講演集
「社会保障制度の抜本改革を求めるセミナー」
〔2005年4月23日:ポールスター札幌〕

「政府の介護保険制度の改革案について」

厚生労働省地方厚生局大臣官房参事官
石 黒 秀 喜 氏

 ご紹介いただきました石黒でございます。いまご紹介ありましたように、私は北海道七飯町の出身でして、20歳までは北海道で育ちました。その後、転勤の辞令をもらって津軽海峡を渡りましたが、今般、連合のご配慮によりまして、里帰りの機会をいただきました。本当にありがとうございました。
 簡単に自己紹介をしておきますと、自分の出身は道南ですが、妻は札幌でして親が住んでおります。私は介護保険の担当をしておりますが、義理の母も認知症の要介護4でありまして、介護保険のサービスを使いながら、私一個人としても介護保険の有り難さを実感している一員でございます。お時間をいただきましてこれから40分程度、今回の改革の基本的な考え方というあたりを少し触れていければと思います。既にその内容は皆様ご承知のことと存じますが、後のパネルディスカッションのために、おさらいを含めてということで、行政の立場からお話を進めてまいりたいと思います。
 資料の「介護保険の見直しについて」を使いながら、話を進めていきたいと思っております。

介護保険制度の実施状況@
 2000年4月からこの制度が始まりまして、ごく大ざっぱに少しの動向を申しあげますと、ここでは適応状況がどうなっているのかということです。左の方は1号保険料を払う65歳以上のお年寄りの方がどの程度増えているかということです。右の方は、その中で要介護認定を受けてた数がどう推移をしているかということですが、ポイントはここに書いてある通り、1号保険者は被保険者は13%の伸びですが、要介護認定を受けたのは、8割方増えているということで、保険料を払う人の割合よりも、障害を持ったお年寄りという方の伸びがすごい勢いであるということがこの下の表です。

介護保険制度実施状況A
 要介護認定を受けた人が全てサービスを使うということではありませんで、実際にサービスを使っている方がどのように増えているかという表です。下の方の黒いのが施設の人員、52万から4年ほど経って75万に増えている。一方、在宅の方は、97万が228万ということで2倍強ということで増えている。制度が始まったときは、施設の給付費が7、在宅が3ということでしたが、今日では5対5という形で、在宅の伸びが著しいという形がそういうシェアの変化に表れているということです。

介護保険財政の状況ー保険料の推移
 そういう状況を呈している中で、費用はどうなっているかということです。3.6兆円から今年の予算では6.8兆円という給付費の見込みになっているということです。
 2000から2002年を第1期といいますが、この時の保険料は2,911円ということです。しかし実際はそれほどかかってはいなかったという状況です。公式には出ていないと思いますが、私が計算しますと、2,600円ぐらいというのが第1期の実績だと思います。
 5.7兆円から6.8兆円というのが第2期になりますが、これがおよそ3,300円と、全国平均でそういう保険料になっているわけです。ただここに2003年、2004年に補正後と書いてあります。従って保険料はどういうことかというと、補正後ではなく当初計画で設定されていますので、補正で給付費が延びているということは、この3,300が本当にこれで間に合うのかどうかという危惧を持たざるを得ないということです。このまま行くと、トレンドで行きますと、第3期は4,300円になるということが見込まれているという状況です。

介護給付費の構造−在宅と施設−
 これを少し大ざっぱに分解しますと、どんな見方ができるかということです。
 単価と書いた右の方ですが、これは施設の固まり、施設の給付ということです。点線は第1期の状況ですが、ここで見ますと、横に増えるというのは量が増えているという意味です。点線より実線が下がっているのは単価が下がっている。これは平成15年の介護報酬の改定の際、施設給付については4%程度のマイナス改訂をしたという影響かと思います。
 左側の方は、在宅のサービスの状況ですが、要支援から要介護に比較的軽度というあたりはどういう動向になっているかというと、一人あたりの単価も少し増えている。かつ左に矢印が入っていますが、介護度の軽い方々が相当延びているという図です。単価よりも利用者が大きく寄与している。
 真ん中の四角は要介護3〜5の在宅者の状況です。単価の伸びが軽い人よりも大きい。一人あたりの単価が増えている。かつ左にスライドしていますので、対象者の量も増えているというような見方ができるわけです。
そこでいろいろ議論になっているところですが、軽度の人の介護予防ということが政策的に大いにクローズアップされてくる。施設については後ほど触れますが、いろいろな要素を加味しまして、給付の見直しをするということが概観すればこういうことです。

介護保険制度の経緯・スケジュール
 こういう流れ、背景のもとに、いま国会に提案しているということです。平成9年に成立したときにいろいろな議論がある中で、5年経ったら見直しましょうということが付則で約束されています。その約束を踏まえて4年なりの状況を振り返って、どういうふうに制度なりを考えていくかということです。その背景は、いま申しあげましたような給付の動向、ここをどういうふうに認識していくかということです。
 いま衆議院、真っ盛りでして、期待するところは連休が明ければ参議院と。そしてこれが成立した後、いろいろな具体的な基準が提示され、来年の4月に向けての介護報酬の改定、いろいろな事業所の基準の見直しということが段取りとして想定されているという状況です。

見直しの基本的視点
 いま申しあげましたようなところが背景ですが、それを基本的な視点ということで3つ書いていますが、私はこういう捉え方が老健局の共通の捉え方ですが、私はさらにこれをシンプルにしまして、制度の持続可能性というのが一つの柱であり、もう一つはこの介護保険法が想定している、理念としている自立支援という2つの柱に集約できるのでは思っています。

介護保険制度改革の主な内容
例えば、いま私がシンプルに2つの視点を申しあげましたが、「予防重視型システムの転換」というのは何を意味するかというと、一つは自立支援という観点からしますと、その人の生活の質、救護・・をどう維持、改善していくかという視点に立ちます。客観的にそれが有効であるということであれば、そういった取り組みをすることによって、それぞれの個人の健康、寿命がより全うされるということをまず目指すのが一つ。
 それからその結果、保険事故というもの、即ちこの制度でいえば要支援、要介護状態になるということですが、それになる可能性が低くなる。ないしは軽度化がもしそれによって同時にされるならば、保険事故が小さくなるということですので、これは給付費の拡大への一つの歯止めということから、このこと自体が制度の持続の可能性を追求するという意味合いを持つものであろうと考えています。
 「施設給付の見直し」は、給付範囲を見直すことによって、給付という保険料でカバーする部分を少し小さくしようということですので、これもそういう形での制度としての持続可能性を追求する。
 「新たなサービス体系の確立」、これはどちらかというと自立支援に位置するということです。地域密着型とかと書いていますが、地域密着型と出てくる背景は、特に認知症を念頭に置きますと、あまり大幅な環境の変化を少なく留めるということが一つの狙いになってきます。住み慣れた環境での生活の持続ということを狙いとするということなどがここに込められているわけです。
 「サービスの質の向上」、これも自立支援に寄与するということです。
 「負担の在り方・制度運営の見直し」、これは制度全般の運営をどう考えていくかと。これは両方を追求するものです。市町村の権限が強化されるということは、ある種のサービスの質にも絡んでまいりますし、そこをサービスの質に関与できるとかになってきますと自立支援。それからサービスの適正化、効率化ということになれば、持続の可能性というふうに絡んでくることだと思います。
 「被保険者・受給者の範囲」というものは、いろいろな理念はありますが、ここでは限定的に申しあげると、支え手の拡大という効果につながってくるわけです。支え手の拡大というのは、割り勘の人数を増やすということですから、これは1号保険者の負担がその分緩和されるということです。
 私なりに捉えれば、いま申しあげましたような捉え方で今回の改革の提案を申しあげているということが言えると思います。

介護予防の推進
介護予防の推進ということで、先ほど申しました主旨を込めているのですが、なぜここで介護予防かということですが、もともと制度に予防給付はあるわけですが、その反省点に立ってまたここのところを見直していこうということです。
 要介護2から5というのが200万ちょっと。要支援から要介護1というのが200万人弱ということです。
 左側は、いまでいうと2,100万人ぐらいの集団になるわけですが、この中には予備軍がきっといらっしゃるだろう。それをライン的にいえばハイリスクと書いていますが、こういう方々がここの二重線の右側にできるだけ移行しないように頑張りましょうということですし、次に軽度から中度と書いているところにも、線に×が書いていますが、できるだけ右にシフトしないように頑張っていきましょうということの意味合いです。
 政策的にいえば、軽度のところに少しマネージメントの見直しとか、あるいはマネージメントに基づくプログラムというものをどう考えるかというのがいまの課題です。
 ハイリスクのところに地域支援事業と書いていますが、これは個別の給付ではありませんが、介護保険という制度の中で要介護、要支援認定を受けた人方に対する個別の給付というところと、できるだけ二重線を超えないような形を介護保険の枠組みの中で予防対策をやっていこうということで新に地域支援事業という概念をつくり、一つの制度のもとで両輪として展開していこうと。これまでは国の補助事業として介護予防、地域支え事業として補助事業がありましたが、これは制度がそれぞれ別になっていますから、これを一つの制度の中で効率的に連携を図って詰めていこうというのがアイディアです。
 
要支援・要介護1の増加
これは、なぜそこに力を入れるかということで要支援・要介護1の伸びがすごいということを申しあげている資料です。
 次ページでは、要介護に至る要因というか、そういったことを見てみますと、「脳卒中」、「主として廃用症候群」と書いていますが、「主として廃用症候群」というあたりは、軽いところにシェアが高いということがここで表現されています。廃用症候群とは何かというと、活動が不活発ということですので、そこのところを少し何か対応できないのかというところに問題意識の根底があります。
 そうするならば、ここのところをどういうふうに把握、抽出するかということが事業遂行場の実務になってまいります。そういう中で要介護認定という手続きを経ておりますので、その機会を活用しまして、この方はちょっとすれば不活発というあたりが少し要因があるかどうかというあたりで、そこで一回スクリングしようという構想です。この結果、要支援については、いまでもこのまま放置すれば要介護になる恐れがある人ですから、介護要支援1という範疇で介護予防と。それから要介護1についても、よくよく評価をしてみれば改善の可能性が有りというような人々を要介護認定のプロセスで抽出しようと。いまの6段階を7段階に変更するということです。
 そういうふうにひょっとすれば改善の可能性がある、こうすればずっと維持をしていく可能性があるという方々に、ではどういったサービス、プログラムが考えられるかということになってくるわけです。

介護予防メニュー
@既存サービスの評価・検証
 ここにはいまあるサービスの上に介護予防という4文字が付いて、介護予防訪問介護とか、介護予防通所介護とか、そういうものがあります。従っていまあるサービスを介護予防という観点でプログラムを見直すとか、アセスメントを見直すとかという一連のものです。
A新たなサービスの導入
新たなサービスの導入というのは、これは決して筋力向上を専門とした筋力向上指定サービス事業所というものができるわけではなく、全部で11の介護予防サービスになるのですが、その中におけるプログラムをどう考えていくかとういうことです。決してこれが独立した看板を持って事業所を構えるというイメージではありません。
 ここで介護予防の話になってくるわけですが、認知症に詳しい筑波大学の浅田先生から聞いた話では、人間生きて行くには生体リズムが大事であると。ちゃんと睡眠して、ちゃんと起きてということ。それから自然の風や自然の光にあたるということで人間の体のリズムが維持されていくと。そして生きるためにはきちんと食べなければいけないと。即ち栄養です。そして水分もきちんと取らなければならない。そして便秘になってはいけないというようなことが実は誰にも通じる介護予防の基本であると。もう一つ、頭の活動と体の活動ということがまずは基本でして、そのことをみんなどう実践していくかということが、そもそも制度以前の問題としてきちんとご理解を得て、それをどう実践していくかという課題になってくるかと。
 個人的に思いますと、70歳まではそこそこ気力と体は動くのだと思いますが、それから20年間きっと生きなければならないと、まずわれわれは思わなければならないと。その20年間の時間をどういうふうに使っていくのかと。体が動く、心が動く、そこが無為の時間を過ごすということでは気力が萎えますから、そこのところをどう自分の生活のリズムでそれを維持していくかということが、制度以前にわれわれ自身が、われわれの生活を質を維持していくという意味での大事なポイントではないかと思うわけです。そのためには、こういうことをすれば大方の方には、こういうタイプにはこういうことをすれば有効であるということをいろいろな事例を通して情報提供していくということが非常に大事ではないかと思います。そういう意味で緒に就いたばかりのことですが、この辺を十分にわれわれ自身が、先ほども会長もわれわれ自身の問題とおっしゃいましたが、そのことがまさに私も同感するわけです。
 そしてケアマネージメントといわれる中でも、いくつかの事例検討に私も勉強がてら出かけたことがありますが、マネージメントのプロセスは、運営基準にどう書かれているかというと、まずはその人の状態をよくよく把握しましょうと。どこからいまの現状、どうしてそうなってきたのか、即ち背景をきちんと洞察することだと思います。結果として何らかの日常生活上、不便が生じていることは間違いないと思いますが、そのことの対応だけに目を奪われるのではなく、背景を洞察して、これが終わったら将来もっと悪くなるかもしれない。だとすれば、いまのうちにどういう手を打っておく必要があるのかと。これはどこかに行ったときに医者が言っていた言葉です。
 このままにしておけば、将来もっと悪くなる。ですからいまのうちに内科の対応をする。それが何が有効か。その先生の場合は診察をして、往診をして、言ってみればいつも家に閉じこもりであるということであれば、少し自分としても外に出ていろいろなふれあい、合流の機会というものを自分でどう仕掛けていくかということをその先生は実践しているというご紹介でしたが、即ち何らかの対応をしておかなければ、将来もっと悪くなる。
 ある種のリスクというものをどういうふうに見極め、そして当事者とどういうふうにそこのところの共有感覚を持っていって、そして自信がなくなったその人生を、もう一回再構築に向けて共同作業をどうしていくのかということだろうと思います。
 自分もケアマネージメントのことは詳しくありませんが、ニーズという言葉に惑わされてしまって、ニーズはいま生活に困っていることを対応するのがニーズだと思いがちですが、いま申しあげましたようにこれ以上悪くならないために必要なことは何か、よりよくする可能性があるならば、そのことは何かということがニーズであり課題の抽出であり、課題の解消というマネージメントの真の意味するところではないかと。ケアマネージャーの受験資格もない私がこんなことを申すのは恥ずかしいのですが、つらつら考えるとそう思う次第です。

施設給付の見直し
 社会保障全体のバランスを見ると、年金との重複とか、あるいは在宅で生活をする人とのバランスとかということを考えまして、食費と居住費の一定部分は利用者に負担していただこうということです。もちろんそこでの低所得者対策というものは、当然配慮されなければならないということは十分認識はしております。
 次のページは、言い訳がましいのですが、このような負担の見直し、給付範囲の見直しをするということは、我が国が先行してやるのではなく、むしろ諸外国ではそうなっているということをご紹介しているものです。

居住費用、食費の見直しに伴う利用者負担の変化
食費については原則利用者負担ということですが、保険料第1段階はいまと同じと。新に保険料5段階を細分化しまして2段階。2段階というのは、世帯全員非課税というところですが、ここの幅がシェアとしては3割いらっしゃるのですが、この幅が非常に大きくて、それを十把一絡げで取り扱うのはいかがという指摘が各方面からいただきまして、市長会、町村会ともいろいろ検討してきた結果、第2段階、第3段階というのを2つに分けるとしたわけですが、ここで国民年金相当の水準の方について第2段階となるわけですが、ここについてはむしろ負担の軽減を図ると。新第3段階、これは世帯全員非課税ではありますが80万円以上という方ですが、ここは若干増えるということです。ただここでの第3段階の80万円すれすれとか、その辺は、変更すれば逆転現象が生じますので、ここのところの対応をどうしていくかという課題認識は持ちつつ検討しているという状況です。

新たなサービス体系の確立
これまでは指定は全部都道府県でしたが、左に書いている小規模なもの、あるいは認知症というものについては、市町村が指定をし、監督をするということにしたいと思っています。いくつか背景はありますが、一つは保険者から見ると全然知らない間に事業者が指定されて、俺たちがつくっている介護保険事業計画は何なんだと。何らかの見込みは立てておけるような計算はすれども、知らない世界でどんどん参入してくるという不満。それとあまり大幅に引っ越ししなくても済むようなサービス形態を用意していくというようなことから、こういったように少し役割を分離していこうということです。
 では大幅な引っ越しを避けようとわれわれは考えるのかということですが、自分がどうして引っ越しをしなければならないのか、どうしてここで生活をしなければいけないのかということを論理的に状況を整理して、自分が腑に落ちる、自分が納得する、よってここで新たな生活を始めようと。構築していこうということを整理するのが不得手な病気になったということです。その環境が代わったときに、うまいこと言語を使って自分の意志を証明する。コミュニケーションを図る。これも不得手になった病気であります。よって直感的な言動、行動が多くなるわけでして、それを指摘され、あれこれ関与、介入されることのストレスというようなことを考えていきますと、あまりそういうようなご負担がかからないというようなことを模索すべきではないかということから、このような地域密着型というようなことを提案申しあげているわけです。
 この法律で痴呆という言葉を認知症ということに法律上改めます。これはなぜ改めるかというと、痴呆という言葉は、どうやらその言葉を聞いたとたん、この人は何も分からなくなってしまった人というイメージが定着しすぎたのではないかと。そして問題行動というイメージも定着し過ぎているのではないかと。とすればいったん呼び方を変えつつ、しかし非常に本人自体が、記憶力が低下し、周囲も言うならば場にそぐわない言動、行動に寄せられる批判的な周囲の目、それを察知しつつ何年間も衰えていく自分を見るという苦しみ、そういう信条をきちんとみんなに分かってもらいたいという認知症を知るキャンペーンというものを展開していこうと思っています。
 冒頭、私の義母も認知症と申しましたが、まさにその人のこれまでの5年、10年を見ていますと実感できるわけです。そのことが理解されていなければ、ご本人のストレスたるや如何ほどかと思います。そこでの初期対応、相性のまずさから、そのストレスが症状を悪化させるということは容易に想像できます。一口に障害の事情といいますが、なかなかそれは容易なことではありません。「うちの婆さん最近変わったね」ではなくて病気だからというようなことが多くの方々にご理解いただいて、そして症状の進行が少しでも遅らせることができればと思うわけです。
 
地域密着型サービスの創設
地域密着型というのは、こういう小規模である程度の視覚的に残像が残っているような地域で生活が継続できればという願いのものです。

小規模多機能型居住介護(仮称)のイメージ
小規模多機能という、これは言ってみれば通ったり、来てくれたり、たまに泊まることもできるというようなものです。そしてたまに泊まるのがずっと住み着くようになれば、それは連携居住事業所で生活を営んでいただくというようなイメージです。いまでも短期入所もあれば、訪問介護もあれば、通常介護もあればということですが、それぞれが事業所の規定で雁字搦めにあっていますので、ここは少し総合的な拠点として、運用が少し弾力的にできるような配慮もしていきたいと思いますし、ただ具体的な基準、報酬をこれからどうするかというのが大課題ですが、これはもしこの制度改正が容認いただければ、具体的に審議会を立ち上げていろいろ検討を進めて行きたいと思っています。

地域介護・福祉空間整備等交付金の仕組み
市町村が計画をつくり、こういった基盤を整備していく際に、市町村が基礎自治体としてそういう住民にどういうサービスを提供していくかというときに、基盤整備を誘導する一つの手段として、交付金というものを用意しまして、そして各市町村がどういう計画に基づいて、どういったまちづくりを推進していこうということなのか。そこに計画自体を評価して、交付金という形で財政的支援をしようという狙いのものです。従来、社会福祉施設整備費というものがありましたが、補助金改革とか三位一体とかいろいろある中で、いま申しあげましたような考え方で衣替えをしたということです。

ケア付き高齢者住宅の整備状況
年老いてどこで住むか。年老いてどこで生活を営むかということからすると、自分のうちか介護施設かという二者択一ではなくて、もう一つ最適に老後を想定した自分の生活の営みという場があってもいいのではないかということからすると、ここに掲げているいくつかの国との比較では、右側のケア付き住宅という形態が、我が国においてはほとんどないということですから、この辺に一つ特定入所生活介護というサービス形態も、もう少し増えてもいいのではないかということから、少しそのあたりの要件の緩和等を図っていきたいということの背景にこれがあります。

新しい「住まい」の充実
 その中で新しい住まいの充実というようなことで、これがそういう居住があって、そこで要介護になれば介護保険を使って引っ越しをしなくてもそこで生活の継続ができるような居住形態がもっと増えてもいいのではないかということです。

介護サービス情報の公表の義務づけ
サービス情報の公表の義務づけということで、この辺は自立支援をサポートするサービスシステムとして考えられるものです。基本的な考えは、利用者がサービスを選択するに際して、どういう情報を欲しいか。これは事業者が提供することですから、どうPRするかということにもつながるわけですが、しかしそれを事業者だけのPRに委ねると、項目もまちまちということになってきますし、内容もはたしてということになりますので、公表すべき項目については、一定程度標準的にガイドラインを決める。その情報の種類を大別しますと、客観的な事実でありますから、それは事業者に委ねていいものと、何々をしているとか何々ができているとかというようなことについては、少し行政も確認した方がいい。事実を確認する。評価ではありません。公表しようとしている情報が事実かどうかという確認をするということです。
 その事実情報と確認情報を合わせて、これを都道府県で開示していただく。そうしますと、共通した情報項目について、何を事実として確認するかというプロセスを経て情報が出てくる。
 一方事業者から見れば、そういう確認作業を通して、ケアの手順はどうかとか、組織の運営はどうかとかというようなことを自己チェックできるというようなこともあって、これが相まってサービスの質ということにつながっていくのではないかということを期待しているわけです。

事業者規制の見直し
規制緩和真っ盛りの中でつくられた介護保険制度というのは、あまり規制がそれほど厳しくはない。参入自由、事後チェックといわれても、私はこの3月までは、指導室というところでそういう仕事をしておりましたが、なかなか難しいというのが担当としての実感ですが、そういう意味で少し欠陥事業を明らかにするとか、あるいは更新制を導入するとか、この辺は医療保険で既にあるような仕組みを遅ればせながら介護の制度でも入れる。
 3の勧告、命令とありますが、行政処分として指定取り消しという伝家の宝刀、指定一発しかないというのでは、なかなか役所も動きにくいということでして、少しことの案件に応じて勧告をするとか、それでもだめなら是正命令を出すとか、それでもだめなら一時営業停止をするとか、最期に取り消しということです。あまり過度に役人本意でいじめることを旨とするものではなくて、こういうようなことから緊張感を持ってサービス提供にあたっていただきたいという願いです。その結果なかなかということになれば、6年目の更新という関門も一つ待っているということにつながってくるわけです。
 
ケアマネジメントの見直しの全体像
ケアマネジメントの見直しは、言うなればいろいろ大変ですし、中立・公平というところでのいろいろな意見もありますので、そういった中立・公平ということを考えつつ、ここに主治医の連携の強化と書いているのは、健康ということからすれば、大方の人が何らかの要求を抱えているわけでして、そこは私は知りませんということではなく、日常生活の営み方自体が介護予防にもつながっていくことですから、主治医の連携が必須であるとか、そういう面での資質・専門性の向上を図っていくとか、独立・中立性ということでは、担当件数の見直しとか、報酬云々と書いてありますが、これも今後の部会での議論につながっていくことになります。
 これらのことを地域全体でうまくやっていこうということで地域包括支援センターというものが提示されています。この辺は後のパネルディスカッションでも一つのテーマかと思いますので詳細は省きます。

保険料段階の改正案イメージ
 ここでは保険料5段階を6段階ないし上の方はもっと保険者の裁量によって細分化できるということでの改善を図りたいということです。
 
要介護認定の見直し
介護認定の見直しについては、過度な掘り起こしとか言われるものですから、少しそこの適正化という観点から、手続きの見直しを図るという主旨です。

被保険者・受給者の範囲
被保険者・受給者の範囲ですが、支え手の拡大ということもありますし、介護の普遍化ということもありますが、制度をつくるときも大議論でしたし、今回も大議論でしたが、結果としては再びここに書いてあるような付則の表現で国会に提案されているという状況です。
 時間になりましたが、あと付いている資料は、介護予防効果が重度化が10%阻止されれば、20%阻止されればどういうシミュレーションになるかという資料です。
 早口で申しあげましたので、どこまでご理解いただいたか自信がございませんが、以上で私の話を終わらさせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。
パネルディスカッション

「介護保険制度の改革すべき課題は何か」

  コーディネーター 横山 純一(北海学園大学法学部教授)
  パネリスト 石黒 秀喜(厚生労働省地方厚生局大臣官房参事官)
         柳  宏志(連合本部生活福祉局)
        浦屋  謙(札幌市保健福祉局保健福祉部介護保険課長)
         千田しげ子(サービス協会白石センター・自治労さっぽろ公共サービス労組執行委員)

自己紹介と見直し案への感想等について
<横山>
 コーディネーターを務めさせていただきます横山です。今日は、最初に各人、パネリストの皆さんに自己紹介をいただいて、あるいはそれぞれの立場から若干の介護保険の見直しに関する感想みたいなものを最初にいただきます。その後、具体的に討論に入っていくわけですが、私の方で討論の柱を4つぐらいに絞っております。
 1つは、介護予防重視型システム、これが今回の介護保険の大幅見直しの非常に重要なものになります。これについて議論をしたい。
2つ目は、地域包括支援センター設置の問題。あるいはケアマネージャー制度の充実に関わってきますので、それを一緒にしまして議論をしたいと思っています。市町村の役割もその中でかなり強化されるというのが今回の見直しの一つの特徴でもありますので、そういった問題も絡めながら議論をしていきたい。
 3つ目は、痴呆ケア、あるいはグループホームに関する問題についてやりたいと思います。
 4つ目は、ヘルパーなどの労働条件の問題とサービスの質の問題。この問題を扱っていきたいということで4つを討議の柱にしたいと思います。
 本当はこの他に施設給付の低所得者対策は行われるわけですが、全体として施設給付の負担が増えるという問題だとかいろいろな問題がありますが、時間の関係で恐らく施設給付の問題までは入りきれないと思っています。もちろん4つの柱でやりますが、フロアーの方からの質問は4つの柱に拘らずに、もっと広く質問、あるいはご発言いただいていっこうに構いません。
 それでは早速始めさせていただきたいと思います。最初にパネラーの皆さんの自己紹介と、いま石黒さんからに講演がありましたが、若干の感想をひとり5分以内で述べていただければと思います。
見直し案は、志が高く、先進的である
<柳>
 連合本部の柳と申します。私は連合に学校を出てからそのまますぐに就職しまして、実は介護保険が始まった2000年4月に連合に入りまして、介護給付費の第1回の見直しあたりから介護保険の担当をしております。
 早速本題に入りますが、今回出されている介護保険改革の問題ということで、石黒さんの資料の7ページに項目立てがあります。連合の法案に対する考え方というのは、黄色の冊子に書いておりますので、後ほどお読みいただけたらと思います。
 一言で言いますと、今回の改正というのは、別に石黒さんがいるから言うわけではないのですが、非常に志が高くて、先進的で、概ねすごくいいと評価できるものだと思っています。しかし多少われわれとしては、もうちょっと補強してもらいたいという点もありまして、まず7ページの下の方のいくつか上がっている項目ですが、「予防重視型システムへの転換」、これは 後ほど集中的に議論されると思いますが、一言で言うと要介護になる前から一貫して予防を提供するということが画期的なことでなされたというのは、非常にいいことです。
見直しは、施設個室の徴収に限定すべきではないか
 「施設給付の見直し」に関しては、ちょっと問題があると思っています。というのは、厚生労働省が施設給付、ホテルコストを取るという根拠にしているのが、在宅の方は光熱費とか家賃とか払っているけれど、施設の方は保険から出ているということで不公平ではないかということらしいのですが、本当にそうかということです。というのは、施設というのはだいたい個室というのは殆どまだない。たいていは4人部屋でカーテンで仕切られているというところで、本当に在宅、自分の本当に住み慣れた、何でも自由がきく家と、プライバシーもないと。ことによってはポータブルトイレを横に置かれて、そこでトイレの用を足さなければならないというところで本当に公平なのか。
 同じように家賃を取った場合、逆に施設と在宅で家賃を両方取ったときに、居住環境は絶対圧倒的に施設の方が不利なのです。これで本当にホテルコストを取るという根拠になるのかということです。ですから連合としては、個室に限定してホテルコストの徴収はして欲しいということを言っています。
 「新たなサービス体系の確立」、これも非常に先進的でいいと思っています。最期まで住み慣れた地域の中で、友達とか家族とかに囲まれて要介護になっても過ごせるというところで、そこに在宅重度の方でも支えられる体系をつくろうというのは、非常に大賛成です。
 「サービスの質の向上」、これもきちんと取り組んでいただければ、量はある程度いっているので、これからがサービスの課題であるということもその通りであるということです。
全年齢者、障害者も区別せずサービスを使えるようにする
 あとは、「被保険者・受給者の範囲の拡大」で、連合としては創設当初から全年齢を対象として障害者も全て区別せずにサービスが使えるようにすべきだということを言ってきました。
 石黒室長は、先ほど義理のお母さんが要介護4で認知症ということをおっしゃっていましたが、私は実は5ヶ月前に父親が死にまして、それがガンだったのです。55歳でした。保険料を払ったのですが、2号被保険者ということでガンは入っていませんから、体は全然自由が利かないのですが介護保険は使えませんでした。これはちょうど部会で被保険者の範囲拡大をするかどうか議論している最中だったのです。ですから連合から部会員が出ているので言いましたが、本当に悔しくてたまらなかった。使える人はちゃんと使えるようにして欲しい。しかも介護保険料を払っていますから。
 ということで連合としては、保険料の払う人は医療保険に加入している人ということで、受けられるのは介護が必要な人は全て受けられるようにする。典型的な介護の部分は介護保険で担うと。障害者に関しては、障害者の特別なニーズに関しては、障害者施策で引き続きやるというような要求をしています。これに関しては検討の場が設置されるということですので、引き続き拡大に向けて連合として取り組みたいと思っています。
「住み慣れた地域で」という視点は評価する
<浦屋>
 札幌市の介護保険課長をしています浦屋と申します。よろしくお願いします。私は、昨年4月に介護保険課長ということで着任をさせていただきました。介護保険との関わりということですと、平成11年に区役所におりまして、そこで介護保険の仕事に携わったのが初めてです。それ以前は、札幌市の外郭の財団法人のサービス協会で白石センターのセンター長として出向をしていました。ただ当時は措置制度で、当時、常勤ヘルパーさん10名とパートさんが90名ぐらいだったでしょうか、100名ぐらいで訪問介護事業を行っていた。そのときから区役所に移って、契約の介護保険に変わるという中で、ドタバタの中で何とか平成12年4月から実施しようということで、介護保険に携わらせていただきました。
 11年の頃のことを思い出しますと、当時は、平成11年10月から準備認定も行いましたし、連合町内会ごとに介護保険の主旨の説明をするということで、町内会を数多くまわらせていただいて、パンフレットを中心に分からないながら介護保険の趣旨を徹底させていただくという仕事をさせていただきました。その中で必ず言ったキーワードは、住み慣れた地域で生涯を終えたい。最期まで安心して暮らしたい、暮らせるような制度としてこの介護保険制度を導入するのですということで、市民の方のご理解をいただくというようなことをしたかと思います。
 その後、途中、市の職員ですので、違う職場にもまわらせていただいて、昨年また介護保険に戻ってきたら、当時5年後に見直すということがあったのかなと。私自身、その付則の条項が分からないまま、そういうことで私はまた戻されたのかということで、今回の改正ということで仕事をさせていただくということになりました。
 先ほど参事官の方からもお話がありましたが、当時の感覚といまの感覚から申しあげれば、やはり住み慣れた地域でという視点からいえば、今回の法制度の改革というのは、評価できるのではないかと私も考えておりますし、いままで保険者というのは、保険料を集めて、それを事業者に寄付するという仕事がメインで、なかなか事業者さんとの関わりも、またサービスの内容の確認もできないようなこともございましたが、保険者機能の強化ということも盛り込まれていますし、今後はさらに保険者としての市町村責任が重くなるのではと考えております。
 北海道、特に札幌は、皆さんもよくご存じのように施設志向が強いとか、なかなか在宅での生活が、雪国ということもあって困難ということもありますが、もう一度介護保険の主旨、原点にかえって、在宅での生活がどれだけ充実してできるかというところの責任の一端を保険者としても担っていかなければならないのかなというようなことを考えて、いま仕事に携わらせていただいています。
非常勤ヘルパーが増えて、組織化もなかなか進まない
<千田>
 いま浦屋さんがサービス協会にいたというのを初めて知ったのですが、その方々も皆さんホームヘルパーとして現在も活動しているということでご報告しておきます。
 私はサービス協会に平成8年に入ったとき既に組合がありまして、その時は120人ぐらいの常勤職員がいました。現在は3,000人ぐらいの利用者の中にヘルパーが900人ぐらいの非常勤ヘルパーと札幌市で活躍しています。9割が非常勤ヘルパーということで、組織化もなかなか進んでおりませんが、組合の一員としてヘルパーの北海道の代表幹事も務めさせていただいているということもあって、ここにいるのだろうなと思います。
 普段サービス提供責任者の問題とか、ヘルパーの報酬単価とか、ケアマネージャーがひも付きだったりとか、いろいろ日頃不満とか問題を考えながらやっていますので、今日、参加できたことをうれしく思っています。緊張しておりますので、あとは横山先生に具体的な話題の中から発言させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

介護予防重視型システムについて
<横山>
 どうもありがとうございました。自己紹介等をやっていただきまして、これから具体的に一つ一つ討論の柱にそってやって参りたいと思います。
 最初に介護予防重視型システムということについての議論をしていきたいのですが、いま石黒さんの方から報告がございましたが、簡単に私の方で1〜2分でもう一回まとめさせていただきたいと思います。
 石黒さんの資料の8ページ、現行の介護保険の中で要介護1と要支援の人が、要介護2から5までの人に比べると、大幅に伸びているという現状があるわけです。そして次のページの11ページ、そういう中で今回、要介護2から要介護5は、これからも同じような介護給付ということになります。要介護1の人が二手に分かれまして、要介護1という介護給付の人と、要支援2という、これは仮称となっていますが、いわゆる介護予防給付の方に移る人。それから要支援の方はそのまま要支援1という形で介護予防給付になるというふうな分かれ方をする。つまりいままでは介護給付だった人たちのうち、要支援の人と要介護1の大部分の人が新予防給付、あるいは介護予防給付のものに変わってくるということです。
 12ページで、介護予防の具体的なメニューは何かということですが、これはよく新聞報道等で筋肉トレーニングだけみたいなことがいわれるわけですが、それはそうではなくて、新たなサービスの一つとして筋力向上の筋トレが入ってくるということだと思います。それで訪問介護、通所介護、通所リハビリなどは、恐らく上の方に予防と付くのだろうと思いますが、予防訪問介護とか予防通所介護というような形で続いていくということになると思います。但しこれから議論の中でいろいろ詰めていく課題がいっぱいあると思います。
 それから要支援と判断された方につきましては、いままでのケアマネージャによるケアプランではなく、地域包括支援センターの保健師によって介護予防給付のプランがつくられるということになるのです。
 簡単に私の方から申しあげましたが、そこで具体的に議論に入りたいと思います。介護予防重視型システムの問題点や課題は何か、あるいは転換は可能なのか、またどうすればうまい具合に転換になるのか、こういったことにつきまして少し議論をしていきたいと思います。
新たなサービスの導入の検討項目は、介護利用者のアンケート結果、1位「転倒しないように」2位「身の回りのことは自分で」3位「食事に気を付ける」など望むものに… 
<浦屋>
 介護予防重視型システムへの転換ということですが、保険者といたしましては、介護保険の制度、またサービスの内容等は、日本のどこに行っても同じサービスが受けられるということで、サービス内容の決定等は国会の審議ということがございますので、そこを重視して、それに保険者として対応して参りたいと考えていますが、これから第3期の介護の事業計画ということで保険料を決めさせていただく作業の中で、毎回ですが、アンケートを取らせていただいております。その中で事業者さんへのアンケート、高齢者へのアンケート、また今回は軽い介護度の方のアンケートというのを取らせていただきました。
 その中で「要介護度が重くならないように気をつけていること」ということで、アンケートを取らせていただきました。その結果一番多かった答えが、「転倒しないように気をつけている」、2番目が、「身の回りのことは自分でするように心がけている」、3番目が、「食事に気をつけている」、他にも何項目かありますが、上位3位はこういう内容でした。そういう意味から行きますと、いま新たなサービスの導入等の中で検討されている項目というのは、ある程度利用者さん達が望まれている内容なのかなという考えも持っています。 ただこれらの事業、サービスを提供してくれる事業者さんがどれだけ参入してくれるかということも、保険者としては心配の種ですが、事業者さんへのアンケートの中では、「いま厚生労働省の方で考えられているような中味を行うような意向はございますか」という質問もありましたが、7割以上の事業者が参入してみたいというようなアンケート結果も出ておりますので、充分な転換ということになるには時間は必要かなという、厚生労働省でも段階を踏んで、3年後充実した内容にするというような言い方をして下さっていますので、そういう意味では、札幌市としても対応はできるのではと考えております。
家事援助型サービス利用者は今後、介護予防メニユー対象者へ……7割削減は雇用問題に影響
<千田>
 介護予防に関していいますと、いまの要支援、要介護1というのが、サービス協会は一応財団法人、公共サービスになっているという意味合いもありまして、他事業者のケアマネージャーさんはとても家事援助型はたくさんくれるわけです。断れないという位置づけでずっと受けてきた結果、71%ぐらいが要支援、要介護1というそれだけの仕事量をここの介護予防メニューの切り離された部分に利用者がいるということになっています。
 そこで私たちの会社としては、セーフティーネットの位置づけを持っているという2枚看板をしながら、介護保険制度で生きていきたいという両方の意味合いを持ってやっているので、行けば損をする利用者にも行っている、このことがはっきりしているという利用者も受けているわけで、基本的には7割削減されるであろう数字は、すごく重く受け止めています。800人、900人いるヘルパーさんの雇用の問題も大きく影響すると思っています。
訪問介護により「活き活きと生きる」「生活を充実させる」という評価は必要
 もう一つは、生活リハビリ的な関わりを評価して訪問介護が残っていけるかどうかという、ただの家事援助の家事代行型訪問介護はいかんということを言われてずっと来ておりますが、やはり訪問することでその人が活き活きと生きていくとか、生活を充実させていくというその辺の評価がなく、ただ作業、掃除、洗濯ばかりということで、すごく悪いイメージ、やり過ぎヘルパーはいかんということで、きつく言われているようなのですが、やはり総合的にもうちょっと評価していただいて、対人援助サービスのプロであるという集団を何とか作り上げていきたいという思いでいまやっています。
「軽度の方は予防へ、給付を抑制」する方向、訪問介護すればするぼと悪化し、重度になるのか?
<柳>
 予防に関しては、廃用症候群になっているということで、軽度が爆発的に増えていて、財政的にもここを押さえたいということで、新予防給付ということになります。 
 石黒さんの省で恐縮ですが、11ページ、この軽度の方は、とある講演会で老健局長の中村さんがおっしゃっていましたが、ここを給付抑制しないと。だから軽度の人はもう予防にまわってもらって、予防の単価も落としたいということを言っていましたが、根本的に本当にヘルパーが訪問して介護をやったから悪化しているかどうかというのは、いま国会で議論されていて、ただ訪問するごとに、すればするほど悪化するというデータを厚生労働省は出すわけですが、それは単純に悪化するからヘルパーが多く行くだけではないかとか、そういう議論があります。
政令省で具体的な数値等の基準が明らかに……実際どうなるかわからないのは問題だ
 制度的には、法案が通ってから具体的な細かいところは厚生省政省令をつめるということで、実際どうなるかということは今のところよく分からない。
 われわれの懸念としては、廃用症候群は軽い人で、適切なサービスがあれば維持とか改善ができる人だということで判定して、そちらの方は新予防給付にまわって要支援になるということですが、それは維持改善、可能性は、誰がどういうふうに判断するのか。認定審査会でやるということですが、本当にそれが判断できるのか。スクリーニングの在り方というのが、今後どうなるかというのが心配の種です。廃用症候群で重い認知症の人がいるかもしれない。認知症の人は、予防給付の目的が理解できないから、本体給付の要介護になるけれど、じゃあ両方とも二つ兼ね備えた人はどっちに行くのかとか、そういう問題があります。
 予防の実施主体の方も、どういうメニューを予防に効果があるものかと。どういうふうなメニューをピックアップして、どうプログラムを作るのかというのは、これまでは率直にいえば、予防給付というのはもう既に介護保険に組み込まれている。要支援の人に対する給付は予防給付ですが、これが実質的には何も本体給付と変わらないミニ介護給付だったというのが問題だといわれている。でも実際提供する方にしてみたら、本当に予防のプログラムはちゃんとつくれるのかと。これは相当な専門性がいると思います。市町村の方も、いろいろな業者がある中で、予防をきちんとやってくれる事業者をどのように見定めて、育てていくかというのが難しいのです。
 ということで、いろいろ難しい課題があるということで、考え方としてはいいのですが、家事援助がどれぼどカットされるのかと。単なる家事代行は切るということで、じゃあ国会で議員が質問するわけです。どれぐらい不適切な家事代行があるのか。一部なのか、半分なのか、全部なのか、それは一部なのか言って、その辺の基準をどのように舵を切っていくのかとか、その辺の細かいところがいっさい分からないので、考え方はいいけれど、懸念は多いというところです。
サービスの提供内容・提供量はどうなるのか、予防○○介護はどういうものになるのか
<横山>
 石黒さんにお答えいただく前に、私も関連して3名の方のご意見がありましたので、一緒に質問をさせていただきたいのですが、確かに筋肉トレーニングとか、栄養改善指導とか、それぞれ効果があることは間違いないのです。しかし高齢者も非常に多様ですから、今さら筋肉トレーニングをやるわけにはいかないという人もいるわけです。むしろ今までのように食事を作ってもらったり、掃除や洗濯が必要だという高齢者の方も多いわけです。確かに12ページにありますように、新たなサービスとして入ってくるのであって、訪問介護や通所介護ももう一方であるのですよとなってはいるのです。問題は、その時に内容・提供方法見直しと書いていますが、ここが問題だと思うのです。そこがもっと具体的にならないとどうなんだろうかと。
 そこで一つは提供内容がどうなるのか、あるいは提供量がどうなるのかというのをもちろん介護報酬とか財源の問題が決まっていませんので、今回の法案の中ではそこまでいかないわけですが、提供内容とか提供量がどうなるのか、その辺を少し石黒さんにお聞きしたいと。
 それから具体的にどうも上に予防という言葉が付いて、予防訪問介護とか、予防通所介護とか、予防通所リハビリとかになるようですが、例えば予防訪問介護というのは、どういうものになるのか、予防通所介護というのはどういうものになるのか、具体的にも少しお示しいただければと思います。恐らく3人の方も同じようなお気持ちがあるのではないかと思うのです。それも含めましてお答えいただければと思います。
早い時期に認定・アセンメント・マネージメントというモデル事業を展開し、審議会に提案したい
<石黒>
 まさにいま衆議院で議論になっているところでして、皆さんがご期待するようなお応えというふうにはなかなかいかないのですが、論点としてはご指摘されている点はそういう疑問だと思います。
 今の12ページでいきますと、※のところに、単に生活の機能低下をさせるような云々とありますが、いつからか表現が変わってしまったのですが、前は原則として給付しないと書いていたのですが、表現がマイルドになりまして、期間、必要性、提供方法見直しと。 一番知りたいのは、プログラムをどうすればいいのかということになってくるのですが、ここで明快にこういうことをやればということは、うまく表現する言語を持ち合わせていないのでうまく説明できないのですが、たぶんプログラムが先にあるのではなく、アセスメントの中でどういうプロセスを辿って悪化してきているのか。よってその原因を除去できる、あるは緩和するということからすれば、どういう対応が必要かというアセスメントの手法が求められる。
 そういう意味では、昨年来の委員会をつくって色々専門家にご検討いただいておりますが、さらにそれを詳細につめて、できるだけ早い時期に認定からアセスメント、マネージメントというモデル事業を展開していきたいと思っているわけです。その辺をやりながら、審議会に提案し、具体的な省令をつくっていくということになってくると思います。
要支援に家事労働がなくなってしまうのか?
 それからいちばんの議論としては、要支援には家事援助がなくなってしまうのかというあたりがいちばん議論、物議を醸しているところだと思いますが、先ほど私が申しあげた中で、今は現に困っているやつをぶっつり切るというふうには、きっといかないのだろうと思います。ただここで期間なり必要性と書いているのは、最初の入り口で状況をどう認識し、それを一定期間、一定の過程を置いてプログラムを組んでいくわけでして、その成果がどうであったかということをきちんとローリングしていこうということが基本であると思いますし、今は制度が変わった切り替えのときの問題と、こういうことを取り組んでさらにいろいろな成果なり問題点を整理することによって、私ども団塊の世代が利用者になるときに備えていこうということだと思います。
 介護予防、訪問介護はいったい何をするのかということになると、散歩すればいいのかとかということを期待するとすれば、そこまではまだ言えないということですが、たぶん何としてもご本人の生活をもう一回組み立ててくるというあたりの意欲をどういうふうに引き出していくかというあたりが大事なポイントになってくるのではないかと思います。
予防通所介護を想定した場合、ディサービスセンターのメニューと供給量はどうなるか
<横山>
 私の方からもう一点質問したいと思います。もう少し具体的に、例えば予防通所介護というものを想定した場合、今までだとディサービスセンターに行きますと、たいてい同じようなメニューをディサービスセンターの中でやります。もちろん体調の悪い方などは、また別メニューになったり、ちょっと休んでいただくとかいろいろあるのですが、今後、予防通所介護になったとき、かなり各自にあったメニューをやるようになるのですよという話も一度ある厚生労働省の方から聞いたことがあるのです。そうするといろいろなメニューがあればあるほど、逆に介護予防で給付費を減らそうというときに、いろいろなメニューをやれば、逆にコスト高になります。その辺との関連がどうなのか。逆にコスト高になりますから、全体としたら提供量を落とすことになるのではと感じるのですが、いかがでしょうか。
訪問通所介護の機能は、本人と家族の問題が複合されている効果。栄養改善など人にあった細かいものの見方が必要になってくる
<石黒>
 コスト高になる可能性もあるかもしれませんし、そうでないかもしれない。いまここでどっちだと断言はできませんが、例えば先生が言いました訪問通所介護というのは、現状でどういう機能を果たしているかというと、いろいろ捉え方があるでしょうが、私としてはご本人が時間をどう過ごすかということと、ご家族が家庭からそこに通所している間に、ご家族がどう時間を過ごすかという、よくレスパイトと言われますが、ご本人の問題とご家族の問題二つが複合されている効果だと認識しています。
 例えばなぜ栄養改善が出てくるかというと、食べる、飲むということが非常に大事なことですから、その人の通常の食生活なり、そういうことをどう捉えているか。例えば私が事例研究で行ったところのケアマネージャーは、その人の日常の食事とか、水分補給とかということをきちんと全体を把握されておられて、そしてディサービスセンターには、この人はこういう食事ですから、栄養という観点では配慮してもらいたい。それから水分というのは、その時聞いて思ったのですが、人間は1日2.5リットル水分を補給しなければならないのですが、食事一般で1リットル取って、従って積極的に1.5リットル水分を補給する。そうするとその人の日常生活では、家ではこのぐらい飲んでいるから、日中に何時間過ごすのだったら、ディサービスで水分をなんぼ飲ませてくださいとか、そういう具体的なことをやることによって栄養、水分というものを確保する。そのことによって低栄養とか、脱水というものを防止していく。
 あるいは、きちんと食べるためには、口腔ケアがきちんとしていなければ食べられない。またそのことによって食欲増につながっていくとか、そんなようなことからすれば、本人の状態に照らしてどういうプログラムを提案していくのかということにつながっていくでしょうし、認知症の人がその環境に合わないまま、ただただその8時間というサービスプランを提供されれば、その人にとってはストレスでありますから、それは症状増させるということにもつながりかねないというようなことで、そういった細かいものの見方なりが必要になってくるのではないかと思います。
筋肉トレーニングを充実させるための人材はどれだけ必要なのか
<横山>
 筋肉トレーニングの方ですが、これは自治体の人たち、これからいろいろ、実際にはやっている自治体もかなりあるのですが、今までの介護予防ということで、南富良野町、上富良野町などは非常に積極的にやっています。それで自治体として、今日来られている自治体の方でもいいのですが、この筋トレをこれからやっていくときに、専門家というか、作業療法士とかこういった人たちというのは、やはり現場として筋トレを相当充実させるとしたときに、必要なのか必要ではないのか、人材がどれぐらい必要なのかという問題ですが、浦屋さん、あるいは会場の中の自治体の人にお聞きしたいのです。
札幌市も健康づくり財団に委託してモデル事業を実施 OTPTの人員は足りているのでは
<浦屋>
 札幌市も今健康づくり財団というところに委託をして、モデル事業を行っているというところです。そこにはOTPTがついて行っているというところですが、違う議論の中でOTPTが本当に札幌市は足りているのかというような論議があったときに、専門学校等の卒業状況、それからそういう協会の登録者数等を調べさせていただいて、それをお示ししたことがありますが、札幌市としては、そういう方たちの数というのは、足りていると思いますし、積極的に関わっていただいて、もし筋力トレーニングというメニューをするのであれば、そういう方達に関わっていただいてやっていただきたいと保健所としては考えています。
必要だけれども採用が難しいのか?
<横山>
 自治体の方で筋トレをめぐって、別にOTPTはいらないと。それで筋トレはできるとお考えかもしれませんが、あるいはOTPTは本当に必要だけれど、なかなか採用が難しいとか、何かちょっとありませんか。空知中部広域連合の方、いらっしゃいませんか。
過疎地が難しい なかなか来てくれない
<空知中部広域連合>
市町村の過疎地におけるところがやはり難しい。特に過疎地には理学療法士というのは、なかなか来てくれない。それから作業療法士についても、なかなか採用しきれないというのが現状ですので、その辺が難しいと思います。
厚生労働省としては、専門家の配置、マシーンの活用などどう考えているのか
<横山>
石黒さん、これは厚生労働省としては、この筋肉向上トレーニングというのは、ある程度専門家を配置してやるということを想定されているのですか。それとももう少し弾力的にそんなマシーンなど使わないでやるのですよというのか、この辺はどうなのでしょうか。
何か義務づける、規制することはない 利用者本人が効果を実行実感出来ることが大切
<石黒>
 断定的なことは申し上げれませんが、最近の国会審議の状況から想像するに、何か運動機能の向上、筋力向上ということで、手法がこうであれ、プログラムがこうであれ、スタッフがこうであれという固定的なことを恐らく何か義務づけるとか、規制するとかということは、あまりないのだろうと思います。
 マシーンでなければ、足腰の弱体化を防ぐということだけではないと思います。それはそれで有効だと思いますが、茨城県のある村というところは、別にマシーン主義ではないのですが、それはそれで相当の効果があるという報告も出ておりますし、一般にマシーンが有利だと言われるのは、こまめに各部位を筋力評価をできますので、負荷がいくらからいくらに上がったとかというあたりを利用者本人が効果があったという実行感覚を持てるというところと、部位が固定されることによって、そこにかかる負荷がいつも同じところにかかるというようなことは、それをナイトチューブだとかダンベルとかというのは、ぶれてしまうので、その辺がどうかということが言われています。
 要は制度があるから励んで下さいというよりは、やはりしつこいようですが、そのことが自分の生活を維持してために必要なこと、そのためにどういうふうに場を提供し、後から黒子が押していくということに、延々の課題ですがそこに尽きるのではないかと思います。

<横山>
 パネリスト3名の方に、もう少し話し足りない点とかあるのではないかと思います。もう一言ずつぐらい何かありますか。
炊事など家庭的な活動が出来ない男性へのトレーニングや教育も必要
<千田>
 私の方でいつも考えていることがあります。特に団塊の世代以上の年代の方に、男性の家庭的な活動ができない方に筋トレしても炊飯器のボタンが押せないとか、生活に密着しないということをいつも思うのです。威張っていて奥さんに全部やらせていたご主人が、いざとなったらできるかというところをヘルパーでも第三者でも入ってトレーニング、それこそ日常生活のトレーニングだと思うのですが、その辺も厚生労働省の方で、主婦業ばかり攻めないで、夫の教育の方も必要ではないかとすごく思います。
「ぽっくり願望、男が先に死ぬ等々」は捨て、90歳まで生きる、一人でも生きる覚悟を
<石黒>
 本当にこの会場に男性がいっぱいいらっしゃるので、決して人ごとではないと思います。まずはぽっくり願望は一度捨てていただきたいと。それから男は先に死ぬという概念も捨てていただきたい。だから自分が90まで生きる過程において一人になるかもしれないということで、いま千田さんがおっしゃったように、自ら別に介護保険があるのではなくて、私の世代から家事は自分かでできるように、一つ電気炊飯器を使えるように是非お願いしたいと思います。
 ついでに言ってしまえば、私は自分が認知症になったときに備えて、自分の生活、生い立ち、性格の特徴、全部書いて用意してあります。是非そういう準備をみんなして下さい。
地域包括支援センターの役割とは
<横山>
 時間の関係もございますので、介護予防システムについてはこれくらいで、後はプランをつくるのは保健師だというあたりの話は、次のところで出て参りますので、そこで触れたいと思います。
 続きまして、地域包括支援センター設置の問題と、ケアマネージャー制度の充実をどのように図るのか、特に地域包括支援センターについては、わりと画期的なことでして、市町村の役割が相当強化されるということにはなるのですが、ただそれがどういう形になるのか、これもまだよく分からない部分が一杯あるわけですが、一応、地域包括支援センターについては、石黒さんの資料の24ページに地域包括支援センターのイメージが書いています。
 地域包括支援センターの役割というものが大きくいえば3つあるわけです。一つは、保健師等となっていますが、中心は保健師だと言っていいと思いますが、ここの人たちが地域包括支援センターに配属されて、介護予防のマネージメントを行うということになってくるわけです。つまり要支援の人達に新しく要支援になる1、2の方の部分の新予防給付に関わるというのが一つ。
 もう一つは、社会福祉士を配置しまして、高齢者虐待の防止だとかいろいろありますが、各種相談、支援業務等を行うということになっています。
 もう一つは、スーパーバイザー的なケアマネージャーを置いて、そして民間のケアマネージャーさん等に対する様々な総合的な支援を行うという役割を地域包括支援センターがもってくるということになります。中学校区帯にだいたいつくるというようなこともありますので、函館のパネルでは、函館市内では十数カ所ぐらい必要かなという議論も出たりしていましたが、そういう地域包括支援センターというものです。医療機関等との連携なども当然出てくるわけです。
ケアマネージメントの専門性の向上をはかるには……
 もう一つは、ケアマネージメントの見直しというのが24ページに出ていますが、そういう中でケアマネージャーの資質、専門性の向上ということで、ケアマネージャーの更新制だとか、あるいはケアプランの担当件数を減らしていくとか、そんなことが打ち出されております。
 それでは、概容はそういうことですが、そこについて少し議論をしたいと思います。最初に今度は千田さん、柳さん、浦屋さんの順で行きたいと思います。
訪問介護がなくなり、私たちの出番がなくなる不安がある
<千田>
 このページで見ますと、よく見る絵ですが、訪問介護がどこにもなくなってしまったので、私たちの出番がないのかという不安があって、唯一居宅サービス事業所というのが一カ所ちょこっとあるだけで、この場で意見もあまりないということで終わります。

<横山>
 むしろ浦屋さんとか柳さんの方が意見がいっぱいあるかもしれません。
ケアマネジメントの独立性の確保、そのため報酬の改善、担当件数の削減が必要
<柳>
 まず、石黒さんの資料の24ページ、ケアマネの方は、地域包括支援センターの創設ということで、ケアマネの方は基本的にこういう見直しの方向でやってもらいたいということで、皆さん重々ご承知の通り9割がサービス提供の事業所と併設されていて、独立性の確保が必要であるということです。だから独立できるだけの報酬をきちんと付けて欲しいということ。それから連合の加盟組合で働いているケアマネさんなどに聞いても、担当件数50というのは多いということで、どうも厚生労働省は30ぐらいでお考えのようですが、それぐらいに減らしていただきたいということです。
 もしお時間があれば、石黒さんに教えていただきたいのですが、ケアマネージメントプロセスに応じた報酬体系というです。いちばん見直しの方向性も下の方ですが、これはどういうことになっていくのか、もしかしたらこの中にケアマネさんがいらっしゃるかもしれませんが、時間があれば教えて下さい。
 それから地域包括支援センターは、先ほどの介護予防の方で問題になりましたとおり、予防のマネージメントをやるということは、基本的には従来のいわゆるケアマネさんは、予防の方ではなく本体給付の介護のマネージメントをやると。予防の方は、地域包括支援センターが受け持つと。そのプランは保健師さん、それから経験のある看護師さんがやると。但し原案作成に関しては、ケアマネージャーさんに委託ができるということになっているのですが、本当に先ほども申しあげました通り、非常に専門的な知識とかが必要ですから、保健師さんとか経験のある看護師さんはすぐできるかというと、もちろんできる方もいらっしゃると思いますが、いろいろ研修とか体制の整備などが必要になってくるのではないかと思います。
在宅介護支援センターはどうなっていくのか?
 それから在宅介護支援センターは、いま8,900カ所までできましたが、それとの関係もよく分からないのです。こちらをつくってしまって、これは5,000カ所になるということだそうですが、基幹型のしっかりやってきたところは、地域包括支援センターに衣替えするかもしれないと。その要件としては、地域包括支援センターの中心的な事業である予防のマネージメントとか相談支援事業、それからケアマネの支援困難の事例をもっているケアマネのフォローということがあればなれるということですが、じゃあ在宅介護支援センターはどうなってしまうのかということです。その辺の整理をきちんとして整合性を図って、きちんと体制整備を取らないと、これは、連合としてはものすごくいいと思うのです。ただうまく運営しないと、在宅介護支援センターはなかなかケアマネ事業の方に力が入ってしまって、在介機能が低下しているようなところの二の舞になりはしないかということでちょっと心配はしています。

<横山>
 大変重要な論点が出ていると思います。続きまして浦屋さんお願いします。
地域包括支援センター事業は、制度見直しの目玉
<浦屋>
 地域包括支援センターという事業につきましては、今回の制度見直しの目玉だと考えておりますし、保険者が中心としてやらなければいけないというふうに厚生労働省の方で示されたときには、厚労省の方と打ち合わせするときも、人もいない、お金もないということで、本当に対応できるのだろうかというところでいろいろ相談申しあげたということも昨年はありました。ただ最初に申しあげました通り、地域での在宅生活を支えるという意味では、大変重要なシステムだと私も捉えていますので、札幌市としても制度見直しの18年4月から取り組めたらという方向で考えております。
 いろいろな内容の決定は、札幌市の場合、介護保険事業推進委員会という民間の委員さん含めた会の中で決定していくということですので、その中の議論でどうなっていくかということもございます。ただ先ほどありましたように、地域包括支援センターは積極的につくり、また地域での在宅生活を支えるという考え方は、推し進めていきたいと考えております。
市内に基幹型・地域型在宅介護支援センターが74カ所 有効に活用していく
 その中で、先ほどどのような体制でということがありましたが、札幌市の場合は、基幹型在宅介護支援センターが区に1カ所で10戸。それから地域型が64カ所、合計74カ所あります。これらの財産を有効に活用していかないと、在介センターの役割ということもあると思いますので、有効に活用して支援センターの設置の方向へ進めていきたいと考えておりますし、予防マネージメントという話もありまして、どちらかというと介護というよりは保険という側面が強い内容です。札幌市の場合、各区に介護保険事業、老人保健事業に携わる保健師さんが約60名配属されていますし、また訪問指導を行っている保健師さん、これは在宅サービス協会に委託しているということですが、そこにも保健師さん、看護師さんが大勢関わっていますので、予防という観点から行くと、保健師さんの果たす役割が非常に高いのではと認識していますので、これらの方をどう有効に活用するかでこの辺のシステムの内容が決まってしまうのではないかということで、具体的な内容が示された後、突貫工事で内容を進めるということにもなろうかと考えていますが、できるだけこのシステムをしっかりとしたものとして進めたいと考えています。
ケアマネージャーが質の高いプランをつくるため、件数を減らして報酬も減るでは困る
<横山>
 大変いろいろな論点がでて、少し議論をしたいと思います。私の方からも質問がありまして、一つはケアマネージャーの方、ケアプランの件数を少なくするという非常に大切なことですし、ずっとあったのです。あまりにもたくさん抱え込んでいるという中で、なかなか高齢者やその家族とパイプを太く持ちながらケアプランをつくるというふうにいかないケースもいっぱいあったわけです。そしてまたケアマネージャー自体が非常に多忙であるということがありました。そういう面で言えば質の高いケアプランをつくる。そしてケアマネージャーの多忙化も防いでいくという意味では、明らかに件数を減らすということはいいことです。
 もう一つあるのです。それは何かというと、実情の介護報酬等を考えていったときに、たくさんの件数をこなさないと、なかなかぺーしないのです。ですから件数を減らしたけれど、収入もそれに比例するように減りましたということだと、ちょっとこれは問題になるわけで、その辺がどうなのかということを石黒さんからお聞きしたい。
在介センターは市町村直営が望ましい 民間に委託したところは活動にかなりの格差
 もう一点は、在介センターと今回の地域包括支援センターの関連なのです。私は一貫して介護保険が始まる前から、基幹型在介センターは市町村直営でやるべきだという主張をずっとしてきたわけですが、実際に市町村直営で在介センターをやっているところも北海道の場合かなり多いのですが、もう一方で民間に全て丸投げしてしまったというところもあります。そしてもちろん民間がしっかりやってくれればいいのですが、実際にはケアマネージャー中心でというケースがいっぱいあるわけです。
 ですからそういうところですと、在介センターから地域包括支援センターへ改組などは、恐らく非常に難しいと思うのです。その辺で審議会の中でも地域包括支援センターというのは、民間の在介センターを単に改組するのではだめなのだという意見も随分あったと聞いています。そんなことも含めて、今の2点を付け加えまして、それと浦屋さん、あるいは柳さんからの質問に対しても含めまして、石黒さんの方からお答えいただければと思います。
居宅サービス事業の中に12種類のサービス
<石黒>
 なかなかこれは難易度が高いわけでして、先ほど柳さんが在介の二の前にならないかということですが、柳さんはいろいろな事例を見ている中で、そういう懸念をお持ちだということだろうと思います。
 まず千田さんが、訪問介護というのがこの協議会の中にないということですが、居宅サービス事業の中には12種類のサービスが入っておりますので、別に排除しているものではないのですが、まとめて書いているということです。
ケアマネージメントの評価に応じた報酬の付け方があるのかどうか
 それから柳さんの方からケアマネージメントプロセスに応じた報酬体系ということですが、実はあまり私は承知していない、正直に告白するとよく知らない。しかしいま聞かれて、ここから個人的に思えば、機械的に一件計画をつくって給付管理所を国保連に出したらいくらというふうにするのか、やはり手順というものをより客観化し、評価する仕組みになれば、それは評価に応じた報酬の付け方があるのかどうかというあたりの問題意識ではなかろうかと。
地域包括支援センターは研修が大事、年寄りが3〜4割占める地域社会を維持していく役割への期待
 そして包括支援センターでやるには、研修なりが大事であるということになるというのは、その通りだと思います。一連のモデルの中で、今年モデル事業をやるとすれば18年4月にスタートするところを重点的に一緒に取り組んでいきたいと思っています。当然研修も必要になりますし、その際、ここはいろいろな多様な、言うなればお年寄りが3割、4割占める、そういうこれからの地域社会になるわけですが、そういう地域社会をどう維持していくかというある種のまちづくり的な、そういう面でもこういうところがいろいろ役割を期待しているところです。
予防は徹底して事例研究を通して成功事例を身につけていく
 予防に限って言えば、再三各方面から指摘されているのが、アセスメントからモニターに至るプロセスでありますから、恐らく制度の主旨とかあるいは手順のことを言っても、あまり研修効果はなく、マネージメントの表を見直そうということでいま研究会を行っていますが、別表を説明したところで、真の研究にはならないのであって、要するに手順に意味があるわけではなくて、徹底して事例研究を通して、それで具体的な成功事例、失敗事例というものを身につけていくということが、まず現実の本当ではないかと個人的には思います。
 ケアマネージメントの手順は初めてこの制度で示され、その手順に目を奪われ、そしてプランという形で給付管理表につながっていくということが、実務的には必要だったものですから、そこのところにずいぶん意識を奪われたということがありましょうから、やはり予防という観点、悪化をしないという観点で徹底した研修の在り方ということが必要になってくるのではないかと思います。
介護報酬の見直しはやる
 先生から言われた件数と介護報酬の問題ですが、ここであえて報酬の見直しというところを書いているとすれば、件数を削って、そのままであれば見直しという言葉は入らないのでしょうし、見直しの中でさらに下げるということは現実的にあり得ないわけでして、そこのところをそういう課題認識の中で具体的に限りある財源の中でどう整理していくかという問題意識だと思います。なんぼにあげるとかというのは勘弁していただいて、言うほどの情報は持っていないのですが、そういうことが気持ちの表れがここの文字に出ているのだろうと思います。
在宅介護支援センターは直営ないしは法人でやるべき、そして地域に貢献していくべき
 それから在宅介護支援センターの関係をどうするかということですが、そもそも在宅介護支援センターができたというのは、なかなか人事異動の激しい役場において、ユーザーからするとたらい回しになるというところから、ものの発想はそこから来ているわけですが、横山先生がご指摘のように、平成10年に基幹型センターをつくったときには、介護保険という構想がある中で、きちんと自治体としてそういった地域づくりというものは、やはり直営でやるべきであるということですから、要綱としても原則として直営、ないしは公的な法人というふうに書いている。やはり地方分権の中でこうでなければならないという国がガッチリ縛るわけにもいかないので、気持ちは表しつつも弾力性を持たせているということで推移してきているわけですが、今回の法律改正の中では、老人福祉法の中の老人介護センターというところの規定を直していまして、従来は市町村事業で委託事業でしたが、今回は委託事業ということが外れますので、法人の独自事業になっていくということです。
 それはそういう地域に相談なり応ずるという事業体としての地域貢献をどう果たしていくのかということです。議論としては老人福祉法からそれを削るという案ももちろんあったわけですが、しかし地域包括支援センターに移行するかはさておいて、一つのそういう地域貢献という中でそういう役割を果たしていくという事業体、法人にとって、よりどころとなる社会福祉事業ですから、それがよりどころとして、それをわざわざ消してしまうこともないだろうという判断から、老人福祉法に一部規定を直しつつ居続けられているというのが経緯だと思います。
地域包括支援センターは求めるられる難易度が高く、年寄りが住むまちをつくる出発添
 その上で地域包括支援センターというのは、他職種協働であり、そういう予備軍、そういうところに対する啓発なりを含めつつ、中立・公平とか、いくつか求められているというところをいっぱいゴチャゴチャ書いているぐらい盛りだくさんに置いているので、難易度が高くなってくるということだと思います。
 そうしますとこの3人が一生懸命頑張るのではなく、これは市の結局責任ですから、市町村の責任ですから、そっちが同じ気持ちを同じようにしつつ、これはアウトソーシングしたのだから、役場、本庁はもうアウトソーシングしてお終りなのだということではなくて、トータルとして企画政策部門と実施部部門がこれを支えることによって、3割、4割お年寄りが住むまちをどうつくっていくかということの改めての出発点ではないかと認識しています。
地域包括支援センターでの保健師の役割が増えるが……
<横山>
 今日は自治体の方が大勢お見えになっていますし、札幌市の浦屋さんにもお聞きしたいのですが、相当介護予防の給付のマネージメントをしていくと、そうしたときに保健師さんは相当いるのではないかと思うのです。保健師さんの役割は何も高齢者福祉に限っているわけではないですから、予防検診とかいろいろあるわけです。そうしたときに新しいこういう地域包括支援センターでの仕事が増えてくるということになったときに、札幌市としては保健師さんを新しく採用するとか、そういう視点からはあるのですか。
在宅介護支援センターが地域包括支援センターが果たすであろう役割と同じだけ果たしきれてない
<浦屋>
 そこまでさすがに私もこの場ではお答えしづらいところです。ただ先ほど申しあげました地域型は、社会福祉法人や医療法人へ併設という形で委託していますし、基幹型については、社会福祉協議会の方に委託して運営しているという形です。
 ただ今回の制度改正の中での地域包括支援センターが果たすであろう役割と同じだけの役割がいま基幹型が果たせているかというと、若干難しいというところはあろうかと思います。ただ現在の社会情勢からいけば、直営で全部ということにはならないと考えていますので、制度を進めていく中でも、委託、外注、アウトソーシングということが中心になろうかと思います。ただその上で現在いる、先ほど申しあげました保健師さん、また訪問指導して下さっている保健師さん達、これらの方をどううまく活用するかというところで、どれだけ包括支援センターばかりバックアップできるかというところが非常に大事になるという論点は、札幌市としても持っていますので、その辺でしっかり対応していきたいと考えています。

自治体財政危機で直営でなく民間にやらせる発想は問題
<横山>
 私はいくつかの自治体で、この地域包括支援センターをめぐってちょっと議論をしたことがあるのです。自治体の方と民間の方たちと一緒に議論したのです。その時、自治体の方が自治体財政が悪いからいま直営等というのは全然無理な話だ。アウトソーシングだとおっしゃるわけです。そうしたら民間の方が、じゃあ引き受けるかというと、冗談ではない。自治体の方がともかく都合が悪くてどんどん安上がりでやらせようということですかと。今までの民間の在介センターより高いわけです。いろいろな要素が入ってくるわけです。
 そういうめんどくさい問題は何も民間に丸投げするのではなく、自治体がちゃんとやったらいいのではないですかというような発言がむしろ民間からあったのです。その辺はどうですか。今日、民間の方、何かその辺の地域包括支援センターを民間在介センターに投げていこうというような考え方はどうですか。それでいいのだと。仕事が増えるから民間がやって、それで新しいビジネスが生まれるからいいとお考えなのか含めて、民間の方の方から、誰か何か意見ありませんか。課題は私はいろいろな面であると思っているのです。だから恐らくアウトソーシングというときにも、やはりいくつかの地域包括支援センターは直営でやってとか、何かそういう視点がないと、また同じようなことの繰り返しになるのではないかという感じがするのですが、これは私の感想です。
町村は広域連合で地域包括支援センターの設置を検討すべき
 もう一つは、今日は町村の方はあまり来ていないのですが、地域包括支援センターというのは、だいたい人口2万人ぐらいで一つなのです。中学校区単位というと、だいたい2万人から3万人。町村などは人口が8000人しかいないとか、6000人しかいないというところが多いわけですから、一つの自治体で、また人材もなかなかいない。ですからそういう面でいえば、広域連合という生き方があるわけです。広域連合で地域包括支援センターをつくるとか、そういった試みも必要になるのではないかと思うのですが、どうでしょうか空知中部広域連合の方。
6市町村に地域包括支援センターを置くのが望ましいが、マンパワーの確保が困難
<空知中部広域連合>
 この地域包括支援センターは、いま連合としてもかなり悩んでいまして、いま生活圏域については各市町村でお願いをするということで、中学校区になると市町村の単位にいまなっていますので、だいたい1市5町でやっていますので、いま6つあります。そこに地域包括支援センターを設置する方が望ましい。これは介護、擁護の観点からいくと、連合で全体でやるということになると、なかなか見えずらいということもあって、今のところ各町に置きたい。ただその場合についていま課題とされいるのが、3職種が揃う町村と揃わない町村がありまして、同時にスタートできないのがいちばん課題なのです。
 ですからこの辺は昨日も石黒参事官にもお願いをしたのですが、いわゆる保健師の問題、社会福祉士のこれらをどういうふうにきちんと揃えられるかということが課題になっています。いま市町村がとにかく自立を歩んでいますが、なかなかこの辺で人を新たに雇うという体制にない。これが今のところなかなか難しい。介護だから別で人を雇えれるのかという議論も中には市町村にはありますので、なかなかこの辺がいまいちばん課題となっているところです。
地域包括センターへの保健師等の配置のための財源措置の検討は?
<横山>
 本当に市町村財政は非常に厳しいわけです。ですから人をなかなか雇えるという状況にもなっていないということですが、厚生労働省の方としたら、私などはこういう地域包括支援センターというのは、今回の介護保険の見直しで非常に大きな目玉です。ですから保健師をもう少し配置するように地方交付税措置を取るとか、場合によっては国庫補助金の措置を取るとか、そういうことがあってもいいような気がするのですが、今回、わりと介護報酬の問題も含めてそうですが、理念は非常にいいのです。そして制度的にも本当に良いものがいっぱいあるけれど、恐らく法案の中味自体で考えていけば、この骨格はかなりいいものになるのですが、実際その通りになるのかという、介護報酬もそうですし、財源措置も見えてこないという部分があって、その後の法案が通った後の方が非常にむしろ心配なところがあるのですが、あまりこの地域包括支援センターに関する地方交付税措置などというのは、あまり検討されなかったのでしょうか。
地域支援事業交付金として財政支援を考えている
<石黒>
 いまの想定しているところには、地域支援事業というジャンルについて地域支援事業交付金という形で財政支援をしていきたいと思っています。これが部分的にいえばそれで足りるか足りないかという話はもちろんあるわけですが、大筋ではそんなことを考えている。
 それからこの事業をやっていくなら、もし人がここに直接ではなく、サーバーシステムとして必要であれば、そのことはよく分析して、地方財政計画を今年の夏から秋に総務省に要望するわけですが、その時に何を要望、どう抑制できるかということは、これからの検討事項ということです。

<横山>
 19ページに地域介護・福祉空間整備等交付金という中で。

<石黒>
 これはハードの方の支援で、こちらはいわばソフトですが、こちらも交付金というものでやるということです。
グループホーム問題、指定権限が市町村に変わる
<横山>
 というような形で少し考えられている。それで足りるかどうかは全然分からないけれどというお話でした。
 続きまして、3つ目の柱であります痴呆ケア、グループホームの問題についてやっていきたいと思います。
 今回見直しがされまして、グループホームについては、指定権限が都道府県から市町村と変わったわけです。これも非常に画期的なことで、非常にいいことだと思うのですが、恐らく背景としてあったのは、より身近なところで指定権限を持ってサービスの質の向上に努めようとか、もう一つは特別養護老人ホームとか老人保健施設というのは、例えばいま江別の高齢者が札幌の老健に入りました。あるいは特養に入りました。かかった費用は江別の介護保険財政で支払うのです。ところがグループホームというのはそうではなくて、江別の高齢者が札幌のグループホームに入りますと、札幌の介護保険財政で支払うのです。ですからよそのまちから来た高齢者の方達が、札幌にグループホームがいっぱい立ち上がれば、札幌の介護保険財政は大きくなる。つまり札幌の高齢者の人たちは、よそのまちの高齢者のかかった費用を保険料負担するという感じになるのです。それが一つ二つならいいのですが、どんどんできてくると、やはり集中してできてくる市町村からすれば、大変だという問題が実はあったのです。そんなこともあって今回のことになったのではないかと思うのですが、グループホームの問題の実情について、これは浦屋さんからご意見いただければと思います。
札幌市のグループホームは政令市でも一番の整備率
<浦屋>
 グループホームという論点がありますということで、札幌市の現状を調べて参りました。平成17年、今年の4月1日時点で、札幌市のグループホームは167事業所、302ユニット、定員で2,643名が入所可能ということで、入居率は約97%、殆ど全てふさがっているという状況です。
 第2期の介護保険事業計画のときに、利用人員の推計を出すのですが、平成19年度、再来年で1,030人になるだろうという計画で保険料を設定させていただいています。2年前倒しで倍の数の方が利用されているという状況で、介護3施設ありますが、札幌市の場合、だいたい3,000名位の方が利用されているということですので、現状は第4の施設と言えるぐらいの充実度に札幌市はなっているところです。
 他の政令市と比べましても、次に多いのが広島、神戸だと思いますが、そこの倍以上の整備率ということになっておりまして、土地が広くて、安くて、参入しやすいということもあるのかと思いますが、かなり充実した格好になっています。運営主体ということでいけば、4分の3が民間事業者の方ということで、株式会社、有限会社という組織を作っていただいて、グループホームを経営しているという格好になっています。
167事業所の7割がグループホーム単独、外部評価制度が確立され全施設の実施結果は認知症ケアに対する理解にかなりの温度差
 167と申しあげましたが、その7割方がグループホーム単独ということで、小規模・多機能というような機能をたくさん備えたというか、そういうところはほんのわずかしかありません。これらの中で外部評価制度とかができましたし、道と石狩支庁と札幌市で、全グループホームに実施しろということで、本年度全ての事業所にも入って、サービスの質の向上ということでは取り組んでいるのですが、やはり認知症に対する理解ですとか、認知症ケアに対する理解というのは、施設ごとにかなり温度差がございまして、すばらしい対応をされているグループホームもありますが、苦情が絶えないというところもないわけではありません。
 施設整備ということに関していえば、今回の改革の標準が、これらの居住系サービスも含めて平成26年度以降、要介護2以上の37%というような数値が示されておりますが、現状札幌市は、その数値で行けば48%の方が居住系サービスを使っているという現状で、それらがかなり介護保険料に影響しているということは否めないと思います。
 ただ施設というサービス、またグループホームの中味、内容、果たす役割という意味では、欠かせないというところもございますので、整備するということに関しては、これから事業計画の中で揉んでいくということになりますが、もっと重要なのはきっと認知症に対する理解とか、ケアに対する理解をグループホームの運営主体の方達にどう理解していただくかということになるのではないかと今は考えています。
認知症、そのケアに対する理解を進めるため運営管理者及び介護実務者研修の充実に努力
 札幌市としては、グループホームの管理者連絡会というものを2ヶ月に1回行っていまして、そこには区役所にいる保健師さんもオブザーバーとして参加していただいて、ケアの質の向上に努めておりますし、認知症介護実務者研修というものも年4回行っておりまして、定員をオーバーするぐらいの盛況でもございます。市町村としては、サービス基盤の充実ということと、さらに認知症ケアの質の向上というところがこれから重要になってくるのではないかと考えております。
グループホームはサービスの質に大きな格差、改善のための市町村の関わりが重要
<横山>
 札幌市として具体的にこれからグループホームにどう対応していくかというお話がありまして、ご承知の方も多いと思いますが、非常にグループホームというのはサービスが非常にすばらしいところと、そうではないところの差が非常に大きいのです。これは特別養護老人ホームとか老人保健施設とかですと、そんなに大きくサービスの格差があるというわけではないのですが、やはりグループホームはそういう問題がありますから、いろいろこれからケアの向上とかいろんな面で、自治体もいろいろな形で、今度、指定権限を持つようになりましたので、関わっていかなければならないという問題だと思います。これは非常に大事な点ではないかと思います。
 まだなかなかどこのグループホームがいいかというのは分からないわけです。それで認知症の方が多いわけですから、自分の親が入っていても分からない、どういうサービスを受けているのか、そんなことも一杯あったりしますが、非常にグループホームというのはいい制度なのです。
 少人数の家で認知症ケアに非常に大きなメリットを持っていますよというのは外国の事例であるわけですが、それがなかなか日本ではほんとにすばらしいグループホームはそういう認知症ケアに非常に役立ってはいるのですが、そうではないところもいっぱいあるというような問題がありますので、是非いろいろな形で、いちばん身近な自治体が市町村ですから、いろいろな形で頑張ってもらいたいと思います。
ヘルパー・福祉関係労働者の待遇改善の課題
 さて、続きましてもう一つの論点ですが、ヘルパーだけに限らないのですが、福祉関係の労働者といった方がいいと思いますが、そういった人たちの労働条件問題。労働条件がよくないと、サービスの質にも跳ね返ってしまうというような問題がありまして、この辺の問題について、少し議論をしていきたいと思います。この辺は恐らく連合の柳さんの得意分野になると思いますし、どんどん主張していただきたいと思います。それから千田さんは、現職のヘルパーさんということで、労働条件の問題、つぶさに感じていると思いますので、お二人から意見表明をいただきたいと思います。

重労働など劣悪な労働条件と低額な賃金
<柳>
 冒頭申しあげました通り、私は学校を出てからすぐ連合の事務局に入ったものですから、介護の現場というのは全く知らなくて、とりあえず見に来いと。それが組合があるところの強いところで、私は福岡県の方に一度ヘルパーさんの仕事をずっと見ていたのです。同じジャージを着て朝8時30分から、夕方6時までずっと何をやっているかつぶさに横目で見て来たのですが、ものすごい重労働で、しかし働いている方はそれにもめげずに、ものすごく志が高くて、実はそれまでの自分の仕事の仕方を反省して帰ってきたわけですが、聞いて驚いたのですが、本当に熱心に朝から晩までものすごい重労働で働いていて、非常勤でフルタイムの方でしたが、私を福岡に呼んでくれた人に、失礼だけれどもいくらぐらいあの方に賃金を支払われているのですかと聞いたら、手取りで11万と言われまして、絶句をしました。しかしそれは例外ではなく、殆どヘルパーさんはじめ介護労働に携わっている方というのは、仕事が相当きついのに、賃金とか労働条件がものすごくきついというのが現実だと思います。
1年間で22%が離職、8割が勤続3年未満……ヘルパーの使い捨ての現状
 調査によると、1年間に22%が離職していると。うち8割が勤続3年未満と。いわばヘルパーを使い捨てにさえしているのではないか。あるいはヘルパーさんは熱心にやるけれど、燃え尽きてしまっているのではないかと。こういうところが非常に問題として連合としては捉えていまして、本当に新しい産業で、先生がおっしゃったように、働いている方が質を左右しますから、こういう人たちがものすごく本当に熱心で志が高い人たちが、活き活きとずっと働いていただきたいと思っているので、この労働条件の向上というのは、われわれが真っ先に取り組まなければならない課題だと思っています。
ヘルパーの水準・質の向上に向けて離脱者が出ないように
 一つ、今回の改革というか当面の見直しということですが、例のホームヘルパーの水準を現行2級が中心的水準を介護福祉士にあげるという提案がありまして、これについては、質の向上という観点からは、そういうふうにヘルパーさんも頑張ってどんどんレベルアップしていただきたいと私たちとしては思っています。ただ石黒さんの方にお願いをしておきますと、働きながら無理なく離脱者が出ないように研修を受けやすいというようにしていただけたらと思います。
連合調査の結果から、インシュリン注射や服薬管理をヘルパーがやらされている……
 それから施設、在宅を問わず問題になっているのは、恐らく働いている方がいらっしゃるかと思いますが、医療行為の問題です。連合の方で先般介護施設の3施設の調査をやりました。ホームページの方に載せていますので、興味のある方、ご覧いただきたいのですが、驚きましたが、インシュリンの注射とか服薬管理とかをヘルパーさんがやっているのです。ヘルパーさんとかケアワーカーたちの教育には、医療行為が前提として入っていないから、もちろん学校では医学一般はやるけれど、医療行為の具体的なことまでやらない。現場に出ていきなりやって見ろと言われて、事故が起こっても何の保障もない。医師法違反ですから犯罪者ということになるわけですが、この辺、厚生労働省は、パブリックコメントを出して、爪切りとか血圧測定などは医療行為から外すということで、いま検討されているようですが、この辺は早急に明確にしていただきたいと思っています。
事業者指定の要件に労働関係法規の遵守、社会保険加入、労働条件の明示を加えるべき
 それから今回の改革に関して、連合が主張していることをご紹介しますと、事業者指定とか取り消し要件に労働関係法規の遵守、それから社会保険加入有無というのもきちんと指定の作業の条件に加えるということです。
 それから事業者の情報管理の標準化というのも取り組まれて、すばらしいなというか、是非どんどん推進していただきたいと思うのですが、この項目の中にも同様に社会保険にきちんと入っているかどうか、それから労働条件を明示しているかどうか、こういうことも条件に追加していただきたいということです。
サービスの質の向上のためには、それを担う介護労働者の就業環境の整備も不可欠
 繰り返しになりますが、働く人がきちんと働けて、活き活きとして働いて、そういう環境でないと質も上がらない。これまでは質が大事と部会で言われてきたけれど、じゃあ働いている人はどうなるのだという議論はほとんどなかったのです。そういう面もきちんと着目しながら両輪として進めていただきたいと思います。決意としては、連合としても介護の労働者のために、できる限り力を尽くしたいと思っています。
20万〜30万人とも言われている介護職は殆ど未組織、労働条件の把握も困難
<千田>
 私の方からは、介護職の地位向上と労働条件の改善というところで、自治労を通していろいろなところで声を出しているつもりでいますが、20万とも30万とも言われている介護職の中で殆どが未組織です。それで社協とかそういうところがどんどんつぶれていっているし、公的サービスの方がどんどん民間に移っている状態で、本当に声が届かないということが問題だと思います。現場の声が本当に把握できない状態でいま運動をしているところです。アンケートなどを取ろうとしても、年に50事業所も民間が立ち上がっているという現状で、本当に介護職がどういう状態で働いているのだろう、という思いでいつもいます。
資格の確保に努力する人もいるが、出入りが激しく、長続きしないヘルパー職
 それからホームヘルパーの話でいくと、実経験年数3年、2級ヘルパーのテキストはすばらしくいいのですが、研修の講義内容があまりよくないものですから、なかなか技術が伴わない質の高いサービスにはほど遠い内容ですが、現場で3年やって介護福祉士をだいたい取ってきます。非常勤ヘルパーさんでもそういう状態で、5年の実務経験でケアマネージャーという道で、現場では資格の確保というか、目標にやっているか違いますが、一方でヘルパー職がきついということで、うちの会社でも1年間に150から200人ぐらいの人材が辞めて、また採用されるという、それぐらい変化が多いのです。出入りが激しい、続かないというヘルパーさんの悩みです。
 経験年数を積みたいのですが、3年が限度ではないかというぐらいの平均勤続年数です。そこで質の高いサービスを求められているということです。
雇用はパートと1年雇用だが、日雇いより悪く、時間雇い労働で低収入の現実
 しかも介護保険制度が良いか悪いか分からないけれど、パート労働と1年雇用していますが、日雇いよりまだ悪い、時間雇い労働みたいな感じに現実になっているのです。90分問題という、90分以上も家事援助だという改訂があった時点で、30分の身体介護というケースもかなり小刻みに出てきていて、その30分の仕事をするために移動とかそういうものを一切評価されないものですから、給料に反映されないのが現実にあるわけです。30分かけて30分の仕事をして、また30分かけて帰るような半日つぶれても、30分の身体介護であっても、料金はそれだけしかヘルパーには、だいたい時給1000円だと思うので、その程度の収入しかないというのが現実です。
施設では自前の採用より派遣社員が増えているーその方が得という経営者の発想
 もう一つ、施設の方の話も少し聞いていますが、いま派遣社員というのがとても増えているということを聞きました。某施設で裁判になっているところなどは、自前で採用しないで殆ど派遣社員を採用する。割高だけれど、派遣社員の方が経営者としてはお得というか、そういう発想にまでなっているのが施設の実態として報告を聞いていますので、この場で報告いたします。派遣社員を雇って何が現場で困るかというと、職員を教育できない、育成できないということを現場の方は言っていました。やはり一時的な雇用なので、その施設に合うような人材になり得ないということを言っていました。
深刻な問題が多いが、どのぐらい介護労働者が組織されているのか?
<横山>
 たいへん深刻な問題が提起されたのではないかと思います。連合の柳さんにお聞きしたいのですが、社会福祉協議会等はだいたい連合に加盟されているのではないかと思います。民間の方ですと、北海道は分かりませんが、大きいところは全国的には連合に何らかの形で加盟されて、一応の労使関係はできているのではという感じはするのですが、おっしゃるように中小零細とか多くのNPOになると、どうなっているのかというのがいっぱいあるわけですが、どうでしょうか。今のところ連合としてどれぐらい連合に介護労働者が、特に登録ヘルパーなどが多いヘルプ事業などはどうなのか、具体的なものがお分かりであれば教えていただければと思います。
自治労、ゼンセン同盟が中心となって組織しているが、圧倒的に低い組織率
<柳>
 数までは分からないのですが、ご存じの通り、社協、自治体系はもちろん自治労で、民間の方は友愛ゼンセン同盟で、日本介護クラフトユニオンの方が組織していまして、ただ組織率は圧倒的に低い。しかも民間の大手の事業所ですから、登録型のヘルパーさんが多くて、組合活動がなかなか直行・直帰ですから、一同に会して何か組合としての取り組みをするということがやりにくい状況で、だからそれをどう作り上げていくかというのが難しいのです。
介護報酬を引き上げれば労働条件がよくなるのか?
<横山>
 ホームヘルパーの問題に関して言えば、よく議論があるのは、先ほどのケアマネージャーもそうですが、介護報酬を引き上げれば労働条件がよくなるのではという議論があるのですが、実際いま、全くホームヘルパーとは別ですが、タクシー会社などは、タクシー料金が上がってもなかなかタクシー労働者の労働条件向上に、あまり目に見える形で出てこないところがあります。
 ホームヘルパーなども、介護報酬を引き上げれば、結局、一部の中小零細だとか、一部のNPO法人などは業者がみんな取ってしまうかもしれないという問題があるのではないかと思うのですが、この辺、要するに介護報酬を引き上げて労働条件を引き上げようという議論は、成り立つのか成り立たないのか、その辺、柳さんはどういうふうにお考えでしょうか。

<柳>
 次々と歯切れの悪いお答えで恐縮ですが、もちろん上げれば自動的に上がるかというと、現実的にそうではないわけです。報酬が妥当かどうかはともかく、ヘルプに関しては、高いにこしたことはない。もしかしたら取り分が多く取れるかもしれない。それはまさに労働組合の力量であって、われわれが取り組むところでもあるけれど、一つ、ものすごく悩ましい問題は、介護報酬の65%を人件費に回すように規定してはどうかと。
 公的な規制を設けてやろうかということが意見として内部であるのですが、なかなか正直なところものすごく悩んでいて、本当に仕組みとしてそういうことができるのかどうかという問題があるのですが、組合がいかに頑張っていくかということが課題であって、それについては結論が出せない。もちろんホームヘルプの仕事の妥当性を報酬で評価する。これからはいまの2累計をやめて、行為別、機能別みたいなことにするようですが、その辺できちんとこちら側としても正当な評価というものを求めていくということが取り組みとしてあって、一方で組合の力としてどこまで頑張っていけるかということだと思います。
資格制度との絡みで待遇改善を要求するのか、関係なく待遇改善なのか
<横山>
 資格制度をいまどんどん介護福祉士に取りなさい。他にもいろいろなケアマネージャーの方も、かなり更新制度とかして、資格制度をかなり重視していくという流れがあるわけです。資格を重視していっても、待遇の方はあまり改善されないというので、なかなか問題もあって、資格制度との絡みのなかで待遇改善を要求するとか、そういう観点というのは、連合の方としてはあるのですか。あまり資格制度とは関係なく待遇改善なのか。
資格とは関係なく労働条件の改善に向け積み上げていく
<柳>
 資格とはあまり議論としては関連していなかった。あまり議論は関連していなかった。資格はむしろ直結して質の問題と絡めてということで、労働条件に関してということではない。但しきちんとヘルパーさんがもっともっといまの1級、2級、あるいは3級とか資格から質を高めていって、専門職としてドクターはドクターの仕事がある。ナースにはナースの仕事があるだろう。しかしそれに比較しうる形でホームヘルパーという自立支援のための優れた専門職種があるということで、地道にレベルアップを図って質を向上させると。それについて社会的な評価も付いていって、しかもそこで労働組合が頑張れば、自ずと社会的地位も上げていくというような地道な取り組みということが、あるべき姿ではないかと。ですから資格を取ってそれに比較しうる報酬を求めるというより、もっともっと回り道だけれど、地道に積み上げていくという考え方ではないかと思います。
社会福祉士や介護福祉士の福祉労働について正しい評価がされない……
<横山>
 この辺を石黒さんにお聞きしたいのですが、保健、福祉、医療とよくいうのですが、保健とか医療の分野というのは、例えば保健師さんがいます、看護師さんがいます、医師がいます。こちらの方は社会的評価も非常に高くて、それは待遇にもそれが出てくるというところがあるのです。社会福祉の方は、いろいろ社会福祉士という資格を取るのがけっこう難しいのです。でも資格を取っても有名無実というところがちょっとありまして、全然活かしきれないとか、介護福祉士も似ているところがあります。
 ですからそういう面でいいますと、福祉関係というのは意外に資格を取っても何かそれと自分の労働の質とか労働を評価してくれるという問題と、何かつながっていないようなところがあるのです。その辺、どうしたらいいものでしょうか。もしご意見がありましたら。
なかなか評価につながらない、名称独占度や業務独占の性格の違いが大きい
<石黒>
 これは難易度が高いのですが、針のむしろに座っているようですが、いまの話からすれば、そういうのを衛生規制の中で、ある職種は業務独占ですから、この業務はこの試験を受かった人以外はやってはいけないというところと名称独占ということで一定の社会的評価を高めるための手段として、社会福祉士と介護福祉士は十数年前につくりましたが、それは目指すところは、先ほど柳さんがおっしゃったところですが、地道すぎてという、なかなか評価につながってこないというもどかしさなのですが、やはり入り口とすれば名称独占度、業務独占の性格の違いというのは一番大きな点でして、しかしながら一人のいろんなニーズを持っている生活の支援を必要とする人方に関わるとすれば、医療行為をどう考えるのか。
 連合としては国会の質疑にもありましたが、参考人で陳述されておりましたが、今回のパブリックコメントではまだ不十分だという強いご指摘ではありますが、なかなか一挙に関をとくというようなことにもいかないでしょうから、まずは少しまあまあというところをやって、次に、これも恐らく研修とか、あるいはフォローしてその後の問題がなかったかどうかとか、これは積み上げていく必要があると思います。
 本当に私も日曜日の午前中はいつも特養にいるのですが、一生懸命頑張っている人方、私は十数年行っているのですが、全然知っている人がいなくなってしまったということで、けっこう回転が速いなというのは本当に実感しています。

<横山>
 いろいろまだ議論をすることがいっぱいあるのですが、お約束のフロアーの方にもこれからご意見をいただきたいと思います。
介護予防包括事業に1号保険料が使われるという意図は何なのか?
<市町村担当者>
 石黒参事官に教えていただきたいことがあります。新しく地域支援事業というところで、介護予防包括事業、その他事業というところに、1号保険料が投入されるという内容が法案の中に出ているかと思います。介護予防事業に保険料を投入しましょうというところは、何となく担当者として理解できるのですが、包括事業のところにも1号保険料が投入される。これはこれまで補助事業で、まったく財源としては1号保険料を使われていなかったものが、組み替えになってきて投入されていくという。
 市町村としては、これから保険料が上がっていくということを高齢者の方に説明していかなければならないところで、なぜいままで補助事業でやっていたものが、保険料が投入されていくのかということを説明していく立場になっていくわけです。国として保険料を投入するということを意図したところは、何だったのかということを教えていただきたいのと、これによって国の負担というのは、比較すれば減少するのではないか。もし減少するとすれば、それを市町村で例えば包括支援事業で必要な保健師の人材確保のためなどに投入できないだろうかと。浮くと簡単にいってしまえば、浮いた分を人材確保に回していただけないかということ。
かなりにのぼる政省令はいつ出されるのか
 もう一つは、様々な十幾つにのぼる政省令が出てこないと、市町村事務というのは進められないということが言われておりまして、法律が決まって以降でないと出ないと言われているのですが、来年の4月からということになると、非常に短期間の間で市町村はこの事務の準備をしていかなければならないので、なるべく早く政省令を出してもらいたいというのが願いなのですが、だいたいどのぐらいのところから出していただけるのかというところを教えていただきたいと思います。
特性を活かして地域主導型で地域包括支援センターを考えるべき
<参加者>
 横山先生に反対意見なのですが、別に厚労省の肩を持つわけではないのですが、先ほどの地域包括支援センター、これが事務要請でやった方がいいのではないか。それから保健師さんの数を増やした方がいいのではないかというお話がありましたが、私はこれからの行政というのは、まず地域をいかに活かしていくか。地域福祉計画が市町村にありまして、社協の地域福祉活動計画があると思いますが、要はいろいろ地域に特殊性がありますから、そこそこの地域で違うと思うのですが、その地域性の特性を活かしながら、地域の連携で地域に活動してもらう。いろいろなところでやっていますが、そういう人たちと地域包括センターのケアマネージャー、医師なり、行政、要するに行政主導ではなく地域主導型でやっていけば、この地域包括センターも活きるのではないかと考えを持っています。
施設アンケートで家庭医学、やっていい医療行為は認めてほしいという意見が多数
 もう一つは柳さんにですが、いま社会福祉施設の配置基準というのは、介護職ということで別に介護福祉士、ホームヘルパーとうたっていません。医療行為ですが、私は日本介護福祉会の検討会委員をやっているのですが、この間、老健施設の関係のアンケート、それから老健施設で働く介護福祉士のアンケート調査をやったところですが、その中では老健施設の設置を協議会、若しくは現場で働く介護福祉士は、要はドクターが家庭医学、家庭で認めている医学、やっていい医療行為ぐらいは認めて欲しいという意見が圧倒的にありました。いま現在は、要は医療行為はできないことになっていますが、それを認めて欲しいという意見が多くあります。
 社会福祉施設で働く労働条件、平成2年のマンパワーの育成のための対策法後に、社会福祉従事者のための基本指針というのを厚生省はつくっています。私は当時から比べれば、いまもかなり低いというデータが去年の厚生省のデータで出ていますが、だいぶ前よりは改善になっているのではないかという気はします。
地域福祉力は町内会、住民ボランティア、NPOそして行政との連携、
<横山>
 石黒さんにたくさん質問があるので石黒さんに応えていただきますが、いま私に対するご質問については、簡単に述べさせていただきます。私が保健師さんを増員せざるを得ないのではないかとか、そういうことを言ったのは、これはいまの要支援と要介護1がものすごい数です。要するに要介護者全体の4割以上です。ですから相当数がいるということです。その部分のマネージメントをしなければいけないわけです。ですからいまいるそんなに多くない中でやるとしたら、しかも専門的な知識が必要になってきますので、非常にその辺のマネージメントができるのかという不安があるものですから、そういう発言を私はしたということが一つです。
 もう一つは、私はずっと地域福祉力ということを言ってきているわけです。この間もNHKのテレビに私が出たのを見ませんでしたか。地域福祉力というのを最後に強調したのです。本当に地域の中の町内会の皆さんだとか、住民のボランティアとか、あるいは中にはNPOもいます。そして実際の公的な人たち、これからの時代というのは、こういった地域の中のありとあらゆる人材を活用していかなければいけないのです。ですから全然それは先ほどの私の主張と矛盾するわけではないのです。保健師を増やそうという話とは、全く別の次元の話です。
 地域福祉力をどうつくっていくか。教育も同じなのです。地域教育力をどうつくっていくか。恐らく安心のセーフティネットというのは、恐らくこれからは、制度をつくってこういう制度になりましたというだけではないのです。まさに地域の中でいろいろなマンパワーがあって、人がいて、そしてその人達と共に作り上げていくような仕組みを作っていかないと、セーフティネットにならないと私は思います。そういう意味で地域福祉力や地域教育力ということをこの間ずっと主張しているのです。そういうことですので、あなたの主張と私の主張はそんなに違わないと思います。
要介護者を問わず地域の高齢者の生活支援ためには個別給付だけでなく包括支援事業にも財源投入が必要 
<石黒>
2点ございまして、地域支援事業の中の包括支援事業に1号保険料を投入した理由ということです。高齢者の生活支援をしていくときに、個別給付だけをすれば全うされるかというと、それは言ってみれば保健事故時陥ってしまった人の対処療法ですので、一方で水際作戦を入れて、みんなで残業を持ち寄ってやっていこうということは、先ほど申しあげたわけですが、いろいろ要介護者を問わず地域の高齢者の生活支援ということでは、いまの法律では保健福祉事業というものがございまして、これは1号保険料100%で事業を実施するという前提になっています。全国的に見れば、保健福祉事業というものは、それほどの取り組みがあるわけではございません。たぶんその背景は、いままで補助事業として地域支え事業がありましたので、およそこれとバッティングする部分がかなり多くなりましたので、これは国2分の1、都道府県4分の1、市町村4分の1の公費でできていました。水際作戦なりを重要視しよう、あるいはまさにいま国会の中で修正意見が出されていまして、来週どうなるのか定かではありませんが、権利擁護事業も義務化しろというような話がある中で、そういったトータルの高齢者を支援していこうとすれば、誰がどういうふうに財源を持ち寄って、どういうふうな仕組みを作っていくかということが問題意識にありまして、だとすればそういう補助事業もなくなるし、地方分権ですから、私度が余分な口を出してはいけないのですが、余計なお世話かもしれませんが、そういう形でサブシステムを動かしていくために、そういう財源構成を提案しているということです。もう一方の予防の方は、さらに2号の方のご協力をいただくという仕組みをご提案しているわけです。
政省令は法案が可決されてから、一刻も早く情報提供したい
 それから二つ目の全国津浦々から切実な声でして、いったい何時になったらもう少し詳しい話が出るのかと。今日はもっと出ると思ってきたのにというご不満はお持ちだとお持ちだと思いますが、本当は今日は、私の期待するところは、昨日、衆議院が通っていればと思って来たのですが、残念ながら出口がまだ見えていないという状況で、政省令はタイミングとしては機械的ですから、いかんせんこれは参議院で成立しなければ、閣議決定もできなければということになりますが、いかにそれと同等の情報を提供するかということになってくるわけですが、もう少し国会の行く末を見ながら、問題意識は十分皆さんに。本当に一刻も早くというのは同じです。何とかここにいる皆さん方のご協力も得ながら、少し早く情報提供できるようにと思っています。
 先般の12日に都道府県からここが知りたいというQを受けました。それは口答でコメントするのですが、いろいろ来ていますので、タイミングが許せばそれを文字にして提供したいと思っていますが、思っているだけで環境が許すかどうかはまたやってみないとわからないということで、大変申し訳ございませんがご容赦下さい。

<横山>
 ちょうど時間が参りました。私の方でもまとめはいたしません。ただ言えることは、高齢者の人にとって一番幸せなことは、やはり要介護状態にならないことが一番幸せなことです。ですから要介護状態にしないような展開が求められているということです。
 しかしだんだん年を取ってきますと、加齢とともに要介護になる可能性も高まってきます。要介護になったときには、安心して介護が受けられる、そういう制度設計が求められる。真のセーフティネットをやはりつくっていかなければいけないということだと思います。
 そういう面でこれからもいい介護制度を作っていくために、頑張っていきたいと思いますし、今日のパネリストの皆さんや厚生労働省には是非頑張ってもらいたい。国の財政再建の中で、財務省とのやりとりも大変厳しいというのは重々わかっていますが、是非頑張っていただきたいと思います。そして連合には是非いろいろ働く人の労働条件問題、頑張っていただきたいと思います。自治体の皆さんは、住民と一番身近に接しているわけですから、そこで住民のニーズにあった施策展開を是非やっていただきたいと思っています。
 今日はふつつかな司会で申し訳ありませんでした。おそらくもっとパネリストの皆さんも言いたかったと思いますが、あるいはフロアーの皆さんも言いたいことがあったかと思いますが、あまりうまくなくてできなかった部分もありますが、その点はお許しいただきたいと思います。
 長時間ご静聴ありがとうございました。
【文責は政策道民運動局】