労働条件改善等に関する要請
北海道経済連合会     
  会 長  近藤 龍夫 様
北海道経営者協会
  会 長  前泉 洋三 様
北海道商工会議所連合会
  会 頭  高向  巖 様
北海道商工会連合会
  会 長 川田 憲秀 様
北海道経済同友会
  代表幹事 坂本 眞一 様
北海道中小企業団体中央会
  会 長  東   廣 様

 日頃より北海道経済の発展にご尽力されていることに対し、心より敬意を表します。
 さて、日本経済は「構造的な危機」と「東日本大震災からの復旧・復興」という大きな課題に直面しており、また、長期低成長とデフレからの脱却ができず、非正規労働者の増加、所得格差の拡大、財政難と社会保障の負担増など先行きの不透明感が強まっています。
雇用情勢においては、様々な政府施策が展開されていることにより、北海道の有効求人倍率は0.4倍後半〜0.5倍と先行き不透明ではあるものの、2008年のリーマンショック前の水準にまで持ち直してきているといわれています。
一昨年度から「オール北海道体制」を構築し万全を期してきた新規学卒者対策も、今年1月末現在の今春高校卒業予定者就職内定率は70.5%と前年同期を3.7%上回っているものの、全国平均よりも低位に止まっており、更なる取り組みの強化が求められます。
連合北海道としても全国の連合に先駆け、採用促進に向けた全道各自治体・商工団体等への要請行動、早期離職防止・学生と企業のミスマッチ解消に向けては、「就活応援セミナー(今季3回)」を開催するなど具体的な取り組みを進めています。
一方、効率と競争が安易に人件費の削減に向けられた結果、正規労働者の減少、非正規労働者の増となり、今や、非正規労働者は雇用労働者全体の3分の1を超えるまでに至っています。
非正規労働者の大部分は有期雇用という不安定かつ低賃金での雇用環境におかれ、年収200万円以下、貧困状態、自立した生活さえ困難な状態となっています。
また、昨今の労働相談においても正規雇用、非正規雇用に関わらず、賃金・処遇、ハラスメント、安全衛生、不当労働行為など、ワークルールに関する相談が多くなっています。働きがいを感じる職場環境作りも急務の課題です。
 つきましては、働く人すべての雇用と生活の確保、さらには道内経済の活性化のため、下記事項の実現に経営側として最大限のご努力をいただきますよう要請いたします。



1.北海道におけるすべての労働者の賃金改善について
(1)北海道における賃金改善
連合は、すべての労働者を視野に入れ、格差是正、底上げ・底支えを確保し、「閉塞感」の打破、活力ある安心社会の確立に向けて、適正な成果配分を追求し、内需拡大、日本経済を縮小均衡、デフレから早期に脱却し、持続可能な成長をめざすことが不可欠と考える。家計と企業の分配のバランスの歪みを修正・解消し、個人消費の回復、働くモチベーションの向上につながり、産業・企業競争力の強化をもたらすことになると考える。
 @マクロ的観点から、給与総額の1%引き上げを目安として適正な配分をはかること。
 A中小企業等において賃金制度が未整備な企業は、連合北海道が2011地域ミニマム実態調査結果より示す1歳・1年間差4,500円を目安に賃金水準の維持をはかること。

(2) 地域最低賃金について
 昨年10月から、北海道最低賃金は705円となり、前年比14円の引き上げとなった。そのことにより影響率は一般労働者で10.1%、パート労働者に至っては26.7%となっている。
 各団体においても、様々な機会・ツールを活用するとともに、会員各企業や従業員に対して最低賃金額を周知徹底するなどして最低賃金違反防止に努めること。


2.雇用の安定・確保について
(1)非正規雇用労働者の雇用維持・安定について
@非正規労働者の正規化の促進をはかるため、正社員登用制度の創設をはかること。
A非正規労働者の労働条件改善について、正規労働者との均等・均衡待遇を踏まえ、時間額30 円以上の引き上げをはかること。短時間も20円以上の引き上げをはかること。
B非正規雇用労働者は、企業内訓練の対象として明確に位置付けられていないことが多い。
 非正規雇用労働者から正規労働者への転換制度を導入・定着させるためには、教育訓練の機会を拡充 することが必要なことから、企業ニーズを把握して、公的職業訓練機関が行う在職者訓練の中に訓練コース の設定を行うよう、関係機関へ働きかけること。

(2) 若年労働者等の雇用促進について
連合北海道は、1月下旬〜2月下旬にかけて「新規学卒者・非正規労働者に関わる社会的キャンペーン行動」として、新規高卒者の就職促進対策に重点をおいた全道オルグを実施してきた。各地域では、先行き不安を理由に慎重姿勢にあるとの声も多数あったことから、各団体・会員企業は新規高卒者の積極的採用に努めること。


3.労働条件改善、労働安全衛生対策などの課題について
(1) ワーク・ライフ・バランス実現のための取り組み
@総実労働時間短縮について
 一時減少した所定外労働時間が元に戻りつつある。安易に元の長時間労働に戻すことなく、雇用の創出・拡大につなげること。
A過重労働是正について
 労働時間の上限規制(特別条項付き36協定)を行い、その範囲内に収めることを徹底すること。また、インターバル規制(終業と始業の間の睡眠、食事などの生活時間を確保)等を設けるなど、健康を確保する観点から過重労働を是正すること。
B諸休暇について
 休日増をはじめとする所定労働時間の短縮、労働時間管理の徹底など、産業の実態に合わせた取り組みを推進すること。有給休暇の取得促進の取り組みを強化すること。
C割増率の引き上げ
 労基法改正に伴う労働協約整備への対応方針にもとづき、割増率については、以下の水準をめざして引き上げをはかり、代替休暇制度については導入しないこと。
 また、時間単位の年次有給休暇の取得については、日単位の取得が阻害されないことを前提に、労使協定の締結を進めること。
 ・ 時間外労働が月45時間以下30%以上
 ・ 時間外労働が月45時間超50%以上
    (対象期間が3ヵ月を超える1年単位の変形労働時間制は、月42時間超を50%以上)
 ・ 休日50%以上
(2) ワークルールの遵守について
@労働関係法令の遵守の徹底
 正規労働者はもとより、パート・有期契約・派遣・請負労働者等について、労働者派遣法、パート労働法や、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」をはじめとする労働関係法令の遵守を徹底すること。また、障害者雇用促進法に定める法定雇用率(1.8%)を完全に達成するとともに、さらに高率での雇用を進め、障がい者が働きやすい職場づくりへの取り組みを進めること。
 さらに、今年7月1日から、従業員100人以下の企業においても、改正育児・介護休業法が適用されることから、それに対応した見直し・点検を積極的に推進すること。
A希望者全員の65歳までの雇用確保
 雇用と年金を確実に接続させるため、高年齢者雇用安定法で定める3つの雇用確保措置(65歳までの定年の引き上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止)のいずれかを導入すること。このうち継続雇用制度を導入し、その対象者の基準を労使協定で設定している場合は、継続雇用制度における対象基準に関する労使協定の措置(高年齢者雇用安 定法第9条第2項)の廃止に向けた法改正の結果にかかわらず、労使協定の改定に向けた労使協議を促進し、希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用とする労働協約の締結をはかること。
 また、高齢者の就業の場を確保するため、高齢者のニーズに対応する賃金、労働時間などの労働条件、高齢者が働きやすい職場の創出や、作業環境、能力開発、健康管理などについて、労使協議を行うこと。
B快適な職場づくり
 労働災害のリスクを低減し、快適な職場づくりを推進するとともに、長時間・過重労働対策、メンタルヘルス対策、パワーハラスメント対策なども含め安全配慮義務の履行に向けた取り組みを進めること。
 また、職場におけるメンタルヘルス対策・受動喫煙防止対策を事業者の義務とする労働安全衛生法改正法案の内容を踏まえ、法案成立に先行し企業内の対応状況を確認し、安全衛生委員会・労使協議制を通じて改善すること。

以 上

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