第1号議案
第31回地方委員会/2005.7.1
 
2005春季生活闘争の中間総括
 
 
はじめに
 北海道における労働戦線の統一を果たし、連合北海道を結成して本年2月で15年が経過した。
 言うまでもなく、連合北海道の役割と任務は、全労働者の視点に立った、働く者の雇用や賃金・労働条件の改善に向けて、産業別労働組合間の共闘や地域共闘の強化を図るとともに、使用者との交渉では解決を図ることが困難な年金・医療・介護・税制などの政策・制度課題に取り組み、労働を中心とした福祉社会を構築し、公正な社会を実現することにある。
 しかし、毎年春季の段階で一斉に各組合が賃金を中心とする労働条件改善に向けて要求書を提出し、団体交渉を展開し、その成果を未組織労働者まで波及させることを獲得目標とした春季生活闘争は、デフレ経済など内外の情勢の変化のなかで大きな転換を迫られている。
 1994年、連合北海道は、本道の企業・団体のうち北海道で団体交渉を実施し、労働条件を決定する地場中小労働組合に対し、要求目標を示すとともに、回答ゾーンを設定し、集中して解決を図る地場集中決戦方式を全国で初めて提起して以来、本年で11年目を数えた。
 2005春季生活闘争の総括にあたっては、昨年から全国台での展開となった地場集中決戦方式を中心とする共闘体制、とりわけ地域共闘や官民共闘について成果と課題を明らかにするとともに、増加の一途をたどっているパート労働者、契約社員、派遣労働者など同一職場で働く仲間の均等待遇の実現と雇用の安定を図る取り組み、更には経済的に自立できる水準と公正競争の確保を目指し、賃金引き上げの基盤となす企業内最低賃金協定の締結促進など、中小・未組織労働者の賃金、労働条件の底上げ・波及の取り組みについて本年の到達点と次年度に向けた課題を提起する。
 また、政策課題については、全国レベルの定率減税廃止反対などの課題とともに、本道で取り組んだ雇用創出を中心とする雇用課題と交通運輸産業の行き過ぎた規制緩和政策の変更を求める取り組みなどについて、今後の課題を明らかにすることとする。
 なお、現段階では、地場中小を中心に未解決組合が少なくないこと、評価に必要なデータが充分ではないことから、本稿は中間総括として論議素材を提起し、9月の地方委員会までに議論を深めて最終総括をまとめることとする。
 
T.2005春季生活闘争の課題と取り組み経過
1.連合北海道は、昨年10月29日開催した第17回年次大会で2005春季生活闘争の基本構想を、その後12月3日の第1回拡大闘争委員会で闘争方針を確認、決定した。
そのなかでは、わが国経済は回復基調にあり、また、企業の経常利益はバブル以降最高水準に達しつつある一方で、勤労者の可処分所得は、98年から6年連続で対前年比マイナスとなっており、雇用の回復も一向に改善しておらず、労働側への一方的なしわ寄せが続いていること、また、産業間、企業規模間、地域間、雇用形態間の格差拡大が急速に進行し、「中流社会」は「二極化社会」に変質しつつあること、更に政府の規制緩和を中心とする構造改革も「二極化」の流れを加速させている状況を踏まえ、2005春季生活闘争では、こうした労働側へのしわ寄せ、「二極化」を突破する積極的な成果配分と格差是正を全国の仲間と実現する闘いと位置付け取り組むこととした。
 
2.こうした位置付け、基本的スタンスを明らかにしたうえで、連合本部、連合北海道は、全ての組合が取り組むミニマム運動課題として、第一に「賃金カーブの確保」と賃金カーブ維持分の労使確認、第二に規模間や男女間格差の是正、均等処遇の実現、第三に「全従業員対象の企業内最低賃金の協定化」、第四に「労働時間管理の協定化」の4つを掲げ、統一して取り組むこととした。
このうち、中小地場組合の格差是正や底上げを図るため、12月24日開催した第1回闘争委員会で格差是正の目安として「賃金カーブ相当分5,200円+500円以上」又は「5,700円以上」と確認、決定するとともに、本年の北海道地域年齢別ミニマム賃金についても、賃金実態調査結果と標準生計費、生活保護費の水準などを考慮し設定額を公表し、底上げを図ることとした。
また、あわせて先行組合の集中回答ゾーン、中小組合の集中回答ゾーン、第一次解決促進ゾーン、第二次解決促進ゾーンなどの闘争日程を示すとともに、エントリー組合の報告、登録を2月末までに行うことを決定し、これを各構成産別、地協・地区連合に提示し、1月下旬から2月中旬にかけて討論集会を開催した。
討論集会においては、北海道独自の取り組みとしてパートや派遣、契約社員などの有期雇用契約労働者の雇用の安定に関するモデル協定の締結促進や、ハイ・タク最賃新設に向けた取り組み指針、更には労働条件の不利益変更に対する取り組み方針などを示し、地域・産別での取り組み強化を訴えてきた。
 
3.また、政策制度の課題については、第一に雇用と地域を最優先した予算編成、第二に定率減税の縮減・廃止反対、第三にパート労働者の均等待遇の法制化、第四に社会保障全体の抜本改革の4つの連合本部が提起する課題を全国の仲間と連携して取り組むとともに、連合北海道の独自の地域政策課題として、第一に地域雇用創出、第二に子育て支援・少子化対策、第三に公契約基本条例、第四にハイタク規制緩和の見直し、第五に公務労働者の地域給与の導入問題と労働基本権回復問題に取り組み、対自治体要請行動や経営団体への要請、地方自治体議会決議運動に取り組んできたところである。
 
 
U.具体的な取り組みの結果と課題
1.賃金改定の取り組み
(1)要求状況について
@ 2005春季生活闘争における地場集中決戦エントリー組合は、ハイタク関連や地域ユニオン及び地区直加盟組合などのエントリーが増えたため、昨年より50組合ほど多い420組合にのぼった。このうち賃上げ集計の対象となる組合は、歩合給制度が一般的なことから通常の賃上げ要求・回答形式とは異なるハイタク関係労組を除き、平均方式や個別方式で要求する349組合である。
349組合の要求方式の内訳は、平均要求方式が339組合、個別A方式が3組合、個別B方式が7組合となっている。個別A方式の3組合のうち2組合はベア要求をしておらず、また1組合は昨年、複数年協定により決着している。B方式の7組合のうち、賃上げ要求を行った組合は5組合で、そのうち2組合は個別方式の要求に対して、会社側は平均方式で回答している。
A 2005春季生活闘争で連合北海道は、道内地場組合の格差是正、賃金底上げをめざして、賃金カーブ算定の可能な組合は「賃金カーブの確保・カーブ維持分の労使確認+500円以上」、賃金カーブ算定の困難な組合は「賃金カーブ確保相当分5,200円(目安)+500円以上=5,700円以上」とする要求目標を設定した。
6月11日段階での要求額の集計は、加重平均で4,657円・1.93%、単純平均で5,103円・2.20%となり、加重平均の要求額は、設定した要求目標をかなり下回る結果になった。各産別・加盟組合の要求額をみると、賃金カーブ維持分ないし定昇相当分のみの賃上げ要求にとどめ、純ベアを要求しない組合が人数比で多数を占め、全体の要求水準を引き下げたものと考えられる。
 
(2)賃金カーブの確保について
@ 賃金改定にあたって、賃金カーブ維持分の確保を方針に掲げる産別が増え、各単組段階でもこのことを基本とした要求を提出し交渉を展開する組合が増えている。しかしながら、賃金体系が未整備な中小組合を抱える産別や地域では、十分な取り組みができておらず、賃金カーブを確保できたか否かを検証することもままならない実態にある。
A 賃金カーブの確保を確実なものとするためには、賃金実態の把握と賃金制度の整備が基本である。このことが論理的な賃金交渉を可能とし、一定の妥結水準を確保し早期決着に導く環境を整えることにつながるのである。
今春闘においても、賃金制度が整備されているところは、少なくとも賃金カーブを確保し、ベア要求を行ったところではベアを勝ち取り妥結した組合も多く、その大半は、3月内か遅くとも4月内に決着している。
しかし、賃金制度がある組合とない組合における「結果の二極化」傾向は、依然として課題が残る。平均賃上げ額・率だけを指標とする賃金決定方式の限界を認識し、自らの賃金実態(絶対水準)の分析を踏まえた要求・交渉や、通年的な賃金制度整備の取り組みを継続的に行う必要がある。
 
(3)回答・妥結状況について
@ 地場集中決戦にエントリーした420組合中、6月10日段階で249組合が解決している。この数字を同時期で比較すると一昨年よりは多いが、昨年より約30組合ほど少ない。まだ未報告のところもあるため確定はできないが、特に地域の地場中小組合ならびに運輸関係を中心に昨年よりも解決時期が遅れている傾向がうかがえる。
A 平均要求方式による地場組合の妥結集計結果は、6月10日時点であるが、単純平均で3,168円(昨年比+137円)・1.38%(同+0.07P)、加重平均で3,625円(昨年比+119円)・1.48%(同+0.05P)となっており、多少なりとも景気回復の兆しを反映し、賃金デフレの流れを押し止める成果があらわれたと考えられる。
B 昨年に引き続き、全国的には業績のよい産業・企業における一時金シフトの傾向が強まっている。道内地場の一時金妥結結果は、業種・規模ごとに支給水準のばらつきは大きいが、年間協定で昨年と比較可能な91組合のうち、昨年を上回った組合が56組合、同額が1組合、下回った組合が34組合となっており、昨年に比べると上回ったとする組合の割合が増えている。
5月末段階の集計で、年間協定を締結した111組合の加重平均は1,129,907円(昨年比−38,791円)・4.22ヶ月(+0.09ヶ月)、単純平均では959,195円(昨年比+55,163円)・4.02ヶ月(同+0.25ヶ月)となっており、1組合当たりの支給額は昨年を上回っていることがわかる。
 
(4)闘争日程と地場集中決戦の結果
@ 3月16日〜19日の中央主要組合の一斉回答と同時期に、道内地場でも先行決着をめざす組合が精力的な回答引き出しを図り、38組合が解決した。さらに、中小組合の集中回答ゾーンに設定した22日〜26日の間で44組合が決着、3月末までには昨年より9組合多い合計101組合が解決した。
3月内決着をめざして、交渉・解決の前倒しに取り組む組合は昨年以上に増え、集中回答ゾーンへの集中度がさらに高まったと言える。
A 4月に入り2つの解決促進ゾーンを設定し、4月内総決着をめざして回答引き出しを図ることとした。第1次解決促進ゾーンに設定した4月4日〜9日の間に29組合が解決、この時点で昨年同時期よりも6組合多い累計133組合が決着した。
また、第2次解決促進ゾーンに設定した4月18日〜23日の前段では、「2005地場春闘勝利!4.15解決促進総決起集会」を開催し、そのなかで「賃金カーブ維持分の確保と格差是正分を要求した組合はその獲得に全力をあげ、最低でも『昨年実績を確保し3,500円以上の獲得』をめざす」とする妥結ミニマム基準を示して、交渉の追い上げを図ることとした。
その結果、第2次解決促進ゾーンまでに176組合が妥結し、さらに4月末までには194組合が決着したが、昨年に比べると14組合少なく、この時点ではエントリー組合の46%ほどが解決するにとどまり、過半数以上は5月以降の交渉に持ち越した。
B 地場中小組合のうち、5月に入り本格交渉を展開しているのは、主に交通・運輸、サービス関連業種の加盟組合や地域ユニオン、地区直加盟組合、地区中小労連などである。これらの組合の交渉が長引く背景には、外的・内的要因がからんでおり早期解決への道筋は簡単ではないが、地域共闘の強化と解決促進に向けた取り組みを連合と産別とが連携して具体化することが必要である。加えて、地域・地区段階では、地場中小組合の交渉が最終的に決着するまで当該組合との連携・連絡を密にし、交渉促進を働きかけるなど、きっちりフォローアップする態勢をとることも怠ってはならない。
2.パート労働者等有期雇用労働者の雇用の安定と処遇の改善
(1) 長期にわたる経済の低迷、人件費の抑制、雇用分野の規制緩和政策のなかで、パート・派遣・契約社員などの非正社員労働者は増加の一途をたどっている。事業所・企業統計調査(北海道分)によると、民営事業所(非農林漁業)の雇用者のうち、正社員・正職員は61.4%に過ぎず、38.6%が正社員以外の労働者と大幅に増加している。
 
(2) 連合北海道中小・パート対策委員会が2005春季生活闘争に向けて実施した、パート労働者等実態アンケート調査結果でも、回答組合のうち、民間では31.4%、公務では24.2%が非正社員労働者が占めている。
また、非正社員であるパート・契約・嘱託社員の約8割以上が雇用期間の定めが設けられ、常に雇止めの不安下にあり、賃金水準についても地域最賃に釘付けされており、均等待遇にはほど遠い実態にある。
こうした同じ職場で働く有期雇用労働者の雇用の安定と労働条件の改善を図る第一歩として、今春闘で雇用安定協定の締結と組合員化を提起してきた。
 
(3) その結果、流通産業関係の産別では、パートの組合員化など更なる取り組みの前進が図られたものの、構成産別全体の取り組みレベルまで達していない。「労働組合は正社員のもの」という考え方について、早急な意識改革と行動が急務である。
  来春闘に向けて、各産別が方針化するとともにモデル単組を設定するなど、取り組みの強化が求められる。
 
3.企業内最低賃金の協定締結の取り組み
(1) 所得の上下の格差が拡大するなかで、賃金の最低額を法律や労働協約の締結を通して規制する最低賃金制度の役割は、増している。しかし、最低賃金法により北海道で決定されている最低賃金額は、時間額638円であり、理論一ヶ月平均労働時間173.8時間では月額110,884円となり、この水準では生活保護単身世帯の金額水準にも達せず、経済的自立を確保するセーフティネットの役割を果たしているとは言えない。
 
(2) わたし達は、増加するパート、契約労働者の賃金底上げを目指して、全ての従業員を対象とする企業内最低賃金協定の締結や金額の改正を目指して労働協約の改定を図る取り組みを昨年に引き続き提起してきたが、その取り組みには、産業間で大きなばらつきがあり、全体の取り組みからすると十分とは言い難い。
企業内最賃協定の取り組みは、その職場の労働者の賃金底上げを図るものであり、併せて法定最賃の引き上げにつながり、より多くの産別・単組が協定化を図ることによって社会的波及効果を獲得できる取り組みであることを再認識し、組織労働者の役割を発揮しなければならない。
 
(3) 本道の4つの業種に設定されている産業別最賃とハイタク最賃の新設についても、その産業にふさわしい賃金水準と公正な競争条件の確保の立場から取り組んだ。
  とりわけ、ハイタク最賃の新設については、その設定に向けほぼ全ての組合が使用者に対し、企業内最賃協定の締結を求め要求書を提出し、交渉に臨んだが、使用者によって拒否されている状況にある。
  したがって、今春闘での取り組みの成果と問題を明らかにしたうえで、今秋、もしくは来春闘での前進を図るため、一層の共闘の強化を図る必要がある。
  また、厚労省の研究会がとりまとめた産別最賃の廃止・抜本的見直しの報告については、連合本部と連携し、反対運動に取り組む。
 
4.不払い残業撲滅と労働時間短縮の推進
(1) この数年の不払い残業の撲滅の取り組みで改善度合いは前進しているが、2004年の連合生活アンケート調査では、依然、平均的な不払い残業時間が1ヶ月28時間という実態にある。
  また、長時間の残業で高まるストレスなどが原因で精神障害を発症したり、不幸にも自殺し、労災請求、認定される件数が増えている。
  このため、わたし達は、不払い残業撲滅のキャンペーンを実施するとともに、適正な労働時間管理の徹底に向け、協定の締結や総労働時間の短縮に向けて取り組むこととした。
 
(2) その結果、多くの産別では協定化などの方針化がなされているが、単組段階までの徹底は十分とはいえない。
  日本経団連や政府の規制改革・民間開放推進3カ年計画等でも検討課題となっている「ホワイトカラー・イグゼンプション制度」(一定のホワイトカラーに対し労働時間規制の適用を除外する制度)の導入に反対するとともに、引き続き労働時間管理の徹底と仕事と生活の調和が図られる連合の時短方針の取り組み推進を図る必要がある。
 
5.政策・制度課題について
(1) 政府は、この間、経済活性化の名のもとに法人税率の引き下げなど企業や高所得層に対する減税を実施する一方で、勤労者など個人に対しては、年金保険料の引き上げや配偶者特別控除の廃止に加えて、2007年度を目途に定率減税の廃止、消費税率の引き上げ、給与所得控除、退職所得控除などの見直しによる負担増も視野に入れている。
 
(2) 2005春季生活闘争では、第一に定率減税の縮小・廃止に反対する団体署名や議会決議運動の取り組み、第二に年金・医療・介護・福祉の社会保障全体の一体的改革の実現に向けたセミナー・講演会の開催に加え、制定された雇用創出基本条例にもとづく基本計画やハイタク産業における行き過ぎた規制緩和の政策見直しの立案と運動に取り組んだ。
このうち、道の雇用創出基本計画では、8万人の雇用創出を指標として掲げているが、失業率改善への具体的目標もなく、雇用を創出する具体的施策が欠落した基本計画では、単に市場任せのプランと言わざるを得ない。
具体的な雇用改善を図る施策とそれを裏打ちする予算の確保など、変更・修正を求めていく必要がある。
(3) 2002年の道路運送法の改正により、道内においてもハイタク事業への新規参入や増車が相次いでいる。
その結果、道内約24,000人のハイタク運転者は、歩合給賃金のもとで年々、賃金の低下を迫られ、約1割の労働者が賃金の最低規制額である最低賃金額を割る異常な事態を招いている。
このため、こうした行き過ぎた規制緩和の政策を見直しを求めて、北海道ハイヤー協会との協議や民主党国会議員団による調査など対応してきた。今後も引き続き、この政策転換を勝ち取るまで議会決議運動など道民運動を展開する必要がある。
 
6.公務労働者の賃金・労働条件改善、権利確立の取り組み
(1) 人事院は、昨年11月2日に示した「地域給与・給与制度見直し」(素案)に続き、3月8日、「(素案)の説明資料」を提示し、その具体的な内容や数値を示した。この内容は、俸給表を全体として5%程度引き下げるものの、その原資は「地域手当」「転勤手当」、本省府手当の新設などに配分され、国家公務員にとっては“原資配分”的性格がはっきりした一方で、こうした手当が該当にならない地方公務員にとっては、昇給カーブのフラット化に伴う水準低下(▲2%)とあわせ、中高年齢層では最大7%の賃金引き下げが明らかとなった。
 
(2) 公務労協中央の公務員連絡会は2月14日、春闘期の要求書を人事院、総務省にそれぞれ提出、焦点の地域給与・給与制度見直しに関しては「地域給与撤回、労使合意を前提とした制度見直し」を要求し、交渉を展開した。
連合北海道も北海道公務労協と連携して、団体署名、地方議会意見書、自治体要請行動などに取り組み、各職場や地域・地区から公務員賃金を一方的に引き下げる地域給与・給与制度見直しに反対の声をあげた。
しかしながら人事院が5月25日に公表した、8月の勧告に盛り込む国家公務員の「給与構造の基本的見直し(措置案)」は、3月に示された「(素案)の説明資料」をさらに具体化したものであり、5%の俸給水準引き下げは変わっていない。加えて、政府ならびに経済財政諮問会議は、公務員バッシングに便乗し財政再建のためと称して定員の純減や総人件費の削減をもくろみ、公務員給与を政治的に取り扱っている。
連合北海道は、引き続き公務労協の取り組みを最大限支援し、人事院に対して十分な労使協議を重ねることを求め、一方的な引き下げ勧告を許さない闘いを展開する。
V.今後の検討課題
 連合本部は、「2005春季生活闘争の中間まとめ」のなかで今後の検討課題を次の通り整理している。連合北海道としてもこれらの提起を踏まえて、より地域に根ざした地場春闘のあり方を考え、具体化するための検討作業を産別・地域と連携して行う必要がある。

 春季生活闘争の位置づけ・役割と共闘軸の明確化について、連合は、新たな時代に対応させる「春闘改革」として提起してきたが、一方で、緊急避難による余儀ない対応として整理している組織も少なくない。
 春季生活闘争を取り巻く環境条件が変化しているなかにあって、改めてこの課題に対する組織をあげた議論を深める必要がある。

1.通年的な運動である総合生活改善闘争のなかに春季生活闘争を位置づけ、運動の エネルギーの結集力を高めるという方向性を強く打ち出すべきではないか。そのため には、われわれが目指す中期的な雇用・労働・生活のビジョンを明確にし、それを実 現するための手段として毎年の具体方針をつくる必要がある。2003闘争方針で提起し た8項目の「当面の運動目標」注)の深掘りが必要である。

2.企業業績の改善が雇用増・収入増に波及しないことに加え、個別の支払能力論だ けに傾斜していく経営側の賃金決定に対する考え方などを考慮すると、「様々な取り 組みを通じた適正配分」という方針だけでは、連合としての経営側への対抗軸になり 得ないのではないか。ときどきの情勢判断のうえで、ベアの取り扱いを含め(月例ベ ースでの成果配分として)、様々な労働条件を対象とした「共闘項目」を検討すべき ではないか。

3.中期的な課題として、わが国の賃金決定メカニズムを抜本的に見直していく必要 があるのではないか。賃金の社会性確保、格差是正などの観点が重要性を増しており、 上げ幅だけではなく、個別賃金の絶対水準(社会的賃率とミニマム水準)を重視した 相場形成と波及のメカニズムを構築していく必要がある。
 最低賃金の取り組みと「連合リビングウェイジ」の運動を一体的に扱い、強化する 必要がある。公契約における公正労働条件確保の取り組みと合わせ、実態を十分に把 握しながら取り組みを進める必要がある。

4.中小共闘強化の課題
 2年目の取り組みとなった「中小共闘」は、産別と地方連合会の協力によって成果 をあげ、社会的にも注視されてきた。賃金カットの提案は減少しているが、依然とし て2割の組合が対前年比マイナスでの解決となってる。3年目に向けたさらなる共闘 体制の充実と支援体制の強化をはかり、賃金実態把握と制度整備、一層の情報公開を 進める必要がある。

5.部門別連絡会の春季生活闘争での機能強化
(中間まとめをベースに、部門連絡会議における独自の取り組み方針や運動課題の提 起などについて議論し、「最終まとめ」の段階で整理する)
 
 
以  上
注)当面の運動目標

 連合は、「労働を中心とした福祉型社会」の実現を目指し、当面の運動目標を踏まえ、春季生活闘争における課題等を整理し具体的取り組みを進める。
 
1.雇用環境の改善と雇用維持・安定の取り組み
雇用・生活・経済対策を盛り込んだ総合的な政策制度要求の取り組みを強化するとともに、各組合は、職場における雇用の維持・安定をはかる。
2.働き方の見直しと雇用拡大をめざすワークシェアリングの取り組み
雇用創出をはかるワークシェアリングの取り組みを強化し、社会合意を柱に、ライフスタイルと働き方の改革を進める。
3.均等待遇や解雇規制などのワークルール確立の取り組み
規制緩和に名を借りた労働基準の無原則な緩和を阻止し、均等待遇や解雇規制など労働者の権利に関する社会的ワークルールの確立をはかる。 
4.雇用と生活のセイフティネット確立の取り組み
安心の生活を担保するため、労働保険制度の充実と社会保障制度の改革をはかる。
5.働くものの立場に立った税制改革
不公平な税制の抜本的な見直しをはかり、働く者の立場に立った税制に改革する。
6.賃金の底上げと格差是正の取り組み
賃金の社会的賃率形成や下支え・底上げと格差是正をめざし、個別賃金や最低賃金の取り組みを強化し、春季生活闘争を通じた労働条件の相場形成とその波及をめざす。
7.不払い残業の撲滅と労働時間短縮の取り組み
年間総労働時間1800時間の実現をはかるとともに、労働時間管理の徹底を通じ、不払い残業の撲滅、恒常的時間外労働の削減、年次有給休暇の促進の取り組みを強化する。
8.仕事と家庭の両立実現と男女間の処遇格差改善の取り組み
労働時間短縮、育児・介護の社会化、働き方の見直し等を通じ、男女がともに仕事と家庭の両立ができる社会の実現をめざすとともに、賃金・人事制度の整備・改革を通じ男女間の処遇格差改善をはかる。