2008年11月27日
連合北海道第21回年次大会会長挨拶
 
 
 連合北海道第21回年次大会開催にあたり、執行委員会を代表してご挨拶を申し上げます。
 全道各地からご参集をいただきました大会構成員の皆さま、たいへんご苦労さまです。
 この1年間、連合北海に結集をいただき、諸課題の運動展開について献身的に取り組まれた各産別、地協・地区連合の皆さんに心から感謝を申し上げます。
 また 高齢・退職者団体連合、北海道農民連盟、民主党北海道をはじめとする多くの皆さんからご支援・ご指導賜りましたことに感謝を申し上げます。
 そして 本日はたいへんご多忙な中、多くの来賓にかけつけていただいております。大会構成員全体の拍手で感謝の意を表したいと存じます。・・・
 また 多くのマスコミの皆さんも取材に見えておりますが、合わせて感謝を申し上げます。
 
 具体的な課題に触れる前に、お悔やみを申し上げなければなりません。
 本年10月に連合北海道顧問の侍園毅さんが逝去されました。故人は、長年、UIゼンセン同盟北海道支部長として、また連合北海道会長代行として道内労働運動の発展のためにご貢献をいただいた方であります。これまでのご功績を偲び、心からご冥福をお祈りしたいと存じます。
 
 さて 第10期の折り返しの本大会でございますが、9月26日開催の第39回地方委員会において確認いただきましたが、総選挙の日程が想定されたため、ひと月ほど延期させていただきました。挨拶の結びで『・・・たたかいを終えて晴れ晴れとした気持で年次大会を迎えたいものだ・・・』と申し上げましたが、未だに解散総選挙の日程が不透明で、疲れとストレスが溜まる状況が続いており、皆さんにたいへんご苦労をおかけしていることと思います。
 大会日程延期とこの2カ月間選挙闘争に関わって日常の業務にご不便をおかけしたと存じますが、事情について、ご理解をいただきたいと存じます。
 
 さて 私は、昨年、会長就任の挨拶で『・・・すべての働く者に信頼され頼りがいのある労働組合として、社会的影響力を高める連合運動の構築を・・・』ということを申し上げました。
 具体的には、連合北海道非正規労働センターを中心に社会問題化している非正規労働者の課題、ストップ・ザ・格差社会全道キャラバン行動、昨年来の灯油・物価高騰などの対策を求める道民運動、地域医療を守り後期高齢者医療制度の廃止など政策課題の取り組みなど、連合にとどまらず、各自治体・生協や消費者団体、経済団体等への協力要請など、社会的影響を意識して取り組んできたところです。
 
 昨年11月以降の1年間について 道新記事データベースを「連合北海道」で検索いたしますと180件ほどの記事が掲載されておりました。記事は、多くの地方版を含んでの事でありますし、主体的な取り組みか否かに関わらないものもありますので、このことを以って評価云々を申し上げるつもりはありません。
 しかし、取り上げていただいているということは、地域の皆さんの取り組みや頑張りが注目されていることだと思います。次には、話題性から具体性に、成果に結びつく運動の提起と実践を心がけてまいりたいと思います。
 
 本題に入りますが、具体的な総括・課題については、それぞれ担当する者から、報告・提案をいたします。
 私からは、連合北海道の運動課題について、3点ほど問題意識を申し述べたいと存じます。
 
 まず雇用に関わる課題です。
 内閣府が今月17日に発表した08年7月〜9月期の国内総生産(GDP)が年率0.4%減で、7年ぶりに2・4半期連続のマイナス成長となり、経済財政担当大臣も「景気は後退局面」と認めているところで、要因は、金融危機による世界経済の減速で、日本経済を支えてきた外需が低迷し、企業の設備投資も大幅に落ち込み、個人消費も生活必需品はゼロ成長であることはご案内のとおりです。
 
 こうした景気の動向は雇用にも深刻な影響をもたらしつつあり、輸出産業を中心に、派遣労働者、有期契約労働者、パート労働者などの非正規労働者を中心に雇い止め、解雇のほか、採用内定取り消しなどが多発している状況にあります。
 道内においても、輸出産業部門の海外需要の減少などにより雇用調整が顕在化してきています。
 
 また 連合総研の『第16回勤労者短観』(10月)によれば、今後1年くらいの間に失業する不安を23.8%の者が感じており、前回調査(4月)の18.2%より急増しましたが、半年で5.6%ポイント上昇したのは過去最大であり、雇用情勢の先行きを懸念されていることが窺われます。
 
 また 厚生労働省が、11月7日に公表した「働き方の多様化に関する調査結果」では、派遣労働者の51.6%が「他の就業形態に変わりたい」と答え、希望の形態では「正社員」が91.9%で、47.4%が正社員を望んでおり、その理由は「正社員の雇用が安定している」(85%)がトップで、安定した雇用を求める派遣労働者の意識が浮き彫りになっています。
 
 こうした情勢を踏まえ、後ほど特別決議を提案させていただきますが、決議に基づき連合北海道に、「連合北海道総合雇用対策本部」を設置し、関係方面に対する申し入れ・要請など、具体的な取り組みを行いたいと存じます。
 なお 具体的な方針は次期地方委員会で提起させていただきたいと存じます。
 
 
 次に09春季生活闘争について申し上げます。
 後ほど、北海道基本構想(案)を提起させていただきますが、先ほど申し上げた経済情勢にあって、連合本部は11月20日の執行委員会において、マクロ経済を内需型経済へ転換し、総合生活改善の取り組みとして、賃金を含めた労働諸条件を改善し、格差の是正に向け春季生活闘争を展開することを確認しました。
 特に「(08年度見通し)物価上昇に見合うベースアップ」など、賃金改善の具体的目標を掲げました。
 消費者物価は、9月に入り、やや鈍化したといわれるものの前年同月比で2.3%の上昇で、7−8月の上昇幅は2.4%で依然として高い伸びを示しています。なお 北海道は、7月から3.9%・4.0%・3.4%と全国平均と比較しても、際立って高く、14カ月連続の上昇となっております。
 また 厚生労働省の『2007年国民生活基礎調査』では、「生活が苦しい」と感じている世帯の割合が57.2%で、6年連続で過去最多となり、10年連続で過半数を占める状況になっています。
 
 一方、日本経団連は、11月20日に報道されている「経営労働政策委員会報告」(原案)では、「減益傾向が強まる中、賃上げよりも雇用維持を重視する企業も少なくない」と雇用の安定を最優先に上げております。
 しかし9月に当時の二階経済産業相が経団連に異例の賃上げ要請を要望し、10月末の政府・与党の追加経済対策にも「経済界に賃金引上げ要請」を盛り込んでおり、こうした状況も踏まえて、私たちの立場は、『賃上げも雇用も』の『二兎を追う』たたかいを追求しなければならないと存じます。
 
 北海道段階では、地場中小のたたかいにおいて、要求内容や妥結内容が単組間での情報交換・提供を進めるなど、取り組みの前進を図るよう努めてまいりたいと存じます。
 また 格差是正にあっては、産別間格差や規模間格差はもとより、とりわけ非正規労働者の処遇改善に向けての取り組みを強化しなければならないと存じます。
 
 
 次に政治闘争について申し上げます。
 麻生政権が発足して2カ月ほど経過をしましたが、就任直後の解散総選挙のタイミングを見失って以降、迷走が続いていると言わざるを得ません。
 追加経済対策で出された給付金・道路財源などは、閣内不統一ばかりでなく、ご自身の考え方も事実誤認や場当たり的で、さらに医師の社会的常識発言などの失言も相次ぎ、内閣としての求心力は一気に低下していると思います。補正予算も提出できない状況は、年末を控えての景気対策を放置することとなり、今のままでは政権継続そのものが、まさに政治空白状態であることを総理は認識すべきだと思います。
 過日、TVのニュースを見ておりましたら、街頭インタビューで女子高生が、『漢字を読めなくても空気を読んで欲しい』と言っておりましたが、「そのとおり」と思った視聴者は私だけではなかったと思います。
 
 解散総選挙の日程は定かではありませんが、この臨時国会において、経済対策の実現と同時に、内閣を追い詰める、民主党のたたかいに期待をしたいと思います。
 そして、私どもとしては、政権交代をかけたたたかいの準備だけは万端整えておかなければならないと存じます。
 
 総選挙闘争に関わって1点申し上げておきたいと存じます。
 11月7日、新党大地と連合本部の連携強化の協定についてですが、マスコミなどでも様々取り沙汰されておりますが、経過と真意について改めて申し上げます、
 私は第39回地方委員会の挨拶で、『政権交代を展望する民主党が、他の野党と選挙協力を行うことは現下の政治情勢として理解をするところであり、選挙協力の合意がなされた場合、その合意について尊重することとしたいと・・・』と申し上げました。その上で、『しかし、今回の総選挙で、連合北海道が他の政党との政策協議などを含む選挙協力について、「踏み込む予定はない」ということ・・・』も申し上げました。
 
 今回の総選挙のKeyWordは、『政権交代』であることは、言を待たないと思います。
 このことを前提に、前段の『尊重する』という意味は、選挙協力の合意内容について、民主党から何らかの相談があれば、その協議に応じる用意は必要であろうという趣旨で申し上げました。
 後段の『他の政党』との関係ですが、連合北海道は、12選挙区全ての民主党候補と比例区民主党の推薦を決定しており、民主党からの事情がない限り、既定方針どおりに進めるということであります。
 ただし、連合本部は、民主・社民・国民新党と総選挙にあたり政策協定を結びましたが、これは選挙区選挙を前提としたもので、推薦は各県の地域事情も考慮されますが、比例区の協力は想定されておりませんでした。
 ご案内のように、民主党と新党大地の協定は比例区で選挙協力ですから、その状況と北海道は複数の県をまたがない1ブロックの比例選挙区であることなどを勘案し、連合北海道との協議の上、政権交代に向けての共通認識に基づく連携強化という内容での協定に至ったわけであります。したがって、こういう状況を踏まえたうえで、『政権交代』に向けて選挙闘争を進めていくことを重ねて申し上げておきたいと存じます。
 
 また 自治体首長選挙においても、民主党を介しての選挙協力ではありますが、釧路市に続く北見市長選などの共闘を重ねることによって、非自民勢力の結集、政権交代の展望を切り開いていくことも必要であろうと存じます。
 
 何れにしても、解散総選挙・民主党の勝利、政権交代に向けて、あらためての意思統一をお願いしたいと存じます。
 
 
 以上、申し上げ挨拶といたします。ご静聴ありがとうございました。