第20回参議院議員選挙闘争のまとめ(案)
 
                            2004年9月22日
                             第30回地方委員会
 
1.はじめに(闘争の意義等)
 
(1)第20回参議院議員選挙は、6月24日公示され、7月11日から12日未明にかけて投開票が行われた。この選挙では、年金制度改革や自衛隊のイラクへの派遣や多国籍軍への参加が争点化され、これらの課題に対する評価と同時に、傲慢・おごり・不誠実と称された小泉政権の政治手法・姿勢に対する有権者の厳しい批判が示された。
 そして、この批判の受け皿を民主党が担った。その結果、民主党は、自民党を上回る議席を確保し、昨年の衆議院議員選挙に引き続く比例代表選挙とあわせ、選挙区選挙においても比較第一党となって躍進をとげた。自民党は、改選議席には届かず事実上敗北したが、党内に異論が出されていても敗北とは認めようとしていない。
 また、公明党は現状維持であったが、共産党と社民党は比例区のみの議席と大きく後退となり、2大政党化がさらに加速して政権交代の前夜にあることを実感できるまでになったといえる。
 
(2)連合北海道は、今日の日本の政治・経済・社会にとって、小泉政権のこれ以上の継続は許されず政権の交代が至上命題となっているとの立場から、今度の参議院議員選挙については、「政権運営にとって車の両輪である参議院での与党過半数割れの実現を目指すことは、政権交代への単なるステップではなく、小泉政権を行き詰まらせ、そのことが即、政権交代に直結するという戦い」(道合選・峰崎選対本部発足会議)と位置づけした。
 そして、昨年の衆議院議員選挙の結果を最大限反映させることを目標(得票目標=選挙区125万、比例代表112万と設定)に掲げ、民主党北海道、北海道農民連盟との三軸体制のもと、各産別、各地協・地区連合、退職者連合とともにその中心的役割を果たしつつ取り組みを展開し、推薦する候補の完勝をめざした。
 
(3)北海道における戦いは、選挙区選挙において、民主党北海道が定数2に対して現職・峰崎、新人・西川の複数公認候補を擁立、加えて、受託収賄罪などに問われ公判中の前衆議院議員(無所属)も立候補し、当初懸念されていた「現職2人による指定席争い」から、一挙に激戦・混戦という選挙情勢がつくりだされた。民主党北海道は、新人候補の戦いを主導的に担うとともに、連合北海道は、峰崎必勝が前提となっている複数候補擁立の経過と「西川推薦の要請は行わない」との道合選確認をもとに峰崎候補を重点に戦った。
 一方、比例代表選挙については、産別組織内8候補とともに、北海道ブロック重点候補・信田を推薦した。このブロック重点候補の推薦は、これまでの北海道における三軸の戦いの歴史を踏まえた連合北海道としての主体的判断と出身組織である北海道農民連盟の強い決意ではあったが、同時にこのことを評価し、全国の地方連合会で唯一の推薦を容認した連合本部および各産別の深い理解によるものでもあった。
(4)こうして展開されていった今回の参議院議員選挙では、国会議員の多くが国民年金未加入・未納であることがクロ−ズアップされ、奇しくも国民年金の空洞化など、現行制度の欠陥と深刻な実態を露呈したものとなった。この問題について、民主党は、他党に先駆けて情報開示したが、菅前代表の辞任、小沢前代表代行の新代表就任への辞退と続き、岡田新体制のスタ−トとなった。北海道選出の国会議員も例外ではなく、候補者である峰崎参議院議員もいち早く公表を行った。連合北海道は、政治に対する信頼が危機的事態に発展していると認識し、緊急産別代表者や各ブロック合選会議で反転攻勢を誓い合い、その後に反転攻勢をかけることができたが、いわゆる「五月危機」ともいえるものであった。 この国民年金未加入・未納問題は、複数候補擁立問題と併せて、全ブロック・地区での体制が完全確立する投票日一ヶ月前までその影響を受けざるを得なかったといえる。
 以下、この第20回参議院議員選挙闘争を振り返り、政権交代を確実なものにするための課題と方向を検証していくこととする。 
 
2.選挙結果の概要、評価について
 
(1)全国的な選挙結果と評価について
 @ 民主党は、47選挙区において公認48名(女11男37)と推薦6名(ただし、宮崎県連の支援含む、女1男5)の54名擁立、比例代表は全国展開型候補17名とブロック重点候補9名の計26名(女2男24、現8新18)が立候補した。選挙の結果は、選挙区では公認31議席(と推薦4議席+支援1議席)比例代表で19議席の50議席(推薦等を含めると55議席)を獲得し、自らの改選議席(38)と自民党の獲得議席(49)を上回る躍進となった。
 なお、比例代表において、産別組織内候補は、3人が前回の雪辱果たし8人全員当選したが、ブロック重点候補は5勝4敗となり、北海道ブロック重点の信田候補は、残念ながら次点(20位)となった。各党派別の獲得議席数は、◆表1◇のとおりである。
     表1◇ 党派別の当選者数









 
党派名 当選者 選挙区 比例区 改選議席 新勢力 選挙前  
民 主  50  31  19   38  82  70  
自 民
公 明
共 産
社 民
みどりの会議
諸 派
無所属
 49 11  4  2  0  0  5  34
  3
  0
  0
  −
  0
  5
 15
  8
  4
  2
  0
  0
  −
  50
  10
  15
   2
   1
   0
   4
115
 24
  9
  5
  0
  0
  7
116
 23
 20
  5
  1
  0
  6






 
 計 121  73  48  124 242 245  
      <注>改選議席と改選前の計には、候補者のいない「無所属の会」の4を含む 
 
 A 民主党のこうした躍進の結果は、1人区において自民と互角(13勝14敗)に戦った選挙区での得票が2193万票と自民党を上回り、比例代表においても、昨年の衆議院議員選挙に引き続く比較第1党(29都道府県でも)、しかも自民党に430万票以上の差をつけた、過去最高の2113万票という得票結果に象徴されている。(◆表2◇参照
 なお、自民党は、勝敗ラインの改選議席(51)に到達せず49議席にとどまり、与党でも改選過半数(61)割れして敗北したのにもかかわらず、「大変な逆風の中で、よく戦い安定多数を得た」と善戦を強調しているが、公明党依存はさらに深まった。公明党は比例代表において史上最高の得票(862万票)で改選議席1増の11議席としたが、共産党は45年ぶり選挙区ゼロで比例代表の4議席、社民党も比例代表のみの2議席となりともに退潮が継続され、昨年の衆議院議員選挙につづき、結果として民主党への野党議席集中となって2大政党化への傾向が一段として進んだものといえる。
 
     表2◇党派別の得票・得票率









 
  選挙区得票・率  (01) 比例区得票・率  (01) 政党名/候補
民 主 21.931.984 39.1 18.5 21.137.458 37.8 16.4 0.82058/
自 民
公 明
共 産
社 民みどりの会議
諸 派
無所属
19.687.954
2.161.764
5.520.141
 984.338     − 126.162 5.696.505
35.1
3.9
9.8
1.8

0.2
10.2
41.0
6.4
9.9
3.4

2.5
10.4
16.797.687
8.621.265
4.362.574
2.990.665
 903.775
1.118.360
 
30.0
15.4
7.8
5.3
1.6
2.0
 
38.6
15.0
7.9
6.6
 −
2.5
 
0.69084/
0.28884/
0.86696/
0.68690/


 
 計 56.108.848     55.931.787      
      <注>(01)は前回の得票率、「政党名/候補」欄は、投票比率を示した
 
 B さて、今回の参議院議員選挙結果について、報道各社は、その社説等でそれぞれ次のように論評している。
 まず、「自民党の敗北」については、「おごり、慢心が不振招く」(道新)、「長期政権のおごりと高い支持率への慢心に、強く反省を」(毎日)、「裁かれた首相のおごり」(朝日)、「おごりと改革の停滞に対する警鐘」(読売)というように、共通して小泉政治への批判が大きな要因であったとしている。
 さらに、「民主党の躍進」に関しては、「政権交代への展望開いた」(道新)「定着する2大政党化」(毎日)「民主は政権に備えを」(朝日)「民主党政権は見えるか」(読売)というように、2大政党化の加速・定着に言及しながら、同時に、責任ある政策提示など民主党への期待・注文を寄せている。
 
 C こうした報道各社の論評は、連合北海道としても総体的評価として共有できるものと考えている。選挙後の世論調査などで、小泉内閣と自民党に対する支持率はさらに低下し、今回の選挙で公明党依存が一段と全国的に深化した自民党は、文字通りの危機にたっているといえる。だからこそ、なりふり構わずに今後の政治を進めてくるにちがいないと強い警戒心をもって早期に政権交代をめざしていくことが重要である。
 連合北海道は、民主党および民主党北海道に対し、昨年の衆議院議員選挙から今回の参議院議員選挙に続く、ややバブル的支持を実力どおりの支持へと内実化していくために、小泉・自民批判や不満のはけ口から、責任ある政策と人づくりをすすめ、国民の信頼を高めながら政権政党へといち早く脱皮していくことを強く期待している。
 
(2)北海道における選挙結果と評価について
 @ 北海道選挙区は、定数2に対し7人が立候補し、6月の選挙中盤以降においては、前述したとおり一挙に激戦・混戦となって投票日を迎えた。連合北海道が推薦した民主・現職の峰崎は、国民年金未加入・未納による、いわゆる「5月危機」を乗り越え、複数候補擁立のなか、2議席独占のためのトップ当選という使命は果たせなかったが、地道な運動と各地域からの着実な票の積み上げにより61万8千票を獲得し3選を果たした。民主・新人の西川は、都市部での無党派層や保守層からの新たな民主支持票の掘り起こしをめざして民主党とボランティアによる草の根型選挙を展開し、民主党への追い風のなか、札幌や旭川などで高い支持を得て55万票を得たが、次点となり2議席独占には至らなかった。峰崎と西川の民主党支持層の得票割合は、6:4(◆表3◇参照)と予想以上に接近したものとなった。こうした結果については、複数の候補者が立候補しているというもとで、特に組織以外の民主党支持層やいわゆる無党派層においては、新人であることや若さが選択基準となり、加えて、現職議員の年金未納問題が組織票の一部に影響を与えたことが主な要因と考えられる。
 しかし、総体的には、民主党への追い風というバブル的要素が一部にあったとしても、昨年の総選挙を引き継ぐ結果(比例代表で衆議選115万3千票→今回116万7千票)を生み出したことは、複数候補擁立の効果であるとして冷静に評価することも重要である。
 
   ◇北海道選挙区の選挙結果               
       (候補者名) (得 票 数) (得 票 率) (札幌)(市)(町村)
     当 1中川 義雄 741.831(26.70%)  D  M  121
当 2峰崎 直樹 618.277(22.25%)     L  25
次  西川 将人 552.993(19.90%)  D  A  B
         鈴木 宗男 485.382(17.47%)     C  28
        岡  千陽 254.338(09.15%)
        山内 恵子 106.631(03.84%)        @
        千代 信人  19.020(00.68%)
        <注>右欄の数字は、得票数が第1位の市区町村数である。
 
 A 自民・現職の中川は、自民支持層からの強い批判を受け、その批判票は民主の2候補と無所属の鈴木に大きく流れたが、公明との選挙協力によってその分を穴埋め(◆表3◇参照)して、前回の得票率(28.08%)を下回ったものの第一位当選となった。無所属の鈴木は、道東(旧5区)や留萌管内等で大きく票を獲得して48万5千票を獲得した。予想を超える鈴木の大幅な得票の上積みは、公判中の立候補という、本来、有権者の良識からは受け入れがたいものであったにもかかわらず、それを超えて北海道経済の厳しい現状、とくに深刻な課題を抱える建設業の人々の“ワラにもすがる”意向が反映されたものであり、単なる中川批判票ではない。民主党が今後の政権交代を展望するとき、峰崎・西川の合計得票が中川・鈴木のそれを下回っていることにも着目し、この層をより民主党サイドに取り込めなかったことについての謙虚な反省と検証が必要である。連合北海道は、このような立場に立ち民主党北海道に必要な提言をしていく。
 
【参考】表3◇各候補の得票構造の検証(シミュレ−ション)
  投票基礎数 有効票
自民
民主
公明
社民
共産
無党派
 
700.000
700.000
350.000
130.000
250.000
910.000
 
682.500
682.500
341.250
117.000
235.200
720.000
 
3.040.000 2.778.450








 
峰崎・民 % 西川・民 % 山内・社 %
51.351 0.075
354.218 0.519
30.371 0.089
17.550 0.150
16.464 0.070
148.320 0.206
 
75.860 0.111
245.700 0.360
16.380 0.048
14.040 0.120
 9.408 0.040
191.520 0.266
 
 5.637 0.008
 3.413 0.005
 1.024 0.003
65.403 0.559
 2.352 0.010
28.800 0.040
 
618.274 552.908 106.629








 

      (自)
      (民)
      (公)
      (社)
      (共)
      (無)

      (計)
中川・自 % 鈴木・無 % 岡 ・共 % 千代・無 %
375.477 0.550
13.650 0.020
238.193 0.698
 4.680 0.040
 4.704 0.020
105.120 0.146
 
167.301 0.245
58.013 0.085
54.259 0.159
11.700 0.100
14.112 0.060
180.000 0.250
 
 4.914 0.007
 6.825 0.010
  683 0.002
 3.510 0.030
187.925 0.799
50.400 0.070
 
 1.809 0.003
  683 0.001
  341 0.001
  117 0.001
  235 0.001
15.840 0.022
 
741.824 485.384 254.256 19.025
        <注>このシミュレ−ションは、過去の選挙結果および出口調査などを活用し
          て作成したものである。得票数値は、選挙結果と類似するが一致しない。
          各政党支持層がどのように配分されたか、を着眼点にして参考とすること。
 
 B 北海道における比例代表の戦いでは、連合組織内8候補を組織推薦するとともに、民主党の北海道ブロック重点候補・信田邦雄参議院議員についても、これまでの三軸による戦いの歴史を踏まえて推薦し、21産別(道内)の推薦・支援も得て戦いを展開した。この戦いの展開にあたっては、「比例区委員会」を設置し、選挙区との効果的連動をはかるための基本ル−ルを確認するとともに、初めて非拘束名簿方式によって行われた前回の反省を繰り返さないことが、各産別間での内に秘めた確認事項でもあった。
 選挙の結果は、北海道ブロック重点の信田候補は次点となり、全国唯一の農民出身議員であり、三軸の戦いの歴史をもつ北海道にとってきわめて残念な結果である。一方、連合組織内8候補は、前回の雪辱を果たした3候補含め全員当選を果たした。道内における政党名と候補者名との比率を見ると、3年前では57:43(政党317.504候補239.587)であったが、今回は80:20(◆表4◇参照→政党938.220候補229.140)となっており、制度上の問題や民主党への追い風(個人よりも政党へ)という要因があったとしても、労働運動の日常性を厳しく問い、同時に、比例代表選挙のあり方についてもその検証が必要となっている。
 一方、比例代表で民主党が獲得した票(116万7千)が、自民党と公明党の合計(112万7千票)を上回った(◆表5◇参照)。北海道も例外なく自民党の公明党依存が深まったことを踏まえ、道内における政治戦略の再構築が求められていると考える。
 
    ◆表4◇連合北海道推薦・比例代表候補の得票状況









 
順位 候補者名 全国得票 (道内) ※政党名−名簿搭載者(候補者)の比率
 □道内の各党派別比率は
  ○民 主 0.804−0.196
  ○自 民 0.704−0.296
  ○みどり 0.686−0.314
  ○社 民 0.740−0.260
  ○公 明 0.269−0.731
  ○共 産 0.878−0.122
  ○女 性 0.750−0.250
  ○維 新 0.841−0.159
20 信田邦雄  82.072 71.364
1
2
3
5
6
9
12
13
小林正夫
加藤敏幸
内藤正光
柳沢光美
直島正行
那谷屋正義
高嶋良充
津田弥太郎
301.323
247.917
220.312
216.760
211.257
202.613
167.818
162.509
13.415
 3.723
18.239
 6.119
 3.839
19.543
25.920
 2.011
      ◆表5◇道内における党派別得票・得票率








 
  政党名 候補者 得票総数 得票率(01)
民 主 938.220 229.140 1.167.360 42.47%(21.42%+自由6.3%)
自 民
公 明
共 産
社 民
みどりの会議
女 性
新 風
505.703
110.159
209.801
90.765
24.267
35.971
 7.503
212.314
299.388
29.022
31.889
11.131
12.003
 1.419
718.017
409.547
238.823
122.654
 35.398
 47.974
  8.922
26.12%(35.26%)
14.90%(14.47%)
8.69%(09.94%)
4.46%(05.84%)
1.29%
1.75%
0.32%
      <注>投票数は、小数点以下切り捨て、(01)は、3年前の得票率
 
(3)投票率について
 @ 全国の投票率は、前回56.44%を若干上回って56.57%となったが、28府県は、前回を下回っている。北海道においては、前回(58.47%)より3ポイント以上上回る61.74%となり、15年ぶり(1989年の70.90%以来)に60%台となった。当初、国会議員の国民年金未加入・未納問題などにより政治不信が高まる中、低投票率が懸念され続けたが、終盤国会における年金法案の強行採決や出生率などのデ−タ後出し、国会論議なしの自衛隊の多国籍軍参加など、小泉政治のおごりや不誠実さが低投票率に歯止めをかけたものと理解する。さらに、北海道においては、主要な4人の候補者による激戦・混戦が有権者の関心を高めたものと考えられる。
 昨年12月に施行された期日前投票では、全有権者の9.6%、716万人が投票(北海道8.2%、38万人)した。連合北海道も、組合員の100%期日前投票を提起し、
投票推進キャンペ−ンを実施し、投票率向上に一定の役割を果たしたものと考える。
 今後においては、投票済み証の発行など、主権者としての自覚を促すような取り組みや公民権行使のし易い職場環境の確立、さらには有権者の立場に立った公職選挙法の改正などについて、関係機関への提言や取り組みが必要となっている。
 
3.各種取り組みの展開と課題の検証
 
(1)選挙闘争態勢の確立
 @ 比例代表選挙では、産別組織内候補を抱えている産別中心に運動が先行し、選挙区候補との連動対策が難しいという、前回同様の反省が残った。比例代表で北海道ブロック重点の信田候補を推薦し、基本ル−ルを確認して取り組んだが、3年前の取り組み戦略を大きく超えることが出来なかった。また、支持者カ−ドや各種教宣物について産別間でのバラツキがあり、全国産別との調整を含め、可能な限りの統一して取り組める方向を追求していかなければならない。さらに、連合組織内候補とブロック重点候補の取り扱いをそれぞれ大胆に見直していくべきではないか、と考える。
 A 国民年金の未加入・未納問題は、年金法をめぐる三党合意や民主党代表の辞任・就任辞退などが重なり、全道的にブロック・地区での選挙態勢が確立したのは、投票日一ヶ月前の6月上旬であった。したがって、本番突入までに職場までの闘争体制確立ができず、走りながらの対策を余儀なくされた。こうした影響を受けたが、政府与党の年金法強行採決や出生率デ−タの後出しなど、おごりと説明責任を果たさない不誠実な姿勢に国民の批判が強まり、結果として反転攻勢に転じることができた、と考える。
 しかし、組合員の政治意識を高め、政治活動の重要性を理解して選挙闘争を組織的に推進するという態勢確立については、もう一度、基本に立ち返ってその重要性を再確認し合う必要がある。
 
(2)支持者獲得運動の推進
 @ 連合北海道の基礎的な運動である組合員一人・5人以上の支持者獲得運動は、3月1日の道合選・峰崎選対本部発足以前の2月段階から取り組みを開始したが、民主党の2人目候補擁立問題や比例代表候補の支援産別がさみだれ的に決められてきたこともあり、本格的立ち上がりが5月連休明け以降となって大幅に遅れた。また、比例代表と選挙区との組合員一人の獲得目標が符合しなかったなど、比例代表・選挙区の一体的取り組みが不十分であった。したがって、連合組織としては、大半が組合員と家族、退職者とOBの基礎票をまとめることにとどまり、全体としては、獲得目標の6割強の結果となった。
 A 選挙区の支持者カ−ドは、比例代表の関係で組織内対策を重視し、ブロック・地区選対に提出されなかったところもあるが、今後の課題として、すべてが支持者カ−ドを提出し、相互の信頼関係に基づいて地域、地区で一体的に対策していくことができる時代にきているのではないか、と指摘しておきたい。
 
(3)確票・定着運動の徹底
 @ 確票・定着活動は、票読み活動と連動して、各産別、各ブロック・地区段階で取り組まれた。選挙中盤から終盤における激戦・混戦を踏まえての、100万ボランティア・コ−ルの全道展開など、最終盤まで「一票、一票」を積み上げて戦った。ブロックでの積み上げ結果は、新人候補の勢いに流された部分もあったが、産別・単組、ブロック・地区が一体となって戦い抜いたことが、激戦・混戦を抜け出して峰崎候補を3選に導いたものと考える。
 なお、確票・定着運動をより徹底するためには、支持者獲得運動の集中的取り組み展開と早期期間設定が必要である。
 
(4)選挙に行こう!推進運動
 @ 選挙に行こう!推進運動は、連合本部の参政権を行使する社会運動の活動提起を受け、投票率が上がれば民主党候補に必ずプラスになるとの戦術的な判断から、連合本部で用意した街宣テ−プやチラシを活用し、道内では、7地協がキャンペ−ン・カ−等で取り組んだ。また、投票日当日のキャンペ−ンは、連合北海道独自の取り組みとして今回はじめて組織的にその実施を全道に指示、その結果、5地協で7台の車両が街宣を実施した。こうした取り組みによって懸念されていた今回の参議院議員選挙の投票率が15年ぶりに60%を超えたことへの一定の貢献を果たしたものと考える。同時に、市民向けのこうした取り組みを、組合員に対するキャンペ−ン強化へとつなげていくことが重要である。
 
 A 昨年12月に制度改正となった「期日前投票」の推進運動は、7月10日時点で連合組合員100%投票をめざした。結果として、職場までの推進体制を確立し、実施状況の点検活動の体制まで確立したところは少なかったが、機関紙の複数回発行、職場オルグによる投票の徹底、日刊紙での継続的実施、家庭チラシの配布など多くの産別で取り組まれた。期日前投票制度は、職場における投票推進運動に有効な制度である。「公民権行使の労使協定書」を締結し、勤務時間内での投票を可能にする取り組み(ゼンセン2単組)や独自のチラシで期日前投票の報告を組合員に求める(NTT労組)など、今後においては、期間中における組合役員と組合員との対話活動促進を含め、推進体制に工夫を凝らしていくことが必要である。
 
(5)各級議員との連携
 @ 各級議員・後援会は、民主党の選挙区候補2名の擁立や比例代表・北海道ブロック重点候補への支援などにより戸惑いもあったが、一定の役割を果たした。しかし、具体的な活動面では、ブロックによってバラツキもあり、日常的な連携や市町村議会議員を含めたネットワ−クの形成などがより求められている。
 今後においては、選挙時のみの協力体制ではなく、連合・民主党との定期協議をはじめ国会議員・道議会議員・市町村議会議員とが一体となった国会・議会報告や日常的な地域課題についての政策研究・研修などの充実がはかられるべきである。
4.今後、教訓化していく課題と提言
 
(1)複数候補擁立に関して
 @ 民主党北海道は、今回の参議院議員選挙・北海道選挙区で複数の公認候補を擁立した。二人目候補擁立にあたっては、@峰崎の必勝が前提であることA先行している選挙態勢の組み替えはしないことB保守層の取り込みや若年層・女性票などの新たな集票構造の可能性、を前提に、民主党北海道として主体的に検討され追求したものである。
 連合北海道は、こうした前提条件の下での複数擁立については理解するとの立場にたち西川氏の公認決定にあたっても、「推薦要請は行わない」との道合選確認に基づき、現職・峰崎の前回票を大きく上回るダントツのトップ当選が2議席独占の至上命題であると受け止め、信田と産別擁立8人の比例区候補の完勝に組織の総力を挙げることを決意した。
 
 A 一方、二人目候補の新人・西川は、民主党北海道、西川後援会、ボランティアを軸に選対構成されたが、民主党の各地域組織や所属議員の間では、戸惑いと疑念が払拭されずにブロック・地区合選の立ち上がりと取り組みの展開に少なからず影響を及ぼした。さらに、選挙情勢に一喜一憂して陣営内部でのきしみが見られ、合選機能が発揮されなかった、と考える。今後においても、今回の複数候補擁立を教訓化し、「攻め」の姿勢で候補擁立していくとの立場から、次の「踏まえるべき指針」にそって具体化していくことがより重要と考える。
  <踏まえるべき指針>
  ○ 選挙情勢の十分な分析と議席獲得への展望の明確化
  ○ 候補・財政・態勢・政策の一体的な確立
  ○ 均等化した選挙態勢・選挙方式の確立と調整機能(合選)
 
(2)比例代表選挙(候補)のあり方
 @ 前述したとおり、北海道における比例代表選挙の結果は、民主党の得票は自民+公明を上回るものではあったが、得票に占める候補者名投票の比率は、3年前の43%から20%へ低下し、個人より政党に対する期待が強く現れた。産別8候補の全員当選は、当該候補擁立産別および支援産別の努力の結果ではあるが、民主党への追い風を差し引いたとしても、総体として3年前の反省が生かされた結果とは言い難い。組合員が、家族が「候補者名を具体的に投票所で書く」ということは、機関紙を何回配っているからというだけで解決するものではなくなっている。選挙時以外の組合活動の日常性と組合員からの信頼性こそが、選挙時に反映されることを再確認し、各産別においてもこの問題を深く掘り下げて検証していく必要がある。
 
 A さらに、全国展開型候補とブロック重点型候補について、連合北海道は、連合本部・各産別の理解を得て、産別擁立の8候補とともに、全国で唯一、ブロック重点型候補を組織推薦し戦ったが、次点という結果となった。北海道農民連盟や支援産別の努力が報われなかったことと合わせ、北海道にとっても残念でならない。
 今後の比例代表選挙に向けては−
 ○ ブロック重点候補と選挙区候補が一体となった地域選挙態勢の確立の重視
 ○ 全国産別組織内候補の将来的あり方について
 ○ 全国産別組織内候補とブロック重点型候補との基本ル−ルの再確立について
など、民主党北海道や各候補擁立産別とともに協議していくとともに、比例代表選挙の制度のあり方についても、必要な意見・提言を行うこととする。
 
(3)北海道における政治戦略の確立(民主党への提言)
 @ 連合北海道は、既に明らかにしたように、第20回参議院議員選挙の結果が、2大政党化への加速と政権交代前夜を実感させる政治情勢をつくり出したものと考えている。 したがって、民主党に期待される役割は、過去のいずれよりも重く大きいものがある。幸いにも、民主党北海道からは第20回参議院議員選挙総括に対する意見・提言も求められており、連合北海道は、民主党北海道(又は民主党北海道を通じて民主党本部へ)に対し、「地域に根ざした党組織の再構築」や「党員拡大」などをより積極的にすすめていただくことを期待するとともに、次の点について提言し、連合北海道としても必要な連携・協力を行っていきたいと考えている。
    ◆◇提 言(骨子)












 
□ 向こう3年間の政治目標の確立
 ○ 次期総選挙体制の早期確立(全選挙区での候補擁立・新旧交代など)
 ○ 07知事奪還および道議選過半数戦略(05年中に策定すべき)
 ○ 次期(07)参議選方針の確立
□ 「北海道政権戦略会議」(仮称)の発足
 ○ 3年間の政治目標の達成のための戦略会議
 ○ 自民の公明依存の深化を踏まえた新たな構想
 ○ 構成は、三軸より裾野をより広く・・・・
□ 「民主塾」(仮称)の開設
 ○ 開設目的=政策づくりと人(候補者)づくり
 ○ 運営資金=民主党、議員寄付、支援団体等の協力ほか
 ○ 講師編成=各級議員、学者、有識者ほか
 ○ 運営方法=運営要綱の定めによる
 
(4)選挙活動の活性化と公職選挙法の改正
 @ 現行の選挙制度は、多くの点で「わかりにくさ」「やりにくさ」という指摘がある。その背景には、これまで重ねられてきた公職選挙法の改正の多くが党利党略的要素が強く、主権者(有権者)側に立っていないからである。同時に、ともすれば選ばれる側の批判が常識化されているが、投票率低下と政治の現状や制度の欠陥との関連を否定するものではないが、政治を良くするも悪くするも、有権者の一票にかかっている。二大政党制下で行われる今後の国政選挙は、常に政権を選ぶ選挙となり、国民の責任は増大する。今日、有権者自らが主権者であることを自覚し行動することが、民主主義をより成熟させていくための最大キ−ワ−ドと考える。こうした観点から、以下の点を柱に、公職選挙法を有権者のサイドに引き寄せるための改正について、民主党などと連携して検討していきたい。
◆◇検討する柱◇◆
  *戸別訪問の全面解禁
  *マニフェストの制限撤廃
  *「投票済み証」の発行
  *政見放送で公開討論会を・・・ほか
                                 以 上
 
 
別紙資料
  ● 第20回参議院選挙のまとめ/2004.8.20/連合本部
  ● 第20回参議院選挙の結果と総括/2004.9.6/民主党北海道