住民本位の安心・安全・信頼の地域医療を求める決議
 
 いま、地域医療は崩壊の危機に直面している。政府がこの間すすめてきた効率と財政を優先してきた医療政策の結果である。OECD加盟国中、この10年間で日本だけが社会保障費を減額し、医師数を抑制してきた。自治体病院をはじめとして、地域医療を支える基幹病院では医師不足が顕著となり、都市部、地方問わず、救急医療体制に支障が出るなど一層深刻な社会問題となっている。特に産科・小児科医の減少は、「地元で子どもが産めない」状況をもたらしている。
 このような医師・看護師等医療従事者の絶対数の不足は、長時間の緊張と過重労働を招き、医療を取り巻く環境の悪化にさらに拍車をかけている。
 
総務省は自治体財政悪化の一因となっている病院経営の見直しに向け、「公立病院改革ガイドライン」を示し、地域の自治体病院を切り捨てようとしている。
また北海道は、道内を30区域にわけ各自治体病院等を再編し、規模縮小や診療所化の方向性を示した「自治体病院等広域化・連携構想」を地域に示した。更に、道財政の悪化を理由に道立病院の経営形態を見直す「北海道病院事業改革プラン」をとりまとめ、地域医療の見直しに着手している。
 
しかし、地域の不採算医療を担ってきた自治体病院等は、経営効率のみでは論ずることはできない。財政効率化ありきの経営改革のみを急げば、結果として地域医療の崩壊を招くことになる。
 
地域医療は住民にとってなくてはならない地域社会の基盤である。地域の医療がないがしろにされれば街づくりもできない。連合は住民本位の安心・安全・信頼の地域医療の実現に向け、職場と地域で利用者と一体になった運動を力強く進めていく。
 
 以上、決議する。
2008年5月1日
第79回全道メーデー大会