連合06春季生活闘争中央討論集会

05.11.1〜2 浦安オリエンタルホテル
             (ほか、派遣労働協力員交流会、全国雇用労働担当者会議)
 
(第1日目)
1.主催者あいさつ(高木会長)
 春闘では、ここ数年勤労者が我慢せざるをえなかった。その結果可処分所得の低下が6年間続いた。これは、勤労者の所得基盤の脆弱化を招いたといえる。
 一方産業・企業は、史上最高の利益を更新するようになり、ストックの増加と株主利益配分の充実を行っている。まさにリストラと所得低下の見返りとしてこのようなアンバランスが生じてきた。
 06春闘はこのアンバランスの調整が最大の課題だろう。株主への配分も大事かもしれないが、リストラ・時間外労働の実態を是正するときでもあるだろう。その意味で、06年は賃金カーブの維持はもちろん、“真水”の増額も必要だ。これは、いままでの生産性向上の成果配分である。
 同時に、月例賃金の重視と中小の格差是正など、中小と労働条件委員会で議論してほしい。
 パートや派遣労働者における“同一価値労働、同一賃金”の考えは、世界の普遍的な論理である。各単組が、米国労働運動では労使に課された義務の“公正代表義務”を果たし、各職場で実現するよう、新しくもうける“パート共闘会議”で運動を強める。
 労働時間問題では、月60時間を超えて残業する労働者が20%となっている。ゆとりと豊かさの実現、特に豊かさの質を問い直そう。
 
 二つめは税制問題。税金は1月に源泉票をもらうとき初めてわかるものだろうが、定率減税の全廃を政府税調が言い出している。しかしこれは小渕内閣が99年に約束した恒久減税であったのではないか。そして、法人税と所得税のカラム(縦列)の見直しとセットではなかったか。このように所得税・住民税の大増税が目の前にある。谷垣財務大臣は08年の消費税問題を明確にしてきた。社会保険特に年金はすでに毎年上がることになっている。医療保険の見直しも来年度の課題だ。いまこそ“不条理に闘いを挑む”抵抗勢力となろう。
 
 3つ目は、組織率、組織拡大の問題。04年6月は19.2%となった。米国では12%台(民間では7%)でこれが分裂の大きな引き金にもなっている。連合が将来同じ道をたどらないようにしなければならない。雇用労働者5,200万人の1%は52万人。職場を卒業で減る分も考えて60〜70万人の組織拡大が必要だ。それと100人未満の企業では組織率1.3%。この課題もある。
 パートタイマーの皆さんと組織化の話をした経験では、「組合に入って何かいいことある?いままで正社員の方ばかり向いてきたじゃないか、組織率は自分たちに関係ない」など、耳の痛い話も聞かなければならないが、労働組合は日本社会の安定的・民主的発展に向けたチェッカーとして確立しなければならないだろう。
 06春闘での奮闘を期待する。
 
2.講演A 連合総研 中名生所長「日本経済の現状と課題」
 まず、日本経済のフレームで考えると、短期的な景気循環では、すでにかなり前から拡張局面にあるし、不良債権の実態でも、7%を超えていたものが2.9%まできている。ただより長期的には人口の減少という構造的な変化の中にある。
 いまの景気回復は02年から始まっており、輸出主導であることは間違いない。2%程度の安定的な回復である。実体的には企業の設備投資がバブル期と同様なほど回復しており、一方で、家計部門には今年の7月から反映されているが、雇用面では相変わらずパートなど非正規が伸びている。夏以降、若干だが一般の回復もある。
 現局面としては非正規の頭打ちと賃金の回復、シリコンサイクルの底打ちに見られるようにこれから回復が本格化するだろう。
 今後の課題として、拡大した非正規の条件格差問題と、世界経済における米国(3.8%)と中国(9.4%)の行方など、回復のきっかけとなった方面の不安がある。
 今回も連合総研としてAとBのケースの試算をした。是非参考にしてほしい。
 
3.講演B 法政大学 小池教授「競争力を高める人材と春闘」
 いま、日本の賃金と雇用の議論を聞いていると「雇用は短期が当たり前」「年功賃金はだめ」「成果主義が当たり前」と聞こえる。それがあたかも世界の規準のようにだ。
 しかし、実際はそうなっていない。是非、欧米の同業他社の雇用・賃金制度と比較してものを考えてほしい。
 例えば、米国では、定期昇給もあるが、大きくは社内規定のクラスを上げることにより昇給範囲が上昇するし、業績給は普通2%程度、少し管理的になると8%程度でしかない。ほとんど(8割程度)は賃金表がある。但し、クラス上げはたいていの場合年齢順だ。また、クラスは6〜10程度。したがって、クラスの天井になって昇給しなくなったら、その企業における役割は終わったと言うことで、転職することになるのが一般的。
 日本の産業を支えてきたのは企業の中における人材育成に他ならない。それは、“変化と問題に対処する能力”のことでもある。職場における技能の向上は設計・計画段階にも反映され、それが日本製品の信頼をつくってきた。
 いま必要とされることは、このような人材の継承であり、それに必要な賃金制度は欧米の実態に合わせて、短期の企業業績より本人にわかりやすい仕事クラスによるものとした方がよい。日本の賃金制度はほとんど変更なく転換できる。アルバイターもパートも企業内の仕事クラスに会えば、そして本人が希望すれば正規雇用に変換できる。その規準のオープンは必要なこと。
 
4.06春季闘争基本構想案 (古賀事務局長)
 
 基本構想はお手元の通りであるが、強調点は以下の通り。
(1)情勢と課題
 可処分所得が97年に比べ1割落ちていることについて、向上が不可欠。したがって賃金の底上げをめざす。
(2)基本的な枠組み
 労働側に1%以上の成果配分。労働時間短縮。
 @所得増、A均等待遇、B増税阻止、C働き方の改善と不安の解消
 ミニマム課題に「賃金改善」「長時間労働の削減」を加える。
 パート賃金の水準目標設定を検討。
 賃金実態の把握を全組合で。
(3)具体的な課題
 @高齢法、ワークルール関係法への対応強化。
 A積極的な賃金改善
 B中小地場の格差是正
 C男女間格差是正
 D賃金改善の暫定目標は+3,000円
 Eパート共闘を立ち上げる。
 F企業内最賃・法定最賃で社会規制
 
5.取り組み報告
 
 電機連合から、改正育児・介護休業法の職場取り組みについて、運輸労連から、トラック貨物輸送の安全管理に資する「Gマーク事業所」の取り組みについて報告があった。
 
6.質疑討論
 
連合宮崎 @05の総括は06のど湖に反映されているのか。Aパートの10円賃上げを要求していない産別がある。B討論集会の持ち方がマンネリではないか。
 
私鉄総連 @賃金水準の改善は、労使関係が悪化している折から困難な面ある。A労組悪者論で抵抗勢力視されていないか。評価委員会の教示を生かし全国民的課題に取り組むべき。
 
全国一般 @大手も賃金が下がり、公務員バッシングのもとで中小の断交が成果上げられるはずがない。官民一体の取り組みが必要だ。
 
JR総連 @真水を獲得し改善の努力をしてほしい。今年までのベアなし・一時金シフトは中小の壁になった。連合傘下産別も2極化を認めてきたのではないか。A今回は統一ベアで臨むべきだ。連合と産別は役割分担ではなく相乗効果の連携関係に。
 
UIゼンセン @賃金は月例重視で、目標と指針を具体的に示すべきだ。A一時金シフトへの表れである「年間収入」の目標表記は削除を。
 
連合大阪 @企業内最賃の引き上げを産別の方針化してほしい。
 
自動車総連 @春闘はサラリーマンの共通課題に取り組み社会的もりあげを図るべき。A統一基準は闘いを組織内埋没に戻すことにならないか。B全体の底上げは産別自主交渉と矛盾する。C参考値は中小の物差し。
 
自治労 @公務員に対する総人件費削減反対に産別の支援を。A公務員には基本権を含む抜本改革必要。B公契約問題では2年以内に全自治体に条例を作る方針でいる。
 
答弁 (古賀事務局長)
@春闘の位置づけは賃金だけでなく、総合的な改善にある。
A水準の提示の是非は役割と機能の問題。
B地方と単組地方組織が連携する単組本部の支援体制がほしい。
C連合の春闘方針は、参考資料か意思統一か、方針決定までに決めるべき。
 
 
<分科会討論>
 
第1分科会
■小出副会長
 中小の賃上げが大手にリンクしない方式のために、情報交換を中小共闘でやっていく。大手と中小では要求の建て方がちがう。大手は高めの目標だが、中小は可能性のある数値を目標にする。それが5,200円であった。
 実態として、大手は定昇で4,500円くらい確保できているが、中小はその73%くらいしかいっていない。したがって格差はひらいている。
 今年の目標は、5,200円+1,000くらいにして、結果として昨年+2,000くらいが目標となる。この結果を出さないと、水準が22〜23万くらいで、生活できない賃金となってしまうだろう。
 
■日教組 すでに小さな政府であり、これ以上の公務員削減は質の低下招く。地域経済にも大きく影響が出ている。労働基本権を実現し厳しい環境に立ち向かう。
■基幹労連 高循環の創造をめざす。実質賃金の維持と成長成果の配分、相場の形成をめざす。06は賃上げ要求の方向にある。労働条件向上と産業競争力も目標。2年タームで要求考える。
■情報労連 個別賃金方式での取り組み。規模間で格差が拡大してきている。賃金テーブルのない企業は賃下げ傾向にあることは確かだ。全単組にテーブルをつくるため、@成果型のガイドライン、A単組別の維持推計を提示、B組織内の位置づけを明確にするため、高い順から単組名を並べて発表などの取り組みした。
■JAM連合 05では100人未満の単組が健闘した。JAMは2,100単組があり、地域共闘の強化が必要だと感じている。先行大手の賃上げが自粛されたおかげで、中小は全体の状況が見えなくなり、結果として下がることになった。全てのデータの開示を求めたい。仕事量は急増している。ただ利益が追いついてこない状況だ。
 
第2分科会
 
■龍井葉二総合人権・男女平等局長の課題提起
 超長時間労働化が進む正社員とパート労働という二極化した働き方は、男女間あるいは雇用形態の違いによる賃金・労働条件格差を産む温床。日本の男女間の賃金格差は、ILOの是正勧告を受けるレベルで、ミニマム運動課題であるパートを含む企業内最賃協定の締結や均等待遇を進めるためには、各職場で労働協約を締結することが法制化の環境整備につながる。がしかし、まだまだ全体の運動になっていない。
 今年度はパートプロジェクトの強化を通年課題とし、06春闘時における「パート共闘」の裾野の拡がりをどうイメージするか検討したい。賃上げ額、賃金水準という数字の目標が共闘軸になるのかどうかなど、様々な視点から意見を出して欲しい。
 
■事例報告
 その後、UIゼンセン同盟、JAM、電機連合、全自交の4産別から事例報告があった。
 
第3分科会
 
■課題提起(長谷川連合総合労働局長)
  雇用ワークルールの課題としては3点。    
○高齢法への対応の徹底
○パート、有期契約、派遣、請負等労働者のワークルール、安全衛生、労働時間管理など、直近の法改正への対応を含めた、法令と労働協約の遵守の徹底
○職場点検活動、労働相談活動等の計画的・効果的な配置の検討
 
毎年労働関係の法律の改正が行われているが、各職場において労働協約見直しの取組が遅れている。法律が成立した際に、法律を上回るよう協約を整備するのが労働組合の重要な役割である。その取組が労働組合の闘いである。
法律が公布されると厚生労働省は指針、省令を出すが、指針のレベルまで協約で確立させる取組が重要。
 
(1)「高齢法への対応を徹底」について
・昨年の春闘でも、各労組は平成18年4月1日の改正高齢法の施行に向け協約の整備をするよう提起し、連合として指針を作成した。現在はパート3(別に冊子あり)となっているのでこれを参考に協約を整備してほしい。
・高齢法での雇用の保障は3つの方法がある。定年年長、再雇用(継続)制度の創設、定年の年齢の廃止。
・基本的には、再雇用(継続)制度は希望する者全員を対象にすべきである。全員を対象にしない(選別する)場合は、労使協定により基準を設ける必要がある。なお、労使協定が不調に終わった場合は、就業規則に規定を設けることが可能とされている。
・労働組合としては、使用者が就業規則で継続雇用する際の規定を一方的に作らせない取組が重要。全員が継続雇用できる協約を締結するよう指針で示している。
  
(2)「直近の法改正への対応を含めた、法令と労働協約の遵守の徹底」について 
・改正派遣法が成立した際に、労働組合の取組指針を作成した。
・前回の派遣法の改正の中では、派遣労働者を受け入れる際に労働組合と協議することとされている。指針では、その際に、派遣労働者の問題について十分協議するよう示している。
・10月26日に次の4つの法律が改正された。
 ア 労働安全衛生法関係
リスクアセスメントの作成が努力義務とされたことから、使用者に作成させる取組が重要。メンタルヘルスについて残業が月100時間を超える場合は、産業医との面接が義務づけられた。しかし、80時間未満については義務化されておらず、厚生労働省が指針で面接するよう示す予定であるが、労組としても協約で確立すべき。
イ 労災保険法関係
メリット制が導入されたが、今後労災隠しの増加が予想される。労災隠しをさせないため安全衛生委員会の取組が重要になる。
ウ 労災保険徴収法関係
ダブル就労の場合の通勤途中の労災が認められるようになった。職場で確立させる取組が重要。
エ 時短促進法関係
労働時間管理設定法と名称変更。1,800時間の規定はなくなった。労使協定等が重要。 
 
(3)アスベストの問題について
・10月21日の第1回中央執行委員会でアスベスト問題に関する連合の取組が確認された。
・6つの柱で対応。労災の上積み保障についても取り組むこととしている。
 
(4)労働時間管理の問題
・資料集の85ページから114ページに2005年秋「不払い残業撲滅」の取組について記載あり。現在、厚生労働省が不払い残業をなくすため摘発等を行っているが、労使協定により時間管理させる労働組合の取組が重要。
 
(5)職場点検活動、労働相談活動等について 
・労働組合は、職場点検や労働相談を行うとともに、法律が公布された際に、法律を上回る協約を締結することで、労働組合としての存在感を組合員や未組織労働者に示すことができる。しっかり取り組んでほしい。
 
■取組事例報告 別添の資料のとおり
 
■討論
<JEC連合>
 サービス流通連合から雇用転換制度(分科会資料P5C)の説明があったが、今後この制度を活用し組合員を確保するケースが増えると考えられるが、フルタイマーからパートになる者もいるのか。 産別としての協定や指針はあるのか伺いたい。また、高齢法に関して、傘下の組合の事業場で、組合の支部長を経験した者を継続雇用しないなどの嫌がらせがある。そのような場合の対応について御教示願いたい。
<サービス流通連合>
 現在のところ、フルタイマーからパートへという制度はない。あるのはパートから社員、契約社員から社員が基本である。ライフスタイルにあわせた有期から無期への転換については検討していない。均等均衡の問題は職務と賃金と労働時間の連動をどう作るかである。雇用転換制度を推奨しているわけではない。よって協定や協約はない。
<事務局>
 高齢法の指針については、多くの産別で作成していると認識。希望する者全員を年金支給開始年齢まで継続雇用できるようにするのが組合の基本的スタンス。使用者は継続雇用者の選定のために基準作りを提案してくるはず。労使が十分な協議を行い基準を作ること。組合の役員を継続雇用しない場合は不当労働行為。組合は希望する者全員が継続雇用されるよう努力すべき。
<電機連合>
 取組状況だが、傘下214組合中150組合で、継続雇用制度を設けている。中には定年を65歳にしたところもある。産別として3原則を設けている。希望者全員の雇用。年金の支給開始年齢までの雇用。社員に準じた扱い。
<事務局>
 高齢法改正前は対象者を選別していたが、改正により基本的に選別できないこととなった。
60歳を超えて働きやすい環境(高齢者に適した職務・労働時間)をいかに作るか労使で協議する必要がある。経営者側も高齢法に関する勉強会を行っている。地方連合や産別も勉強会を行い、体制を整えてほしい。
<連合広島>
 ハイタク最賃の取組については、2年前に最賃の申請をした。昨年は連合北海道が申請を行った。審議の中で感じるのは使用者側は新設をする気がないということ。経団連も産別最賃を廃止せよとの意志を持っている。連合本部の支援及び取組の強化をお願いしたい。
<連合栃木>
 高齢法の助成金の申請では交付まで2か月かかる。本部から国に対し、柔軟に対応するよう要望してほしい。
<事務局>
 国に要請する。
<JR総連>
 アスベスト問題については、各産別で勉強会を行っており、同一の講師に依頼が集中し、なかなか講師を引き受けてもらえない。本部で開催するなどしてほしい。
<事務局>
 今後勉強会を開催する予定。
 
■まとめ(事務局)
 06春闘は賃金処遇の問題もあるが、様々な課題について労働協約を締結し、ワークルールを確立することが重要。労働基準法のままであれば労働組合は不要である。
 
 
 
 
 

労働者派遣事業適正化運営協力員 交流会

05.10.31 15:00〜 浦安ブライトンホテル
 
1.派遣労働をめぐる最近の情勢(連合 長谷川雇用法制局長)
 労働政策審議会職業安定分科会 労働力需給制度部会では、H16年3月の労働者派遣法改正から1年を機に、H17年5月に行ったが、そこでの議論は日本経団連の規制緩和要望に添った内容で、対象職業制限の緩和や事前面接の禁止撤廃、期間制限の撤廃など、あらゆる規制を撤廃させようとするもので、断じて受け入れられない。しかし、現下の政治状況では厳しい状況と思われる。「規制緩和・民間開放推進3カ年計画」などを注視しつつ、審議会対応を強化していく。
 
2.産別報告
(1) UIゼンセン同盟 (久保常任) アンケート結果より
 UIゼンセンは人材派遣ゼネラルユニオンを結成して派遣問題に取り組んでいる。アンケートは女性428、男性130のサンプルで集計したもの。その他、医療事務系女性が524ある。
 男女ともに77%が正社員経験を持つが、女性で63%、男性でも56%が派遣労働に満足している。仕事内容の満足度も70%と高い。しかし実態は、40歳以上になると時給が下げられたり、待遇が悪化していることから、派遣労働の年齢的上限を45歳と考えている。正社員指向は女性が30%、男性が52%となっているが、将来の不安は半数以上が持っている。
 社会保険は女性の方が加入率が高い。男性は自分の事情で不加入している人が多いことは問題だ。
(2)全国ユニオン (関根副事務局長) アンケート結果より
 NPO派遣労働ネットワークが実施したアンケート(172サンプル、女性85%)によれば、時給が年々下がり、したがって年収も04年平均で216万円ほどになっている。契約期間も50%が3ヶ月となっているが、直接雇用義務があると思われる12ヶ月以上も8%くらいある。禁止されている事前面接は85%が経験しており、派遣会社の競合に参加させられた経験も52%あるという。
 事前面接では、プライバシーに関することを聞かれたり、明確な理由なしに落とされたりという報告もある。
 
※ 派遣労働者は全国で236万人おり、経済規模では2兆4千億の産業となっている。北海道では、1万2千人が派遣で働き、登録者数も4万2千名あるという。100万を超える関東には比べられないが、規制緩和と労働の複雑化に対応する勉強会などが必要ではないか。
 

全国雇用労働担当者会議

04.11.01 浦安ブライトンホテル
 
1.06年予算について(厚労省職業安定局総務課長)
 雇用情勢はH14年の失業率5.5%からこの9月には4.2%と改善されているが、その前は2%前後であったことを考えるとまだまだ改善されるべきだ。失業者数も383万人から285万人と減少した。有効求人倍率もH11年の0.46からいまは0.97と地域によっては1を超えているが、原油価格高騰など不安要素もあるし、雇用の質の問題(常用の減少)もある。ただ、今年は春以降常用も回復してきている。
 もう一つは人口減少社会のと裏委で、出生率1.29の状況下で07年から減少する見通しとなっていたが、05年上期からすでに始まっているようだ。
 06年予算は、@失業率が高めの若年者就職支援、A再就職を促進する女性就職支援、B07年団塊問題と高齢者雇用安定法などに対応する高齢者就職支援、C大都市に比べ有効求人の少ない地方の雇用対策、DWelfare To Work の精神で、障がい者などの就職支援を柱にハローワークはもちろんNPOとも連携して事業を進める。
 
2.雇用政策研究報告について(厚労省職業安定局雇用政策課長)
 中長期の雇用情勢を考えるときに、キーポイントは2015年に“女性”、2030年に“高齢者”と言うことだろう。就業者数の維持のためにはこのキーポイントと地方の人材活用が必要になる。
 現状は企業の側で「短期利益重視、外部人材活用・非正社員化、訓練投資減少」などがあり、一方、労働側も「女性の勤労意欲、多様な働き方、仕事と生活の両立」などがある。この2者の意識の変化が“ずれ”を生じさせ、企業収益改善と経済回復基調の中にあっても若・女・高の失業率高止まりや不安定化、フリーターの拡大などを招いている。
 今後の展望として、07年からの人口減少社会のもとで、団塊世代の卒業問題とともに、経済社会を支える人数と人材の面で危惧を生じさせている。これを解決するためには、意欲の能力を持つ人に就業機会を与える政策をとること以外にない。
 今後10年間に取り組む対策として、就業人口を64から更に拡大することも含め、@ライフステージに応じた就業機会の拡大、A人材の確保と育成策・家庭などとの両立を可能とする働き方、B安心・公正のルールを柱とすることが必要だ。
 
※ 予算の説明では、前年の政策効果についての説明が全くないことと、したがって06年の政策効果についても具体的ではないことと、雇用政策研究では、政策の全てが“右肩上がり”を前提にしている、あるいはそれを実現するためのものとなっていることに関する疑問がわいてきた。