連合北海道 第14回年次大会 笠井会長あいさつ
連合北海道第14回年次大会に参集された代議員、特別代議員、傍聴者の皆さん、ご苦労様です。
また、公私ともに御多忙の中、年次大会激励のため、ご来賓として臨席いただきました連合本部鈴木副事務局長、山口北海道副知事はじめ、政党、友誼団体、各国会議員、各級議会議員、首長の皆さん。各労働福祉団体、退職者連合はじめ、関係諸団体の皆さん。更には報道関係者、諸先輩などすべての皆さんに執行部、大会構成員を代表し、心から御礼を申し上げます。
さて、本年次大会は、昨年10月末開催の第13回定期大会から1年、決定された大会方針に基づき、厳しい情勢と山積する諸課題に対し、構成組織、各地協、地区連合の皆さんと共に力を合わせて取り組み、その中間年における総括と、新たな情勢変化と課題への具体的活動方針を確認決定する重要な場であります。
私は第14回年次大会の開会にあたり、執行部を代表し、本大会の意義と重点課題について所見の一端を申し述べ、挨拶とさせて頂きます。
なお、あらかじめお断り致しますが、時間的制約の関係上、議案に関わる項目、及び内容などについては、議案書に委ねることとし、割愛させて頂くことをご了承願います。
まず冒頭、本題に入る前に以下の二点ついて申し上げなければなりません。
その第1は、日朝首脳会談と日朝共同宣言、拉致問題及び核兵器開発問題についてであります。
日本と北朝鮮との関係は、戦前における日本の侵略と植民地支配と云う、拭いようのない日本の過ちと、戦後の朝鮮民主主義人民共和国建国以降の国交断絶と云う、日朝間の不幸な関係を解決すべく開催された日朝首脳会談と「共同宣言」は、国交正常化交渉の再開と諸重要懸案事項の解決に、大きな前進のみならず北東アジアの安定と発展、ひいては世界平和へ一歩踏み出すとの期待をするものであります。
しかし、国交正常化交渉の進展のために、避けて通れない拉致問題が、事実上国家の意志により実行されたことが明らかになり、かつ、その真相と実体が解明されず、多くの疑念と不信を増幅させていること。
更には94年10月の米朝間合意の「包括合意」に
違反し、核兵器開発を継続していることが明らかにされ、日朝首脳会談と「共同宣言」の内容とは何だったのか、北朝鮮の真意はどこにあるのか、疑念と不信、怒りを一層強めるものとなっています。
私どもは、真に信頼し合える日朝関係の構築なくして、両国間の安全・安心はもとより、北東アジア、世界平和の前進、発展はあり得ないとの立場に立ち、日朝国交正常化交渉の推移とその内容を注視するとともに、そのための拉致問題、核兵器開発などの疑惑解明と、解決のための両国の努力と、一日も早い日朝国交正常化の実現を強く求めたいと考えます。
その第2は、去る27日に実施された衆参統一補欠選挙についてであり、結果は承知の通りであります。選挙結果を評論家的に述べるなら、政治への不信が極限に達していること、そして有権者の民主党に対する厳しい評価と批判であり、大敗と云わざるを得ません。
ここで各選挙区と候補者の当落結果について云々するつもりはありません。
今ここで民主党に問いたいのは、この補欠選挙の政治的意味は何だったのか。とりわけ民主党にとって、いかなる闘いであったかについてであります。
国民・有権者は民主党に何を期待し何を求めているのか。そして今日の民主党を如何なる存在として受け止められているかについて、民主党自身がどのような認識にあるのかを聞きたい。しかし、その問に対し明解な答えもメッセージも聞こえて来ないのが実態であり、実感ではないだろぅか。
民主党が、今、最も求められているのは、第一線を退いた諸先輩を含めた労働者、中小零細企業、第一次産業をはじめとする自営業者など、圧倒的多数の勤労国民とその家族の思いと声に耳を傾け、日本の将来を憂い危機感を抱く国民の代弁者としての役割ではないだろうか。
時あたかも臨時国会の真只中であり、今次選挙の結果をふまえた総括と今後のあり様如何が民主党の将来、すなわち存在意義そのものが国民から問われることとなることは明かであります。臨時国会に続く通常国会、党大会、そして統一自治体選挙は勿論、いつ解散総選挙を迎えるか予断を許されない情勢のもとで、民主党は誰のために、そしてどこに軸足を置き依拠する政党なのかが改めて問われており、圧倒的多数の勤労国民に依拠せず、その有権者から見放された民主党は、存在意義も存在もあり得ないこと。そして今、まさに存亡をかけた民主党の再建、再生が求められていることをあえて申し述べておきたい。
さて、昨年大会以降の内外情勢は、昨年9月11日の米国同時多発テロ以降、ブッシュ政権はアフガン侵攻をはじめ「テロ撲滅」を大儀に、力の政策を一層強め、国際政治、軍事、経済での優位性確保と世界支配の狙いと実現を目指し、その動きを一層強めています。今日のテロ問題をはじめとする国際紛争の背景は、東西冷戦構造崩壊後の、民族、宗教、貧困問題をはじめ、強者と弱者の分極化と、経済のグローバル化の名のもとでの米国一極支配へのひずみと抵抗などが大きな要因であり、力の政策によっては決して解決なし得ない問題を内包しており、チェチェン問題をはじめ多くの地域でのテロと地域紛争の危険性は一層強まっています。
また、このようなアメリカの動きに対し、EU・アジアなどブロック化が一層強められ国際政治・経済のブロック化は、一層加速される情勢にあります。
このことの枠外に取り残された地域と国家は、一層窮地に追い込まれ、更なる紛争やテロの危険性を増大させ、国際社会への際限のない不安と不信を招く結果となり、政治・経済の不安定性と国際平和への危惧がつきまとい、真の解決には決してなり得ません。
このような中にあって、日本の立場と役割は、平和主義の堅持と国際連帯、協力、協調を基本とした、アジアはもとより国際政治への主体的役割強化が一層求められています。
一方国内における政治・経済・社会の全部面での悪化と深刻化は更に増大し、いずれもが最悪の事態となっています。
「構造改革なくして景気回復なし」との小泉流改革は、誕生して1年半の実績と結果はどのようなものか。
構造改革、不良債権処理、景気回復、企業倒産、失業者、国民生活、年金、医療、福祉等々、どれ1つとっても何ら改善され前進しないばかりか、益々悪化の一途をたどり、解決の糸口と目途すら立っていないのが現実であり、実行と実績をあげているのは、国民への犠牲強要と、多くの民主勢力と国民が危惧し反対する反動諸法案と、軍国主義化への道筋を強引に押し進めることでしかないことは、小泉政権での具体的事実が如実に物語っています。
今、私たちの身の回りは何が起きているか。企業倒産、失業率、求人倍率、勤労者の実収入の4年連続低下と、今春闘での結果は承知の通りであり、医療、福祉、年金をはじめ、弱者への犠牲強要、そして家庭崩壊、自殺者、凶悪犯罪の激増と、後を絶たない政・官・業の癒着と腐敗、相次ぐ企業のモラルハザード等々、いずれも戦後最悪であり、止まることを知りません。
そして、これらの状況は北海道にあっても同様であり、企業倒産と全産業の衰退と落ち込み、失業率、有効求人倍率等々、更に深刻であることはあらためて詳細にふれるまでもありません。
このような中にあって、私たち労働組合、連合北海道に求められていることは何か。
それは云うまでもなく、労働運動の原点である組合員はもとより、働く仲間の雇用と賃金労働条件の確保と維持拡大であり、それを担う組織強化と拡大である。
しかし、今日の労働者の置かれている状況は、組織されているか否かにかかわらず、止ることの知らない不況と相次ぐ倒産、生き残りをかけた労働者への権利侵害と人員削減など、合理化攻撃は熾烈を極め、更には企業存亡と云う課題をも背負っており、労働組合の役割と使命は質的にも運動的にも、大きな転換を余儀なくされています。
横並びの賃上げ、権利はもとより、賃下げ、首切りと云う現実を前にして、その最大の課題は、雇用をいかに守り確保するかであり、そのこと抜きには、労働組合の使命と存在意義は語れません。
しかし、このことすら、個別企業内のみでの運動と闘いには限界性があり、産別そして労働組合総体、とりわけ連合の役割と任務が極めて重要となっています。
ただ、忘れてならないのは、雇用労働者の圧倒的多数が未組織労働者であり、その比率は雇用状況の悪化と雇用形態の多様化に伴い、組織人員、率は一層低下し続けていることであり、組織労働者は勿論労働者総体の賃金、労働条件の低下のみならず、労働組合の社会的存在意義と存在、そのものの後退をもたらす結果となっています。
今私たち労働組合をはじめ連合北海道に求められていること。それは自らの組織強化であり、すべての労働者を対象とした組織拡大であり、本工意識と企業内労働組合意識と運動からの脱皮と自己改革をいかに果たすかです。
このことなしには、今日労働者が立たされている窮地からの脱出は不可能であり、個別労使の枠を超えた政治課題としての雇用維持確保と拡大、セーフティネットの充実など、労働者の生活も権利も守ることが出来ないことは論を待ちません。
また、同時に忘れてはならないことは、私たちの現在と将来の生活は賃金労働条件のみによるものではなく、年金・医療・福祉などの社会保障をはじめ、安心して暮らせる社会環境の多様な保障が不可欠であります。それには今日の自民党政治からの転換、すなわち政権交代の実現が必要であり、1日も早い解散総選挙の実現を迫っていくことが、重要な今日的課題となっており、私たち組織労働者がその先頭にたって訴え実現していくことは、私たちの社会的使命でもあります。
私たち組織労働者と労働組合、そして連合北海道の今日的課題は「組織強化、拡大」「労働組合運動の自己変革」「政治的使命の自覚と運動の強化」の三本柱であり、その視点をふまえた労働組合組織と運動の再構築をめざし、産別、地協、地区連合が一丸となって諸活動の取り組みにあたることとします。この立場で活動方針案の各項目を作成し提起するものであることをご理解願うものです。
最後に明春4月に実施の統一自治体選挙について申し上げます。
あらためて申し上げるまでもなく21世紀最初、そして2000年4月の地方分権時代幕開け以来、初の統一自治体選挙であります。
その意味からも、今次自治体選挙は従前とは質的に大きく異なるものであり、今後の北海道のあるべき姿と進路を決する、優れて重要かつ政治的意義を持った一大政治闘争であると云えます。
連合北海道は、この知事選挙を頂点とする統一自治体選挙の取り組みにあたり、このような意義を踏まえ、北海道が抱える深刻な諸課題と分権時代の新たな課題に果敢に挑戦し、その先頭に立って、地方政府としての北海道と地域コミュニティとしての自治体、そして地域住民との相互協力と共働のコンダクターであり、道政推進のトップリーダーとして託すにふさわしい知事とは、そして新しい時代の担い手として、道民が期待し求めている知事像とは等の立場から検討し、これまでの経緯やいきさつをふまえながらも、従前の手法継続や延長線での知事像とは大きく異なった視点、即ち北海道の未来を託し、自治体、住民と共に作り上げる共同作業者のリーダーとしての知事であり、その任にふさわしい知事候補が不可欠との結論に達し、新しい知事候補の擁立に取り組むことと致しました。
この間の経過と方針については、後ほど統一自治体選挙闘争方針で提起することとしますが、現堀知事に対する1期目及び2期目の推薦経過と2期7年半にわたる実績及び評価については、この間の地方委員会、並びに政治センター拡大幹事会で既にふれたとおりであり、また、選挙闘争方針の通りであります。
あえて問題点をふれるならば、2期目の自民党相乗りによる、共産党を除く総与党体制と、自民党の議会勢力最大多数と云う状況のもとで、1期目の、相次ぐ深刻かつ重大な局面での緊張感と、道民世論への理解と協力を求める道民重視の姿勢と努力の姿が、影を潜め、顔も見えず、声も聞こえないなど、政治姿勢と手法と対応について、問題点として指摘せざるを得ません。
しかし、私たちは、2期7年半の現知事に対する正当な実績評価を横に置き、不十分さや問題点などに対し、そのすべてを堀知事の責任に転嫁し、自らの弱さや不十分さの責任を免罪する考えは毛頭ありません。
加えて、北海道の長期計画の基本方向等で、基本的に正しいものは今後も踏襲し、その具体化と実践は次代に託すことが、時代と道民の期待と要請に応えるものであろうと考えます。
また、今日の急激な時代変化とそのスピードは、旧来の比ではなく、その任にあるリーダーにあっても、従前の延長線での任期の認識と対応は時代が許さないものとなっています。
過去と未来の結節点と云う激動と困難な時代を担い、新しい時代への道筋を切り拓いた堀知事の苦労と努力を次世代に引き継ぐため、そして有終の美を飾るべく更なる奮闘と完結を心から期待するものです。
そして明春の知事選挙に向けては、新しい時代と云う新洒にふさわしい、新しい革袋を皆さんと共に作り上げようではありませんか。
また、それを育て支える強固な道議会勢力の確保を一体的に取り組むと共に、各級自治体議会、自治体を、地域住民と共に作り上げるために、全組織と組合員が一丸となって奮闘しようではありませんか。
すでに6ヶ月を切った、知事選挙を頂点とする統一自治体選挙、21世紀、そして分権時代の扉を押し開き、新しい北海道の一歩を踏み出すための決意と奮闘を心から訴えるものです。
終わりに代議員、特別代議員の積極的な発言と討論を通し、誤りのない方針確立と豊富化を図り、連合北海道の組織と運動の更なる前進を共に誓い合う第14回年次大会となることをお願いし挨拶と致します。
ありがとうございました。
2002年10月30日