その4
労働組合の機能と役割を再確認し、
産別と連合運動との有機的連携を促進します。
 
取り組みの総括と課題
【中小労働運動の強化】
 ローカルセンターとしての連合北海道は、大手産別に支えられながら、北海道の労働運動の継承発展に役割を果たしてきました。特に地場中小の労働運動を継続させ活発化するため、地協や地区連合の体制充実につとめてきました。
 また、地場中小労組の全道的な連携について「中小労組研修交流集会」などでネットワーク化を目指してきました。
 今後は、地場中小のなかで共通する産業の連携や活動交流を拡大することなどが必要です。
 
【交通輸送の規制緩和への対応】
 新自由主義・小泉改革の柱であったあらゆる面での規制緩和は、それから数年たった今、様々な分野で「負の側面」を大きく示し、労働ビッグバンといわれる雇用の自由化は非正規労働を蔓延させ貧困とメンタルの増大を招き、交通運輸の規制緩和は原則無い競争を激化させ、ハイタクの最賃違反、トラック・バスの安全無視を招いています。
 このルールのない競争を終わらせることが必要です。ハイタク最賃の創設運動の再構築に取り組み、再規制・公正取引を通じ組織化を進める可能性と必要を認識しました。
 また、規制緩和の影響を大きく被った地方の交通政策協議にも積極的に参加し、住民ニーズに応える交通ネットワークについて、考える「バス・シンポ」を開催し、新しいあり方について考えます。今後はこれらの取り組みを通じて得たものを具体化して拡大する必要があります。
 
【官公労の基本権と公共サービス基本法】
 6月に国家公務員制度改革基本法が成立し、基本権について3年以内に自律的労使関係制度が措置されることになりました。しかし国際基準に照らせば、依然として曖昧さが残るとともに、今後の関連法案改正についても、十分注目していかなければなりません。
 また、公務労協と民主党は「公共サービス基本法」を検討してきましたが、公務員制度改革と公共サービス改革は両輪の位置づけ(連合「公共サービス・公務員制度のあり方に関する連合の考え方(2006.1))を考えても、官僚や業界のみに与しない真に国民の安心を支える公共サービスと公務員制度を、国から都道府県から市町村へとくまなく実現する必要があります。
 
 
重点課題】
1.地場中小労働運動の強化
 毎年、継続している地域ミニマム運動を強化します。道内における産別および地協・地区連合加盟の地域・地区ユニオンと、すべての直加盟組合の賃金実態調査を実施して、年齢別のミニマム賃金の設定や、企業内最低賃金協定の到達目標を示し、底上げを図ります。
 また、民間における公正取引を実現するため「下請法」の学習会など制度の理解をすすめます。
 「全道中小労働者研修交流集会」は継続して開催するとともに、今年始めた「地場中小労働運動ネットワーク」を継続し、春季生活闘争期や通常期の情報交流に努めます。
 
2.ハイタク最賃新設運動の再構築
 規制緩和の影響を最も受けているハイタクは、運賃収入の伸び悩みで地域最賃違反が根絶できない状況にあり、政府はやっと再規制に取り組みつつあります。ハイタク最賃新設の運動は昨年11月に最賃法改正を理由として申請を撤回しました。しかし、運賃改定をした札幌圏でも想定ほど運賃収入は増加せず、ハイタク労働者の環境は悪化する一方にあります。ハイタク労働者の生活を守り安全を確保するためにハイタク最賃の再申請に向けた政策制度の実現運動などに積極的に取り組みます。
 
3.公共サービス充実と公務員制度改革の促進
 国民の期待する公共サービスを実現する効率的な公共・行政のあり方の観点で、公務員の定数と労働条件のあり方をふくめ、公共サービス基本法の制定運動に取り組みます。
 「公共サービス・公務員制度のあり方に関する連合の考え方」を基礎に、公務員制度改革と地方分権のあり方について、引き続き学習会の開催に努めます。
 
4.公共職業訓練の充実を求めます
 北海道雇用・能力開発機構(国立)や北海道高等技術専門学院(道立)などの公共職業訓練については、行革方針等で民間への移行が画策されていますが、これら雇用確保と職業選択に大きく関わる公共職業訓練は公共で行うことがILO142号条約で求められており、民間への移行は大都市と地方都市の、特に若年者・女性の職業能力育成に格差をもたらすものであることから、「職業選択の自由を保障する」観点で、公共職業訓練を充実するよう求めていきます。具体的には政労連雇用労と自治労全道庁技専評議会と連合北海道で「公共職業訓練共闘会議」を設置し運動を進めます。
 
 
【継続課題】
1.産別組織の強化と未加盟産別・単組の結集
 連合本部加盟で、連合北海道に未加盟の生保労連、損保労連、全国農団労、ヘルスケア労協、全信労連、全銀連合・全国ユニオンなどに対し、連合北海道への加盟を促進するため、連合本部、産別中央組織と連携し、道本部機能の確立を求め、情報・意見交換などを実施し結集を図ります。また、道段階の産別に結集していない中央加盟単組の未加盟解消に努めます。
 
2.産業別部門連絡会の機能強化
 産業別部門連絡会は、○春季生活闘争での情報交換・共闘づくり、○産業政策の確立と実現、○未加盟未組織の連合加盟の促進など、その役割と機能の強化に努めてきました。しかし、活発な部門連絡会と活動が停滞している部門連絡会の固定化が進む現状から、再活性化など、運営を担う責任産別、事務局産別の明確化など活動の強化について組織財政特別委員会の結論に沿って強化を図ります。
 
3.労働協約の整備・拡充
 法令改正と雇用・就業形態の多様化などをふまえて、「連合・モデル労働協約指針」にあわせた労働協約の点検・整備・拡充に取り組みます。
 また、労働組合法に合致した労働組合規約についての学習会を開催し、春季生活闘争終了期頃をめどに点検活動に取り組みます。
 
4.青年委員会の強化と組織の拡大
 各産別に青年委員会などの組織を確立するよう促すとともに、地域の青年組織の結成と運動強化に取り組み、次代を担うリーダーの育成に努めます。
 若年雇用問題への関心を高め、若年労働者の職場定着率の調査や労働・賃金等の実態把握に取り組みます。
 
5.退職者連合の強化
 退職者組織は、25産別57,784名、33地区組織40,419名となりました。引き続き、全構成産別、全地協、主要地区連合における退職者会の組織化を目指し、未結成産別の調査やオルグ、地区退職者連合への結集拡大に努めます。