2002年〜2003年度 連合北海道 運動方針

T. は じ め に
U. 私たちをとりまく情勢
V. 組織拡大・強化と地域活動の強化
W. 総合生活・雇用労働条件改善の取り組み
X. 政策制度改善の取り組み
Y. 国民・道民運動の取り組み
Z. 広報・文化活動・メーデーの充実
[. 女性運動に関する取り組み
\. 政治に関する取り組み
]. 労働者・自主福祉運動の取り組み
XI. 国際連帯の取り組み

 
@ 21世紀を迎えて、労働運動は新しい情勢に直面し、新しい課題にチャレンジすることが迫られています。
 連合結成から10年余の間に、われわれを取り巻く情勢は大きく変わりました。国際的には、東西冷戦構造は終焉したものの、タガがはずれたように地域紛争が頻発し、新しい平和秩序、共存・共生のシステムの確立が求められています。また、経済の金融化・グローバル化が止めようもなく進展し、世界的大競争をもたらすとともに、労働者の雇用をはじめ人権、環境を置き去りにし、社会の諸側面に大きな問題を投げかけています。
 一方、我が国経済は、バブル崩壊とその後に続く長期不況から立ち直れないまま、雇用と国民生活に深刻な危機をもたらしています。政治面では、自民党一党支配から連立政治の時代に移ったものの、政権交代による政治刷新が可能となる二大政党的体制とは程遠く、政治的混迷が続いています。
 政府の失政が続く中で、経済は不良債権とデフレの悪循環に陥り、構造改革の名のもとに市場主義に基づいた競争と効率だけを追求し、失業の増大、格差の拡大、社会の荒廃が進み、国民の生活不安、先行き不安を増幅しています。
 道内的には、「金融機関は潰れない」という神話が崩壊し拓銀の経営破綻以降、企業倒産や雇用問題が深刻化し、地域経済や道民生活に大きな影響を与えてきました。道内経済・産業はこの影響から未だ立ち直れず、相次ぐ企業倒産やリストラの横行から完全失業者が17万人を数えるなど、厳しい状況が続いています。
 このように、構造転換が日本経済の課題となり、弱肉強食・優勝劣敗の市場主義が強まる中で、社会的に効率と公正のバランスを追求する労働組合・連合運動の役割と期待がますます大きくなっています。
 
A 連合北海道は、こうした情勢をふまえ結成から今日まで30万組合員の団結のもと、未組織労働者を含むすべての勤労道民を代表するローカルセンターとして組織と態勢を整えつつ、着実に実践を積み上げてきました。
 この2年間の活動において、春季生活闘争では、地域を基盤とした「労働を中心とした福祉型社会」をめざし、「公正配分とワークルール」「最低規制とセーフテイネット」などの具体的施策の確立にむけ取り組んできました。賃上げ・時短や雇用延長問題とともに、地域ミニマム運動、パート労働者の賃金引き上げ、5万人雇用創出にむけた実施方針と道予算の具体化、地域医療・介護・福祉の拡充、季節労働者の冬季雇用援護制度の存続・延長などに取り組み一定の成果を上げてきました。
 エネルギー政策課題では、懸案であった泊3号機増設問題、幌延「深地層研究所(仮称)」設置問題について道議会で増設・設置の受け入れが決まりました。しかし、道民合意と道民生活の安全性確保の観点から積極的な意見・提言を行い、「北海道省エネルギー、新エネルギー促進条例」や「放射性廃棄物の中間貯蔵施設や処分場を受け入れる意思はない」とする道民と道の意思を明確にするための「北海道における特定放射能性廃棄物に関する条例」を制定させることができました。
 今後は、条例に基づく施策の促進や履行確保について取り組んでいかなければなりません。
 
B 連合結成以来の課題であった政治活動の一元化について、「政治センター」を発足させるとともに、「新・政治方針」の下での政治活動の強化にむけた財政方針として「政治政策推進資金」の取り扱いの決定など、構成産別全体の合意を得て運動の態勢を整備してきました。
 昨年6月の第42回衆議院総選挙では、民主党は道内的に獲得議席数で自民党に並び、日本の政治を二大政党的体制へ一歩押し進め、21世紀に政権交代の可能性を切り開く結果を生み出しました。しかし、これに続く本年7月の第19回参議院選挙では、北海道選挙区の現職議席を守り抜いたものの衆議院の13小選挙区すべてにおいて自民党に首座を渡し、連合組織内候補の当選は6名に止まり3名が惜敗するなど、大変厳しいものとなりました。
 今回の闘いは、橋本・小渕・森と続いた自民党政権下における政治・経済の閉塞状況から、「聖域なき構造改革」のイメージを演出した「小泉旋風」の期待と幻想に流されたとも言えますが、比例代表選挙の結果から、職場に基礎を置き、一人ひとりの組合員と職場での繋がりを持つべき労働組合にとっては、大きな反省を強いるものでした。いずれにしても、衆議院・参議院とも3年以内に選挙があることは確かであり、すべての構成産別・組合員が政治活動の目的と必要性をしっかりと再確認し、労働組合・組織としての求心力を培っていく必要があります。
 
C 労働運動のセンターとして、最優先の戦略的課題は組織の拡大にあります。しかし、今日の組織率の低下は、労働運動にとって深刻な危機的状況にあります。経済・産業構造の変化による企業の閉鎖・人員削減が進む一方で、就業構造の変化に伴い増大の一途をたどるパート・派遣労働者の組織化が追いつかず、道内の組織率はこの10年余の間に4.5ポイント低下し20%を割り込む結果となっています。
 連合北海道は組織拡大の実行計画に基づき、構成産別・地協・地区連合が一体となり、
未組織の組織化、地区連合直加盟組合の産別加盟促進、パート・派遣労働者など一人でも加入できる地域ユニオンの結成、地方アドバイザーの配置、組織拡大オルグ研修など、精力的に取り組んできました。しかし、その成果は未だ不十分な状況にあります。
 新保守主義・市場万能主義が軌をいつにして胎動し、労働組合否定論や労働組合無用論の考え方が広がっている今日、これに敢然と立ち向かう強力な組織拡大運動の展開が必要となっています。
 
D 連合北海道は、こうした2年間の活動の成果と反省を踏まえながら、新しい時代における労働運動の展望を切り開いていくため、向こう2年間の戦略的観点からの重点運動目標を、第一に組織の拡大・強化の取り組み、第二に雇用創出と雇用・労働・社会保障などセーフテイネットの確立にむけた重点政策課題の取り組み、第三に政治の流れを変える取り組み、第四に国際連帯と平和・軍縮を拡大する運動の推進に置き、道内唯一のローカルセンターとしての運動を展開していきます。
 なかでも組織の拡大・強化を最優先に、自らの組織力を強化し、引き続き「力と行動」をスローガンに、求心力を強めつつ、構成産別、地協・地区連合が一体となって行動展開をはかっていきます。
 
 
1.特徴的な国際情勢
 1980年代の終わりに東西冷戦構造が終焉しました。しかし、世界の民族紛争・地域紛争は後を絶たず、核兵器は拡散しています。冷戦が終焉したけれども、平和システムはいまだにその方向が見えていません。そして、経済のグローバル化が加速しています。市場経済主義により「競争」が激化し様々な問題が生じています。実態経済からかけ離れて肥大化する金融の独自運動は世界経済の不安定要素となり、労働者の雇用をはじめ社会の諸側面に問題を投げかけかけ、発展途上国と先進国間の軋轢を生んでいます。
 
●米国の政権交代と政策変化
 1 21世紀最初のアメリカ大統領選挙は、共和党ブッシュ氏と民主党ゴア氏により争われました。民主党はクリントン政権の8年間の実績として、史上最長の景気拡大、連邦財政の再建、過去30年来で最低の失業率などの実績を強調しました。好景気の米国では経済政策は争点とはならず教育問題、道徳的な価値、社会保障に有権者の関心が高い中で、共和党のブッシュ氏は「思いやりのある保守主義」を掲げ、教育・医療・社会保障の改革を訴えました。選挙は激戦となり僅差でブッシュ氏が第43代大統領に選ばれ、8年ぶりに民主党から共和党への政権交代が行われました。
 2 この政権交代により、外交・国内政策に変化が見られます。ブッシュ大統領は、地球温暖化防止のための京都議定書からの離脱、CTBT(包括的核実験禁止条約)からの離脱、原発政策の見直しなどを表明しました。また、クリントン前政権が中国を「戦略的パートナー」と位置付けたのに対し、ブッシュ政権はクリントンの対中国政策を批判し、中国を「競争者」と位置付けました。また、台湾への武器輸出問題、中国等のミサイルを念頭においた米本土ミサイル防衛構想が両国の新たな摩擦となっているほか、対北朝鮮政策でもクリントンの政策と異なる対応とっています。
 3 また、ブッシュ政権は、選挙公約である大型減税(10年間で約162兆8千億円)の実施を決めましたが、その内容は、所得税最高税率の引き下げや相続税を段階的引き下げ最終的には完全撤廃するなど、金持ち優遇の税制改革をとるのに対し、民主党は低所得者への配慮や国民の福祉に重点をおくなど政策面での違いが鮮明になっています。
 
●英国総選挙でブレア労働党が勝利
 4 6月の英国の総選挙でブレア首相ひきいる労働党が保守党に圧勝しました。労働党政権は、中道改革路線と経済重視政策を進め、過去25年間で最低の失業・インフレ率という経済繁栄をもたらした実績が国民から評価されました。労働党は伝統的な社会民主主義路線とは異なり、「社会民主主義の政治理念と市場原理・競争原理に立ちつつ、同時に社会的公正、機会均等、弱者救済」を目指す中道改革路線を採用していますが、保守党から引き継いだ荒廃のいちじるしい医療・教育部門等の改革は、いまなお遅れています。これらの部門は国民生活との関わりが深く、労働党の勝利はそうした問題の改革に期待する国民の意思の反映とも云えます。
●世界経済に減速傾向
 5 アメリカでは耐久消費財や住宅投資などに底堅い動きが見られるものの、企業収益の悪化から設備投資が抑制され、経済の減速が始まりました。製造業では在庫調整のための減産、雇用調整が行われ、失業率は4.5%とやや上昇しています。
世界経済の牽引車となっている米国経済の減速から、世界経済全体として成長に減速が見られます。単一通貨ユーロの導入(99年)で勢いのあるユーロ圏経済は、昨年まで好景気を維持していましたが、米国経済の減速の影響がでています。輸出主導のドイツは、情報技術関連(IT)を中心に対前期比0.7%(1〜3月期)輸出が減少し、海外経済の影響を受けにくい経済構造のフランスでも景気の冷え込みが始まっています。
 狂牛病や口蹄疫を原因とした食品価格の上昇、エネルギー価格の上昇などから、5月のユーロ圏のインフレ率は対前年同月比3.4%と8年ぶりの高水準となり、欧州銀行の目標上限である2%を上回りました。ドイツ、フランスではやや景気減速の兆しの一方、イギリスでは輸出が低迷しているが、雇用の改善が進み国内消費は堅調です。今年のユーロ圏の経済成長率は予想を下回るとの見通しです。
 アジア経済は輸出中心の経済であることから生産が落ち込み、雇用不安が高まる悪循環の傾向が明らかになっています。中国では景気拡大のテンポはやや鈍化し、韓国では生産や個人消費の伸びの鈍化に加え輸出の減少から、財政・金融対策で景気対策に取り組んでいます。
 
●緊張緩和すすむ朝鮮半島
 6 昨年6月、韓国の金大中大統領と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日総書記の歴史的な首脳会談が行われ、両国が「南北共同宣言」に調印したことから、交流と対話が大きく進展しています。また、5月にはEU代表団が訪朝し、EU加盟諸国と北朝鮮との国交正常化の動きが加速しています。すでに国交を結んでいたスウェーデン、フインランド、デンマーク、オーストリア、ポルトガルの他、昨年1月にイタリア、12月にはイギリスが北朝鮮と国交を樹立し、今年1月、欧州議会が「朝鮮の自主的統一のプロセスに寄与し、公式な外交関係を結ぶようEUに求める決議」を採択したことから、ドイツ、オランダなどが相次いで国交を樹立しています。北朝鮮はEU代表団にミサイル発射実験の二年間凍結を約束しました。一方、ブッシュ米国大統領はクリントン政権時代の対北朝鮮政策を見直し「対話凍結」という方向です。
 緊張関係にある中台関係も中国の改革・開放政策の進展により緊張緩和に作用しています。朝鮮半島の緊張関係の改善、中台関係の改善はアジアの平和と安定に寄与するものです。
 
●アジアとの信頼揺らぐ靖国参拝・教科書問題
 7 文部科学省が「新しい歴史教科書をつくる会」の公民教科書を検定合格させましたが、侵略、強制連行、大虐殺、「従軍慰安婦」などの歴史的事実を削除し、過去の犯罪を粉飾しているとして、中国をはじめとするアジア諸国から批判にさらされています。教科書の再修正を中国・韓国は求め、韓国では対抗措置として、日本の大衆文化開放中断、日本製品不買運動へとエスカレートしました。この問題に関して、連合は教科書検定を行う場合は、「村山首相談話」とその後の歴代内閣が継承している政府見解を踏まえることなどの見解をまとめました。
 
 (注)村山首相談話、「わが国は遠くない過去の一時期、国策を誤り、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対する多大の損害と苦痛を与えた。過去の過ちを二度と繰り返すことのないよう、戦争の悲惨さを若い世代に語り伝えていくとともに、アジア太平洋近隣諸国との間に深い理解と信頼にもとづいた関係を培っていくことが不可欠である。」(要旨)
 
 8 小泉首相が国内外の反対の中で、終戦の日より2日繰り上げ8月13日に靖国神社に公式参拝しました。この時期に首相が靖国神社を参拝するのは、中曽根康弘元首相以来16年ぶりです。これに対し中国と韓国は、靖国神社がかって軍国主義を推進する精神的支柱だったことや、A級戦犯がまつられていることから、首相の参拝が日本の戦争責任をないがしろにする行為であるとして反発を強めています。
 
●進展するグローバル化への対応
 9 世界同時不況が懸念される中で、反グローバル化を叫ぶ激しい抗議デモの中で、7月にジェノバ・サミット(第27回主要国首脳会議)が開催されました。先進国は市場経済のグローバル化を糧として成長してきましたが、格差の拡大や文化や生活の破壊も生み出すなど、そのひずみが大きくなっていることを示したのが、ジェノバ・サミットでした。
 主要8カ国宣言(G8)では、「グローバル化が、特に世界の貧困層を手助けするものとなるよう決意する」と強調し、経済分野に関しては、「世界エイズ保健基金」にG8諸国が13億ドルを拠出することを盛り込みました。しかし、環境問題では地球温暖化防止のための京都議定書では合意に至らなかった他、「軍縮、核不拡散、軍備管理」に関する項目は削除されました。世界がグローバル化し複雑さを増す中でサミットの役割が問われています。その根底には、グローバル経済は、富める国と発展途上国の格差を広げ、サミットは「一握りの金持ちの国が世界の重要な事項を決めている」との批判が高まっているからです。いま、先進諸国は発展途上国の要求をどう吸い上げるかを迫られており、サミットは転換点にあります。
10 また、労働運動は雇用問題をはじめ権利の侵害など、グローバル化がもたらす、陰の部分にもっと目を向けなければなりません。国際自由労連(ICFTU)の労働組合権侵害の国別調査報告書(2000年度版)によれば、労働組合活動を理由に、暗殺や暴行・拷問、投獄・解雇などの件数が南北アメリカ地域、アジア太平洋地域を中心に世界的に広がっています。グローバル化の下で競争が激化し市場万能主義が横行する結果として労働基本権の抑圧をもたらしています。
 11 グローバル化を推進してきた、国際通貨基金、世界銀行、WTO、サミットなどの国際機関・会議に対する抗議行動が活発になっています。それは、グローバル化がスローガンとする「競争」と「規制緩和」が国境を越えて進展することから生ずる、環境、人権、貧困などの社会問題に対する労組・市民の運動です。そして、これらの課題の解決には非政府組織(NGO)などの役割が増すとともに、それらの課題は一国内の活動のみで解決が困難になっています。私たちは国際自由労連(ICFTF)との連帯はもとより、世界のNGO・非営利組織(NPO)などと国際的な連携・協力で課題の解決に取り組みます。
 
2.特徴的な国内情勢
 (1)経済の動き
●米国経済の減速で悪化する景気・雇用
 12 97年度、98年度と戦後初めて国内総生産(GDP)が2年連続マイナス成長に陥っていた日本経済は、99年度はマイナス成長からプラスに転じました。2000年度は明るい要素も見えたことから政府は経済成長率を1.2%と見込んでいましたが、実質成長率は最終的に0.9%にとどまりました。この要因は、第1に勤労者の年収減による個人消費の低迷、第2に内需の不振を外需(輸出)でカバーしてきましたが、米国経済の失速で年度後半に8期ぶりにマイナスとなったこと等によるものです。
 2001年度に入り、米国経済の減速から輸出が減少し生産が低迷している他、雇用や消費も悪化傾向にあり、民間エコノミストの間では、昨年の8〜12月ごろを景気の「山」として再び景気は後退局面に入っているとの見方が体勢です。政府が発表した6月の月例経済報告では、景気の基調判断を「悪化しつつある」とし、5ヶ月連続下方修正し、2000年3月以来盛り込んでいた「自律的回復」との表現を削除しました。今年度の経済成長の政府見通(1.7%)は大きく下回る見通しです。
 13 政府が戦後初めて、「日本は緩やかなデフレにある」との見解を表明(3月)しました。安い輸入品の増大や流通効率化など構造改革、規制緩和が物価を引き下げている要因ですが、雇用・生活不安、年金など将来への不安が消費不況を深刻にし、賃金抑制がデフレに大きく作用しています。
 近年、賃金改定を行わない企業が増加しています。厚生労働省の調査によると、2000年には調査の19.1%(前年14.3%)の企業が賃金改定未実施で、その多くは中小企業であり100〜299人規模では21.5%に及んでいます。また、改訂を行った企業の2.9%が賃金引き下げという改訂となっています。「過小賃上げの持続はデフレのリスクを増幅する」(連合総研)と警鐘を鳴らしてきましたが、賃金抑制がデフレに大きく作用していることは間違いありません。
 14 政府は緊急経済対策(4月)を決定し金融機関による不良債権の最終処理策を盛り込みました。主要銀行に対し抱えている破綻先・破綻懸念先債権を2年以内にオフバランス化(債権放棄などにより貸借対照表からはずす)を求め、また、新規に発生した不良債権も3年以内に直接償却するとしています。不良債権処理により企業倒産やリストラで大量失業という重大な雇用問題が発生します。民間調査機関によると「破綻先及び破綻懸念先債権約24兆円の処理が行われれば、約111万人(卸小売業28万人、建設業22万人など)に及ぶ」と推測しています。政府は構造改革に伴って発生する失業対策として、5年間で530万人雇用創出を検討しています。希望的数値の羅列ではなく、実効ある雇用対策が必要です。
 
(2) 政治の動き
●森政権退陣と小泉政権の発足
 15 2000年4月に小渕首相の病気退陣を受けて森内閣が発足しました。森首相は発足直後から失言が多く「神の国」発言や、第42回衆議院選挙中には「有権者は寝ていてほしい」と発言し、自民党は総選挙に敗北しました。また、旧来型の公共事業の積み上げによる「景気軸足」路線を進め、構造改革を先送りし、財政赤字をより深刻にしました。さらに、中小企業経営者福祉事業団(KSD)による9年間で約15億円以上の自民党費肩代わり事件などで、政治不信が頂点に達する中で、森首相のままでは7月の参議院選挙を戦えないと判断した与党は、「密室協議」で森内閣の退陣を決定しました。
 16 国民の政治不信が頂点を極める中で、自民党総裁選挙が実施され、橋本龍太郎、亀井静香、麻生太郎、小泉純一郎の4人が立候補しました。
 自民党総裁選挙の結果は、当初圧倒的に有利な立場にあった橋本龍太郎元首相に対し、「自民党を変える。日本を変える。」と「聖域なき改革」をアピールした小泉元厚生大臣が、地方予備選挙で地滑り的に勝利を収めました。地方の自民党員は、自民党政治に対する国民の厳しい批判に接して、その危機感から小泉氏を支持し、この「地方の反乱」は国会議員投票にも反映し、小泉新総裁が選出されました。
 17 4月26日、自民・公明・保守3党の連立の枠組みを継続した小泉内閣が発足しました。世論調査では歴代内閣では過去最高の80%台の支持率を記録し、自民党の支持率も大きく回復しました。この内閣の異常なほどの高い支持率は、橋本・小渕・森と続いたあまりにもひどい政治によって鬱積した国民の不満や不安が、変革のイメージを演出した小泉内閣への期待として表れたといえます。
 小泉首相は、従来の自民党政治の延長線では、参議院選挙を戦えないとういう危機意識から、党内の軋轢を越え、閣僚人事で派閥順送りをやめ若手や女性の登用しました。そして、「ハンセン病国家賠償訴訟判決」では首相判断で控訴を断念、道路特定財源・地方交付税配分の見直し、特殊法人改革など、選挙向けの「改革」スローガンを次々に掲げたことから、国民の期待が高まる中で参議院選挙が行われました。
 
●小泉人気で過半数を維持した与党3党
 18 「聖域なき構造改革」への評価を最大の争点として、第19回参議院選挙は闘われました。「小泉人気」という追い風を受けた自民党は、選挙区、比例区ともに票を伸ばし65議席(改選61)を獲得し、与党3党が参院で過半数を維持するのに必要な改選63議席を単独で上回る大勝となりました。また、与党の公明党は13議席(改選13)と健闘し、1議席に終わった保守党と合わせて、与党3党は79議席とし引き続き過半数を制しました。一方、民主党は小泉路線に対する対立軸が不鮮明なまま闘い、最後まで「小泉人気」に苦しみました。選挙区の一人区で公認候補が1人も当選出来ない中で、選挙区全体で18議席(改選15)と伸び悩み、大幅に得票を減らした比例区の8議席と合わせて26議席(改選22)にとどまりました。連合の組織内9候補(他に支持候補1)が、比例区で闘いましたが、今回導入された非拘束名簿方式での闘いが極めて不十分となり、6名の当選にとどまりました。野党では自由党が議席を増やし、社民党・共産党は議席を減らしました。
 この結果、参議院定数247(過半数124)のうち、与党3党は139議席、民主党などの野党は108議席となりました。
 
● 小泉「改革」は市場原理主義
 19 今回の参議院選挙は、「聖域なき構造改革」のキャッチフレーズ魅せられた国民が自民党に期待票を投じた選挙でした。ある意味では、欲求不満と錯覚のうえに小泉内閣が誕生し、今、期待は膨れあがっていますが、その改革の手法が十分理解されているとは云えません。小泉内閣の掲げる改革は市場原理主義、思想的にはレーガン・サッチャーの新保守主義であり、その改革は極めて痛みの大きい改革であることは、歴史が実証しています。
 20 私たちは構造改革にあたって、セーフティネットの確立を求めています。
 日本と同時期にバブルを経験した北欧が1995年を中心とする短期間で不良債権処理を終えたという構造改革の経験に学ぶことが大切です。北欧諸国の社会には、「企業が潰れても人間は潰れない」というセーフティネットの制度が整えられていました。市場経済には「失敗」が付き物であり、その「失敗」をより短期間にスムーズに処理できるルールと制度が整えられていたから、問題がこじれる前に短期間で処理が行われたと云われています。スウエーデンでは、たとえ一時期に失業率が高くなっても、職を失った労働者が路頭に迷う心配がなく、公的サービスによる職業能力訓練を受け、新たな成長分野の産業にシフトできる制度がビルトインされた社会です。そして、転職しても待遇が下がることがない、「人間は潰れない」社会です。小泉改革には、こうした「社会のあり方」を評価する考えが欠如した重大な欠陥がある改革です。
 今回の選挙で自民党内には抵抗勢力の基盤が強化され、「改革」の前途が厳しいばかりか、小泉首相の靖国神社参拝に見られる危険な体質にも今後注意が必要です。
 
3.労働者生活と雇用情勢
(1)雇用情勢
●過去最悪失業率4.9%
 21 政府・与党は緊急経済対策を決定し、財政・構造改革に小泉内閣は強い意欲を表明しました。財政・構造改革は、デフレ圧力を伴い不況を加速する可能性を含み、雇用不安を増大させます。2000年に中小企業の倒産や廃業が急増しました。これは、構造調整の副作用であり、完全失業率が2000年の平均で4.7%(320万人)で、2001年1月には4.9%と過去最高を記録しました。97年に54万人だった非自発的失業者数が2000年には、102万人にほぼ倍増しました。
 2001年7月の労働力調査(総務省)でも、完全失業率はいまの調査開始以来初めて5.0%と過去最高を記録し、完全失業者数は前年同月比23万人増の330万人で、4ヶ月連続の増加となっています。失業率の男女別では男性が5.2%、女性は4.7%です。倒産やリストラなどによる非自発的離職者は前年同月比横ばいの99万人、一方、自発的離職者は同15万人増え114万人となっています。
 
(2)勤労者の生活と社会保障を巡る動き
●4年連続で消費支出が減少
 22 総務省の調査がサラリーマン世帯家計調査(2000年度)を発表し、1世帯当たりの1ヶ月間の消費支出が34万1335円で、対前年比0.4%減となり4年連続で減少しました。食料費と被服・履物が10年連続、教養娯楽も3年ぶりにそれぞれ減少し、増加したのは通信・自動車関連程度で、実収入も実質で対前年度比1.5%減少しました。雇用・生活・老後の不安の中で、勤労者世帯の財布のヒモはますます固くなっています。
 23 こうした中で2001春闘が闘われました。物価の下落や米国経済の激変を背景とする景気後退、そして、国際競争の激化でコスト増に繋がる賃上げは無理だとする経営側の抵抗の中で、額・率ともに、前年を下回る結果となりました。連合は従来の総花的要求設定ではなく、賃金、時間外割り増し率の引き上げ、時短、雇用延長などすべての組合が最重点項目を統一要求し、パート労働者の賃金引き上げを新たに掲げ「春闘改革」の第1歩を踏み出しました。春闘は社会的所得配分メカニズムとして機能してきましたが、企業横断的な賃上げが崩れています。明年に向け春闘改革を引き続き取り組むため、「パート労働者等の労働条件改善」を最重要な柱とすることや「統一的な課題を設定した協約闘争」の展開などを提起しています。
 
●勤労者の声届かない国会
 24 連合は、第151通常国会にあたって、全国的な署名活動、集会、街頭宣伝など国民運動を展開しながら、雇用と生活の安定を求めて、仕事と家庭の両立支援法、個別労使紛争処理法、企業年金基本法等の制定を重点に闘ってきました。しかし、確定拠出年金法案が無修正で成立、企業年金基本法は制定されませんでした。また、育児・休業法は継続審議となり、個別労使紛争処理法案は、民主党など協力を得て政府案を一部修正させることができたものの、国民生活や将来に安心感の持てる政策の実現にはほど遠い国会となりました。
 25 成立した確定拠出年金法は、加入者自身が運用方法を選び、運用がうまくいけば多額の年金や退職金が受け取れる反面、失敗すれば損失が生まれる年金制度です。個人の自己責任と「選択肢」の名のもとに、企業年金の運用責任・リスクを勤労者個人に転嫁する同法案に対し、連合は「制度導入の環境条件が未整備であり、賛成できない」との立場で反対してきました。この法案が成立したことにより、経営者が、安易に現行の確定給付企業年金や退職金を確定拠出年金に移行すれば、現在の超低金利の中では、勤労者への大きな負担と危険を課すことになります。
 連合は同法案の成立の前提条件として求めてきた、金融・証券市場の透明性確保と情報開示の徹底、監視機構の制度導入などの早期是正に、今後取り組むとともに、基礎年金の税法式化など信頼できる公的年金制度の確立に向けた取り組みむ方針です。
 
(注)確定拠出年金は「日本版401k」と呼ばれ、米国の401Kプラン(内国歳入法401条k項の条件を満たす税制適格年金)を参考にしている。確定拠出型年金は加入者が運用に責任を負うのに対し、確定給付型年金は企業の責任で掛け金を運用する。経済界は企業の負担が軽くなる確定拠出型年金の導入を要望している。また、確定拠出型年金は転職の際に年金減資を別の企業に移管でき、継続できる。雇用の流動化にふさわしい制度と云われている。
 
●労働組合の組織率低下と個別紛争処理法案
 26 厚生労働省が発表した平成12年度労働組合基礎調査によると、労働組合員数は1,153万9千人(組織率21.5%)で前年度より28万人減少し、率で0.7%低下しました。連合の組合員数は、昨年比で16万8千人減少し、731万4千人となりました。 一方、北海道の労働組合員数は、前年より約7千人減少し436,623人、推定組織率も19.8%(前年比マイナス0.4)と20%台を割る事態となりました。
 連合北海道の組合員数も、4,880人減の294,927人(この他、連合組合員としてカウントしていない、地区直加盟組合員が約2万5千人おり約32万人が連合北海道組合員数)となり、依然として減少傾向にあります。組織化が遅れている分野は小規模企業、パートタイム労働者や派遣労働者であるが、労働組合の社会的発言力増大のためにも雇用形態を越えた運動と組織化が課題です。
 27 組織率の低下とともに、労働者派遣や職業紹介の規制緩和などにより、雇用形態の多様化が進む一方リストラ等により、労働相談件数の増加とともに労働者個人を巡る紛争(個別紛争)が激増しています。現在、労働委員会は集団的労使関係を扱っており、我が国にはドイツの労働問題の専門裁判所もなく、弁護士も少なく、訴訟による解決は時間と費用がかかります。連合は地方労働委員会の機能を拡充して、個別紛争処理を行うよう制度改正を求めてきました。しかし、政府は、厚生労働省の地方労働局で相談を取り扱うとする内容で「個別紛争関係解決法案」を提案しました。それに対し、民主党などが法案修正を行い、地方分権の流れの中で、知事の委任を受けて地方労働委員会が個別労使紛争の解決を行う場合の「地方の個別労働関係紛争施策」を盛り込むとともに、原案の「相談」の他に「あっせん」を行える内容を加え、6月に成立しました。
 
●労働基本権と公務員制度改革
 28 行政改革推進本部は公務員制度改革の「大枠」(3月)を発表し、「基本設計」を(6月)に決定しました。改革案では、信賞必罰の人事制度の確立、国家戦略スタッフ群の創設、各大臣による弾力的な人事管理など管理強化を提起している一方で、労働基本権制約の代償措置である人事院の役割を大きく後退させながら、労働基本権の制約のあり方については、「引き続き検討する」にとどめており、公務員を事実上無権利状態に陥れる問題の多い内容となっています。
 連合官公部門連絡会は公務員制度改革は必要との立場にたちながらも、戦後の占領下ででつくられた、特権的・閉鎖的な現行の公務員制度を改め、国際労働基準を満たす民主的で国民本位の制度に改革することを求めています。
 
●有期契約の延長求める規制改革会議中間まとめ
 29 政府の総合規制改革会議(議長.宮内義彦オリックス会長)は7月24日、医療、福祉、人材など6分野の規制改革に関する中間まとめを発表しました。労働分野においては「より市場を重視」した規制の見直しとして、「派遣労働、有期雇用契約、裁量労働制」の拡大を提起しました。また、有期労働契約については、現行の上限3年を5年へ延長し、適用範囲を拡大する方向で法改正を求めています。現在、パート労働や派遣労働の急速な増大は「人件費コスト削減」を理由に進められています。こうした動きは労働者にとって、安心・安定の雇用と相反するものです。
 
4.道内情勢
●厳しさ増す北海道経済
 30 道経済産業局の7月の道内の経済概況によれば、大型小売り店販売額は31ヶ月連続で前年割れ、家電販売はパソコンが振るわず、新車登録台数は2ヶ月連続で前月を下回り、個人消費の停滞が続いています。公共事業も前年を上回るが、厳しい水準であり、住宅建設も低調に推移しています。明るいのは観光で来道客数が3ヶ月連続で前年を上回りました。製造業では自動車部品輸出が20ヶ月連続で前年を上回りましたが、金属製品、電気機械工業などが低下しています。
 全体とし道内経済は、個人消費の低迷をはじめ公共投資、住宅投資の減少を背景に、製造業を中心に厳しさを増しているといえます。
 
●北海道の完全失業率5.9%
 31 道内の雇用情勢は、1997年11月の拓銀の経営破綻の影響やその後の長期不況を背景に、大型の企業倒産や大規模な合理化で極めて厳しい状況が続いています。
 道内の4〜6月の完全失業率は5.9%で約17万人。全国10ブロックの中で近畿(6.4%)に次ぎ、九州と同率で2番目に高い水準です。男女別では、男性5.9%(前年同期5.8%)、女性は5.9%(同5.9%)です。年齢別に見ると、15〜24才が8.1%、25〜34才が7.9%と高く、若年層を中心とした失業が多くなっています。
 32 就業者数は前年同期比2万人減の272万人でその内雇用者は231万人で前年同期と同じでした。産業別就業者の内訳では多い順に、サービス業で81万人(前年同期3万人増)、卸売・小売・飲食店で64万人(同1万人減)、運輸・通信業で23万人(同増減なし)、製造業で25万人(同増減なし)、建設業で29万人(3万人減)、農林業は18万人(1万人減)となっており、サービス業が3万人増加し、建設業で3万人、農林業、卸小売・飲食業で各1万人が減少しました。
 33 6月の道内の有効求人倍率は0.5倍で前月を0.07ポイント上回りましたが、依然厳しい雇用環境が続いています。
 
●歴史的な転換期にある北海道
 34 北海道の総人口は平成2年に国勢調査開始以来はじめて減少し564万人となり、その後微増し平成7年度569万人となったもの、平成10年から再び減少に転じる見通しです。
 出生率は1.26(全国平均1.38)でこの20年間で約半分になっいます。65才以上の高齢者の割合も、平成11年で17.5%(全国平均16.7%)で早いテンポで高齢化が進んでいます。
 このように少子・高齢化の進行をはじめ、社会構造、経済構造の大きな変化が進んでいます。国においては規制緩和や地方分権、行財政システムや経済構造改革が進められようとしており、北海道は従来から中央依存、官依存体質が強く、地方交付税の削減、公共事業の見直しの中で、中央依存から脱却するすることが求めれれています。
 こうした中で堀知事は、分権時代にふさわしい自主・自律の北海道をめざして、「自主・自律意識の醸成」、「市民と行政の協働環境の整備」、「経済構造改革」、「行財政システム改革」、「発展基盤の整備」など構造改革の5つの基本方向を示しています。道民が心豊かに安心して暮らせる活力ある地域社会をつくるため、北海道はいま歴史的な転換期にあります。
 
5.情勢のまとめ
●「労働を中心とする福祉型社会」と戦後システムの改革
 35 国内外の情勢でもふれましたが、グローバル化の進展は経済・社会全般に大きな問題を投げかけています。そうした中で行き詰まる旧来の諸制度をどう変革していくのか、大きく二つの路線が模索されています。その一つは市場主義であり、一つは福祉国家の再構築という路線です。こうした転換点にある今日、連合は1990年代の「失われた10年」を経て、21世紀の労働運動の進むべき方向、運動理念として「21世紀を切り開く連合運動」(21世紀連合ビジョン)をまとめました。
 21世紀ビジョンでは、目標とすべき社会像を「労働を中心とする福祉型社会」であるとし、完全雇用、公正なワークルール、いざというときのセーフティーネットが構築された社会を目指すこととしています。連合の構成産別・地方連合は、このビジョンに基づき、自己改革を進めながら組織づくりや各種の運動に取り組み、21世紀の新しい時代を切り開くことになります。
 36 90年代以降、国際競争は激化し、右肩上がりの経済は終焉し、少子高齢化社会が急速に進行するなど、内外情勢の劇的な変化が進行しています。戦後復興に貢献してきた中央集権型の国家システムは、今日では有効性を失っており、「地方分権」「官僚主導から市民主導へ」「利益誘導から市民の統合へ」など社会は変革を遂げつつあります。
 こうした情勢の中で政府は「構造改革」を推し進めるために、経済諮問会議を始動させ、7つの改革プログラムを打ち出しました。その内容は、「公」の関与を弱め、「競争」によって経済・行財政・社会の活性化を図ることが基本になっています。一方、私たちは、市場経済を前提にしながらも、セーフティーネットなどの社会政策の再整備・拡充に取り組みながら、戦後システムの改革が進められなければなりません。地方分権と地方自治の確立、進行する少子・高齢化のもと持続可能な社会保障における負担と給付、男女平等参画社会の推進、環境政策の重視、労働・家庭生活における権利の侵害から市民を守り人権を発展させることなどの改革を通して、「自由な社会」「公正な社会」「連帯の社会」の実現など、福祉国家の再構築を求めていきます。
 
 
1.連合の最重要課題としての組織拡大
 
(1)組織拡大の取り組み
@ 連合北海道の結成時(90年2月)、組織人員は正加盟55産別、直加盟6産別の61産別で約32万人強を有していました。しかし、この11年間、組織拡大に取り組む一方で、民間、官公部門を問わず、産業・企業の構造改善計画の実行に伴い、組織人員は減少の一途をたどり、現有組織は60産別29万4千人と、2万7千人減となっています。
  また、道内における組織率は、24.3%(90年)から19.8%(00年)と4.5ポイントも低下し、組織率20%を割り込む結果になっています。
A 今日までの組織拡大の取り組みは、中期目標の「50万人連合北海道を目指す組織方針」を基に、具体的には第9回定期大会(97年11月)で、向こう3年間の第1次組織拡大実行計画(当面6万人の組織拡大)を確認し、産別、地域が一体となり、未組織職場の組織化、地区連合直加盟組合の産別加盟促進、パート・派遣労働者など一人でも加入できる地域ユニオンの結成、地方アドバイザーの配置、組織拡大オルグ研修、連合本部指示に基づく6次にわたる集中行動等に取り組んできました。
 その結果、新規組織化や地区連合直加盟組合の産別加盟、地域ユニオンへの結集など十分とは言えないまでも具体的な成果は上がっています。
 しかし、第1次組織拡大実行計画に対する最終年度(00年9月)の達成率は9.3%と不十分な結果になっています。
B この第1次組織拡大実行計画の達成結果をきびしく受け止めて、昨年の第12回年次大会では、イ)今年度1年間は引き続き、第1次実行計画の踏襲、そして補強を行い、更に拡大実績を上げる取り組みを強化する、ロ)第1次実行計画における克服すべき諸課題等については執行委員会、組織委員会等で検討する、ハ)連合本部指示による集中行動や重点業種・産別対策、労働相談を通じた組織化対策、全道の相談件数の3分の2を占める石狩・札幌圏対策として「さっぽろ労働相談センター」の設置等について提起して取り組んできました。
C また、今年3月には「組織拡大推進委員会」を見直し、補強を行い、連合北海道会長を委員長とする常駐三役直轄の「組織拡大推進特別委員会」へと改組し、産別、地協・地区連合による総掛かりの取り組みを展開していくこととしました。この特別委員会では、イ)地区連合直加盟組合は産別加盟対策の最終年と位置づける、ロ)産別加盟会費、連合会費問題は柔軟に対応する、ハ)産別の組織拡大に関わる財政的支援を行う、ニ)産別ターゲット組織の世話役活動計画の再検討等、諸課題を再度明らかにし第1次実行計画の成果と課題を受け止めて、第1次実行計画の更なる拡大実績の積み上げ、あわせて連合本部の第2次実行計画に基づく実践活動を最重要課題として取り組みを展開してきました。
D 第1次組織拡大実行計画の実践・達成に向けては、これまで述べてきたようにその節々で補強をはかりながら、各種広範な活動、取り組みを推進してきました。
この間の(97.11〜01.9)成果は、新規組織化102組合5,008人、地区連合直加盟組合の産別加盟及び地域ユニオンへの結集29組合794人、未加盟の産別加盟13組合2,260人、パート労働者等個人加盟の地域ユニオンへの結集で88人など、計8,150人で、その達成率は13.58%になりました。
数字的には厳しい結果ですが、これまでの取り組みを通じて、組織拡大をすすめる態勢の面では、いくつかの成果があげられます。
E その第1は組織拡大が重要な課題であること、行動を起こさなければならないという気運の高まり、第2には14地協における地域ユニオンの結成、第3には集中行動配置の定着、アドバイザー制度・労働相談フリーダイヤルの定着、さっぽろ労働相談センターの設置など、連合北海道全体の取り組み、とりわけ労働組合運動の生命線は「組織拡大」であるという気運が全体のものとなっていると言えます。
F 今年度も引き続き第1次組織拡大実行計画と組織拡大推進特別委員会で提起し、取り組み過程にある第1次組織拡大補強計画を更に実績を上げるよう着実な実践活動に取り組んでいきます。
また、連合本部は10月4〜5日開催の第7回定期大会において、「新組織拡大方針(第3次実行計画)」を提起しました。連合北海道の第2次実行計画については、第1次実行計画及び第1次補強計画の成果と評価をまとめた上で、連合本部の「新組織拡大方針」を踏まえ、期間、時期とも連動させて大会終了後早急に計画を策定していきます。
 
(2)地区連合直加盟組合の産別加盟促進等
地区連合直加盟組合の産別組織への結集対策は96年11月以降、世話役産別を決めすすめてきましたが、今なお、組織事情によって整理のつかないまま114組織4,567人が存在しています。
今年度も引き続き産別移行対策を進めていきますが、世話役産別、地協・地区連合と連携の上、最終年との方針のもとに最大限の努力をはかっていきます。それでもなお特別な扱いを必要とする組織については、すべて地域ユニオンへ集約していきます。
また、産別、連合会費の負担増が加盟を足踏みさせている一因と受け止め、段階的移行措置も含めて柔軟に対応していきます。
 
(3)地域ユニオンの活動強化
地域ユニオンは98年1月以降、地協所在地を中心に結成され、今年3月に結成した日高地協を最後に14地協すべてに結成され、個人加入と単位組合合わせて55組織が結集しています。とりわけ、産別加盟形態の基本だけでは律しきれない組織、個人加盟組織の受け皿としての役割を果たしてきました。
昨今の雇用環境の変化に対応した取り組み、パート、派遣労働者など多様な雇用・就労形態の労働者、中小・零細企業で働く労働者の組織化の取り組みについても「地域ユニオン」の活動範疇として積極的な取り組みをすすめていかなければなりません。
また、「魅力ある・地域に信頼される地域ユニオン」づくりという面から、春季生活闘争における地場中小・零細職場の労働条件の引き上げ、その役割を意識した取り組みや福利厚生制度の充実へ向けた自主福祉運動の取り組みについて、学習、研修の場を提供するなどして、具体的に問題提起していくこととします。
 
(4)労働相談からの組織化
この1年間の相談件数は2,158件にのぼります。このうち電話による相談が大半を占め、来局による相談はごく一部に限られており、圧倒的にフリーダイヤルによる相談が占めていますが、地協・地区連合においてこの1年間に労働相談から組織化へ結びついたケースとしては7件の実績を上げています。
相談ダイヤル活動は、未組織職場の実態を垣間見ることができ、組織化の糸口ができる有力な取り組みであります。各地域においても労働相談に親身に、迅速に対応しており、組織化への重要な窓口となっています。とりわけ、相談件数の多い石狩・札幌圏対策として札幌地区連合に設置した「さっぽろ労働相談センター」の役割は重く、体制強化について検討していくこととします。
 
(5)重点業種・産業対策等の強化
組織拡大の重点業種・産業対策として、農業関連団体・医療関連労働組合との連携、ハイ・タク産業の産別最賃新設にむけた取り組みをすすめてきました。これらの業種・産業対策については、政策活動をベースに地域での連携・共闘の取り組みを積み上げるなど環境整備を図りながら、連合本部・関係中央産別との連携を密にして、連合への結集対策を強めていきます。
また、北海道畜産公社の未組織事業所及び福祉・介護労働者の組織化についても当該組織と充分連携を図りながら取り組んでいきます。
 
(6)地方アドバイザーの取り組み
連合の組織拡大方針により、「地方アドバイザー」は、3地協(渡島・胆振・釧路)に98年から段階的に配置してきました。配置期間は02年6月末までとなっていましたが、連合の新組織拡大方針ではさらに2年延長(04年6月)することとなりました。引き続きアドバイザー制度の有効活用をはかりながら、労働相談体制の対応、組合づくり、地域ユニオン支援等の取り組み強化をはかります。
 
2.構成産別、地協・地区連合との連携強化
 
(1)産業別部門連絡会の機能強化
産業別部門連絡会の常設化に向けては、春季生活闘争の取り組みとあわせて議論してきました。
特に春季生活闘争においては情報交換や闘争体制の確立に一定の役割を果たしてきました。そのなかでも金属部門や交通・運輸部門は、相互交流と共同行動を主体的に展開しながら連絡会活動を充実させてきており、常設化のモデルケースとして大きな弾みとなりました。
部門別連絡会は6部門で編成しています。通年活動の定着は現段階では難しさはありますが、組織拡大、産業政策など共通する課題で情報交換や意見交換を行うなどして、活動範囲を徐々に広げる取り組みを工夫して、連絡会としての役割を果たしていくこととします。
 
(2)地協との意見交換会の実施
地協・地区連合は、結成から今日まで地域運動のセンターとして着実な地歩を築いています。今後も地域運動の更なる発展に向けて、より組合員にわかりやすく、地域からも広く共感を集める運動の推進が求められています。
今年度も昨年に引き続き、連合北海道と地協・地区連合との連携強化、地域活動の活性化を目的に地協との意見交換会を実施していきます。
 
3.地域運動の強化
 
地域運動をより一層強化していくための地協・地区連合組織の強化について当該地協・地区連合との連携をはかり対応していきます。
また、地域活動の効率化と機能強化は連合北海道運動の最大の特徴である縦の産別組織と横の地域組織を有機的にバランスよく機能させていくことにあります。そのために産別・地域のバランスを考慮した地協執行委員会の構成や地区連合に対するより具体的な日常活動の指導を強め、地域に根ざした連合運動の確立に向けて最大限の努力をはかっていかなければなりません。
地域における政策運動として「一地区一要求」運動を毎年進めてきましたが、地区連合での取り組みは残念ながらここ数年減少傾向にあります。地域に根ざした連合運動とは、まさに市民の生活ニ−ズ・福祉ニ−ズを自治体に反映するシステムづくり、「一地区一要求」運動が不可欠であります。今年度もこの「一地区一要求」運動が定着するよう努力していきます。
 
4.青年・女性・高齢退職者組織の強化
 
(1)地域における青年委員会の結成促進
労働運動や労働組合活動の前進と活性化をはかるには、青年組合員の参加は不可欠です。とりわけ、若年層の組織離れが指摘されている今日的状況の中にあって、青年層の育成強化は、組織強化をはかっていく上の重要課題の1つでもあります。学習と交流活動を積み上げながら、青年層の連合運動への結集、労働運動を担う青年の育成に取り組んできています。
発足以来、地域組織の結成に取り組んでいます。この一年間で新たに檜山地協、網走地協、帯広地区で結成されました。札幌地区、小樽地区、旭川地区、釧路地区、函館地区、苫小牧地区を合わせ9地域となりました。この他の地域においても結成に向け、構成産別、地協・地区連合と綿密な連携を図りながら、青年委員会結成に向け、助言、指導を行い結成促進に取り組んでいきます。
 
(2)労働組合活動への女性の参加促進
昨年12月、政府は「男女共同参画基本計画」を策定し、その具体的施策を民間団体に対しても、広く女性の参画促進を求めています。
連合は、働く女性の権利を確立し、社会のあらゆる分野においても男女平等を実現するため、労働組合はその意志決定機関等の場に、さらに具体的な計画をもって積極的に男女平等参画を実現していかなければなりません。
連合北海道においても女性委員会結成の91年以降、構成産別における女性組織の整備と地協女性委員会の結成に取り組んできています。また、昨年の定期大会の運動方針の中で決定した「男女平等参画推進委員会」の設置については、現在、準備委員会を設置し「推進委員会」立ち上げに向けた協議を進めており、「男女平等参画推進計画」の策定とともに、01年度内に設置し、取り組みを進めていきます。
 
(3)高齢退職者連合の活動支援
@ 高齢退職者連合は結成以来、連合運動を積極的に支持・協力しながら自らの 運動と地域 社会に貢献する活動に取り組んできています。
  高齢退職者連合においても、積極的に地区組織の結成に取り組んでいますが、昨年は滝 川に地区組織を結成し、現在までに25地区に活動拠点を整備してきました。
  新年度においては、網走・室蘭に加え、渡島の森・八雲の結成に向け、関係地協・地区連 合と連携し、準備活動を進めていきます。
A 例年開催している「人生匠の集い」=高齢者保健福祉フォーラム=は9月に開催し、構成産 別の支援・協力を得ながら取り組みました。
また、全国高齢者集会「絆」(9月)へは8名で参加しました。
 
 
1.2002春季生活闘争
 
(1)取り組みの考え方
@ 2002春季生活闘争は、連合本部の基本構想・基本方針をふまえて、連合北海道としての基本方針を第13回定期大会において決定し、大会以降ただちに準備作業に入り、12月上旬には闘争委員会を立ち上げ、具体的取り組みを展開していきます。
 A 春季生活闘争は賃上げのみならず、総合生活改善闘争であり、賃金引き上げや労働諸条件の改善結果を未組織労働者に波及させる役割や、労使で経営全般の認識についても深めていく役割を持っています。とりわけ、労働組合の社会的責務を果たすためにも毎年構築するという共通認識をしっかりはかり、パートタイマー・中小零細など未組織労働者も含めた全ての勤労道民の労働条件、生活条件の改善をめざす闘いとして組織していきます。
 B 2002春季生活闘争についても、景気回復の兆候が見えない情勢にありますし、経済構造改革や不良債権の処理などに伴い、雇用情勢が更に悪化することが予想されます。賃上げ、時短、政策制度の要求実現はもちろん、とりわけ雇用の安定・維持の取り組みとともに、ワークルール確立の取り組みを強化していきます。
 
(2)闘いの進め方
@ 2002春季生活闘争は、第13回定期大会において基本方針を決定して、大会以降、直ちに闘争本部を設置して11月〜3月上旬を前段闘争期間に設定し、地場中小組合の要求づくり、政策制度要求の実現の行動や闘争体制の確立に向けた産別部門連絡会、地域討論集会、中小労組交流会、賃金カーブ学習会などの取り組みを積み上げて、本番における交渉環境づくりに努めていきます。
A 地協・地区連合においても、闘争委員会を直ちに立ち上げ、地域共闘体制の強化をはかり、地場中小組合への支援・指導を強めていきます。そのために3年目となる短期専従者配置(01年4地協)の拡大と併せて、要求策定の早い段階からのきめ細かな指導など支援体制の強化をはかっていきます。
また、「一地区一要求」運動は各地方自治体に対して、連合が政策提言を行っていく重要な地域運動です。地域の生活者・市民、未組織労働者からも連合の顔が見える取り組みとして強化をはかっていかなければなりません。
 
2.中小・パ−トの雇用・労働対策の推進
 
(1)中小企業の基盤強化と労働条件の格差是正
@ 雇用確保と公正なワ−クル−ルの確立
失業率は戦後最悪の水準で推移し、改善の兆しがみられません。これは新たに創り出される雇用より、合理化などによって失われていく雇用が多いため、雇用者数が減少し、解雇による失業者が増加しているためです。また、パート、派遣労働者など不安定雇用労働者が増加する一方、常用労働者数が減少という傾向が続いております。
こうした動きの背景には競争力強化になりふり構わず突き進む企業行動があります。加えて小泉内閣が掲げる構造改革、市場万能主義によってさらに競争に拍車がかかっていくでしょう。この構造改革で予想される倒産やリストラに対するセーフティネットや失業者に対する職業訓練の強化などを求めていく必要があります。
企業にとって最大の社会責任である雇用責任を放棄する経営姿勢は徹底的に批判されなければなりません。
道に対して完全雇用を優先する政策課題として5万人の雇用創出計画の実現を求めてきましたが、今年度でこの雇用創出計画が終了予定となります。21世紀の社会づくり、地域づくりという視点を基本とした雇用創出(介護・環境・福祉・教育)について引き続き求めていきます。
経済のグローバル化や、情報社会化、少子高齢社会の進行等で従来の雇用形態や働き方に大きな変化が生じています。労働者の雇用を守り、権利を拡充するためには公正なワークルールの確立に向けた労働協約整備の取り組みを強化していく必要があります。
また、商法改正や労働関係法の改正、改正派遣法、新裁量労働制の導入に伴い、正社員に置き換えた派遣労働者も急増していますし、適正な労働時間の確保や労働条件の低下も心配されます。きちんとした労使間ルールの確立が重要であり、とりわけ中小の労働組合では労使協議会の協約はもちろん、運営が適正かつ円滑に行われる労働協約締結の取り組みを強めていくこととしています。
A 昨年は労働者派遣事業適正運営協力員(労働側17名)連絡会議は1回の開催となりましたが、協力員制度の活性化に向けた検討を行い、そして行政に対し労働側の立場としての意見反映をしてきました。今年度は協力員連絡会議を2回は開催し、協力員制度の有効活用、権限強化等について行政に対し要請していくこととします。
B 中小企業の基盤強化と労働条件の格差是正
中小企業に働く仲間の労働条件は大手企業と比べて労働条件、福利厚生面も含めて格差が存在し、その是正は連合運動の大きな課題です。
連合北海道は今日まで、地域産業の振興政策、とりわけ中小企業の経営安定・強化に向けた政策・制度改善をはじめ、中小・零細企業労働者の環境改善に取り組んできました。
これらの成果を有効に活かし、労働条件の改善に向けては春季生活闘争における地域ミニマム運動の推進の拡大と充実、さらに発展に向けた取り組みを強化していきます。地域ミニマムの設定によって、地域の年齢別最低賃金、企業内最低賃金を引き上げ、さらに法定賃金の引き上げに寄与する取り組みとしています。
 
(2)労働時間短縮
@ 年間1800時間達成を目標とする「時短促進法」は、2000年度末までの時限立法でしたが、平成12年度における総実労働時間は全国1,859時間、北海道では1,885時間という実態を踏まえ、同法は5年間の延長となりました。
2001春季生活闘争においても大きな柱のひとつとして取り組みましたが、結果は厳しい経済状況等の理由で足踏み状況にあると言えます。
労働条件委員会を取り組みの場として、時間外労働の削減、とりわけサービス残業根絶と年間150時間を上限とした時間外労働協定の締結が重要であり、また残業縮減のための時間外割増率の改善と年次有給休暇取得促進が急がれる課題となっています。
A ワークシェアリングの考え方は、一人当たりの労働時間短縮で仕事を分かち合い、雇用の維持と創出を図ることですが、その前提条件として、就業形態によって処遇・権利が差別されない均等待遇が実現されなければなりません。まず、サービス残業や長時間残業の根絶がワークシェアリングの第一歩としてとらえ、取り組みを進めていきます。
また、道の「雇用創出等研究会」において北海道・経営者団体・労働団体の3者でワークシェアリングについての勉強会を進めております。
B 「元日営業」休業化の取り組みについて
元日営業の休業化については連合結成以来、政策制度要求として関係する方面への要請行動や議会決議、チラシ配布行動などの運動に取り組んできました。
しかしここ数年、元日営業の休業化に向けた取り組みは必ずしも全国的な運動への拡大に展開しきれていない状況にあり、北海道においても2001年度は継続的な運動を展開しましたが、地域合意ないまま営業に踏み切る店舗・事業所が拡大、増加している状況にあります。
運動のあり方、取り組みにおいて再検討する時期にきていると言えますが、この運動は、企業の過当競争、過剰サービスを自制させること、消費者としての国民一人ひとりが利便性と、そこに従事する勤労者への影響・ゆとりについて考えることを求める運動であり、元日休業の社会慣習をもう一度、定着・制度化することを目標に運動を継続していきます。
2002年の元日休業化の取り組み方については、これまでの連合の基本的な考え方を継承することとし、構成組織及び各組合へは労使協議・協定の締結の取り組み、また、やむを得ず営業する場合は、代替の休暇及び手当等の労働条件の確保等に取り組むこととします。各地協においても各構成産別と連携し、関係する経営者団体、商工会等への要請を行います。
 
(3)相談活動の充実と組織化対策
全道における労働相談件数は年々増え続け、00年10月〜01年6月までの9ヶ月を前年度と比べると、27.6%増の2,097件となっています。地域的には依然、雇用情勢の好転がみられない石狩管内・札幌圏で1,320件と全体の約63%を占める状況にあります。各地協の迅速な対応と熱心な相談活動により、問題の解決をはかり労働組合の結成に結びつけたケースも数多くあり、地域のパート、小・零細企業労働者から広く信頼を集めています。
今後も、小泉改革の名のもと構造改革による、企業倒産や景気低迷を理由とした不当解雇や賃金不払い、労働基準法違反・労働者の基本的権利をおかす諸問題等の相談はさらに増えることを危惧しなければなりません。
これら諸問題に対しては、引き続き地域も含めての担当者、地方アドバイザー、顧問弁護団との連携を強めていかなければなりません。さらには10月1日より「個別的労使紛争処理」も行うことになった北海道地方労働委員会との連携をはかっていきます。
また、労働相談体制の充実をはかり、きめ細かな対応を行うことにより、直接、組織化へ結びつく体制の強化のために、労働相談の全体の3分の2を占める石狩・札幌圏対策として札幌地区連合に、昨年2月「さっぽろ労働相談センター」を設置しました。活動状況は、日常の労働相談は勿論、特に介護など福祉関連労働者の組織化をはかり、労働実態や制度の問題点の把握のためにアンケート調査、結果にもとづく関係先への要請行動などの取り組みを行っております。
また、春・秋の2回実施している全道一斉集中労働相談は、今年度も継続して実施していきます。
 
(4)労働者福祉の充実
@ 地域の福祉向上の一環として、中小企業勤労者福祉サービスセンターの加入促進の取り組みを進めてきました。
道内における設立状況は市町村共済も含め、55市町村(30団体)となっていますが、全道市町村の半分にも満たない状況となっています。その要因についての実態把握を進めながら引き続き、広域センター設立も含めて自治体並びに各支庁にも働きかけを強めていきます。さらに事業内容の改善・充実に向けて取り組みを進めます。
A また、パートタイム労働者退職金共済制度発足から7年が経過しました。その間、道予算において事業主負担軽減や加入促進に向け、モデル市町村の指定を行うなどして取り組みを進めてきましたが、その加入実績は平成12年度実績で、118事業主にとどまっており、引き続き制度の充実による未加入企業への加入促進に取り組んでいきます。
また地域ユニオンを中心に制度の普及・啓発活動を進めていきます。
 
3.労働安全衛生対策の強化
 
(1)働く者の「命と健康」を守るネットワークの確立を
北海道における労働災害死亡者数は依然として全国ワースト・ワンという厳しい現実にあります(昨年129名)。この汚名を返上し、死亡者ゼロにする運動を官・民一体で進めていく必要があります。しかし、企業のコスト削減・人減らし、人件費圧縮策のなかで安全担当者が職場からいなくなる現象もみられます。また、価値観の大転換と、情報化・コスト競争が激化するなかでストレス増大が懸念され、働く者のメンタルや健康面への取り組みを強化していかなければなりません。「働き方」がこれまでと大きく変化している今日、職場組合員の求めているものに対応した、よりきめ細かな取り組みが重要となっています。
安全衛生活動は職場の取り組みが基本です。自分の職場から死傷者や疾病をなくするために日常的な地道な粘り強い取り組みが必要です。しかし、それだけでは働く者の「命と健康」は守れません。1人ひとりの自覚した取り組みとそれを喚起し、フォローしていく労働組合の取り組みが産別を超えた地域でも必要とされています。また、労働行政に対しても職場実態を反映した制度・政策要求実現するための取り組みを連合本部と一体で進める必要があります。
こうし取り組みに加えて、医師や安全衛生コンサルタントなどの専門的知識・経験を活用できるネットワークづくりが情報化時代には不可欠となっています。安全衛生活動でも、職場の1人ひとりが、より質の高い組合員サービスを求めていると考えます。
連合北海道は、労働安全衛生対策委員会を軸に北海道勤労者安全衛生センターと連携し、働く者の「命と健康」を守るネットワークの確立に向け、中期展望にたって、より一層取り組みを強化していきます。
(2)中小職場の安全衛生「5カ年計画」の推進
昨年の大会で確認された「北海道における中小職場の安全衛生改善5カ年計画」は、今年度2年目を迎え、いよいよ具体的に職場段階での活動展開となります。昨年度実施した産別・単組アンケート調査でも、中小職場だけでなく、安全衛生の取り組みにはバラツキが見られます。その要因は、労働組合の取り組みと経営側の姿勢にあることは明確です。労働組合が経営側より一歩前に出た取り組みが求められています。出来ることから「ゆっくり、じっくり」取り組んでいく必要があります。
・各産別の協力を得てモデル組合を設定し、具体的取り組みを展開します。
・安全衛生マネジメントシステム導入など職場の安全衛生活動資料を作成します。
・産別、業種ごとの安全衛生チェックリストの作成を産別と共同で取り組みます。
以上を活動を軸に当面、「5カ年計画」の中間総括時点である2002年春にむけた取り組みを強化していきます。
(3)セーフティ・ネットワーク集会と地域セミナーの開催
今年度も連合本部の「労働安全衛生対策活動計画」に基づき、全道セーフティ・ネットワーク集会(安全衛生担当者の交流集会)、地域セミナーを開催していきます。
年々充実してきている全道セーフティ・ネットワーク集会をさらに発展させるために職場の関心事を中心により現場に密着したものにしていきます。
地域セミナーの開催にあたっては、地域産業保健センターや労基署とも連携し、地協・地区連合の加盟産別・単組・労災防止指導員をはじめ地場の企業や中小組合にも呼びかけるなど幅広い取り組みにしていきます。
また、労災防止指導員連絡会議開催するとともにパトロールトレーニングや各種研修会への参加など指導員の実践的レベル・アップにも力を入れていきます。
 
4.労働基本権確保の取り組み
 
(1)公務員労働基本権問題
4月26日に発足した小泉内閣は自らを「改革断行内閣」と称し、石原行政改革担当大臣のもと、行政改革推進事務局による「公務員制度改革の大枠」が3月27日に発表されて以降、検討が進められていた「基本設計」が6月29日に発表されました。
今回の制度改革のねらいは、人事院の労働基本権制約の「代償措置」を縮小・解体し、「信賞必罰」の賃金・人事制度を導入することにより、物言わぬ公務労働者をつくり労働条件の一方的低下をもたらすものです。
「基本設計」は、労働組合との協議が行われないまま決定・公表され、その内容もキャリア官僚の地位向上という点に主眼がおかれており、スト権など労働基本権回復の問題が先送りされています。
こうした考え方は国民が強く批判している「キャリア制度」を温存し、国民生活に密接に関わる公共サービスの社会的役割を軽視することにつながり、時代のニーズでもある開かれた行政のあり方にも逆行するものといえます。
今日まで日本の社会経済情勢が大きく変化するのに対応して公務員制度を抜本的に改革することは必要であり、その改革のゆくえが公共部門の労働者だけでなく、国民生活にも大きな影響を及ぼす課題であるとの認識に基づいてさまざまな取り組みを進めてきました。
私たちは国民が求める行政改革・公共サービスの確立、国際労働基準にそった民主的「公務員制度改革」の実現を目指す取り組み、中央・地方そして官民一体となって進めていくため、連合北海道と官公部門連絡会とともに設置した連合北海道「公務員制度改革対策委員会」のもとで、引き続き運動を強めていきます。
 
(2)労使対等の原則の確立
労使関係については、労使対等および相互の自主性を尊重した関係確立を基本に学習活動を進めてきましたが、とりわけ労基法、商法、中小企業基本法等の改正により、労働者の労働条件に様々影響し、問題が惹起しています。引き続き労使関係問題研究会を中心に事例研究、地労委の活用方法について、地域での学習会を開催していきます。
(3)顧問弁護団との連携
年々、労働相談件数が増加傾向にあり、個別紛争問題への対応も多く、引き続き顧問弁護団との連携をはかり、労使関係の早期の問題解決に努めていきます。また、顧問弁護団による講演、学習会を地域においても開催するよう企画していきます。
 
(4)地方労働委員会の活用
今後も不当労働行為に対しては、労働委員会の活用をはかり、労使関係の正常、安定化にむけて毅然たる態度で対応しています。
近年の雇用情勢悪化に伴って激増している個別労使紛争に対応するための法律「個別労働関係紛争解決法案」が成立し、10月1日から施行されています。
北海道段階においても地方労働委員会の活用によって、「個別労使紛争の解決システム」の構築について、北海道労働審議会において検討が進められ、8月28日に「個別的労使紛争解決システムの整備について」最終取りまとめが行われ、9月○○日に知事に意見・具申され10月1日から施行されました。
地方労働委員会の活用による個別的労使紛争解決システムは、従来の集団的労使紛争と併せて個別的労使紛争の処理を行っていくものであります。
労働相談を頻繁に受ける連合北海道、地協・地区連合の担当者は地方労働委員会の活用による個別的労使紛争の解決を求めるか否かを判断していかなければなりません。相談者に対し助言・指導がより的確にできるよう「労使関係問題研究会」「顧問弁護団」を中心に事例研究、担当者講習会、学習会を開催していきます。
 
5.季節・建設労働対策の取り組み
 
(1) 雇用・生活対策の取り組み
@ 季節労働者の通年雇用化の促進に向けた国の冬期雇用援護制度は、15年度までの3年間の延長措置は勝ち取りましたが、講習内容がより資格が得られやすいような委託講習が義務化されており、教習機関、教習科目、講習期間、受講料など多くの問題点を抱えていました。
連合北海道と当該産別は厚生労働省、北海道労働局との協議を重ねた結果、厚生労働省は「新委託講習科目は現行どおり」とするものの、講習日程、講習時間について優遇措置をはかることとしました。
今後も当該産別、連合北海道国会議員団会議、建設業協会をはじめとした道内16団体で構成する「季節労働者対策連絡協議会」との連携を強め、季節・建設労働者の雇用の安定、労働条件向上のため取り組んでいくこととします。
また、暫定措置期間(現行3年間)の見直しについては、今後、あらゆる場で提起していきます。
A また政府が今年8月10日に閣議了解した2002年度予算の概算要求の基本方針では、公共投資関係費について前年度予算の10%削減を打ち出しました。このことは地方において最も大きな雇用の場となっている建設産業がこの影響を大きく受け、その中でも雇用関係が不安定な季節労働者の雇用が脅かされることが予想されます。
季節労働者の雇用不安を解消するため、民主党北海道との間で常設している北海道経済雇用対策本部と充分連携をはかり、道及び政府に対する要請をはじめとして地域における様々な行動に積極的に取り組んでいきます。
 
(2) 冬期技能講習会への支援等
国の冬期雇用援護制度を活用した冬期技能講習への対応は、これまで同様、関係地区連合の積極的な取り組みを要請していきます。
 
6.最低賃金闘争の取り組み
 
(1) 地域別最低賃金の水準引き上げ
賃金構造基本統計調査と地域別最低賃金の比率を見てみると、一般労働者の賃金水準に対する比率が未だ40%に満たないことから、引き続き、水準の引き上げに取り組んでいきます。また、連合本部が最優先課題として位置付けてきた金額表示を「日額中心」から「時間額中心」へ移行させることについては、昨年12月の中央最低賃金審議会において「表示単位については時間額表示への一本化が適当である」、「その実施にあたっては今後早急に具体的な検討を行い、極力早期に結論を得るべく努力する」ことを確認したのを受けて、連合本部としても2001年度に条件整備をはかり、2002年度から全国一斉の時間額表示一本化の実現をめざすこととしていますので、積極的に論議に参加していくこととします。
なお、地域別最低賃金の決定には、組織労働者の賃上げ結果が大きく影響を与えることから、地場中小組合の早期決着、企業内最賃協定の締結・水準改正の促進を進めていきます。
 
(2) 産別最賃の改定と新設
既存の鉄鋼、造船、食品、電機の産業別最低賃金の改正決定にあたっては、日経連を中心とする経営側に「産別最賃の凍結・廃止論」が依然として出されていますが、低賃金労働者の労働条件の確保や地域における産業別労使協議の発展に大きく寄与しており、産業構造の転換の中で経済の低迷が続き、不安定雇用の労働者が増加していることなどからも、産業別最低賃金設定の必要性について、あらためて企業側の理解を求める努力を従来に増して行い、産別最賃の継承、発展に取り組んでいく。
また、新設をめざしてきたハイヤー・タクシー業については、私鉄総連、運輸労連、交通労連、全自交労連、都市交と交運労協ならびに連合による「自動車運転者産業別最低賃金対策連絡協議会(略称:自動車最賃会議)」と充分連携をはかりつつ、今後、当該産別の主体的な取り組みを基本として引き続き運動を積み上げていくこととします。
 
(3) 最賃の周知と履行確保
地域別最賃は本年10月1日から時間額637円、日額5,095円に改定されました。新賃金の周知と履行確保にむけ、ポスター・チラシを発行し、春・秋の周知キャンペーンに取り組んでいきます。
 
 
1.雇用の創出とセーフティネットの確立
 
(1) 私たちは、この1年間、経済政策の基本目標に雇用の安定・創出を柱に据え、失業率を引き下げ、雇用不安を解消することに全力で取り組んできました。
 また、こうした本道の高失業率状態(2000年平均5.5%)を更に悪化させることにつながる「金融機関の不良債権のオフバランス化」が本年4月6日に「緊急経済対策」として取りまとめられたことから、これに伴う雇用のセーフティネットの確立を中心とした政策の実現に取り組んできました。
 
(2) このうち、道に対しては昨年12月、2001年度の予算編成に対応し、雇用不安の解消を道政の最大課題と位置づけるとともに、@本道の雇用・失業状況を拓銀破綻以前の雇用水準まで改善させるため策定した「5万人の雇用創出に向けた実施方針」を最終年度である2001年度までに達成すること。A公共投資の内容を見直し、雇用創出効果が大きく、かつ新世紀の北海道に求められる環境、介護・医療・福祉などの新社会資本を積極的に整備すること。B新分野などに係わる労働者の教育訓練、職業能力向上に対する支援を拡充すること。C緊急地域雇用特別交付金制度については、国に改善を求めるとともに、雇用吸収力が高い委託事業や雇用情勢が厳しい地域への優先採択すること。D解雇や労働条件など多発している労働者の個別的労使紛争の解決をはかるため、地方労働委員会による調査を制度化することなどを求めてきました。
 
(3) これに対し、道側は、「5万人の雇用創出に向けた実施方針」の雇用創出実績は1999年度は14,400人、2000年度は17,500人、合計31,900人であり、また、臨時応急的な事業(緊急地域雇用特別対策推進事業)による雇用創出事業は15,176人(99年度4,169人、00年度11,007人)であり、引き続き金融の安定化対策、雇用の維持・確保対策、雇用創出対策等に取り組み、実効性を確保するとしています。
 また、個別労使紛争については、労働審議会の意見等を踏まえ、道の労働相談機能のあり方や個別的労使紛争処理機能の整備について、考え方を早期に取りまとめるとしています。
 
(4) また、金融機関の「不良債権処理」の実施に係わる雇用・失業対策の強化については、知事や北海道地方労働局に対しては5月に、厚生労働省に対しては8月に、@解雇規制の法制化と労働者保護施策の徹底、A不良債権処理に伴う雇用保険給付の特別延長や緊急能力開発基金の創設などの雇用のセーフティネットの拡充、B雇用創出の強化と新たな地域雇用創出特別交付金制度の創設、C離職者、失業者の援護・生活対策、D貸し渋り連鎖倒産防止の金融対策について求めてきました。
 
(5) これに対し、道は「政府は、経済再生の第1歩として、今後2〜3年で不良債権問題の解決を目指すとしているが、このことは、新たな失業者を発生させることになり、本道にとっても大きな影響が懸念される」との認識を示し、「改革と一体となったセーフティネットについての万全の措置」を求めることとしています。
 しかし政府は、不良債権処理が雇用に与える影響については、民間調査機関の予測を大幅に下回る「13〜19万人の失業者の発生」(内閣府試算)と、未だセーフティネット策を示さず、雇用創出についても新分野を含むサービス分野において5年で530万人の雇用を期待すると示すにとどまっています。
 
(6) 以上のように政府の雇用対策は、失業者、離職者の支援は、従来施策の延長の域を出ておらず、また、雇用創出等も具体性や実現性が欠けており、このままではこれまでの政策の経済対策や問題先送りの金融政策の失敗を全面的に勤労者に転嫁するものとなりかねません。
 また、本年6月26日の「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」を踏まえ、財政面における抜本的構造改革の第1歩として国債発行額を30兆円に抑えることを目標とした2002年度の予算の概算要求の基本方針(2001年8月10日閣議了解)では、公共投資関係費については、前年度予算の10%の削減や補助金等や地方交付税により手当てする地方歳出を見直すとしており、地方において最も大きな雇用の場となっている建設産業がこの影響を強く受けることが予想される状況にあります。
 
(7) このため、連合北海道は、政府や道に対し、「雇用不安の解消」を全ての政策に最優先させることを求め2001年度の予算の補正や2002年度予算の編成に反映させるため、産別・地協・地区連合が一体となり、地域雇用闘争を展開します。
 具体的には、民主党北海道との間で常設している北海道経済雇用政策推進本部を軸に、この秋から年末にかけて、現地調査活動、政策要求の策定、署名運動、キャラバン活動、自治体議会決議運動、対道、対政府交渉などに取り組みます。
 
(8) 政策要求の重点課題としては、@非自発的離職者の雇用保険給付期間の延長、A緊急能力開発基金創設による長期の職業訓練、教育の実施、B有期雇用契約期間の見直し、裁量労働制の更なる緩和、整理解雇規制の緩和等の反対、C新緊急地域雇用特別交付金制度の創設、D中小企業の金融対策の強化、E建設事業の新分野進出による雇用確保支援などを中心にした万全なセーフティネットの確立を求めることとします。
 また、道に対しては、5万人雇用創出計画の達成はもとより、2002年度以降についても「新たな雇用創出計画」の策定を求めていくこととします。
 
2.エネルギー問題の取り組み
 
(1) 幌延「深地層研究所(仮称)」設置問題について
 
 @ 旧科学技術庁(現文部科学省)及び核燃料サイクル開発機構から申し入れのあった幌延町への深地層研究所の設置問題について、私たちは、昨年7月31日の産別・地協代表者会議で「見解と対応方針」を取りまとめました。
 その内容は、深地層研究所問題の最大の争点は「この研究所に放射性廃棄物を持ち込む計画か否か」にあるとした上で、国やサイクル機構の申し入れ内容や方針・見解を精査し、深地層研究実施区域においては、放射性廃棄物を持ち込ませない、処分場にさせない担保措置として協定・覚書・確認書の締結を求めることとしました。
 A また、深地層研究実施区域外の地域においては、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」等により、処分場や貯蔵施設が立地されないよう、条例や議会決議議会宣言等により、道内全域の核廃棄物の持ち込みや貯蔵・処分場を認めない措置を求めることとし、道に対し研究実施区域内における協定等の措置と一体的に取り組むよう求めることとしました。
 B その後、道は幌延町やその隣接自治体など、道内9カ所において、この問題に関する「道民のご意見を聴く会」を開催(8月3日〜8月21日)し、道の基本的考えについて道民の意見を把握するとともに、9月14日には関係市町村長に対し、「地元の意向」を照会しました。
 しかし、こうした周辺自治体の意見聴取のさなか、道がこの問題に対する基本方針の中で、「将来とも放射性廃棄物を持ち込ませない、貯蔵や処分場とさせない」ための方策の一つとして掲げている「条例」について、知事が定例記者会見(9月18日)で否定するかのような発言を行いました。
 このため、連合北海道は改めて知事の見解を明確にするよう求めた結果、同年9月29日に道としての担保措置の考え方は、基本方針通りである旨、回答がされました。
 C こうした状況を踏まえて、同年10月6日、幌延問題5団体代表者会議(連合北海道、民主党北海道、公明党道本部、道民社協会、道平和運動フォーラム)において協定内容の補強項目に加え、「道内に放射性廃棄物を受け入れる意思はなく、放射性廃棄物の中間貯蔵施設や処分場を受け入れる意思はない」との道民と北海道の意思を明確にするための条例の制定を最優先に取り組むよう、知事に求めることとし、道民合意についても当該幌延町はもとより、周辺自治体の理解・同意を得ることを求めました。
 D これに対し、堀知事は、10月14日の道議会において「放射性廃棄物を長期間にわたり安全に処分するための技術の確立が求められている」とし、留萌管内幌延町に計画している深地層研究所について受け入れる方針を表明、10月16日に「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」を制定、11月16日には「幌延町における深地層の研究に関する協定書」を締結しました。
 また、道民合意についても、条例の制定後や協定締結後の各々の段階において、道の基本姿勢、方針、措置内容について説明してきたとしています。
 E これについて、私たちは、本年2月に幌延問題検討委員会を開催し、総合判断としては、「基本的な要求は満たされていることから、国及びサイクル機構の申し入れの深地層の研究は認める」が、「措置状況が必ずしも万全でないこと、周辺自治体からの不安の指摘」を踏まえ、(a)道の「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」の完全履行、(b)「幌延町における深地層の研究に関する協定」の遵守、(c)幌延町の「深地層の研究の推進に関する条例」の履行について点検、監視するため「深地層研究監視連絡会議」を設置し、継続して取り組むこととしました。また、あわせて高レベル放射性廃棄物の受け入れを拒否する条例・決議・宣言等の制定に取り組むとの総括原案を示し、産別・地域討議の後、執行委員会で確認、了承されました。
 F したがって、今後も5団体による監視連絡会議を軸に、核燃料サイクル開発機構の計画内容や事業内容を厳しく点検、監視するとともに、連合北海道として周辺自治体における条例、決議、宣言の制定運動や国への申し入れ活動に継続して取り組むこととします。
 
(2) ITERの苫東誘致問題について
 
 @ ITER問題については、連合北海道の組織内にITER問題検討委員会を設置し、1996年2月には中間報告として「核融合の研究開発については、人類の将来エネルギーを確保のための研究開発の一つとして認める」としながら、「放射性物質を取り扱う大型の実験施設であることからトリチウムや誘導放射能等の安全確保や環境保全問題等の課題」を取りまとめたところです。
 しかし、その後建設に多額な費用がかかることから米国が計画から撤退し、わが国も財政難から凍結されていましたが、凍結期限切れとなる昨年12月、科学技術庁は2001年度予算案に実施調査を目的とした調査費を計上したことから、誘致活動が本格化してきました。
 A こうした動向を踏まえ、連合北海道としても、ITERの苫小牧東部地域の誘致問題について一定の見解を取りまとめる必要があることから、昨年11月より、連合北海道ITER問題検討委員会における論議を再開することとしました。
 その結果、本年4月23日の第11回検討委員会においては、国際共同プロジェクトであるITERを本道の苫小牧東部地域に誘致する場合には、(a)ITERの建設、運転、廃止の全課程における安全性の確保、(b)ITER事業内容の徹底した情報開示、(c)立地によるデメリット(道や市の財政負担など)を含めた課題の提起による道民、市民レベルの論議と合意形成が不可欠であるが、ITER計画内容自体の周知度も依然低く、また、地元連合組織はもとより、道民、市民レベルの理解や合意形成は進んでいないこと、また、特に道民が受け入れる際の大きな指標であり、国が国内候補地を選定する上で「基本条件」として掲げている「運転及びデコミッショニングにより発生する放射性廃棄物の処理、処分が行われることに地元の理解と協力が得られること」については、どのような方法で処理、処分を行うのか具体的に示されておらず、したがって安全性の確保が図られるのか現段階では判断できる状況にない」とし、知事に対し、慎重かつ賢明な判断を下すよう申し入れるべきであるとの見解を取りまとめました。
 B これを受けて、連合北海道は、道を通じ、文部科学省に対し、処理、処分の具体的方策を明らかにするよう再三に亘って求めてきました。
 しかし、文部科学省はこれに応じることなく、7月5日付でITERサイト適地調査に踏み切りました。
 このため、連合北海道は、本年8月、文部科学省に対し、「このような手段、手続きを欠いた選定方法は容認できない」とし、こうした現状においては「苫小牧東部地域に選定することに反対」であることを表明しました。
 今後もこうした見解にわたって対応することといたします。
 
(3) 石炭・産炭地域問題について
 
 @ 第8次石炭政策(1987−1991年度)及び現行石炭政策(1992−2001年度)下でのナダレ閉山により、道内では7炭鉱が閉山し釧路の太平洋炭鉱1山を残すのみとなり、空知地域を中心とする産炭地域では、疲弊の一途をたどっております。
 A 連合北海道は結成以来、石炭・産炭地域対策委員会を中心に炭鉱の長期存続と産炭地域の振興を国や道に求め続けてきております。また、北海道石炭対策連絡会議(代表世話人 北海道知事)とともに、東京、札幌、産炭地域等において道民集会を開催してきました。
 B その結果、政府は、現行石炭関係諸法が今年度末を持って終了した後も、わが国の優秀な石炭技術を持って国際貢献を果たす「技術移転5ヶ年計画」を決定し、太平洋炭鉱も存続が図られることになりました。また、疲弊著しい産炭地域に対しても、激変緩和措置が執られることになりました。
 C しかし、太平洋炭鉱は昨年来から採掘条件が悪化したことに加え、本年2月の自然発火災害により厳しい経営状況となり、連合北海道は炭労とともに、直ちに道及び北海道経済産業局に対し、長期存続を図る支援協力の要請行動を行いましたが、依然、太平洋炭鉱を取り巻く環境は厳しい状況にあり、存亡の危機に直面しております。
 D 今後は、石炭対策連絡会議等の関係団体と連携しながら、国際公約であります「技術移転5ヶ年計画」の達成と地域の経済安定・雇用確保の観点から、行政及びユーザーへの支援、協力を求め、太平洋炭鉱の長期存続に取り組みます。
 E また、産炭地域の衰退に歯止めをかけるため、産炭地域振興臨時措置法終了に伴う激変緩和措置の充実を求めていきます。
 
(4) 省エネ促進、新エネ導入について
 
 @ 昨年9月、泊原発増設問題に関連し、道は「社会経済活動や生活様式のあり方を見直し、環境に優しい新しいエネルギーを育むことにより、人と自然が共生し、環境と調和した社会を築くため、「エネルギーの使用の効率化」と「新しいエネルギーの開発や導入」に積極的取り組み、持続的発展が可能な循環型の社会経済システムを作りあげるため、「北海道省エネルギー、新エネルギー促進条例」を制定しました。
 A その後、道は省エネルギーの促進並びに新エネルギーの開発及び導入の促進を総合的、計画的に推進するため、中長期的な方針や目標を示す行動計画を近く取りまとめることとしています。
 連合北海道としても「電源開発問題検討委員会報告書」で取りまとめた省エネルギーの推進策や、風力・太陽光発電、廃棄物発電・熱利用、燃料電池などの新エネルギーの道内における導入促進に向け、自治体や道民団体と連携し、積極的に政策の実現を求めていくこととします。
 
3.医療、年金、介護、福祉の充実の取り組み
 
(1) 私たちは、本年の2001年春季生活闘争の道内における政策・制度の改善課題として、町村部を中心とした医療過疎の問題、とりわけ、自治体立病院等における医師不足の解消に向け、学習会の開催や署名運動、知事への議会意見書採択運動などに取り組んできました。
 医師の確保が困難の理由としては、へき地においては医業として成り立ちにくい背景があり、また、地域医療を担う公立の病院、診療所においては、医師配置が少人数で重い負担と責任のもとにあること、医療研修機会が少ないことによる医療技術上の不安等があり、そのため道内10,990人の医師のうち都市部(34市)には9,927人、町村部(178町村)にはわずか1,063人という偏在状態にあります。
 その結果、医療過疎地域の住民は「保険あって医療なし」や「遠距離通院」を強いられており、この状態は更に悪化の状況にあります。
 この状況を打開するためには、地域の医療提供体制の整備に責任を有する道が、地域が必要とするプライマリ・ケア医の養成・研修や自治体病院への派遣などについてコントロールする役割を果たすことが求められています。
 
(2) こうした私たちの地域の取り組みや提起などにより、本年6月より「僻地医療支援対策検討委員会」(道内3医育大学、医師会、市町村会、連合北海道などで構成)が設置され、9月にも一定の方向性が示されようとしています。
 連合北海道としては、既に示しているとおり、地域医療を担うプライマリケア医の養成・研修機能を有した地域医療支援機構の設置を求め、明年の開設に向け、予算編成に対応していきます。
 
(3) 今、国民医療費は増加の一途を辿っており、とりわけ、介護保険制度施行後も老人医療費の膨張は止まらず、老人拠出金増大による各保険者の財政は危機的状況にあります。
 国民が将来にわたって安心して良質の医療サービスが受けられるため、2002年度に@診療報酬制度の改革、A新たな高齢者医療制度の創設、B医療提供体制の改革等の医療・医療保険制度の抜本改革を実現するため、連合本部の提起する地域運動を積極的に展開します。
 
(4) また、第1号被保険者の3分の1を超える人が保険料を納入していない「年金の空洞化」問題を解消するため、基礎年金の税方式への転換を射程におき、国庫負担割合を2分の1へ引き上げることを中心とした安心と信頼の年金制度の構築や、要介護認定の正確化や家事援助と身体介護の区分の見直し、低所得高齢者に対する支援措置、ホームヘルパーやケアマネージャーの待遇改善など、介護保険制度の改善・充実に向けて、対政府、対道交渉を展開します。
 更に、保育所の待機児童の解消、無認可保育施設の届け出義務化、学童保育の拡充に向けた取り組みを進めます。
 
4.分権改革の取り組みについて
 
(1) 本年6月、地方分権推進委員会は、地方の税財源改革を中心とした「最終報告」を首相に提出しました。しかしここでは、@地方の歳出規模と地方税収の乖離(かいり)の縮小、A住民の受益と負担の対応関係の明確化の観点から、充実確保を図るという方向性を示すものにとどまっており、具体策は7月に発足した「地方分権改革推進会議」で検討されることとなっています。
 
(2) 大規模な国庫補助負担金の廃止・整理が進み、これを財源にした税源移譲が実行に移されれば、住民の「受益と負担」の関係が明確となり、住民主体の新たな地方自治の展開となることが期待されますが、現在の政府の検討状況は地方交付税の1兆円削減論など「税源移譲なき削減」の危険性が極めて高い状況にあります。
 このため、連合北海道に設置している「地方自治体財政問題検討委員会」を中心に地方財政改革を求める道民運動を展開します。 
 
(3) 二期目の折り返し点を経た堀道政のもとで公約である「支庁制度改革」や「北海道行政基本条例」の取り組みが具体化しつつあります。
 支庁制度については本年3月末、支庁制度検討委員会から「支庁改革に関する試案」が提出され、現在、道行政において支庁改革の実施方針の作成に取りかかっています。
 連合北海道は、地域から発する道政への転換を理念とする試案の考え方に基本的に評価し、更に問題点、課題などについては、政策委員会で取りまとめ、実施方針等に反映されるよう求めていきます。
 また、道行政の運営の基本原理を定める北海道行政基本条例については、政策委員会の論議を重ね、道民投票制度など折り込むべき内容について提起することとします。
 
5.堀道政に対する今後の政策対応について
 
(1) 第2期堀道政の折り返し点を経過した本年4月、私たちは、年次大会の方針に基づき、連合北海道政策委員会に「堀道政検証委員会」(委員長 船水博事務局長)を設置し、検証作業に取り組んできました。
 この検証委員会の任務は「これまでの堀知事の政治姿勢や重要政策の判断について、連合北海道の方針・施策や選挙公約の上に立ち、検証するとともに、残る任期の課題と政策方向については提示する」ことにおきました。(中間総括)
 
(2) 検証結果は別冊資料の通りです。私たちはこの中間総括を踏まえて、今後、第2期堀道政の最後の政策予算となる2002年度の道予算や政策に反映するよう取り組んでいきます。
 また、本格的な総括については、来年春以降、取り組むこととします。
 
6.道及び国への政策要求活動について
 
(1) 私たちは、これまで毎年、道や国の予算編成期に勤労道民の立場に立脚した「政策・制度の改善要求」を掲げ、連合北海道の国会議員団会議(鉢呂吉雄会長、衆・参議院議員11名)、道議会議員団会議(鈴木泰行会長、道議会議員38名)との協力・連携により、実現をはかる取り組みを実施してきました。
 
(2) 2002年度の道の予算編成に対しても、10月末までに政策委員会の検討・論議を踏まえて「要求と提言」を取りまとめ、11月の要求書提出と交渉を開始し、2月初旬の決着をめざして取り組んでいくこととします。
 「要求と提言」の策定に際しては、現下の最大の道政課題は引き続き「雇用問題」であることを踏まえ、新たな「北海道雇用推進行動計画」の策定を求めていくこととします。
 また、知事公約を踏まえた自治・分権の北海道づくり、少子高齢化対策、環境政策、総合交通政策や教育政策課題など道政全般に対し政策提起することとします。
 
(3) 北海道に係わる国の2003年度の予算編成に対しても、4月より政策委員会の論議を行い、7月の中央省庁交渉や、予算確定期(12月)における大臣交渉を配置し、政策実現に取り組むこととします。
 
 
1.憲法を擁護し、平和と軍縮を拡大する運動の推進 
 
(1) 道内の平和・軍縮の推進について
 
@ 連合の平和と軍縮に関する運動は、「連合の進路」にある「日本国憲法の理念にそった自由、平等、公正で平和な社会の実現」「軍縮、核兵器の全面廃絶と国際緊張緩和のために努力し、世界平和の実現」を基本目標に、具体的な課題として、イ)軍縮の拡大・武器移転禁止、ロ)平和憲法擁護・核兵器廃絶・非核三原則の厳守、ハ)防衛費削減・日米安保の質的転換・日米地位協定と「思いやり予算」の見直しなどをかかげ、「平和が全ての基礎である」と位置づけてきました。
 連合北海道は、これら連合の平和・軍縮運動を道内で実践・実現するため、活動領域の拡大に努め、また、「運動継承団体」の解散や改組に伴い、課題の継承をはかる中で、憲法の平和主義擁護、戦争体験・被爆体験の風化を防ぎ、平和・軍縮の意識の向上、原水爆禁止運動の国民的統一と再構築をめざしてきました。
 
A 東アジアでは、朝鮮半島における緩和政策が進みつつありますし、中国の改革・開放がいっそう進むとともに、中台間の緊張も緩和の方向にあります。
 これらの情勢をふまえるならば、日米安保体制のもとで、アジア米軍の拠点と位置づけられてきた沖縄の米軍基地をはじめ、国内の米軍基地全体について、整理・縮小にむかうことは十分に可能です。
 しかし今日まで、96年のSACO合意は何ら実現されず、沖縄の基地の整理どころかむしろ引き続く女性暴行事件・放火等の刑事事件は拡大の傾向にありますし、重大犯罪における身柄引き渡しに関する地位協定運用もSACO合意から後退しています。いまあらためて、日米地位協定や「思いやり予算」など、わが国と米国の安全保障について関わる諸制度の妥当性について、国民的議論をする必要があります。
 北海道は、米ソの東西冷戦の時代に、旧ソ連邦と隣接する地理的関係から、冷戦の最前線として位置づけられて、自衛隊基地や演習場が数多く設置され、日米合同演習や自衛隊による北方機動演習など大規模な軍事行動が展開されてきました。その環境のもとで、7月には千歳市島松射爆演習場の周辺において、北広島市の住宅街に航空自衛隊の戦闘機から訓練弾が誤射される重大な事故もありました。これを契機にこの北海道でも「基地と被害」について問い直しが行われるべきです。
 
 連合北海道の平和運動は、道内の平和と軍縮をより幅広い運動とする観点から、可能な限り連合北海道が中心となるよう合意形成に努めてきました。
 今後も、組織財政特別委員会の答申を待って、運動領域の拡大に努めなければなりません。
 
(2) 米軍実弾演習の矢臼別移転に反対する運動
 
@ 沖縄米軍の実弾演習矢臼別移転に対する運動は、今年演習がなかったため、具体的な反対行動はありませんでした。
 しかし、「米海兵隊を含む兵力削減による米軍基地の整理縮小を求める署名」について、連合北海道としては、@米軍実弾演習の矢臼別移転演習が行われていること。A米艦船の入港が集中していること、などから、より積極的に取り組むこととしました。
 これは、今年になってからの米海兵隊による強制わいせつ事件をはじめ、暴行事件のあった95年から一向に改善しないどころか、在韓米軍の同様の事件頻発、「えひめ丸事件」など、米軍の綱紀粛正と規律保持を求める声は、米軍が駐留する各地・各国で起こっており、これら隊員の規律問題に対し、沖縄県議会を筆頭に県内全自治体議会が「海兵隊の削減決議」をする状況となっていることに鑑み、連合沖縄が県民運動を提起したもので、連合沖縄よりの支援要請を受け、連合中央として取り組むこととなり、全国100万署名をめざしましたが、短期間にもかかわらず、120万の署名が集まりました。連合北海道は産別縦の取り組みにあわせ、地域組織に広げて取り組みました。
 
A また、例年の道政への政策要求において、北海道知事に対し、地位協定の見直しを含む7項目の早期実現などの申し入れを行いました。
 1月28日に行われた大分県日出生台演習場の実弾演習反対九州ブロック集会には代表を派遣し、連帯挨拶を行いました。また、2月の連合大分総括会議に現地別海地区連合の代表が参加しました。
 今後は年度内をめどに、現地学習会の開催、住民組織との連携強化などを図ります。
 
B この移転演習については、政府の「5ヶ所持ち回り」の方針によって、今年度は行われませんでした。しかし、演習場内では環境向上の名目で施設整備が進められ、騒音被害による農家立ち退きが進むなど、全体的に「固定化」されつつあることは明白です。
 したがって、今後も同様に実施が計画されるならば、さらに強い決意を持って、演習中止に追い込む運動に取り組みます。
 具体的には対策本部で検討し、矢臼別からの発信と継続した大衆行動の積み上げなどを通じ、平和と軍縮を求める幅広い道民世論形成めざすこととします。
 
(3) 新ガイドラインなどに関する取り組みの推進
 
@ 「新ガイドライン」の問題点の理解を進め、道内各地域の平和運動の底上げと連合北海道の「平和と軍縮運動」への理解を促進するため、講演活動などに取り組みました。
 特に「周辺事態法」施行にともなって道内港湾・空港の軍事利用が頻発することについて、本道周辺での米軍の活動活発化は、周辺国との緊張を高め、道民の安全を脅かす観点から、函館・小樽・苫小牧・室蘭などへの米軍艦船入港では「核兵器搭載の疑惑」に基づく利用反対、さらに、帯広・釧路・中標津などの民間空港の軍事優先利用反対などの運動を進めてきました。
 
A 今後も「周辺事態法」など関連3法案とともに、「盗聴法」「国旗・国歌法」「住民基本台帳法改正案」など一連の法案について、国民の自由を制限し、基本的権利の侵害を招くとの連合の見解にしたがって、反対運動に取り組みます。
 特に、○港湾関係自治体における「非核証明書」を求める運動、○「平和自治体宣言」「核兵器廃絶宣言」をすべての自治体が行う運動など、地域の平和・軍縮運動のネットワーク化を図り、全道民的運動として取り組みます。
 また、引き続き「周辺事態安全確保法第9条(地方公共団体・民間の協力)の解説」に関して、職場との検証を進め、産別方針の確立や地域の組織的な対応の方策検討、あるいは組合員個々の平和意識の強化など、組合員の安全を確保し、地域の平和を守る観点から運動を進めます。
 
(4) 憲法擁護と平和運動の拡大について
 
@ 憲法の平和主義擁護の運動は具体的には、○平和問題シンポジウム・セミナーの開催、○産別・地域の平和・軍縮集会支援、○不戦を誓う戦争犠牲者の慰霊・自治体の平和事業の実施状況の点検、○憲法を道政に生かし、平和確立に寄与する道政の実行など、戦争体験の風化をくい止め、道民の生活と安全を守る、平和と軍縮を求める大衆運動を一層活発に取り組まなければなりません。
 道内の護憲運動の再構築と昂揚を図るため、憲法記念の諸行事、開戦・終戦記念日への対応について、組織財政特別委員会の決定に沿って、取り組むこととします。
 
A 有事法制について政府は1977年以来、「立法準備ではない」ことを前提に研究を続けていますが、小渕政権時代の自自公3党は立法化に着手することで合意し、先の森首相は147国会の所信表明演説で歴代首相として初めて有事法制について言及し、法整備に積極的な姿勢を示しました。
 連合は99年の定期大会で決めた政治方針で「防衛政策では平時対応・周辺事態対応・有事体制の区分のなかで国民的論議を行えるよう努める」と、この議論については必要との立場をとりつつも、@歴史教科書問題や靖国参拝など小泉政権の歴史・時代感覚に明らかな錯誤と意図あること、A日朝交渉再開や朝鮮半島情勢の好転、中台関係の緊張緩和などを考えるとき、いまいたずらに国民的議論なしに法制化まで進める必要はないこと、などから、いま政府が進めようとしている「有事法制議論」については強い懸念をもって対応し、広い国民的議論の取り組みを促すよう努めます。
 
B 「連合平和集会inオキナワ」は、この6年でのべ約230名が参加し、沖縄戦跡の視察や、基地の実態など「沖縄の歴史と現実」に触れた経験を、職場地域での平和運動に生かすことを目的としてきました。今年も、沖縄戦の語り部などをふくめ、11月上旬に予定しています。
 今後も「連合平和集会inオキナワ」への参加代表団の拡大や沖縄問題の諸行動への積極的な参加に努めます。
 
(5) 核兵器廃絶運動の推進
 
@ 世界の核兵器の現状は、未だ3万発を超える核弾頭が存在する状況の下で、米ロの核大国における核軍縮が一向に進まないどころか、インド・パキスタンへの核拡散が現実となり、また、米国・ロシアの度重なる臨界前核実験強行、さらに米国のCTBT(包括的核実験禁止条約)離脱宣言や、NMD(国家ミサイル防衛構想)・TMD(戦域ミサイル防衛構想)を発端とする核保有国間の軍拡など、核廃絶を希求する世界世論と時代に逆行する動きも顕著となっています。
 一方、96年には国際司法裁判所が「核兵器の原則違法」を勧告し、2000年のNPT(核拡散防止条約)の再検討会議が「核廃絶の約束」を明確にしたこと。さらに、98年からはじまった「新アジェンダ連合(ニュージーランドなど中堅8カ国連合)」の提唱する核廃絶アプローチへの支持の高まりをはじめ、世界各地で「非核地帯条約」(現在5条約)が進むなど、核兵器廃絶・反核平和の意識と運動は世界的にますます高まりつつあり、昨年11月に被爆地長崎で開催された「核兵器廃絶−地球市民集会ナガサキ」では、その運動と課題が集約されました。
 このような動きの中で、唯一の被爆国であり、「非核三原則」を国是とする日本政府の姿勢は、いまや世界の期待を大きく裏切るものと言わなければなりません。
 特に「核の先制不使用宣言」を拒否する核超大国に理解を示すような日本政府の姿勢は断じて容認できません。また、CTBT(包括的核実験禁止条約)の米国の離脱に同調するかのように、2003年条約発効に向けた努力を放棄するともとれる発言が外務省から発せられていることについても、これを是正させ、世界の核廃絶を実現する先頭に立つべく政府の姿勢を確立させなければなりません。そのためには、早急な国民世論の統一が必要不可欠であり、連合全体の運動となるよう、本部関係委員会等において引き続き提起します。
 
A 連合北海道は、「核兵器廃絶・核実験全面禁止」は全ての組織が一致して取り組む課題であるとの認識から、臨界前核実験反対・抗議行動には、在札幌米ロ領事館への抗議・集会の行動を続けています。
 また、ヒロシマ・ナガサキには、道内の反核団体が統一して参加する体制をつくるべきであると考え、連合・原水禁・核禁会議が協催する「ヒロシマ・ナガサキ平和集会」への参加などを統一行動と定めた、「統一代表団」を結成し、可能なところから一致した取り組みを進めています。
 第3回目の派遣となる今年は、参議院選挙で取り組み困難ながら、産別・地域の協力により約20名の代表団を送りました。
 今後も、道内各地において平和集会や語り部・学習会などを開催するよう促すとともに、連合北海道代表団の周辺メニューの豊富化、道内の原水爆禁止運動の再構築と活性化、産別・地域の参加体制の確立を図り、北海道統一代表団の拡大に努めます。
 
2.北方領土返還運動
 
@ 道民の期待したクラスノヤルスク合意の期限が終了し、領土問題と平和条約の解決・合意に何ら進展がない結果に終わりました。
 しかし政府は、外務省の汚職と人事をめぐるごたごたの中で有効な外交展開がないままに終始し、一部では「2島先行返還」が唱えられるなど、今日までの返還運動に冷水を浴びせる始末となっています。特に根室市で、この「2島先行返還」を容認する団体が政治的な背景のもとで結成されたことは、国民世論の不統一を醸すこととして、断じて容認できません。
 
A 連合は結成以来一環して北方領土返還運動に取り組んできました。しかし戦後半世紀を超えて何ら進展がない返還運動を考えると、いま、「4島一括」を堅持しつつ、視点を変えた返還運動のあり方を国民で議論すべき必要があります。
 連合北海道は今後も、返還運動団体の提唱する「街頭署名」「北海道・東北国民大会」や連合の主催する「北方領土返還実現!2001連合平和ノサップ集会」について、積極的に参加協力しますが、今日までのこのような運動に加え、「北方4島への自由訪問拡大」「平和条約の中身の議論」「あらゆる側面で日ロのパートナーシップを強める」ことにより、両国民の信頼感と共生意識を大きく高めるため、日ロの労働組合との関係強化、とりわけ隣国ロシア極東との相互理解と信頼の醸成をはかるよう、今日までの交流経験を生かして、「日ロ環日本海労働組合シンポジウム(仮称)」の開催について連合本部に働きかけます。
 
3.人権・人道主義にもとづく運動
 
@ 7年目を迎えた「アジア・アフリカ救援米運動」では、食料・農業・農村問題を考える運動とあわせた取り組みとし、地域カンパに取り組むとともに、北海道農民連盟傘下の農民の協力を得て、道内9ヶ所で救援田運動を取り組みました。豊作となった今年は約  トンの収穫を得ました。
 また、連合の人権擁護活動にも積極的に取り組み、「連合人権フォーラム」に参加しました。
 障害者・高齢者の社会生活の充実と社会参加など、基本的人権の確保を進める観点から、障害者団体の運動支援にも積極的に取り組みました。
 特に、「障害者にやさしい北海道検証の旅」は、連合北海道が参加してから5回目の取り組みを札幌市定山渓で実施しました。
 
A 今後も、国内外を問わず、各種災害による被災者への人道救援活動を迅速に取り組むとともに、飢餓や難民への救援、自然災害被災者への支援活動、世界人権宣言の普及と子供の人権を守る運動や少数民族問題の普及支援など、UNICEF(国連児童基金)や国連高等難民弁務官事務所・各種のNGOと連携をとりつつ、人権・人道主義にもとづく運動や活動協力に取り組みます。
 
○ 「アジア・アフリカ救援米運動」の収穫物と「茶碗一杯運動」で集められたコメは、飢餓で苦しんでいるマリ共和国・ラオス・北朝鮮などに、中央支援団体を通じ送ることとします。
○ 本部の提起する「愛のカンパ」を引き続き地域や街頭カンパなどで取り組みます。また「連合人権フォーラム」に積極的に参加します。
○ 障害者施設のバリアフリー点検や障害者ケアの実践訓練は、「ノーマライゼーション運動」「ユニバーサル・デザイン運動」へと発展しつつあり、今後も継続して取り組むこととします。
 
B 国際障害者世界大会(DPI)は2002年に札幌市で開催されます。連合北海道も大会の成功に向けて、組織委員会の活動を支援するとともに、大会の周辺で活動する障害者団体・NGO・NPOを支援する体制の構築に向けた取り組みを強めます。
 
4.教育課題の取り組み
 
@ いま、国内外で、いじめや中途退学、暴力肯定の風潮など、社会の混乱が深刻化しつつあります。
 日本国内においても、「新しい歴史教科書をつくる会」の社会科教科書が政府の検定を通過するという新たな状況の中で、教育3法が改定され、「教育基本法改悪」の動きなどとともに、自立や個性を否定し、画一化と押し付けによる教育制度改悪の動きも顕著になってきています。
 連合北海道は、「学校5日制」「私学助成」「教育費の負担軽減」「30人以下学級」「高校全入」「子供の権利条約の定着」など、民主的な教育の実現と教育制度の充実の観点から、教育関係産別や地域の諸団体と連携して取り組みを進めてきました。また「46協定改悪」問題では、教育労働者の労働条件確保に向けた公正なルールづくりの観点から、強圧的な北海道教育委員会の姿勢に反対しました。
 また、「国旗・国歌法案」成立を受け、教育現場にもたらす混乱と、「義務化・強制」に反対する視点から、学習会などに取り組みました。
 これら教育と教育現場に関する課題は、関係産別のみならず「子を持つ親」の立場から、広く議論をすすめることが必要です。これらを一元的に取り組むため、組財特別委員会での整理を進め「教育を考える会」(仮称)の設置を図ります。
 
5.自然と環境、食料を守る運動
 
@ 「食料基地北海道」の農・林・漁業の抱える様々な課題について、「食・みどり・水を守る道民の会」を中心に、次期WTO問題や、食料の安全確保と安定供給、森林の保護と林産業の育成、重要タンパク源としての水産・漁業の振興など、生産者と消費者の連携、地域経済の活性化の視点とともに、これら北海道を支える一次産業の維持に向けた施策の構築の運動に取り組んできました。
 いま、北海道の農業はWTO(世界貿易機関)体制に対応した政府の対応が遅々として進まない中、基本的には自由化と価格低迷のもとで、維持・存続には道民的な理解と支援が必要となっています。食料安全保障や多面的機能を評価する施策と費用負担などについて、国内農業の維持・持続の観点から、今後も適切な政策を求める必要があります。     漁業水産では、漁獲量管理(TAC)問題とともに、輸入拡大による魚価低迷など、引き続き厳しい経営状況が続いています。6月に制定された「漁業・水産基本法」の実施計画に対する運動など、引き続き進めなければなりません。
 さらに森林・林業では、森林法・林業基本法の見直し運動に取り組み、「国民・道民の森」を守る機能の充実と自然環境保全の体制構築などに取り組む必要があります。
 これら緊急・重要な課題については、今年9月に、共通テーマである「水」に関するシンポジウムを開催し、道民世論に問題提起しましたが、引き続き、「食・みどり・水を守る道民の会」で整理・検討しつつ、道民コンセンサスの形成を目指して、積極的に取り組むとともに、地域の運動を重視し、地協・地区連合と連携して「道民の会」の地域展開に努めることとします。
 なお、「食とみどり、水を守る全国集会」については、連合本部の積極的な参加と関与を求め、実行団体の統合と運動課題の整理を進めて、より広い参加が可能なものとなるよう働きかけます。
 また、農業団体労組の組織化を進め、運動基盤の拡大につとめます。
 
A 北海道の自然は国内に残された希少な自然として、「保全」が国民的に期待され、観光資源としても重要な要素になっています。一方、産業廃棄物処理場問題や相変わらずの開発優先行政など、逆行する動きも後を絶ちません。
 今後も、植樹活動や自然と親しむ活動など、自然環境保全の運動をより活発化させて、限りある貴重な自然を守る運動を強めます。
 地球温暖化防止、二酸化炭素などの排出量の削減問題については、世界的に急ぐべき課題であるにもかかわらず、米国の新しいブッシュ政権がCOP体制から離脱することを宣言したことは、大変残念であり、強く方針修正を求めなければなりません。また日本政府は一日も早い条約批准を行い、条約発効に寄与すべきであり、この促進運動に取り組みます。
 連合は「連合エコライフ21運動」を推進し、積極的に取り組んできましたが、今後も、流通・個人生活の省エネなど、将来の世代にツケを回さない運動に取り組みます。
 
6.各種道民運動・ボランティア活動の推進
 
@ コンサドーレサポーターズクラブ、エア・ドゥ後援会、赤い羽根共同募金、エイズ対策、脊髄バンク、あしながウオークラリー、交通事故撲滅運動など、連合北海道の社会的位置づけと道民生活の向上の視点から、様々な道民運動課題について取り組んできました。
 今後もさまざまなNGO・NPO活動に協力していきます。特に「有珠山噴火被害」に対して取り組んだ「災害ボランティア」と、DPI世界大会開催に関する「障害者ボランティア」の両面から、ボランティアの技術的な向上を積み重ね、また、構成組織のボランティア活動の経験交流や学習会などの取り組みを強めるため、NPO北海道会議などと連携し、「北海道勤労者ボランティア・サポートセンター(仮称)」の設置をめざした活動に取り組んでいくこととします。
 
A 連合北海道加盟の30万人組合員の新たな社会貢献活動の一環として創設してきた「働く仲間のミレニアム基金」運動の基金の造成と事業の展開については、前期に引き続き取り組んでいきます。
 基金の造成については、組合員一人500円テレカ一枚の拠出等により、当初の一億円を目標に取り組みを進めていきます。
 事業の展開については、今年度においてホームヘルパー1級資格取得受講料の助成を行ってきましたが、基金の造成状況をふまえた上で、新たな事業について検討していくこととします。
 
 
1.文化活動の取り組み
 
 労文協の主催する「全道勤労者総合文化祭」「文学散歩」などの文化活動を推進してきました。また、障害者関連団体や国際交流団体の開催する文化事業についても支援してきました。
 今後も、勤労者の文化活動について、組合員ニーズに応える活動のあり方など調査・検討を進めつつ、創立30周年を迎える北海道労文協の日常活動や各種行事を積極的に支援します。
 
2.広報活動の活発化
 
@ 「MONTHLYれんごう」の定期発行により、日常の運動周知と、各産別・地域の活動紹介など情報宣伝に努め、広報紙としての体制確立を進めてきました。
 今後も、正確な記事内容と、読みやすい紙面とするよう技術的な研鑽を重ね、また、定期発行体制の確保・充実に努めます。
 地区連合など地域の情報宣伝活動も活発化します。「MONTHLYれんごう」の地区版やカベ新聞を発行し、地域住民の目に映る情報宣伝活動に取り組むよう促します。
 産別・地協・地区連合を対象とした機関紙コンクールや担当者の技術レベル向上の研修会を開催します。また、多様化・一般化する組合員意識の把握に関する調査を企画します。
 
A 連合北海道のホームページを立ち上げ、春季生活闘争時や、平和月間、タイムリーなロシア情報など特色あるページと日々の更新につとめました。
 今後は、地協の情報をリンクさせるなど、連合北海道情報のネット化をすすめ、デジタル情報の積極的な開示と、双方向の広報手段として、充実させることとします。
 また、「メールマガジン」「文書伝達のデジタル化」を展望して、地協ネットワークについて検討します。
 
  ホーム・ページ アドレス  http//www.rengo-hokkaido.gr.jp
  電子メールアドレス center@rengo-hokkaido.gr.jp
 
B 連合北海道の宣伝車は旧労働団体からの寄付を受け、発足以来使用されてきましたが、老朽化が激しいことから、更新に向けた検討を始めることとします。
 
3.広報・道民運動の活性化
 
 「道民運動推進委員会」を開催し、産別・地域組織との意思疎通を図り、各種集会等への参加準備の確立を求めてきました。
 今後も、年間予定による計画的な運動展開に配慮した活動提起に取り組むこととします。
 
4.第73回全道メーデーの取り組み
 
@ 第72回メーデーは、道内195会場で、約20万人が集い盛大に行われました。
 今年は中央大会の開催日程が4月28日に変更されましたが、全道メーデーについては、従前通りの5月1日開催としました。
 また、各地区では地区連合が主導した実行委員会のもとで、勤労者・市民が参加して内容も創意工夫を凝らした中で開催されました。
 
A 第73回全道メーデーについては、5月1日開催を当面維持し、内容については全道メーデー実行委員会などで協議していくこととします。
 また、メーデーを国民の祝日とするよう、本部と連携して世論喚起などの活動に取り組みます。
 
 
1.女性の組織・運動参画の取り組み
 
(1) 女性活動組織の充実・拡大
 
 @ 1999年から改正男女雇用機会均等法・労働基準法、改正育児・介護休業法が、2000年からは派遣労働法が施行され、女性の職域が拡大されるなど表面上は性による差別は減少しつつあります。しかし、多くの女性たちは、賃金・昇進・昇格等様々な面で、未だに差別を受けているのが現状です。日本の男性の賃金を100とすると、女性の賃金は約64.6%、パートなどを入れるとおよそ半分と大きな男女間格差を示しています。
 パートや派遣などの不安定雇用労働者が著しく増加し、女性パート労働者の占める割合は40.1%、派遣労働者は78%以上となり、企業の都合の良い労働力とされています。 不安定雇用労働者の多くを女性が占め、女性の働く環境はますます悪化しています。女性労働者の労働条件の改善、雇用拡大等のため、労働組合への加入を働きかける取り組みが重要です。そのためには、労働組合を分かりやすく、参加・参画しやすいものにすること、さらに「労働組合=男性中心社会」というイメージを払拭し、男女がともに担い、推進する組織にしていく必要があります。
 A 連合北海道女性委員会は、男女平等参画社会の実現、改正男女雇用機会均等法・労働基準法の職場での浸透・定着を目指すなど、様々な運動を行ってきました。
 「均等法集会(4月)」では、各産別の取り組みにより男性の参加もありました。男女が安心して働くことができるために実効ある「仕事と家庭の両立支援法(仮称)」とするため、欧米の制度政策の現状や現行の育児・介護休業法と私たちが求める改正案について学習をしました。
 また、「はたらく女性の集会(9月)」では、「女性の参画で社会を変えよう!」というテーマで女性の参画の意義、女性が参画することにより、どう社会が変わるのか、女性の年金・税制、育児・介護、女性に対する暴力など話し合いが行われ学習を深めました。
 B 連合北海道は14ブロックに地域協議会がありますが、女性組織が確立されているのは、今年3月に桧山地協が女性委員会を、7月に帯広地区連合が青年女性委員会を発足し、6ブロックとなりました。今後、各地協と連携を密にしながら、女性活動担当者の配置を促し、女性組織の確立にむけ、取り組みを強化します。
 
(2) 男女平等参画推進をめざした「レディース・ステップアップ・プラン」の具現化
 
 連合北海道は、1991年に「レディース・ステップアップ・プラン」を策定し、女性参画の促進に積極的に取り組むことを確認してきました。第3期目標期間の目標は達成することができませんでした。しかし、この間、連合北海道女性委員会は、特別執行委員1名のところを2名としました。
 2001年は「レディース・ステップアップ・プラン」の取り組みの最終年度となり、達成度のチェックをするため、組織実態調査をするとともに、専門委員会として設置する「男女平等推進委員会」で、目標の見直しなどの取り組みを進めます。
 @ 各構成組織に女性組織の配置を促し、自信を持って活動できるよう連携を図っていくこととします。
 A 女性執行委員をすぐに配置できない組織については、女性代表に特別執行委員とする等、活動に参画し女性の裾野を広げていくこととします。
 B 女性執行委員の実態把握のための調査を行い、組合員総数に占める女性組合員の割合にふさわしい参加・参画を実現するための努力をしていくこととします。
 C 各級決議機関の構成員(代議員・中央委員等)に女性の積極的な参加を要請します。
 D 設置された「男女平等推進委員会」に女性委員会として積極的にかかわっていきます。
 
2.女性に関する政策・制度の取り組み
 
(1) 男女平等の社会づくり
 
 1999年6月23日から施行された「男女共同参画社会基本法」の理念をもとに女性と男性があらゆる分野に参画し、男女の人権が平等に尊重され、公平な社会の実現を目指さなければなりません。そのためにはあらゆる政策及び計画にジェンダーフリー(社会的、文化的につくられた性差を取り除く)の視点を組み入れ、男女平等を進める観点から法・制度等の改善に取り組みます。
 @ 固定的な男女の役割分担を前提とした様々な制度・慣行が間接的に男女差別の要因となっており、これらの政策・制度の見直しを進めます。
 A 夫婦別姓も選択できるなどの民法改正の実現を進めます。
 B 世帯単位を中心とした税制、社会保険制度などのあり方を世帯間の公平性に配慮した個人単位に改める議論を進めます。
 C 女性が多くの役割を担っている妊娠・出産、育児や介護に係わる負担の軽減は、男女平等参画推進と密接不可分の関係にあり、これらを改善するため、現行の育児・介護休業法を抜本改正し、「仕事と家庭の両立支援法」の制定を求めて活動を進めます。
 D 女性の人権を保障するため、性の商品化や暴力を許さない社会を目指し学習を深めるとともに対策の必要性を自治体に働きかけます。
 E 2001年10月から施行されるDV法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)の学習を深め、3年後の見直しに向け、取り組みを強化します。
 F 男女平等教育推進のため、家庭科、体育等の男女共学・男女混合名簿等の取り組みの意義を学習するとともに、啓発・実践活動を求めていきます。
 G 道の「男女平等参画計画」の策定に向け、私たちの要求を盛り込ませるよう取り組むとともに、地方自治体に対しても「男女平等参画条例」、「男女平等参画計画」を策定するよう働きかけます。
 H 労働省女性局や地方自治体の女性行政担当者に対し、行政指導・啓発活動、労働相談活動の積極的な取り組みを求めていきます。
 
(2) 雇用における男女の機会と待遇の確保
 1999年4月から改正「均等法」・「労基法」・「育児・介護休業法」が施行されています。職場の男女平等を一層進めるため、浸透・定着させる取り組みを強化します。
 @ 改正均等法・労基法を浸透・定着させるとともに、労働者派遣法、パート労働法などの学習をし、改善を求めていきます。
 A セクシュアル・ハラスメント防止のため「連合の取り組み指針U」に基づく労働協約化等の活動推進を図ります。
 B 母性保護の充実に向け、「連合の母性保護に関する労働協約指針」に基づいて労働協約化に取り組みます。
 
 
1.政治センターの活動強化について
 
@ 連合北海道は、2000年2月に連合の政治活動を一元化する受け皿として「政治センター」を発足させ、政権を担いうる新しい政治勢力の結集をめざし昨年6月の第42回衆議院総選挙闘争、そして本年7月の第19回参議院選挙闘争に取り組んできました。
 衆議院総選挙では「二大政党的体制への政界再編」と「民主党を基軸とした勤労者・市民を基盤とする幅広い政治勢力の結集」を掲げ闘い、日本の政治を二大政党的体制へ一歩押し進め、21世紀に政権交代の可能性を切り開く結果を生みだしました。
 
A これに続く今次の参議院選挙では、参議院で自公保連立与党の過半数割れを実現すれば民主党を中心とする政権への展望が自ずと開かれるとして、北海道選挙区で民主党公認の現職・小川勝也氏を組織推薦、比例代表選挙では、連合組織内候補9名の推薦と民主党北海道北海道の戦略候補の竹村泰子参議院議員を支持して闘いました。
 しかし、闘いの結果は、選挙区で現職二期目の議席を守り抜いたものの、道内13小選挙区すべてにおいて自民党に首座を渡すという厳しいものとなりました。また、比例代表選挙においては、今回から導入された「非拘束名簿方式」のもとで行われたはじめての選挙で、組織内候補の当選は6名にとどまり3名が惜敗、民主党北海道の戦略候補の竹村氏も議席を得ることができず大変厳しいものとなりました。
 
B 次の国政選挙はいつ行われるか不明ですが、衆議院・参議院とも3年以内に選挙があることは確かであります。それに向かって連合北海道はこの2年間の闘いの総括をふまえ、政治活動、選挙運動のあり方を再確立しなければなりません。
 連合北海道に結集している全ての組合員が政治活動の目的と必要性をしっかりと互いに理解し、連合北海道・構成産別・単組・支部・分会、そして連合の地協・地区連合への求心力を着実に培っていく活動を進めていきます。
 具体的には、政治センターのもとで政治研修会をはじめ選挙活動の実践研修会を企画し職場・地域の活動家の育成・強化を図っていきます。
 また、地域における連合の政治活動の強化にむけて課題の整理を行い、各地協段階における政治センターの設置について検討をすすめていきます。
 
2.連合北海道議員団会議との連携強化
 
 連合北海道は、これまで自らの政策・制度課題の実現にむけて、国会議員団会議および道議会議員団会議を開催し、中央省への政策要請、道予算への政策・意見反映に努めてきました。
 今後とも議員団会議との定期的な政策・意見交換に努めるとともに、国会議員・道議会議員を講師にした時局の政策研修会を開催し一層の連携と政策課題の意見反映に努力していきます。 また、市町村議員との連携について、いくつかの地域において議員団会議等を設置し、地協・地区連合役員との意見交換、地方議会での政策・制度課題の実現にむけた活動をすすめてきておりますが、その取り組みの実態を把握し全市町村での取り組みを推進していきます。
 
3.政治政策推進資金の対応について
 
 懸案であった連合北海道としての政策・制度課題の実現をめざすための政治政策推進資金の取り扱いについては、「組織・財政特別委員会の第4次提言」に基づき、前期の中で資金の確保に向けた基本的な考え方を構成産別全体の討議で確認し、昨年の第12回年次大会で決定し実行に移してきました。
 今年度も構成産別の協力を得て、年末時期(12月)における「政治政策推進カンパ」実施と毎月の政治政策推進資金の分担金の拠出に取り組んでいくこととします。
 なお。各地協段階における資金の取り扱いについては、全体的な資金計画の進捗状況を見た上で検討をしていくこととします。
 
4.2003年統一地方選挙の対応について
 
@ 2003年4月の統一地方選挙の対策については、政治センター幹事会や地協事務局長会議を場に、知事・道議候補の推薦をはじめ選挙体制の確立について検討し、明年の年次大会に具体的な取り組み方針を提起できるよう作業をすすめていきます。
 
A 各市町村で実施される首長選挙については、勤労者中心の行政を推進推進することを基本に、当該の地協・地区連合の方針により取り組んでいくこととします。また、地方議員の確保・拡大にむけ市町村議員候補の推薦については、首長選挙の扱いと同様にしていきます。
 なお、具体的な推薦作業にあったては、当該の構成産別が一致して取り組める候補の擁立に最大限に努力していくこととします。基本的には、当該地協・地区連合の判断を尊重していくこととしますが、産別調整の必要が生じた場合には、地協と協議のうえ対応することとします。
 
 
 
1.自主福祉運動の強化について
 
@ 連合北海道は、労働者自主福祉運動の充実・強化にむけて、労働福祉対策特別委員会を場に、労金、全労済、住宅生協、医療生協など各事業団体の事業推進と職場組合員の利用率の向上にむけた産別・単組、地域の推進体制の再構築に取り組んできました。
 具体的には、2001年度を「労働者自主福祉運動・元年」と位置付け、連合・労福協・労働福祉活動推進本部が三位一体となり、地域・職場の推進体制の整備と各事業団体の商品メニューの周知活動の徹底を図り利用率の向上による組合員の生活改善運動として進めてきました。
 
A その第一弾として具体的に取り組んだ「ろうきん運動推進」については、連合北海道の強化方針を独自にたて、各産別の共通運動課題に「労金メイン化運動」の実践活動を展開する「職場推進委員会」の点検・再整備、ランクアップ運動の推進を掲げ、モデル産別・単組を指定し、職場における自主福祉運動の再構築に取り組んでいます。
 今年度は、モデル産別・単組における具体的な取り組みの成果と課題を整理し、職場における労金メイン化運動、職場推進委員会活動をさらに拡大・強化を図っていきます。また、全労済の生活保障設計見直し運動や、持ち家・リフオームなど住宅生協の利用拡大、近隣職場の定期健康診断など医療生協の利用拡大について産別・単組の取り組みを要請していきます。 
 
2.推進機構の整備について
 
@ 21世紀に入り、金融ビックバンや市場経済の著しい進展の中で、金融機関の淘汰や系列化の動きが激化し、金融再編成が一層加速する状況にあります。このような中で、労金・全労済・住宅生協・医療生協の労働福祉事業団体もこれらの動きと無縁ではありません。労働団体にとっても新しい時代に対応した労働自主福祉運動の強化が喫緊の課題となっており、中期的視点にたった事業・運動推進体制を一段と強化していくことが求められています。
 
A 連合北海道は、こうした現状に鑑み21世紀の視点を見据えた労働福祉運動のあり方について検討を加えるとともに、労働福祉活動推進本部と労福協の組織合同について、労福協・労金・全労済・住宅生協・医療生協・推進本部・連合の共同作業で「労福協機構検討委員会」を設置し、具体的な検討作業を進めています。
 
B 連合北海道は、この検討委員会の成案をふまえ、連合未加盟組織やOBをはじめ未組織労働者を含めた地域における幅広い労働福祉運動の推進にむけて、懸案であった労福協と一体となっ全地協・地区連合の労働福祉活動推進機構の整備・設置を検討していくこととます。
 
 
1.定期交流・海外視察の活動
 
@ 国際交流については、北海道に近接する北東アジア圏を重点にして、中国東北三省、ロシアサハリン州との交流の強化に努めました。
 
 ロシア連邦サハリン州との交流では、11月初旬に代表団を派遣し、定期交流を継続します。
 また、2000年12月には、北海道・サハリンの両行政府間の研修事業の一環である労働関係研修者の受け入れについて、対外文化協会とタイアップしました。
 
 中国とは、2000年12月に代表団を派遣し、改革・開放に向かう中国の労働運動の現状と、北海道の労働運動の現状のなどについて、相互理解をすすめる交流を行いました。
 
A 2002年度は、ロシアサハリン州・中華全国総工会との定期交流を行うとともに、朝鮮半島両国の勤労者交流についても検討します。
 また、北海道対外文化協会の海外事情視察や北海道・サハリン労働研修事業、ILO海外労働事情視察、友好団体の企画する各種交流にも積極的に取り組みます。
 その他、連合本部や海外交流団体の海外視察に積極的に参加するとともに、青年・女性交流や雇用・社会制度に関する海外事情の把握をすすめる視察も適時に企画して実施します。
 
2. 国際交流諸団体との連携
 
@ 北海道日ロ協会、日中友好道民運動連絡会議などの民間交流団体へ支援・協力を行うとともに、北海道対文協の活動強化に努めてきました。また、在札幌外国領事館の諸行事にも参加してきました。
 
A 従来北海道の労働組合が窓口として主体的に役割を担ってきた「旧共産圏」との交流も、中国の海外渡航開放やロシアとの渡航手続き緩和などにより、広く各界の交流が取り組まれるようになりました。
 したがって、今日まで主体的に労働組合が組織と財政を担ってきた国際交流団体には、活動領域の整理と統合などにより、組織的・財政的な自立を求め、負担の軽減に向かう「あり方検討」を促します。
 また、今後の国際連帯と交流のあり方について、産別との協議・調整をはかります。