第38回地方委員会
ストップザ格差社会・反貧困全道キャラバン行動の総括について
1.キャラバンの内容について
連合北海道は小泉・安倍・福田政権の市場原理一辺倒の政策によって拡がる格差と働く貧困層の解消を訴える全道キャラバン行動を5月26日から29日までの4日間実施した。
キャラバン行動では日本社会に格差拡大をもたらした最大の要因は雇用形態の変更による非正規労働者の増大にある。非正規労働者の多くは、フルで働いても、生活保護の水準にも達しないワーキングプアとなっている。経済的に自立した生活を送る事ができないばかりか、年金や健康保険からも、排除されている。いまやセーフティネットとしての年金、医療、雇用保険、etc制度は空洞化の寸前にある。これらは自助を基本とする市場原理主義にもと ずく「構造改革」のなかでも労働の規制緩和がもたらしたものである。
この状態を放置するならば将来、大量の無年金者、生活保護受給者となってしまう。経営者、労働者、政府など社会全体で支え合う、社会保障制度や労働保険制度の維持なくして日本の社会経済の持続的発展はありえない。
今こそ、社会の持続的発展を図るため、現行政策を転換し、若者に安定した雇用を確立し、社会保険料や税金を納める側になれるような政策を実現する必要がある。そのために非正規雇用から正規雇用への転換、労働者派遣法 の抜本見直し、ワーキングプアの解消に向けた最低賃金の大幅改善、生活保障の伴った職業訓練の実施などが求められる。
地域間格差の最たるものは、医療の地域間格差である。どんな地域に住ん でいても身近な地元地域で初期医療、そして二次医療圏で専門的な医療を受けることができる医療への供給体制を確立するためには、医師を中心とする医療従事者を増やす必要がある。また、救急、休日、夜間、産科、小児科な どの政策医療、不採算医療を担う自治体病院などには、必要な財政措置や診療報酬の見直しが求められる。
連合北海道は、このため地域医療確立のため道民100万人署名運動を実施するので地域の各界各層のご協力をお願いしたいと訴えてきた。
【別紙1】
2.地域との意見交換・要求内容について
@ 格差拡大の最大の要因は、非正規労働者の増加にあり、将来の社会的コストの増加に繋がる事の認識は共有できた。
働く意欲と能力を持つ人が、安定した雇用に就いて社会を支える側に回る積極的雇用政策(日本型福祉社会実現)には、多くの賛同をいただいた。
A しかし、現在の本道の最低賃金は、経済的に自立出来る水準ではないことはわかるが、地域では賃金水準よりも、働く場が無いことの方が問題である。また、地域の水産加工業や、農業経営の実態を考慮する必要があるとの意見がだされた。
B これに対しては、絶対的雇用機会の不足を解消するための、雇用創出、産業振興には、ともに取り組んでいきたい。水産加工などの時間給の実態は、支払い能力から決定されているとは認識していない。最賃が654円だからその金額を設定しているケースが多く、しかも事業主間で協定して支給している。人件費(賃金)は、個々の経営者にとって低い金額の方が良いという考え方は、経済合理性があるが、社会全体では、大きな誤りとなる。
非正規労働者も企業の発展を支えていることを踏まえ、スキルアップに対応した昇給制度を整備するなど改善すべきであると反論した。
C 非正規労働者に直接、賃金助成することは、自治体ではできないが、子育てのサービスの展開などで支援していきたい。
公契約条例はいろいろと難しい面もあるが、自治体が民間に委託する際は、正規労働者を条件とするようなことを検討したい。
D 医育大学の定員を増加しても、医者になるのに最低8年はかかる。あわせて、不足している産科や小児科の診療報酬を引き上げて待遇改善などを図るべきである。
夜間、休日医療は、やはり自治体病院が担わなければならないと考えているが救急車をタクシー代わりに利用するなど、住民の意識の改革が必要である。
E 労働組合、連合は、もっと頑張るべきである。
あまりにも、おとなしすぎる。正社員の採用拡大などストライキやデモでもっと闘うべきである。非正規問題でのこうした取り組みには敬意を表す。
3.今後の展開に向けて
@ 格差拡大をストップさせ、働く貧困層を解消するためにはまず、産別、単組自らの職場で、一緒に会社発展のために働く仲間として組合員とすることが基本であるを踏まえ組織化とメンバー化に全力を挙げる。
A 同時に市場原理主義、規制緩和、財政抑制政策でズタズタとなっている社会保障のセーフティネットなどの再構築に向けて、現在の政策の転換を迫る世論を形成するとともに、連合の政策を民主党の総選挙政策に反映して、政権交代に向けたスクラムを形成する必要がある。
B このため、勤労貧困層の解消に向けた社会政策の導入を図るため、秋口に世論喚起のためのシンポジュウムなどを展開するなど持続的な取り組みが求められている。
以 上