「さっぽろ駆け込み寺」取り組み報告書
〜非正規労働者の失業と貧困〜
 
 
 
 
はじめに
 
 連合北海道は、昨年11月27日、米国のサブプライムローン問題に端を発した世界同時金融危機、同時不況の影響が道内経済・雇用にも及んできている状況を踏まえ、連合北海道に結集する産別・地協代表者による総合雇用対策本部(本部長 柳薫 会長)を設置し、以来、雇用維持・安定・創出や離職者の生活、住居支援に係わる政策要求の実現の取り組みや企業倒産と労働債権確保の闘いや「契約」やワークルールの遵守を図る雇用・労働相談とその解決などに取り組んできた。
 また、この雇用対策本部の取り組みの一環として、失業中の未組織労働者、とりわけ派遣労働者や有期雇用の期間労働者などの非正規労働者の札幌圏での再就職活動を支援する「さっぽろ駆け込み寺」(住まいの提供は浄土真宗本願寺札幌別院)を2009年2月14日から75日間、4月30日まで開催、運営してきた。
 このさっぽろ駆け込み寺には、64名が申し込み、そのうち臨時的・一時的住まいとして入居された失業者は29人、延べ人員は612人が宿泊した。
 利用者の退去後の状態は、(1)正社員として再就職した方(2)実家に帰省した方(3)就職安定資金制度で安定した住まいを確保した方(4)一時的に生活保護の受給で住まいを確保し再就職活動に取り組んでいる方(5)札幌市の救護施設に入居した方、など様々である。
 この報告書は、連合北海道が本願寺札幌別院の広間の提供を受けて取り組んできた再就職サポート事業について報告するとともに、このさっぽろ駆け込み寺の取り組みからみえた、特に非正規雇用と失業保障の問題・課題を明らかにするとともに問題解決に向けた政策についてまとめたものである。
 
 
1.さっぽろ駆け込み寺の開設の周知
 
 入居対象者である失業者・求職者にどのような方法で「さっぽろ駆け込み寺」の開設を周知するかについては様々な方法を検討した結果、第一に新聞・テレビ・ラジオ等のマスコミ、第二に札幌市内はもとより、千歳、苫小牧のハローワークへのチラシの備え付け、第三は就職情報誌の広告掲載、第四は連合北海道のホームページによって周知に取り組んできた。
 当初2名の入居者でスタートしたが、徐々に知名度が高まり、3月中旬には増加し、2つの広間が満杯寸前までとなった。
 なかには“いのちの電話”や区役所の相談窓口、救護施設の担当者からの入居紹介もあった。
 
 
2.応募者と入居審査
 
 入居の申込者数は、実際の入居者数の2倍以上の61名であった。
 入居対象者は道内の労働者、若しくは本道出身の労働者で@解雇・倒産・雇い止め等により職を失った労働者A住居がなく、十分な貯蓄が無いなど生活に支障があると認められる労働者B就労の意思があり、そのための求職活動を行っている労働者独身者、もしくは扶養すべき家族を持たない労働者(性別不問)と基準を定め、電話での聞き取りや来局者の面接相談により入居の審査を行った。
聞き取りや面談では、第一に解雇、雇い止めなど離職に至った経緯、第二に雇用保険の受給資格状況、第三に住居の状況、第四に所持金、預貯金の金額、第五に消費者金融などの借金の有無、第六に親や兄弟姉妹の状況、第七に最終学歴の状況などを聞き、総合的に判断して入居の可否を決めた。入居を認めなかった労働者には他の相談窓口などの紹介に努めた。
札幌市内のホームレスの人々は100名以上居ると言われているが、当駆け込み寺の趣旨は「再就職のための一時的な住まいの提供」にあること、入居定員は20名であること、また、長期ホームレス状態となっている人は、就労相談だけでなく病気の治療や生活支援などの綿密なケースワーク、相談支援が必要であり、それは行政の責任で対応すべき」という考え方から除外した。
その結果、雇用形態別では派遣労働者や有期雇用契約労働者、季節労働者等の非正規労働者が9割を占め、その多くが、解雇、雇い止めと同時に住まいを失った労働者であった。
また、雇用保険の受給資格を有する者や、受給者は半数近くいたが、雇用保険の受給資格がなく、カプセルホテル・ネットカフェ・友人宅を転々とし、遂には所持金を使い尽くし、短期の路上生活の上、駆け込み寺に辿り着いた労働者も少なくなかった。
親や兄弟姉妹との関係は、失業者を抱える余裕のない世帯や、家族関係が崩壊していたり、希薄となっている状態にある人が多かった。
 
 
3.入居初日とルールの説明
 
 入居を認めた失業者は、開設期間中、毎日、連合北海道の役職員と産別から派遣いただいた役職員とペアで本願寺札幌別院に、午後5時に集合し@新しい入居者への駆け込み寺の趣旨説明と生活ルールの説明、利用できる施設案内A既入居者の安否の確認、悩み事、相談、受付を行った。新入居者に対しては、一時的な住まいの提供と洗面所・トイレは本願寺札幌別院の提供によるものであること、入居者の選定、管理、退去は連合北海道の責任で実施していること、寝具一式、ロッカーなどの備品は連合北海道で提供していること、これ以外必要な食事などについては自己責任で確保し、再就職活動に精進すること、駆け込み寺ではルールを守り、お互い譲り合い、助け合いの精神で集団生活を過ごすこと、入居期間には制限があることなどを説明し、これらについて了承した者に誓約書にサインをしてもらい、入居を認めた。
 
 
4.入居中の生活状態と求職活動
 
 新しく入居した労働者の生活状態はひどく、想像を超えるものであった。
 ハローワークの紹介で会社の面接を受ける際、交通費を節約するために片道2時間の道のりを歩いて行く人、住居がないために再就職の面接すら断られる人、食事を一日に1回しか摂取していない人等々、雇用保険の受給者を除いては、将に貧困状態に陥っていた。
 食事など住まい以外は自己責任でという方針の変更を迫られた。
 このような状況を踏まえて連合北海道は入居者に対し、医師による健康相談会を実施する(医療生協札幌緑愛病院)とともに、就職安定資金制度や生活保護制度の説明会を開催し、該当者はハローワークや北海道労働金庫、区役所の生活保護課と相談することをアドバイスした。
 また、入居者を支援している連合北海道加盟の産業別労働組合や北海道労働者福祉協議会、石狩地区連合などに、インスタント食品やウィズユーカード(地下鉄とバスの共通乗車券)、クォカード(コンビニ等で利用できる商品券)、入浴券などの提供を呼び掛けたところ、多くの支援を得ることができた。
 また、住まいを提供していただいている本願寺札幌別院も、こうした入居者の生活状態を見かねて、当初の連携協定にはなかった、入浴も週3回、食事も週一回提供していただくこととなった。
 更にマスコミによるさっぽろ駆け込み寺の報道に接した道民・市民から、カンパ金・果物・寝具の他、理髪の無料サービス、食事を無料提供していただけるNPO法人も現れた。また、会社経営者からは、住み込みでの雇用やアパート経営者からは入居初期費用なしで、家賃は給料を受け取ってからという申し出もいただいた。
 このような市民も含めた支援により、入居者の生活状態は急速に改善した。
 
 
5.退去
 
 入居した労働者は、駆け込み寺が閉鎖する4月30日まで全員退去した。
 再就職できた人、就職安定資金制度で住まいを確保した人、実家に帰った人、生活保護の支援を得て住まいを確保した人、職業教育訓練を受けることになった人、救護施設に入居した人等、様々であった。
 入居期間は最短の人で2日間、最長の人で50日間であった。
 また、新規の入居者は4月10日で締め切った。生活困窮状態にあり、貧困基準以下にある人は、入居期間中に生活保護の申請、決定、住まいの確保をしなければならず、最短でも20日間は必要である。退去者がホームレスとなるのは耐え難いからである。
 退去した労働者で希望する方には、市民から提供された寝具や家電製品を配布した。
 4月28日には連合北海道、札幌別院、並びに協力を頂いた産別、市民、元入居者で、閉館式を行い、特にこの取り組みをサポートしていただいた企業、団体に感謝状を送り、75日間の取り組みを終えた。
 
 
6.駆け込み寺のまとめ
 
(1)道内最大の労働組合の共闘組織であり、また未組織労働者を含めた労働者のセンターである我々連合北海道が、宗教法人浄土真宗本願寺札幌別院の人道的見地からの御理解と御協力で実現した「さっぽろ駆け込み寺」は、多くの道民、市民、行政関係者、企業経営者を含めた幅広い暖かい支援を得て、非正規労働者を中心とする生活困窮状態にある失業した労働者の「民間版セーフティネット」として一定の役割を果たし閉館した。
 
(2)当初の開設の趣旨、目標は道内外の北海道の労働者が解雇、雇い止めされ、新たな再就職先を道内で最も企業が集積している札幌圏で求めている人に、一時的、臨時的な住まいを提供し、求職中の失業者の経済的な負担を少しでも軽減させ、再就職活動をサポートすることであった。
 しかし、こうした趣旨に沿ってお寺を拠点にハローワークや求人情報誌で職業紹介を受け、面接により再就職できた労働者は少なく想定を大きく下回った。
 
(3)入居者の中で再就職につけた労働者が少なかった背景の要因のひとつに札幌圏での失業者の増加と常用有効雇用求人倍率の低下、悪化がある。
 札幌市内の常用有効求人倍率は前年同月比で0.15ポイント低下している上、入居者のほとんどは製造業の現場で働いてきており、物づくりの求人は少なく職種転換を迫られたことにある。
「毎日、ハローワークに通っているが、一週間経っても新規の求人は10社もない」、「たった1人の求人に40人以上の応募がある」、「年齢を理由に断られる」等、入居者との面接相談会での訴えであり現在、求職中の失業者が直面する状況である。
(4)入居期間中に再就職に至らなかった最大の要因は、雇用保険受給資格もなく、若しくは雇用保険も切れ、所持金も貯蓄もなくなった生活困窮者の存在である。
 これらの入居者は、毎日の食生活にも事欠いており、ましては住居を確保する資金を用意できず、したがって以前の住民票を移すこともできない。当然、こうした「住所のない人」を事業主は雇用しない。
 失業と同時に住まいを失った労働者に昨年12月、政府は就職安定資金貸付金制度を設け、救済策を打ち出し、これにより住居を確保した入居者もいたが、限定的な効果しか得られていない。
 こうした入居者の再就職の可能性の高い雇用先は、住み込みで且つ食事付きの事業所で働くことしかできない。しかし、こうした事業所の求人は少数で限られている。
 
(5)このように失業し収入ゼロとなり、住居も確保できず、食事も満足に摂れない入居者の最後のセーフティネットは生活保護の申請の道しかない。
 申請した全員が生活扶助や住宅扶助の決定を受け、住まいを探し確保し、寺から退去し、いま再就職活動に励んでいる。
「ホームレスにならずに済んだ」という元入居者の言葉を聞くと、駆け込み寺を開設した趣旨には必ずしも合致しないが、現在の失業者とりわけ、派遣労働者、期間労働者が解雇や雇い止めに遭遇すると一気に貧困に陥るリスクが極めて高い状況を見ると、取り組んで良かったという想いと金融工学を駆使し、金融危機を招き、世界中の労働者に失業と雇用不安に陥し入れた金融資本主義と失業貧困状態に陥る可能性の高い大量の非正規労働者をつくり出し、且つ雇用保険などのセーフティネットから排除してきた政府の「貧困」な労働政策に対し怒りを禁じ得ない。
 
(6)生活保護を受給している元入居者の皆さんには、できるだけ早く安定した就職先を探し、生活保護から脱却し、今度は「税金」や「年金保険などの社会保険料」を納める側、即ち我が国の社会を支える側になるよう期待してやまない。
 また、この他、実家に帰り家族の支援で再就職活動している元入居者、職種転換のため雇用保険を受給しながら知識や技能・技術を身につけるため、教育訓練を受けている方を含め、様々な障壁を乗り越えて新しい職場で奮闘することを期待するものである。
 
 
7.求められる新たな社会的セーフティネットの再構築
 
(1)非正規労働者の雇用と失業問題
 最後にこの「さっぽろ駆け込み寺」から見えた非正規労働者、とりわけフルタイムで働く非正規労働者の雇用と失業問題の課題と政策方向について述べることとする。
 もちろん、この「さっぽろ駆け込み寺」の入居者のみの実態で失業した非正規労働者の全体を語ることはできないだろうが、多分、多くの求職活動中の非正規労働者が現在、直面している課題、問題であることは十分に推察できる。
 
これまで多くの識者から正規労働者と非正規労働者との「雇用の格差」の問題点について指摘されている。
 
 その第1は、非正規労働者の雇用は「期間の定めのある雇用」で常にいつ雇い止めに遭うかという雇用不安の状態に置かれていることである。その雇用先の仕事が一時的、臨時的なものであれば労働契約の締結の段階で労働者自身も納得できるが、そうした合理的な理由がなく契約を何度も更新している実態にあることである。
 第2は、賃金の格差である。同じ仕事をする正規労働者と比べ、合理的な説明のつかない時間給、日給、月例賃金の格差がありその水準も経済的に自立できる水準に達しておらず、ワーキングプア状態にあることである。また、賞与も非正規労働者には、ほとんど支給されていないか、支給されていても少額であることである。
 
 第3は、福利厚生面での格差である。正規労働者には、退職金制度や慶弔休暇制度、社宅等の適用、提供はあるが非正規労働者は別扱いとなっていることである。
 さらに、このような「雇用の格差」に加えて、正規労働者と非正規労働者との失業時の「失業の格差」を指摘せざるを得ない。
 解雇、雇い止めに遭遇した非正規労働者たちが、何故、失業と同時に貧困状態に陥り、どうしてホームレスを強いられたり、生活保護の支援を受けなければならないのかという問題である。
 国民、道民の中には、こうした状況を理解できず当事者の自己責任を問う声も少なくない。もちろん、怠惰な生活を過ごし備えを怠っている労働者も一部に存在することは否定しない。しかし、一般的に通常の正規労働者の場合は、雇用されている期間中の月例賃金や賞与の一部を将来の支出に備えて貯蓄に回すことができる。また、人員整理合理化で整理解雇となっても金額の多少はあっても退職金が支給され、これに賃金にスライドされた雇用保険で生活を切り詰めながらも、求職期間中の生活を支えることができる。
 一方、非正規労働者の場合はどうだろうか。賞与(ボーナス)もほとんどなく、月例賃金のみで年収200万円未満で働く非正規労働者が6割以上占めている(総務省 就業構造基本調査2007年)中で、貯蓄にまわす余裕がない(貯蓄ゼロ世帯は1997年の10.2%から2007年には20.6%に拡大した。金融広報中央委員会調査)実態にある。
 また、解雇、雇い止めの際、間接雇用の派遣労働者はもとより、直接雇用の場合であっても退職手当の支給は、ほとんどない状態にある。
 更に失業保障の要である雇用保険の給付についても今回の雇用保険法改正以前では、週20時間以上の労働時間と1年以上の雇用見込みが適用条件であり、また受給資格要件も有期契約労働者の場合、1年以上必要であった。
 こうした全ての労働者をカバーできない雇用保険の適用条件や受給要件により、失業しても雇用保険を受給できない非正規労働者が多数、生まれているところである。(厚生労働省の試算でも雇用者数5,561万人のうち、雇用保険が適用されていない雇用者は1,006万人とされている)
 以上のような非正規労働者の事情が失業と同時に貧困に陥り、生活保護受給者の増大を招いている。
 
(2)政策提言 
このような非正規労働者が直面する「貧困」状況を踏まえ、雇用保険や最後のセーフティネットである生活保護のあり方について最後に政策提起する。
 その第1は、全ての雇用労働者に失業した労働者の所得保障制度である雇用保険(雇用保険には、この他、雇用能力開発や失業予防、育児休業などの付加的役割がある)を通用させ、第1段階のセーフティネットとして確立することであ。
 先に述べた通り現行雇用保険制度であり全雇用者のうち18%の雇用者には、雇用保険が適用されていない。とりわけ、有期雇用契約、派遣、パート労働者等の加入状況は63%程度であり(就業形態の多様化に関する総合実態調査)、失業の際の所得保障の網から漏れ、空洞化しているからである。また、失業者のうち雇用保険の受給者は、2割程度と言われており、雇用保険が機能しているとは言えない。
 
 第2は、上記の雇用保険のセーフティネットから除外された長期失業者、廃業した自営業者等に対して、公的扶助制度として「就労・生活支援給付制度」(仮称)を第2段階のセーフティネットとして新設し、雇用保険と生活保護の空白を埋めることである。
 この第2段階のセーフティネットにおいては、生活保障を伴った無料の能力開発、職業教育訓練を実施し、現在、我が国で労働力が不足している産業部門へ移動できる資格やスキル・技能の取得を支援すべきである。
 
 第3は、社会手当の拡充と生活保護制度の改革をすることである。
 低所得層の住宅扶助と医療扶助、介護扶助を見直し、住宅補助制度(住宅の現物給付又は家賃補助)、医療・介護費補助制度(健康保険および自己負担分)を新設するとともに生活保護制度を健康で文化的な最低限の生活を営む権利を保障するための第3段階のセーフティネット(最後の砦)として生活保障給付金制度として改革すべきである。
 
以上、失業と同時に貧困とさせないための政策や貧困に陥っても早期に脱却できる新たな政策の導入について、その概要を述べた。(詳細は別紙1)また、失業により住居を失い、ホームレス状態になった労働者が再就職することは極めて困難であり、生活保護も受給できず、貧困状態に陥ってしまう。ホームレスを生み出さないための努力も必要である。
 この他、正規労働者との均等待遇の法制化、最低賃金の引き上げ、非正規労働者の退職金共済制度の創設、有期労働契約の労働者保護のルールの整備、労働者派遣法の抜本改正等々が求められている。
 
 
 8.おわりに
 
しかし、政府は真正面から全雇用労働者の35%にも達している非正規労働問題や深刻化する貧困問題に取り組もうとしていない。
 2009年度予算や補正予算案を見てもどのような福祉社会を築き上げようとしているのか将来方向が明確でなく、過去の市場原理主義一辺倒の規制緩和政策により、もたらした矛盾、問題点のびぼう策を何の反省もなく並べているに過ぎない。
 これでは、NIRAの報告書の通り、税金や社会保険料を納める働く側の雇用者が減り、「持続できる社会の構築」はより、遠のくことは必至である。
 私たち連合北海道は、今回の駆け込み寺の取り組みを踏まえ、あってはならない「貧困」の解消と公正・公平な福祉社会実現に向け、自らの社会的役割を自覚し、非正規労働者の組織化、メンバー化や賃金、労働条件、退職金の改善・新設に取り組むと同時に、道内の様々な社会団体や識者と連携し、強力な道民運動を築き上げる必要がある。 (資料2)
以 上
●入居者数推移




















 
日付 入居者数 日付 入居者数 日付 入居者数 日付 入居者数
2月14日 2 3月5日 12 3月24日 8 4月12日 7
2月15日 2 3月6日 12 3月25日 9 4月13日 7
2月16日 8 3月7日 11 3月26日 9 4月14日 7
2月17日 8 3月8日 11 3月27日 9 4月15日 7
2月18日 8 3月9日 10 3月28日 11 4月16日 7
2月19日 8 3月10日 11 3月29日 11 4月17日 7
2月20日 8 3月11日 11 3月30日 11 4月18日 7
2月21日 8 3月12日 11 3月31日 10 4月19日 6
2月22日 8 3月13日 11 4月1日 10 4月20日 6
2月23日 8 3月14日 11 4月2日 8 4月21日 6
2月24日 8 3月15日 11 4月3日 7 4月22日 5
2月25日 8 3月16日 12 4月4日 7 4月23日 7
2月26日 8 3月17日 10 4月5日 7 4月24日 6
2月27日 8 3月18日 10 4月6日 7 4月25日 6
2月28日 9 3月19日 10 4月7日 8 4月26日 4
3月1日 11 3月20日 8 4月8日 7 4月27日 4
3月2日 11 3月21日 8 4月9日 7 4月28日 0
3月3日 12 3月22日 9 4月10日 7  
 
3月4日 12 3月23日 9 4月11日 7
            合計泊数 612
 
 
●入居者の年齢層





 
年代 人数
20代 3
30代 17
40代 5
50台 4
合計 29 
(人)
 
 
雇用政策と生活保護制度をつなぐ新たな社会的セーフティネットを構築する
 
(1)社会保険・労働保険によるセーフティネット機能を強化するとともに、新たな生活保障制度を構築する。
@現在の生活保護制度と雇用保険制度をベースに、積極的な雇用労働政策と連動した社会保険・労働保険制度の機能強化(第1層)、就労・生活支援のための、生活保護制度とは別の新たな給付制度(第2層)、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するための「最後の砦」としての給付制度(第3層)による三層構造のセーフティネットに再構築する。
〔第1層〕
a)積極的な雇用労働政策に転換し社会保険、雇用保険の適用対象を拡大するとともに、最低賃金や雇用保険の求職者給付の額を引き上げ、セーフティネット機能を強化する。
b)介護、医療、福祉、保育等福祉型社会において不可欠なサービス部門を中心に、積極的に雇用・就業機会の創出をはかる。
〔第2層〕
c)就労・生活支援のための新たな給付制度(「就労・生活支援給付」(仮称))を創設する。
〔第3層〕
 d)健康で文化的な最低限の生活を営む権利を保障するため「最後の砦」としての給付制度(「生活保障給付」(仮称))は、以下の内容とする。
  ア)「生活保障給付」は、現行の生活保護制度に代わる最低生活保障制度とし、すべての居住 者が受給できるものとする。
  イ)給付の基準を法律で定め、制度に国民の意思を反映させる。また、支給審査の判定基準を 可能な限り法令で定め、判定における裁量を小さくする。
  ウ)「生活保障給付」の種類は、最低生活費を満たす現金給付、就労自立支援・日常生活自立 支援・社会生活自立支援のための現物給付および現金給付、教育給付(義務教育および高 等学校への就学に要する費用)からなるものとする。
エ)給付水準は現行の生活保護制度における最低生活費を保障する。
  オ)給付期間は定めない。また、受給者が「就労・生活支援給付」への移行を可能とする。
  カ)補足性の原理を適用し、給付要件の適合状況の厳格なチェックを行う。また、現金・預貯金 については、現行の生活保護制度における最低生活費の3ヶ月分程度まで緩和する。
 キ)扶養照会の範囲を生活保持義務者(夫婦や親と未成熟の子)とする。
 ク)「白紙委任的な包括同意書」等を内容とする、いわゆる「123号通知」とその関連通知を廃止する。
A「生活保障給付」制度の実施機関は、以下のとおりとする。
a)申請受理、調査、ケースワークは、現行の生活保護制度における福祉事務所が担う。そのため、生活問題の複雑・多様化等福祉現場の業務拡大等を踏まえ、ケースワーカー(現業員)等職員の人件費、福祉事務所の事務費等について国庫負担に含め、職員の専門性を高める。
b)ケースごとに福祉事務所、共同出資機関、公共職業安定所、生活支援に必要な専門的な  サービスを提供する機関や役割を定め、これらの連携を確実なものとする。就労・自立支援プログラムの内容、実施状況、給付の停・廃止の判断等を中立・客観的に評価できる仕組みとする。
c)受給者の権利擁護をはかるため、苦情や相談、不服申し立て(審査請求)を受付け、調査  権と行政への勧告権を持つ「第三者機関」を設置する。
B「生活保障給付」に要する費用は、国と地方が負担する。
C「捕捉率」(生活保護基準以下の生活者のうちの保護受給者の割合)の調査を実施し、結果を 公表するとともに、これまで捕捉率が低かった原因の研究・調査を行う。
 
(2)低所得層の自立支援に向け、「住宅補助」、「医療・介護費補助」制度を創設する。
@低所得層の自立生活を支援するため、生活保護制度の住宅扶助と医療扶助、介護扶助を 見直し、住宅補助制度(住宅の現物給付又は家賃補助)、医療・介護費補助制度(健康保険 料および自己負担分)を創設する。
A一定の所得・資産以下であることを給付要件とする。 
B財源は国と都道府県の負担とし、事務は福祉事務所が行う。
 
(3)住居を持たない生活困窮者に対して生活保護の給付を行い、併せて社会的なつながりに対する支援を充実させていくほか、緊急一時保護施設(シェルター)の活用、自立支援センターの整備・拡充等の適切な対応をはかる。
 
(4)ホームレスの自立支援にあたっては、新たな貧困層(ワーキングプア等)等若年層への支援を含めた就業支援事業や自立支援センターの退所者に対する相談・支援体制を整備・拡充するなど、就業機会の確保による自立支援策を強化する。なお、同法の第11条(公共施設の利用が妨げられている場合は、その管理者が適正利用のための必要な 措置を講じる)は、国際人権法に則ったうえでの措置とする。
勤労貧困層の解消に向けた社会的セーフティネットの
再構築に関する要望意見書(案)
 
 パート・派遣労働者などの非正規労働者は現在、約1800万人と労働者全体の3分の1を超え、しかも不安定雇用と低賃金のため、生活保護基準以下の収入で暮らすワーキング・プアなどが増大している。年収200万円以下の就労者が1,000万人を超え、生活保護世帯も116万世帯まで増大するなど、かつて多数を占めていた中間層が二極化し、格差拡大にとどまらず今や貧困問題が深刻な社会問題となっています。
 こうした中で、国民年金や国民健康保険の未納者の増大に示されるように、わが国の社会的セーフティネットの中核をなす、社会保険制度から排除される貧困層が増大しており、また、低所得、貧困層の「最後の砦」であるべき生活保護制度も稼働年齢などを理由に申請自体を拒否されるなど、本来の機能を果たしていません。まさに雇用・社会保険・公的扶助による社会的セーフティネットが機能不全に陥っていると言わざるを得ません。
 こうした状況を放置すると、社会保障や税負担の担い手が減少するばかりか総合研究機構(NIRA)が、研究報告で明らかにしている通り、無年金者が増大し、19兆円を超える生活保護費の追加負担が将来、発生することとなります。
 格差社会是正と勤労貧困層の解消に向け、全ての国民に仕事を通じた社会参加と所得保障を確立するため、積極的な雇用労働政策と社会保障政策の連携による社会的セーフティネットの再構築がいま、求められています。
 つきましては、わが国社会の持続発展と社会的セーフティネットの再構築による福祉社会の確立のため、下記の政策の確立、実施を求めます。
 
1.パート・派遣労働者など非正規労働者への社会保険・労働保険の完全適用と給付改善など、積極的雇用政策と連動した社会保険ネットの機能強化を図ること。
2.雇用保険と生活保護制度との中間に、新たな「就労、生活支援給付制度」を創設し、長期失業者や日雇い派遣など低賃金の非正規労働者、母子世帯の母親への職業訓練など就労、自立支援を行うこと。
3.住宅補助や医療・介護費補助制度の新設(住宅扶助、医療扶助の社会手当化、単給化等)を含め、生活保護制度が福祉の「最後の砦」として十分機能を発揮できるよう「生活保障制度」として抜本改革を行うこと。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出する。
 
  2009年○月○日
   ○○市町村議会 議長○○○○
 
  提出先 内閣総理大臣
      財 務 大臣
      厚生労働大臣
 
 
反貧困ネット北海道(仮称)の設立について
 
2009年4月
反貧困ネット北海道(仮称)設立準備会
代表 山口 二郎(北海道大学大学院)
 
1.ネットワーク設立の趣旨
 近年、格差社会、ネットカフェ難民、派遣切り、年金問題、医療問題、貧困問題など、国民の生活を脅かす事件、事象が顕在化してきている。そのため、生活問題、労働問題が深刻化してきており、多くの人々が働きたい、社会に復帰したいと思っても、非常に難しい状況になってきている。
北海道においても同様に、支援を必要とする人々が増えてきており、北海道、札幌市内にある各組織・団体によって支援が行われてきているところである。しかし、今後においても、さらなる貧困問題の広がりと深刻化が予測され、各組織・団体の連携、ネットワークの構築が不可欠となってきており、それぞれの組織・団体、そして個人の社会連帯が求められてきている。そこで、労働問題や生活問題等を抱える人々への支援を行っている各組織・団体、研究者、市民が連携し、更に有効かつ効果的な支援活動を行うことができるよう協力関係を築くことを目的に、関係組織・団体、研究者、市民から広く賛同していただける方を募り、「反貧困ネット北海道」(仮称)を立ち上げたい。
 
2.反貧困ネット北海道の主な役割
 反貧困ネット北海道の主な役割としては次のようなことである。
(1)主に関係組織・団体間の情報共有・情報交換
(2)情報提供、学習活動・啓発活動(啓発資料の作成・配布、シンポジウム等)
(3)支援活動、相談援助の連携、協働
(4)人材、資金、物資等の社会資源の調整・開発の促進
(5)研究および政策提言
 
3.参加を呼びかける組織・団体
(1)ホームレス支援団体        (2)労働組合
(3)福祉・病院団体          (4)法律関係団体(弁護士・司法書士等)
(5)経営者団体            (6)行政関係
 
4.よびかけ人
代表 山口二郎(北海道大学)、
 中島岳志(北海道大学、 ビッグイシューさっぽろ代表)
川村雅則(北海学園大学、建設政策研究所北海道センター理事長)
木下武徳(北星学園大学、北海道の労働と福祉を考える会代表)
 
【連絡先】〒004-8631北海道札幌市厚別区大谷地西2丁目3−1
北星学園大学社会福祉学部 木下研究室 TEL 代表 011-891-2731
FAX 011-896-7660(共同)、E-mail kinoshita(at)hokusei.ac.jp
反貧困ネット北海道」規約(案)
 
(名称)
 会の名称を、「反貧困ネット北海道」とする。
(役員)
 会には、代表(1名)、副代表(2名)、事務局長(1名)、事務局員(1〜2名)、会計(1名)、会計監査(1名)を置く。役員は、会員相互の互選により選出し、一年ごとに改選する。ただし、再任を妨げない。
(連絡先)
 連絡先は、事務局とする。
004-8631北海道札幌市厚別区大谷地西2丁目3−1
北星学園大学社会福祉学部 木下研究室
TEL 代表 011-891-2731FAX 011-896-7660(共同)
E-mail kinoshitahokusei.ac.jp専用アドレスを作成予定
(目的)
 会の目的は、すべての人に人間らしい生活と労働が保障されることを目指し、生活問題、労働問題、その中心にある貧困問題の社会的政治的な解決に取り組み、そのために必要な各団体・組織の情報共有、討議、協働的活動の場をつくり、社会連帯の推進を目的とする。
(事業)
 前条の目的を達成するため、以下の事情を行う。
会員相互の情報共有、協議の場としてのネットワークの構築
学習会、イベント、ホームページ等を通じた社会的な問題意識の喚起
相談会その他の支援活動の促進
その他、前条の目的を達成するために必要な事業
(会員・会費)
会員は、個人参加とする。
会員となるためには、会員2名の推薦を要する。
会員は、年会費1口1000円以上を支払う。ただし、やむをえない事情がある場合には、この限りではない。
さまざまな分野・団体からの参加者が集ることに鑑み、会員は、以下の約束事を遵守する。
  一 相互に会の目的のみを共有することを確認し、目的から外れる行為(相互の誹謗中傷など)は行わない。
  一 会員からの関連行事の情報提供は歓迎するが、賛同、参加は、あくまで各会員個人の責任で行い、会としては関与しない。
全項各号の約束事に反すると認められる行為をした会員は、会の決定により、会員の資格を喪失することがある。
(賛助会員)
賛助会員は、会の目的に賛同する個人とする。
賛助会員は、年会費1口1000円を5口以上支払うものとする。
会は、ある個人が賛助会員となることを拒否し、または資格を喪失させることができる。
(会議・意思決定)
会の意思決定は、年1回以上開催される全体会議で行い、方法は参加者の真摯な協議の上での多数決とする。
全体会議の開催要件(定足数)は特に設けず、開催時期、場所については、事前にメーリングリスト等を通じて会員に告知する。
代表及び事務局長は、緊急の必要が生じた際には、役員が参加する役員会を招集、開催することができる。役員会での決定事項は、会の決定事項としての効力を有するが、全体会議での承認を必要とし、事後承認を得られない場合には、さかのぼって無効とする。
(メーリングリスト・ホームページ)
議事録の共有、相互の意見、情報交換のためにメーリングリスト、ホームページを作成し、メーリングリストには会員は全員参加する。
第10条 (変更)
   本規約は、全体会議での多数決により変更することができる。
第11条 (解散)
   会は、全体会議での決定により、解散する。
 
 以上 2009年4月
 
 
「さっぽろ駆け込み寺」のご案内と入居ルール
 
 今回皆さんに入居していただくお部屋は、お寺という厳粛な施設の中にあります。住職さんや職員の方々、各種法要で訪れる方々がいらっしゃいます。また、多人数での共同生活ということもありますので、節度を守って生活されるようお願いします。下記の規則を破り、目に余る行動を採られる方は、本願寺や連合北海道(以下連合)の判断により退去していただくこともありますので、ご注意下さい。
 また、この「駆け込み寺」は、正規の住居に移るまでの臨時の宿舎です。食事や入浴、洗濯等のサービスはいたしませんので、ご了承下さい。
 
1.入居期間は、入居した日から60日を上限とします。
2.この駆け込み寺は2009年4月末日を持って閉鎖します。
3.門限は22:00とします。就職活動及びお仕事の関係で時間までに戻れない方については本願寺にあらかじめご連絡下さい。(TEL 011-611-9322)
4.消灯は23:00とします。
5.本堂など、所定の場所以外の立ち入りは禁止します。(裏面参照)
6.日中、就職活動やお仕事が休みの方は部屋に居ても結構です。
7.施設内での飲酒は禁止とします。また、外部で飲酒をされた場合は、酔いを醒ましてからお戻り下さい。
8.食事の手配は各自でお願いします。また、室内での飲食は許可します。湯茶等を用意しておりますのでご自由にご利用下さい。また、お湯・お茶の補給、湯のみの洗浄は入居者の方々で行って下さい。
9.室内は禁煙です。喫煙は所定の場所で行って下さい。
10.滞在中、奉仕活動の一環として、椅子や机の運搬など簡単な作業のお手伝いを積極的に申し出ることとします。
11.ロッカーを用意してありますので、室内での私物の管理は個人でお願いします。盗難等のトラブルについては連合では一切対応いたしませんのでご注意下さい。
12.室内の清掃は各自で行って下さい。また、週に一回、トイレ・洗面所の清掃を全員で行いますので、就職活動やお仕事が休みの方については全員参加して下さい。
13.入居者間での金銭の貸し借りは厳禁します。金銭のトラブルがあっても連合では一切対応しません。
14.寝具やポット等の備品は全て借り物です。大切にご使用下さい。
 
 その他ご不明な点がございましたら下記までお問い合わせ下さい。
 
 
 
 また、連合では皆さまの自立支援のために、地方自治体等が実施している就労支援制度等の紹介やご相談を受け付けております。毎日17:00〜19:00に連合の役職員が駆け込み寺に待機していますので、お気軽にご連絡下さい。