@ わたし達は、昨年開催した連合北海道第20回定期大会において急増する正規労働以外の雇用形態で働く、パート、契約、派遣労働者などの非正規労働者の雇用の安定と劣悪な労働条件の改善を図る専門部署として「連合北海道非正規労働センターを全国の地方連合に先駆けて立ち上げる事を決定するとともに11月28日には、非正規労働問題を組織を挙げて取り組む共闘組織として「連合北海道非正規労働対策委員会」(委員長松本容司会長代行)を発足させました。 A 対策委員会では、非正規労働者の雇用不安の解消と雇用の安定、賃金をはじめとする労働条件の改善を図り、公正な雇用社会を実現するためには第一に、最優先、最重要課題として非正規労働者の組合員化や組織化に取り組むこと、第二にその組織化の力を基礎に非正規労働者全体の労働条件の底上げや社会的水準の引き上げに向け、共闘を推進すること、第三に連合の組織力や地域のネットワーク機能を活かし、未組織状態にある非正規労働者の権利の擁護や確立のための労働相談活動やワークルールの教育活動により支援すること、第四に雇用・労働分野の規制緩和や社会保障費削減によるセーフティネットの弱体化などの政策に終止符を打ち、急増するワーキングプア(働く貧困層)の解消に向けた新たな社会政策の導入を図るため政治と政策の転換を求める道民(社会)運動に取り組む事を確認しました。 B この基本方針に基づき、この一年間、連合本部の提起するストップ・ザ格差社会のキャンペーン活動や、本部の非正規労働センターと連携しながら、活動を展開してきました。 その結果、第一の非正規労働者の組織化の取り組みでは、パート労働者や再雇用労働者を中心に10,632名が産業別組織に結集するなど一定の成果を挙げています。成果を挙げた産別・単組では「企業の業績は正規労働者だけでなく同じ職場で働く非正規労働者との協力関係で達成している」「非正規労働者に成果を配分し、職場の一体感や生産性向上につなげよう」「労働組合は非正規労働者を含めた労働者全体の代表として交渉力を高めよう」など共通した認識、役割、任務、目標を組織的に確認し、組合加入活動を展開していますが、残念ながらこの取り組みは構成組織全体のものとなっていません。 現段階では、非正規労働者の組織率は、5%弱であり、95%が未組織状態にあります。 このため、非正規労働センターとして引き続き、「非正規労働者組織化経験交流会」などを開催するなど、組織化を推進する必要があります。 C 第二に連合内の非正規労働者の労働条件の底上げ、改善を図る共闘組織である中小パート対策委員会によるパート共闘では、春季生活闘争段階の時間給の改善目安として、絶対額1000円程度、引き上げ額は昨年を上回る25円程度としたのをはじめ、改正パート労働法を上回る処遇改善として、正社員転換制度の導入や、通勤手当の改善や慶弔制度の適用などを求めて積極的に取り組みを進めました。 対策委員会では、こうした非正規の取り組みを社会的に広めるため、知事市長会、町村会、労働局、道経協などの使用者団体などに対し改正パート労働法の遵守、違法派遣の一掃や、正規労働者への転換、非正規労働者の社会・労働保険の適用、経済的に自立できる賃金の改善を求める要請行動などに取り組みました。 その結果、時間給の引き上げは、昨年をわずかに上回る結果でしたが、重点的課題として提起した正規労働者への転換制度などは、多くの組合で前進しました。 今後は、連合本部段階のパート共闘が策定した中期的取り組み指針(ガイドライン)の徹底を図るための学習会の開催など09春季生活闘争に向けた体制構築を図り、産別・単組への運動の広がりを図りながら相場を形成し波及効果を高めていかなければなりません。 D 第三の非正規労働者の権利擁護、確立に向けた取り組みとして年間を通した電話やメー ルによる労働相談の受付とアドバイスや解決、改正パート労働法の抜本改正などの学習会などに取り組んできました。 このうち、労働相談の件数はこの一年間で5,121件寄せられるなど急増しました。増加した要因や背景としては非正規労働者のみならず、未組織の正規労働者が連合北海道の非正規労働センター設置の取り組みの報道などにより組織労働者の結集体としての連合北海道との距離感や、垣根が縮まった事や、倒産した木の城たいせつグループ従業員の大量解雇と労働債権の確保に連合北海道空知地域ユニオンが働く者の権利を守る活動を真剣に取り組んだ事を挙げることが出来ます。 非正規労働センターとしては、このように増大する労働相談に対応し、産別からの相談員の登録や、相談員を対象にした研修会の開催などに取り組んできましたが、今後は、このような労働相談体制の強化を図るとともに非正規労働者であるが故に権利の行使が金銭的に制限されている労働者が理不尽な権利剥奪に労働審判などで闘い抜くことが出来るよう支援体制を構築する必要があります。 E 非正規労働者が増大するなかで雇用形態の違いが所得の格差に連鎖し生活上の格差のみならず子どもの将来の希望に対する格差まで広がっています。 また、非正規労働者の労働の役割も従来の補助的労働者から基幹労働者に位置づけられる「基幹化」の傾向が強まっていますがその非正規労働者の処遇は、働きに見合っていない状況にあります。そればかりか非正規労働者の多くがフルで働いても貧困ラインである生活保護基準を下回る収入水準に置かれています。 そして、その多くの労働者が年金保険、健康保険、雇用保険などの社会保障から排除されるなど、非正規労働者にとって、我が国の社会保障制度は機能不全に陥っており、社会的セーフティネットワークの再構築が求められています。 連合はこの間、労働を中心とした福祉社会の実現を目指し、働く意欲と能力を持った労働者が社会に支えられる側から良い仕事に就き安定した雇用により社会保険料や税金を納入し社会を支える側に立てるような積極的労働政策を求めてきました。 こうした観点にたって、わたし達は非正規労働問題と働く貧困層の解消に向けた政策の実現に向け、政策の立案や政策研修会・全道キャラバン行動などを展開し、市場現則一辺倒と、社会保障削減の政策転換を求める活動を展開してきました。 その結果多くの地域関係者から賛同・合意が得られ、国の要望意見書が約50近くの自治体で採択されるなど、政策転換の声が拡がってきています。こうしたなか、福田政権は、昨年の参議院選挙の結果に対応し、労働者派遣法などの部分的、小手先の政策修正を打ち出していますがこの内容では解決を図ることは出来ません。 わたし達は、雇用の原則である「雇用期間の定めのない直接雇用」を基本に労働者保護に立脚した政策の実現を図るため、今後とも民主党との連携を強め、立法化などに取り組む必要があります。 F 本年7月公表された平成19年就業構造基本調査結果によると、全国の雇用労働者に占める非正規労働者の割合は、35.6%(男性20%、女性55.3%)1890万人達し、本道においては38.2%を占めていることが明らかになりました。 依然として正規労働者から非正規労働者への転換が進むとともに、パート労働者の男性の約8割、女性の93.7%が年収200万円未満を占めていることが明らかとなっています。わたし達は、改めて非正規労働問題を労働運動、労働組合活動の中心に課題として取り組む事が求められています。 |