第3号議案   第21回参議院選挙のまとめ(案)
一.はじめに
1.第21回参議院議員選挙は、当初、第166通常国会会期末(6月23日)後の7月 5日公示、7月22投票日が確実視されていたが、年金記録漏れ問題などで政府・与党 への国民の批判と不信が強まるなか、「党利党略」によって会期延長が強行され、その 結果、一週間遅れの7月12日公示、7月29日投票日で実施された。
  今回の参議院議員選挙は、市場万能主義に基づき、地方の疲弊に象徴される格差が増 大しているなかで、憲法改正等「戦後レジームからの脱却」を掲げ、強引な政権運営を 進める安倍政権とその政治を問う選挙であった。これに対し、小沢代表の民主党は「生 活が第一」を掲げ、そのため「政治の転換」を国民に訴え、政権選択へのステップとな る選挙として戦った。具体的には、年金問題や政治とカネの問題などが直接的要因とな ったが、その背景にある国民生活や地域社会に対する将来への不安、現状政治に対する 批判と怒りが投票に強く反映する結果となった。政権与党には逆風、民主党へは追い風 となり、自民党の歴史的惨敗、民主党の大躍進、そして、与野党逆転が実現した。
 
2.連合北海道は、第21回参議院議員選挙を「政権交代を現実化させる重要な闘いであ り、与野党逆転と民主党の躍進が不可欠」であるとし、第33回地方委員会(2006 年6月28日)で北海道選挙区・小川勝也氏の推薦を決定、その後、「小川勝也と連合 北海道の政治契約」(最賃、パート労働法、年金制度、憲法問題などの内容・2007 年6月14日)を締結した。また、選挙区選挙と比例代表選挙の一体的取り組みを進め る「比例代表選挙対策委員会」を設置し、比例代表の連合組織内8候補(後に電機連合 若林ひでき氏の出馬辞退で7候補)の完勝に向けた活動を展開した。その中で、自由競 争と改革という名のもと、労働の尊厳をないがしろにする自公政権の政策に労働者の立 場から反対し、格差の拡大と社会の荒廃にストップをかけ、「まじめに働く私たちのた めの政治を実現する」ことを組合員・家族に訴えてきた。
 
3.選挙結果は、民主党が結党以来最大となる60議席を獲得、非改選の49議席と合わ せて109議席となり参議院の第1党に躍進した。さらに、単独でも自民・公明の議席 数の合計103を上回り他の野党を合わせた議席数で過半数を制した。自民党は、19 55年の保守合同以来初めて参議院第一党から退く歴史的惨敗となり、安倍首相は就任 から僅か10ヶ月で有権者から明確な不信任を突きつけられた。それでも続投した安倍 首相は、その後内閣改造を行い、臨時国会で所信表明を行った直後に政権を放棄した。
  そして、現在、国民の審判を早期に受けるべき福田自公政権が継続されている。
 
4.民主党北海道は、前回(2004年)に続いて、定数2である北海道選挙区の議席独 占をめざし、公認・小川勝也氏、推薦・多原かおり氏の2名を擁立した。自民党は現職 の伊達忠一氏、社民党は新人の浅野隆雄氏、共産党は新人畠山和也氏のほか、諸派から 3人の計8人が立候補した。民主党公認・連合推薦の小川勝也候補は、目標どおり10 0万票を獲得しトップ当選を果たした。しかし、推薦候補多原かおり氏は、健闘むなし くし保守の底力の前に一歩力が及ばなかった。また、比例代表選挙では道内の民主党公 認・推薦候補の奮闘で得票が押し上げられ、全国で20人が当選、連合組織内7候補も 全員当選を果たした。
二.選挙結果の概要と評価について
 
1.全国的な選挙結果の概要と評価
 
逆風/自民が歴史的惨敗、与党過半数割れ
(1) 第21回参議院議員選挙は、相次いだ閣僚による失言や事務所費問題に象徴された「政治とカネ」、5千万件に及ぶ年金記録漏れ、そして、横暴な国会運営などによる国民の不信と批判が安倍政権・与党への逆風となる中、通常国会の会期延長によって当初より1週間後の投票日とされた7月29日に投開票が行われた。
選挙結果は、報道各社の事前世論調査を裏付けるかのように、自民党が改選議席(64)を大きく下回る37議席(選挙区23比例代表14)となり、この議席数は、1989年(宇野内閣)の36議席に次ぐもので、1955年の保守合同以来、初めて参議院第一党の座から退くという歴史的惨敗となった。同時に、公明党は、18年ぶりに選挙区候補を落選(神奈川・愛知・埼玉)させるなど、9議席(選挙区2比例代表7)と大きく後退、非改選とあわせて与党103議席(自民83公明20)にとどまり、過半数議席(122)を大きく割り込んで「与野党逆転」となった。
 (表1、2参照
逆転/民主が大躍進、第一党で参議院議長
(2) 民主党は、目標に掲げていた55議席を上回り、60議席(選挙区40比例代表20)を獲得、「結党以来の大躍進」となり、非改選議席とあわせ、参議院ではじめて「百の大台」となる109議席となり、得票率においても、選挙区2400万票(得票率40%、前回比1.4%増)、比例代表2325万票(得票率39%、前回比1.7%増)と前回より上積みし、参議院第一党となった。焦点となった1人区の選挙区でも、野党23:与党6(前回2003年は13:14)と圧倒、他の野党では、社民党2議席(非改選議席含め5議席、公示前は6議席)、共産党3議席(非改選議席含め7議席、公示前は9議席)とそれぞれ後退した。さらに、国民新党2議席、新党日本1議席、無所属7議席であった。
そして、参議院で与野党逆転となった8月の第167国会(会期8月7日〜10日)  では、自民党が半世紀余にわたって独占してきた参議院議長、議運委員長は、野党・  民主党から選出され、「55年体制」から「07年体制」へ政権交代の時代を告げた。 (表1、2参照
 
連合組織内・比例代表候補、7人全員が当選
(3) 比例代表選挙で、民主党は、これまでのブロック型候補から全国展開型・地域重点型・全国区型の35人が立候補し、2325万票獲得して20人が当選した。そのうち、連合の比例代表候補は、産別でより多くの擁立の可能性が追求された結果、当初8名であったが公示ギリギリで電機連合の候補者が辞退となり、7名によるたたかいを展開して全員当選となった。得票数は、182万票で、8人当選となった前回より約10万票上積みし、民主比例票(政党名+個人名)の7.7%であったが、個人票比では41%(442万/182万)を占めた。(表5参照
 
 ◆表1 党派別の当選者数











 
党派名
 
当選者数
 
選挙区選挙 比例代表選挙 新勢力
(+非改選数)
民主党
自民党
公明党
共産党
社民党
国民新党
日本新党
諸 派
無所属
  60
  37
   9
   3
   2
   2
   1
   0
   7
15
14
 2





 








 2
25
 9



 1


 5
40
23
 2


 1


 7
 7
 6
 6
 2
 1



 



 1




 
13
 8
 1

 1
 1
 1

 
20
14
 7
 3
 2
 1
 1


 
  109
   83
   20
    7
    5
    4
    1

   13
 121 31  2 40 73 22  1 25 48   242
 <注>非改選議席=新勢力−当選者数
           ※ 衆・参国会議員の政党・会派構成(2007年9月17現在)








 
  衆議院議員数 参議院議員数



 
民主党
共産党
社民党国民新党
   113
     9
     7
     6
   115
     7
     5
     4
    228
     16
     12
     10

自民党
公明党
   306
    31
    84
    21
    390
     52
  無所属      8      6      14
   480    242     722
           <注>会派名は省略
          
◆表2 党派別の得票数・得票率










 
  選挙区 得票率 04率 比例代表 得票率 04率  個人名得票  (比率)  
民主党
自民党
公明党
共産党
社民党
国民新党
新党日本
諸 派
無所属
24,006,817
18,606,193
3,534,672
5,164,572
1,352,018
1,111,005

477,182
5,095,168
40.5
31.4
6.0
8.7
2.3
1.9

0.8
8.6
39.1
35.1
3.9
9.8
1.8


0.2
10.2
23,256,242
16,544,696
7,762,324
4,407,937
2,637,716
1,269,220
1,770,697
1,264,848
 
39.5
28.1
13.2
7.5
4.5
2.2
3.0
2.2
 
37.8
30.0
15.4
7.8
5.3


2.0
 
4,426,907(0.190)
6,001,122(0.363)
4,244,907(0.547)
476,395 (0.108)
656,500 (0.249)
590,166 (0.333)
629,501 (0.355)

 








 
59,347,628     58,913,683        
 <注>諸派=女性+9条+新風+共生
 
          新聞各社/安倍政治への審判、民主の責任も重い
(4) 参議院議員選挙の結果を受けて、安倍首相は、敗北の責任を肯定しながら、「新しい国づくりのため、これからも首相として責任を果たしたい」と続投の意向を表明した。新聞各社は、「民意は安倍政治を拒んだ」(道新)、「安倍政治への不信任だ」(朝日)、「民意は『安倍政治』を否定した」(毎日)というように、選挙結果が安倍政治そのものへの審判であったと論じる一方、「政治の混迷は許されない」(読売)と、民主党の責任の重さも強調されている。また、参議院議員選挙直後の道内緊急世論調査(8月1日、道新報道)によると、「民主党が議席を大幅に増やしたのは何が良かったからだと思うか」との問いに対し、7割が「自民党がだらしないから」と答え、民主党への評価よりも自民党への批判の強さを如実に示した。
         ※ 道内緊急世論調査の結果(道新)



 
順位 設 問 項 目 全体では 自民層は 無党派は
自民党がだらしないから  70.0%  74.5%  76.1%
改革姿勢や政策がよかった  12.6%    
党のイメ−ジが良かった  2.6%    
 
2.北海道における選挙結果と評価について
 
北海道選挙区/小川完勝・二議席独占はならず
(1) 北海道選挙区は、北海道政権戦略会議(連合北海道・民主党北海道・北海道農民政治力会議)が推薦した民主党公認・小川勝也氏(3期目)と知事選挙における共闘から民主党北海道が推薦した新党大地・多原香里氏(国民新党推薦)、そして、全国的な逆風に加え、息子の不祥事を抱えた自民党公認・公明党推薦の伊達忠一氏(2期目)ほか、8人が立候補して戦われ、自民党議席をゼロすることが出来るかどうかが注目された。選挙結果は、小川勝也氏が目標どおり100万票を獲得して3選を果たし、多原氏は、62万票と健闘したが、「与党議席をなくすな!」と危機感を持って最終盤に陣営を引き締めた伊達氏(76万票 )を超えることができず、2議席独占はならなかった。(表3参照
◆表3 北海道選挙区の選挙結果









 
候  補  者 得票結果 第1位得票選挙区 (04年)
得票数
  候補者名 党派名 推薦政党 得票数 札幌 町村
当 小川勝也 民主前
伊達忠一
自民前
次 多原香里
 無 新
  畠山和也
共産新
  羽柴秀吉
 無 新
  浅野隆雄
社民新
  荒川昌之
 無 新
  千代信人
 無 新

公明
大地・国民・民主




 
1,018,597
757,463
621,497
206,463
103,282
79,497
22,154
18,234
36.0
26.8
22.0
7.3
3.7
2.8
0.8
0.6
10






 
30






 
94
42





 
1,171,270
741,831
485,382
254,338

106,631

19,020
 <注>(04年)得票数=小川欄は「峰崎」+「西川」、多原欄は鈴木
 
(2) 参議院議員選挙の結果を受け、「均等に得票していたなら」「連合が組織票を回さなかったから」などの意見も出されていたが、出口調査等を勘案してシミュレ−ション(表4参照)してみると、自民・公明支持層でも批判が強まり、息子の不祥事で政治責任をも問われていた「伊達」票が自民支持層の6割以上を占め、「多原」票は、無党派の3割未満となっており、「多原」陣営として、自民支持層および無党派層への食い込み不足が2議席独占にいたらなかった主な要因と考えられる。
 
 ◆表4 道選挙区における各候補の得票構造の推計









 
  投票基礎数 有効投票数 小川・民主 率 多原・無  率 伊達・自民 率
 
 
 
 
 
 
無党派
800,000
650,000
330,000
100,000
220,000
160,000
647,000
782,400
637,000
323,000
98,000
215,600
156,800
614,724
532,032
113,386
40,425
20,580
30,184
17,248
264,331
0.68
0.18
0.13
0.21
0.14
0.11
0.43
195,600
70,070
32,340
19,600
17,248
117,600
172,123
0.25
0.11
0.10
0.20
0.08
0.75
0.28
7,824
414,050
242,550
2,940
2,156
17,248
67,620
0.01
0.65
0.75
0.03
0.01
0.11
0.11
2,907,078 2,827,924 1,018,186 0.36 624,581 0.22 754,388 0.27
選挙結果 2,907,078 2,827,164 1,018,597 0.36 621,497 0.22 757,463 0.27
 <注>@投票基礎数は、過去の選挙(比例)結果を勘案して算出した。A各候補の得票構
 造(党派別シェア)は、報道各社の出口調査を基に、期日前分も考慮して按分した。B得
 票数値は、選挙結果と一致しない。各政党支持層がどう按分されたかを着眼点に参考とす
 ること。
          比例代表/個人名比率、さらに低下
(3) 道内における比例区のたたかいについて、民主党北海道は、北海道ブロック重点候補に逢坂誠二衆議院議員の擁立を検討したが、民主党本部との協議で了解が得られず、遺憾ながら断念となった。連合北海道は、選挙区選挙との連動をはかりながら、擁立産別および支援産別 一体となり連合組織内7候補全員の当選を果たしたが、道内における政党名と個人名の比率では、民主党への追い風などがあったとしても前回(19.6%→18.0%)よりさらに下回り、これまでの反省が継続された。(表5,6参照
 ◆表5 連合北海道推薦・比例代表候補の得票状況 得票順位








 
  候補者名 構成組織 全国得票数・% 道内得票数・% 全国 全国/民主






相原久美子
吉川 沙織
池口 修次
神本美恵子
藤原 正司
川合 孝典
轟木 利治
自 治 労
情報労連
自動車総連
日 教 組
電力総連
UIゼンセン
基幹労連
507,787
306,575
255,453
224,999
194,074
171,084
166,969
11.47
6.93
5.77
5.08
4.38
3.86
3.77
74,130
21,432
3,759
20,800
8,795
3,874
3,411
33.92
9.81
1.72
9.52
4.02
1.77
1.56

12
17
24
32
35
40





10
12
       計 1,826,941 41.27 136,201  62.32  
 <注>得票率は、民主党の個人名得票総数に対する比率(%)
 ◆表6 党派別の得票数・得票率(道内)










 
  選挙区 得票率 04率 比例代表 得票率 04率 個人名得票 (比率) 04率
民主党
自民党
公明党
共産党
社民党
国民新党
日本新党
諸 派
無所属
1,018,597
757,463

206,463
79,474


18,234
746,933
36.0
26.8

7.3
2.8


0.6
26.4








 
1,217,315
723,441
339,749
230,107
103,309
55,354
77.834
75,721
 
43.1
25.6
12.0
8.2
3.7
2.0
2.8
2.7
 
42.5
26.1
14.9
8.7
4.5



 
218,541
323,776
217,883
45.197
27,075
28,826
27,275
22,036
 
0.180
0.448
0.641
0.196
0.262
0.521
0.350
0.291
 
0.196
0.296
0.731
0.122
0.260



 
  2,827,164     2,822,832     910,609  
 <注>諸派=女性+9条+新風+共生
 
3.投票率(期日前投票)について
 
 全国投票率は、「亥年の選挙」12年ごとに(統一自治体選挙と参議院議員選挙が重なる亥年)のジンクスを覆し、前回(04年)を2.07%(12年前の亥年との比較では14ポイント)上回る58.64%となった。また、期日前投票は、1079万8996人で、前回の1.5倍、有権者数の1割、得票数の17.7%となった。一方、道内の投票率も、62.40%と前回(61.74%)を上回った。
 さらに、期日前投票では、52万6719人が投票し、有権者の11.31%に達し、前回と比較し、14万5605人、3.1ポイントの上昇となった。こうした結果は、年金記録漏れ問題や政治とカネの問題などが直接的要因とされたが、発火点となった背景には、格差の拡大に対する国民の不安と怒りがあり、そのことが投票率アップへとつながったと考えている。この意味から、1年余にわたりキャンペ−ンを展開してきた「stop!the 格差社会」の取り組みや、知事選では敗北となったが議会勢力を伸ばした統一自治体選挙の取り組み、そして、「投票に行こう」運動などをたたかい続けてきたことが、参議院議員選挙をより押し上げたものと確認することができる。
 
 
三.主要な取り組みの展開と課題の検証
 
1.選挙闘争態勢の確立
(1) 第21回参議院選挙闘争は、民主党北海道、北海道農民政治力会議と共に選挙区候補の小川総合選対本部を設置し、道内14地域にブロック合選、その下に市町村選対を配置してたたかった。
連合北海道としては、統一自治体選挙に引き続き、構成産別、地協・地区連合役職員の総動員体制を確立するとともに、連合組織内比例代表候補の擁立産別で「比例代表選挙対策委員会」を構成し、選挙区・比例代表選挙を一体的に短期集中して取り組んだ。
 
(2) 比例代表選挙では、民主党の北海道ブロック重点候補を擁立できなかったことや連合組織内候補予定者が公示直前で立候補を辞退したこともあって、選挙区と比例代表選挙の連動対策が不十分なまま選挙本番に突入となったことなどの反省を残した。今後に向けては、連合組織内候補と北海道重点候補の取り扱いなどについて、「北海道を基盤とする幅広い支持層をいかに取り込むか」、大胆に議論していくべきと考える。
 
(3) 連合は、昨年10月に民主党との間で結んだ「ともに生きる社会をつくる」宣言の精神をもとに、雇用・ワークルールの確立、安心な社会保障制度の実現など連合の重点政策の実現について合意、7月9日に民主党と政策協定を締結して参議院での与野党逆転をめざした。
また、連合北海道は、6月14日に選挙区候補の小川勝也参議院議員との間で、格差社会の問題では、その根幹となる「最低賃の抜本改革」や「均等待遇に基づくパート労働法の改正」、「安心と信頼の年金制度の確立」など社会保障政策、「改憲を前提とした拙速な審議には組みしない」など憲法・安全保障問題を含めた12項目からなる政治契約を交わし、組合員・家族、退職者・OBなど一体となって取り組む選挙態勢の確立を図ってきた。
 
2.支持者獲得運動の推進
(1) 連合北海道の基礎的な運動である組合員一人・5人以上の支持者獲得運動は、12年ぶりに4月の統一自治体選挙後の参議院議員選挙となったことから、本格的な立ち上がりは5月連休後の取り組みとなった。加えて、比例代表北海道ブロック重点候補の擁立問題など支援産別の調整が遅れたことなど、短期間の取り組みとなったことから、大半が組合員と家族、退職者・OBの基礎票をまとめるに止まり、全体としては、3年前と同じく獲得目標の6割強の結果となった。
 
(2) 選挙区の支持者カードは、すべてブロック・地区選対に提出するルールを確認して取り組んだが、比例代表の関係で組織内対策を重視し、提出がなかったり遅れたところもあり全体的に統一した取り組みに成り得なかった。相互信頼に基づいて産別・地域・地区が一体となって取り組める時代に入っていることを改めて確認しておきたい。
 
3.確票・定着運動の徹底
(1) 確票・定着運動は、ブロック・地区での票読み活動と連動して取り組まれた。ブロック・地区選対は選挙区の小川対策一本に絞り込み、比例代表選対の電話作戦とあわせて、全道で120万コールを目標に、最終盤まで粘り強く「確認行動」を展開した。
 
(2) 選挙戦の序盤からマスコミ各社の「小川優位」の報道もあって、組織対策に苦慮したものの、産別・単組、ブロック・地区が一体となって基礎票を確実に積み上げたことが、格差問題や年金問題など自民党の長期政治に対する国民の怒りと不信感から無党派層を取り込み、目標の100万票を超える得票に結びついたものと考える。
 
4.青年・女性の取り組み
(1) 青年選対委員会は、青年決起集会や「投票に行こうよ!」キャラバン行動の成功にむけて、毎週会議を開催して、積極的に選挙闘争に参加した。
青年決起集会は、全道19カ所で開催、延べ600名が結集して参議院議員選挙の意義、青年と政治などについて熱心な議論を重ねてきた。札幌重点対策としてほぼ毎日となった民主党街宣行動にはスタッフとしてチラシ配布行動に参加、また、公示後には、「投票に行こうよ!」キャラバン行動を展開し、札幌市内の大学前で、若者の有権者に投票を促す活動に取り組んだ。
 
(2) 女性選対委員会は、青年選対と合同で全道5都市で青年・女性決起集会を開催し、女性の政治参加の拡大に努めてきた。また、6月30日には、男女均等法集会を開催するとともに、女性議員による街頭宣伝行動や小川候補との政策懇談会を開催し、男女共同参画の視点からもキャンペーン活動を行った。
 
5.各級議員との連携
(1) 各級議員・後援会は、国会・道議会報告会の開催、支援企業・団体対策、事前・本番を含めた街宣行動、後援会員への電話コール作戦など、ブロック・地区選対と連携し精力的に活動を展開したが、ブロックによってはバラツキもあり、国会議員と道議会議員、市町村議員も含めた日常からの連携、ネットワークをつくっていくなど、推薦議員総体としての力が発揮できる体制の確立が求められる。
 
6.投票に行こう!(期日前投票)の推進
(1) 当初、7月22日と想定された投票日は、選挙情勢が自民党に不利と見た安倍内閣が急遽、国会の会期を7月5日まで延長させ7月29日としたことから、子供たちの夏休み期間中になり、各地の夏祭り・行事と重なるなどの混乱を引き起こした。
   連合北海道は、このことによる投票率の低下を食い止めるために、「連合北海道の『参院選の投票日は7月22日だ!』」として、期日前投票の促進とあわせ、ポスターの発行、投票済はがき行動など、夏休み前に組合員・家族の100%期日前投票の達成をめざし独自のキャンペーンに取り組んだ。
 
(2) この取り組みは、マスコミにも取り上げられ大いに注目を集めた。しかし、投票終了者の確認行動の報告では、一部の産別に止まり、今後、組織内の投票率向上にむけて全体的な取り組みとなるよう、組織的にキメ細かな対策が必要である。
また、青年委員会が中心となって行った「投票に行こうよ!」街頭キャンペーンや若者対策としての大学校門前でのチラシ配布行動などは、連合の独自キャンペーンの原動力となり、組織内の投票率向上に貢献した。
 
7.今後、教訓化していく課題と提言
(1) 複数候補擁立に関して
  民主党北海道は、今回、公認候補を一人に絞り、2人目については他党との選挙協力 ・候補を推薦して2議席独占をめざして闘ったが結果として2議席独占はできなかった
  複数候補の擁立に関しては、政党である民主党北海道が政治勢力の拡大にむけて政党 間の選挙協力を含めて2議席独占の可能性を追求していくことに異論をはさむものでは ない。ただ、選挙協力・支援の範囲など、複数候補擁立の際の選挙態勢のあり方につい ては、十分な事前の検討・協議が必要である。
 
(2) 比例代表選挙(候補)のあり方
  今回、比例代表選挙における北海道ブロック重点候補の擁立が結果として見送られた が、民主党は、道内で121万票という過去最高を獲得した。幅広い支持層をターゲッ トに選挙区と連動して選挙を展開していく上で、地域重点候補の擁立を求める意見も少 なくなかった。
  北海道における比例代表重点候補の擁立は、選挙区と連動した全道的な選挙態勢と政 治勢力の拡大にとって重要な戦略となる。その際、連合組織内候補の支援態勢との調整 も伴うことから、重点候補者の条件や擁立時期も含めた、十分な事前の検討・協議が必 要である。
 
 
四.むすびに
 9月25日、臨時国会で首相指名投票が行われ、衆議院は福田自民党総裁、参議院は小沢民主党代表をそれぞれ指名、9年ぶりに両院協議会の開催となったが、憲法の規定により衆議院の議決が優先され、福田氏が第91代の首相に就任、即日、福田内閣の発足となった。首相自らが「背水の陣内閣」と名付けているが、閣僚の顔ぶれを見ると安倍内閣に上書きしたような陣容であり、臨時国会での所信表明演説では、「戦後レジ−ムからの脱却」や憲法改正を触れず、脱・安倍路線への軌道修正を伺わせながら野党との対話を強調しているものの、具体的政策、ビジョンが提起されていないなど、先行き不透明感が強く漂う、民意が反映されていない内閣といえる。
 参議院議員選挙で示された民意とは、あらためて国民の審判を受けた政権による、市場万能主義から格差社会の是正、年金・医療等の社会保障の拡充など、社会と国民生活に安心と未来展望を与える政治・政策への転換とその着実な実行への期待であると確信する。
 連合北海道は、次期解散総選挙こそが政権選択の選挙そのものであり、民主党の大躍進によって福田自公政権からの政権交代が実現するよう、組織の総力を挙げていく決意である。
 
 
以  上