連合北海道 第14回年次大会
議案集(討議用)
 
 
W.政策・制度改善の取り組みについて
  
X.国民・道民運動の取り組み
Y.広報・文化活動・メーデーの充実
 
Z.女性運動に関する取り組み
 
[.政策実現に向けた政治活動の強化
 
\.労働者自主福祉運動の取り組み
].国際連帯の取り組み
 
 
@ 2001年9月11日。イスラム原理主義のテロリストは、グローバリズムを推進するエンジンである国際金融中枢、ニューヨークの世界貿易センタービル(TWC)に標的を定め、数千人の市民の命を巻き込んでアメリカと世界に大きな衝撃を与えようとしました。その映像は世界を駆けめぐり、世界中が衝撃を受けるとともに、回復しかけた世界経済への影響に身震いしました。この出来事は、グローバリゼーションの負の側面、米国一極支配のひずみ、宗教や貧困に根ざす怒りなど、G8先進国の繁栄の陰で見過ごされてきた問題を浮き彫りにしました。
 その後の世界経済は、テロの影響が心配されたほど広がらなかったにもかかわらず、「エンロン」「ワールド・コム」など米国内大企業の破綻が続き、企業モラルの低下や会計監査のずさんな処理が大企業の生死さえをも左右することを示しました。それらの結果、米国では7兆7千億ドルといわれる大幅な株価下落が起きています。
 同時多発テロから1年たった今日、米国のブッシュ政権がアフガンからイラクへと「対テロ戦争」に突き進むなか、世界政治はいま、アメリカ・EU・アジアの3極を中心に、大胆に変わろうとしています。イスラエルとパレスチナの対立はアメリカとアラブを巻き込んで「文明の衝突」に発展しかねないと懸念されていますし、一方、WTOに加盟した中国は「ポスト江沢民」の動きを強め、アジアの中心になりつつあります。また、通貨統合を果たしたヨーロッパは、政治統合に向かって混迷しつつも、確かに歩みを進めています。
 8月末から南アフリカで開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議(環境開発サミット)」は、開発途上国の人々の切なる発信の場となり、「環境保護と経済成長を両立させるノウハウは」の大テーマを、横断的に話し合う史上最大の国際会議となりました。これまで国際社会は「環境と開発」の問題に正面から向き合い、92年のブラジル「地球サミット」で本格化したかに見えましたが、それから10年たった今日、アフリカの最貧困層(一日一ドル以下での生活者)は増え続け、地球の温暖化も進んでいることについて、最大のODA(政府開発援助)国であり、京都議定書のホスト国であった我が国が果たすべき役割と期待は高まり、その外交政策に注目が集まっています。
A 日本国内では、政治と経済の迷走に歯止めがかかりません。
 政府と業界がBSE(牛海綿状脳症 狂牛病)発症にまつわって、無責任な責任転嫁が続くなか、事業者救済策として取られた食肉処分の偽装に関わって、廃業や詐欺事件に発展し、消費者の信頼を大きく失うこととなりました。また、東電では原発の点検で虚偽報告があったことがこれに追い打ちをかけ、これらの企業のモラルハザードは、国民の企業活動・消費に対する信頼を揺るがせています。
 さらに、北方領土への「人道支援」やODAに関する鈴木宗男衆議院議員の汚職、自民党の大物政治家にも広がった、秘書給与の流用疑惑による相次ぐ議員辞職は、国民の政治への信頼を完全に失墜させました。
 小泉内閣は、このような官僚と政治家の不祥事や疑惑に、なんら具体的な指導性を発揮せず、ただ傍観することに終始した一方、有事法制や住基ネット・個人情報保護問題などでは「タカ派」ぶりを強く発揮しました。当初、国民の期待が大きかった「小泉改革」は、不良債権処理がいっこうに進まないなど、今のところなんの成果も上げられないにもかかわらず、失業率の上昇、工業生産の減少、戦後最悪のデフレという「痛み」だけは約束通りとなっています。結果として、国内経済はいっこうに回復せず、デフレの波は国民生活に大きく影を落としているままであり、出口の見えない経済不況の結果、日本の国債は大きく評価を下げ、世界における我が国の位置は下がる一方にあります。
 長野の田中知事再選は、旧来の公共事業依存・利権の確保にこだわる守旧派と、「このままでは地域社会の将来に禍根を残す」と旧来の政治構造の打破を願う県民の対立構図となり、「「こわす」から創る」へ」のスローガンを掲げた田中県政が圧倒的な支持で再選されました。このように長野をはじめ、地方政治の改革推進者が有権者の多くの支持を集める結果は、明年の統一地方選挙に与える影響が大きいものと思われます。
 道内は、完全失業率5.6%、有効求人倍率0.46と、相変わらず全国値を下まわっています。経済動向も、個人消費の低調が続き、6月の大型小売店販売が−1.5%、新車登録台数−6.5%、新設住宅着工に至っては−11.3%と大幅な減少となっています。一方、消費者物価指数も、対前年比で1.8〜0.7の下落傾向が続いています。
 このような中で太平洋炭鉱と雪印食品が解散し、失業者の増大に拍車をかける結果となりました。また、農業も昨年は農業粗生産額1兆円を確保しましたが、BSE(牛海綿脳症)や輸入野菜などの影響で厳しい状況が続き、農家戸数も、この10年間で2万4千戸減少し、すでに6万戸を下回っています。観光も、昨年9月の同時テロ以降の落ち込みが回復していません。観光客が期待された6月のワールド・カップでは、逆に4%弱の落ち込みとなりました。
 したがって、道内銀行やシンクタンクの経済見通しは、北海道GDPについて、軒並み2%〜3%の下落を予想する厳しい状況に変わりありません。
B 勤労者をめぐる状況は、後退局面が止まらないどころか、加速していると表現しても過言ではありません。
 2002春闘は、中央の結果で、加重平均5,349円 1.72%(昨年対比−600円、率−0.21%)となっており、総じて昨年を下回ったと結果となっています。全体の傾向としては定昇制度のあるところは賃金カーブが維持でき、制度のないところは維持できていない結果となっています。
 一方、道内は、平均賃上げ方式による地場組合の回答・妥結結果(7/11現在)は、加重平均4,297円、1.74%となり昨年より581円、0.25%ほど前年実績を下回る結果で、近年では例をみない大幅な落ち込みとなっています。一部の組合ではベアを勝ち取る健闘を見せましたが、大半が企業業績の悪化による低額回答で決着し、とくに賃金制度の未整備な地場中小では、賃金カーブ維持分を確保することも困難な状況となりました。
 総括的に2002年春闘は、経営側の思惑通りに推移し、企業業績にかかわりなく総額人件費の押さえ込みが行われた上、一部産業では春闘後に大幅なリストラが提案され、厳しい状況が続いています。また、「新日経連」会長が今春闘さなかに「明春闘もベアゼロで」と発言するなど、経営側の結束が強まっている状況のもとで、労働側の新たな対応を構築する必要をせまられています。
 公務員もこの枠の外ではありません。昨年末の「公務員制度改革大綱」に基づく政府の具体化作業が進められ、労働基本権確保や透明な公務員制度改革を抜きにして、キャリア制度や天下りが温存され、国民の求める政官財の癒着構造の打破や、公平で公正な公務員制度とはかけ離れたものが目指されています。また、人歓ははじめて月例賃金の引き下げ(7,770円 2.03%)と、4年連続の一時金カットを勧告し、年収で15万円程度のダウンとなることが予想されますが、その実施時期をめぐって、「不利益遡及」となることで争われています。
 そのような国内経済の低迷のなかで、年間の自殺者が4年連続で3万人を超え、交通事故による死者の3倍をはるかに上回る状況が続いています。1日平均85人が自らの命を絶っていることは明らかに異常事態といわなければなりません。原因・動機別では、「経済・生活問題」が6,845人で過去最多となり、長引く不況とリストラの荒波の中で、働き方の変化や成果主義の導入などを背景に、長時間労働やストレスが深刻化していることと無関係ではありません。
 また、労働災害も、件数は減少傾向にあるものの、死亡等の重大災害は減らず、特に北海道は死亡災害が3年連続で全国1位であり、率では全国平均の倍近くになっていることに、危機感が高まっており、重点的な運動が求められています。
C 以上のような情勢と状況の下で、労働運動のなすべき課題は大きく3つあります。
 まず第1は「組織拡大」です。
 労働組合の組織率(全雇用労働者にしめる比率)は1949年の55.8%(北海道は33.4% 以後カッコ内は北海道分)をピークに、昨年度では20.7%(18.9%)まで後退しています。この間全雇用労働者数は、1,193万人(164万人)から5,413万人(224万人)と4.5倍(1.4倍)になりましたが、組織数は666万人(55万人)から1,120万人(42万人)と1.7倍(0.77倍)にすぎません。多くの組織化キャンペーンと新規組合の開拓の実績にも関わらず、この衰退をまねいた根本的な原因を考察する必要があります。そして、組織率の向上無くしては、社会的影響の低下を防ぐことはもちろん、労働条件の維持や底上げも難しいことを共通認識とすべきです。
 現在の日本の労働組合の組織率は、規模別に見ると1,000人以上53.5%、100人〜999人17.7%、99人以下1.3%となっています。産業別では、公務61.4%(46.5%)、電気・ガス・水道62.8%(55.6%)、金融・保険・不動産40.2%(50.3%)、運輸・通信36.0%(36.0%)、製造業27.5%(14.9%)、サービス業12.0%(13.4%)、卸売・小売り・飲食8.6%(11.6%)となっており、日本の労働運動はまさに、公務と民間大企業の労働組合の結集体であるといえます。この現状について、今の労働組合全国ネットワークは、職場で拡大する「非典型労働者」を加えていないネットワークであるとの指摘があります。今日まで連合では数々のキャンペーンを実施し、組織拡大に努めてきましたが、全雇用労働者の拡大にもかかわらず、組織数が伸びない原因は、ここにあるかもしれません。多くの場合「ダンパー(調整装置)」とみなされてきた「非典型労働者」にこそ、労働運動の必要性が高いことは、日常的な労働相談の結果を見れば明確です。しかし、私たちの意識として、非典型労働者など未組織・外部の労働者・経営者が、「どのような印象を持っているか」について関心も調査もなかったのではないでしょうか。小泉改革が150万人の新たな失業を予測する事態の今こそ、「非典型労働者」を含む未組織労働者の組織化に全精力を傾けるべきであり、この点で、英国がパートタイマー、特に女性の組織化で、また、米国では組合費の50%を組織化に投じている国際サービス労組(SEIU)の活動に学ぶべきではないでしょうか。
 第2は「自己変革(イノベーション)」です。
 労働組合が「有る職場」と「無い職場」の違いに関する調査があります。それによると、「有る職場」では、退職率の低下と勤続の継続による教育投資効果、労使の情報共有による生産性の向上の傾向がみられるが、正社員のレベルでは「春闘波及効果」などにより、労働条件に特別の差異はない結果となっています。一方、「ノンユニオニズム」の風潮が叫ばれはじめ、労働組合の存在が問われる時代のなかで、組合費という「対価」を負担する組合員にとって、労働組合が引き替えに実現する「便益」の点から、労働運動の質的転換、自己変革を早急に行う必要があります。
 1912年、鈴木文治らが創立した「友愛会」が我が国の労働運動の発祥といわれていますが、マスメディアがない当時、労働者独自のネットワークとして全国化できたことは、労働者が知りたい情報を自分たちの目線でわかりやすく伝えたことにあると言われています。しかし、情報手段が高度に発達し、職場に入るとそこに労働組合がある状況が一般的な今日、歴史のなかで築き上げたシステムに対する理解が十分であるかどうかの検証、そして同時に、経済的豊かさの享受と価値観の多様化、就業構造や就業形態の変化、職住の分離、少子高齢化社会の進展と女性の社会進出など、組合員の意識の多様化に応える労働運動のあり方についての検討を、労働運動の普遍的価値への理解を進める活動とともに、組織のなかで比重を高めるべきではないでしょうか。
 例えば、
● 労働運動のどのレベルでも、もっといいやり方はないかと模索してるだろうか(あるいは予期せぬ成功の例の分析)
● 組織運営が上意下達ではなく、チームワークとして訓練されているだろうか(動員主義からの脱却)
● 組合員教育だけでなく、組合役員の能力開発が行われているだろうか(継続的な投資の合意)
● 組合費を負担する組合員への説明責任は十分だろうか(相手への尊敬)
● 役員の会議参加率や組合員の行事参加率を把握し、改善策が討議されているだろうか(運動の評価基準の明確化)
 これらのことが新しい時代の労働運動に必要な「価値観」を生み出し、信頼を高める道であると考えます。
 第15回定期大会までの1年間は、これらの観点を連合北海道の各般に渡る運動に生かすための準備期間として、職場・地域組織で活発な議論を求めたいと思います。
 第3は、労働運動と政治のつながりを強固にする運動です。
 労使交渉が労働環境の改善を進めるメインであることに変わりありませんが、一方で、医療・年金などの社会保障制度の後退や将来への危惧、経済・金融政策の相次ぐ失敗など、自民党を中心とした今日の政治の枠組みと結果が、勤労者に及ぼすマイナスの影響は拡大してきています。連合は「勤労者・生活者優先の政治」をめざして強く政権交代を求めてきましたが、実現するに至っていません。
 特に、昨年の参議院選挙比例区における結果は、従来の政治との関わり方や手法を率直に見直す必要性を強く求めたものといえます。
 明年の統一自治体選挙は、「地方からの改革」をすすめる絶好の機会ととらえ、労働組合と政治の関わりを再構築する闘いをしなければなりません。
 以上を当面の重要課題と位置づけるとともに、今日の状況に照らして、雇用確保・民主的ワークルールの確立・社会制度改革・政権交代・平和と軍縮の推進などの継続した課題に、「力と行動」をむねとして、産別・地域ともに一体感のある展開を図る必要があります。
 
 
U.組織拡大・強化と地域活動の強化
 
(1) 組織拡大取り組みの基本
 
@ 組織強化・拡大なくして連合運動の将来はない。組織率の低下は、今日の労働運動の深刻な危機を表しており、21世紀の労働組合の存続は、組織化如何にかかっています。
 労働組合の組織率は、1975年以降長期低落傾向が続き、年々減少の一途をたどり、2001年の組織率は全国20.7%、北海道においてはついに20%台を割り込み18.9%とまさに深刻な事態に直面しています。
 一方、新保守主義、市場万能主義と軌を一にして意図的なノンユニオニズム(労働組合否定・無用論)の風潮が広がっていますが、こうした流れに抗し強力な組織体制を図り、組織拡大運動を最優先課題に据え、取り組みを進めています。
A 連合北海道の組織状況は、加盟56産別、直加盟4産別の60産別、組織人員は29万人強で、結成時に比べ約4万人の減少となっていますが、ただ手をこまねいていたわけではありません。今日まで「50万人連合北海道を目指す基本方針」をもとに、「第1次実行計画」(当面6万人拡大)の実践・達成に向けて産別・地協・地区連合が一体となり、その間、未組織職場の組織化、直加盟組合の産別加盟促進、地域ユニオンの結成、組織拡大実績に対する財政支援、労働相談センターの設置や7次にわたる集中行動、各種キャンペーンも配置しながら、取り組みを進めてきました。
 その結果、2002年9月末、厳しい経済環境が続く逆風の中で、果敢な取り組みを通じ拡大目標(5ヵ年)6万人に対して、拡大人員実績は11,128人で達成率は約19%と20%台にはわずかに及ばなかったものの、一定の成果は上げています。
 しかし、それを遙かに上回る勢いで、民間・官公部門を問わず、産業・企業の構造調整計画の実行、いわゆる合理化・リストラによる人員削減、人員無補充が行われ、組織人員の減少に歯止めを掛けるに至っておりません。
B 今年6月に開催した「組織拡大推進特別委員会」において、「第1次組織拡大実行計画」と「補強計画」の成果と評価のまとめを行い、合わせて、連合本部が示している01年10月〜03年9月までの2年間の組織拡大目標を60万人とする「組合づくり・アクションプログラム21」に基づく、連合北海道としての「組織拡大実行計画」(01年10月〜03年9月)の提起を行いました。
 2ヵ年の拡大目標数の設定は、産別・地協・地区連合の組織化対象のリストアップにより、産別11,154人、地協・地区連合5,119人、総数16,273人の目標数を設定しています。
産別の取り組みとして、a.今年度中に最低でも1組合の組織化、b.系列・関連企業の組織化、産別加盟促進、c.パート社員など非典型労働者の組織化、組織内組織率向上の促進。又、地協・地区連合においても、a.直加盟組合の産別加盟促進、b.未組織企業、職場の新規加盟による拡大。等々、具体的計画を作成し推進しています。
C この間(6、7、8、9月)における取り組みによって、新規組織化6組合、地区連合直加盟組合の産別加盟及び地域ユニオンへの結集4組合134人など、集中行動を積み上げることにより、少しずつであるが成果は上がっています。
 今年度も、引き続き2ヵ年の組織拡大目標16,273人の達成に向けて取り組みの強化を図りながら進めていくこととします。とりわけ、今後も拡大傾向にあるパートタイム、契約、派遣、請負など非典型労働者の組織化、組合員の範囲を非典型労働者に拡大した組織化が急務でありますし、地場中小企業、関連企業などで働く仲間の組織化にも積極的に取り組んでいくこととします。
 
(2) 地区連合直加盟組合の産別加盟促進等
 
 1996年以降、地区連合直加盟組合の産別組織への結集対策を進めてきました。特に昨年3月以降は、直加盟組織整理の最終年という方針も掲げ、産別移行を原則に諸般の事情から産別移行が困難と判断した組織については、地域ユニオンへの結集を進めてきました。
 その結果、地域ユニオンへの結集は4組合134名で、今なお100組合は直加盟にとどまっていますが、今少し地域ユニオンへの結集に努力していきます。
 
(3) 地域ユニオンの活動強化
 
 昨年、上川地協、日高地協で地域ユニオンが結成されたことにより、全地域での地域ユニオン結成となり、現在、69組合1,809名と着実に拡大しております。
 今後も、直加盟組合、中小・パート労働者、未組織労働者の受け皿となり、組合員の雇用・労働条件の確保に努めるため、労働相談への適切な対応等により地域ユニオンに対する地域住民への周知活動を強めます。
 
(4) 労働相談・自主福祉運動による組織化
 
 近年の労働相談は、道内景気動向の厳しさが反映して年々急激な増加傾向にあり、この1年間(01〜02年)の相談件数は2,034件に昇っています。
 その全体の約7割以上が札幌圏に集中しており、昨年3月に設置した「さっぽろ労働相談センター」は大きな役割を果たしてきており、今後益々その役割は重く、期待は大きくなっています。
 組織拡大の取り組み集中行動として、パート、派遣、契約労働者を対象に「つくりあげよう均等待遇・集中電話相談(7〜10月)」を実施し、パートタイム労働者を中心にホームヘルパーやビル・ホテルに働く労働者からの相談を受け、関係団体、自治体・行政に対して改善要請行動の取り組みも進めています。
 今後も、引き続き財政支援や相談体制の強化を図りながら、労働相談からの新規組織化の取り組みを進めていきます。
 また、労金、全労済、住宅生協、医療生協の各事業団体と協力しながら、中小・パート労働者、未組織労働者に対する「とどろきローン」「地域ユニオンスクラム共済」をはじめとする各種商品メニューの紹介・加入による、新規組織化、連合北海道加盟の取り組みを進めます。
 
(5) 重点業種・産業対策等の強化
 
 組織拡大の重点業種・産業対策として、農業関連団体、医療・福祉関連労働組合との連携、連合加盟対策、ハイ・タク産業の産別最賃新設に向けた取り組みを進めてきました。
 医療・福祉関連労働組合の産別結成については、連合本部が日赤病院、済生会病院、北海道協会病院を重点対策として環境整備に努めてきたことにより、今年11月には、産別名を「全国保険・医療、福祉労働組合(仮称)」として結成・連合加盟へと進む予定です。関係産別・単組や組合所在の地協・地区連合と連携して産別結成→連合加盟がスムーズに進んでいくよう地方連合会としての役割を果たしていきます。
 また、農業関係労働組合(農団労・畜産公社)との関係については、政策活動をベースに地域段階における連携・共闘の取り組みを積み上げるなどして、環境整備を図りながら連合本部・関係中央産別との連携を密にして、連合への結集対策を強めていきます。
 ハイ・タク産業に働く労働者の組織拡大の取り組みは、喫緊の課題であります。
 今年2月に改正道路運送法が施行となりました。規制緩和による増車や低運賃競争の広がりは、ハイ・タク労働者の賃金や労働条件にも大きな影響を与えてきています。
 ハイ・タク労働者の産別最低賃金の新設に向けての取り組みは、1998年以降、公正競争ケースによる新設を目指し、申し出要件にある適用労働者の1/3合意決議・署名に向けた取り組みを進めてきましたが、達成するには至っていません。
 今後も引き続き、1/3合意決議・署名や労働組合の多数派形成に取り組んでいきますが、現状のハイ・タク最賃新設の成否は、いかに組織率を高めていくかにかかっています。ハイ・タク最低賃金新設の取り組みと、ハイ・タク労働者の組織化の取り組みをリンクさせた運動を進めていきます。
 
(6) 「地方アドバイザー」「さっぽろ労働相談センター」の取り組み
 
 連合の組織拡大方針により、「地方アドバイザー」は1998年から渡島、胆振、釧路の3地協に配置し、配置期間はさらに2年間延長(04年6月まで)になりました。
 また、「さっぽろ労働相談センター」は、昨年3月に札幌地区連合のもとに設置し、相談員についても補強し、体制強化してきています。
 組織化アドバイス、労働相談対応、地域ユニオン支援など役割と任務は変わりませんが、人材育成の視点を持ちつつ労働相談からの組織化、構成組織支援オルグなど、オルガナイザーとしての役割比率を高めていくよう検討していきます。
 そのために、地方アドバイザー、さっぽろ労働相談センター相談員相互の連携を図り、情報・意見交換、経験交流、研修会などについても企画し、実施していきます。
 
(7) パートタイム労働者の組織化対策
 
 深刻な雇用失業情勢が続く中、パートタイム労働者、契約労働者、派遣労働者、請負など非典型型雇用が拡大しています。とりわけ、パートタイム労働者は全国1,200万人を越え、道内においても約46万人と増え続けています。
 パートタイム労働者は数の上での増加だけでなく、最近は「正社員」からパートへの置き換えが進んでいるなど、業務内容も補助的、定型的労働だけではなく、基幹的業務にも及んでいます。しかし、量的・質的に基幹労働力となっているにもかかわらず、賃金、有給休暇、福利厚生など労働条件全般については、パート労働者と典型労働者との格差は依然として大きいのです。
 就業形態の多様化が進む中、パートタイム労働者の組織化に足踏みすることは、パートタイマーの労働条件向上のみに関わらず、正社員の雇用・労働条件にも大きな影響を及ぼし、結果として労働組合としての役割を果たすことも困難になります。
 構成産別・企業別労働組合において、関連会社・グループ企業も含め、「パートタイム労働者の組織化」の取り組みは重要課題です。
 当面の取り組みとしては、@構成産別は、組合員の範囲の見直し(規約の見直し、労働協約改訂)、組織化促進、A既存組織への加入による組織化が困難な場合、パート労働者のみの組合結成や地域ユニオンへの加盟促進、B労働条件、均等待遇などの改善に向けた広範なパートタイム労働者との語り合い、交流の場の開催、Cパート組合員数調査把握……等、構成産別、地協と連携し進めていきます。
 
 
(1) 産別統合と地域運動の強化
 
 今年から来年にかけて、構成産別の再編・統合が進められ、本年9月には「UIゼンセン同盟」(ゼンセン同盟、CSG連合、繊維生活労連)、10月にはJEC連合(化学リーグ21、石油労連、全国セメント)が結成され、今後もフード連合(食品連合、食品労協/11月結成予定)、交通運輸連合(仮称・私鉄総連、交通労連、運輸労連、全自交労連/12月結成予定)、基幹労連(鉄鋼労連、造船重機労連、非鉄連合/2003年9月結成予定)の結成が予定されています。
 産別本部の統合に伴う北海道段階での活動形態はまだ未定でありますが、新たに統合される産別とは従来にも増して連携を密にし、地協・地区連合にまで及ぶ地域運動の強化に努めます。
 
(2) 産業別部門連絡会の機能強化
 
 産業別部門連絡会は、6部門で編成しています。特に、春季生活闘争段階における情報交換や闘争態勢の確立に役割を果たしてきています。
 6部門全ての連絡会において、通年活動の定着、組織拡大の取り組み、産業政策など共通する課題の情報・意見交換など、活動範囲が全面的な広がりには至っておりませんが、「交通・運輸部門連絡会」は交運労協の活動を通じ、業界団体や行政に対する要請行動の取り組み、また、「金属・機械部門連絡会」については、8月開催の第5回連絡会において、常設の連絡会としての運営要綱、活動指針、役員選出等の案が示され、施行日は11月1日で了承しました。
 主体的活動を従前から進めている「官公部門連絡会」を含め、3部門の連絡会が機能強化が図られてきていますが、今後も労働条件に関する情報交換など従来からの活動に加え、産業政策課題や組織拡大の取り組みなど、活動分野の拡大に期待しつつ十分な連携を図り、運営の強化に努めていきます。
 また、その他の3部門の「資源・化学・エネルギー部門連絡会」「流通・食品・建設一般部門連絡会」「情報・サービス・金融・保険部門連絡会」についても常設化、主体的活動運営について検討していかなければなりませんが、部門によっては、該当する構成組織数のバラツキや労働条件、産業政策について共通とならない課題もあり、運営の工夫も必要です。
 現段階では、常設化、通年活動の定着の難しさはありますが、これまで同様、春季生活闘争における共闘体制や情報・意見交換を行うなどして、活動範囲を徐々に広げながら部門によっては、一部編成替えなどについても検討し、連絡会の機能強化に努めていきます。
 
(3) 地協との意見交換会の実施
 
 地協・地区連合は、地域運動のセンターとして着実に地歩を築き上げ、勤労者の代表としての役割を果たしています。
 今後も、地域運動の更なる発展に向けて組合員の期待に応え、地域住民からも広く共感を集める運動を目指していかなければなりません。そのために、道内4ブロック単位に地域意見交換会を実施し、情報交換や地域での連帯を強めていくこととします。
 また、構成産別、地協代表の運営会議の定例化に努め、構成産別の地域組織、地協・地区連合が一体となった活動体制の確立を進めます。
 
(4) 地域運動の強化
 
 地域における連合運動をより存在感のある、顔の見えるものとし、社会的影響力の拡大を図っていく必要があります。
 そのためには、地協・地区連合の組織強化が不可欠にありますが、地域においても組織人員は減少の一途をたどり、人材・財政確保問題も深刻化してきています。地域活動への若手リーダー、女性組合員の参加促進、また退職者連合・OBの活用も含め地域連合運動を支える人材の確保・育成等について検討していく時期に来ています。今後、組織・財政特別委員会の場に、検討課題としてあげていくこととします。
 また、地域における政策運動として、地域福祉のマチ作りや地域政策の実現に向けて「一地区一要求」運動を進めてきましたが、ここ数年は減少傾向にあります。今一度、地域に根ざした連合運動として今後もこの「一地区一要求」運動が定着していくよう努力していきます。
 
 
(1) 地域における青年委員会の結成と育成
 
 少子高齢化が進むなか、労働組合の活性化は女性と青年の組合活動への参画にかかっています。若年層の組織離れが指摘されている昨今ですが、古いスタイルの運動が女性や青年を組合活動から遠ざけているとも言われていますが、女性や青年が自ら決め、自ら行動できるような運営と運動が作り上げられなければなりません。学習と交流活動を積み上げ、青年層の連合運動への参画、連合運動の将来を担う青年の育成に取り組んでいきます。
 現在までに檜山地協、網走地協、札幌・旭川・函館・帯広・小樽・苫小牧・釧路地区連合の9地域で青年委員会が結成されていますが、このほかの地域においても、青年活動を地域で進めていくために、産別、地協・地区連合と連携を図りながら、地区連合のもとに設置の努力をしていきます。
 
(2) 女性委員会の結成と促進
 
 連合北海道は労働組合活動のあらゆる分野に女性組合員の参画を促進しています。
 とりわけ、今後の連合北海道の強化、活性化のためにも女性労働者の課題集約と女性リーダー育成の場となる女性委員会組織を産別、地協、地区連合段階に設置し、その活動の充実をはかっていく必要が急務であります。
 91年以降、構成産別における女性組織の整備と地協女性委員会の結成に取り組んできましたが、構成産別においては、13組織、地協・地区段階においては4地域の女性委員会の設置にすぎません。
 「男女平等参画推進計画」に基づく、産別、地協、地区連合における「女性委員会設置」に向けて努力し、参画推進計画の実効に努めていきます。
 
(3) 高齢退職者連合の活動支援
 
@ 高齢退職者連合は結成以来、連合運動に積極的に指示・協力しながら自らの運動と地域社会に貢献する活動に取り組んできています。
 地区組織の結成にも積極的に取り組み、現在までに25地区に活動拠点を立ち上げており、今年度は3地区の結成に向けて努力していくこととしています。
 地域運動における組合員OBと現役組合員との連携は、今後益々重要になってきます。退職者連合の活動強化、組織拡大のための支援を引き続き行っていきます。
A 例年開催している「人生匠の集い」は、構成産別の支援・協力により継続実施します。また、高齢者が安心して暮らせる福祉のマチ作りなど、政策活動には「一地区一要求」にリンクさせた取り組みとしていきます。
 
 
「男女共同参画社会基本法」が1999年6月に施行され、政府の基本計画と自治体の取り組みとともに、国民の責務として職域、家庭、地域などあらゆる分野での男女共同参画社会の形成に寄与していくことが明文化されました。
 連合は、1991年に第1次男女平等参画推進計画を決定して積極的に取り組んできましたが、この「第1次参画計画」は一昨年終了し、2001年からは組織人員に占める女性組合員割合に基づいて女性役員を選出することを目標とした「第2次男女平等参画推進計画」を決定しました。
 この第2次計画を基本に連合北海道「男女平等参画推進委員会」を立ち上げ、「男女平等参画推進計画」(01.11〜06.10)を決定し、具体的な取り組みを産別、地協・地区連合において進めています。参画推進計画の実効が上がるよう進捗状況の把握、アンケート調査等を踏まえ、推進委員会の役員会、幹事会で取り組みの徹底を図っていきます。
 
 
 
@ 2003春季生活闘争は、連合本部の基本構想を踏まえ、連合北海道の基本構想を第14回年次大会で決定し、12月中には闘争委員会を設置して進めていきます。
A 春季生活闘争は、賃上げのみならず総合生活改善闘争であり、賃金引き上げや労働条件の改善結果を未組織労働者に波及させる役割や、労使で経営全般の認識を深めていく役割も持っています。
 近年、統一的な要求・交渉を通じた横並び妥結の波及構造が崩れておりますが、春季生活闘争そのものの役割や意義が失われるものではなく、「雇用と生活を守りきる闘い」が色あせたものでもありません。
B 2003春季生活闘争においても、景気回復の兆候が見えない雇用・経済情勢の中での厳しい闘いになるものと思われます。
 そうした情勢下にあっても、連合北海道は地場・中小組合の闘いを産別と地域が一体となって支える地域共闘を通じて、未組織・パート労働者にも波及する運動を展開していきます。とくに、賃金格差を是正し底上げを図ることは春季生活闘争の重要な課題であり、従来通り賃上げの具体的な要求目標を掲げて、道内地場・中小組合の交渉を支えていきます。
 今後とも、春季生活闘争を推進する視点を絶えず職場と地域に置き、新たな課題に挑戦していきます。
 
 
(1) 雇用確保と公正なワークルールの確立
 
@ 失業率は、依然高止まり状態が続き、改善の兆しが見られません。とりわけ、中小企業に働く労働者は、構造改革や規制緩和のなかで厳しい環境に置かれています。
 雇用・賃金・労働時間など労働条件は、大企業と比べて依然、格差が存在しており、改善すべき課題は山積しています。
 中小企業の活性化のためには、魅力ある企業、職場、労働条件づくりなど環境整備が欠かせません。中小企業の活力の維持・強化を図り、労働条件の格差是正を実現するためにも、中小企業の経営基盤強化策の推進が必要であり、資金確保策の拡充・強化などの対策を国や道に求めていきます。
A 現下の危機的な雇用情勢のもとで、雇用の維持、創出に向けたワークシェアリングの論議が高まり、本年3月29日には中央段階で政労使の合意が成立しました。これを契機に、今後、働き方の見直しと雇用拡大めざすワークシェアリングが実施されるよう、環境整備を具体化することが求められています。
 そのためには、不払い残業や恒常的な時間外労働を是正していく取り組みと併せて、典型/非典型、正規/非正規といった区分けがなくなり、均等待遇原則が確立される状況を作り出さなければなりません。
 北海道においても、道の「ワークシェアリング研究会」において協議を進め、ワークシェアリングの実施に伴う労働条件やワークルールの底上げに向けた、社会的合意形成を目指すこととします。
B 多様な雇用・就労形態が拡大するなかで、雇用の安定と公正な労働条件を確保するために、パートタイム労働者、派遣労働者など多様な雇用・就労形態で働く労働者の雇用の安定、及び公正な労働条件を確保する「パート・有期労働法」と、整理解雇4要件をはじめ判例で蓄積された労働契約全般(解雇・採用、配転、出向、転籍、退職)に関するルールを整理・明文化した「労働契約法」の制定実現に向け、連合本部台の取り組みへの積極的参加と、北海道段階においても労働審議会における連合要求の反映や学習会、関係協力団体と幅広く連携した取り組みを進めていきます。
 また、道に対し、深刻な雇用・失業問題に対応するための雇用・生活のセイフティネットの確立をはじめ、介護・福祉・医療・環境・教育・情報の各分野に係わる「北海道新長期総合計画」の見通しや、前倒し拡充「雇用創出」、大規模職業訓練システムの構築、農・森林整備事業など新分野進出の支援・強化による雇用安定等について求めていきます。
C 労働条件の改善に向けては、春季生活闘争における地域ミニマム運動の推進の拡大・充実と、さらなる発展に向けた取り組みを強化していきます。春闘時のミニマムの設定は、地域の年齢別最低賃金、企業内最低賃金を引き上げ、さらに、法定最低賃金の引き上げに寄与する取り組みとして進めていきます。
D 1999年12月に改正労働者派遣法が施行され、適用対象業務が原則自由化になったことから、新規事業者の参入が増加する一方、派遣法違反や様々な問題が指摘されています。
 北海道労働局に対し、「労働者派遣事業の適正運営の確保」違法事業者への監督指導、労働者派遣事業適正運営協力員(労働側17名、経営者側17名)制度の有効活用、権限強化などについて緊急要請を行いました。
 また、03年通常国会での労働者派遣法改正に向けて、見直し議論が本年秋以降本格化していきます。
 連合本部では見直しに向け、実態調査をはじめシンポジウムを開催するなどして基本的考え方のまとめに入っており、連合本部の取り組みに合わせて、北海道における取り組みを進めていきます。
 運営協力員会議においても、連合本部の基本的な考え方について学習を深めていくことにします。
 
(2) 労働時間短縮
 
@ 2000年度年間総労働時間1,800時間達成を目標に取り組みを進めてきましたが、景気の長期低迷などもあって未達成になっています。
 2001年度における総労働時間は全国1,848時間、北海道では1,870時間という実態にあります。引き続き1,800時間達成を目標に、時間外労働の削減、年休取得促進など、とりわけサービス残業の根絶と年間150時間を上限とした時間外協定や時間外割増率の改善の取り組みを進めていきます。
A 2002年の元日営業休業化の取り組みについては、連合第23回中執(2001.6.13)の取り組み方針を受けて、これまでの基本的な考え方を継承することを確認しました。内容は、a.「ゆとり確保の観点から国民生活に欠かせない分野を除き、基本的に正月営業を自粛する」そのため、正月三が日休業の制度化をはかるとともに、とりわけ「元日」については、特別の日とする取り組みを実現していく。b.国民のゆとり確保に、地球環境保護の観点もくわえ元日休業の社会慣習をもう一度、定着・制度化することを目標とする。以上の基本方針を踏まえ、北海道においても関係産別、各地協において労使協議、協定締結の取り組み、関係する経営者団体、商工会への要請に取り組みましたが、元日営業に踏み切る店舗・事業所は拡大、増加しました。
 この課題は、「個別労使問題」と捉えられる傾向があり、また「法制化による規制」については「独占禁止法」に触れる可能性もありますが、連合本部においてもここ数年、運動の全国一本化に成り得ておらず、「ゆとり」と「従来慣行」という主張では、もう一押しの説得力が足りないと言えます。
 経済状況や市場原理により、正月三が日の営業は拡大し、元日も「特別の日」ではなくなりつつありますが、2003年「元日休業」においても関係産別、関係組合と連携し、活動の強化と関係経営者協会、団体に対する要請等、引き続き休業化にむけた運動に取り組むこととします。
 
(3) 労働者福祉の充実
 
 中小企業と大企業との間には、雇用・労働条件、労働福祉等の面において様々な格差があります。とりわけ、福利厚生の面での格差は広がっています。
 中小企業の労働福祉の立ち後れは、企業規模が小さいため資金力が乏しく、負担能力、ノウハウ、事務能力等に限界があり、事業主自体にも労働福祉に対する認識が大企業ほど高くない、などがあげられます。
 「中小企業勤労者福祉サービスセンター」は、中小企業に働く労働者が、生涯にわたり豊かで充実した生活を送ることができるよう、中小企業が単独で実施することが難しい従業員の福利厚生などについて、共同で大企業並みの福祉事業を実施する団体です。
 連合北海道は、93年以降、「ゆとり・豊かさの実現 格差是正で社会的公正」を図っていく福祉向上の一環として、サービスセンターの市町村における設立や加入促進の取り組みを進めてきました。その結果、設立状況は、市町村共済も含め、2001年度61市町村(00年度55市町村)に増えているものの、加入状況は厳しい雇用・経済動向の中で入・退会のくり返しにより、微減にとどまっています。
 今後も、事業内容の改善・充実に向けては、国の中小企業に対する支援事業として求めていきます。
 また、パートタイム労働者退職金共済制度設立から8年が経過しました。その間、道の予算措置も年々増加され、事業主の負担軽減が図られたことにより、2002年度実績は134事業主(00年度118)と着実に増加してきており、引き続き道に対する予算措置をはじめ制度の充実による未加入企業への加入促進に取り組みます。
 
 
 北海道における労働災害死亡者数は昨年128名と依然として全国ワースト・ワンという厳しい状況にあります。
 安全衛生活動は職場の取り組みが基本です。自分の職場から死傷者や疾病をなくするために日常的な地道な粘り強い取り組みが必要です。連合北海道は、北海道勤労者安全衛生センターと協力し、構成産別・各地域での安全衛生に関する取り組みがさらに前進するよう活動を強化していきます。
 
(1) 働く者の「命と健康」を守るネットワークの確立
 
 医師や安全衛生コンサルタントなどの専門的知識・経験を活用できるネットワークづくりが情報化時代の安全衛生対策には不可欠と考えます。
 連合北海道は、労働安全衛生対策委員会を軸に北海道勤労者安全衛生センターと連携し、働く者の「命と健康」を守るネットワークの確立に向け、これまでも緑愛病院や安全衛生コンサルタントなどの専門家と連携してきました。今年度は日本産業カウンセラー協会(メンタルヘルス)や労働科学研究所(マネジメントシステム)との連携を強化し、より質の高い組合員サービスができるよう、そのための基盤づくり進めていきます。
 また、安全衛生センターのホームページ開設に合わせ、これを充実させるためのバック・アップ体制を作っていきます。
 
(2) 中小職場の安全衛生「5カ年計画」の推進
 
 「北海道における中小職場の安全衛生改善5カ年計画」は、中間総括の年を迎えています。ここ数年来の職場を取り巻く環境が激変するなかでも各産別・地域の真摯な取り組みにより「5カ年計画」は、“ゆっくり・じっくり”前進しています。
 2002年度第1回安全衛生対策委員会(9月5日開催)の確認に基づき、自信を持って次のステップへと計画を進めていきます。
・各産別の協力を得てモデル組合を設定し、具体的取り組みを展開します。
・安全衛生マネジメントシステム導入など職場の安全衛生活動資料を作成します。
・産別、業種ごとの安全衛生チェックリストの作成を産別と共同で取り組みます。
・中間総括のためのアンケート集約作業とあわせ、産別オルグを実施します。
・カウンセラーによるセミナー開催など職場のメンタルヘルス対策をさらに強化していきます。
 
(3) セーフティ・ネットワーク集会や地域セミナー等の開催について
 
@ 今年度も連合本部の「労働安全衛生対策活動計画」に基づき、全道セーフティ・ネットワーク集会を開催していきます。
 年々充実してきている全道セーフティ・ネットワーク集会をさらに発展させるために第8回の全道セーフティ・ネットワーク集会は胆振地協と共同ではじめての札幌以外での開催とします。
A 昨年も多くの地域で開催された地域セミナーについては、今年度も地域産業保健センターや労基署とも連携し、地協・地区連合の加盟産別・単組・労災防止指導員をはじめ地場の企業や中小組合にも呼びかけるなど幅広い取り組みにしていきます。
B 労災防止指導員連絡・研修会におけるパトロールト・レーニングや各種研修会への参加など指導員の実践的レベル・アップにも力を入れていきます。
 
 
(1) 公務員労働基本権問題
 
@ 小泉内閣が進めている公務員制度改革は、昨年12月25日、「公務員制度改革大綱」が労働組合との交渉・協議もないまま、一方的に閣議決定されました。
 しかし、その内容は公務員の労働基本権を認めず、人事管理権を集中・強化することやキャリア制度の温存、天下り制度の規制緩和など、国民の求める民主的な公務員制度改革とはかけ離れたものであります。
A これに対し連合本部と連合官公部門連絡会は、本年2月、ILO「結社の自由委員会」に対し、ILO87号(結社の自由および団結権の保護に関する条約)および98号条約(団結権及び団体交渉権についての原則に関する条約)違反で提訴いたしました。
 また、全国1千万人署名運動を展開することとし、全構成産別、地方連合会で取り組みを進めてきました。
B 北海道段階でも、昨年設置した「連合北海道公務員制度改革対策委員会」を開催(5月9日)し、政官業の癒着構造をなくした安心・安定・安全な公共サービスの提供と公務員労働者の労働基本権確保を柱とする「民主的な公務員制度改革」実現に向けた運動の展開を確認しました。
 具体的には、全国1千万署名の道内目標達成に向けた取り組みと、署名運動に関連した街頭宣伝、決起集会、各地協での学習会等を実施いたしました。
 その結果、全国で10,288,657筆の署名が集約され、北海道でも90万筆を越える署名となりました。
C 今後は、1千万署名の民意を背景に、2003年に予定されている国家公務員法、地方公務員法改正の国会審議に向け、「連合北海道公務員制度改革対策委員会」を中心に連合北海道国会議員団会議と連携し、「民主的な公務員制度改革」実現のため運動を強化していきます。
 
(2) 労使対等の原則の確立
 
 労使関係については、労使対等および相互の自主性を尊重した関係確立を基本に学習活動を進めてきましたが、とりわけ労基法、商法、中小企業基本法等の改正により、労働者の労働条件に様々影響し、問題が惹起しています。引き続き労使関係問題研究会を中心に事例研究、地労委の活用方法について、地域での学習会を開催していきます。
 
(3) 顧問弁護団との連携
 
 年々、労働相談件数が増加傾向にあり、個別紛争問題への対応も多く、引き続き顧問弁護団との連携をはかり、労使関係の早期の問題解決に努めていきます。また、顧問弁護団による講演、学習会を地域においても開催するよう企画していきます。
 
 
(4) 地方労働委員会の活用
 
 今後も不当労働行為に対しては、労働委員会の活用をはかり、労使関係の正常、安定化にむけて毅然たる態度で対応しています。
 労働相談を頻繁に受ける連合北海道、地協・地区連合の担当者は地方労働委員会の活用による個別的労使紛争の解決を求めるか否かを判断していかなければなりません。相談者に対し助言・指導がより的確にできるよう「労使関係問題研究会」「顧問弁護団」を中心に事例研究、担当者講習会、学習会を開催していきます。
 
(5) 「連合労問研資料」の充実
 
 昨年度から地労委労働者委員の研究会開催にあわせて、「連合労問研資料」を発行しています。セクハラ事件や過労死問題などを特集していますが、今後も内容の充実を図っていきます。
 
 
(1) 冬期雇用援護制度の延長・改善
 
@ 国の冬期雇用援護制度は、季節労働者の通年雇用化促進のみならず、季節労働者の冬期間の生活維持や地域経済にも大きく貢献しております。
 この制度は、1957年より実施され、3年間の時限措置が繰り返えされてきており、前回の制度延長の取り組みでも3年間の延長を勝ち取りました。
A しかし、積雪寒冷地という本道の地理的条件では、完全通年雇用化は非情に難しい問題であるため、季節労働者の冬期生活保障や地域経済への影響を考えると、制度の恒久化が必要であると考えられます。
B そのため、現行制度が2003年度までとなっていることから、制度の恒久化要求も視野に入れながら、04年度以降の存続・延長を求める取り組み体制を構築し、関係団体へ働きかけていきます。
C また、現行制度より内容が一部改正され、講習科目、教習機関、受講料などで課題が出たため、改善を厚生労働省に求めた結果、講習日程、講習時間等での優遇措置が図られましたが、当該産別とともに残された課題の解決を強く求めていきます。
 
(2) 雇用・労働条件の確保
 
@ 建設業退職金共済制度の確立
 季節労働者にとって貴重な退職金制度である「建設業退職金共済制度」は、その実効性が低く、現状を見てみると、現場に働く労働者の中には、個人の建退共手帳の有無さえ知らない者や事業主の下に共済証紙が滞るなど、労働者に十分還元されていない状況にあります。
 連合北海道は当該産別とともに、公共工事における元請け、下請け、末端全ての労働者における建退共手帳の有無、共済証紙貼付等が確認される体制の制度化確立を道、各自治体に求めていきます。
A 公契約法(条例)の制定
 連合北海道は、各組合や未組織労働者に対し、賃金や労働条件を使用者側の都合で自由にさせることがないよう「労働協約」の締結を進めておりますが、建設業の場合「労働協約」はほとんど結ばれておらず、むしろ現場で働く労働者の賃金・労働条件は、その時々の事業者側の事情によって流動的に決められ、元請け業者の下請業者に対する「単価切り下げ」が多々行われております。
 このような状況が改善され、公共事業の現場で働く全ての労働者に対し、賃金の最低基準額が保証されるよう、連合北海道は関係産別とともに、ILO94号条約(公契約における労働条項に関する条約)の早期批准と、「公契約法(条例)」の制定を国、地方自治体に求めていきます。
 
 
(1) 地域別最低賃金
 
 2002年度北海道地域別最低賃金は、今春闘の厳しい賃上げ結果を反映し、最賃中央審議会でも「目安」提示が初めて見送られたこともあり、これまでに例を見ない引き上げゼロ、昨年同額という結果になりました。
 それにより、時間額が「637」円のまま据え置かれ、連合本部が最優先課題としてきた金額表示問題も、「日額」は廃止され、「時間額」のみとなり、実質的な水準改定には至りませんでした。
 一般労働者の賃金水準に対する最低賃金の比率はいまだ35%程度であり、2003年度における地域別最低賃金の取り組みは、一般労働者の賃金水準との格差縮小、最低賃金の実効性の確保をめざしていくこととし、2003春闘において、地場中小組合の賃金引き上げ、早期決着、また企業内最賃協定の締結、水準改定を進めていきます。
 
(2) 産業別最低賃金
 
 2002年産業別最低賃金の改正については、経営側より例年にも増して、凍結・廃止論を含め、見直し論議が強く出され、また地域別最低賃金が「据え置き」で結審した影響も大きいものがありましたが、産別最賃の意義役割を主張し、鉄鋼・造船・電機・食品の4業種の金額の引き上げと併せて12月1日統一発効にむけ審議会に臨んだ結果、鉄鋼○○○円、造船○○○円、電機○○○円、食品○○○円で、改正決定しました。
 2003年の北海道における現行4業種(鉄鋼・造船・食品・電機)の改正にあたっても、産業別最低賃金の必要性について、企業側の理解を求める努力を強く行い、北海道における産業別最賃の発展・拡大にさらに取り組むこととします。
 また、新設をめざしてきている「ハイヤー・タクシー業種」については、今年8月、「ハイ・タク最賃協議会第3回総会」を開催し、2003年以降のハイ・タク産別最賃の新設を視野に入れた取り組み方針を確認しました。全自交労連・交通労連を中心とした関係産別と連合、未加盟組合が一体となった連携をはかりながら、産別最賃の新設にむけて、当該産別の主体的な取り組みを基本に、引き続き運動を積み上げていくこととします。
 
(3) 地域別最低賃金の周知・宣伝
 
 地域別最低賃金は、本年10月1日から昨年と同額の時間額637円となりました。また本年より日額表示が廃止され、時間額のみとなっていることも併せ、最低賃金の周知と履行確保のため、ポスター・チラシを発行し、街頭宣伝行動等による春・秋の周知キャンペーンに取り組みます。
 
 
W.政策・制度改善の取り組みについて
 
(1) 連合北海道は、97年11月、本道最大の民間金融機関であった北海道拓殖銀行が経営破綻して以降、急速に悪化し、改善の兆しが全く見えない雇用・失業情勢のもと、2001年4月に誕生した小泉政権が打ち出した不良債権の最終処理や財政再建に向けた公共投資の10%削減・地方交付税などの地方財政の抑制などにより、さらに失業者が増加する情勢を踏まえて、昨年9月、全構成産別・全地協代表者で組織する「連合北海道緊急雇用対策本部」を設置し、以降、今日まで総力を挙げて地域雇用闘争に取り組んできました。
(2) このため、第153臨時国会における補正予算や引き続く平成14年度予算・政策に対し、@解雇制限法の制定など公正なワークルールの確立、A雇用保険給付の拡充や職業教育訓練をはじめとする失業者、離職者の生活保障と再就職支援、B雇用・失業問題の全道的な広がりに対応した、地域におけるきめ細かな職業相談・職業紹介などの雇用サービス提供体制の確立、C福祉、介護、医療、保育、教育、環境など、時代と道民ニーズを踏まえた社会的サービス事業拡充による「長期・良質な雇用の創出」や緊急地域雇用創出特別交付金制度の改善・延長、D離職者・失業者へのメンタルカウンセラーの増員や住宅ローンや子弟の教育費支援などの生活援護対策、E公共投資の削減による直撃を受ける建設産業や、その関連産業労働者の雇用確保のための建設業等の新分野進出、経営多角化支援やその人材育成のための職業教育訓練の実施など、22課題の政策要求を民主党北海道や連合北海道国会議員団の協力を得て、政府に提起してきました。
(3) また、道に対しては、平成14年度の北海道予算の編成にあたっては、雇用の安定、創出課題を最重点とするよう求めるとともに、@向こう5年程度を政策期間とする10万人の雇用創出計画の策定、A道が計画策定している介護や保育、教育、環境などの新社会資本の整備期間の短縮、前倒し実施による雇用創出、B道職員の時間外労働の縮減や各種休暇の完全取得によるワークシェアリングの導入や育児休業制度や週40時間労働制を猶予されている特例事業所の労働時間短縮による雇用創出、C失業者に対する生活資金融資制度の改善、D建設労働者など地域求職者に対する緊急地域雇用交付金を活用した雇用事業の展開などについて要求書を提出し、連合北海道道議会議員団会議と連携し、求めてきたところです。
(4) また、失業者の全道的な広がりに備えて、@地協単位に「地域雇用対策本部」を設置すること、A自治体単位の雇用創出計画の策定、特別交付金制度を活用した雇用対策の実施、改善課題の提出、B地域職業相談、職業紹介、教育訓練体制の確立、離職者・失業者へのきめ細かな生活・援護対策などを求める自治体署名運動・要請行動や国への要望意見書決議の採択、商工会議所、商工会、農協、漁協、建設業協会等の地域関係団体との連携を図る取り組みを2002年春季生活闘争の前段闘争と位置づけ、地協、地区連合が中心となり、闘いを進めてきました。
 更に連合全体としては、各産業別組織が中心となり、賃金改定と合わせて、産業、企業から失業者を出さない「労使雇用安全宣言」「雇用安定協定」を全組織で取り組むことを確認してきました。
(5) このような結果、政府レベルの要求については、第153回臨時国会(9月27日〜12月7日)の2001年度補正予算として、@緊急地域雇用創出交付金(3,500億円、3年で臨時雇用延べ50万人)、A45歳以上、中高齢者に対する雇用保険の訓練延長給付の拡大、B賃確法の賃金立替額の倍額化など改善が図られたものの、連合全体が求めてきた4兆円規模の雇用対策予算要求に対し、政府が予算化したものは、わずか5,501億円にとどまりました。
 また、2002年度政府予算についても、公共職業能力開発事業や委託訓練の拡充、学卒未就職者対策の一部強化については予算化されたものの、一段と悪化する雇用情勢のもとでは、焼け石に水の状況にあり、「デフレ経済と失業の持続的上昇」という悪循環を断ち切る経済・金融・財政政策の大転換と雇用のセーフティネットの拡充が強く求められております。
(6) 一方、第2期堀道政の最後の政策予算の編成となった2002年度北海道予算においては、@高卒未就職者を中心に、行政実務研修生として道が採用するスタートワーキングサポート事業費(2億3,598万円、150名、1年間)、A緊急地域雇用創出特別基金を活用した緊急地域雇用創出特別対策推進費(53億828万円、道約18億円、市町村35億円)、B育児休業取得者等の代替要員の確保や労働時間短縮による雇用を創出するワークシェアリング推進モデル事業費(3,047万円)、C建設業等の離職者に対する職業訓練費(1億2,431万1,070人)、D高校生のインターンシップ推進事業費(6,097万円、全道立高校2年生、3日間)、E新たな事業分野に参入する建設業者を支援する建設業対策特別貸付(新規融資枠100億円)、F失業者に対する生活資金貸付事業(据え置き期間の設定と融資金額の引き上げ)などの予算化、政策化が図られることとなりました。また、3月には、2002年度から2006年度までの実施期間で10万人の雇用創出を目指す「北海道雇用創出プラン」を策定しました。
  これらは、最も厳しい本道の雇用・失業情勢と我々の提起に一定程度応えたものであり、とりわけ、高卒未就職者の緊急雇用対策としての「ワークシェアリング」については、28市町村で取り組まれるなど(他に23市町村が検討中)本道全体で約900名が一年程度雇用されることとなるなど波及効果がありました。
  しかし、周年的な雇用の創出として提起されているマルチワークシステムの構築については、アイデアレベルと言わざるを得ず、政策化に向けた課題を整理し、地域関係者に示す必要があります。
(7) 一方、連合北海道が提起し、地協、地区連合が主体となって取り組んだ市町村長や経済団体への要請行動については、全道で122の自治体と84の商工会議所、商工会に対して実施され、また、「地域雇用対策の拡充を求める国への要望意見書の採択運動」については、107市町村議会、また、雇用対策の拡充を求める署名運動は124,737人となりました。
  以上のように地域における取り組みは、全道の自治体の過半数を超える地域で展開、実施されたものの、組織された労働者が未組織労働者を含む勤労者の代弁者としての役割から見れば不十分な状況と言わざるを得ず、連合北海道、地協の指導体制を再構築して引き続き全地域での展開を図る必要があります。
(8) 更に、2002年春季生活闘争」に係わる雇用の維持、安定の取り組みとしての労使間における「雇用安定協定」や「雇用安定宣言」の締結を図る取り組みは、道内では要求した組合が3産別、44組合、要求していない組合が13産別143組合で、要求した組合のうち締結し合意した組合は3組合にとどまっております。
 これは連合本部や連合北海道の、この取り組みの趣旨、目的が産別に徹底されていないことが要因であり、モデル協定などの提示を含め、学習会の開催など検討する必要があります。
(9) 以上のように小泉政権がデフレ経済下で進めてきた金融機関の不良債権のオフバランス化や財政再建を最優先とする経済財政運営が大量失業を招くことを踏まえ、我々は「雇用のセーフティネットの拡充」を中心とする政策要求を掲げ、国や道などに実施を求めてきましたが、雇用・失業情勢は完全失業率が更に悪化するなど事態は一層深刻化しています。
(10) 総務省が去る8月30日に発表した全国の労働力調査結果では、完全失業率は、前月と同じで5.4%、また完全失業者は352万人と依然高止まり状態にあります。
  また、7月末までに発表された2002年4〜6月期の道内の完全失業率は、5.6%(前年同期5.9%)で完全失業者数は16万人となっています。
  また、道内のハローワークにおける求人と求職者の割合を示す有効求人倍率(常用)は、本年7月においては0.40倍と12ヶ月間連続で前年同月を下回る状況が続いています。とりわけ、離職者のうち事業主都合による解雇者は、昨年9月より本年6月を除いては、前年同月を上り、2001年度(2001年4月〜2002年度3月)は、45,887人に達しており、デフレ経済の進行のもとでの雇用削減の圧力(便乗リストラを含む)が一段と強まっていることを示しています。
  求人の動向を見ると、産業別では公共投資の縮減の影響下にある建設業や食料品を除く製造業の落ち込みが著しく、また求人もパート求人が3割占めるなど、長期的、安定的な雇用からパートや派遣などに置き換えられ、雇用の質の劣化は拡充しています。
(11) このように勤労者にとって最も大切な安心基盤である雇用が失われ、また失業期間も長期化しています。
  こうした失業率の持続的な上昇は現在のデフレ経済を一層深刻なものとしています。失業の増加により労働市場の需給は悪化し、職についている家計でも可処分所得は減少し、消費支出が減退、これが企業の売上高の減少に連なり、企業間のコストダウン競争を激化させ、衰退を余儀なくされた中小企業から、さらなる失業を発生させるという悪循環に陥ってます。
  更に、こうした失業の持続的上昇とデフレ経済の悪循環より失業が原因で生活費に困り、多重債務に陥る自己破産者が急激に増加したり、生活保護世帯の増加を招くなど深刻な社会問題を発生させています。
  また、雇用情勢の加速度的な悪化により、雇用保険財政や「世代間扶養」を基本とした年金保険システムへも深刻な影響を与えています。
(12) こうした状況を踏まえると、今、政府がとらならくてはならない政策は、現下の雇用不安を解消する大規模な雇用創出と安心できる社会保障制度を確立し、国民に安心を与え、デフレ経済から脱却することです。
  しかし、小泉政権の経済財政運営の方針は、歳出抑制を基本とする財政再建最優先方針であり、また、雇用対策や産業の再生が欠落した不良債権処理方針であり、去る6月21日発表した「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(骨太方針第2弾)も、この基調にあり、デフレ対策としても検討されている税制改革も「増減税ゼロ=中立」の考えにあり、実効あるデフレ対策は望めません。
  これらの状況を踏まえると、私たちは、民主党としっかり連携し、地域運動を掘り起こし、政策転換を図る運動を全道的に繰り広げることが求められています。
  このため、連合本部と連携し、国に対しては、@雇用創出・安定策の抜本強化、社会保障基盤の再構築を最重点に据え、安定成長と失業率の引き下げを実現するための補正予算の編成や2003年度予算編成でもこの政策運営を強化すること、A減税を含む総合的なデフレ対策を実施し、消費需要を喚起させ、内需拡大を図る、B金融機関の不良債権処理では産業の再生を基本にし、労働組合の関与や厳格なルールで取り組むことを求めるとともに、強力な雇用対策実施を図ることなど、政策転換を求めていきます。 
(13) また、雇用の維持・創出と失業者支援策については、@120万人以上の福祉・介護、環境保全、教育・保育などの公共サービス事業の拡大を図ること、A「緊急地域雇用創出特別交付金」の増額と雇用期間の制限の撤廃を求めるとともに、一般財源による「地域雇用創出、安定プラン支援基金」を創設すること、B非自発的離職者、学卒未就業者、自営業廃業者などに対する能力開発や雇用保険後の生活支援を行う「能力開発基金(仮称)」を設置すること、C長期失業者の社会保険料の減免や教育、住宅などの無利子貸付などの生活支援を強化すること、Dワークシェアリングを通じた雇用の創出策並びに緊急対応型ワークシェアリングの支援策。雇用維持に対する支援を強化すること、E非自発的離職者の雇用保険給付の最低支給期間を210日以上に拡大するとともに、訓練延長給付は抜本拡充して2年間の失業給付を行うこと、F失業給付の受給者に対してプロファイリングを行い、その結果に応じて個別カウンセリングなどの再就職の援助を行うこと、G職業訓練に際して産業界の意見を取り入れた高度な専門知識から日常業務に必要な技能レベルまで社会的に教育を行う大規模職業訓練システムを整備することなどを求めていくこととします。
(14) 更に、道に対しては、直接的、間接的雇用量を明確にし、雇用効果の高い事業予算を優先要求することを求めるとともに、今後の補正予算や来年度の雇用対策については、以下の課題を求めていきます。
@ 少子高齢・環境・教育・情報分野に係わる北海道新長期総合計画を前倒しに拡充し、雇用創出し、雇用創出を図ること。
A 既存中小企業の新分野進出・経営の多角化や新規開業による雇用創出を強力に地域の体制を拡充すること。
B コミュニティービジネスの担い手として設立されているNPO法人に対する開業、運転、設備資金の融資に対する信用保証機関の設置を行うこと。
C ワークシェアリングの実施
 道職員の時間外労働の縮減、有給休暇、育児・介護休暇等、各種休暇の完全取得に必要な人員確保や、厳しい雇用情勢の改善に向けた公的機関による雇用創出、さらには現在論議されているワークシェアリングの推進を図るため、道自らワークシェアリングによる雇用創出に取り組むこと。
D 職場体験事業の展開
 雇用のミスマッチを解消するため、職場体験事業を創設し、求職者に「職場体験啓発奨励金」(仮称)を支給すること。
E 雇用推進員の配置と堅持
 本道の厳しい雇用情勢を勘案し、就職困難者の就職促進や中小企業における雇用確保を目的に、各公共職業安定所に設置されている「雇用推進員」を、増員し配置すること。
F 相談カウンセラーの配置
 労働相談員制度の充実を図るとともに、急増する離職者・失業者をメンタル面で援護するため、専門的なカウンセラーを配置すること。
G 離職者の生活対策
 失業期間が長期化しつつあることから、離職者・失業者の生活対策として、以下の施策を実施すること。
a) 離職者・失業者に対する医療、出産、教育、冠婚葬祭などの生活資金融資制度の融資金額の増額、据え置き期間の設定など制度の拡充を図ること。
b) 離職者・失業者の子弟が継続して高校、大学等で教育を受けることが出来るよう、授業料の軽減、奨学資金の貸付制度を改善すること。
c) 離職による医療や年金給付に関する相談体制を確立し、継続や市町村国民健康保険、国民年金への行こうと保険料の減免措置など適切に対応すること。
d) 雇用保険受給修了者や無年金者、少額年金受給者などの生活に困窮する失業者に対し生活保護を支給し、自立支援を図ること。
H 産業雇用構造の転換
 公共事業に依存した建設産業中心の産業雇用構造から第1次産業の新たな発展にむけた支援サービス業や介護福祉、観光、IT分野など、新分野における事業・雇用創出を推進するため、初期投資の軽減や人材育成(建設労働者の職業転換訓練)等について、強力に支援すること。
I 建設雇用対策
 建設投資の縮減に伴う建設労働者の雇用の確保のため、緊急地域雇用交付金制度を活用し、国有林、公有林、民有林の間伐、除伐事業などを実施すること。
 また、劣悪な公営住宅の改良や、庁舎や中心部のバリアフリー化を進めるとともに、個人住宅のバリアフリー化など、リフォーム需要を喚起するため、融資制度を拡充すること。
J 炭鉱離職者対策
 炭鉱離職者の再就職支援、生活相談に係わる予算を確保すること。
K 新規学卒者の就職促進対策
 学校教育課程において職業意識を醸成するとともに、求人活動の強力な推進により、早期に就職先が確保されるよう取り組むこと。また、未就職者についてはインターンシップ制度の充実をはかり、就職促進に努めること
 
 
(1) 政府は、第154通常国会に医療制度「改革」案として、「健康保険法等の一部を改正する法律案」を提出して、与党3党の強行採決により成立させました。
  その内容は@被用者本人と家族入院等の患者一部負担を2割から3割に引き上げる。A健康保険の保険料率を総報酬で7.5%から8.2%へ引き上げる。B高額療養費を大幅に引き上げる。C老人の対象年齢を70歳から75歳に段階的に引き上げ、70歳以上の一定以上の所得者は2割負担で、自己負担限度額も引き上げるというものです。
(2) 連合北海道は、政府案は、中長期的に持続可能な保険制度への改革とは言えず、「改革なき負担増」を強いるもので認められないことを明らかにし、連合本部が提起する1000万人署名運動や市町村議会における国への要望意見採択運動、総決起集会など開催してきました。 
  改悪案は残念ながら成立しましたが、引き続き国民が安心して良質の医療サービスが受けられるよう、@診療報酬制度の改革、A新たな高齢者医療制度の創設、B医療提供体制の改革等を中心とした抜本改革を目指してねばり強い道民運動を展開します。
 また、過疎化の進展や自治体の財政の悪化などにより、地域の医療提供体制の水準が低下してきています。本年度、設置された地域医療支援機構が軸となったプライマリ・ケア医師の養成や病診連携の強化などを求めていきます。
(3) 本道は、全国を上回るスピードで急速に少子・高齢化が進行しており、この中で介護や医療の必要な高齢者が増加しています。
 2000年4月には、介護保険制度がスタートしましたが、本年度末までに介護報酬と事業計画を見直すこととされています。
  こうした状況を踏まえ、連合北海道は、厚生労働省に、第1に介護サービスの基盤を拡充すること、第2にホームヘルパーなどの介護報酬を見直すこと、第3に国の責任で保険料や利用料等の減免措置を制度化することを引き続き求めるとともに、道の高齢者保健福祉計画、介護保険事業支援計画検討委員会に参加し、地域の安心基盤を確保するよう取り組みます。
 
 
(1) 石炭・産炭地域問題について
 
@ 採掘条件の悪化や昨年2月の自然発火災害により、厳しい経営状況に直面していた我が国唯一の坑内堀りの炭鉱である太平洋炭礦株式会社は、昨年12月7日、太平洋炭鉱労働組合に対し、「平成14年1月30日をもって閉山し、全員解雇する」旨の提案がされました。
A これに対し、連合北海道は、会社の閉山提案で示した「退職条件」や「雇用対策」、「地域対策」の内容は、2001年度末で終了する国の石炭対策による各種補助金制度の廃止や5年度の完全自由取り引きに向けた基準単価の毎年度引き下げという事態の中で、長期存続のため、賃金カット、人員削減などの合理化や経営効率化の協力など、血のにじむ努力に応えない誠意のない提案であることから、炭労の支援要請を踏まえて、国や道に要請行動を繰り広げてきました。
B また、併行して釧路市民の炭鉱(ヤマ)の灯を消すべきではないとの熱い期待に応え、「雇用の受け皿」「地域振興」「炭鉱技術移転計画」を担うため、地元経済界を中心に設立された「釧路コールマイン株式会社」の設立趣旨に連合北海道としても全面的に賛同することを明らかにし、政府や道ならびに関係自治体、更に太平洋興発、太平洋炭礦株式会社の各々が、責任を果たすよう求めてきました。
C こうした中で、年末年始を含む団体交渉を経て、本年1月22日には退職手当金を中心とする退職条件や社宅などの福利厚生、雇用対策室の設置などの雇用対策などについて、労使の確認書が交わされ、1月30日付をもって閉山することとなりました。
  また、翌1月31日より、釧路炭鉱による雇用が開始され、抗口密閉作業が行われ、4月より約500名規模で採炭事業がスタートすることとなりました。
D 連合北海道としては、太平洋炭礦は、閉山という非常に残念な結果となりましたが、新しく設立された釧路炭鉱をもって国際貢献を果たす「技術移転5カ年計画」が実行されることにより約500名の雇用の場が確保されたことは、運動の成果であり、今後は可能な限り、長期存続できる環境を整備するとともに、残された約1,000名の再就職対策や釧路や空知地域などの産炭地域の再生、活性化に引き続き取り組むこととします。
 
(2) 幌延「深地層研究センター」設置問題について
 
@ 昨年の定期大会での確認、決定に基づき、連合北海道は、深地層研究センターの設置区域を「幌延町の北進地域」を発表したことを踏まえ、関係する留萌、宗谷、上川の3地協と幌延町、及びこれに隣接する7地区連合による「連合北海道幌延深地層研究監視連絡会」を設置しました。
  連合北海道幌延監視連絡会の設立の目的は、(a)北海道議会で制定された「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」の完全履行、(b)旧科学技術庁の立会のもと、核燃料サイクル開発機構と北海道、幌延町の間で締結された「幌延町における深地層の研究に関する協定」の遵守、(c)幌延町議会自身で制定した「深地層の研究の推進に関する条例」の履行状況について点検、監視することです。
A 今後は、この連絡会議や、この後予定している幌延問題5団体会議(連合北海道、民主党北海道、公明党道本部、道民社協会、道平和運動フォーラム)による監視連絡会を軸に、核燃料サイクル開発機構に計画・事業内容の情報公開を求め、その内容を厳しく点検、監視するとともに、周辺自治体における条例、決議、宣言の制定運動や政府機関への申し入れ活動に継続して取り組むこととします。
 
(3) エネルギー・環境委員会の設置について
 
@ 連合北海道は、これまで原発増設などの電源開発やITER問題、更には幌延問題、石炭・産炭地問題に関し、各々専門委員会を組織内に設置し、調査・検討、政策立案と調整、また、共闘組織として役割を果たしてきました。今後はこれらの課題を継承するとともに、総合的な見地から政策調整を行うため、「連合北海道エネルギー・環境委員会」を設置し、対応することとします。
 
 
(1) 地方分権一括法が施行され、2年余りが経過しました。税源移譲など残されていますが、この分権改革により、国と地方は「上下・主従」の関係から「対等・協力」の関係となり、道民・市町村の住民が自らの責任で自己決定する新しい時代を迎えています。
(2) こうしたなかで、情報の共有と住民参加を基本とする北海道づくりに向け、本道の自治の憲法を制定し、自治の基本理念とその理念を踏まえた基本原則を確立することが求められています。
  情報公開条例の改正や政策評価条例などに取り組んできた道は、本年9月の第3回定例議会に北海道行政基本条例の提出を予定しています。
(3) 連合北海道は、今回の道条例は、行政運営や行政活動に限っての基本理念とそれに基づく基本原則を明らかにしたものでありますが、第1にこの条例を自治のあり方に関する最高規範規定であり、北海道の自治の憲法として規定すること、第2にこれまでに整備された道民や市町村の参加や権利にとどまらず、今後、個別条例として整備すべきその原則を盛り込むこと、第3に道民投票については、道民の発議による道民投票の義務化や投票結果の尊重などをうたうことなどを中心に、修正・補強を強く求めていくこととします。
(4) 1999年7月の市町村合併特例法の改正を契機に、自治体、地域における市町村合併推進に向けた検討、取り組みが強められつつあります。
  この特例法は2005年3月までの期限となっており、市町村合併の手続き期間(法定協議会設置から22ヶ月)から逆算すれば、2002年度が法定協議会設置の最大のヤマ場となります。
(5) 連合北海道としては、第1に、合併については各市町村の自主性・主体性、住民の合意で進められること、第2に、市町村合併のみならず広域連合制度や一部事務組合制度などの市町村の協力の推進や小規模市町村行政への道の補完・支援の拡充など、自治体の基盤や役割を強化することを含めて検討するよう求めていきます。
 
 
(1) 環境問題の解決に向けて、いま、すべての道民・事業者が環境保全に取り組み、資源循環型社会、持続可能な社会形成をはからなければなりません。このような中、本年3月、道は環境対策を推進する方策の一つとして、経済的手法の導入、特に環境目的税(産業廃棄物循環促進税・北海道地球温暖化対策税)についての考え方を明らかにし、パブリックコメント等で道民意見の聴衆などに取り組んできました。
(2) 今日、私たちが生活している地球環境は、生産・消費・廃棄といった経済活動により、大気・水・土壌汚染や森林破壊が地球規模で広がっています。
  私たちは、問題の解決を先送りすることなく、自然と調和した北海道と健康で文化的な道民生活を確保するため、連合本部が提起する「エコライフ21」運動などについて、産別、地協はもとより、一人ひとりの組合員が自らのライフスタイルについても見直し、環境重視で積極的に対応していかなければなりません。
(3) 連合北海道は資源循環型社会、持続可能な社会をつくりあげるためには、環境目的税は一つの効果的な手法であることを明らかにしながら産廃税、炭素税について慎重に検討してきました。
  その結果、炭素税については、政策効果や代替性が明らかになっていないことから、尚慎重に検討すべきとし、また、産廃税については、第1にあくまで環境目的は産業廃棄物の減量化や再資源化を図る手段であり、増税を目的としたものではないこと、第2に企業・事業者に充分な準備期間を設定し、趣旨・目的を徹底すること、第3に税施行前に減量化や再資源化などに係わる設備投資などに対する予算措置を講ずることなどの条件を示し、対応することとしました。
  しかし、道は9月に開催された第3定例道議会の直前に、自民党など賛成が得られないことなどを理由に提案を見送りました。連合北海道は、この自然豊かな北海道から資源循環型社会を実現するため、前述の基本に立って、今後の取り組みを進めます。
 
 
@ 私たちは、これまで毎年、道や国の予算編成期に勤労道民の立場に立脚した「政策・制度の改善要求」を掲げ、連合北海道の国会議員団会議(鉢呂吉雄会長、衆・参議院議員11名)、道議会議員団会議(鈴木泰行会長、道議会議員37名)との協力・連携により、実現をはかる取り組みを実施してきました。
A 2003年度の道の予算編成に対しても、策定する「次期道政への要求と提言」をもとに政策委員会の検討・論議を踏まえて「要求と提言」を取りまとめ、4月の要求書提出と交渉を開始し、5月までの決着をめざして取り組んでいくこととします。
 「要求と提言」の策定に際しては、現下の最大の道政課題は引き続き「雇用問題」であることを踏まえ、求めていくこととします。
 また、自治・分権の北海道づくり、少子高齢化対策、環境政策、総合交通政策や教育政策課題など、道政全般に対し、政策提起することとします。
B 北海道に係わる国の2004年度の予算編成に対しても、5月より政策委員会の論議を行い、7月の中央省庁交渉や、予算確定期(12月)における大臣交渉を配置し、政策実現に取り組むこととします。
 
 
X.国民・道民運動の取り組み
1.平和を守り、軍縮・核兵器廃絶を求める運動
 
(1) 「有事法制」制定問題に対する取り組みについて
 
@ 政府は、本年4月17日、「武力攻撃事態におけるわが国の平和と軍縮と独立並びに、国並びに国民の安全の確保に関する法律案(武力攻撃事態法)」、「自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案」、及び「安全保障会議設置法の一部を改正する法律案」のいわゆる有事関連3法案を国会に提出しました。
A 政府・与党は、この有事関連法案を第154回通常国会後半の最優先法案と位置づけて、会期を延長してまで成立を図ろうとしてきましたが、わたし達の成立反対運動や有事への対処にあたって枢要な役割を果たすべき防衛庁・外務省の公文書偽造問題、個人情報リスト作成問題、機密費事件、鈴木宗男の暗躍問題などにより、継続審議扱いとなりました。
B 連合北海道は、この有事法制問題は極めて重要な法案であることを踏まえ、連合本部に対し、しっかりした議論を行い、明確な対応方針を求めるとともに、有識者を招いての学習会などを積み重ね、4月16日には、連合本部に対し、事務局長コメントを提出することとしました。
C その内容は、紛争の未然防止のため「アジア・太平洋地域の安定及び国際平和の実現に向けて日本国憲法の遵守、国連中心主義における外交を基本に対処すべきとする」との連合の従来方針を確認した上で、政府の法案は、第1に、全体像が不明確で、国民的論議とコンセンサスに関わる土台が欠けている。第2に、武力攻撃事態の定義及び認定の規定が曖昧であり、集団的自衛権の行使につながる恐れがある。第3に、その他にも地方公共団体の具体的な権限・義務の首相代執行措置権、表現の自由など基本的人権の確保と憲法、「周辺事態」と「武力攻撃事態」における米軍の行動、国会による民主的統制などについて曖昧・不明確・不十分であることから、「憲法の枠内であること」「集団的自衛権の行使を認めないこと」「国民を守る有事法制であること」を基本に見解をまとめるよう求めることとしました。
D また、このコメントやメーデー中央大会における笹森会長の挨拶などを踏まえて第73回全道メーデー大会に「有事法制関連法案に関する特別決議」を提出し、「この法案は不完全」であり、よって「慎重かつ冷静な論議を求める」とともに「この有事法制が我が国憲法の枠外であったり、集団的自衛権の行使となる」場合には、断固成立を阻止することを決議しました。
E その後、5月中旬、連合本部は、第5回中央執行委員会において、わたしたちと同様な見解を示し、今国会で成立することは反対であることを示しました。
  これを踏まえ、連合北海道は地協とともに街頭宣伝活動や健保法改悪反対とともに成立阻止の集会、デモなどを展開してきたところです。
  9.11の米国における大規模同時テロの発生や、我が国周辺海域における不審船問題などのなかで、有事法制を巡る議論が時流に流されている傾向にあります。
 私たちは「戦争の20世紀」から「戦争の無い平和な21世紀」と築き上げるため、憲法の平和主義の規定をあらためて踏まえた上で、わが国の国土と国民を守る法整備について考えていかねばなりません。しかし政府が引き続き次期国会に、わたし達の基本を満たさない法案を再度提出してきた場合には、断固反対することとします。
 
(2) 在日米軍基地の縮小と地位協定の見直しを求める取り組み
 
@ 今年は沖縄が本土に復帰して30周年にあたります。先の大戦で沖縄では、国内で唯一住民を巻き込んだ地上戦が繰り広げられ、一般住民約94,000人を中心に20万人を越える人達の尊い命が失われました。また長い間の米軍による占領支配政策から解放された本土復帰後も、わが国の国土面積の0.6%に過ぎない狭あいな沖縄に在日米軍専用施設面積の約75%が集中しています。
 また、こうした陸地だけでなく、29カ所の水域と20カ所の空域が米軍の訓練区域として設定され、海・空の使用が制限されています。
 更に、日米安全保障条約第6条に基づく「日米地位協定」によって米軍に対し国内法で規制したり義務を課すことができないこととなっており、県民は大きな重圧のもとの生活を強いられています
A 私たちは、こうした沖縄の歴史とあわせて現状を踏まえ、戦争の悲惨さ、平和の尊さを学び、次代に引き継ぐとともに、沖縄を中心とする在日米軍の整理・縮小と日米地位協定の抜本的見直しを高くかかげる運動に取り組んできました。
 とりわけ本年は沖縄本土復帰30周年にあたることから、沖縄戦の体験者を招いて、道内3カ所で学習会や上映会を開催するとともに、連合本部主催の「つくろう平和な世界・21世紀」のスローガンのもとに開催された「2002平和オキナワ集会」には、昨年を大きく上回る参加者を派遣してきました。今後も、沖縄の悲惨な戦争体験を風化させないよう、しっかり取り組んでいきます。
B 在沖縄米軍による県道104号線越えの実弾砲撃演習が行われていた、キャンプ・ハンセン演習場では、県道104号線の上空をまたいで砲弾が飛ぶため、そのたびに県道が封鎖され、地域の住民の通勤・通学や地場産業などに大きな影響をもたらしていました。
 このため、我が国の政府は1977年度から、この在沖縄米軍の155oりゅう弾砲の実弾砲撃演習をわが国本土の5カ所で分散実施することとし、本道の矢臼別演習場では1997年から4年連続実施されてきました。
C 私たち連合北海道は、防衛施設庁からこの計画が示されてから、今日まで一貫してこの移転訓練に反対してきました、
 その理由は、第1に、政府の計画や対応方針は、たんに沖縄の痛みの他の道県への押しつけであり、根本的な解決を図る唯一の道は、在沖縄米軍基地を中心にした、在日米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の抜本的見直し改定することであること。
 第2に、根釧台地に広がる矢臼別演習場は北方領土と海をへだてた隣り合わせにあり、移転訓練によりロシアとの軍事的緊張を生み、領土返還運動に悪影響をもたらすこと。
 第3に、演習場周辺は、我が国有数の酪農地帯であり、酪農業に大きな影響を与えることなどを挙げ、北海道農民連盟と合同で対策本部を組織し、再三に亘り、政府や道に申し入れてきました。
D しかし、政府は、これに応えないばかりか、沖縄においても実施されなかった夜間訓練を強行したり、また訓練隊員や砲撃数を年々増大するなど、約束した「沖縄と同質・同量」を反故にしてきています。
 このようなことから本年も9月8日に、沖縄米軍の移転訓練反対全道集会を開催し、沖縄県民と連帯する取り組みを実施してきました。
 今後も、こうした政府の姿勢・政策の転換を求めて取り組みを維持・強化することとします。
 
(3) 軍縮・非核三原則堅持、核兵器廃絶を求める取り組み
 
@ 米国のブッシュ政権は、本年1月の「核配備見直し報告」の中で、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を拒否し、地下核実験実験の再開も視野に入れた新たな核軍拡の姿勢を鮮明にするとともに、ABM条約(対弾道ミサイル条約)からの一方的離脱、ミサイル防衛(MD)構想の推進 、「削減」された核弾道も将来に備えて貯蔵するなど、核軍縮に逆行する姿勢を取りつづけています。
 また、これまで核兵器廃絶をめざすとしてきた我が国政府は、CTBTの早期成立の方針変更や政府高官による非核三原則見直し発言など国是としてきた核兵器廃絶に係わる問題でも軌道修正を始めています。
A このような米国や我が国政府の動きの中で連合北海道は、この間、アメリカの臨界前核実験のたびに、その行為は唯一の被爆国民に対する冒とくであり、1970年に発効した核不拡散条約(NPT条約)やCTBTを死文化させる行為であると、在札幌米国総領事館へ抗議してきました。
 また横須賀を母港とする、核兵器が搭載可能なイージス艦、カーチス・ウィルバーの小樽港寄港問題についても申し入れ、抗議集会など開催し、非核三原則を守るよう取り組みを進めてきました。
 また本年8月には「核兵器廃絶・核実験全面禁止」のスローガンのもと、「ヒロシマ・ナガサキ平和集会」への参加に取り組んできました。
B ブッシュ政権のナショナリズムと単独行動主義への動きが強まっているなかですが、私たちは、第1に、CTBTを全ての国が調印すること。第2に、CTBT、NPTを死文化する臨界前を含む、あらゆる国の核実験に反対すること。第3に、非核三原則の法制化を求めることを中心に、運動を強化するとともに、被爆58周年ヒロシマ・ナガサキ大会への参加の拡大に努めることとします。
 
 
@ 私たちは、今日まで一貫して北方領土(歯舞群島・色丹島・国後島・択捉島の四島)は日本の固有の領土であり、この北方四島の返還を実現して平和条約を結び、日ロ両国の間に真の安定した友好関係を築くことを基本に、北方領土返還運動に取り組んできました。 しかし、1998年11月の日ロ首脳会談におけるモスクワ宣言で「信頼」から「合意」へを基本とし平和条約を2000年までに締結するよう全力尽くすとした時期が通り過ぎる中で、一部で「二島先行返還論」が唱えられ、また北方四島の支援事業を巡って逮捕者が出るなど、その事業のあり方など、信頼がゆらぐ事態となっています。
A 政府は対露外交の基本的方針は、a)真に安定的な日ロ関係を構築することは、日露両国の利益に適うのみならず、北東アジア地域の平和と安定に寄与する。このような認識の下、我が国としては、平和条約の締結、経済分野における協力、国際舞台における協力という三つの課題を同時に前進させるべく、幅広い分野での関係の進展に努める。b)とりわけ、平和条約交渉については、東京宣言をはじめとする、これまでの交渉の成果を踏まえつつ、北方四島の帰属の問題を解決に平和条約を締結するのが一貫した方針であり、これをこれからも堅持するとしています。
B 連合北海道は、今後とも北方四島問題を抱える連合の組織として、政府に対して一貫した外交姿勢や基本方針を全国民の共通認識とするよう求めるとともに、サハリン州連合をはじめとするロシア国民との相互理解と信頼の醸成を図る取り組みを強化します。
 とりわけ、9月に開催する「北方領土返還実現 連合平和ノサップ集会」について、連合北海道の参加体制を拡充するよう努めます。
 
 
@ 連合は本年7月「教育が未来を創る」−連合・教育改革12の提言(案)−をとりまとめ、構成組織と地方連合会での討議に現在取り組んでいます。
 この提言(案)は、「すべての人々が働くことを中心に据えて自己実現をはかり社会に寄与すると同時に、個の尊厳を尊重し、お互いの差異や多様な価値観を認め合いながら、一人ひとりの自立のために連帯して助け合う社会」の実現には、教育の果たす役割が極めて重要であることを踏まえ、これまでの教育の成果と教育が直面している問題点をあげ、a)家庭教育の充実と地域で支え合う子育て・子育ち b)地域が支える「開かれた学校」づくり c)社会を支え担う職業人づくり d)豊かな人生と人間関係が織りなす生涯学習社会について提起しています。
A しかし、こうした、私たちの提言とは逆の方向で「社会科教科書問題」「中央教育審議会における青少年の奉仕活動等の検討」「教育基本法の見直し」「教育の地方分権に名をかりた義務教育費国庫負担金の削減」など、自立や個性を否定し、画一化と統制による教育制度の改悪の動きが強まっています。
 連合北海道はこの間、「教育基本法の改悪反対」「義務教育費国庫負担制度の堅持」「私学助成の強化」「30人以下学級の実現」などに取り組んできました。
 今後は連合の教育改革の提言の実現と、年内にも答申が予定されている教育基本法の見直し問題を中心課題と位置づけ、シンポジウム・集会・議会決議運動・署名活動などに取り組むこととします。
 
 
@ 飢餓と貧困にあえぐアジア・アフリカの開発途上国の人々を救うとともに、世界の人口・食料問題を考える運動として取り組んできた「アジア・アフリカ救援米運動」については、本年も例年と同様に北海道農民連盟の農家の協力を得ながら取り組みを進めてきました。
A また、本年10月に開催された国際障害者世界会議(DPI)札幌大会の成功に向け、連合北海道は、開催地をかかえる連合として、4月1日より、一人300円を目標にした任意カンパ運動を構成組織・地協・地区連合の協力を得て取り組んできました。
 その結果、約3,000万円を集約し、DPI札幌大会組織委員会に寄付し、開発途上国からの参加者の移動経費や道内の障害当事者の参加支援に貢献することができました。また世界会議開催に当たっては、会場設営や広報活動などにボランティアの派遣等に取り組んできました。
 賃金カットや倒産などに直面しながらも、労働運動の原点とも言うべき友愛・連帯の精神で、この大会を支えることが出来たことは、私たちの誇りとして、お互いに確認するとともに、大会で示された、国際障害者人権条約の制定やノーマライゼーションの社会づくり、バリア・フリーの実現に今後とも取り組むこととします。
 
 
@ この一年間、BSE(牛海綿状脳病)等の発生に引き続き、食肉をはじめとする産地偽装事件が次々と明らかになり、食品の「安全」や「表示」に関する消費者の不信と不安が高まり、食品に対する信頼が大きく揺らぎ、生産者はもとより流通産業の経営も大きな打撃を受けました。
 また、貿易自由化のもとで食料輸入が増大し、2001年の野菜輸入量が過去最高を記録するなど食料を巡る環境は、大きく変化しています。こうした状況の中で、国民・消費者の有機農法や無農薬の農産物や、食品添加物に対する関心は高く、国民の健康・生命に直接関わる「食」の安全・安心や品質表示について信頼される制度の確立が求められています。
A こうした状況を踏まえて、自然や環境そして食料を守る道民運動体である「食・みどり・水を守る道民の会」を中心に「食の安全・安心システムの構築を求める道民集会」を開催したり、署名運動や中央要請行動などに取り組み、第1に食原材料の生産から加工・流通、食卓に至る透明性の確保する履歴情報を食品とともに流通させるトリサビリティ・システムの確立、第2に食品の安全性と保健衛生及び表示制度の監視・監督など一元的食品安全行政機関の設置、第3に食品安全基本法の制定やJAS法等の抜本見直し、第4に企業モラルの確立と罰則の強化などを求めてきました。
B これらの政策課題については、一部は実現しましたが、今後もさらに運動を強化し、要求の実現に努める必要があります。
 とりわけ、我が国の食糧基地としての北海道の位置を確保・発展させるためには、本道自身が生産・加工・流通のあり方を点検・見直し、全国一の「クリーンな食糧基地」としてのブランドを確立するよう取り組みを進めていく必要があります。
 
 
 
 
 労文協の主催する「全道勤労者総合文化祭」「文学散歩」などの文化活動を推進してきました。また、障害者関連団体や国際交流団体の開催する文化事業についても支援してきました。
 今後も、勤労者の文化活動について、組合員ニーズに応える活動のあり方など調査・検討を進めつつ、創立30周年を迎えた北海道労文協の日常活動や各種行事を積極的に支援します。
 
 
@ 「MONTHLYれんごう」の定期発行により、日常の運動周知と、各産別・地域の活動紹介など情報宣伝に努め、広報紙としての体制確立を進めてきました。
 今後も、正確な記事内容と、読みやすい紙面とするよう技術的な研鑽を重ね、また、定期発行体制の確保・充実に努めます。
 地区連合など地域の情報宣伝活動も活発化します。「MONTHLYれんごう」の地区版やカベ新聞を発行し、地域住民の目に映る情報宣伝活動に取り組むよう促します。
 産別・地協・地区連合を対象とした機関紙コンクールや担当者の技術レベル向上の研修会を開催します。また、多様化・一般化する組合員意識の把握に関する調査を企画します。
A 連合北海道のホームページを立ち上げ、春季生活闘争時や、平和月間、タイムリーなロシア情報など特色あるページと日々の更新につとめました。
 今後は、地協の情報をリンクさせるなど、連合北海道情報のネット化をすすめ、デジタル情報の積極的な開示と、双方向の広報手段として、充実させることとします。
 また、「メールマガジン」「文書伝達のデジタル化」を展望して、地協ネットワークについて検討します。
  《ホーム・ページ アドレス》
   http//www.rengo-hokkaido.gr.jp
  《電子メール アドレス》
   center@rengo-hokkaido.gr.jp
 
 
@ 第73回メーデーは、道内195会場で、約20万人が集い盛大に行われました。
 今年の中央大会の開催日程は4月27日に変更されましたが、全道メーデーについては、従前通りの5月1日開催としました。
 また、各地区では地区連合が主導した実行委員会のもとで、勤労者・市民が参加して内容も創意工夫を凝らした中で開催されました。
A 第74回全道メーデーについては、5月1日に開催し、内容については全道メーデー実行委員会などで協議していくこととします。
 また、メーデーを国民の祝日とするよう、本部と連携して世論喚起などの活動に取り組みます。
 
 
 
(1) 女性活動組織の充実・拡大
 
@ 1999年から改正男女雇用機会均等法・労働基準法、改正育児・介護休業法が、2000年からは派遣労働法が施行され、女性の職域が拡大されるなど、表面上は性による差別は減少しつつあります。しかし、多くの女性たちは、賃金・昇進・昇格等、様々な面で、未だに差別を受けているのが現状です。日本の男性の賃金を100とすると、女性の賃金は約64.4%、パートなどを入れるとおよそ半分と大きな男女間格差を示しています。
 パートや派遣などの不安定雇用労働者が著しく増加し、女性パート労働者の占める割合は、32.0%(2000年)で、企業の都合の良い労働力とされています。不安定雇用労働者の多くを女性が占め、女性の働く環境は、ますます悪化しています。女性労働者の労働条件の改善、雇用拡大等のため、労働組合への加入を働きかける取り組みが重要です。そのためには、労働組合を分かりやすく、参加・参画しやすいものにすること、さらに「労働組合=男性中心社会」というイメージを払拭し、男女が共に担い、推進する組織にしていく必要があります。
 
A 連合北海道女性委員会は、男女平等参画社会の実現、改正男女雇用機会均等法・労働基準法の職場での浸透・定着を目指すなど、様々な運動を行ってきました。
 「均等法集会(4月)」では、各産別の取り組みにより男性の参加も多数ありました。
 「新しい生き方を実現する均等待遇原則とワークシェアリング」のテーマで開催、男女格差のない社会をつくるためには、男女が共通の認識を持ち、ともに責任を担う必要性を学習しました。
 「はたらく女性の集会(9月)」では、「女性労働の現状と均等待遇の課題」のテーマで、パート、派遣社員が増加している現状と、労働条件の厳しい現実、そして処遇の差別を解消する必要性が提起されました。また、人権擁護、医療制度、均等待遇について学習を深めました。
B 連合北海道には14ブロックに地域協議会がありますが、女性組織が確立されているのは、昨年3月に桧山地協が女性委員会を、7月に帯広地区連合が青年女性委員会を発足し、6ブロックとなりました。今後、各地協と連携を密にしながら、女性活動担当者の配置を促し、女性組織の確立に向け、取り組みを強化します。
 
(2) 男女平等参画推進をめざした「レディース・ステップアップ・プラン」の具現化
 
 連合北海道は1991年に「レディース・ステップアップ・プラン」を策定し、女性参画の促進に積極的に取り組むことを確認してきました。第3期目標期間の目標は達成することが出来ませんでした。しかし、この間、連合北海道女性委員会は、特別執行委員1名のところを2名としました。
 「レディース・ステップアップ・プラン」の取り組みは2001年度を最終年度として、2002年度より新たに連合北海道「男女平等参画推進計画」により進めています。専門委員会として設置した、「男女平等推進委員会」で具体的な取り組みを進めます。
@ 各構成組織に女性組織の配置を促し、自信を持って活動できるよう、連携を図っていくこととします。
A 女性執行委員をすぐに配置できない組織については、女性代表に特別執行委員とするなど、活動に参画し、女性の裾野を広げていくこととします。
B 女性の執行委員の実態把握のための調査を行い、組合員総数に占める女性組合員の比率にふさわしい参加・参画を実現するための努力をしていくことにします。
C 各級決議機関の構成員(代議員・地方委員等)に女性の積極的な参加を要請します。
D 設置された「男女平等推進委員会」に女性委員会として積極的に関わっていきます。
 
 
(1) 男女平等の社会づくり
 
 1999年6月23日から施行された「男女共同参画社会基本法」の理念をもとに女性と男性があらゆる分野に参画し、男女の人権が平等に尊重され、公平な社会の実現を目指さなければなりません。そのためには、あらゆる政策及び計画にジェンダーフリー(社会的、文化的に作られた性差を取り除く)の視点を組み入れて、男女平等を進める観点から法・制度等の改善に取り組みます。
@ 固定的な男女の役割分担を前提とした様々な制度・慣行が間接的に男女差別の要因となっており、これらの政策・制度の見直しを進めます。
A 夫婦別姓も選択できるなどの民法改正の実現を進めます。
B 世帯単位を中心とした税制、社会保険制度などのあり方を世帯間の公平性に配慮した個人単位に改める議論を進めます。
C 女性が多くの役割を担っている妊娠・出産、育児や介護に係わる負担の軽減は、男女平等参画推進と密接不可分の関係にあり、これらを改善するためには改正された育児・介護休業法を抜本改正し、「仕事と家庭の両立支援法」の制定を求めて活動を進めます。
D 女性の人権を保障する為、性の商品化や暴力を許さない社会を目指し、学習を深めるとともに、対策の必要性を自治体に働きかけます。
E 2001年10月から施行されたDV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)の学習を深め、2年後の見直しに向け、取り組みを強化します。
F 男女平等教育推進のため、家庭科、体育等の男女共学・男女混合名簿等の取り組みの意義を学習するとともに、啓発・実践活動を求めていきます。
G 道の「男女平等参画計画」の策定に向け、私たちの要求を盛り込ませるよう取り組むとともに、地方自治体に対しても「男女平等参画条例」「男女平等参画計画」を策定するよう働きかけます。
H 厚生労働省男女平等局や地方自治体の女性行政担当者に対し、行政指導・啓発活動、労働相談活動の積極的な取り組みを求めていきます。
 
(2) 雇用における男女の機会と待遇の確保
 
 1999年4月から改正「均等法」・「労基法」が施行され「育児・介護休業法」の一部が2001年11月に改正されました。職場の男女平等を一層進めるため、浸透・定着させる取り組みを求めていきます。
@ 改正均等法・労基法を浸透・定着させるとともに労働者派遣法、パート労働法などの学習をし、改善を求めていきます。
A セクシュアル・ハラスメント防止のため「連合の取り組み指針(その4)」に基づく活動を推進します。
B 母性保護の充実に向け、「連合の母性保護に関する労働協約指針」に基づいて労働協約化に取り組みます。
 
 
 
(1) 政治意識の高揚に向けた学習・研修活動の推進
 
 連合は新しい世紀むかえた日本が政治・経済・社会全般にわたって閉塞状況に陥っているとの認識の中で、「個人の自由を最大限に尊重し、人間の尊厳を重視」する政治を希求し、「社会的公正を確保し、労働を中心とした福祉社会をめざす」政治の実現のため活動を進めています。
 また、連合の政治活動は、@連合の掲げる政策を国会及び地方議会の中で、法案や条例の制定などを通じて実現させること、A長期にわたる自民党中心の政権から勤労者・生活者を基盤とする政権への交代を可能にする政治勢力を拡大させることにあります。
 そのため、構成産別の政治活動を連合に一元化することを目的に設置した「政治センター」において、組合員の政治意識を高める学習・研修活動や情報提供などを積極的に推進していきます。
 
(2) 政策推進資金カンパの実施
 
 連合北海道は一昨年の第12回年次大会において、自らの政策実現をめざすための「政策推進資金(カンパ・分担金拠出)」の取り扱い方針を決定し実行に移してきました。
 今年度においても明年の統一自治体選挙闘争を通じて連合北海道の道内における重要政策課題の実現をはかるため、組合員一人千円の政策推進資金カンパを拠出することとします。
 
 
(1) 連合北海道国会・道議会議員団会議との連携
 
 連合北海道の国会議員団会議・道議会議員団会議は、これまで毎年、道や国の予算編成に係わる「政策・制度の要求と提言」の実現に大きな役割を果たしてきています。
 今後とも議員団会議との定期的な懇談会、学習会などを行い、一層の連携と政策課題の実現に努力していくこととします。
 
(2) 市町村議員との連携
 
 連合がめざす政権を担いうる新しい政治勢力の結集には、政治への市民参加を促進し、市民に信頼される政治の確立など、地方における市町村議員との連携も重要となっています。
 連合地協・地区連合は、組織内候補のみならず、多くの市町村議員候補を推薦して、地域の政策課題の実現と政治勢力の結集に努力しています。今後、明年の統一自治体選挙や中間に行われる市町村議員選挙において、連合地協・地区連合との連携を強め、推薦議員の拡大に努めていきます。
 
 
 明年4月に実施される北海道知事選挙をはじめとする統一自治体選挙は、新しい世紀に入り、地方分権の推進が今後一層加速する中で、地方政治の活性化と閉塞状況に陥っている日本の政治・経済・社会の改革にむけた重要な取り組みとなります。
 連合北海道は、北海道における新しい労働社会と地域雇用・労働政策の実現、北海道農業や地域産業の発展、環境にやさしい循環型社会の構築、過疎化への対応と地域福祉の確立など、統一自治体選挙闘争政策の実現を掲げ、知事・道議選挙を全構成産別、連合地協・地区連合一体で取り組んでいくこととします。
 
 
 小泉内閣の支持率は発足当初に比べ激減・低迷しており、政局の行方は混沌としてきている状況にあります。この秋に招集される臨時国会の展開次第では、解散総選挙も想定した体制の準備が必要となっています。また、明後年には参議院選挙が予定されています。 連合北海道はそれに向かって政治活動を強め、民主党北海道との連携で、新選挙区における候補者の決定など、選挙体制の準備を進めていきます。全ての連合組合員が政治活動の目的と必要性をしっかりと理解し、単組・構成産別・連合への求心力を培っていく取り組みを強めていくこととします。
 
 
 
(1) 「ろうきん運動」の強化
 
@轟きローンの利用拡大運動の推進
 「ろうきん運動」の強化にむけては、昨年に引き続き、轟きローンの利用拡大運動を中心に取り組みました。特に、今年度は、エール金利(ランク別優遇金利)が見直され、各ランク統一金利となったことから、それまで利用の少なかったBランク、Cランクでの融
資が拡大し、大きな成果を上げております。
 金融大競争時代にあって、労働者自らの生活防衛・改善にむけて、今後とも労働金庫を働く者のメインバンクとして、轟きローンなど、生活に密着した労金ローンの利用拡大運動を職場・地域で推進していくこととします。
 
A生活改善運動の第二弾=マイプランポケットカードの利用拡大運動の推進
 組合員の多重債務や高利のクレジットカード、サラ金等の利用者が顕在化している実態(連合北海道10万人アンケート:クレジットカードでのキャッシング34.7%、サラ金の利用6.5%)や、消費者金融、他金融機関に見られる勤労者市場っへの攻勢等から、「高利被害から組合員を守るべく」、消費者金融や他金融機関の提携ローンより「安い利息」で利用できる「マイプランポケットカード」の利用拡大運動を、生活改善運動の第二弾に位置付け取り組むこととしました。
 具体的には、産別・単組毎に取り組み方針をたて、労働金庫各支店とタイアップして職場推進委員会や職場学習会を開催して、マイプランポケットカードの利便性・先進性・安全性など、機能の周知活動を行いながら、労金カードを上手に使う・生活改善運動として推進いくこととします。
 
B多重債務対策の強化
 長期不況が続く中で、消費者金融・商工ローン・街金などの高金利金融業者だけが史上最高の利益を上げ続けています。その一方で多重債務者が増加し、自己破産申立件数も全国における2001年の件数が160,419件(前年比+21,138件)、道内でも9,777件(前年比+683件)と大きな社会問題になっています。
 組合員のサラ金や高利のクレジット被害にあわないための学習・教宣活動に取り組むとともに、「多重債務者」、「サラ金・クレジット等高金利商品利用者」等、いま借りているローンを一つにまとめて返済金の軽減を図っていく生活改善相談に、労働金庫とタイアップして取り組んでいくこととします。
 
(2) 全労済運動の推進・拡大
 
@生活保障設計見直し運動の推進
 景気低迷の長期化や超低金利による運用悪化により、金融・保険業界では経営破綻が相次ぎ、消費者の不安、疑心を増幅させています。そうした中で、事業開始以来、一貫して組合員の暮らししの保障を支援し、共済事業を展開している全労済運動が一層、重要となっています。
 全労済は、組合員の生涯にわたる「暮らしの保障」の提案活動として、組合員の家計の負担軽減とライフスタイルに応じた保障設計にむけて、共済商品での保障のメイン化を勧めています。
 各構成産別・単組は、全労済商品での保障メイン化にむけ、生活保障設計見直し運動の推進に積極的に取り組んでいくこととします。
 
A連合スクラム共済運動の再構築
 連合スクラム共済は、「働く仲間一人ひとりが互いの生活を守り・助け合う」ことを基本理念に、「組織と職場を越えた労働者の連帯」と「地場中小企業に働く仲間の福祉向上」をめざし、地域における労働者共済運動の一貫として取り組んできました。しかし、現在、加入している組合員が連合北海道30万組合員の20%弱に止まっています。
 そのため、労働福祉対策特別委員会の下に「検討小委員会」を設け、制度の改善と運動の再構築に向け検討してきました。その答申を受け、6月の第26回地方委員会で、連合スクラム共済を労働者自主福祉運動の主要な柱の一つに位置付け、地域運動の原点に返って構成産別・単組、連合地協・地区連合と一体となり、加入・拡大運動を積極的に取り組んでいくことを決定しました。
 今年度においては、この運動の具体的展開を図るため、全労済・労福協の協力を得て「連合スクラム共済運動推進プロジェクト」を設置し、構成産別・単組、連合地協・地区連合での運動強化に取り組んでいきます。
 
(3) 住宅生協運動の推進・強化
 
@持ち家・リフォームなど住まいのサポーター運動の推進
 住宅生協は、勤労者の住宅ニーズに応える労働福祉事業団体として40年にわたり勤労者向け住宅を供給してきました。しかし、長期不況と経済・社会の変化から事業内容の転換と経営基盤の強化が求められております。
 連合北海道は、顧客ニーズに応える注文住宅を基礎に、リフォーム事業、不動産流通事業を展開している住宅生協を組合員の「住まいのサポーター」として改めて位置付け、住宅生協運動を全構成産別・単組、連合地協・地区連合が一体となり推進していきます。
 
A職場・地域における運動の強化
 全構成産別・単組、連合地協・地区連合は、昨年度に引き続き、組合員の住宅環境の整備促進と住宅生協の経営基盤の強化にむけて、住宅生協運動を職場・地域からサポートする活動を強化していくこととします。
 具体的には、家を建てたい・買いたい・直したい・売りたい人のアンケート調査や「住まいの相談会」の実施、情報提供、受注活動のフォローアップなど、積極的に取り組んでいくこととします。
 
(4) 医療生協運動の推進
 
@近隣職場の定期健康診断の利用拡大
 医療生協・札幌緑愛病院は、地域住民・職場の労働者を中心に、保健・医療・福祉に関する相談活動や、団体・事業所との連携による定期健診、生活習慣病(成人病)健診、各種ドック健診、すこやか健診の受診者の拡大などに取り組んでおります。
 生活習慣の予防・早期発見など健康管理の重要性が増している中で、札幌緑愛病院の近隣職場での定期健康診断の利用拡大にむけ、構成産別・単組の取り組みを要請していきます。
 
A産業医の選任拡大
 また、札幌緑愛病院は、開院以来の使命である職場の安全衛生対策の推進、労災職業病の予防・治療活動の充実に取り組んでおります。職場の安全衛生対策の強化にむけて、安全衛生センターとの連携で、特に50人未満事業所における産業医の選任拡大に取り組んでいきます。
 
 
(1) 新労福協との連携強化
 
 新時代に対応した労働者自主福祉運動を創造していくため、本年5月に労福協と労働福祉活動本部の組織統合が行われました。
 新しい労福協は、これまでの連絡調整機能に加え運動推進分野での役割を担い、職域・地域における労働者自主福祉運動の強化と各事業団体の事業推進にむけ組織機構を整備しました。労福協の新しい機構として設置された「企画委員会」と、連合の「労働福祉対策特別委員会」の連携を強化し、職域・地域における労働者自主福祉運動の推進に積極的な役割を果たしていきます。
 
(2) 新ブロック労福協の確立と運動推進
 
 新労福協は14地協にブロック労福協を立ち上げ、地域の各事業推進会議・委員会と連携し、組織労働者はもとより地域、家庭・退職者・未組織へ運動の輪を拡げるとともに、NPO・ボランテ<CODE NUM=00B2>ア・福祉団体等をも視野に、地域の労働者福祉センターとしての機能を高めていくことにしています。
 連合の各地協・地区連合は、ブロック労福協の立ち上げに中心的な役割を果たし、地域における労働者自主福祉運動の拡大と発展に努めていくこととします。
 
 
@ 国際交流については、北海道に近接する北東アジア圏を重点にして、中国、ロシアサハリン州との交流の強化に努めました。
 市場経済化と民主化に伴って混乱するロシア連邦のサハリン州連合との交流では、10月中旬に代表団を受け入れ、労働組合と労働者に関わる状況の突き合わせを含めた定期交流を行いました。
 また、中国とは、国交正常化30周年を記念した、連合と中華全国総工会の共同記念事業である「日中友好都市労働組合交流大会(9/1・2)」に27名の代表団を派遣し、改革・開放に向かう中国とその労働運動の現状を視察するとともに、北海道の労働運動などについて、相互理解をすすめる交流を行いました。
A 03年度は、日本と北海道の労働運動の活性化や、海外の労働事情・政治状況の把握を主眼に、ロシアサハリン州・中華全国総工会との定期交流を継続するとともに、小泉首相の歴代はじめての訪朝により、進展度を早める朝鮮半島両国の勤労者交流についても実施します。
 また、連合本部の海外視察、北海道対外文化協会の海外事情視察、ILO海外労働事情視察にも積極的に取り組み、その他、青年・女性交流や雇用・社会制度に関する海外事情の把握をすすめる視察も適時に企画して実施します。
 経済環境の厳しい点を考慮し、労働組合・労働者と接触の期待できない企画への参加については、極力見合わせることとします。
 
 
@ 北海道日ロ協会、日中友好道民運動連絡会議などの民間交流団体へ支援・協力を行うとともに、北海道対文協の活動強化に努めてきました。また、在札幌外国領事館の諸行事にも参加してきました。
A 「旧共産圏」との交流も、海外渡航開放や手続き緩和などにより、広く一般の交流が取り組まれるようになったことから、今日まで主体的に労働組合が組織と財政を担ってきた中国・ロシアの国際交流団体には、活動領域の整理と統合などにより、組織的・財政的な自立を求め、負担の軽減に向かう「あり方検討」を促します。
 また、今後の国際連帯と交流のあり方について、産別との協議・調整をはかります。