2005年2月28日
道政記者クラブ
報道各社 各位
連合北海道
 
「3・1中小・パート総行動デー」の取り組みについて
 
 報道各社におかれましては、日頃のご指導・ご鞭撻に感謝申し上げます。
 連合北海道は2005春闘におきまして、中小企業の格差是正やパート労働者等の均等待遇実現を目指す取り組みに力を入れていく方針です。
 今の小泉構造改革は、弱者を切り捨て、市場での勝者のみを優先する政策によって、「二極化」の流れが加速しています。そのしわ寄せは、中小企業労働者やパート等有期雇用労働者に集中しており、賃金は低く抑えられ、雇用不安にさらされているのが実態です。また、企業規模間の格差や正社員とパート労働者等との賃金格差は、1990年代以降、一貫して拡大を続けており、低所得層が拡大・固定化する傾向が進んでいます。
 北海道では、従業員300人未満の中小・零細企業に約9割の労働者が働き、そしてまた、雇用労働者の38%以上がパート労働者等で占められています。
 この中小・パート労働者に光を当てる運動が、連合北海道の役割であり、今春闘の課題でもあります。そこで、明日3月1日を「中小・パート総行動デー」と銘打ち、下記の日程により要請行動と集会を開催しますので、取材方を宜しくお願いいたします。
 
 
T.要請行動
1.要請先
[第1班]
要請先 時 間 場 所
北海道経済産業局
 
11:00〜11:30
 
札幌市北区北8条西2丁目
 第1合同庁舎南側4階「特別会議室」
北海道労働局
 
13:30〜14:30
 
札幌市北区北8条西2丁目
 第1合同庁舎2階「講堂」




 
[第2班]
要請先 時 間 場 所
北海道庁
 
13:30〜14:30
 
札幌市中央区北3条西6丁目
 道庁8階経済部1号会議室
公正取引委員会
北海道事務所
15:00〜15:30
 
札幌市中央区大通西12丁目
 札幌第3合同庁舎5階
 
2.要請内容 「中小零細企業労働者及びパート等有期雇用労働者に関する要請」
        ※別紙参照
 
U.「中小・パート労働者等の格差是正・均等待遇実現をめざす集会」の開催
  日 時  2005年3月1日(火)18:00〜19:30
  場 所  ポールスター札幌 2階「ポールスターホール」
  主 催  連合北海道、連合石狩地協、札幌地区連合
  規 模  200人
  内 容   開 会 司会/村田 仁 副事務局長
       1)主催者挨拶(5分) 渡部 俊弘 会長
       2)基調講演(40分)「連合の中小・パート対策の取り組み」
                 連合中小労働対策局 田村 雅宣 局長 ※講師変更
       3)要請行動報告(15分) 浅田 明廣 組織労働局長
       4)職場活動報告と決意表明(30分)
         ※3件・各10分 (UIゼンセン同盟、サービス流通連合、石狩地協)
       5)集会アピール(3分) 石狩地協
        閉 会
 
 
【お問い合わせ】連合北海道組織労働局/担当・坪田
        рQ10−0050
                                  以  上
 
2005年3月1日
           様
日本労働組合総連合会北海道連合会
会 長  渡 部  俊 弘 
連合北海道中小・パート対策委員会
委員長  森    澄 男 
 
 
中小零細企業労働者及び
パート等有期雇用労働者に関する要請書
 
 
要請の趣旨
 
 
北海道経済の振興並びに雇用の安定・改善等にご尽力いただいていることに対し、心より感謝申し上げます。
 さて、わが国経済は2002年より輸出と民間設備投資を中心に景気は回復し、企業業績はバブル以降最高レベルの収益を達成する見通しにあります。
 しかし一方、勤労者の雇用・所得環境は低迷を続けており、勤労者世帯の可処分所得は6年連続のマイナスや、正社員の減少とパート等非正社員有期雇用労働者の急増、労働分配率の低下に示される通り、景気回復を実感できずにいます。
 とりわけ、本道の勤労者は、景気回復をリードしている輸出産業の集積が低いこと、公共事業の縮減が続いていること、改善されたとはいえ完全失業率は年平均(2004年)5.7%と依然高水準にあることなどにより、道外の勤労者との格差が拡がっています。
 つきましては、本道経済の大部分を占める中小零細企業で働く労働者並びにパート・契約社員など非正社員有期労働者に係わる雇用、労働条件、労働福祉の向上を図るため次の事項について取り組むことを要請します。
 
要請事項
 
1.雇用の安定・創出、失業の防止・保障       【北海道庁、労働局】
 
 本道の雇用・失業情勢は、常用有効求人倍率が2002年10月より27ヶ月間連続して対前年同月を上回り、また完全失業率も一昨年よりも2004年は1%低下するなど改善が図られているが、昨年12月期の常用有効求人倍率は0.54倍(全国0.93倍)、完全失業率は2004年平均5.7%(全国4.7%)と高止まりを続けている。また、雇用が不安定、労働条件が低いということにとどまらず、能力開発の機会がない、社会保障制度の適用がない等の求人先のウェイトが高まっている。
(1) 本道の失業率5%台の現状を早急に4%未満に引き下げる雇用政策の目標を掲げるとともに、失業率を着実に引き下げる予算を計上すること。【経産局】
(2) パート労働者や契約社員など有期雇用労働者の雇用の安定を図るため、雇用契約を一回以上更新しているか、または雇い入れの日から起算して一年を超えて継続勤務している場合は、当該労働者の希望に応じて契約期間の定めのない労働者として取り扱うよう事業主団体や求人企業に徹底させること。
(3) 週40時間、年間総労働時間1800時間の労働時間短縮を徹底し、家庭と仕事が両立できる新たなライフスタイルを確立するとともに、新たな雇用を創出すること。
(4) ハローワークにおいて求人年齢制限を禁止するとともに、雇用との年金支給開始年齢の接続による所得保障の観点に立って、65歳までの定年延長や希望者全員の再雇用など、継続雇用制度が確保されるよう徹底すること。
(5) 新規学卒者の雇用の確保のため、求人開拓に全力をあげるとともに、未就職の若年層に対しては、カウンセリングや能力開発支援体制を強化すること。
(6) 労働条件を明確にし、実際の労働条件との食い違いをなくするよう求人票に記載する事項を詳細な内容とするとともに、ハローワークで厳しくチェックすること。
 
 
2.最低賃金の機能強化 【労働局】
 
 北海道の地域最低賃金は昨年改定されたものの時間給で638円、月給で110,884円(労働時間173.8時間)であり、この水準では経済的に自立できるものではない。
 また、この法定最賃の水準さえ遵守されない実態がある。
(1) 本道の法定地域最低賃金額については、時間額で790円以上の水準に到達させるため、平成17年度(2005年度)については、2%引き上げ時間額651円とすること。
(2) 本道のハイ・タク労働者の賃金実態調査の結果明らかになった法定最低賃金を下回る実態を是正するため、平成17年度の監督指導の重点産業に位置づけること。
  また、最低賃金額の周知・徹底を強化すること。【北海道庁】
 
 
3.労働災害の防止、安全衛生体制の強化  【労働局、北海道庁】
 
 昨年の本道の労働災害よる死亡者数は前年を大きく上回り、117名となった。また、長時間労働などの過重労働により、「心の病気」や自殺に追い込まれる労働者が増加しており、企業の行き過ぎたリストラや総額人件費抑制の影響が現出している。
(1) 労働安全衛生法などの労働者の定義に派遣・請負・テレワーカーなどを加えること。
(2) 安全衛生管理体制と産業医の選任義務の事業場規模区分を50人から30人に引き下げること。
(3) 小規模事業場のメンタルヘルス予防と初期治療を目的とした公的機関による地域のメンタルヘルスネットワークを整備すること。
 
 
4.労働時間の短縮 【労働局、北海道庁】
 
 一般労働者の年間総実労働時間や所定内労働時間は増加傾向にあり、また有給休暇の取得率は低下している。一方、不払い残業解消に向けた「労働時間の適正な把握のための使用者が講ずべき措置に関する基準」が示されているが、不払い残業は後を絶たない。
(1) 労働時間法制違反に対しては、臨検監督実施率を高め、摘発と是正指導を強力に実施すること。
(2) 「時間外・休日労働および深夜労働」の法定割増率を引き上げること。
 
 
5.パートタイム労働者等非正社員労働者の均等待遇・差別禁止
                               【北海道庁、労働局】
 政府による雇用の流動化政策や企業の経営政策による総額人件費抑制の結果、パート、契約、嘱託、派遣などの非正社員労働者が増加の一途をたどっている。
 本道の民間企業では、正社員と非正社員の割合は63%、37%まで達している。全国では、この5年間に正社員(典型労働者)は372万人減少し、非正社員(非典型労働者)は410万人増加している。
(1) パートタイム労働者および有期契約労働者の均等待遇の確保を目的とした「パート・有期契約労働法」を制定すること。
 @ 「合理的理由」がある場合を除き、処遇について差別的取り扱いを禁止する。
 A パートタイム労働からフルタイム労働、フルタイム労働からパートタイム労働への転換希望への配慮を、事業主の努力義務とする。
 B パートタイム労働者・有期契約労働者にかかわる就業規則の作成・変更に関しては、パートタイム労働者・有期契約労働者の代表からの意見聴取を義務づける。
 C 有期契約の締結にあたっては、契約期間および期間を定める理由を書面で明示することを義務づける。
(2) ILO第175号条約(パートタイム労働に関する条約)を批准すること。
(3) 均等処遇ルール確立に向けて、政府に専門家・研究者を中心とした研究会を設置し、「同一価値労働同一賃金(ILO第100号条約)」に沿った職務評価手法の研究・開発を行い、横断的・標準的な職務評価手法の普及・促進をはかること。
(4) 常用労働と労働条件の時間比例を原則とする「短時間正社員(短時間勤務)」制度について、労働者の希望に応じて選択できる制度として導入されるよう、好事例紹介等の情報提供などの支援策を行うこと。
(5) 労働条件の時間比例を原則とする「短時間公務員制度」の導入を行い、公務における臨時職員・非常勤職員の雇用安定と処遇改善をはかること。
(6) 派遣労働者の均等待遇と派遣先責任を強化する労働者派遣制度改正への対応を行うこと。
 @ 26業務の専門性の担保の明確化
 A 派遣労働者の雇用安定化措置の明確化
   派遣契約と労働契約の一致、短期化更新の制限、情報開示など
 B 派遣労働者と派遣元、派遣先、派遣先労働組合等との四者関係の確立
   派遣労働者からの苦情処理に当たっては、第一義的には派遣元と派遣労働者との間の交渉となるが、少なくとも労働時間や就業環境等に関しては派遣労働契約及び労働契約に明確な定めのない事項について、派遣労働者が直接派遣先と交渉できる枠組みを整備する。
 C 派遣と請負の適切な区分と双方に対する指導監督強化
   派遣と請負の区分基準を定めた37号大臣告示の強化見直しと、違反摘発強化のため、監督行政と職安行政との体制整備による指導監督行政を強化する。
 D 地方労働局による「改善指導相談活動」を計画的に実施し地方労働審議会へ報告する。また、民間の「労働者派遣事業適正運営協力員」については、氏名、連絡先などを引き続き労働局のホームページに掲載するとともにポスターの掲示などにより派遣先、派遣元をはじめ派遣労働者に周知徹底をはかり、相談援助活動を強化する。さらに、派遣先および派遣元への事業所訪問を可能とする活動強化を行う。
 E 派遣元・先の各事業所に対する、派遣労働者就業時における年齢・性別・家族的責任等を理由とした差別的取り扱いの禁止、派遣先の同一職種の労働者との賃金労働条件など均等な扱いの明確化
 F 紹介予定派遣については、派遣期間を6ヶ月以内とする、派遣終了後の雇用形態は期間の定めのないものとすること(常用雇用に至らない理由などの明示)。直接雇用に関する労働条件を紹介予定派遣前での明示、直接雇用後の年次有給休暇の付与、一時金、退職金の扱いなどを明示する。
 G 賃金など基本的労働条件について、派遣先における同一職種の労働に従事する通常の労働者の条件を下回らないこと、及び派遣先の法定最低賃金への配慮を派遣先・派遣元指針で明記する。
 H 法および派遣元・派遣先指針の遵守の指導、違法派遣に対する業務停止、許可取り消しなどの行政処分の徹底とともに派遣先に対する指導監督の強化を行う。
 I 派遣元・派遣先が講ずべき措置に関する指針(性別による差別の禁止、セクシャル・ハラスメントの防止など)の遵守状況を把握し、その結果を公表する。
(7) 在宅労働や契約労働など、労働法の適用が明確でない働き方に関するルールを確立すること。
(8) 多重就労を余儀なくされる場合に、過重労働や社会保険適用対象外となることを防ぐため、労働安全衛生上の取り扱い、時間管理のあり方、社会保険適用のルールについて、横断的に検討し、ルールを確立すること。
 
 
6.取引慣行の見直し、公正取引の実現 【公取、経産局】
 
 企業間の取引慣行の見直しが進んでいません。
 公正取引委員会では「納入業者側にあらかじめ計算できない不利益を要請すること、あるいは納入業者の商品の販売促進に直接寄与しないか又は納入業者が得る直接利益の範囲を超えて負担を要請すること」が「優越的地位の濫用」にあたるとしていますが、依然として違法な取引慣行がまかり通っている。
(1) 優越的地位の濫用を禁止し公正な取引と透明な市場を確立するため、公正取引委員会の体制および権限、法違反に対する罰則の強化など法の実効性を高めること。
 @ 公正取引委員会や関係省庁担当部門の人員を拡充し機能・体制の強化をはかる。
 A 下請企業からの情報提供・申告等に対し親企業からの報復措置をなくすシステムを設ける。また、単価の過当な水準引き下げ要求に対し、商取引における一定の規制を設けることを検討する。
 B 知的財産についても優越的な地位の濫用を防止する法制度を整備する。
(2) 中小企業設置法第4条7項の違反企業の公取委への措置請求を空文化させず、規定通り活用すること。
(3) ILO第94号条約(公契約における労働条項)の批准によって国内法を整備し、公正労働基準と労働関係法の遵守を公契約の基準とし、超低単価の落札を排除する。また、違反企業に対する発注の取り消しや違約金の納付制度などのシステムづくりを進めること。 【北海道庁】
 @ 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」に、労働基準法等の労働法制に違反した企業を、発注対象から除外する条項を設ける。
 A 各自治体の工事や業務委託の「入札・契約にかかわる条例」に、労働基準法等の労働法制に違反した企業を、発注対象から除外する条項を設ける。
(4) 国や地方自治体による公共工事の入札について、透明性確保のための措置を講ずること。 【北海道庁】
 @ 努力義務として位置付けられている「予定価格と積算内訳」や「低入札価格調査の基準価格と最低価格」などの情報開示を、法的に義務づける。
 A ダンピング受注の判断基準を明確に定めるとともに、発注機関における「最低制限価格制度」あるいは「低入札価格調査」の導入を促進する。
(5) ソフトウェア、アプリケーション開発の入札では、必要な工数(人日)に人件費を積算させたものに加え、知的財産としての価値を付加して価格決定がされるよう制度を改革すること。 【北海道庁】
(6) 安さを追求する競争入札から、公共サービスの質の向上や自治体政策実現に資する入札に向け、公正労働、雇用継続、障害者雇用、男女平等参画、環境、福祉、人権等を総合評価する公契約条例を制定すること。 【北海道庁】
 
 
7.中小・パート労働者の福利厚生の改善・向上  【北海道庁】
 
 中小零細企業の多くは、企業内の福利厚生制度が乏しく、大手企業との格差の一因ともなっている。また、パート労働者の労働条件の改善や働きがいのある職場とするため、退職金制度を設けることが極めて効果的である。
(1) 中小企業勤労者福祉サービスセンターの会員企業の加入促進をはかるとともに、新たなセンターの設置について市町村への指導・助成を行うこと。
(2) パートタイム労働者退職金加入促進事業の普及に努め、パート労働者の福祉を向上させること。
以  上