高齢者等の負担増や地域医療の実態を無視した法改正に反対し、
信頼と安心の医療制度改革を求める決議(案)
急激な少子高齢化や医療技術の発展等によって、国民医療費は年々増加し続けている。政府・与党は、昨年12月1日に決定した「医療制度改革大綱」に基づき改革関連法案を今通常国会に提出し、成立をはかろうとしている。
改正法案には、医療費抑制に向けた総合的な施策の推進、新たな高齢者医療制度の創設、都道府県単位を軸とする保険者の再編・統合等の措置が盛り込まれている。
医療費抑制に向けて、高齢者の患者の窓口負担増、療養病床の高齢者の食費・居住費の負担増、高額療養費の自己負担限度額の引き上げ、平均入院日数の縮減、が柱となっている。さらに、後期高齢者医療制度の創設も医療費抑制の一環のための措置でもある。
患者負担は増え続けており、特に高齢者は受診率が高く負担額も多い。これ以上の負担増は、誰もが安心して良質の医療サービスを受けることができるという、国民皆保険制度の崩壊につながりかねない。
医療費の伸び率を抑えるために、地域実態を無視して一律・機械的な措置が強行されることへの不安が高まっている。現在、慢性疾患で長期入院する療養病床は全国で38万床あり、「社会的入院」をなくすために6年かけて削減される23万床を老人保健施設、ケアハウス、在宅医療などに切り替える方針である。
道内の市町村の多くは医師不足に悩んでおり、都市部と地方の医療格差の解消が進まねば「24時間体制の在宅医療」など夢物語であり、さらに、農漁村が多い道内は患者を家族が介護できない家庭も多く、施設依存度も高いため、入院患者で行き場のない人が出るのを防げるのかも重大な課題である。
医療費を抑制するためには、患者への負担増より先になすべきことがたくさんある。生活習慣病対策など、中長期的な取り組みとしての健康づくり、必要のない受診回数の抑制や多剤投薬の解消をはかることが喫緊の課題である。
私たちは、政府に対して患者への負担増ではなく、勤労者や高齢者が健康で働き、豊かな生活がおくれるように「信頼と安心の医療制度」改革と問題ある法改正については撤回を求める道民運動を一層強化する。
以上、決議する。
2006年5月1日
第77回全道メーデー大会