第1号議案 2005年度活動方針

T  はじめに
U  組織拡大と地域運動の強化
V  総合生活・雇用労働条件改善の取り組み
W  男女平等参画社会実現に向けた取り組み
X  政策・制度の改善
Y  国民・道民運動の取り組み
Z  広報・文化活動・メーデーの充実
[  政策実現に向けた政治活動の強化
\  労働者自主福祉運動の取り組み
]  国際連帯の取り組み

T.はじめに (課題と情勢) 

1.はじめに   

 2005年は戦後60年であり、連合北海道結成(官民統一)から15年の年に当たります。この節目の年に、いまわが国の社会と政治は大きく変わろうとしています。労働運動も例外ではありません。私たち連合の求める「労働を中心とした福祉型社会」の実現のため、労働運動を見つめ直し、勤労道民の信頼を高めて、道内における政治の変革を進めなければなりません。 

2.当面する三つの重要課題 

@  第43回衆議院総選挙と、第20回参議院選挙の結果、わが国の国政は、まさに政権交代前夜の状況となりました。「自民党=政権政党」という神話は崩れ、選挙区における公明党支援がなければ、「民対自」の数的関係はすでに逆転しています。
「民対自」2大政党が政権交代する時代が来ました。
  ただ、私たち労働組合の運動や要求が、民主党の描く未来とは必ずしも全て一致しないかもしれません。しかしそれは、十分な議論を重ね、中期的な到達点の合意をはかることで、克服が可能です。たとえば、「道州制と一国多制度」、「機会の平等を保障する公共政策」、「国と地方の財政再建」など、当面する大きなうねりの中で、労働組合の責務を果たしつつ、次の時代のための政策決定を見据えて議論に参加し、道民合意を創り上げなければなりません。

A イラク戦争は、「“力”による民主化は不可能」の現実を見せています。軍事力は紛争を悪化させることはあっても、解決することは不可能であることを再確認させます。
  アフガンに続くイラクへの自衛隊派遣は、日米関係の強化には寄与したかもしれませんが、日本の社会や日本人をテロの脅威にさらすことにもなりました。
  わが国がとるべき道は、いまのような「アメリカの従卒」ではなく、国連を中心とした国際社会の一員として、現下の最大課題である「飢餓と貧困の解決」のために、非軍事的共同行動への参加・貢献であるべきです。
  冷戦崩壊とともに紛争が頻発し、国際的な協力による秩序の維持や人権の保護を目的とした「国際刑事裁判所」が設置されました。また、紛争解決に立ち向かうため必要性が増した国連PKO活動には、今後、「国連警察軍」を含めた国際的議論が活発化することが予想されます。これに対するわが国の関わりについて、十分な議論を保障した上で国民合意を形成する運動に取り組む必要があります。

B このような激動と呼べる時代を乗り切るためには、基本となる組織の基盤と力量を強める必要があります。しかし、労働組合組織率は20%を切り、連合北海道結成から5万人もの組織の減少がありました。
  特に、公務員労働者の削減は、労働の内容や質に関わりなく、行政改革の名のもとで、組織改編の度に大幅な定員削減が行われてきました。官公労働者の比率が高い連合北海道には大きな影響があります。
  これらの組合員の大きな減少は、社会的影響、財政基盤など様々な面で、連合北海道の運動に影響しています。
  大きな原因は、社会・産業の構造変化、就労構造の変化に対応していないためと指摘されています。職場では正規雇用が非正規雇用のどんどん置き換えられ、職場の管理さえ非正規雇用で行われる例もあります。
  では、組織率を上げるにはどのような方法があるでしょうか。2001年に連合がまとめた「21世紀連合ビジョン」に興味深い提起があります。もちろん労働組合のイノベーションと、公平で公正なワークルールづくりを基調にしながら、その提起の一つは「生涯組合員」。もう一つは「サイバー・ユニオン」です。これらは単なる“テクニック”ではなく、価値観が集団から個人に変化する時代に対応したシステムの一つとして、検討する価値があります。
  連合北海道は、いままでの未加盟・未組織対策を継続しつつ、「ヒトも、カネも」投入して、組織拡大に新たな展開をはかるべきです。 

3.世界の特徴的な情勢 

@ 国連安保理は、イラクの占領終結と主権回復の決議を全会一致で採択し、戦争開始以来14ヶ月続いた米英連合軍などによるイラク占領統治が終わり、6月30日をもって主権がイラク暫定政権に移譲されました。しかし、主要都市での自爆攻撃、政権首脳の暗殺、外国人の人質誘拐、石油施設への攻撃、米英軍と武装勢力との交戦はやまず、治安は未だに悪化し続けています。
  イラクの新政権樹立は、05年1月暫定議会選挙で新政権が発足の後、8月憲法起草、12月新憲法による国民投票と正式政権の樹立となっており、多国籍軍の駐留期限も12月末までとなっています。しかし「復興の道筋」は描かれたものの、米国主導の多国籍軍への拒否反応は収まらず、国連事務局がイラクに本格復帰するめどは立っていません。

A 選挙を11月に控えた米国のブッシュ大統領は、米国と世界は平和で安全になったと繰り返していますが、国連アナン事務総長はそれをを真っ向から否定しました。ブッシュ米国大統領の始めた「テロとの戦争」はイスラエルなど中東全体に拡大し、その戦争に対するアメリカ国民の審判が11月大統領選挙で示されることになります。
  米国の要求にいち早く応じた日本の小泉首相は、自衛隊の米軍支援を恒常化することを目論むとともに、イラクでは「占領軍」から変わった「多国籍軍」への参加を表明し、米国への政治的従属をさらに高めつつあります。
  また、米国は米軍の変革・再編として、在外米軍を6〜7万人削減することを決めました。この計画のなかには在韓米軍と沖縄駐留米軍の削減と、日本国内の米軍基地機能の集約・強化が含まれています。これにより、東アジアにある程度の軍事的バランス変化を生じさせることになります。これを東アジアの平和と安定の確立に生かすためには、わが国の平和・協調外交の姿勢と質が問われます。

B 東アジアに軍事緊張をもたらす北朝鮮の核兵器開発が表面化し、米・露を含む六カ国協議が、北朝鮮の核開発阻止のために継続されています。この会議の継続によって、北朝鮮の孤立化と尖鋭化を防止する効果は得ていますが、北朝鮮の明確な核放棄と包括的な解決にはまだまだ時間がかかる模様となっています。また、韓国の核濃縮実験が明らかになり、朝鮮半島における緊張が高まることも懸念されます。
  「日本人拉致問題」について日本政府は、六カ国会議とは切り離し、二国間協議に位置づけて、日朝間で国交正常化を含めた協議を再開しています。
  「日本人拉致問題」は、「人質」と化していた拉致被害者の家族が、参議院選挙直前に日本に戻ったものの、さらに10名を超える拉致被害者の安否が不明のままとなっています。
  一方、日本政府は、「人道支援」の名のもと、食料などの援助を開始しました。この援助には、国民の不信と疑問が大きくなっています。

  4.国内の情勢と課題

@ 内閣府が9月10日に発表した、4−6月期国内総生産(GDP)の改定値は、年率換算で+1.3%とされ、景気の回復基調は続いているが、勢いは鈍りつつあると表現されました。9月の政府月例報告でも、米国の金利上昇や原油の高止まりが懸念されています。
  一方、日銀の企業短期経済観測調査(短観)結果(6月実施)によると、企業の景況感を表す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス22と1991年8月以来、約13年ぶりの高水準、中小企業の製造業もプラス2となり、約12年半ぶりにプラスを示しました。とりわけ製造業の景況改善が鮮明で、大企業製造業の業況判断指数は前回の3月調査から一気に10ポイントも改善し、水準もバブル崩壊後の最高となり、中小製造業も5ポイント上昇しました。
  雇用に関しては、全国の完全失業率(4〜6月)は前期(1〜3月)より0.2ポイント低い4.8%、北海道の4〜6月期の完全失業率は5.6%で、前年同月比0.6%改善されました。しかし、北海道分の6月毎勤統計では、企業規模5人以上の一般労働者は前年同月比2.1%減となる一方、パートタイム労働者は9.9%増と引き続き増加しています。全体としては「雇用なき景気回復」といわれるように、景気の回復がある程度進んでいるものの、就業構造の転換も同時に進行しています。

A サラ金・カード等による自己破産者の増大、1日100人を超す自殺者、少年凶悪犯の増加など、様々な社会問題が噴出し続けていますが、このような深刻な危機に対して、社会のシステムを再構築する責任のある小泉内閣は、何ら有効な政策を打ち出さず、「競争(市場)原理主義」に固執して、いまやその統治能力に国民は疑いを強めています。
  7月に行われた第20回参議院議員選挙では、自民党は勝敗ラインの改選議席に到達せずに敗北し、一方私たちの支持する民主党は、選挙区と比例代表とも比較第一党の得票数で50議席(さらに推薦等候補5議席)を得て大きく躍進しました。
  加えて、共産・社民両党が衰退し、昨年の衆議院議員選挙から顕著になった「二大政党化」がさらに加速され、政権交代の前夜を実感できるまでになっています(選挙総括の具体的内容は、別添「第20回参議院議員選挙のまとめ」を参照)。
  しかし、民主党の躍進は、小泉・自民党政治に対する有権者の怒りに支えられたものであり、民主党に対する信頼の結果ではありません。国民の期待をしっかり受け止め、政権担当能力を向上させることが強く求められています。そして、次期衆議院総選挙において政権交代することが民主党の責任です。
  参議院選挙後の7月30日に開催された第160回臨時国会は、年金改革法の廃止やイラク多国籍軍の参加、日本歯科医師連盟の1億円にのぼる政治献金疑惑解明など、重要案件が山積していたにもかかわらず、実質審議6日間という短期での開催となり、民主党の提出した年金改革法廃止法案は否決されました。
  秋の臨時国会でも、民主党は改めて廃止法案を提出していく方針ですし、この臨時国会では、「郵政民営化」などの重要案件が山積しています。

B 今後の政治においては、憲法・教育基本法の改正問題が大きな焦点となります。
  国会の憲法調査会は、憲法について広範かつ総合的に調査を行うことを目的として、2000年1月、衆参両院にはじめて設置され、来年5月に最終報告を行うこととなっていますが、こうした政治的スケジュール下で、与野党や団体の動きが顕著となってきています。
  自民党は、自衛隊を正式に軍隊と位置づけて「自衛軍」の保持を明記し、さらに集団的自衛権の行使を認めるなどの「改憲」を企図しており、7月30日には憲法改正の起草委員会を設置し、05年11月に憲法改正草案を作成しようとしています。
  公明党は、現行憲法の条項に環境権やプライバシーなどの新しい概念を条項に加える「加憲」の立場ですが、9条についてもこれまでの党の憲法調査会では「堅持」と「自衛隊の存在や国際貢献などの明確化を加える」との両論併記(論点整理)にとどまっていましたが、10月末の党大会では、9条も加憲の対象とする運動方針を提出することとされています。
社民党、共産党は、それぞれ「護憲」の立場から、憲法改正に反対しています。
  民主党は、憲法の平和主義・侵略戦争の放棄、戦争否定の考え方などの基本精神については維持されるべきとしていますが、「憲法の文言と現実に垂離が生じた場合には、憲法解釈の安易な変更を行うのではなく、必要に応じて憲法改正することが成熟した民主主義国家のとるべき道である。」として、「論憲」の立場をとっています。民主党の憲法調査会は、6月22日に中間報告をまとめました。民主党は明年に新たな憲法改正の提案をまとめることとしています。

C 連合本部は、国会の憲法調査会の動向など踏まえ、2002年1月の三役会において「国の基本政策検討作業委員会」(委員長に草野事務局長、委員は13産別三役クラス、連合副事務局長で構成)の設置を確認し、同年2月1日の第一回から2003年7月9日の第19回を開催して「憲法の論点について(中間報告)」をまとめました。
  この中間報告は、あくまで論点の整理にとどまるものであり、その進め方などについては、三役会の判断と指示によるものとされています。
  したがって、連合本部の現時点での憲法改正に関するスタンスは、「@憲法論議は否定しない。三大原則(平和主義・主権在民・基本的人権の尊重)を重視しその貫徹をめざす。A憲法論議への関心は高まっているが、現状では憲法改正を俎上に載せることは時期尚早と判断する。Bしたがって、憲法制定時に想定しえなかった問題は、個別に法制化していく。」となっています。連合北海道としても、連合本部および各産別と連携し、しっかり対応していく必要があります。
  また、教育基本法の改正問題については、2003年3月に中央教育審議会の最終答申が出され、連合本部は、同年7月に「教育基本問題検討会」(座長は草野事務局長、委員には11産別、地方連合ほか)を設置、以降、12回にわたる検討会議論を経て2004年6月に「教育基本問題検討会答申」としてまとめられ、現在、各産別・地方連合会からの意見集約(9月末)が求められていましたが、連合北海道は、教育基本法の改正について、「答申」では、愛国心などの明記をめぐって賛否両論が併記されており、「より慎重であるべきとの考え方と対応姿勢に立っている」ことを意見として提出しています。

  5.道内の情勢と課題 

@ 北海道は、全国的な景気回復からも立ち後れたままです。道内の鉱工業生産は横ばい状況。家電販売と新設住宅は伸びたものの、小売店売上や観光が伸び悩み、全体で改善はわずかとなっています。企業倒産は落ち着きつつありますが、8月の27件のなかで、不況型が8割を占めています。 しかし、冬季を控え、原油価格の大幅な上昇(7月対前年22.2%)の影響が懸念されます。失業率は全国最悪水準のまま(4−6月期の完全失業率は5.6%。全国は4.8%)となっています。さらに自殺者でも北海道は全国ワースト3という有様です。
  2004春闘は、中央の結果で、加重平均5,298円1.70%(昨年対比+163円、率+0.5%)となっており、総じて昨年を若干上回った結果となっています。
  道内は、平均賃上げ方式による地場組合の回答・妥結結果は、加重平均3,525円、1.46%となり昨年より274円、0.11%ほど前年実績を下回る結果になりました。
  春闘の改革は、業績配分が一時金にシフトする状況の下で、相場形成のあり方・波及効果の発揮について、急ぎ検討されなければなりません。一方、地方連合としての連合北海道の役割は、地場中小の闘いを支え、なんでも労働相談キャンペーンなど、勤労者全般のサポート機能を強めるなど、ますます役割は拡大しているといえます。

A 地方自治体の財政危機は、ますます深刻化しています。「三位一体改革」の初年度である2004年度においては、1兆300億円の国庫補助負担金削減と6,558億円の税源移譲、地方交付税(臨時財政対策債を含む)は2003年度と比較して12.0%(2兆8,623億円)もの大幅な減額となりました。道内では、北海道で9.9%、道内市町村でも9.5%もの交付金の減額が予定されています。これは国の財政赤字を地方に転嫁して、地方自治体を切り捨てることでしかありません。
  2005年度予算の策定においては、ア)国庫負担補助金の削減は、税源移譲が前提であり、義務的経費は10割、その他は個別の事業ごとに必要額を確保すること、イ)税源移譲により財政力格差が生じる自治体においては、財源調整機能及び財源保障機能を的確に発揮すること、ウ)地方交付税の決定過程においては、当事者である地方自治体も参加させること、等をふまえる必要があります。同時に、国庫負担補助金の削減にあたっては、教育の機会均等を保障する、義務教育費国庫負担制度は堅持されなければなりません。

B 国は、北海道を道州制特区構想に位置づけ、それを受けて道は、道州制推進会議を発足させ、6分野のプランを国に提案しました。しかし、各省庁の対応など、先行きは不透明で、高橋北海道知事は、「地方政府としての北海道」という基本を大切にしながら、リーダーシップを発揮して、「特区構想」の実現を国に推進を強く求めていくべきです。
  一方、道内の市町村合併では、法定・任意の協議会に参加する市町村は約半分となっており、全国と比べて議論は立ち後れていますし、新自治体名の決定方法や医療施設の設置場所、財政状況の差違などで法定協議会が解散する地域も出始めています。
  以上のように、国の分権の受け皿としての道州制特区構想の先行実施、そして一方の市町村合併や広域連合など市町村のあり方、そうした市町村を支援する機能を強化した支庁制度改革の推進など、道内でも様々な「地方分権」の動きがありますが、地域特性として合併が困難な地域が多い道内では、市町村の広域連合を含めた地方自治システムの構築について、住民自身を含めた議論を活発化させ、住民サービス向上と、民主主義のシステム改善を重視した視点をもって進められるべきです。

C 高橋道政は、就任1年半を迎えますが、「中央依存・直結」「自民党主導」という性格は、より鮮明になってきていますし、北海道を取り巻く厳しい現状と課題に対して、総体的に有効な手だてが講じられていません。道州制「特区構想」については、政府や国の姿勢にも強い問題指摘はありますが、知事自身のリーダーシップが欠如していることや、「地方自治・分権」に対しては、責任ある姿勢がなく、何も着手されていないのが現状です。行政の透明さが求められていますが、全国オンブズマンが実施している「情報公開度ランキング」では2位から43位へと転落しました。
  さらに、道警の「捜査報償費問題」に端を発した不正経理問題では、自殺者を出す事態となりながら、道警本部は9月13日、98年から2000年の3年間だけで14億円、01年以降についても、今後詳細に内部調査を行うとした上で、全部署にわたる裏金作りを認め、陳謝しました。 しかしこれについてのさらなる徹底解明と、外部による透明性の確保、責任の所在など、警察への信頼回復には、まだまだすべきことがあり、徹底解明について知事の責任は重たいものがあります。
  道は現在、債務が5兆円を超える道政の「財政立て直しプラン」をまとめ、2005年度から3年間で1,700億円の財源不足解消(1,580億円の歳出削減と120億円の歳入確保)をはかろうとしていますが、道民や地域と向き合い、痛みをどのように分かち合うかという姿勢はありません。道の再建策が単なる弱者・地域切り捨てにつながることは到底認められません。
  連合北海道は、道政の折り返し点(来年4月)をメドに、民主党などとの連携をはかりながら、高橋道政の検証を行います。

U.組織の拡大と地域運動の強化 

1.組織拡大センター設置による取り組み 

(1) 組織拡大の取り組みの現状と問題点 
@  連合北海道は、昨年の第16回定期大会において、道内における労働組合の組織率の低下に歯止めをかけ、組織人員の拡大を図るため、連合本部が2003年9月に提起した「組合づくり・アクションプラン21」第2次計画(03年10月〜05年9月)にもとづき、約16000人の拡大目標を掲げ、連合北海道の最優先課題として構成産別、地協・地区連合総ぐるみで取り組むこととしました。 
A その結果、この1年間で22単組、2,873人の仲間を迎え入れることができましたが、逆に新規採用の中止、定年退職者の不補充、官公部門・民間部門のアウトソーシング、正社員からパート・契約・派遣労働者などの非正社員雇用労働者の置き換えなどにより、連合北海道の組合員数は前年より2900人減員し、組織人員は加盟54産別と直加盟組合合わせて284100人となっています。2003年の労働組合基礎調査によると、本道の組織率は18.5%と更に低下し、依然として組織拡大を上回る勢いで組織人員が減少しております。従前どおりの組織拡大方針、体制と取り組み(人材、資金、活動時間、情報収集、発信能力等)では、当面目標の道内組織率20%の回復はおろか、組織建設の大目標である50万人連合北海道の建設は遠のくばかりと言わざるを得ません。 
B 最優先課題である組織拡大計画が未達となっている要因の第一は、組織拡大に不可欠なオルガナイザーを中心とした人材の確保と配置が不充分であること。第二に、組織拡大に係わる予算が確立していないこと。第三に、組織拡大のための活動時間が確保されず、一過性の取り組みに終わっていること。第四に、組織化・組織拡大に向けた情報収集や情報発信能力が弱いことなどがあげられます。 
C とりわけ、組織拡大の人材の確保と配置が重要です。この間、組織拡大で具体的成果を上げている産別・地協では、組織化を担う人材が必ず配置されています。
労働相談を通じた組織化にしても、また使用者を説得しての組合づくりにしても、これらに対応する人材を産別・地域に配置する必要がありますが、産別・地域の現状は、財政の制約により通常の活動の合間や持続性のない組織拡大の取り組みに終わっております。
また、組織化を担う人材も、組織内には経験者も少なく、オルガナイザーの育成は急務となっています。したがって、組織拡大を図る人材養成、人員配置を行うとともに、限られた財政のなかで産別や地域の組織拡大を図る体制の構築が求められています。 

(2) 組織拡大センターの新設 
@ このため連合北海道は、組織・財政特別委員会の答申を踏まえ、第17回年次大会以降、速やかに新たに恒常的機関として連合北海道組織拡大センターを設置し、組織拡大に取り組むこととします。
この組織拡大センターは、連合北海道の組織拡大特別委員会(委員長 渡部連合北海道会長)の直属の組織として、専門に組織拡大運動を取り扱うこととします。 
A センターの設置場所は札幌市内に置き、組織化の対象労働者は札幌圏の労働者とし、その働く企業、団体、法人をターゲットに取り組むこととします。 
B 組織拡大の重点としては、第一に同一産業・同業種労働者の産別結集、第二に系列・関連事業所から下請け・委託業者労働者の組織化、第三にパート・契約社員、管理職などの職場内未組織労働者の組織化を中心に、産別・地協・地区連合と連携して取り組むこととします。 
C オルガナイザーの育成に取り組むため、各産別からの若い人や女性を対象に、労働組合づくりに係わる知識と実践教育の場を提供するユニオンスクールを開設します。修了者には「連合北海道労働組合づくりアドバイザー」(仮称)として登録、活動していただくこととします。 

(3) 地域ユニオンによる組織拡大 
@ この間、連合北海道は、地区連合直加盟組合の産別結集を進めてきましたが、会費問題やサービス提供体制などから、産別移行が困難な組合については地協単位に地域ユニオンを結成し、活動を展開してきました。 
A その結果、特に本年度は、ハイ・タク最賃新設運動などを契機に、地域ユニオン加盟組合の産別移行が進みました。今後とも、地域ユニオンの参加組合の産別移行のための協議機会を設けるなど、産別・地協・地区連合との連携に努力します。 
B 一方、圧倒的な中小・零細企業の労働者やパート・派遣労働者、契約社員、嘱託職員など非正社員労働者が急増する中で、産別結集が直ちに困難な労働者の受け皿として役割を果たす組織は、地域ユニオンをおいて外にはありありません。
産別整理が困難な上記労働者の組織化を推し進め、地協段階における地域ユニオンの組織拡大を図ることとします。
このため、北海道地域ユニオンに結集する「地域ユニオン」の活動強化とネットワーク機能の充実を図るため、連合北海道地協事務局長会議と連動した、北海道地域ユニオン執行委員会の定例開催による活動指針の提起や、労働相談、地域ユニオンの宣伝活動に取り組み、組織拡大に取り組みます。

(4) 労働相談を通じた組織化 
@ 景気の低迷、人件費削減を中心とした企業の経営姿勢の変更、雇用・就業形態の多様化の中で、賃金不払い、労働条件の不利益変更、労働保険・社会保険の未加入・脱退問題など労働相談は、近年急激に増加しており、この1年間の相談件数は、2,443件に昇っています。 
A こうした状況に対し連合北海道は、各地協を中心になんでも労働相談を実施するとともに、相談が集中している札幌圏においては、「さっぽろ労働相談センター」を2001年3月に設置し、問題解決に取り組むとともにこうした個別の労働者の相談活動を通じ、労働組合の結成を図ってきました。労働相談の内容は、個々の労働者の個別課題でありますが、そのほとんどは相談者だけではなく、その職場の同僚全体に関わる問題で、本当の問題解決を図るためには労働組合を結成し、団体交渉を通じ解決を図ることが肝要です。今後とも連合北海道の労働相談は、「労働者のためのワンストップサービス」としての機能を高めるとともに、労働組合結成による解決へのアドバイスとサービス機能の充実を図ることとします。

(5) 産別道組織の結成促進 
@ 連合本部に加盟しているが道段階の産別組織が未確立で、連合北海道に未加盟の産別として、生保労連、損保労連、全国農団労、全信労連、ヘルスケア労協などがあり、また、連合本部でのオブ加盟や友好組織では、医薬品労協、日建協があります。
このため、連合北海道への参画を促進するため、連合本部・関係産別中央組織と連携を密にし、春季生活闘争等による意見交換会を開催し、連合北海道への結集対策を進めていきます。   

A また、産別本部に結集していながら、道段階の産別には未参加の単組が存在します。産別道本部と連携し、道段階の産別加盟に向けた共同オルグなどを実施し、解消に努めることとします。 

(6) 非正社員雇用労働者の組織化 
@ 雇用・就業形態が大きく変化する中で、パートタイム労働者、契約労働者、嘱託・請負労働者や、雇用関係はありませんが同一職場で働く派遣労働者など非正社員(非典型)雇用労働者が増加の一途をたどっており、2002年の道内調査では雇用労働者の37%を占め、パートタイム労働者については約40万人にも昇っています。
これまで使用者側は、パートタイム労働者など非正社員労働者を雇用する理由として、「低コスト労働力」「雇用調整が容易」「繁閑差への対応」をあげてきましたが、最近では「パートで十分仕事をこなせる」ことをあげており、文字通りパートタイマーは職場戦力として基幹労働力となってきています。 
A しかし、こうした非正社員雇用労働者の組織化は、一部の産別組織の取り組みに止まっており、このまま放置すると正社員・正職員の労働者のみの労働組合は、労働者を代表する労働組合となりえず、少数の特定労働者の利益団体になりかねません。
このため、連合本部が2003年2月に示している「パートタイム等労働者組織化推進ガイドライン」にもとづき、(a)構成産別は、組合員の範囲の見直し(規約の見直し、労働契約の改定)を行い、既存の単位組合に組織化する。(b)単位組合での組織化が不可能な場合、パート労働者のみの組合結成や地域ユニオンへの結集を図るなど強力に取り組むこととします。
パート労働者の組織化に際しては、交渉力の強化など組織化の必要性について合意形成に努めるとともに、パート労働者に対して「理由のない解雇や安易な雇い止め」などの雇用不安の解消や労働条件、職場環境の改善を図ることなどをあげ、組織化を推進することとします。 

2.産別・地域運動の強化   

@  6部門で結成している産業別部門連絡会は、特に春季生活闘争段階における情報交換や闘争態勢の確立に役割を果たしてきました。
産別部門連絡会のうち「金属・機械部門連絡会」や交運労協の活動を通じた「交通・運輸部門連絡会」、公務部門の「公務労協」の3部門については、通年活動の定着や産業政策活動の定着・拡大の取り組みが図られています。
今後は、組織拡大の取り組みなど活動分野の拡大に期待し、十分な連携を図り、運営の強化に努めていくこととします。
また、その他の3部門の「資源・化学・エネルギー部門連絡会」「流通・食品・建設・一般部門連絡会」「情報・サービス・金融・保険部門連絡会」についても、運営の工夫などを図りながら通年活動の定着や、活動範囲を拡大するなど運動面の機能強化に努めていきます。 
A 地協・地区連合の組織は、地域運動のセンターとして着実に地歩を築き上げてきています。しかし一方では、開店休業状態の地区組織が存在するなど、地域運動に格差が生じています。
このため、地協による指導体制を強化するとともに、地域労働運動による組織拡大活動や政策立案と実現運動についての経験・交流の場を設定するなど、存在感のある、顔の見える地域労働運動の発展を図っていきます。
さらに、組織人員の減少などにより、地域運動を担う人材・財政問題は、年々深刻化しています。各構成組織の会費納入率の改善に取り組むとともに、地域運動の基盤確立に向けて組織・財政特別委員会の場での検討を進めることとします。
また、市町村合併に伴う市町村連合組織の再編については、組織の空洞化を招かないよう、組織の整備を図ることとします。 

3.青年・女性・退職者組織の強化 

(1)青年委員会の結成と育成
 労働組合運動を持続的に発展させ、活力ある組織とするためには、青年の組合活動への積極的な参画を図り、「老・中・青」の厚みのある組織とする必要があります。
 このため、連合は各産別に青年組織を確立するとともに地協・地区連合段階に青年委員会を結成、育成するとことに取り組んできました。
 今次の第20回参議院選挙においては、争点となった年金制度改革を中心に自主的な学習会を開催し、政府のその場しのぎの年金制度の改悪案に反対するキャンペーンを活動、展開し道民世論にアピールしました。
 わたし達は、今後とも労働運動の活性化と次代を担うリーダーの育成を図るため、若者達の自主性や豊かな感性を受け止め、地域の青年委員会の結成と育成に努めていくこととします。 

(2)女性委員会の結成と促進
 いま、我が国の雇用労働者のうち、女性労働者の占める割合は4割を超えています。また、女性労働者ではパートや派遣労働者などの非典型労働者(非正社員雇用労働者)が、典型労働者(45.2%)を上回っています。しかし、労働組合活動における女性の参画は年々改善されてきているものの、男女の組合員数に比例した構成とはなっていません。
 このため、女性労働者の課題解決と女性リーダーの育成の場となる女性委員会を産別・地協・地区連合の段階に設置し、その活動を強化していく必要があります。
 女性委員会の設置状況は現在、13産別組織、4地協にとどまっていますが、各産別・地協・地区連合の協力を得て、新たな組織結成に取り組むとともに、女性労働者の課題解決を図るため、均等待遇や権利確立に向けた集会開催などに取り組みます。 

(3)退職者の組織化と活動支援 
@ 北海道高齢・退職者連合は、結成以来、今日まで連合運動とりわけ、年金・医療・介護を中心とする社会保障・社会福祉課題に積極的に参加し、地域運動の発展に大きく貢献していただいています。
とりわけ、今次の政府のまやかしの年金改革に対しては、年金受給者の立場から、連合北海道と一体となり、署名運動、中央要請行動など北海道における年金改悪反対運動の世論形成に大きな役割を発揮しました。また、参議院選では、全道各地で豊富な経験を活かし、現退一致の立場で御協力いただきました。
連合北海道は、こうした高齢・退職者連合とより連携、強化するため以下の課題を中心に取り組みを支援します。 
A その第一は、北海道高齢・退職者連合の組織の強化、拡大に対する支援です。現在、退職者連合には28産別(61,135名)・27地域に結成され、将来の全産別、全地協段階の組織化に向け、今年度は静内(256名)、中標津(77名)、名寄(478名)で新たに地域組織が結成され、また運輸労連においては、この9月に加盟、組織化となりました。
こうした組織の結成・運営には、現役組織の産別、地協、地区連合の支援が不可欠です。引き続き、組織拡大、活動強化に向け財政を含めた支援の強化に取り組みます。
B 第二は、社会保障制度の抜本改革に向けた道民運動への連携と支援です。
本年度の年金改悪に引き続き、来年の通常国会には介護保険制度、2006年には医療保険制度の制度改革が予定されています。現行制度の問題、矛盾を要求として取り上げ、公正で持続できる社会保障制度として確立するためには、現役とOBの連携した運動が不可欠です。
例年、開催している「人生匠の集い」や高齢者が安心して暮らせる福祉の街づくりに向けた道や市町村自治体の段階の要求づくりや運動を一体となって取り組むこととします。

V.総合生活・雇用労働条件改善の取り組み 

1.2005年春季生活闘争   

@ 2005年春季生活闘争は、連合本部の基本構想を踏まえ、連合北海道の基本構想を第17回年次大会で決定し、12月中には闘争委員会を設置して闘いを進めていきます。 
A 春季生活闘争は賃金引き上げのみならず、勤労者の総合的な生活を改善する取り組みであり、組織労働者が勝ちとった賃金引き上げや労働条件の改善の結果を未組織労働者に波及させる役割や、労使で経営全般の認識を深める役割も持っています。 
B 2005年春季生活闘争は、引き続き本道の厳しい雇用経済情勢の中での闘いになると考えます。
そうした情勢下にあっても連合北海道は、地場・中小組合の闘いを産別と地域が一体となって支える地域共闘の強化を図り、未組織・パート労働者に波及する運動を展開することが求められています。特に、企業規模間や正社員とパート等非正社員労働者との賃金格差を是正し底上げを図ることは、春季生活闘争の重要な課題であり、従来通り賃上げの具体的要求目標を掲げて、道内地場・中小組合の交渉を支えていくこととします。 
C 今後とも、春季生活闘争を推進する視点を絶えず職場と地域に置き、新たな課題に挑戦することとします。   

2.中小・パートの雇用・労働対策の推進 

(1)雇用対策の強化とワークルールの確立 
@ 雇用情勢は、依然、失業率が高止まりを続けています。また、新規採用の抑制、中高年労働者のリストラ、パート・契約社員・派遣労働者など非正社員雇用労働者の増加が顕著になっており、正社員から非正社員雇用への置き換えが、企業規模や業種、労働者の性差を超えて急速に広がっています。 
A こうした雇用情勢の背景にあるのは、第一に企業による人件費削減であり、第二に政府による雇用の流動化を推進する規制緩和政策、第三にIT革命、金融革命・グローバル化などのマクロの環境変化が、高失業状態を生み出しています。 
B このような雇用の量的・質的な危機的状況を打開するためには、第一に経営側の労働・雇用の水準切り下げに反対するとともに、第二に国に対し雇用のセーフティネットとワークルール化の確立を求める必要があります。 
C 具体的には、第一に新たなワークルールとして非典型労働者の均等待遇、解雇規制を含む労働契約法の制定、請負契約・契約労働などの労働者保護の規制強化、男女雇用機会均等法の改正などを図ること。第二に個別企業を超えた安定的な雇用と能力開発に向けた社会的なインフラを整備するとともに、企業横断的な能力評価システム作りなどの新しい雇用システムを築くこと、第三に持続可能な雇用保険制度の確立や非正社員雇用労働者の社会保険適用、学卒未就業者に対する公的訓練の実施などのセーフティネットを確立すること、第四にワークシェアリングを通じた仕事とライフスタイルの見直しと、労働時間管理の徹底などに係わる立法・政策の実現を図ることが求められています。 
D このため、連合本部が提起する法制化の取り組みの課題について、学習会の開催、自治体意見書採択運動や道民集会の開催など、雇用の安定と公正なワークルールの確立に向けた道民運動に取り組むこととします。 
E また、道に対しては、介護・福祉・医療・環境・教育など福祉型社会形成に不可欠なサービス部門や観光・食関連産業を中心に、公的・社会的セクターによる雇用拡充を求めるとともに、民間企業やNPO、協同組合による雇用創出の支援を拡充するなど、北海道雇用創出プランの補強・拡充を求めていくこととします。
更に、中小企業の経営基盤を強化するため、融資制度や信用保証制度の拡充や技術開発、新商品開発に向けた大学・研究機関との支援強化を求めていきます。 
F 雇用の安定を図るためには、働く者の雇用を維持していく立場で、労使協議を強化する取り組みが大切です。
このため、雇用安定協定の締結に取り組むとともに、パート労働者や契約社員などの非正社員雇用労働者についても組合員化し、合理的理由が無い限り引き続き雇用契約の更新や、雇用を維持する労使協定の締結を図る取り組み・指針を作成するなど、各産別・単組の取り組みを促進します。
具体的には、連合北海道中小・パート対策委員会で検討することとします。 
G また、会社更生法や民事再生法の申請など企業危機に直面した場合には、産別の支援要請を踏まえて、雇用の維持や労働債権の確保を中心に対策委員会を設置し、対応するなど最大限の支援体制を構築することとします。 

(2)ミニマム運動の促進 
@ 労働条件の改善に向けての取り組みは、春季生活闘争結果に見られるように、ますます厳しい状況にあります。地域ミニマム運動の取り組みは、ここ数年間低調にありますが、取り巻く環境が厳しい情勢の今こそ更なる発展に向けた取り組みが必要です。 
A 定昇制度もない賃金制度も整備されていない組合においては、ミニマムの設定が年齢別最低賃金、企業内最低賃金の協定の取り組みにつながり、法定最低賃金の引き上げにも寄与する取り組みとなります。 
B 「地域ミニマム運動」への参加組合の拡大に向け、学習会や意見交換会の場を設けて進めていきます。 

(3)労働時間の短縮と不払い残業の撲滅 
@ 総労働時間1800時間を目標に時短の取り組みを進めておりますが、全国の総労働時間は1846時間、北海道は1810時間と減少傾向にあるとはいえ、未だ目標達成に至っておりません。
今後も時間外労働の削減、有給休暇の取得の促進等により年間総労働時間1800時間達成を目指すとともに、常時10人未満の商業・サービスの特例の廃止や正月3が日休業の制度化を求めていくこととします。 
A 不払い残業を撲滅するため、不払い残業防止に向けた「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」の周知徹底を図り、確実に履行されるよう取り組みを一層強化します。 

(4)中小労働者の福利厚生の向上 
@ 中小企業と大企業の間には、賃金、労働条件の他、退職金などで大きな格差があり、とりわけ福利厚生面での格差は広がっています。
中小企業の福利厚生の立ち後れは、企業規模が小さく、資金力が乏しく、従業員が少なくスケールメリットが発揮できないなどの要因があります。 
A このため厚生労働省は、中小企業に働く労働者が生涯にわたり豊かで充実した生活が送ることができるよう、中小企業が共同で福利厚生事業を実施する「中小企業勤労者サービスセンター」の設立を促進する取り組みを進めています。連合北海道としては、今後ともサービスセンターの設置拡大に取り組むこととします。   

3.労働安全衛生対策の強化   

@ 「第10次労働災害防止計画」(5カ年計画)初年度にあたる本道の平成15年の労働災害発生状況は、死亡者は99名(前年136名)、休業4日以上災害は7,231名(前年7,595名)と死亡労働災害は大幅に減少し、ようやく全国ワーストワンを返上しました。また、休業災害・重大災害も減少しましたが、まだまだ多くの労働者が被災しています。
A また、定期健康診断による有所見率は年々増加しており、50%近くに達しています。
更に脳血管障害や虚血性心臓疾患等の誘発原因である長時間労働や職場におけるストレス、業務に起因し心理的負荷を原因とする精神障害、そしてこれに伴う自殺者の発生など「心と体」の健康障害も深刻な状況にあります。 
B 安全衛生活動の基本は、職場の取り組みが基本です。職場から労働災害や健康障害をなくすためには、日常的な地道でかつ粘り強い取り組みが必要です。このため、連合北海道は引き続き労働安全衛生対策委員会を軸に、北海道勤労者安全衛生センターと連携し、構成産別や各地域での安全衛生に関する取り組みが更に前進するよう第一に働く者の「命と健康」を守るネットワークの確立、第二に「北海道における中小職場の安全衛生改善5カ年計画の推進」を重点に活動を進めます。 
C 働く者の命と健康を守るためには、医師や安全衛生コンサルタントなどの専門的知識・経験を活用できるネットワークづくりが不可欠です。
これまで連携してきた緑愛病院や地域産業保健センター、日本産業カウンセラー協会(メンタルヘルス)や労働科学研究所(マネジメントシステム)などの協力を得ながら、産別・単組・組合員に対し、より質の高いサービスの提供に努めていきます。 
D また、中小職場の安全衛生改善5カ年計画の推進を図るため、第一に職場において計画的かつ継続的に安全衛生管理を自主的に推進する労働安全衛生マネジメントシステムなど安全衛生活動資料の作成とモデル事業所を設定した取り組み、産別、業種ごとの安全衛生チェックリストの作成、アンケート調査、カウンセラーによるセミナーの開催などに取り組みます。 
E 全道セイフティネットワーク集会(第10回)を開催するとともに、地協・地区連合段階においても地域産業保健センターや労基署とも連携し、加盟単組の安全衛生責任者や労災防止指導員をはじめ地域の中小企業にも呼びかけるなどして地域セミナーを開催します。 
F 労災防止指導員活動については、加盟組合の協力による「職場でのパトロールトレーニング方式」を定着させ、実践的レベルアップにも力を入れていきます。 
G 労災保険の民営化に反対するとともに次期通常国会に上程が予定されている労働安全衛生法の改正については、企業合併や分社化などの進行、パートなど就業形態の変化に対応した安全衛生管理体制の構築、小規模事業場における安全・衛生体制の強化や産業医サービスの強化、事業主の「過重労働による健康障害防止措置」など連合本部と連携して改正を図っていきます。   

4.労働基本権確立の取り組み 

(1)公務労働者の労働基本権の確立 
@ 小泉内閣は2001年12月25日に閣議決定した「公務員制度改革大綱」にもととづき、労働基本権を制約したままで人事管理権者の権限を強め、能力等級制度を基本とする改革を進めようとしています。これに対しILOは日本政府に対し、公務員制度改革大綱の見直しと関係者との率直かつ有意義な協議の実施を勧告しています。 
A 私たち連合は、これまで政府に対しILO勧告に従って、公務員の労働基本権を確立し、団体交渉により、賃金・労働条件が決定される国際労働基準を満たした制度の構築と公正・中立、透明かつ民主的な公務員制度改革の実現に向け署名運動などに取り組んできましたが、引き続き「連合北海道公務員制度対策委員会」を中心に、連合北海道国会議員団会議と連携し、運動を強化します。 
B 政府・行革推進事務局は、次期臨時国会における法案提出を前提として、8月5日に提示した「国家公務員制度改革関連法案の骨子(案)」(一.能力・実績主義の導入、二.再就職の適正化『天下り人事の是正』等)について、与党や各省庁との調整を進めていますが、各省庁内の既得権確保、天下り人事の存続の思惑等々も強く、合意形成は進んでいません。そして、この案に対して人事院は「能力等級は、管理運営事項的な面があるとしても、それをもって、勤務条件たる側面を否定することは出来ない」と厳しく対立しています。また、抜本改革を求める公務員の労働基本権問題についても政府は具体的改革案を提示していません。
よって、公務員制度改革関連法案は、来年の通常国会に提出される見通しです。こうした緊迫した情勢をふまえて、連合中央や公務労協は、一.抜本改革、そして政労協議もない改革関連法案の一方的閣議決定・国会提出に反対し、二.国会に提出された法案は廃案に向けて、各政党、国会議員への要請など国会対策を強化する、ことにしています。
連合北海道としても、北海道公務労協とともに道内における諸集会・行動を積極的に展開します。そして、11.24連合・公務労協の中央行動にも参加していきます。 

(2)ワークルール確立の労働教育 
@  雇用・就業形態の多様化が急ピッチで進展するなかで労働者に対する労働基準法や労働組合法などに対する教育、知識の付与は、学校教育過程を含め極めて不十分で、労働相談トラブルの増加の要因にも連なっています。 
A 現在、道では若年者を中心とした職業人教育と労働者の権利教育などワークルールの確立について検討会議が設置されていますが、児童、生徒、学生など各々の発達段階に即した副読本作成による学校教育課程における労働者の権利教育の実施や、新卒就職内定者に対する労働契約を中心とする職業講習会の開催に連合として講師を派遣するなどワークルールの確立を図ります。 
B また、労働市場が買い手市場にあることを背景に「一方的な解雇・雇い止め」が続発しており、正社員、正職員についてはあたかも労働時間の制限のない労働者と言わんばかりの長時間労働を強いたり、不払い残業が未組織の職場を中心に横行しています。 
C このため、連合北海道はもとより、地協・地区連合は地域の経営者団体・使用者団体に対して労働基準法を中心としたワークルールの遵守を求めるとともに、地域の働く者を対象とした相談会、学習会を開催します。その際、連合北海道の顧問弁護士や北海道地方労働委員会の労働者委員などの連携、協力体制を構築します。 

(3)地労委の活用と労問研活動 
@ 労働組合活動を否定する不当労働行為については毅然たる態度で対応するとともに、労働委員会を活用した労働関係の正常化、安定化を図ります。また、地労委による個別労使紛争の解決システムを活用した未組織労働者の労働相談の解決を図り、労働者の権利擁護に努めていきます。 
A 連合北海道と地労委労働委員で構成される「連合北海道労使関係問題研究会」(略称 労問研)については引き続き開催し、連合運動と地労委活動の連携強化を図っていくこととします。また、研究会の開催内容についても「連合労問研資料」として産別・地協・地区連合に配布します。 

(4)労働審判法に対する取り組み
@ 本年4月、労働審判法が可決・成立しました。この法律は個別労使関係の民事紛争について、裁判官である審判官と労働関係に関する専門的な知識・経験を有する労使審判員が事件を審議し、調停を試み、解決に至らない場合には解決案を決するというもので2006年4月から施行されます。 
A 連合は、増加する個別労使紛争に対して労働者が泣き寝入りすることなく、紛争を迅速、公正、簡易、廉価で解決できる制度として労働参審制の導入を提起してきましたが、創設された労働審判制度は将来の「労働参審制」導入に向けた第一歩と言えるもので連合北海道としても、札幌・旭川・函館・釧路の地方裁判所単位に質の高い労働者の信頼に応える労働側審判員の養成に向け、研修会の開催などに取り組みます。   

5.季節・建設雇用対策の取り組み 

(1)冬期雇用援護制度改悪反対運動 
@ 積雪寒冷という気象条件により、毎年冬期間、失業を余儀なくされている建設産業を中心とする季節労働者は、長期の本道経済の低迷に加え、公共投資の削減や入札制度の改革(競争政策の強化)による企業間競争の強化のなかで、雇用期間における労働条件の低下や雇用日数が削減され、日々の生活不安が増大しています。 
A このような中、厚生労働省は昨年8月末、今日まで本道の季節労働者の通年雇用、冬期雇用の促進や技能向上に役割を果たしてきた通年雇用給付金制度を大幅に見直しする概算要求内容を発表しました。その内容は、第一に対象労働者に年齢制限を設け、65歳未満とする、第二に過去に通年雇用奨励金や冬期雇用安定奨励金の支給対象者であったものは、冬期技能講習助成給付金の支給対象者としない、第三に冬期技能講習助成金や冬期技能講習受講給付金の支給額を引き下げる(25%削減)ことを主な内容とするもので、政策実施期間は3年を限りとするものです。 
B これに対し、連合北海道は、道季労、全建総連とともに、この概算要求の政策内容は第一に冬期間、仕事に就くことのできない季節労働者を切り捨てることに繋がる。
第二に低年金、無年金者が多い高齢季節労働者の生活を無視していることなどを指摘し、この見直し案は容認できないとして、政府予算案の決定段階まで死力を尽くして反対運動を展開することとしました。このため、民主党北海道、連合北海道国会議員団・道議会議員団との連携による厚生労働省交渉、対道交渉の実施、見直し改悪案に反対する自治体決議の採択、署名運動の展開、全道総決起集会の開催などの道民運動に取り組んできました。 
C しかし、厚生労働省は、第一に雇用保険財政は急速に悪化している。第二に特定の産業や労働者に対して助成金・補助金を支給する雇用安定事業は労働市場を人為的に歪めている。第三に制度は、住民対策、生活対策ではなく雇用対策である。第四に冬期技能講習(訓練)を受けることが自己目的化しているなどとし、本年3月には予算案を通過させるとともに制度に係わる政省令の改定を実施しました。この状況を踏まえて、私達は、「見直し改悪案は反対である。今後は実施要領の策定に入るが、制度の運用のなかで、出来るだけ多くの季節労働者が新制度の対象者となるよう、また3年間で廃止とさせない」ための5項目の要求項目を策定し、以降7月まで厚生労働省との交渉を実施してきました。 
D その結果、最終的には、第一に冬期雇用安定奨励金や通年雇用奨励金の対象労働者が冬期技能講習助成給付金から除外される対象労働者の基準年度は、平成15年度とする。第二に対象労働者の年齢基準は離職日とする。第三に冬期施工、平準化に向け、国土交通省、農林省などの発注省庁に対し要請する。第四に道が設置する季節労働者の通年雇用化などの協議会に北海道労働局が参画する。第五に冬期失業の解消に向けた通年雇用政策に引き続き、厚生労働省は責任をもち通年雇用対策協議会を存続するとの回答を示しました。 
E この回答は私達の要求からすると不満が残る内容です。今後は、本年度の冬から実施される冬期職業講習の実施や向こう3年間の制度の実施による政策効果の評価の対象となる道の季節労働者対策の関する取り組み方針の具体化と補強、更には、3年後の季節労働者の通年雇用給付金の制度の廃止を許さない、政策・制度の立案活動や道民運動の強化が大きな課題です。 
F このため、対象労働者の削減が予想されるなかで財政的にも厳しい企業組合による技能講習を支えるため、地協・地区連合の支援の強化が求められています。講師や講習会場の確保や除外となった季節労働者に対する冬期就労事業の実施などについて自治体交渉などに積極的に取り組むこととします。 
G また、季節労働者の通年雇用給付金制度の政策評価となる道の示した計画の具体的数値目標である「平成16年度から3年間で概ね、14,000人の季節労働者を削減」は、高失業率や建設投資の削減の状況のもとでは、通年施工による季節労働者の通年雇用化や他の産業分野への配置転換による常用化ではなく、単に季節労働者の短期特例一時金受給者の削減となる大きな懸念があります。
このため、季節労働者に対する事業主の雇用責任、国、道、市町村などの公共事業の発注者責任、更には、民間事業者の冬期施工を支援、誘導する政策や冬期施工技術の導入、普及に係わる政策の実施など総合的な政策の展開を求めていくこととします。
特に道に対しては、北欧、カナダなどの建設業や雇用政策の調査などに取り組み、道の政策に反映させていくよう求めていきます。 

(2)雇用・労働条件の改善運動 
@ 建設業を中心とする季節労働者の働く現場は、ゼネコンを頂点とする重層下請構造の末端で働く労働者が多数を占めており、労働災害が多く発生しています。また賃金の支払い形態も日給制が大半であり、一般競争入札などの導入などや、元請のピンハネによりここ数年間、日給水準が下落しています。公共事業においては職種ごとの設計労務単価や建設業退職金共済制度の掛金、法定福利厚生費などが積算されていますが、下請の会社ほど、こうした公正な労働基準が確保されない実態にあります。しかし、多くの季節労働者は、こうした働く権利を主張し、改善を求めたくとも翌春からの雇用が確約されていないため、泣き寝入りしているのが現状です。 
A 公共投資など建設投資が削減される中で、季節労働者の翌春からの雇用不安は非常に高まっています。このため、地域建設業協会との意見交換の場を確保するとともに、月の最低雇用日数や年間の最低雇用月数に関する最低雇用保障協定を地域建設業協会や建設事業主と締結する取り組みを、モデル地域などを設定し、導入することを検討します。
このため、道季労、全建総連などで構成する季節・建設雇用対策委員会で協定の目的、協定の内容、導入、締結の進め方について具体案の策定に取り組みます。 
B 建設労働者が共済手帳に就労日数に応じた共済証紙を貼付し、退職時に貼付枚数に応じた退職金を受け取れる「建設業退職金共済制度」は、建設業に就業している季節労働者の生活の安定を図る重要な役割を果たしていますが、充分に行き届いていません。
このため、引き続き国や道、市町村の工事を受注した業者に対し、共済証紙購入と貼付の確認を守るよう求めていくこととします。 
C 地方公共団体からの建設発注や業務の委託の落札価格では、生活していくのに充分な賃金や労働条件が確保されないケースが増えています。このため、正当な賃金の確保や安心して働けるルールづくりのため、引き続き「公契約条例」の制定を求める取り組みを行います。   

6.最低賃金の底上げの取り組み 

(1)北海道最低賃金 
@ 平成16年度の北海道地域の法定最低賃金については、本年2月に連合北海道最低賃金対策委員会を開催し、要求額と取り組み方針を決定し、3月10日、厚生労働省北海道労働局長に対し、現行時間額637円を2%引き上げ650円に改正するよう要請書を提出しました。
またあわせて、第2回定例市町村議会に向け、北海道の最低賃金が2年連続で据え置かれ、パート労働者を中心に経済的に自立できない労働者が増加していること、デフレ経済に拍車をかけていることなどから引き上げ改正に向けた意見書採択運動に取り組むとともに、北海道最低賃金審議会の審議のヤマ場には、集会を開催するなど世論形成に取り組んできました。 
A これに対し、北海道労働局長は、5月に北海道最賃審議会に対し諮問を行い、以降、専門部会を中心に労使の意見聴取、現地視察などの調査を実施、7月19日の中央最低賃金審議会の公益委員見解を経て、審議入りしました。わたし達連合北海道の労働者側委員は、法定最賃の実効性を確保するため引き上げ改正を強く主張しましたが、使用者側委員は、景気回復は本道には及んでいない、支払能力からしても据え置きすべきと主張、最終的には公益委員側が女子パート平均時間給の改善が見受けられるとして「1円引き上げ」の見解を示し、この公益委員と労働者側委員の賛成多数で「時間額638円、10月1日発効」で決着しました。 
B 地域別法定最低賃金は、「労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を考慮して定めなければならない」(最賃法第3条)とされ、具体的には中小企業における春季賃金の改定状況やパートタイム労働者の時間額などが特に改定の重要な指標とされていますが、ここ数年、賃金改定なしの企業が増加、業績を月例賃金ではなく一時金に反映する企業や正社員からパート労働者などの置き換えが進んでいることなどにより、春闘の結果やその波及効果を地域最賃に反映することが困難になってきています。 
C このため、今後は、連合本部の最低生計費を参考に、北海道の生活実態や賃金実態を考慮した「セーフティネットとしてのあるべき水準」を目指し、引き上げ改定に取り組むこととします。
具体的には、高卒初任賃金の時間額換算や一般労働者の賃金水準に対する適正水準への接近と影響率の確保に努めることとします。 
D また、全ての組合がパートを含めた全従業員対象の企業内最賃の協定化に取り組むとともに法定最賃額の改定の際、大きな指標になっている道内40万人を超えるパート労働者の時間給の底上げを目指した「パート時給底上げ共闘会議」(仮称)の設置に取り組み、法定最賃の引き上げ改定を図ることとします。 

(2)産業別最低賃金 
@ 1998年の春闘の段階から取り組んできましたハイ・タク労働者の産業別最低賃金の公正競争ケースによる新設については、これまで申し出要件である道内ハイタク労働者24,000名の3分の1の合意が得られず、申し出要件をクリアできませんでしたが、本年は約11,000名を超える「一般乗用旅客自動車運送業」のハイ・タク運転手の組合員、労働者の合意を得て7月26日、北海道労働局長に対し新設の申し出を行いました。 
A このハイ・タク最賃の新設の申し出は、全国では広島県についで2番目です。申し出要件を大幅にクリアする合意決議・署名を集約できたのは、第一にこれまでの取り組みに加え、特に2002年からのハイ・タクの規制緩和政策により増車が相次ぎ過当競争のなか賃金ダンピングが続いていることを踏まえ、全自交道地連や交通労連ハイ・タク部会が北海道交運労協の支援などを受け、未加盟産別や非組合員を含めたハイ・タク運転手に最低賃金設定による労働条件の底支えの必要性を強く訴えたことです。第二に北海道ハイ・タク最賃協議会(議長 鳥海光男)が設定した地域目標を、地協・地区連合が地域の共闘支援体制を構築し、未加盟、未組織労働者の合意署名を獲得したことです。 
B このハイ・タク最賃新設の問題はいよいよ10月22日より北海道最低賃金審議会で調査・審議が開始されました。
使用者団体である北海道経営者協会や北海道ハイヤー協会は、「ハイ・タク最賃の新設に反対、地域最賃のみでよし」とし、設定そのものに反対姿勢を示しています。しかし、わたし達は、「賃金のダンピング競争による過当競争は不公正な競争である。安全運転を担うプロに相応しい最低賃金」の設定を求めて粘り強く主張するとともに、合意形成を図る道民運動や企業内最賃協定の締結に向けた取り組みを強化いたします。 
C 北海道の産業別最賃として設定されている4業種(鉄鋼・造船・電機・食品)については、鉄鋼:756円(2円引上げ)、造船:716円(1円)、電機:710円(1円)、食品:714円(1円)の改定が図られました。連合北海道は、産業別最賃の目標金額を北海道地域最賃の120%とし、これに到達していない産別最賃については115%とすることを確認しており、今後も目標金額への到達を目指して、引き上げ改定を求めていきます。 
D 以上の取り組みに際しては、連合北海道最賃対策委員会、北海道ハイ・タク最賃協議会を開催し、意志統一を図りながら進めるとともに、介護労働者やビルメン労働者などの新しい産別最賃の設定について検討することとします。


W.男女平等参画社会実現に向けた取り組み
 

1.男女平等参画の取り組み 

(1) 1999年6月に「男女共同参画社会基本法」(以下、基本法)が成立・施行され、国民の責務として職域、家庭、地域などあらゆる分野で共同参画社会の形成に寄与していくことが明文化されました。連合は、この基本法の理念(@男女が性別による差別的取扱いを受けず人権が尊重される。A性別による固定的な役割分担等を反映した社会制度・慣行をなくす。B政策等の立案、決定過程に男女が共同して参画する機会の確保。C男女による家庭生活と仕事、地域活動の両立への支援など)の実現を図るため、1999年10月組織機構を改革し、女性局から男女平等局を設立、さらに、「男女平等参画推進委員会」を設置し、現在、2001年からの「男女平等参画推進計画」(第二次)を進めています。 

(2) 連合北海道についても、1993年に「レディース・ステップアップ・プラン」を策定して女性参画の促進に取り組み、さらに、2000年10月の第12回年次大会では、「男女平等参画推進計画」(2001年11月〜2006年10月まで5カ年計画)を策定、2002年1月には、「男女平等参画推進委員会」設置し、基本法に基づく基本計画・行動計画を定める「条例」制定の取り組みや各種の審議会等への参画(女性比率30%)、さらには執行機関等への女性の参画など「男女平等参画を進める労働組合づくり」をめざしてきましたが、前進しているとはいえない現状です。 

(3) 長い歴史の積み重ねで構築されてきた意識や社会慣行の中にある、性別による固定的な役割分担等をなくすことは、大きな社会運動ですが、労働運動においては運動全般のあり方を身近なところから改革することであり、ひとり一人の組合員に至るまでの意識改革が重要です。
 こうした基本認識に基づき、連合北海道は、運動の抜本的な強化を目指し、組織機構として新たに「男女平等局」を新設することとします。男女平等局は、男女平等参画推進委員会や女性委員会を通じ、運動の全体化をはかり、男女の平等参画を推進していきます。 

(4) 以上のことを踏まえ、以下のとおり取り組みます。
@ 男女平等参画推進委員会は、男女同数を基本として再編成するとともに、4年目を迎 える連合北海道「男女平等参推進計画」の進捗状況について調査点検を行い、必要な補 強方針を提起します。具体的には、
  ア、産別・単組、地域組織の役員比率に占める女性の割合をアップします。少なくても女性役員ゼロをなくすため役員選考にあたって、こうした考え方の周知・啓発を行います。
  イ、連合北海道の大会・地方委員会はもとより、諸会議(政策委員会・春季生活闘争   討論集会など)に女性の参画を増やすため具体策を講じます。  
  ウ、産別、地協における「男女平等参画委員会」の設置に努めます。
  エ、市町村に於ける「男女平等参画条例」制定に向けた取り組みを行います。
  オ、各種審議会への参画を進めます。 
A 男女雇用機会均等法は、1985年に成立し、その後改正が加えられて20年を経過 しています。1999年に施行された改正均等法では、男女双方に対する差別の禁止や 間接差別に関する規定がなされていないことなどから、これからの改正にむけては、「男 女雇用平等法」として実現するよう取り組みます。 
B 2003年7月に成立した、次世代育成支援対策推進法(2005年〜2015年ま での時限立法)では、2005年3月末日までに、企業(301人以上の事業主)と地 方公共団体は、次世代育成支援のための行動計画を策定することとなっており、実効あ るものとするため積極的に関わります。 

2. 女性活動の充実・拡大について 

(1)具体的な運動の推進政策制度面では、男女平等推進の国際的な流れもあり、男女共同参画社会基本法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、次世代支援対策推進法等の制定・改正が進んできています。また、女性雇用者が全雇用労働者の41.2%となりパート労働者の占める割合は36.2%となっています。しかし、賃金格差、雇用形態等での格差は拡大しています。
このような厳しい状況のなかで、女性の人権が尊重され、安心して働き続けられるように運動の拡大、強化が必要です。そのためには、具体的に運動を推進するために各産別との連携を深める取り組みや地区組織の結成に向け取り組みを進めます。 

@ 地協、地区連合における女性組織の結成や女性が抱える課題解決を目的に「女性セミナー」を開催し連携を深めるよう取り組みます。
A 均等待遇や労働条件改善に向けた学習の場として「均等法集会」を開催します。
B 各組織との交流の場として「はたらく女性の集会」を開催します。
C 活動の交流、情報の交換、コミュニケーションのツールとして情報紙の発行を行います。
D 「連合北海道男女平等参画推進委員会」とともに「男女平等参画推進計画」を積極的に推進します。
E 産別間の交流を深めるため、レクリェーション行事を行います。
F 国際会議、国際交流の機会に積極的に参加をすすめ、国際連帯活動を強化します。
G 「3.8国際女性デー」の取り組みに積極的に参加・参画します。
H  連合本部で主催する女性リーダー養成講座、あらたに男性リーダーを対象とした男女平等講座など各種会議に積極的に参加します。 

(2)女性組織の確立に向けた取り組み 

@ 「構成組織・地域組織代表者会議」を開催し、幅広く女性の声を運動に反映させる機会を作ります。
A 連合北海道女性委員会幹事会の出席状況が低下していることから、開催日程、運営方法等検討するとともに、役員・幹事の活動支援体制の充実に取り組みます。
B 地区協議会、地区連合における女性組織の設置できるよう連携を取りながら進めます。
C 連合本部男女平等局主催の各種会議、集会に参加し、学習や交流を深め意見反映を行います。 

3.女性に関する政策の充実について   

  連合本部が取り組みを進めてきた男女間賃金格差解消、妊娠・出産に伴う解雇や不利益取り扱い禁止、男女労働者の仕事と家庭の両立、パートや有期契約労働者の均等待遇、労働組合や審議会等への女性参画に向けた計画策定と実行等、また、2005年度の重点政策の一つである、雇用における均等待遇・男女平等の実現の取り組みに向け「パート労働者等の均等待遇の法制化」の実現、「男女雇用平等法」の早期制定を踏まえ取り組みを進めます。 

X.政策・制度の改善

1.雇用創出とセーフティーネットの確立

(1)総務省の労働力調査結果(7月30日)では、本年6月の全国の完全失業者数は、321万人、完全失業率は4.8%(前年同期5.5%)と前年より減少したものの依然として高い失業状況が続いています。また、同調査による2004年4〜6月期の道内の完全失業者数は前年同期よりは2万人減少し16万人、完全失業率は5.6%(前年同期6.2%)となっており、昨年同期よりは減少したものの全国でも最悪の状態が続いています。また、2003年度の道内での離職者は261,563人、うち事業主都合離職は、40,211人と15.4%(2003年度は46,189人、17.7%)をしめています。一方、本道のハローワークにおける求人と救職者の割合を示す有効求人倍率は、昨年8月から12ケ月間、前年同月を若干上回る状況が続いていますが、その水準は今年7月においても、0.46倍(前年同期0.42%)と厳しい状況にあります。 

(2)北海道固有の課題である、建設労働者を中心とした季節労働者の雇用と生活の安定に向けた取り組みは、?V.総合生活・雇用労働条件改善の取り組みで詳細に記載してありますが、本道の季節労働者の通年雇用、冬期雇用の促進の取り組みは、大変重要な課題であり、解決していません。   
  今後も、「冬期雇用援護制度」の問題については、この制度の延長・改善に向けた取り組みが求められます。そのため、特に積雪寒冷地である本道の冬期間における季節労働者の雇用と生活のセーフティネット確立に向け、具体的には、諸外国の実情と制度等についての調査活動等を行い、より優れた制度について提言し、道、国、関係団体の合意形成をはかっていきます。 

(3)道は、全国でも最悪水準のままである道内の失業率(前述)を受けて、7月30日に北海道雇用創出推進会議(道・道労働局・道経済産業局・道経営者協会・連合北海道で構成)を開催し、当面の経済雇用対策に関する基本合意を明らかにしました。 
 その内容としては、第1に、現下の経済雇用情勢に対応した取り組みとして、@建設業のソフトランディング、A地域経済の活性化、B地域における雇用創出の推進、C若年者の就職促進、D中高年者の再就職促進等を掲げ、第2に、経済構造改革に向けた取り組みとして、@新産業の創出・新事業展開への支援、AIT・バイオ産業の振興等を重点としています。  
  こうした道・省庁の重要施策については、道や各省庁タテ割りの取り組みではなく、道と関係省庁との連携強化や各施策ごとの交付金・補助金さらには施策に関わる予算措置などの一元化も含め、総合力により実効ある展開が急がれます。そのために、北海道雇用創出推進会議・幹事会での具体的な推進に向けた検討や調査等の活動が必要です。また北海道地域労使就職支援機構による事業の展開の活発化が求められます。 さらに、連合北海道としても、「緊急雇用対策本部」での論議を活発化させ、必要な提言など行っていきます。 

(4)連合北海道は、連合本部の提起する「120万以上の雇用創出と不良債権処理集中期間における雇用就業対策、雇用創出を強化し、失業率3%への引き下げ」を目指し、デフレ解消策と景気回復を最優先とする政策転換の国民運動を積極的に本道で展開します。また、道政に対しては、引き続き@雇用の増大・創出を最重点においた歳出構造の転換、A年齢、職種、地域などの雇用のミスマッチの解消、B失業者の生活対策、C地域金融の円滑化等を中心に実効性ある雇用創出プランの推進を求めていきます。さらに、経済団体や企業に対しては、@雇用維持や失業なき労働移動の確保、A緊急対応型ワークシェアリングに関する協議や導入の共同推進に取り組みます。 

(5)具体的な方針は次の通りです。
@ 全産別・地協で構成する「連合北海道緊急雇用対策本部」を速やかに開催し、年末から2005年春季生活闘争の前段で取り組む「雇用闘争方針」を決定、産別・地協・地区連合が一体となり「雇用安定協定の締結」や「道と市町村に対する雇用対策統一要求」の実現に総力で取り組みます。
A 民事再生法や倒産企業の再建や離職者の再就職対策について、加盟産別組合の要請に基づき、資金調達対策、自治体からの支援、ハローワークへの要請、北海道労使就職支援機構の活用など積極的なバックアップに取り組みます。
B 雇用制度、職業訓練、失業者の生活保障に係わる学習会の開催や離職者に対するアンケート調査活動、地域雇用創出の取り組みに対する調査団の派遣、地域関係者との意見交換会の実施などに取り組み、政策要求に反映させていきます。
C 2005年度道予算要求に対して、雇用政策を最重点に「要求と提言」を行い、明年1月下旬を山場に、知事交渉を配置して要求実現をめざします。そのために、諸集会の開催など道民運動を展開します。
D 政策の策定、道民運動の展開に際しては、民主党北海道や連合北海道国会議員団会議・道議会議員団会議と連携し、取り組みます。 

2.社会保障制度の再構築の取り組み

(1)年金制度改革の取り組み
@ 連合北海道は、今年1月末に産別・地協・地区に対し、年金制度の抜本改革によって安心と信頼の年金制度を実現する取り組みについての方針を提起し、2月から組合員の参加と道民世論形成を重視して運動を展開してきました。具体的には、学習リーフ「年金Q&A」の発行、職場・地域での学習会の開催、北海道独自の署名活動、各市町村長・議会への要請行動、全道15ケ所で「年金何でも相談」の実施、国会審議の動向をふまえた総決起集会の開催や街頭宣伝活動の実施など、これまでにない行動も提起し、職場・地域から連合北海道の総力で運動を展開してきました。  
  こうした取り組みのなかから、ア.各地協が、諸課題について管内市町村長に対する要請行動や懇談の場を設置することは意義深く、今後も継続・強化することが重要であること、同時に、イ.地協と地区連合の連携強化が各地域での運動の前進につながることが再確認出来ました。 

A 4月28日、政府・与党は、公聴会の開催など今までの慣行を無視して、政府案を衆議院特別委員会において強行可決する事態となりました。加えて、現職閣僚等に端を発して、数多くの与野党国会議員に国民年金保険料の未納・未加入があることが発覚し、現行の年金制度は、あらためてその欠陥を露呈し、国民は、政治不信と年金制度に対する不信を大きく高めていくことになりました。 

B 連合北海道は、5月6日、基礎年金の国庫負担2分の1の実現と年金の抜本改革を求める独自署名33万人余を連合、退職者連合、青年・女性委員会等で要請団を編成して厚生労働省に提出しました。年金制度問題は、その後においても、小泉政権・与党による参議院での強行採決、出生率などのデ−タ後出しなどにより、7月の参議院議員選挙では、厳しい国民の審判が下され自民党の敗北という結果になりました。
  一方、参議院選挙で岡田新執行部を確立した民主党は、政府年金法案に反対し、年金の抜本改革を最大の争点に据えてたたかい、大きく躍進しました。その後、実質審議が6日間という短期開催となった第160回臨時国会(7月30日 開会)では、民主党の提出した年金法廃止法案は否決されていますが、国民の7割以上(毎日新聞世論調査結果:9月3〜5日実施では「年金法を作り直すべき」が78%) は、いまなお、強行成立した政府案の撤回を求めています。 

C 7月30日、「社会保障の在り方に関する懇談会」が開催されました。この懇談会は、4月下旬に開催された小泉首相と笹森連合会長による政労会談を受けて設置されたものです。この中で、税・保険料などの負担と給付の在り方を含めた一体的見直し議論を行い、年内に論点を整理し、2006年を目途に結論を取りまとめるとしています。連合は、年金・医療など社会保障全般の見直しや年金制度の抜本改革という連合要求の実現をめざし、議論に参加しています。しかし、構成メンバー(6閣僚、政府税調会長含む12人)をみても、参議院選挙で国民の7割が求める抜本改革の期待に応えられる議論の場になるのかどうか、また、「政府案廃止・年金抜本改革」を求める民主党の国会審議との整合性についても、懸念する声が少なくありません。  
  一方、民主党は、今後の臨時国会等においても、「政府案廃止・年金抜本改革法案」を再提案したたかう方針ですが、与党(自民党・公明党)が多数という高いハ−ドルを超えなければなりません。
いま重要なことは、連合の改革案、民主党の改革案の方向性を一致させ、国民生活の根幹である国民皆年金制度を確立することです。9月28日、連合と民主党との協議により、基礎年金の税方式化による一元化など4項目の確認がなされました。今後、さらに「一元化」を含む改革法案の方向性を一致させ、それに基づく国会議論、国民運動をさらに強化する必要があります。 

●参考


〈民主党と連合との確認事項〉(04.9.28)
1.基礎年金(最低保障年金)については、全額税方式による一元化を実現する。
2.二階部分については、負担と給付のあり方について、今後引き続き協議する。
3.納税者番号制度を早期に導入する。
4.全国民を対象とする年金制度の一元化を目指す。
 


(2)医療制度・医療サービス改革、介護制度の見直し改革
@ 医療・医療保険制度については、2006年に診療報酬と介護報酬の同時改定、2006〜2007年には医療保険制度「改革」が相次いで予定されています。こうした改定に対しては、イ.診療報酬制度、薬価基準制度などの医療保険制度の抜本改革、ロ.老人保険制度の抜本改革と「高齢者医療制度」の創設、ハ.医療機関の機能分担の明確化、相互連携強化など医療提供体制の改革、ニ.医療情報の公開と患者の権利確立、など医療制度の抜本改革を求めていきます。
A 僻地・離島などにおける医療サービス提供を整備するためには、医師、看護師、技師等の医療従事者の確保が不可欠です。このため、医療従事者の処遇と労働条件の改善、医師派遣の透明性を確保するために既に札幌医大では医局が廃止されていますが、他の道内の国立医大においても医局の解消、研修医の生活基盤の確立と質の高い臨床研修、僻地医療支援機構の充実強化を引き続き求めていきます。
B 介護保険制度は、スタートから4年を経て、2005年は制度の見直し改革を迎えます。介護保険の給付・加入者対象の拡大(医療保険加入者と被扶養者をすべて介護保険の被保険・給付対象者にする)、自立支援、在宅サービスの質の改善や基盤整備等々の改革を求めていきます。なお、障害者への支援費制度の介護保険への統合は、当事者の意見もしっかり受け止め、慎重に対応することを求めます。
  また、子どもがいきいきと育つための児童福祉・子育てへの支援強化、バリアフリー、ノーマライゼーションの推進など障害者福祉の拡充を求めます。
 
(3)道立病院の移管
@ 連合北海道は、道が今年2月に寿都・釧路病院の移管等についての基本方針を明らかにして以降、地域医療を守るために要請行動を展開してきました。寿都病院の移管問題では、現地・寿都町そして黒松内町・島牧村連合、自治労後志地本、連合後志地協、連合推薦町村議が中心となって「南後志の地域医療を守る会」を結成し、現行医療の後退には反対する署名活動、チラシ配布、町・道への要請行動を展開してきました。また、釧路病院の移管問題については、患者・家族の会、自治労釧根地本、退職者連合、全道庁釧路総支部、連合釧根地協などで「道立釧路病院の存続と地域医療を確立する共闘会議」を結成し、地域ビラ、講演会、市・道への要請行動を行い、釧路市長からも道に対して存続の要請が行われました。
A 連合北海道は、こうした取り組みを背景に3次にわたる対道交渉を実施し、6月の第2回道議会定例会に向けては、「移管ありき」という道の拙速な対応を厳しく批判して提案を阻止してきましたが、9月6日の副知事との最終交渉において、不満ながら移管等に関する条例改正案の第3回道議会定例会(9月14日開会)提案が方向づけられました。このことによって、寿都病院については、寿都町における有床診療所、釧路病院は、市立釧路総合病院にその機能移転がはかられることとなり、それぞれ廃止されることとなりました。
  連合北海道は、「寿都町の新たな病院整備計画や南後志の地域医療が確保されるように万全を期す」という移管に伴う道の支援策の実行や「2年前倒しで釧路病院は移管を強行したが、治療中の患者への経過措置は実施」という病院患者に対するフォロ−策の検討・実施、さらには、地域医療に対する道としての責任や両病院の労働者の雇用確保に万全を期すよう、引き続き取り組みを強めます。
 
3.環境・エネルギー政策の取り組み
@ 大量生産・大量消費・大量廃棄の現在の経済・社会システムは、多様かつ大量の廃棄物を排出しています。こうした問題を解決していくためには、従来からの経済活動やライフスタイルを見直し、資源循環型社会に向けた社会全体の改革を急ぐ必要があります。地球温暖化の影響は、既にここ数年の間にも世界各国での異常気象の発生となって表れています。一刻も早く、温暖化を止めるための実効ある取り組みが各国に求められています。
 連合北海道は、環境に優しい新エネルギーの積極的な導入や省エネルギーの推進を各自治体や企業・団体が実効あるように取り組まれるように求めていきます。
 
A 幌延深地層研究センターが昨年7月に着工されました。これにより7カ町村が電源三法交付金の対象になりました。各町村は交付金申請にあたり、「核持ち込み拒否」等の条例制定について検討していましたが、昨年11月に北海道経済産業局職員が7ヶ町村を訪問し、「条例制定」への圧力ともとれる説明を行っていたことが明らかになりました。連合北海道は、道経済産業局に対して抗議し、同局も遺憾の意を文書で回答しました。研究所建設にあたって、道は、核廃棄物持ち込み拒否の条例制定、さらに幌延町・核燃サイクル機構と同趣旨の協定書を締結していますが、国は、こうした歴史的経過を理解・尊重し、対応する責任があります。連合北海道が7月下旬に実施した2005年度政府予算要求においても、経済産業省に強く求め、大臣政務官から尊重していく回答を得ています。連合北海道は、監視連絡会議や確認5団体とともに、協定や条例の遵守を求め、放射性廃棄物の持ち込みや最終処分場とならないよう、チェック活動を継続していきます。
 
B 8月9日、福井県美浜町の関西電力・美浜原子力発電所3号機のタービン建屋内で2次冷却水の配管が破裂して140度という高温高圧の蒸気が噴出するという事故が発生しました。この事故により、作業員11名のうち、4人死亡、2人重体(のち一人は死亡)、5人重軽傷を負い、日本での運転中の原発事故としては史上最悪の規模です。その原因は、1976年12月に運転開始して以来、28年間にわたって、事故を起こした配管が点検リストに未登録のまま、一度もチェツクされてこなかったという驚くべき事実です。
  連合北海道は、このような「稼働率最優先、安全性無視」の極めて重大な安全管理システムの不備が泊原発においても発生しないように、また、2次系統のタービン建屋における「想定外事故」の発生を受けて、作業員の安全確保のために労働安全衛生の強化策について北電、そして道に対して求めていきます。
そして、10月22日に実施した2004年度泊原発防災訓練には連合として調査団を派遣し、その調査活動で得た課題について改善を求め、充実した地域原子力防災体制の確立をめざします。
  以上のような課題のほか、エネルギ−と環境問題に関わる政策課題の検討や要求・提言していくため、「エネルギー・環境委員会」の活動促進をはかります。特に「省エネ・新エネ促進」を推進していくための道・市町村など自治体行政の課題や民間企業・団体への要求と提言活動を強めていきます。
 
4.地方分権改革の取り組み
@ 今日、地方分権の推進により、「地域主権社会」の創造の時代に入りました。しかし、国は「財源・権限の県、市町村への移譲」に背を向け、各省庁も自らの権限や財源を守るために躍起になっています。中央集権体制から地方への権限・財源を移譲し、市民が自らの責任で自治を決定し、責任を負う、そして安心で活力あるコミュニティと地域社会を築きあげるための努力が求められています。
 2003年9月に制定された北海道行政基本条例は、残念ながら道民投票制度等が盛り込まれなかったなどの不十分さを抱えています。この条例を発展させ、北海道の自治の基本原理と原則を定める「北海道自治基本条例」の制定に向けて、道議会改革や一層の情報公開等を求めていきます。また、各地協・地区連合においても、各市町村における自治基本条例の制定を求める運動を強化します。
 
A 2004年度地方財政計画は、地方交付税、臨時財政対策債を合わせて、前年度と比較して12%もの大幅な減額となりました。その結果、自主財源の乏しい道内の自治体は、予算が組めなくなるなどの厳しい状況となっています。そのため、連合北海道は、民主党とも連携し、「地方切り捨てを許すな!地方財政確立道民会議」を4月に発足させ、「地方財政のしくみ」を理解する学習リーフの配付による学習会やシンポジウム開催、6月の自治体議会での意見書採択(72市町村)や市町村首長の対政府への要請行動など、地方財政確立に向けた運動を展開してきました。同時に参議院選挙を通じて重要な争点としても位置づけ、取り組んできました。
 全国知事会をはじめ地方6団体は、国庫補助負担金(国庫負担金と補助金)、地方交付税及び税源移譲の「三位一体の改革」について、単に国の歳出削減のための改革にとどまらないよう、また、国庫補助負担金の削減問題をめぐっては、義務教育費国庫負担金の削減を容認する案をまとめましたが、教育の機会均等のための義務教育費国庫負担金制度がくずれ、各自治体の財源に委ねられることになれば、自主財源が乏しい自治体が多い道内にとっては大きな格差が生じるのは必至です。
  三位一体改革をめぐる関係閣僚会議は、「三位一体改革の全体像」を11月半ばまでに取りまとめる予定です。
 この取りまとめにしっかり反映されるように連合北海道は、国や道に対して、2005年度政府予算における三位一体改革が今年度のように国の歳出削減のみの改革でなく、公平に地方への税源移譲が進み、義務教育費など必要な国庫負担制度が堅持されるように求めていきます。
 そのために、この間取り組んできた署名活動を集約し、政府・総務省への提出、要請行動や各地協によるシンポ・講演会等の開催、市町村議会での意見書採択運動を通じて道民世論の喚起に努力していきます。また、道内の地方6団体との連携も強化し、「地方財政確立」という一致出来る課題での諸集会の開催に努力します。
 
B 国は、北海道を「道州制特区構想」に位置づけ、今年度政府予算に道州制検討補助金が100億円計上されましたが、国と道が半分ずつを負担する補助事業に使うことが決められています。道は、道州制推進会議を発足させ、6分野のプランを国に提案しましたが、各省庁の動向など、先行きは不透明です。
 一方、道は、@開発局や道経済産業局など国の出先機関を5年後に「北海道総合行政庁」に統合、A10年後には道庁と再統合し「道州政府」をつくる、B2004年度中に道から市町村への権限移譲の基本方針をまとめ2006年度以降に実施、とした「道州制特区」の具体化についてまとめました。
 連合北海道としては、道州制は「国からの大幅な権限・財源移譲をうけた地域政府としての北海道」という原則的な基本を大切にしながら、地方分権を推進し、市民自治を拡充する地方自治制度をめざすものと認識します。そして、道州制・支庁制度改革・基礎自治体のあり方が三位一体で改革されるべきです。そのために、3月に発足させた道州制を研究する地域政府研究会(これまで3回開催)を継続・強化し、道をはじめ関係団体に提言活動を強めていきます。
 
C 市町村合併は、全国では7月29日現在、法定協議会が594地域1,984市町村(設置率64.0%)、任意協議会が56地域165市町村(設置率5.3%)で設置、道内では7月31日現在、自治体財政の悪化を理由に、市町村合併への法定協議会が34地域、100市町村(設置率47.2%)、任意協議会は6地域13町村(設置率6.1%)されており、そのうち、17地域(48市町村)で合併期日、8地域(23市町村)で新自治体名を決定しています。
 しかし、新自治体名の決定方法や医療施設の設置場所、財政状況の差違などで法定協議会が解散した地域(2地域8町村)も出始めています。
 以上のような法定協議会などの急速な拡大の動きは、財政危機を背景とした、市町村合併特例債などの誘導によるものですが、さらに、新市町村合併特例法(5月19日に改正、2005年4月1日から施行、5年間の時限立法)では、イ.都道府県が合併推進に関する構想を策定し、ロ.知事は、合併調整委員を任命し、合併協議会に係わる斡旋、調整を行わせることができ、ハ.合併協議に関する協議の推進に関し、勧告を行うことが出来ることになりました。このような新法の強権的な対応は、合併への強制であり、市町村の自主性が損なわれることとなります。
 連合北海道は、市町村合併が強制にならないよう、強く道に求めていくと同時に、イ.分権の受け皿となるような道州制の先行実施、ロ.市町村合併や広域連合など多様性と自治を重視した市町村のあり方、ハ.そうした市町村を支援する機能を強化した支庁制度改革の推進について、北海道版「三位一体改革」の視点をもって進めていくことを求めていきます。
 
5.郵政民営化問題に対する対応
 
@ 郵政民営化について、小泉内閣は、9月10日、「郵政民営化の基本方針」を与党の承認を得ることなしに閣議決定しました。異例の決定といえます。基本方針は、2007年4月から段階的に民営化し、2017年には最終的な姿として「持株会社」を設置し、4つの機能毎に郵政公社の4機能を窓口ネットワーク会社、郵便事業会社、郵便貯金会社、郵便保険会社と独立した株式会社を設立し、経営の一体性を確保するため、国は、4事業会社を子会社とする純粋持ち株会社を設立するとしています。また、民営会社の設立時期を2007年4月と明記し、それが可能かどうか専門家による検討を行い年内に結論を得るとし、雇用のあり方では、郵政公社職員は国家公務員の身分を離れ、新会社の職員とする、次期通常国会に提出する、ことが明らかになりました。
 
A 1997年の行政改革会議が郵政事業の分離分割・郵貯民営化問題では、連合北海道は、広域かつ過疎化が進む北海道において、「郵便局の廃止・統合が実施されれば国民の基礎的サービス、ユニバーサルサービスが低下することが懸念される」ことから、郵政事業は三事業一体で運営することを求め、民営化に反対との方針で運動を展開してきた経緯があります。
 
B 日本郵政公社として経営体制が2003年4月にスタートし1年余が経過しましたが、早くも民営化の動きが加速しています。誰のため、何のための民営化なのか、国民不在の拙速な進め方と言わざるを得ません。郵政民営化は、小泉政治の掲げる「改革」の象徴的政治課題であり、政権延命と政争の具となってはいないか。民営化された郵政事業が市場原理のもとで、道民生活の利便性をこれまで通り確保できるか、本当に国民経済の活性化に貢献できるのか。そして、民間企業へ移行すると、当然、営利重視の経営判断となり、現在のユニバーサルサービス義務のもとで、過疎地や生活弱者などが受けているサービスが低下することが避けられないのではないかなど、多くの国民が懸念しています。
  連合北海道としては、発足後、1年を経た日本郵政公社の中期経営計画(4年)に基づく経営改革や、事業の改革などの結果を見極めたいと思います。その上で、郵政事業のあり方はもとより、経営形態の見直しを含めて、国民・利用者の立場から判断すべき課題であると考えます。そのため、中央段階で設置された郵政事業に関する労組政策協議会(JPU、全郵政で構成)の方針を踏まえ、地域生活の利便性が損なわれることのないよう必要な運動と道民のための郵政事業改革に取り組みます。
 
6.道および国への政策要求活動について
@ 連合北海道は、これまで毎年、道や国の予算編成に対応して、政策・制度要求の取り組みとして勤労道民の立場に立脚した「要求と提言」を掲げ、連合北海道国会議員団および道議会議員団との協力と連携を図りながら、政策要求の実現をめざしてきました。
  2005年度の道予算編成に対しては、2004年度の取り組みの総括や構成産別・地協からのヒアリングの実施及びアンケート調査を集約して、政策委員会で検討・調整し、10月末までに「要求と提言」を取りまとめ、11月に要求書提出と交渉を開始し、1月末には重点課題の決着をめざし取り組みます。重点要求の絞りこみにあたって、当面課題、中期的課題等の整理を行い、具体的な成果を出す取り組みとしていきます。
  なお、道の財政立て直しプランにおいて、1,700億円の収支改善をはかるために歳出削減・歳入増の諸対策として医療、私学費の道独自の助成・補助金の撤廃やトラック・バスの自動車税の道独自の減免措置の廃止の提案が検討されています。こうした課題については、関係産別とも連携をはかりながら、対象者・事業者への大幅な負担転嫁とならないように経過措置や猶予期間などを設定して柔軟に対応するように求めていきます。
 
A 北海道に係わる国の2006年度の予算編成に対しては、5月より政策委員会の論議を行い、7月の関係各省交渉、予算確定期における大臣交渉を配置し、政策実現に取り組みます。要求の整理については、原則としてローカルセンターとしての北海道の重点課題(矢臼別・幌延・農業等)を第一とし、さらにナショナルな課題であっても、北海道に大きな影響をあたえるもの(地方財政・教育費等)についても取り上げていくこととします。
 
B 以上のような道や国の予算編成への対応については、課題に応じて関係産別・団体との政策協議も実施し、また、大衆運動・道民運動によって「政策要求」の実現をはかります。さらに、道や国の予算編成への対応のほか、各産別が抱える課題などについて、全体化していくための「産別交流・政策討論集会」(仮称)について、政策委員会で具体化していきます。
 
Y.国民・道民運動の取り組み

1.平和を守り、軍縮・核兵器廃絶を求める取り組み
(1)イラクへの自衛隊派遣に関する取り組み
@ 連合北海道は、民主党北海道と合同対策本部を設置し(03年12月)、イラクへの自衛 隊派遣に反対し派遣の中止を求める一大道民運動を、多くの市民・政党・諸団体と連携 して取り組みました。1月9日に、連合北海道・民主党北海道・社民党北海道・北海道 農民連盟・北海道平和運動フォーラム・DPI北海道・道高齢退職者団体連合の7団体 による「2・7国民大会実行委員会呼びかけ団体」を発足させ、1月13日には、各産 別から多大の賛同金をいただき、道新・朝日・読売・毎日の各朝刊に意見広告を掲載し ました。その内容は、「主義・主張・活動など、様々な違いを認めつつ、イラクへの自 衛隊派遣に反対し中止を求める」との一点のみに賛同して参集する「国民大会」への参 加と実行委員会への呼びかけを行うものでした。
 
A 2月7日に開催された、札幌厚生年金会館大ホールでの「イラクへの自衛隊派遣の中 止を求める国民大会」には、319個人・223団体が趣旨に賛同、実行委員会には5 8団体が参加して3000人を超える市民が出席し、終了後、雪祭り開催中の大通りを デモ行進して市民にアピ−ルしました。
  その後、呼びかけ7団体は、「イラクへの自衛隊派遣中止を求める共闘会議」と名称 を変更し、「写真パネル展」を道内10カ所で開催し、5月19日には、札幌で「イラ ク戦争とメディアを考える全道集会」を開催しました。
 
B 6月30日、米国主導の占領暫定当局(CPA)は、暫定イラク政府に主権を移譲し ました。しかし今なお、自爆攻撃、政権首脳の暗殺、外国人の人質誘拐、米英軍と武装 勢力との交戦など、イラクは戦闘状態にあります。イラク人の多くが外国の軍隊の撤退 を望んでいるにもかかわらず、米軍を主力とする占領軍は多国籍軍として駐留し続け、 「戦後復興」は混迷を深め、イラク新政権樹立(05年1月)のめどは立っていません。
  このような状況のもと、小泉首相は、これまで武力行使を伴うゆえに憲法上許されな い多国籍軍への参加を独断で表明、政府も閣議で決定しました。国会論議、国民への説 明もなく、専守防衛が主たる任務であるはずの自衛隊の活動内容を、なし崩し的に拡大 することは、到底認められるものではありません。
  今後も、多くの市民・政党・諸団体と連携し、多国籍軍参加に反対し、自衛隊の一日 も早い撤退を求める取り組みを強めて行きます。
 
(2)在日米軍基地の縮小と地位協定見直しを求める取り組み
@ 日本の平和と地域の暮らしを守るために、米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の見 直しが急務となっています。
  8月13日、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学に、米軍海兵隊の普天間基地所属のCH 53D大型ヘリコプターが墜落しました。民間地域で発生した事故にもかかわらず、事 故発生後、米軍は日米地位協定を盾に沖縄県警の捜査を排除し、事故現場周辺を封鎖し ました。県警の現場検証申入れも無視し、事故機の検証と機体の回収作業を強行しまし た。その際、化学防護服を着用した米軍作業員が放射能測定と思われる作業を実施して おり、事故による放射能やその他有害物質による環境汚染への懸念が高まっています。
  沖縄県知事は「安全と再発防止策が確認されるまでの全機種飛行停止、事故現場での 日米間の協力体制・日米地位協定の見直し」を日本政府と米軍に求めていますが、米軍 に無視され、日本政府も「地位協定の運用改善」のみに問題を矮小化しようとしていま す。連合中央は、地位協定の見直しについて、米軍基地のある関係地方連合を含め対策 会議(2003年7月設置、15地方連合)で論議し、日米地位協定改定案をとりまと めました。この改定案について学習会などを開催し、民主党と連携して抜本的な改定に 向けた取り組みを強化拡大します。
 
A 本年も矢臼別演習場で、在沖縄米海兵隊による移転実弾演習が実施されました。本年の 演習においても移転演習にあたって防衛施設庁と自治体が交わした、「沖縄で実施され た演習と同質・同量」との約束は守られず、沖縄では実施していない夜間演習や、人員 ・弾薬量の増大など演習規模の拡大・固定化がはかられています。
  さらに、日米の外交・防衛当局の非公式協議で、北海道矢臼別に在沖縄米第3海兵師 団の砲兵部隊を移転させる構想が米側から提示されているとの報道がなされました。
 1997年から始まった矢臼別における在沖縄米軍の実弾移転演習の固定化はもとより 北海道に米軍の駐留する基地が新たにつくられることとなり、到底認めることはできま せん。米軍基地の移転はもちろん、演習の拡大分散・固定化を許さず、より広範な取り 組みとするため、現在、道農連と連合北海道により構成されている「沖縄米軍の実弾演 習矢臼別移転反対本部」への参加を民主党や市民団体にも呼びかけることとします。別 海町・標茶町・浜中町・厚岸町の他、兵員・機材輸送にも関係する根室市・釧路市・中 標津町に対しても、演習だけではなく米軍基地移転も含め、反対・拒否するよう働きか けを強めていきます。
 
(3)軍縮・非核三原則堅持、核兵器廃絶を求める取り組み
@ 私たちは、これまでいかなる国の核兵器開発や武装にも反対を基本に取り組んできま した。明年は、敗戦後・原爆投下60年であり、5年に一度のNPT(核兵器不拡散条 約)再検討会議が開催されることなどから、核兵器廃絶を求める取り組みを強化し、政 党・市民団体と充分に連携し、統一した行動を実施することします。
  連合中央は、平和市長会(国連憲章に基づくNGO。108カ国・地域の562都市 が加盟。正副会長が広島市長、長崎市長)の呼びかけに応じ、05年にニューヨークで 開催されるNPT再検討会議に、日本最大のNGOとしての参加を予定しています(全 世界からは100万人の動員)。連合中央より参加要請があれば積極的に参加するとと もに、北海道においても民主党・市民団体など広く呼びかけ、北海道NGO団による参 加を検討します。また、道内においてもNPT再検討会議中に集会など諸行動を計画し ます。
 
A 非核3原則の法制化を粘り強く求めるとともに、道内の各市町村における非核平和都 市宣言採択について、未採択の自治体に採択を働きかけることとします。
  さらに、市町村の合併により新たな採択が必要となることから、非核自治体宣言をし ている自治体が減ることの無いよう取り組みを強めます。また、核搭載の疑問のある軍 艦及び軍用機の民間港や空港の利用反対を従前どおり取り組んでいきます
 
(4)連合平和行動への取り組み
@ 連合中央は、来年の敗戦後・原爆投下60年の節目に、広島・長崎における「世界大 会」の共同開催を原水禁・核禁会議に呼びかけて実施することとしています。
  計画・募集段階より道内の両団体に対し、実行委員会・事務局の設置などを呼びかけ 統一した大規模な北海道団として参加を目指します。
 
A 6月から8月の平和運動強化月間、8月のピースウイークは、全国統一での取り組み であり、全道各地でも平和学習会やパネル展・黙祷運動など創意工夫を凝らした運動を 展開しています。今後も地域に開かれた様々な平和行動を行っていきます。
 
B 本年の「平和行動 in 沖縄」は、参議院選挙など諸般の事情により、団を編成して の参加を行わず代表者のみの派遣となりました。今後は、米軍基地の整理・縮小と日米 地位協定の見直しの取り組みを強化することもあり、現地学習会の開催など独自メニュ ーも企画し、内容・参加人数も拡充して取り組むこととします。
 
(5)憲法に関する取り組み
  国会における憲法調査会は、来年5月に最終報告を予定しており、与野党や団体での 憲法を巡る論議が活発化しています。連合北海道は、「憲法の論点について」(連合、 国の基本政策検討作業委員会の中間報告)や各産別の方針などについて理解を深めます。  さらに、平和主義、主権在民、基本的人権の尊重の三大原則を重視しながら、民主党 北海道、北海道農民連盟などとも連携して実行委員会により、連続する学習会「憲法講 座」や「憲法を考えるシンポジウム」を企画・開催します。
 
(6)「平和と軍縮」を求める運動の拡大
  平和と軍縮にかかわる道民運動課題について、連合北海道は、産別間の意見の相違も ありましたが、様々な経験の積み重ねによって幅広く取り組めるようになっています。  しかし、昨年の第16回定期大会で確認された、組織・財政特別委員会第5次答申で は、連合北海道が結集軸となる平和運動のさらなる拡大が方向づけされています。あら ためて、これまでの経過と現状について検証し、道民運動推進委員会での論議や関係団 体との連携により、運動課題の整理と具体化をすすめます。
 
2.北方領土返還運動
  北方領土返還運動は、政府の交渉を支援するうえでも草の根の交流が重要であり、サ ハリン州連合との定期交流やビザなし相互交流など北方領土に住むロシア国民との交流 を積極的にすすめてきました。
  特に、本年は、9月23日〜24日に、歴史的・画期的な、民間団体として初めての ビザなし交流「連合の船」が北方領土・国後島を訪問し、連合北海道も当該の地方連合 として積極的に参加しました。
  今後も当該の地方連合として北方領土返還運動の意義など、全体の学習を深めるとと もに、ビザなし交流などに積極的に参加していきます。
 
3.次代を担う教育課題の取り組み
  連合北海道は、この間、「教育基本法の改悪反対」「義務教育費国庫負担制度の堅持」「私 学助成の強化」「30人以下学級の実現」などに取り組んできましたが、これら要求の実現 に向けては、これまでどおり、集会・議会決議運動・署名などに取り組みます。また、 教育を社会全体の問題としてとらえ、連合北海道としても認識を共有し、全体の取り組 みとしていくために、内部組織として「連合北海道・教育を考える対策委員会(仮称)」 を早急に設置し、教育基本法の改正をはじめとする、教育に関する諸課題の整理・解決 をはかります。
 
4.人権擁護、共生の社会づくり
@ 「アジア・アフリカ支援米運動」については、飢餓と貧困が最大の人権侵害であるとい う視点に立ち、アジア・アフリカの開発途上国の人々を救うとともに、世界の人口・食 糧問題をあわせて考える運動として取り組んできましたが、今後とも北海道農民連盟の 協力を得ながら取り組みをすすめて行くこことします。
  また、支援米を送るだけではなく、根本的な飢餓の解消には、植林や井戸などの灌漑 施設の整備や農業教育など「将来への支援」が重要であることから、アジア・アフリカ 地域で活動するNGOと連携をはかり、根本的な飢餓・貧困等の解消に向けた活動を支援 する取り組みを実施します。
 
A 「DPI北海道ブロック会議」は、02年10月に札幌で開催された第6回DPI世 界会議札幌大会の成果をより大きく発展させ、また、道内の障害者運動の行動と連帯を 強め、障害者の権利を確立する運動の中心軸としての役割を果たしていくために発足し ています。連合北海道として、連携と支援体制の整備に向けて努力していくとともに国 際障害者人権条約の制定やノーマライゼーションの社会づくり、バリア・フリーの実現 に今後とも取り組むこととします。
 
 
5.環境問題と循環型社会の実現を求める取り組み
@ 食料・森林・水資源や環境間題等、生活に係わる諸問題について取り組む「食、みど り、水を守る道民の会」の取り組みについては、全産別に参加を呼びかけるとともに、 構成組織以外の団体・個人が参加することのできる環境を整備するなど、体制を強化し ます。また、地域における「労・農・市民組織」の現状把握と課題を整理するとともに、 未設置の地域においては、地域「労・農・市民組織」の設立を働きかけ、「道民の会」 と地域の運動が連動することが出来るよう、体制を整備し取り組みを強化します。
 
A 食の安全性の追求について、生産現場から食卓まで責任ある体制の整備に努めるとと もに、食料基地としての北海道の未来に確信の持てる農業を目指し、北海道農民連盟な どとの連携を強めます。また、地域経済の活性化とともに、BSE問題、産地偽装問題、 残留農薬問題、無許可農薬使用問題、鶏卵日付偽装の発覚、鶏インフルエンザの発生な ど、「食」の安全性の解決のために、地元で取れたものを地元で消費する「地産地消」 運動を具体的に取り組みます。
 
 
6.暮らしの安全・助け合い
@ 連合東京の行っている「ボランティア・サポ−トセンタ−」は、7年前から災害対策 と災害ボランティア育成(現在、研修終了者は400名に)を先駆的に取り組み、自然 災害へのボランティア派遣が組織内外から注目されています。また、中央労福協も、「災 害ボランティア講座」(04年8月)を開催しました。ボランティア講習へ、性別・年 齢に関係なく組合員が参加することにより、組合活動・連合の取り組み、組合参加に関 する意識向上にもつながっています。この取り組みを参考に、北海道の地域実情に即し たメニューによるボランティアセンターの設置を検討します。
 
A 連合に結集するスケールメリットにより、より廉価で得な「仲間の商品・サービス」 を組合員が選別・積極的に購入・利用することは、組合員にとってメリットです。
  また、労働組合の「メンバー」を家族・知人・友人に持つ「ビジター」の未組織労働 者の方々がメンバーを通じて、そのスケールメリットを享受することは、広報効果も伴 い、組織化の材料の一つともなり得ます。
  組合参加による組合員の利益拡大のため、組織内の商品・サービスを、より廉価に享 受出来るシステムを検討します。

Z.広報・文化活動・メーデーの充実

1.広報活動の活発化
 
@ 「MONTHLYれんごう」により、日常の運動周知と、各産別・地域の活動紹介な ど情報宣伝に努め、広報紙としての体制確立を進めてきました。今後も、正確な記事内 容と読みやすい紙面づくりを目指すとともに、定期発行体制の確保・充実に努めます。
  さらに、地協・地区連合など地域の情報宣伝活動を活発化のために「MONTHLY れんごう」が地域で活用され、地域住民の目に映る情報宣伝活動に取り組むよう促しま す。
 
A 連合北海道のホームページについては、春季生活闘争や平和月間など、連合北海道の 活動とタイムリーなロシア情勢など特色あるページと日々の更新に努めてきました。
  今後は、地協の情報をリンクさせるなど、連合北海道情報のネット化を進め、デジタ ル情報の積極的な開示と、双方向の広報手段として、充実させることとします。
  さらに、FAXニュースを適宜に発信するとともに、街頭放送や地下鉄の中吊り広告 など、組合員はもとより市民に対してのアピールの強化を検討します。
 
B 第86回全国高校野球選手権大会で北海道代表の駒大苫小牧が初優勝し、深紅の優勝 旗がはじめて北の大地・北海道にわたりました。道内の景気回復はまだ本格化せず、閉 塞感は否めない中、積雪寒冷のハンデさえ乗り越えた駒大苫小牧高校野球部の活躍は、 北海道の未来に希望の灯をともすとともに、私たちに厳しい毎日を乗り切るための大き な元気と勇気を与えてくれました。連合北海道は、「駒大苫小牧高校野球部の栄誉を称 える」コメントを発表し、駒大苫小牧高校野球部にも送付しました。今後とも道民の喜 怒哀楽に即応し、様々な事柄に道民の目線で連合北海道の意見・考えをコメント・見解 などの形で発表していきます。
 
2.文化活動の取り組み
@ 文化活動の取り組みについて、連合北海道は、北海道労働文化協会(道労文協)の主 催する「全道勤労者総合文化祭」「文学散歩」などの文化活動を支援するとともに、障 害者関連団体や国際交流団体などの開催する文化事業についても支援してきました。
  今後も、勤労者の文化活動について、組合員のニーズに応える活動のあり方など調査 ・検討を進めつつ、道労文協の日常活動や各種行事を積極的に参加するとともに支援し ていきます。
 
A プロ野球の「日本ハムファイターズ」は、サッカーの「コンサドーレ札幌」に続き、 道内2つ目のプロスポーツとして、札幌ドーム球場を本拠地に名称も「北海道日本ハム ファイターズ」と改め、本年から新たなスタートを切りました。「北海道日本ハムファ イターズ」が真に道内のプロスポーツチ−ムとして発展するためには、「コンサドーレ 札幌」と同様、全面的な道民のサポートが必要とされています。「日本ハム球団」から、 連合北海道に対して、組織内への紹介・宣伝等の取り組み要請があり、積極的に取り組 みました。今後も北海道のプロスポーツを振興する観点から協力していきます。
 
B プロ野球選手でつくる労働組合「プロ野球選手会」(古田敦也会長)は、8月12日 支援している数多くの団体の中から唯一連合本部を訪れ、球団合併・球界再編問題の現 状説明とともに、選手会が行っている署名活動などへの支援協力の要請がありました。 連合の中央執行委員会は、労使間の話し合いの場の設定は労使関係の根幹であることか ら、署名活動などへの協力を決定し、連合北海道もこの署名活動に積極的に取り組みま した。
 
 
3.第76回全道メーデーの取り組み
  第75回メーデーは、全道で約25万人が集い盛会に開催されました。全道メーデ大会は、 5月1日に、約13,000人が参加して開催されました。
  第76回全道メーデーについては、引き続き、5月1日に開催することとし、内容につい ては、全道メーデー実行委員会などで協議していくこととします。

[.政策実現に向けた政治活動の強化

@ 7月11日に投票が行われた第20回参議院選挙は、年金問題を中心に闘われ、小泉内閣は拉致問題の進展や年金に関わる出生率の後出しなどを画策しましたが、結果として、民主党50、自民党49、公明党11、共産党4、社民党2、無所属5の当選となり、自民党は小泉内閣の最低目標であった選挙前の51議席をも下回る結果となりました。
  民主党が大きく議席をのばした結果、衆議院(定数480)で178(民)対283(自公)、参議院(定数242)で83(民)対138(自公)の政治勢力となり、次期総選挙において政権交代を実現するための展望を切り開くことができました。
  この選挙における自民党の衰退は相当に深刻で、小泉政治が直ちに「死に体」になったわけではないとしても、いつそうなってもおかしくない下り坂を下り始めたことは疑いありません。3年以内に行われる次期総選挙は、まさに2大政党間で政権を争奪する一大決戦となります。
 
A こうした中で、先の参議院選挙で躍進を達成した民主党北海道は、この勢いを3年後の自治体選挙、参議院選挙につなぐとともに、早期の解散総選挙に備えるため作業を開始すること確認しました。道議選挙では、定数110の過半数獲得、次期知事選の候補擁立作業に早急に着手すること、次期衆院選に向けた候補選考作業(道11区)を急ぐこととしています。
 
B 連合北海道は、今後も、民主党が政権を担うに足る政党として、広範な勤労者、市民、納税者の立場に立った、民主的でリベラルな理念と政策、政治姿勢を確立し、成長・発展することを期待し、政治活動への協力、政策協議、選挙支援と協力を行うこととします。
 また、北海道における勤労者のローカルセンターとして、道内における「政権交代」の維持と拡大と道政奪還に向けて、政治センターを中心軸として、「すそ野拡大」と「組織力の強化」につとめることとし、以下の課題に取り組むこととします。
 
1.政治センターの活動強化
 
(1)政治意識の高揚に向けた学習・研修活動の推進
 
 「政治センター」の日常的活動をより一層積極的に推進し、組合員の政治意識を高める学習・研修活動や情報提供などを定例化します。
 政治センター第16回拡大幹事会で配置した「幹事長」を中心に、民主党北海道と連携し、支持拡大に努めます。
 
(2)政策推進資金カンパの実施
 
 07年の統一地方選挙の必勝態勢を構築し、国政選挙での民主党躍進・政権交代を通じて、連合運動の重要政策課題の実現をはかるため、組合員一人千円の政策推進資金カンパを拠出することとします。
 また、政策推進分担金も含め、納入率向上に努力し、政策推進活動に必要な資金の確保に努めます。
 
2.連合北海道推薦議員との連携強化
 
(1)連合北海道国会・道議会議員団会議との連携
 
 道や国の予算編成に係わる「政策・制度の要求と提言」の実現に向けては、連合北海道の国会議員団会議・道議会議員団会議と連携し、様々な成果を上げてきています。
 今後とも議員団会議との定期的な懇談会、学習会などを行い、一層の連携と政策課題の実現に努力していくこととしますが、具体的には、民主党総支部と連合北海道地協との定期協議をはじめ、農民連盟や市民団体との共催による国政報告会や地域政策調査活動などを実施します。
 さらに道議会に関しては、定例会ごとに、道議団との「連携会議」を開催して、議会共闘を強めるとともに、その前段には「政策実務者会議」(民主党・道民連合、フロンティア、民主党北海道、連合北海道の政策担当責任者で構成)において、課題などの確認を行います。
 
(2)市町村議員との連携
 
民主党への政権交代を実現するためには、市町村議員との連携も重要となっています。
 地協・地区連合の推薦する「市町村首長・議員ネットワーク」を確立し、地域全体の政策課題実現と政治勢力の結集に努めるとともに、連合運動への理解と協力を一層進めるため、学習会や懇談会を企画し、各級議員との交流を進めます。
 
3.第16回統一自治体選挙と次期国政選挙の闘い
 
 衆議院解散総選挙への準備を常に確立するとともに、第21回参議院選挙と第16回統一自治体選挙(2007年)に向けた体制の構築を進めます。
 各種選挙において、民主党政権の実現により、勤労国民の期待する政策を実現させるため、連合北海道組織の総力を挙げることとします。

\.労働者自主福祉運動の取り組み

1.労働者自主福祉運動の強化
 
 長期にわたって低迷してきた我が国経済が、株価の回復やGDP成長率の改善など、回復基調にある一方で、勤労者の所得は官民問わず改善されるどころか、下落傾向が止まりません。その結果、民間企業や社団法人などの法人の自己破産件数が減少する一方で、クレ・サラや住宅ローン返済に失敗した「個人の自己破産」は、02年より2万7千件以上も増え、25万件を突破しています。また、平均貯蓄額が10年間で150万円も増えていますが、貯蓄200万円以下世帯が15%、“無貯金世帯”も20%を超えるまで増え、国民生活・資産の2分化傾向が強まっています。
 また、社会保障制度は、年金・医療・介護のどの制度も、抜本的な改革が必要なことは認められつつ、小泉内閣のもとでは何らの改善がみられないどころか、年金制度の負担増と給付減の制度改悪が実施されました。この結果、社会保障制度に対する国民の期待と信頼は著しく後退しています。
 労働者自主福祉運動は、「互助・共助」の精神で、勤労者自らが自分の生活を守るために始められ、社会保障システムが後退する時代にあって、一層必要性と重要性を増しています。
 連合北海道は、「労働福祉元年運動」「第2春闘宣言」など、デフレ不況のもとで、組合員の生活を守るための自主福祉運動に取り組んできましたが、各労働福祉事業団体は、大手銀行の個人ローン参入、外資保険会社の拡大、札幌のマンションラッシュ、医療単価切り下げなど、どの事業体も厳しい試練の時代を迎えています。
 今後も、連合北海道のスケールパワーを生かしながら、「労働福祉対策特別委員会」を中心に、また、北海道労福協との連携を密にし、労働金庫・全労済・住宅生協・医療生協など、労働者自主福祉運動の拡大に努めます。
 
2.労福協運動の拡大
 
 連合北海道の全道ネットワークと各福祉事業団体相互のネットワークを生かし、労働福祉運動の新たな展開を求めて、道労福協・地方労福協が組織改変して、2年目を迎えました。
 労働団体と福祉事業団体、そして新しい労福協とが連携し合い、その目的の一つである「地域と職場とが一体となって、勤労者の生活改善と福祉向上、福祉事業団体の健全経営を追求する」新しい労福協運動の本格的な行動を起こす必要があり、「地域における勤労者福祉センター」を視野に、労福協運動の拡充を進めることとします。
 
(1)道労福協とブロック労福協の連携を強め、労働団体と事業団体の相互協力のもと、職域・地域が一体となって、勤労者の生涯福祉の実現と事業団体の基盤強化に努めます。
(2)ブロック労福協の強化・活性化をはかり、地域の「勤労者福祉センター」としての役割を果たすため、連合北海道地協と連携しつつ、幹事会体制の充実と定期的開催に努めます。
(3)「人と暮らし、環境に優しい福祉社会の実現」に向け、連合北海道・事業団体・労福協などの連携により「勤労者の福祉にかかわる政策・制度の改善」に努め、ゆとり・安心・活力のある生涯生活と社会的公正の創造をめざします。
(4)勤労者福祉の拡大と向上をめざし、労福協が地域・家庭・退職者・未組織労働者・NP0・ボランティア福祉団体等と連携する活動を支援します。
(5)事業団体が有する人材を生かし、勤労者の安心・快適な生活を生涯にわたって支えていくための福祉運動の領域拡大に向け検討(「協働ネットワークシステム検討会」)に参加します。
(6)ウェルフエアスクールの開催や、政策研究会、事業団体キャンペーンなどを積極的に取り組みます。
 
3.事業団体の重点課題と取り組み
 
(1) 北海道労働金庫(労働金庫)
 
@ 金融機能を通じて連合北海道・道労福協が進める「生活改善運動」(防衛運動と救済運動)をサポートし、勤労者の財産・資産づく明こ積極的な役割を果たしていきます。
A 法令等順守意識の醸成と態勢の確立を図っていきます。
B 定期預金の堅実な増加をはかるため、新サービスZATTS【ろうきん電話振替サービス(顧客からの電話による一般財形・エース預金等の支払請求サービス)】の効用効果を想定し、財形貯蓄積立予定額の増加をはかります。
C 住宅ローンは、「固定金利選択型3年・5年・10年もの」に対する金利優遇措置を継続し、住公型ローン「ワイド」についても限定的(年間枠50億円)に取扱うこととします。
D 轟・教育・リフォームローン及びマイプランポケットは、各産別・単組の運動実態に即した取組みを継続・強化します。
E 推進組織の整備拡大に向けて「推進機構の総点検運動」をサポートします。
F 『クレサラ利用の撲滅』を訴える学習会・研修会の開催に取組みます。また、労金の役割・責任分担に基づくキメ細かな取組みを継続します。
G 収入減少者・失業者対策の受け皿として制度改善した「勤労者生活支援特別融資制度」について、積極的な周知活動を行います。
 
(2) 全労済北海道本部(全労済)
 
@ 総合生活保障をめざし、共済商品や各種サービスの充実をすすめることによって、組合員の安心と豊かな暮らしの実現をめざします。誰からも安心して選ばれる保障の生協であるために、経営改革を推進し、社会的信頼の向上とゆるぎない経営基盤の確立をめざします。
A 生活保障設計運動をすすめ組合員の保障の最適化をめざした取り組みを実践します。
B 地域連帯活動の団結と組織拡大策の一助である『連合スクラム共済』の拡大に取り組みます。
C 各種共済の拡大をはかります。
(1)火災共済、借家人賠償、自然災害共済
(2)団体生命共済、団体生命移行共済
(3)マイカー共済、自賠責共済
 
(3) 北海道住宅生協(住宅生協)
 
@ 営業活動の中心を引き続き連合北海道の構成産別、地域におき組合員対策および組合員周辺部の顧客獲得に全力を注ぎます。
A 過去2年間の実績を基に主要産別、地協ごとに目標の設定を行い、住宅生協運動の定着化と受注活動を強めます。
B 事業全体に占める札幌圏の割合は大きくその対策として、連合石狩地協、札幌地区連合、石狩ブロック労福協との連携強化を進め、事業推進を図ります。
C 札幌圏以外の地域では、地協.ブロック労福協と連携し、住宅生協の利用促進の強化を図ることとし、特に推進活動などにおいて先行している、上川、十勝、網走、胆振、渡島においては住宅生協事業全般について受注活動を強めます。
D 団地入居者への対応はリフォーム事業・不動産流通事業をメインとし、住宅無料点検などを主軸に営業展開します。各地の住宅生協団地についても重点地域を定め、地協・ブロック労福協との協議を経てリフォームの提案をしていきます。
 
(4) 北海道医療生活協同組合(医療生協)
 
@ 北海道医療生協や札幌緑愛病院の「将来構想」について、新たに「医療生協の理念、使命、課題」および「札幌緑愛病院の経営方針」を早急に定めます。
A 在宅医療(医療・看護・介護)、特養ホームなど福祉事業団体、他医療機関との提携に積極的に取り組みます。
B 地域支部組合員・住民・職場の労働者を中心に、相談活動の強化や、団体、事業所との連携を強め、定期健診、生活習慣病(成人病)健診、各種ドック健診、すこやか健診の受診者を拡大し、働く人々、地域の人々の豊かな生活を実現する役割を果たすため積極的に取り組みます。
C 労災の専門病院として、また、道内医療機関の先駆的役割を果たしていくため、患者組織、地元主治医との提携を図るとともに、関係団体との連携を深め、安全、労災職業病、産業衛生などの活動に積極的に取り組みます。

].国際連帯の取り組み

1.定期交流・海外視察の活動
 
@ 国際交流については、ロシアサハリン州との交流に取り組みました。
 ロシア連邦のサハリン州連合との交流では、7月13日から代表団を受け入れ、両国の状況と労働者に関わる状況の突き合わせを含めた定期交流を行いました。
 また、8月3日にサハリン州ユジノサハリンスク市で開かれた、第9回日ロ姉妹友好都市代表者会議にオブザーバー参加し、北海道とサハリン州の行政交流の実態について、認識を深めるとともに、ガス液化プラント建設など、サハリン州の現状について見聞を広めました。
 
A 05年度は、海外の労働事情・政治状況の把握を主眼に、ロシアサハリン州との定期交流を継続するとともに、東アジアで存在を高める中国の実情把握のため、視察団を企画し、四川省成都市との交流の可能性について、調査検討します。
 また、東アジアの緊張緩和・平和維持の観点から、朝鮮半島情勢学習会の開催を企画・検討します。
 
 また、連合本部の海外視察、ILO海外労働事情視察などに取り組み、その他、青年・女性交流や雇用・社会制度に関する海外事情の把握をすすめる視察も適時に企画して実施します。
 
2. 国際交流諸団体との連携
 
@ 北海道日ロ協会、日中友好道民運動連絡会議などの民間交流団体へ支援・協力を行うとともに、北海道対文協の活動に協力してきました。また、在札幌外国領事館の諸行事にも参加してきました。
 
A これらの海外交流民間団体との関わりについて、財政事情を考慮しつつ、事業への参加や協力は継続しつつも、負担の軽減に向かうような「あり方検討」を促します。
また、産別・地域と、今後の国際連帯活動と定期交流についての検討を始めます。