大 会 宣 言(案)
 
 連合北海道は第14回年次大会を開催し、「労働を中心とする福祉型社会」の実現、明年の統一自治体選挙勝利に向け、全力で闘うことを確認した。
 
 いま、雇用・失業情勢は極度に悪化し、賃金の削減を含む労働条件の悪化は現実のものとなり、労働組合の組織率はあいかわらず低下を続けているなかで、労働運動自体が、価値観の大きな転換期に立たされている。
 この認識の上に立って、連合北海道は、すべての勤労道民の雇用・労働と生活を守るため、市場万能主義を否定し、「参加」を基本とする高度福祉社会の構築、日本経済・道内経済の再建・活性化、および、社会正義の確立に挑戦していく。
 
 運動の重点を雇用と労働条件の維持におき、「安心」を給付する持続可能な社会保障制度の再構築、組織の強化・拡大、産業別組織の機能強化、未加盟組合の加盟促進をはじめとする課題に引き続き取り組むとともに、原点である「組合員」の意識・要求に応える運動を再構築する観点で、産別・地域の全てが自己改革運動に取り組むこととした。
 
 明年春の第15回統一自治体選挙は、21世紀の「地方政府」のあり方を問う大事な選挙である。連合北海道は、これまで2期にわたる堀道政が、道政の健全化と改革に果たした大きな実績を評価する一方、困難な時代に立ち向かう、より強い政治リーダーで、勤労道民と共に歩む「身近な道政」の確立に踏み出し、同時に、立法機能を十分に発揮する道議会の構築にも取り組むこととした。連合北海道は勝利に向け、全組織をあげて闘う決意を固めた。
 
 労働運動は逆風の中に置かれている。しかし、問題が山積している今こそ労働組合の果たさなければならない役割と責任は大きく重い。連合北海道は不屈のチャレンジ精神のもと、力と行動で、希望への挑戦を続けることをここに誓う。
 
 以上宣言する。  
     2002年10月30日
                    日本労働組合総連合会北海道連合会 第14回年次大会
 
雇用の改善と「パート・有期契約労働法」の
制定を求める決議(案)
 
 われわれは今、これまでに経験したことのない長期・デフレ不況に遭遇している。
 そして、出口が見えない不況の中、企業の倒産、解雇・合理化が数多く発生しており、失業率は5%を超えたまま高止まり状態にあり、深刻な就職難が続いている。また、労働条件の引き下げもあらゆる労働者に降りかかっており、生活不安が増大している。
 しかし政府は、財政再建を重視した構造改革路線に固執し、倒産・失業は「改革の痛み」として、何ら有効な雇用創出策を取ろうとしていない。加えて、失業期間における生活維持にとってかけがえのない雇用保険給付すら削減することを考えている。
 われわれは、雇用と生活を守るため全労働者の力を結集し、小泉内閣に対し政策転換による積極的な雇用・失業対策を求めていかねばならない。
 
 また、雇用不安が拡大しているなか雇用形態が多様化しており、今後、パートタイム、有期契約、派遣などの労働者の権利を明確にし、雇用の安定と公正な労働条件を確保することは、益々必要になっていく。
 パートや有期など期間の定めのある労働契約について、その雇用形態の特殊性に着目した規制が必要であるが、現在のパート労働法は、雇用管理のあり方を中心に規定したものであり、労働契約、労働条件等について明記したものとはなっていない。
 同じ使用者の下、雇用就労形態の違いにより労働条件を差別することは許されることではなく、同一価値労働・同一賃金を基本とする、パートタイム労働者及び有期契約労働者の均等待遇を確立することが喫緊の課題である。
 
 以上のことを踏まえ連合北海道は、早期の雇用・失業対策の確立と、パートタイム労働者及び有期契約労働者の適正な労働条件の整備と均等待遇を確保する法律の整備を求め、あらゆる大衆行動を展開していく。
 以上、決議する。
 
     2002年10月30日
                    日本労働組合総連合会北海道連合会 第14回年次大会 
 
民主的な公務員制度改革を求める決議(案)
 
 
 昨年12月25日に政府が閣議決定した「公務員制度改革大綱」に対する取り組みは、現在、新たな局面を迎えようとしている。
 世論の喚起と大綱撤回をめざして取り組んだ「民主的な公務員制度改革を求める請願署名」は、目標としていた1,000万筆を超え、労働基本権確立と民主的な公務員制度改革を求める取り組みは着実に前進し、大衆的な浸透と運動の拡がりを得ている。また、この「大綱」に対しては、学者・研究者をはじめ各方面から「大綱」の内容や検討過程等に対する批判が出されている。
 しかし、政府は、「大綱」の見直しを進めることもなく、これまでの方針どおり、2003年中の国会に法案を提出することとしており、年内の法案閣議決定をめざしている。
 以上のような情勢のもと、「大綱」が、国民の求める「公務員制度改革」たり得ないこと、そして、私たちが求める労働基本権確立を前提とした民主的な公務員制度改革となっていないことは明白であることから、当面、11月中・下旬に出されるであろうILO「結社の自由委員会」の勧告に対する取り組みの強化と、それに関する日本政府の誠意ある取り組みを求める闘いを進めていく。
 また、人事院勧告及び道人事委員会勧告ではマイナス給与改定に加え、実質的な不利益遡及を実施しようとしているが、このような公務員労働者の労働基本権の制約、労働条件の引き下げは、必ず民間労働者にも波及し改悪が進められることは十分懸念される。
 したがって、今後進める民主的公務員制度改革の取り組みは、単に公務員労働者に係わる問題ではなく、すべての労働者の労働基本権・労働条件を守る闘いと位置づけ、今後、「大綱」撤回と民主的な公務員制度の実現を求め、政府が強行しようとする「国公法改正法案」「地公法改正法案」の閣議決定阻止、国会提出阻止をめざし、連合北海道の総力をあげた取り組みを展開する。
 以上、決議する。
 
     2002年10月30日
                    日本労働組合総連合会北海道連合会 第14回年次大会
 
憲法・教育基本法・「子どもの権利条約」
理念を生かした
教育の実現をめざす特別決議(案)
 
 子どもをめぐる状況は、「児童虐待」・いじめ・不登校・中退・就職難など依然としてきわめて深刻なものとなっている。
 しかし政府は、このような山積する問題を「教育基本法」に転嫁し、「教育基本法見直しありき」の諮問を中央教育委員会(中教審)に対して行なった。
 現在、中教審で審議されている内容は、「新しい時代を生きる日本人の育成」「伝統、文化など時代に継承すべきものの尊重・発展」の名の下に、「愛国心」の強制や「国家への奉仕・献身」の重視と復古的な道徳教育の強化など、極めて問題のある方向性となっている。
 「教育」を、国や社会の利益の保持、拡大のためのみに論じることは、偏狭なナショナリズムや、ゆがんだ国家主義を鼓舞し、助長させることであり、決して行うべきではない。このことは、私たちがすでに歴史の教訓として学んでいることである。
 
 いま、必要なのは、平和主義・民主主義を掲げた日本国憲法の精神に則り、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」と「普遍的にして個性ゆたかな文化の創造」を掲げた現行教育基本法の理念を「改正」することではなく、その理念が生かされていない現実を率直に認め、改めて「真理と正義、個人の価値、勤労と責任」を重んじる、自主的・自発的精神に満ちた「自立した市民」の育成に向けて具体的な努力をすすめることである。
 
 これは、日本を含めて世界の国々が批准した「子どもの権利条約」の理念にも合致するものであり、多様な他者や異文化を許容し、世界の多くの人々と交流・対話を深め、協力しあう意欲と姿勢を育むことでもある。
 
 連合は本年7月、「21世紀のめざすべき社会を創造していくうえで、教育の果たす役割が極めて重要であり、人材を育て、自らも教育に参加していくことを目標」とする「『教育が未来を創る』−連合・教育改革12の提言(案)−」を討議素材としてとりまとめた。
 現在、この討議素材をもとに構成組織・地方連合で論議を深め、提言内容に補強を加え、地域の中から「教育が未来を創る」教育改革運動に結びつけるべく取り組みを行っている。
 
 私たちは、教育の課題を「次代に向けた自らの課題」としてとらえ、教育基本法の見直しの動きを注視し、その「改悪」に反対するとともに、地域シンポジウムの開催や全道キャラバン活動など、これらの議論と運動を多くの道民とともにすすめていくことを誓い、ここに決議する。
 
     2002年10月30日     
                   日本労働組合総連合会北海道連合会 第14回年次大会