一.はじめに(方針の経緯/二期目・現職に挑戦へ) 1.前回の知事選挙闘争総括(要約)から (1)前回(第15回=2003年)の北海道知事選挙は、三軸(民主党北海道・北海道農民連盟・連合北海道で構成)が推薦した「はちろ吉雄」候補など9人の候補者が乱立した。「はちろ」候補は、自公保・国政与党の推薦を受けた通産官僚の「高橋はるみ」候補に6万票あまり及ばず苦杯をなめる結果となった。 「はちろ」候補の選挙運動は、投票日までほぼ一ヶ月の超短期決戦となったが、ダブルスコア−で勝利した衆議院8区での運動はじめ、出身地の空知管内での勝利、奮闘した国会議員団会議など、短期間ながら総掛かりの体制を構築できたと評価した。 (2)また、知事選の敗因としては、候補が訪問できない地域も多く残ったことや、候補乱立による「反自民票」の分散、道議選挙における無風区・空白区の問題や一体選挙の運動が十分できなかったことがあげられた。そして、20年間(横路・堀道政)道政与党に関わってきた労働団体として、再び道政を「中央依存・直結」「利益優先」の保守道政に回帰させたことは痛恨の極みであり、道政奪還に向けて運動の再構築をめざしていくとされた。 2.連合北海道の大会方針決定の経緯から (1)連合北海道は、2004年9月に第30回地方委員会を開催、この年の7月に実施された第20回参議院議員選挙での結果(二大政党化への加速感と政権交代への展望)をうけ、@2007年までの3年間の政治目標の確立、A「北海道政権戦略会議」(仮称)の確立、B「民主塾」(仮称)の開設について、民主党北海道への提言を行った。その後、DASH政権塾が2004年11月24日に開校、北海道政権戦略会議は2005年3月26日に設立総会を開催し、以降、2005年9月の解散総選挙および2007年統一自治体選挙においては、それぞれが重要な役割を果たしこの提言は着実に実行された。 (2)連合北海道は、2005年12月の第18回定期大会において、2007年政治決戦に向けた政治方針=『真・開拓時代/北海道の創造と展望』(第4号議案)を決定した。この方針では、マニフェストを重視する一方、知事候補については、発掘と擁立過程からの「公開」と「参加」が重要であるとした。 さらに、投票日一年前の候補者決定を期待し、知事候補は「2006年前半の地方委員会をめどに決定する」とした。加えて、これまでの道政からの教訓と高橋道政の現状と課題(検証)に言及しながら、2007年政治決戦の最大焦点である知事選挙に組織の総力を挙げる決意を明確にした。 (3)そして、連合北海道は、2006年10月の第19回年次大会において、遅れている知事候補擁立については遅くとも11月中の決定を求めるとともに、道議会議員(43名、最終的には49名)および札幌市議会議員(23名、最終的には24名)の推薦決定を行った(第3号議案)。 さらに、高橋道政の検証(その2)を行い、有識者から寄せられた「期待される知事像」などを軸に、新しい知事の、新しい北海道に対する、出口の見える新しいメッセ−ジを期待した(第3号議案【附属方針】)。 連合北海道は、以上のような方針決定の経緯を経て、2006年12月23日に第35回地方委員会を開催、出馬要請に対する荒井さとし衆議院議員からの内諾を受理し、その後の記者会見で正式出馬表明が行われることを前提に推薦決定を行った。 3.政権戦略会議の「基本戦略」「基本方針」から (1)2005年3月、北海道政権戦略会議(民主党北海道・北海道農民政治力会議・連合北海道で構成)は、主要な戦略目標を国政における政権交代と道政奪還において設立し、以降、最高幹部会・実務者会議、マニフェスト策定委員会・候補擁立委員会・選挙シミュレ−ション委員会においてそれぞれ作業が進められた。 特に、知事候補擁立では、公募方式(2006年5月8日〜7月31日)を採用、自薦1人他薦6人の応募を確認して選考委員会が設置されたが、二次審査への応諾が得られないため、選考委員会が擁立委員会に切り替えられ、最終的には、12月1日、荒井さとし衆議院議員への出馬要請となった。 そして、荒井さとし衆議院議員は、12月26日に出馬の記者会見を行った。 (2)2007年1月9日、北海道政権戦略会議は、北海道知事選挙合同選対本部・選対委員会発足会議において「基本戦略」と「基本方針」を提案して確認を行った。高橋道政の4年間は「空白の4年間」であったとし、知事選挙は、560万道民・180市町村とともに希望の明日を拓く新生・北海道を創造する戦いと位置づけた。基本目標は、@どさんこ・荒井知事の実現、A比較第一の道議会議席獲得、B血の通う温かい公約の実現を掲げ、得票目標を160万票(推定投票率66%)とした。 また、札幌市においては、上田市長の再選と市議会議員選挙では比較第一位の議席獲得を目標とした。 (3)政党間の協力・連携のあり方については、「共闘統一型」ではなく、それぞれが推薦し自己完結することを前提として連携する「自律協働型」とし、経済人や女性を含む幅の広い支持層を総結集した“どさんこ党”を指向することとした。 さらに、必勝の条件として、@第一義的には民主票の9割以上の獲得と如何に自民票への食い込みを図るか、A社民・新党大地からの実質的推薦又は支持が不可欠である、B公明・共産について他陣営候補により傾斜させないこと、C最大のキ−ワ−ドである無党派層については過半数獲得をめざす、とした。 加えて、今日の厳しい北海道の最前線に立つ、中小・零細企業経営者や市町村長から共感と同感を持って迎えられる「候補」「政策」「運動」の「三位一体」的戦略が打ち立てられるべきとした。 二.たたかいの経過を振り返って(若干の検証含め) 1.「期待される北海道知事像」書面インタビュ− (1)連合北海道は、「選挙戦は、候補擁立過程から始まっている」との基本認識に立ち、2006年3月7日、知事選挙に対する有権者の感心と意識を高め、「公開」と「参加」をより促進するため、「現在の道政に対する基本認識」「期待される知事像」「争点となる政策テ−マ」について、書面による100人(大学教授27人、首長・議員等46人、経済界ほか27人)インタビュ−を実施した。その結果、14名の有識者、民主党国会議員等から貴重な提言が寄せられたことを深く感謝する。この提言は、4月末に締切った後の5月上旬に連合北海道ホ−ムペ−ジで公表させていただいた。 2.知事候補擁立/公募方式から荒井擁立へ (1)2006年4月8日、北海道政権戦略会議は、全国初となる北海道知事選挙の「公募要領」を記者発表、5月8日から7月31日までを応募期間とし、自薦・他薦を問わず道内在住500人以上の推薦人などが主要な応募資格とされた。その結果、2006年7月31日に自薦1人・他薦6人の応募が確認されて選考委員会が設置されたが、第二次審査(8月上旬から9月中旬)に応じる前向きな応諾が得られなかったことから、選考委員会は擁立委員会へと切り替えられ、他薦6人のうち、国会議員を除く4人について擁立作業が続けられた。(2006年8月31日) (2)2006年11月13日、北海道政権戦略会議(最高幹部会)は、公募応募者からの擁立作業について経過を報告するとともに、今後の進め方について、@公募応募者以外からの擁立も視野に入れる、A国会議員から選考せざるを得ない状況にある、との基本認識と基本方向を確認した。 そして、現職知事が二期目の出馬表明を行った11月28日、荒井さとし衆議院議員に対して出馬要請することを確認し、12月1日、衆議院第2会館において正式要請となった。 (3)連合北海道は、この正式要請について、公募開始以来の選考・擁立作業の延長線上にあって、この作業を通じて築かれた関係者の創意を踏まえたものであるとし、かつ、荒井さとし衆議院議員が、道民の先頭に立って新しい北海道の創造のために必ずたたかってくれるとの確信に基づくものであると評価した。同時に、候補擁立に結果として至らなかった公募応募者のみなさんについても、明日の北海道にとっての真・開拓者であり、創始者となるべき有資格者であったとした。しかし、候補決定までに相当期間を費やした結果については、今後の教訓とされるべきである。 (4)荒井さとし衆議院議員は、正式要請以降、@北海道議会/民主党道民連合(12月4日)、A旧産炭地の会・女性の会・NPO・障害者の会(同10日)、B札幌市議会/民主党・市民連合(同11日)、C民主党小沢代表(同14日)、D北海道選出国会議員団会議(同15日)、E年金生活者(同16日)など、多方面からの出馬要請も受け、12月22日に荒井さとし連合後援会、北海道政権戦略会議に内諾を伝えた。そして、12月26日の記者会見で北海道知事選挙への正式出馬表明となった。 3.政党間における「自律協働型」連携について (1)今回の知事選挙に対する政党間の協力・連携については、広範な支持層の総結集を図るため、前述したように「自律協働型」とした。荒井さとし候補に対する各政党からの推薦状況は、◇社民党(2月25日道連大会で推薦決定)、◇新党大地(1月28日「大地塾」で推薦決定)のほか、◇市民ネットや◇国民新党についても実質的支援となった。こうした「自律協働型」協力・連携のあり方は、知事選挙における総合的戦略の柱ではあったが、陣営内に戸惑いの意見が一部あったことを指摘しておく。 なお、北海道政権戦略会議を構成する三軸については、◇民主党北海道が2006年12月23日の臨時大会で推薦決定、◇北海道農民政治力会議は2007年1月12日に推薦決定、そして、◇連合北海道(前述のとおり)とそれぞれ推薦の決定を行った。 4.道議候補(札幌市議)の積極擁立について (1)連合北海道は、北海道議会議員選挙について、知事戦略を視野に入れて擁立する複数候補や非自民勢力を結集した統一候補などをもって、道議会過半数の議席獲得をめざした(2006年10月、第19回年次大会第3号議案)。2006年4月に候補擁立産別(11産別)とのヒアリングを実施し、@空白区・一人区については民主党北海道と連合北海道との「連携会議」により対応し、A定数2以上の場合の複数候補擁立区については民主党北海道が主導的に擁立作業を進めることとした。 (2)その結果、議員定数の減(110から106)のもとで50名(連合北海道は49名推薦)の候補擁立となり、基本目標とした定数の過半数議席獲得(54)は、候補擁立時点から及ばなかったものの、選挙結果では、現職2名が敗北したが42の議席数(うち無投票7名)を獲得した。さらに、空白区は依然7選挙区だが、前回の10選挙区より減少した。 札幌市議会議員選挙は、24名(社民候補1名の推薦を含む)の候補擁立となって前回(20名)を上回り、選挙結果においても、22議席を確保して自民議席(※23議席)と拮抗し、現職1名と推薦した社民候補の敗北はあったが、道議会議員選挙と同様に積極擁立の効果が示された。 5.合同選対本部から総合選対本部へ (1)北海道政権戦略会議を軸とする北海道知事選挙合同選対本部(以下「道合選」)は、2007年1月9日にスタ−トした。 「道合選」は、4局(企画総務・情報宣伝・遊説・札幌対策)と3委員会(経済・政策・組織)、そして、後援会(「拓く会」)を軸に活動を推進し、毎週日曜日の「企画調整会議」(告示以降は毎日午後8時)と各セクションのミ−ティングを中心に運営を図ったが、総体的に連帯感・一体感の欠如があったと指摘できる。 2007年3月1日、ほぼ「告示1ヶ月前」(2月24、25日)との位置づけで行った独自の知事選挙調査結果が、「追撃戦での効果はまだ十分現れず。」とされたことから、さらなる総合力(スピ−ド・フォロ−・パワ−アップ)を発揮させるため、道合選は、「拓く会」(後述)とともに、荒井さとし総合選挙対策本部へと移行を図った。 6.「拓(ひら)く会」の設立と地域組織づくり (1)北海道知事選挙の確認団体となった「希望の北海道(だいち)を拓く会」(以下「拓く会」)は、2006年12月26日に届出を行い、2007年2月2日に設立記念講演会と第一回役員総会を開催、32人の各界各層からなる代表委員はじめ70名を超える代表委員会、さらに、その中から常任代表委員4人を含む19人の幹事会が構成された。 「拓く会」は、[福祉フオ−ラム](2007年2月27日)や出陣大集会(同3月21日)などのイベントを取り組み、地域における後援会づくりについては、第7選挙区(釧根)を除く小選挙区で12の地域組織ができあがった。 また、荒井さとし後援会は、選挙地盤である衆議院第3選挙区(札幌市豊平区・白石区・清田区)を起点としながら、全道へと活動を波及させて主要な役割を果たした。 7.100日間の主要な取り組み(まとめ) (1)産別推薦とブロック合選・地区合選の設置 産別の推薦状況については、48産別中40産別が推薦、また、産別内の選対設置についても、@30産別で設置、A2産別が執行委員会等で対応、B設置しない産別は18となっている。 さらに、地域における合選体制については、15ヶ所(札幌市と石狩が別)にブロック合選設置、地区合選は、札幌市10区を加え190に対して186の設置が報告された。出馬表明は12月26日に行われたが、体制づくりは、実質的には年明けからであり、この体制が最終的に整ったのは3月上旬と、約2ヶ月間を要することとなった。 ブロック合選は、退職者・OBの協力を得ながらも産別からの常駐体制が整わず、特に知事選対としての機能が十分に果たすことができず、道議選対等に依存せざるを得ない実態にあった。 今後のあり方については、連合地協(地区連合)と民主党総支部(支部)を軸として、ブロック・地区単位にもさらに検討していく必要がある。 (2)支持者紹介・獲得運動 荒井さとしの支持者獲得の集約は、2月20日からスタ−トし、最終の4月6日までの9回行われた。支持者獲得運動を取り組んでいない15産別を除く産別・組合員数(18万5千)と目標(組合員数×6人=110万)に対し、694,332人が集約され、達成率は62.5%であった。 また、地協(取り組まない産別を含めて組合員数は22万で131万を目標)での取り組みでは、最終集計で581,314人で達成率44.4%となり、産別タテと地協ヨコとでは11万の差があった。この差は、タテのみの取り組みとした産別があったことや地域への「ヨコ出し」が十分でなかったことを意味している。 最終票読みは、得票目標の7割程度(票読みで114万、◎のみで102万)という厳しい結果であった。 今後においては、支持者紹介・獲得運動に対する組合員の自発的参加の向上や獲得目標達成のための具体的方策、さらには、産別(タテ)と地域(ヨコ)との有機的連携についての課題を明らかにし克服していくことが不可欠である。 なお、高齢・退職者団体連合は、30万の支持者紹介の獲得を独自目標を設定し、自律した取り組みを展開した。 (3)情報宣伝活動 情報宣伝活動については、事前から本番に至る各種情報宣伝の企画・制作・配布などを行った。リ−フ、ビラ、ポスタ−などについては、イメ−ジカラ−やロゴなど、当初からの一体化・統一化が出来なかった点への反省とともに、知事公約の遅れによってチラシ作成での苦慮が大きかったことが指摘される。 今後においては、配置されたスタッフに加え、必要に応じて“プロ”の意見も取り入れた情報宣伝体制が必要となっている。 また、民主党掲示板については、自民党と比較し、全道的ではあるが、特に札幌圏においては大きく劣勢であり、民主党および各議員の日常的地域活動の克服課題としていく必要がある。 一方、「どさんこニュ−ス」は、通算69号の発行(第一号は2007年1月15日スタ−ト)となり、各ブロック・地区合選等の協力(原稿、写真等)を得ながら、遊説先の取材内容が生きたものとなり、好評を得ることが出来た。 また、ホ−ムペ−ジの開設と充実をはかりながら、ラジオ・地域FMやメガビジョン(札幌駅前など)による広告活動などについても行った。 (4)政策委員会活動 政策委員会は、民主党北海道の、「分権と協働の北海道を創る」と題した[統一地方選挙政策大綱]と、高橋道政の検証である[附属資料「空白の4年間」](ともに2007年1月27日公表)について各委員で分担し作業に携わったが、「4年間の高橋道政」を現場から検証し、その結果に基づくより具体性のある基本政策とはなり得ていないとの指摘があった。 また、荒井知事選挙公約(マニフェスト)については、3月13日の記者会見で発表し争点の明確化をめざしたが、強行スケジュ−ルとなった事前遊説のなか、候補本人との十分な意見交換と合意が不足したなかでの公表となったことへの反省とともに、挑戦者らしく現職より先に公表すべきとの指摘があった。 マニフェストについては、これまでの政党(国政)限定から自治体首長選挙への初の適用となった。枚数や配布場所などの制約が残されているが、今後の自治体選挙においてマニフェストは、候補者にとっての“標準装備”となるものである。 なお、政策委員会は、数多くの各種アンケ−トへの回答などについても対応を行った。 (5)経済委員会活動 経済委員会は、企業・商社・団体や教育・福祉・医療・文化・芸術などの諸団体・各層対策(全体で約2万件)を実施した。 2007年1月5日に「オルグ団会議」を開催し、以降、産別や荒井後援会、国会議員および秘書団などの協力を得ながら、第3次(@[第一次]は2月2日の「拓く会」設立記念講演会までA[第二次]はマニフェスト発表時{3月上旬}までB[第三次]は投票日まで)にわたる支持拡大と定着のオルグ活動を展開した。 しかし、オルグ活動に協力していただいた産別の役職員は、結果として、それぞれの道議選対・市議選対を重点としなければならなかったほか、「オルグカ−ド」の重複点検に時間を要し、さらに、オルグ結果に基づく二度・三度のオルグが出来ず支持拡大の集約・定着まで至らなかったことが反省される。 (6)事前・本番遊説 告示までの事前遊説では、延べ13000キロ、180市町村中159市町村の訪問実施となった。3ヶ月という短期間のなか、 @遊説(選挙)は地方から、A保守層への食い込みを優先、Bこれまでの支持団体回りは第一義としない、としたが、強行スケジュ−ルであったことも起因し、地域によってはこのことが十分反映されなかった。結果として、候補のキャラクタ−(愚直に政策を訴えながら人柄をも知ってもらう)を演出しきった遊説とはならず、遊説の基本戦略がしっかりと確立されないままの事前遊説となったことが反省される。 本番遊説(延べ8000キロ)では、当初計画に比べ、最終盤対策として札幌重点の日程をより厚く(17日間で6日間から8日間へ)したが、選挙結果を押し上げることが出来なかった。日程変更が行われたことに関しては、結論的には地元の理解と協力を得たものの不満と混乱をも生じさせた。 なお、愚直に政策を訴え続けた荒井候補と一体となり、妻である吉枝さんはじめ家族が一丸となってたたかった姿は、関係者に多くの感動を与えた。 (7)勝手連・草の根運動、諸対策 今回の知事選挙では、数多くの勝手連・草の根グル−プ(通称=どさんこネット応援隊)のみなさんの協力があった。 ◆「バトンタッチ北海道」(まちおこしグル−プ)、◆「いいべさ!どさんこ」(よさこい勝手連)、◆「どさんこネットの女性グル−プ」、◆「炭鉱<やま>の記憶」フィルム&ト−クそしてミニライブ、◆福祉フォ−ラム、◆元祖すすきの勝手連など、短期間のなかで各種イベントなどへの原動力となり、まちおこしグル−プやよさこい勝手連のみなさんは、全道的ネットワ−クも形成していただいた。地域に根ざした信頼関係を築くためにも、今後のつき合いを大切にしていく。 さらに、諸対策としては、特に弱いとされた、若者、女性・主婦層へのアプロ−チとして、「北海道を考える女性の集い」(3月17日)や人気料理研究家とタイアップした「料理教室」(全道4ヶ所)の開催、団地対策用のビラ配布、「イエロ−コンサ−ト春」(3月29日)、各級議員・女性後援会による「お茶懇」、「北 海道の明日をつくる私からの提言」(連合北海道女性委員会)な どを取り組んだ。また、青年選対は、「STOP!格差社会」全道キャンペ−ン」(2〜3月)を実施、全道23地区での総決起集会、15万のビラ配布行動などを展開した。 三.選挙結果の概要と特徴点 1.全国的な選挙結果(概要)と特徴点 <前半戦の戦い> 第16回統一自治体選挙の前半戦の戦いは、全国13都道県知 事選挙、44道府県議会議員選挙、4政令市長選挙、15政令市議会議員選挙が行われ、4月8日に投開票された。 |
<MEMO> ■ 前回の知事選結果 |
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鉢呂736,231(27.0) 高橋798,317(29.3) 磯田428,548(15.7) 伊東371,126(13.6) 酒井167,615(06.1) 若山142,079(05.2) 他 81,830(03.0) ※( )は得票率 |
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■ 前回は、民主党北海道と道議会道民クラブと連携して50名(民主公認・推薦45名)を推薦し42名が当選(無投票8名)、その後の会派構成によって、民主党・道民連合37名、フロンティア21の連合北海道推薦議員5名による道議団会議としてスタ−トした。(その後、民主党・道民連合は、推薦取り消し1名・議員辞職1名、フロンティア21は、会派離脱1名があった) ■ 札幌市議会では、その後、2議員が自民会派を離脱したため、民主は第一会派となった。 ■ 民主党掲示板の現状=全道12選挙区で1選挙区平均1000ヶ所に設置、札幌は1400ヶ所で最低でも4000ヶ所が必要と思われる。 ■ 道府県議会議員選挙=全国地方連合会・構成組織は、776人推薦し607人当選、そのうち組織内議員は318人(連合本部調べ) ■ 政令市議会議員選挙=全国地方連合会・構成組織は、261人推薦し221人当選、そのうち組織内議員は143人(連合本部調べ) ■ 後半戦の投票率は、東京の区長・区議選が微動だったのを除き、32%)、町村長選挙(74.57%)、町村議会議員選挙(71.49%)と、いずれも戦後最低を記録。 ■ ○市町村長選挙/全国地方連合会・構成組織は、59人推薦し48人当選、○市町村議会議員選挙では、1257人推薦し1146人当選、そのうち組織内議員は747人(連合本部調べ) ■ 知事選投票率は、64.13%と候補者が乱立し投票率低下となった前回(61.81%)とは好対照となり、24ぶり(1983年83.89%)に前回を上回る上昇となった。 ■ 期日前投票=35万2898人、投票者総数の12.05% ■ 道議会の新しい会派構成(4月27日届出) ○自民党・道民会議52 ○民主党・道民連合40○公明党7 ○フロンティア5(2) ○共産党2 ※フロンティア(2)は民主党・連合推薦 ■ 道内市町村議会議員の定数は、2003年4月時点(前回)では3512議席であったが、現在180市町村では、2612議席となっており、4年間で4分の1削減されている。うち、議員定数が10人以下は69議会と全体の3分の1以上を占め「スリム化」が進んでおり、行政のチェック機能と議会の役割が問われる。 ■ 各社のシリ−ズ論評 【道新】=[圧勝完敗/知事選戦い終えて](4月10〜11日、上・下) 【読売】=[再選/高橋道政の課題](4月10〜12日、上・中・下) 【毎日】=[07春 選択/−統一選1R−](4月10〜12日、上・中・下) ■ 現職に対する挑戦は、1979年の堂垣内知事に対して五十嵐候補(元旭川市長・元官房長官)が再挑戦して以来、28年ぶりの2007年知事選挙となった。 ■ 一つの例として、超党派でつくる「全国若手市議会議員の会」(会員約300人)が6月の地方議会に向け「全国一斉条例提案」を仕掛ける動きがある。1期4年の任期で「条例作成に何らかの関わりを持った」かどうかは、重要なポイントと位置づけられる。 |
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[選挙日程] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
告示日 3月22日/都道県知事選挙 25日/政令市長選挙 30日/道府県議会議員・政令市議会議員選挙 投票日 4月 8日 |
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(1)都道県知事選挙・政令市長選挙 @ 知事選挙は、13都道県(自民・民主対決構図5、民主不戦敗6、現職相乗り2)で実施され、9人の現職すべてが勝利した。自民と民主が対決構図となった5都道県知事選挙では、自民3勝 (北海道・東京・福岡)民主2勝(岩手・神奈川)となり、北海道においては、大差の敗北となり、これまでの“空白の4年間”の継続を許す残念な結 <表1> 全国知事選当選者数 |
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果となった。 今回の知事選挙の結果、官僚出身の知事は、 全体の6割を超える29人(前回より5人増)、旧自治省(総務省)13人と旧通産省 |
計 現 新 | 立候補 | |||||||||||||||||||||||||||||||
自民系 9 6 3 民主系 2 1 1 共産系 0 − 0 自・民 2 2 − その他 0 − 0 |
11 5 13 2 13 |
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合 計 13 9 4 | 44 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
(経済産業省)9人の「2強時代」となった。 投票率が上回ったのは、北海道、東京都、福岡県であったが、東京都が前回より9.41ポイント高かったため全国の投票率を上昇させた(前回52.63→今回54.8)。 政令指定市長選挙は、4指定都市で行われ、上田札幌市長の再選など3人の現職(浜松市長選のみ現職が敗北)が当選し、知事選挙と同様に「現職の優位性」が裏付けされる結果となった。 A 主要な新聞各社は、現職が全勝した全国知事選の結果について、「安定志向で現職全勝」(道新)、「選択の幅を狭める現状維持志向」(朝日)、「改革期待の安定志向」(読売)、「無党派に現職志向」(毎日)、「有権者『安定』選ぶ」(日経)と概ね類似するような論評を報じている。そして、その中でも、朝日新聞が報じた出口調査によると、「今回の知事選をきっかけに、県政(都政・道政)が大きく変わってほしいと思いますか」という共通の質問に対し、6〜7割台の高率で「大きく変わってほしい」と答えており、北海道の場合には、74%が大きく変わってほしいと答え、その55%が現職(荒井候補へは38%)に投票したとされている。このことは、「現職の優位性」とともに、選挙結果を通じて検証すべき重要なキ−ワ−ドといえる。 (2)道府県議会議員選挙・政令市議会議員選挙 @ 44道府県議会議員選挙の結果は、自民党が1212議席と振るわず過去最低(前回1309)、民主党は375議席(推薦含むと500議席)を獲得して過去最高(これまでは2003年の230議席)となり、議席獲得率では14.7%と前回(7.8%)から倍増した。このことにより、都道府県議会議員の空白区は、沖縄(今回の統一自治体選挙の対象外)を除き全国的に解消された。 <表2> 44道府県議会議員選挙当選者数 |
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公明党は全員当選で堅調(181議席、前回+3議席)、社民党(52議席、同▲21議席)と共産党(100議席、同▲7議席)は退潮が続いている。また、女性候補190人の | 当選者数 (女性) | 現 元 新 前回 | |||||||||||||||||||||||||||||||
自 民 1212(27) 民 主 375(42) 公 明 181(12) 共 産 100(50) 社 民 52( 7) 国民新 1( 0) 新党日 −( −) 諸 派 40( 5) 無所属 583(47) |
1065 20 127 1309 239 5 131 205 138 0 43 178 64 10 26 107 39 3 10 73 0 0 1 0 0 0 0 0 32 2 6 75 269 38 276 687 |
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計 2544(190) | 1846 78 620 2634 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
<注>@無投票当選含む、A前回諸派に自由・保守新 党含む。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
当選は過去最多(これまでは前回の164)となった。 なお、投票率は、52.25%で過去最低を更新した(前回52.48%)。 A 15政令市議会議員選挙(静岡・北九州市除く)でも、民主党は議席占有率19%超(定数983中194、前回は16%)と健闘、名古屋市・川崎市で市議会第1党となり、札幌市は1議席差(その後、2議員が自民会派を離脱して新会派を結成したため、会派構成で第1位)となった。公明党は立候補者(169)全員当選、自民党は、議員占有率を30%から約28%(276 )に減らした。 <表3> 政令市議会議員選挙当選者数 |
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当選者数(前回当選) 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
自 民 民 主 公 明 共 産 社 民 国 民 諸 派 無所属 |
276 (252) 16 194 (126) 29 169 (146) 31 124 (104) 58 15 ( 13) 1 0 ( − ) 0 39 ( 57) 23 166 (128) 18 |
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合 計 | 983 (831) 176 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
<注>新潟・浜松・堺市含まず <後半戦の戦い> 第16回統一自治体選挙の後半戦の戦いは、全国で96市長選挙と310市議会議員選挙、東京13区長選挙と21区議会議員選挙、そして156町長選挙と448町村議会議員選挙が行われた。また、福島県と沖縄県では、参議院議員補欠選挙も行われた。 |
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[選挙日程] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
告示日 4月15日/市長選挙・市議会議員選挙 17日/町村長選挙・町村議会議員選挙 投票日 4月22日 |
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(1) 市町村長選挙では、投票日間近の選挙戦の最中に現職市長が暴力団の凶弾で帰らぬ人となった長崎市長選挙、再建団体の夕張市長選挙などが注目され、夕張では、市独自の「再生計画」をつくると公約し地区連合が支持した藤倉候補が勝利した。市議会議員選挙では、道府県議会議員選挙と同様に、民主党が374議席(前回は292議席)と躍進し、自民党は598議席(前回は814議席)と後退した。しかし、6割を超える無所属議員と公明党(974議席)・共産党(772議席)の議席数を考えると、さらなる「足腰の強さ」が民主党に期待されている。 さらに、参議院議員補欠選挙について、沖縄では無党派層の支持で上回りながら与党に惜敗、福島においては、自民・公明支持層にも支持を広げて野党が圧勝し「一勝一敗」で終わった。 <表4> 全国市議会議員選挙当選者数 |
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計 (無投票当選 ) | 前 回 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
自 民 598 ( 1) 民 主 374 ( 4) 公 明 974 (13) 共 産 772 (13) 社 民 143 ( 1) 国 民 1 ( 0) 大 地 1 ( 0) 諸 派 81 ( 0) 無所属 5080 (110) |
814 2921140 940 239 926718 |
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合 計 8024 (151) | 10246 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
<注>前回当選者数の合計には、自由党含む | |||||||||||||||||||||||||||||||||
2.北海道における選挙結果(概要)と特徴点 (1)北海道知事選挙 @ 北海道知事選挙は、前回の候補者乱立(9人)から一変し、共産党が44年ぶりに公認候補を擁立したものの、国政における与野党対決という基本構図のもと、実質的には、現職と荒井さとし候補との一騎打ちによる「自民・民主対決」のたたかいとなった。現職の優位性のもとでの追撃戦ではあったが、事前のマスコミ世論調査が裏付けされたような大差、しかも100万票に届かず大敗北となり、“空白の4年間”を取り戻すことが出来なかった。28年ぶりに現職に挑戦するたたかいでもあった今回の知事選挙は、市町村別得票数においても、2勝178敗の完敗であり、「現職2期目の優位」というハ−ドルを乗り越えられなかった。 A さらに、北海道政権戦略会議が掲げた[必勝の条件]にてらして得票結果を分析(<表5>シミュレ−ション)すると、●第一義的な条件とした「自民票に如何に食い込み、かつ民主票の9割以上獲得」では、むしろ現職サイドに逆転した結果を許し、●「社民・新党大地からの実質的な推薦または支持が不可欠」とした条件では6割程度、●共産は当初想定以上に得票、●そして、最大のキ−ワ−ドとした「無党派層の過半数獲得めざす」とした条件では、現職とダブルスコア−差の3割程度の支持しか得られなかった。これが大敗北となった得票構造であったといえる。 |
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[選挙結果] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
荒井さとし 981、994票(得票率33.8%) 高橋はるみ 1、738、569票(得票率59.8%) 宮内さとし 184、970票(得票率 6.4%) |
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<表5> 得票結果の分析(シミュレ−ション) |
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荒井さとし | 高橋はるみ | 宮内さとし | |||||||||||||||||||||||||||||||
自民 民主 公明 社民 共産 大地 無所属 |
48637(0.070) 510693(0.735) 16378(0.050) 62534(0.630) 19653(0.090) 109186(0.550) 215099(0.320) |
642709(0.925) 180653(0.260) 304629(0.930) 33748(0.340) 45858(0.210) 87349(0.440) 443641(0.660) |
3474(0.005) 3474(0.005) 6551(0.020) 2978(0.030) 152860(0.700) 1985(0.010) 13444(0.020) |
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推計 | 982180 | 1738587 | 184766 | ||||||||||||||||||||||||||||||
確定 | 981994(0.338) | 1738569(0.598) | 184970(0.064) | ||||||||||||||||||||||||||||||
<注> この数値は、自治労北海道本部・総合研究所などの協力も得て、 マスコミ各社の出口調査などから類推して作成したものである。 (2)北海道議会議員選挙 @ 議員定数(今回の選挙から議員定数は110から106と削減された)の過半数獲得をめざした道議会議員選挙は、民主党が候補者擁立時点においてすでに過半数とはならなかったが、選挙結果では、改選前議席(35)を上回る42議席を獲得して前進した。自民党は、改選前議席(54)を下回る49議席と後退、全員当選を果たした公明党(7議席)を加え過半数を維持した。 知事選が大敗北するなかで有権者が示した、道政を大きく変えてほしいという期待(前述)に対して、民主党は、議会サイドからこの期待に応えるべき大きな重責をもったといえる。 躍進の大きな要因となった一人区(13)のうち、自民・民主の対決となった11の選挙区では2人の現職が敗北したが、民主が6勝5敗と競り勝った。 無投票当選は、11選挙区19人(有権者約79万人)と過去三番目に多かった(戦後最多は1991年15選挙区21人)。 さらに、当初多くの選挙区で無風が予想された札幌10区では、すべての選挙区で道議会議員選挙が実施された。 また、20代1人、30代8人(前回30代5人)と若手議員が増え、空白区(不戦敗)は7選挙区あった。 <表6> 北海道議会議員当選者数 |
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当選者数(女性) | 現 元 新 | 無投票 | 立候補 | ||||||||||||||||||||||||||||||
自 民 46(1) 民 主 35(3) 公 明 7(0) 共 産 2(2) 無所属 16(3) 自 3 民 3(2) 民大 1 民社大 2 民ネ 1(1) 大 0 その他 6 |
41 2 3 25 0 10 6 0 1 2 0 0 9 1 6 1 0 2 3 0 0 1 0 0 2 0 0 0 0 1 0 0 0 2 1 3 |
12 5 2 1 1 |
60 39 7 10 33 6 5 2 3 1 1 15 |
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合 計106(9) | 83 3 20 | 19 | 149 | ||||||||||||||||||||||||||||||
<注>無所属の内訳、自=自民、民=民主、大=新党大地、社=社民、 ネ=市民ネットによる推薦 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
(3)札幌市長選挙・札幌市議会議員選挙 @ 前回の札幌市長選挙は、7人の候補乱立、そして再選挙という様変わりの選挙であったが、今回は、民主党・社民党が推薦する上田候補と自民党・公明党が推薦する清治候補との事実上の一騎打ちとなった。選挙結果は、4年間にわたる市民参加の市政に対する一定の評価と「現職の優位性」が発揮され、支持政党の枠を超えての幅広い支持(<表7>出口調査結果を参照)を受けて実力が試される上田市政二期目のスタ−トとなった。札幌市議議会議員選挙では、自民党が現有議席(25)を減らし23議席となり、民主党は、推薦を含めると22議席(現有議席18)と躍進した。その後、2人が自民会派から離脱し新会派を結成したため、民主党は第一会派となり、文字どおり上田市政の与党となった。過去最高の22人が立候補した女性候補は、16人が当選、現職10から大幅増となった。 |
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[選挙結果] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
上田 文雄 535、023票(得票率57.0%) 清治まさと 362、154票(得票率38.6%) 二階堂俊三 41、130票(得票率 4.4%) |
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<表7> マスコミの出口調査結果から(%) |
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上 田 | 清 治 | 二階堂 | |||||||||||||||||||||||||||||||
自民 | 33.1 | 65.6 | 1.2 | ||||||||||||||||||||||||||||||
民主 | 80.6 | 17.7 | 1.7 | ||||||||||||||||||||||||||||||
公明 | 23.3 | 72.0 | 4.7 | ||||||||||||||||||||||||||||||
社民 | 79.4 | 17.6 | 2.9 | ||||||||||||||||||||||||||||||
共産 | 71.9 | 15.8 | 12.3 | ||||||||||||||||||||||||||||||
大地 | 58.3 | 33.3 | 8.3 | ||||||||||||||||||||||||||||||
無 | 66.9 | 26.5 | 6.6 | ||||||||||||||||||||||||||||||
計 | 57.0 | 38.6 | 4.4 | ||||||||||||||||||||||||||||||
<表8> 札幌市議会議員当選者数 |
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当選者数(女性) | 現 元 新 | 改選前議席 | |||||||||||||||||||||||||||||||
自 民 23(4) 民 主 21(3) 公 明 11(1) 共 産 6(4) 市民ネ 4(4) 社 民 0 大 地 0 諸 派 0 無所属 3(0) |
18 5 16 5 9 2 4 1 1 2 2 2 1 |
24 18 11 8 3 0 0 0 3 |
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計 68(16) | 51 1 16 | 67 | |||||||||||||||||||||||||||||||
<注>無所属のうち、1名は民主推薦 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
(4)市町村長選挙・市町村議会議員選挙 @ 道内における統一自治体選挙の後半戦では、13市長選挙(うち7市で無投票)、27市議会議員選挙(同富良野市のみ)、35町村長選挙(同17町村)、102町村議会議員選挙(同19町村)が実施された。市長選挙では、連合推薦6人のうち、自民と民主の対決となった滝川市長選挙では惜敗、他の5人は当選(うち3人は無投票)を果たした。市長選全体としては、砂川・赤平の旧産炭地など7市で無投票となり、全国(19市長選挙)の約4割を占めた。また、連合が支持した函館市長選挙では現職が敗北、さらに、夕張市長選挙では、道内外からの7人の候補が乱立したが、地元出身の藤倉候補が激戦を制して「再生の舵取り役」となり、即、その行政手腕が問われることとなった。 なお、市町村議会議員選挙(地協・地区連合が推薦した者)は、次表のとおりの結果となった。 <表9> 地協・地区連合推薦市町村議員の選挙結果 |
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地 協 | 推薦者数 | 当選者数 | (公認)(推薦) | 落選者数 | |||||||||||||||||||||||||||||
石 狩 渡 島 檜 山 後 志 空 知 上 川 留 萌 宗 谷 網 走 胆 振 日 高 十 勝 釧 根 |
17 23 2 11 32 46 7 11 26 32 6 42 17 |
17 19 2 9 26 44 7 9 22 32 6 39 14 |
(9) (7) (4) (4) (9) (1) (1) (2) (9) (3) (5) |
(6) (3) (2) (2) (3) (4) (2) (4) (6) (3) (1) |
4 2 6 2 2 4 3 3 |
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合 計 | 272 | 246 | (54) | (36) | 26 | ||||||||||||||||||||||||||||
<注>(公認)(推薦)の欄は、民主党の公認・推薦を示している。また、 当選者数と(公認)+(推薦)の差は無所属・その他(市民ネット・社 民など)となっている。 四.次なるたたかいへ(主要な課題と提言) 1.知事選結果をどう評価するか (1)新聞各社は、どのように論評したか 新聞各社は、知事選の結果について、それぞれシリ−ズ(MEMO欄)で論評した。【北海道新聞】は、「(現職の)圧勝は、民主・連合の力量低下を見せつけただけではなく、『高橋与党』の自民・公明サイドの存在感も揺るがせることとなった」、そして、「荒井陣営の当初描いた戦略(=基礎票の9割以上、無党派対策は明確に対立する政策の提示)は誤算続き」だったと論じ、「労組の弱体化」や「政策のぶれ」を指摘した。 また、【読売新聞】は、高橋知事が173万票と圧勝した一方で、与党の自民党が道議選において現職11人を落選させ、49議席にとどまったことをうけ、「知事を押し上げた民意の風は、自民党道議候補の前を素通りした」とのべている。 さらに、【毎日新聞】は、「進化するマニフェスト」によって政策が多岐にわたったために焦点がぼけ、現職との対立軸は鮮明にならなかったと指摘、「ただでさえ2期目の現職は強いとされた選挙戦で争点形成の失敗は致命的だ」と論じた。 (2)道民は「現状維持」を望んだのか 今回の知事選挙は、地域が疲弊し、格差が拡大している北海道の厳しい現状のもとでたたかわれ、その結果、多くの道民が現職に投票したが、決して「現状維持」を肯定しているのではない。先に紹介した出口調査(p11参照)のほか、民主党独自の世論調査(3月11日)によっても、「高橋知事の再選が必要だと思いますか」の問いに対して、「変わってほしい」(63.2%)と思いながらも、そのうちの31.1%が現職支持を表明しているように、現状不安を感じながら変化も期待している。知事選では荒井候補がその受け皿とはならなかったが、道議会議員選挙などにおける民主党の議席拡大や若者の議席獲得は、その主役と役割を担ってほしいという有権者からのメッセ−ジと受け止める。 2.知事選大敗北の要因はなにか 連合北海道が北海道政権戦略会議とともに達成すべきとした三つの基本目標(@どさんこ・荒井知事の実現A比較第一の道議会議席獲得B血の通う温かい公約と実現)にてらしてみると、道議会議員選挙での前進は見られたが、いずれも4年後の課題として残された。「必勝の条件」(p3、p13〜14に関連記述)で示したように、政党の枠組みからは基礎な力の差はなく、無党派層が互角以上のたたかいであれば勝利は可能という構図ではあったが、大敗北という結果となった。連合北海道は、選挙結果を厳粛に受け止め、4年後を展望してその要因をいくつか検証する。 (1)戦略・戦術に誤りはなかったか 総合選対本部は、現職優位のもとで追撃戦と位置づけながら、「本番で追いつき追い越す」との戦略を立て100日間のたたかいを展開し、さらに、政党間の連携(自律協働型)についても当初想定のとおり実行された。総体的には、当初の戦略・戦術に誤りがあったのではなく、たたかいの展開のなかで発揮される様々な「現職の優位」の情勢に対し、その対策を構想し実行していく当初の戦略・戦術をこえた“力不足”があったことを痛感する。 (2)「現職の優位性」をどれだけ受け止めたか 戦後の知事選の歴史(<表10>を参照)をたどれば、@新人同士の対決では、95年を除きいずれも接戦であるが、A現職二期目に挑戦した選挙では、いずれも大差で現職が勝利しているという特徴がある。高橋知事を何となく支持している層が多いことへの警戒心は持ったものの、「現職2期目」という超えるべき壁の高さと厚さに対する検証を深めきれず、「現職の優位性」に対して漫然とした姿勢と認識の甘さがあった。 <表10> 北海道知事選挙の推移(新人同士&2期目対決) |
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新人同士&2期目選挙 | 2期目現職に挑戦した候補(次点) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
社・民主系候補 | 自民系候補 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
47 51 59 63 71 75 83 87 95 99 03 |
当555862(53.8) 当914764(54.1) 963603(46.6) ※ 1280479(49.1) ※ 当1597590(49.0) 当2110730(67.6) 当1636360(58.3) 当1593251(57.3) 736231(27.0) |
476727(46.2) ※ 当1092456(52.8) 当1393352(63.5) 当1293690(49.6) 当1628838(55.2) 1526230(46.8) ※ 766657(27.3) ※ 当 798317(29.3) |
※ 777421(45.9) ※ 753480(34.4) ※1324197(44.8) ※ 887306(28.4) ※ 810187(29.2) |
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<注> 候補者名は省略、当=当選、アンダ−ラインは現職2期目の選挙、 現職3期目(55、67、79、91年)の選挙結果は省略。 (3)立候補の立ち後れの影響はどうであったか 最も高いとされる“現職2期目の壁”を超えなければならなかった選挙戦としては、残された運動期間が100日間というのは、あまりにも超短期間であった。連合北海道は、遅くとも1年前の候補擁立(この間には、2005年9月の解散総選挙による影響があったことも否定はできないが)を期待したが、陣営内に「3ヶ月もあれば」という、ある種“慢心”の姿勢があったことは否定できない。今回、公募方式とした意義は失われないものの、現実として擁立までに相当の期間を要した様々な要因について、4年後の教訓として生かしていかなければならない。 (4)メディア戦略は打ち立てられたか 高橋知事は、現職四年間のなかでは、独自のメッセ−ジを発信し、リ−ダ−シップを発揮することはなかったという指摘以上に、「これといって失敗がない、もう一期やってもいいのではないか」「一生懸命に頑張っている」という評価のされ方の方が上回った。 米チェンのCM出演に象徴されるように、高いマスコミへの露出によって知名度とともにこうした評価をさらに浸透させた。そして、今回の知事選挙ではイメ−ジ選挙を徹底させて好感度を拡張させ、地域では、「はるみちゃ−ん」とよばれる人気をもつくり出した。 他人から受け取る情報の割合のうち、55%は「見た目、表情」という(心理学の「メラビアンの法則」)。そして、「視聴者は話の中身以上に候補者の『好感度』と『本気度』を見る」(選挙コンサルティング会社「アスク」三浦博史社長)という。有効な対策が出来なかった歯がゆさは残ったが、メディア戦略は、今後の選挙戦でさらに重要な位置づけとなる。 3.対立(対抗)軸は明確であったか (1)政権戦略会議、荒井候補は、厳しい北海道の現状に対する4年間の高橋道政と国政への対決姿勢を明確にし、政策的にも争点化させながら、ともに「疲弊した北海道の立て直し」を訴えた。 しかし、荒井候補が「どさんこ党」と宣言すれば、高橋候補は「道民は私の家族」といい、夕張問題や医師不足対策、サミット誘致などについては、後出し的に姿勢を打ち出すなど、高橋陣営は、争点化させない“イメ−ジ”選挙を展開した。荒井候補が「進化するマニフェスト」として打ち出した政策(夕張再建計画の年数短縮など)の背景には、こうした相手陣営の戦略を乗り越えようとする意思とあくまで“北海道をほっとけない”として政策を訴え続けていこうとする愚直さがあった。ただ、このことが、対外的に「政策のぶれ」として映ったとの指摘についても、謙虚に反省していく。 (2)一方、選挙戦略とはいえ、こうしたすれ違いの政策論争なき今回の知事選挙は、これからの北海道をどうするのかというビジョンが語られず、有権者にその選択肢が明確にならないままに投票が行われたことをも意味する。このツケは、倍加されて高橋道政2期目に負わされていくものであり、現に直面している。 同時に、「対立(対抗)軸(争点)形成と有権者への浸透をいかに図るか」というテ−マは、マニフェストがさらに定着する4年後に再び試される。このカギは、地域と道民生活に根ざした、高橋第2期道政に対する検証力と政策力の日常的な集積と蓄積にかかっている。 4.陣営内部の連携と一体感は十分であったか (1)総合選対本部の機能と総合力の発揮については、前述したとおり、当初の戦略・戦術を超えた対策への構想力や実行力など、総体としての力量不足について率直に容認せざるを得ない。 また、短期間での取り組みとなったことや、追撃してもなかなか差が縮まらないという実感と選挙情勢の厳しさが、総合選対本部全体への重圧となった。 さらに、各セクション相互の基本動作(ほうれんそう=報告・連絡・相談)の欠如によって対策へのスピ−ド感が失われ、総合選対本部としての一体感と達成感は示されなかった。 今後の総合選対本部のあり方については、三軸としての責任体制の再確立や持続可能な選挙態勢づくりについて、三軸それぞれに検証していくことが重要である。 (2)各ブロック(地区)合選(選対)については、共通して少数の常駐体制のもとで努力が払われた。退職者・OBの方々の協力は大きな力となったが、現実的には道議選対等に依拠せざるを得ず、有効投票の過半数を制することが基本となる「知事選対」として独自に機能するためには、多くの課題が残されている。各ブロック(地区)では、独自の手足がなく単独の活動が出来ないところが多い。地域における民主党総支部・支部、各級議員および後援会、退職者・OBとの日常的なつき合いと連携により、常駐体制の確立をはじめ、一つひとつ着実に課題を克服していく必要がある。 5.組織力量の低下について (1)基本活動である「支持者獲得運動」の取り組み(p7で集約状況について言及している)について、「組合員カ−ド」「支持紹介カ−ド」などが、個人情報保護法(過剰反応の指摘もされているが)を名目としてだんだん集約されなくなっているとの報告が多く出されている。また、公務職場での公務員バッシングや行政改革課題が山積、民間職場でも厳しい労働環境や専従役員の減少などによる組織の弱体化が指摘されている。選挙闘争、特にその基本活動である「支持者獲得運動」こそ、労働組合運動の生命線である組合員との「信頼と合意」がことさら強く要求される。選挙闘争は、普段の組合活動の実態、言いかえれば、産別における日常的組合運動に対する組合員の意識と行動が反映される。各産別においては、組織の弱体化、組織力量の低下について、組合活動の基本にてらして検証することがなによりも重要である。 6.道議会議員選挙等における積極的候補者擁立 (1)連合北海道は、道議会議員・札幌市議会議員選挙における積極的な候補擁立は、道議会での単独過半数、札幌市議会での比較第一位の議席確保をめざす以上、必然の方針として認識するとともに、選挙結果においても一定の評価を行っている。 しかし、「総論賛成、各論反対」「複数擁立よりも空白解消が先」との意見が交差し、候補者の決定が遅れたことも起因して一部にしこりが残ったという指摘がある。しかし、今回の道議選挙では、「早い段階から足を使った活動ができた」(岩見沢)「一年前から利尻、礼文の島を歩いてきた」(宗谷支庁)など、一人区では6勝5敗と健闘した。この背景には、活動できる一定の期間が保障され、「足で動く」という日常的地域活動の基力があったことを教訓化すべきである。 連合北海道は、それぞれの選挙区における日常的な支持基盤の拡大への努力を基礎とした、空白区の解消と複数擁立に向けた積極姿勢は、これからこそ持続されるべきと考える。 なお、道議会議員選挙と知事選挙との連動について、民主党公認・推薦の道議会議員候補の得票数が89万票であるのに対して、荒井候補は80万票の獲得という比率であった。一方、道議会選挙における前回との得票率比較では、<表11>のとおり、5%アップし前進した結果となっている。 <表11> 北海道議会議員選挙/推薦候補の得票率 |
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推薦 区分 |
第15回(2003) | 第16回(2007) | |||||||||||||||||||||||||||||||
当 | 無 | 落 | 得票率 | 当 | 無 | 落 | 得票率 | ||||||||||||||||||||||||||
民主・連合 民主 連合 その他 |
32 2 |
7 1 |
7 1 1 |
(737202) |
34 1 |
7 |
8 |
(891780) |
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計 | 34 | 8 | 9 | 32.4% | 35 | 7 | 8 | 37.4% | |||||||||||||||||||||||||
<注>当=当選者数、無=無投票、落=落選者数、( )=得票数 7.民主党(北海道)への提言 (1)連合北海道は、民主党北海道・北海道農民政治力会議とともに、これまで選挙態勢を担ってきたし、今後もその役割を果たしていきたいと考えている。 しかし、選挙の主役は、常に民主党でなければならず、連合北海道は、あくまで民主党の最大の理解者・応援団である。北海道の地においてこそ、民主党北海道が「連合・労組依存」の体質から脱却し、国の政権や地域政府を担いうる先駆的モデル的な政党として飛躍することを期待し、以下の事項について提言する。 【提言その1】 地域に根ざした日常活動の展開 今回の選挙でも、“地域で党の顔が見えない”との声が多く寄せられた。党の顔とは、国会議員をはじめとした議員団の存在そのものを意味している。地域に根ざした民主党の組織と日常活動についての党内論議を活発化させ、総支部・支部の体制強化と支持基盤拡大への道筋を示し実践すること。さらに、民主党北海道の体制・機能強化についても一層期待する。 【提言その2】 道議会会派の活性化と道議会改革 連合北海道は、道議会会派である、民主党・道民連合(40名)およびフロンティア21(5名構成のうち2名推薦)との連携を強めていくが、第2期高橋道政下での会派の役割は極めて大きい。若い議員の積極的な出番をはかり、条例提案の積極的取り組み、地域と道民生活に根ざした議会での具体的な質疑など、内外に存在感と信頼感を得るような活力ある会派運営と役割を期待する。 また、開かれた道議会改革ビジョンをもち、道民世論を喚起しながら改革を実行すること。 【提言その3】 「政権塾」の再設立と政策・人づくり 今回の統一自治体選挙では、「DASH政権塾」(p1)の塾生および運営に携わった者の立候補者は18名(いずれも公認・推薦)であり、そのうち、道議会議員5名、札幌市議会議員3名、市町村議会議員4名の計12名が当選を果たした。民主党北海道は、この「政権塾」を早期に再設立し、有識者、支持団体などの協力を得て持続的な「人づくり」「政策づくり」を進めていくこと。 【提言その4】 「議員活動評価制度」の導入・実施 連合北海道は、推薦した議員について、より緊張関係を保ちながら、さらなる活躍を期待するとの観点から、「議員活動評価制度」を導入する。対象範囲は、当面道議会議員とし、第20回定期大会(10月30〜31日)までに検討し提起する。 <評価項目の例示> ○議会活動[条例等作成、議会質問、政策調査、議会改革など] ○地域活動[市民相談、地域貢献活動・NPO活動など] ○議員活動[道政報告会、後援会活動、HP、市民相談など] 五.むすびに 連合北海道は、知事選挙での大敗北、札幌市長選での再選、各議会議員選挙の前進など、悔しさを感じながらもその結果を厳粛かつ前向きに受け止めながら「統一自治体選挙闘争のまとめ」を行った。連合北海道が知事と道政の奪還によって求めた「疲弊した北海道」「北海道の自治」「道民生活」の三つの立て直しは、選挙戦で政策論争を回避した高橋知事と第二期道政にいま重くのしかかっている。 連合北海道は、この「まとめ」を“4年後”に向けての新たなスタ−トとし、「反省は二度と繰り返さない」「教訓は直ちに実践化する」との思いで、現在、参議院議員選挙をたたかい続けている。そして、2年以内には衆議院総選挙、3年後には参議院議員選挙が実施される。新しい北海道の創造は、こうした闘いを勝利でつなぐ延長線上に展望されていることを、ともに闘っていただいたすべてのみなさんとともに確信し合いたい。 |