その3
春季生活闘争を推進し、総合的生活改善と
安心・公正のワークルール確立を目指します。
【取り組みの総括と課題】
【08春季生活闘争の取り組みと総括】
連合は、格差社会からの脱却をめざし、賃金の底上げと格差是正に結びつく賃金改善、非正規労働者の処遇改善や正社員化、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた労働時間の短縮、割増率の引き上げ等に取り組むことを2008春季生活闘争方針として決定し、労働分配率の反転攻勢をめざし総力を挙げて闘争を推進してきました。
また、北海道では、石油製品の高騰に対応するため、要求のなかに燃料手当の差額支給や賃金改善への加味を取り組みました。
結果は、6月の中間まとめにある通り、厳しい環境の中で、賃金改善は昨年並みを確保するとともに、非正規や労働時間などで一定の成果を確保できたこのとの評価の一方で、「秋期闘争」をあらためて強調しなければならないほど「狂乱物価」に対する新たな闘いと、09春季生活闘争の準備開始を早めにする必要がある情勢にあることは、全産別の共通認識といえます。
【労働関係法の改定】
昨年の10月に雇用対策法が改正され、今年は労働契約法が3月に新設、パート労働法改正4月、最賃法改正7月と労働関係法がのきなみ改正されたり新設されました。次は労働者派遣法の改正が待ち受けています。この背景には雇用の多様化=非正規の拡大による個別労使紛争の爆発的な発生があり、“ワーキングプア”や貧困の改善のために、労働者保護の立場に立った労働関係法改正と、労働基準監督行政の充実が強く求められます。政府の一律定員カットによる労働行政の後退に歯止めをかける必要があります。
【最低賃金の取り組み】
地域最賃の改定は13円上がって667円になり10月19日に発効しました。最低賃金法の改正により「健康で文化的な最低限度の生活」が保証される水準が課されました。具体的には生活保護費が目安となりますが、北海道はまだ40円下回っていますので、早急にこの差額を解消する必要があります。また、生活保護費と同水準になるだけでなく、他の都府県のようにそれを上回る水準にしなければなりません。具体的目標としては、円卓会議で政労使が合意した「高卒初任賃金」レベルを目指した改定に向かって、運動を盛り上げる必要があります。
【障害者雇用の拡大】
障害者雇用の拡充に向けた運動に取り組みました。8月3日にシンポジウムを開催し、障害当事者や作業所の運営者、障害者運動の経験などそれぞれの立場から、障害者雇用の現状と今後の進む方向などについて議論し、今後は政策にまとめて政府等に要請することになっています。法定雇用率の達成が50%にいっていない現状の改善を早急に進めることを目標にしなければなりません。
【重点課題】
1.春季生活闘争の強化
09春季生活闘争については、連合本部の基本構想と闘争方針を踏まえ、12月に闘争方針を確立して闘争委員会を設置し、年明けには全道的な討論集会の開催など、方針の徹底と具体化に向けた積極的な取り組みを進めます。
闘争にあたっては、@格差の是正、A集中決戦方式、B地場中小・パートの重点化、C労働分配を重視、D企業内最賃協定の締結・改善の促進、E最賃運動の盛り上げを中心に据え、道内における社会的波及の向上を目指します。
地場中小の集中決戦への結集を高めるため「地場中小単組代表者会議」を引き続き開催します。
春季生活闘争の重点目標として、パート労働者等を含めた企業内最低賃金の創設や改善に取り組み、その成果を地域最賃、産別最賃に生かします。
2.地域最賃の大幅引き上げの世論形成とリビング・ウェッジ・公契約条例の促進
地域最賃は、生活保護費との逆転の解消はもちろん、円卓会議で合意した高卒初任賃金水準の実現を目標にして、道民的運動の構築をはかります。また、ハイタクなど恒常的な最賃違反をなくすための点検・摘発活動を強化します。
リビング・ウェッジ(最低生計費)運動は公共事業や公共施設・公共機関で働く「公契約」労働者の生活賃金を確保する運動として、地域の賃金レベルの向上にも大きな役割を果たします。公契約における人件費レベルの設定と労働者への支払を義務化する「公契約条例」の制定促進や総合入札制度の導入など、道や市町村の委託契約や公共事業における適正な人件費確保と公正労働基準の確立に取り組みます。
3.労働安全衛生対策の強化とメンタルヘルス問題の解決
北海道勤労者安全衛生センターと連携し、POSITIVE(労働組合主導の実践重視型労働安全衛生改善を促進するためのプログラム)普及新規事業に取り組み、地場中小企業における労働安全衛生の向上に努めます。
また、メンタルヘルス問題の解決に向けて、職場復帰プログラムの充実を求める政府要求など、緑愛病院職業病センターとも連携して取り組み、職場の理解の促進と対応の適切化をすすめる学習会や宣伝物の充実に努めます。
【継続課題】
1.雇用対策の強化
雇用の確保と質の改善については、国・道などの労働行政と連携し、実効性のある施策の実現に向けた取り組みを進めます。
雇用政策の重点である若年者・女性・高齢者・障害者対策については、職業能力向上の機会提供と訓練期間の所得保障の制度化を求めます。また、女性対策としては、賃金・労働条件の均等待遇実現など、女性委員会と連携し、男女平等の実現に向けた運動を産別・地域で取り組みを求めます。
高齢者雇用対策については、改正高年齢法の適正運用を求め、再雇用等理不尽な格差・差別がないよう、実態把握に努めます。
2.健康で働き続けられる労働時間(ワーク・ライフ・バランス)の実現
年休取得の促進や時間外・休日労働の削減を中心に取り組み、年間総実労働時間1,800時間を実現し、仕事と生活の調和のとれた働き方(ワーク・ライフ・バランス)の実現を図ります。
不払い残業撲滅の取り組みを強化し、労働基準行政の厳格な対応を求めます。
3.ワークルールの徹底の取り組み
悪質な労働法違反については、労働基準監督行政による指導、監督を求めます。
労働基準監督署やハローワークの全国一律削減に反対し、本道に必要な行政体制の拡充を求めます。
4.北海道労働委員会・労働審判制度の有効活用と強化
「北海道労働委員会(道労委)」や「労働審判制度」の学習会等を通じて制度への理解促進をはかります。
北海道労働委員会の定数削減には強く反対し、その役割を後退させないよう道に求めます。
また、労働者委員・労働審判員の資質向上と研究支援のため、判例など関係資料の購入と配布に努め、「労使関係問題研究会」の活動強化や定期的な研修会の開催に取り組みます。
5.障害者雇用率を高める運動を進めます
障害者雇用促進法の改正が継続審議になっています。北海道の状況は1.70%で全国平均を上回っていますが、法定は1.8%であり、達成率も全国を上回っているものの、47.9%と半数にも達していません。ノーマライゼーションの精神に則り、法定雇用率の達成に向けた運動を強化します。また、障害者ユニオンの結成をめざして取り組みを進めます。
6.外国人労働者の人権尊重と平等待遇の実現
H18年度の資料では、道内の外国人雇用状況は、約500事業所で約3,000人となっており年々増加しています。就労の資格とかかわりなく、道内で就労する外国人労働者の人権尊重と、日本人と同等の平等待遇確保、法律遵守の取り組みを促進します。
7.「生涯組合員構想」の具体化議論に参加します
「生涯組合員」とは、退職者をはじめ中小・地場労働者、パートなど非正規労働者が地域を基盤とする運動に参加する中で、「生涯支援」を目指すものです。連合は2009年の定期大会までに方針化することにしていますが、「団塊の世代」の大量退職に対応する制度・システムや体制、連携などについて、労働福祉団体とも連携しながら調査・検討します。