T.はじめに(活動の一年を振り返って)
 
1.連合北海道は、昨年(2007年)10月30〜31日に第20回定期大会を開催し、2年間(2008〜2009年)の運動方針を決定、組織的、政治的、政策的、運動的に11項目の重点目標を確認しました。
 そして、ワーキングプアが社会問題化する中で、非正規労働者の雇用・処遇の改善など、労働運動の反転攻勢に取り組むことを改めて確認するとともに、疲弊する地域社会を立て直し、地域の医療や福祉といった道民生活の安全・安心を取り戻していくために、道民に共感が得られる連合運動の強化をめざしてスタートしました。
 2年間の運動の重点目標として掲げた課題を中心に、この一年間の取り組みを振り返り後半年度の課題を明らかにしていくこととします。
 
□ 組織的目標
  非正規労働センターの立ち上げ・ネットワーク拡大、組織拡大の推進/労働運動の再生・活性化に向けた労働教育の強化や次代を創る人材の育成
@ ワーキングプア(働く貧困層)の増加が社会全体の課題となる中で、昨年の定期大会後、全国に先駆けて「非正規労働センター」を立ち上げ、職場生産点から非正規労働者の組織化、未組織労働者の労働相談や非正規労働者の雇用・労働条件の改善、正規社員化の促進、非正規労働・ワーキングプア問題の学習会など、全労働者の視点で社会的アピール行動や幅広いネットワークづくりに取り組んできました。
 この間、理不尽な経営を質す「ふーどりーむずユニオン」の交渉支援やメガネスーパーの組織化、「木の城たいせつ」の倒産による組織化と労務債権確保の支援など、すべての労働者の視点に立った社会運動として展開してきました。しかし、組織拡大の実績は、12,092人に止まり、組織率の低下、非正規労働者の増加は、社会的貧困の広がり、将来不安や格差の固定化、労働者の使い捨てが進められる一方で、社会的セーフテイネットワークが切り崩されるなど、労働の尊厳や人権の回復が求められる事態となっています。
 
A 2009年度は、これまで積み上げてきた活動実績をもとに、職場における非正規労働者の実態把握や点検調査活動、未組織の非正規労働者に働きかけを行うための労働法の説明会や懇談会・対話集会を開催するとともに、さまざまなレベルの活動や意思決定の場に、非正規労働者が参画できる仕組みづくり、一方で関係するNPO法人職場の権利教育ネットワークなどとの連携強化、非正規労働者や学生を対象とした労働者教育に取り組み、このことと連動した能動的・計画的な組織拡大運動を展開していかなければなりません。
 
□ 政治的目標
  次期衆院総選挙→道内選挙区の完勝、民主勝利・政権交代の実現/3年後の道政奪還にむけた戦略方針と取り組み体制の確立
@ 昨年7月の参議院議員選挙の結果、衆参ネジレ国会となり、参議院で否決された法案も衆議院における3分の2以上の再議決で、民意が正しく反映されない状況が繰り返され早期の衆議院解散総選挙が望まれています。次期衆議院選挙は、連合の永年の悲願である与野党逆転で政権交代をかけた一大決戦と位置づけ、昨年の定期大会後、直ちに道内12選挙区における民主党現職・元職の候補者の推薦決定、選挙の準備のための活動を積み上げてきました。
 9月1日、福田総理は臨時国会の開会を前に、政権を放り投げ辞任しました。安倍・福田と2年続けての突然の辞任騒動は自民党長期政権が限界に達していることの証左です。このことは政権与党として政権担当能力の欠如を自ら証明したものであり、それならば総理を辞するのではなく、直ちに解散総選挙を行い国民の審判を仰ぐべきでした。
 国民・道民の世論は、今まさしく政権交代を望んでいます。「市場万能主義と強者の政治」路線の転換、格差・二極化の解消で労働を中心とする福祉型社会の実現にむけ、道民世論の結集にむけた大衆行動の展開、支持者獲得運動など、連合北海道に結集する全ての組合員をフル動員させ闘って行かなければなりません。
 
A 道内の経済社会が、景気回復の立ち遅れから中小・地場企業の倒産が相次ぎ、多くの市町村が財政悪化に苦しみ立ち往生している状況にあって、道民生活は医療や福祉、教育に対する不安がますます増大しています。そうした状況のもとでも現高橋道政は、相も変わらず中央依存・直結で道財政改革を優先させ、制度改革の本質を忘れ財政赤字を一部の人々や制度を悪者扱いにする「魔女狩り的」削減で、地域社会や道民生活をないがしろにした政策を続けています。
 疲弊した地域社会を立て直し、道民生活の安全・安心を取り戻していくために、道民に共感が得られる連合運動の前進を図り、2年半後に迫る道政奪還の闘いに備えた基盤づくり、とりわけ幅広い層から支持が得られる知事候補の擁立、地域における政治勢力の拡大にむけた道議・地方議員候補の擁立拡大に取り組んでいかなければなりません。
 
□ 政策的目標
  自立生活が出来る地域最低賃金の実現/季節労働者の通年雇用にむけた新たな支援事業の確立/「安心・公正」社会の実現にむけ、格差是正施策推進
@ 今年度の最低賃金改定の審議では、最低賃金法の改正により生活保護基準との整合を重視することとなり、北海道の最低賃金が生活保護基準を下回っていることから、その格差の解消をどう埋めていくか、大きな焦点となりましたが、生活保護基準との乖離解消は審議会全体で合意したものの、今年度の改定667円では生活保護費との逆転も解消できず、経済的に自立可能な水準とは言えません。
 「労働者が健康で文化的な最低限の生活を営むことができるよう」引き続き、高卒初任給レベルの地域最低賃金の引き上げにむけて、地域・地場に根ざした社会的な取り組みを広げていかなければなりません。
 
A 未だ道内に11万5千人いる季節労働者に対する冬期雇用援護制度の廃止と特例一時金給付額の削減に加え、主要な雇用の場であった建設業を中心とする公共事業の削減もあって季節労働者の雇用と生活をますます厳しいものにしています。
 今年度から実施された国の通年雇用促進事業も就職促進にむけたカウンセリングや企業見学会、資格取得講習などで、季節労働者の参加も極めて低調な実態にあります。そのため、国の通年雇用促進事業を委託している地域協議会の運営や事業の拡充、雇用保険・特例一時金の50日分復活など、抜本的な改善を求めていかなければなりません。 
 
B 改正パート労働法の学習会や企業申し入れ行動、働く貧困層の解消にむけた全道キャラバンの展開など、「安心・公正」な社会の実現と格差是正に取り組んできましたが、非正規雇用がますます拡大の状況にあります。また、本年3月末で暫定措置の期限切れとなるガソリン税等暫定税率については、廃止を求め街宣、チラシ配布、署名活動に取り組み、参議院での与野党逆転の国会状況から、一旦、廃止に追い込みましたが、与党が衆議院で政府案を再可決し、5月以降、暫定税率を元に戻しました。
 自らの政策展開の誤りから格差社会の是正にも具体的にメスを入れれないで、力で「ネジレ国会」を乗り切り、民意がまったく反映されない国会運営となっています。政策活動と連動した大衆行動の展開など、衆議院を早期に解散に追い込む世論の盛り上げを図っていかなければなりません。
 
□ 運動的目標
  地域に根ざした顔の見える連合運動の前進/第3次男女平等参画推進計画の積極的推進/平和・道民運動の拡大と統一の推進
@ この一年間、医師不足を解消し、へき地医療・不採算医療や救急医療を担う病院や診療所を守るため、地協単位に「地域医療を守る対策委員会」をつくり、地域の医療機関や関係者、地域住民とも議論を重ね、チラシを配り、署名を集め、地域住民の皆さんにも参加を呼び掛け「地域医療の現状とあり方について」学習会を開くなど、多くの地域住民の皆さんからも賛同を得てきました。また、ストップ・ザ格差社会・反貧困全道キャラバン行動では、自治体首長や議会、商工団体の皆さんからも連合運動への期待の声が寄せられてきました。
 こうした地道な活動から、改めて、地域運動の大切さを学び、引き続き、地域住民としての組合員や市民の生活上の様々な問題を解決していくこと、さらには住みやすい地域社会を創造する政策活動など、地域社会で頼りにされる「地域に顔の見える」存在をめざしていかなければなりません。
 
A 男女平等参画については、今年度に実施した「男女平等参画アンケート調査」の結果からも、女性組合員が増え続けている一方で、産別や地域運動への女性参画が思うように進んでいない状況にあります。
 今後は男女平等参画に関わる職場総点検を行い共通する運動課題を提起するとともに、2006年に決定した第3次男女平等参画推進計画(前期3年、後期3年の6カ年計画)で示されている共通指標の数値目標化と具体化など、フォローアップ活動に取り組んでいかなければなりません。
 
B 平和・道民運動については、組織財政特別委員会の第6次答申(2005年12月第18回定期大会)に基づき、一致点の拡大と合意形成に努力してきました。その延長線上には、「不一致のために取り組めない課題はない」との認識にたって、一層、連合を基軸にする平和・道民運動の拡大・統一が望まれています。
 明年の第22回定期大会に構想案が答申できるよう、組織財政特別委員会での平和・道民運動に関わる運動・行事のあり方についての議論を積み上げていきます。
 
政治の流れを転換する起爆剤的役割を果たす!
2.以上、2年間の重点目標にそって一年間の組織と運動を振り返りましたが、昨年の定期大会でも示してきた通り、いまこそ、労働運動の反転攻勢が必要であることを改めて再認識することができます。
 連合北海道は、すべての働く者を代表して、社会の根幹である労働と生活の現場からの課題を社会化するなど、自らの手で「人が主役の社会」を創るために、構成産別、地協・地区連合に結集する全ての組合員とともに、政治の流れを転換する新たな起爆剤的役割を果たしていきます。