「新ガイドライン関連法」に象徴される
日本の政治状況の変化
北海道大学法学部教授
山口 二郎
1. 「自自公」巨大な与党体制が成立した理由
一連の反動政策は「民主政治のハイジャック」
小渕政権の成立時(一年前)自由・公明は、「菅直人首班」指名であった。
@ 冷戦崩壊で護憲・平和勢力の分裂
○「湾岸戦争」などの地域紛争への対応で、理念的アピールの力失う。
○ナショナリズムの台頭に対応できていない。ゴーマニズム・自由史観。
○反体制の具体的な提起ができない状況。
○安保・自衛隊を「追い込まれて」追認した。旧社会党・社民党
○国会における抵抗闘争の弱体化〜民主党がおとなしすぎる
A 「村山政権」「自社さ政権」時代への巻き返し〜妥協を一気に取り返す。
B 政党政治の弱体化
○政権参加至上主義
○自民党内の「良識」崩壊
2. 「自自公」小渕政権の目指すもの〜日本ファシズムの台頭・復活
○53%の小渕政権支持。三分の二を超える勢力結集
○連立与党の政策〜後世へのつけ回し
景気対策公共投資、地域振興券、金融再建策
○田中真紀子〜「小渕は当選することだけが目的の政治家。選挙が厳しいから、
本来の政治できない(田中角栄談)」
○言葉のごまかしが進む →「ファシズム」へ →次にくるのは「改憲」
周辺事態法の[周辺]
盗聴〜傍聴
法制化・義務化〜指導・処分
首切り〜過剰の整理
ゼネコン再建〜産業の再整理
※ 「言葉を通じた約束」を前提とする民主主義の崩壊につながる
※ 「おかしいこと」がまかり通るのがファシズム
※ 「矛盾」「違和感」を大切にすることが肝要
※ ファシズムは反対勢力の根絶やしを求める。
ファシズムの定義
全体主義的あるいは権威主義的で、議会政治の否認、一党独裁、市民的・政治的自由の極度の抑圧、対外的には侵略政策をとることを特色とし、合理的な思想体系を持たず、もっぱら感情に訴えて国粋的思想を宣伝する。
3. 「新ガイドライン」と憲法9条
@ 紛争の本質〜正邪善悪の基準・区別が曖昧に
朝鮮半島 北朝鮮〜戦争継続能力無い。太平洋戦争末期の日本と同様。
崩壊は免れない。
※ にもかかわらず、情報のコントロールある。
脅威論、TMDアジア版
コソボ紛争〜米国は当初「解放軍」への「規制」を求めた。
ユーゴ政府がやりすぎて「人権問題」へ変化した。
チェチェン紛争〜ロシア国内問題として規定した。
※ 地域紛争は、先進国の影響が発端となることが多い。
A 武力が解決になるか
英国は、コソボ解決に空爆・地上軍を主張
他のNATO諸国は、地上軍に難色
※ 理由〜地上軍で国民の命失うと政権崩壊につながりかねない事情
したがって、空爆しか選択肢ない〜コストアップ・民間被害の拡大
※ ドイツのみが話し合い解決進めた〜「みどりの党」含む連立政権のため。
B 日本の「平和主義」の優位性あきらか
ハーグ世界平和会議(NGO)での平和主義尊重決議
戦争協力法に護憲・不服従宣言を〜月刊「世界」西田勝
〜職場で「No!」という体制つくる必要
4. 冷戦後の日本の政治が目指すべきこと
@ 冷戦後の世界
アメリカの一極支配体制
ヨーロッパは「ヨーロッパの利益」が第1優先
「アメリカを挑発しないが全面協力もしない」
長い民主主義の蓄積必要
日本は、東アジアにヨーロッパのようなパートナーがいない
パートナーつくるためには
→大戦の精算すんでいない。
→ヨーロッパ的民主主義の形成〜アメリカ追随の変更
→軍事・安全保障の自立〜アジアの承認のもとで
A これからの日本の政治〜矛盾を矛盾として議論する必要
※ 当面数で負けても負け方の問題残る
60年安保は負けたが、遺産残した。自民党にも変化及ぼす。
※ 「国家への無条件の服従」ときどき「No」といおう。
※ 「自自公」対「国民」の図式構築〜年内に解散総選挙ある。
政党枠だけでなく、民主主義擁護の国民戦線つくろう。