その2
非正規労働者の労働条件底上げ・組織化と社会運動の展開
 
 
1.非正規労働者の雇用対策の強化
 日本経済は、回復過程に入ったと言われるが雇用情勢は、悪化の一途を辿っており、まさにジョブレス・リカバリーの状況にあります。
 雇用調整の動きも製造業部門から非製造業部門へ波及しており、非正規労働者を中心として雇用の維持、離職者対策、創出は喫緊の最重要課題であります。このため、次の取り組みを強化します。
@ 産別・単組は、非正規労働者を組織化している場合はもとより組合員化していない場合にも、解雇・雇い止め等の会社側の提案に対し、労使協議を実施し、雇用調整助成金や中小企業緊急雇用安定助成金【MEMO】などの利活用による雇用の維持、確保に取り組みます。
  また、経営上の、やむを得ない解雇・雇い止めであっても最低限、関係法令と契約の遵守を求めるとともに、退職諸条件の上積み協議を行うなど全ての労働者を代表する労働組合としての役割を発揮します。
A 連合北海道は、引き続き総合雇用対策本部を設置して、構成産別・単組の雇用対策の取り組み支援の他、雇用保険の全面適用、無拠出の失業扶助制度の創設など法制化の実現に、連合本部と連携してセーフティネットの確立を図ります。
  また、民主党北海道に、国政・道政レベルの非正規労働問題について、調査・政策立案を行う機関の設置を求め、本道固有の季節労働者問題や職業能力の向上、職業転換を図る職業教育訓練や農業、介護、看護、保育、環境などにおける良質な正規労働者の雇用創出に取り組みます。
 
【MEMO】
1)雇用調整助成金/事業主が受けられる助成金の一種。経済上の理由から急激な事業縮小を余儀なくされた事業主が、その雇用する労働者を一時的に休業または教育訓練をさせた場合に、休業、教育訓練又は出向に係る手当若しくは賃金等の一部を助成する。雇用を極力維持し解雇を抑制することで、失業率の増加を抑える狙いがある。
2)中小企業緊急雇用安定助成金/中小企業事業主に、雇用調整助成金の助成内容を拡充したもの。
 
 
2.非正規労働者の組合員化、組織化
 本道の雇用労働者に占める非正規労働者は、今や4割に達しています。また、雇用情勢の悪化により、新規学卒者の正社員(正職員)採用の間口は狭まっており、非正規労働を余儀なくされる若年労働者の増大が懸念されています。
 このように非正規労働比率が高まる中、正社員中心の組合から全ての従業員の利害を代表する労働組合への転換が求められていますが、メンバー化は一部の産別・単組に止まっています。
@ 産別・単組は、非正規労働者の組織化に向け、実態調査の実施、組織化方針の策定、加入活動の取り組みなど、正社員と非正規労働者を包括する労働者組織としての労働組合の確立を図ります。
A 連合北海道は、産別、単組の上記の取り組みを推進するため非正規労働者組織化事例研修会の開催や、オルグの派遣を実施します。
 
 
3.労働相談体制の強化とワークルールの確立
 フリーダイヤルやメール、来局による労働相談件数は高止まりで且つ、企業倒産による労働債権未払いなどの不況型相談が増加しています。また、相談者自身も使用者も基本的なワークルールを知らず、トラブル発生の大きな要因となっています。
@ 労働相談に携わる相談員のノウ・ハウの提供による資質の向上と量的な拡充を図るため、労働相談実践研修会を開催します。
A パート、派遣、有期雇用、最低賃金など雇用形態別、課題別の集中相談ダイヤルを開催します。
B 連合北海道顧問弁護団、職場の権利教育ネットワークなどと連携し、ワークルールに関する学習会を開催します。
C 未組織労働者の権利擁護、確立に向け、昨年度スタートした「労働者の権利擁護応援資金制度」【MEMO】については、引き続き、対象ケースについて裁判や北海道労働委員会に係わる訴訟費用を支援します。
 
【MEMO】
労働者の権利擁護応援資金制度/連合北海道の労働相談において、交渉・協議に応じず労働審判や道労委など第三者機関の判断に委ねなければならないケースについて、弁護士費用や訴訟費用など働く労働者の権利を擁護し、社会正義の実現を図る目的で作られた連合北海道の独自制度。
 
 
4.貧困の解消、均衡待遇等に向けた社会運動の展開
 格差と貧困の雇用社会から持続可能な新しい労働社会へ転換するためには、組織内の取り組みだけでは不十分で、道内の様々な広範な社会団体と連携し、社会的歪みを解消しなければなりません。
@ 連合北海道は、連合本部が提起する非正規雇用問題を社会的課題として浮上させる社会的なキャンペーン行動に取り組みます。
A 貧困層解消を目的として設立された「反貧困北海道ネットワーク」と連携し、広範な社会運動に取り組みます。
 
 
5.非正規労働対策委員会の任務、役割
 上記の取り組みに関しては、全産別と地協で構成する「連合北海道非正規労働対策委員会」において協議し、産別ぐるみ地域ぐるみの運動として推進します。