その7
平和と軍縮、人権、環境など、
次代に展望を切り開く、国民・道民運動を推進します。
【取り組みの総括と課題】
【平和・軍縮】
平和の世紀と願っていた21世紀ですが、多くの人々の願いと逆行し核兵器やミサイル開発が依然として行われ、拡大傾向にあります。また、未だ航空自衛隊が派遣されているイラクでは、内戦状態となり多くの人々が命を失っています。もはや非戦闘地域でないことは誰の目にも明らかであり、一刻も早い完全撤退を求めていかなくてはなりません。私たちは、唯一の被爆国であり平和主義を謳った日本国憲法を持つ国として、世界平和を希求し核兵器廃絶と平和・軍縮の運動を今後も粘り強く取り組むことが重要です。また、「平和と軍縮」を進める運動のさらなる統一・拡大についても引き続き取り組むことが重要です。
【国民投票法】
国民投票法は、5月14日強行成立しました。十分な審議がなされず、国民的な論点も示されず成立しました。18項目もの附帯決議は、審議が不十分であることの裏付けであり、国民の意思が反映された法でないことを示しています。憲法講座などの開催と合わせ「国民投票法」の問題点などについて学習する必要があります。
【教育基本法・教育関連三法】
教育基本法改正案は、昨年12月15日、教育関連三法は、6月20日に成立しました。この間、教育関係団体と連携を取りながら性急な改悪に反対の取り組みをしてきました。特に教育基本法の改悪にあたっては、「慎重審議をつくすべきである。今日的に改正する必要はない」との基本的な考え方にたって取り組みをしました。その改正に基づく教育関連三法についても、同様に改悪反対に取り組みました。
今後、より具体的な省令などの施策が予想されます。危惧されている教育現場に対する管理体制の強化、差別・分断や、国家による統制については、排除する取り組みが必要であり、民主教育確立の運動を進めることが重要です。
【WTO・EPA交渉関係】
WTO交渉をめぐる状況は、7月にWTO農業交渉議長のファルコナー議長案が示されましたが、各国の立場の違いから進展していません。
一方、日豪EPA交渉は、WTO交渉が進まない状況から今後活発に交渉が行われる可能性があります。日豪EPAは、農業大国であるオーストラリアとの交渉であるため、農業分野への影響が大きく特に食糧基地となっている北海道にとっては甚大な打撃が与えられます。交渉では、適切なモダリティ(保護率削減の基準)と重要品目の関税から除外するなど適切な国境措置を確保しなければなりません。連合北海道、食・みどり・水を守る道民の会では、署名に取り組むとともに学習会(5月17日)を開催しました。また、集約された署名をもとに中央への要請行動を展開しました。7月2日には農民連盟主催の全道総決起集会に協賛団体として参加し、世論喚起を図りました。
WTO農業交渉及び日豪EPA交渉に当たっては、農業・農村が果たす多面的機能の発揮や食糧主権の確保、本道の農業・農村をはじめ地域経済や雇用に打撃を与えることのないよう、交渉経過を見守りながら食・みどり・水を守る道民の会とも連携を図りながら取り組むことが重要です。
【米軍再編による沖縄嘉手納基地F15戦闘機千歳基地移転問題】
米軍再編問題から、全国の自衛隊の基地に移転分散を強行している米軍の演習ですが、千歳基地においても地元住民の反対の声を無視し、移転演習強行の姿勢を崩していません。沖縄の痛みを分かち合うとの言葉とは裏腹に移転問題は全国に展開し、しかも拡大・強化されています。「日米地位協定の抜本的な見直し」「基地の整理・縮小」の運動を全国連帯を強めながら取り組む必要があります。 |
【重点課題】
1.平和・軍縮
@ 道内の「核兵器廃絶」運動の再構築を早急に進める事は、道内においては原水禁北海道・北海道核禁会議・連合北海道の3団体そろった既定方針であり、統一行動の拡大を進めていきます。
「平和行動 in 広島・長崎」での平和行動については、中央3団体(連合・原水禁・核禁会議)の統一大会開催を踏まえ、連合中央に対して統一行事の継続・拡大、統一団として参加しやすい日程・行事設定を求めるとともに、北海道統一団としての参加結果をもとに、原水禁北海道・北海道核禁会議と協議し、募集の完全一本化の統一団参加方法を検討していきます。
A 在日米軍再編問題に関わる沖縄県嘉手納基地におけるF15戦闘機訓練の千歳基地への移転問題については、「F15戦闘機訓練千歳基地移転問題対策会議」で協議し具体的取り組みを行います。
B 12月8日(開戦記念日)、8月15日(敗戦記念日)については、「平和憲法擁護と戦争体験の風化防止に努め、平和行事として取り組む」ため、同日に平和行事を開催している市民団体と連携協議しながら参加・企画の方途をさらに検討することとします。
2.憲法・教育課題
@ 日本国憲法の3大原則「平和主義」「主権在民」「基本的人権の尊重」を基本姿勢として、取り組みを進めます。
国の基本政策に関する課題については、「国の基本政策に関する連合の見解(案)」の取り扱い(2006.1.19第4回中央執行委員会)に基づき、現行政治方針(1999年の第6回大会と2003年の第8回大会で決定)にそって取り組むこととします。また、「国民投票法」の問題点などについて学習します。
A 道教委「新たな高校教育に関する指針」については、高校の統廃合・再編を一層加速させるとともに、差別・選別をすすめ、高校間格差を拡大させることになることから、「指針」の撤回・再考を求める取り組みをします。
3.食の安心・安全、環境問題と循環型社会の実現を求める取り組み
@ 食料・森林・水資源や環境問題等、生活にかかる諸問題について取り組む「食・みどり・水を守る道民の会」へ、全産別の参加を呼びかけるとともに、消費者団体やNPOにも参加を呼びかけ、生産者と消費者を結びつける体制・取り組みを強化します。
また、地域における「労・農・市民組織」の現状把握と課題を整理し、未設置の地域においては、地域「労・農・市民組織」の設立を働きかけ、「道民の会」と地域の運動が連動することが出来るよう、体制を整備し取り組みを強化します。
A 健全な水循環を確立するために、水を公共財として位置付けた「水基本法」の制定に努めます。また、より負荷の少ない『洗剤』の利用促進を積極的にすすめる統一した取り組みを目指します。
B 飢餓と貧困への支援として実施されてきた「アジア・アフリカ支援米運動」は、飢餓と貧困が最大の人権侵害・人間への脅威であるという視点に立ち取り組んできました。脅威を解決する「人間の安全保障」を確立するためにも、支援米を送るだけではなく、植林や灌漑施設の整備や農業教育など「将来への支援」のためにアジア・アフリカ地域で活動するNGOとの連携をはかり、根本的な飢餓・貧困等の解消に向けた活動を支援する取り組みを実施します。
C WTO農業交渉及び日豪EPA交渉の交渉経過を見守りながら、本道の農業・農村をはじめ地域経済や雇用に打撃を与えることのないよう、食・みどり・水を守る道民の会とも連携を図りながら取り組みます。
【継続課題】
1.平和・軍縮
@ あらゆる国の核実験に反対する取り組みを強化します。臨界前核実験に対しては、領事館に対して中止を求めるとともに、実施されたときには抗議の取り組みを実施します。
A 非核3原則の法制化を粘り強く求めるとともに、道内の各市町村における非核平和都市宣言採択について、未採択の自治体に採択を働きかけることとします。
さらに、市町村の合併により新たな採択が必要となることから、非核自治体宣言を決議する自治体が減ることのないよう取り組みを強めます。
B 北海道の矢臼別演習場を含む国内5箇所で分散実施されている在沖縄米軍の実弾移転演習、及び、世界的な米軍再編に伴う在日米軍の再編に関する在沖縄海兵隊の一部本土分散移転は、沖縄の基地負担軽減のためとされています。しかし、「在日米軍の整理・縮小」に結びつくものではなく、むしろ「危険の地方分散・拡大・固定化」となっていることから引き続き民主党や市民団体と連携して反対する取り組みをします。
沖縄に代表される米軍基地負担軽減の妨げともなっている「日米地位協定」の抜本的な改定に向け、連合中央の改定案をもとに取り組みを進めます。
C 新ガイドライン以降、「友好・親善」との名目で頻繁に訪れる核搭載疑惑のある軍艦の寄港及び軍用機の民間港や空港の利用に対し、地元と連携し反対行動に取り組んでいきます。
D 2004年6月に成立した国民保護法に基づき、各省庁と都道府県・市町村が策定する「国民保護計画」及び指定公共機関が作成する「国民保護業務計画」について、基本的人権、思想・良心の自由や表現の自由など、憲法で保障される国民の権利が、いかなる事態にあっても保障されるよう、具体的計画の作成に対する取り組みを進めていきます。そのため、連合北海道内に設置した「国民保護法制連絡協議会」による学習・情報の共有などにより、道・市町村が策定する「国民保護計画」、指定(地方)公共機関が策定する「国民保護業務計画」について、指定(地方)公共機関で働く組合員の安全確保、指定(地方)公共機関の自主性が尊重されるよう取り組みを進め、指定(地方)公共機関である法人を組織する該当産別においても労使協議を基本に取り組むことを求めていきます。
E 政府は、国連「越境組織犯罪防止条約」を国内法化するためとして、「共謀罪」の新設を柱とする「犯罪の国際化及び組織化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」の成立を目指しています。
しかし、この法案は条約が適用範囲としている要件の範囲を著しく超え、市民団体・労働組合など全ての団体を対象に、国際的犯罪とは関係のない500を超える広範な行為について「話し合っただけで処罰の対象」とする「共謀罪」を新設しようとするものです。
市民の思想や言論・表現、内心の自由を侵す「共謀罪」の新設に強く反対し、国連条約批准のためにやむをえないのであれば、同条約の目的に従い、対象を「国際的な組織犯罪」のみに限定するよう強く働きかけていきます。
F 「平和行動 in 沖縄」に積極的に参加するとともに、独自企画による「沖縄地上戦」「米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の見直し」などの現地学習会を開催するなど、各地協での取り組みを拡大するために地域からの参加を重視し、内容・参加人数も拡充して取り組むこととします。
G 「北方領土問題対策協会」(北対協)主催の「ビザなし交流」は、当該の地方連合として北方領土返還運動の意義など、全体の学習を深めるため参加する方向で検討します。なお、「平和行動 in根室」については積極的に参加します。
H イラクへの航空自衛隊が派遣を継続しています。完全撤退に向け多くの市民団体とも連携した取り組みを継続してすすめていきます。また、イラク国民自らの手による復興を求めていきます。
I 直面しているテロ特措法延長については反対します。連合北海道は、国連を中心とする国際社会がテロ根絶を目指す闘いの中で、日本の果たすべき役割については軍事以外の活動を最重視して取り組むべきものと考えています。与党が成立をめざす新法など今後の対応については、情報公開・文民統制・憲法との整合性を基本とします。
J 「全道戦没者遺族大会」への知事出席については、宗教的色彩が強いことは明白であり、憲法が定める政教分離の原則に反する疑いが極めて高いことから、知事出席に反対要請・打電行動などの取り組みを進めるとともに、「遺族会」と「遺族」を区別し「北海道戦没者追悼式(例年9月 道立総合体育センターで開催)」での知事感謝状の贈呈など、政治と宗教との関係がない場所での表彰を求めていきます。
2.教育課題の取り組み
@ 「連合北海道 教育を考える対策委員会」が主催する、教育現場に働く教師の声を重視した「教育シンポジウム」などにより、「教育関連三法」の問題点や「いじめ」や「ゆとり教育」「学力調査問題」「新たな高校教育に関する指針」「新しい教育計画原案」などの直面する教育課題を、社会全体の問題としてとらえ、連合北海道全体の取り組みとして、各産別間の相互理解と最大限の一致点拡大をめざした統一行動を追求する取り組みを進めます。
A 連合および連合北海道の「要求と提言」又は方針に基づき、「私学助成の強化」「義務教育費国庫負担制度の堅持」「30人以下学級の実現」などの要求実現に向け、署名・集会・議会決議運動などに取り組みます。
B 「自由主義史観」と称し日本の戦争責任をも否定する「新しい歴史教科書をつくる会」による社会科教科書採択の動きなど、歴史教科書問題については、偏狭なナショナリズムの台頭を許さず、平和教育の徹底と、教育委員の選定のあり方など民主的な教科書採択をめざし、民主的・分権自治の教育をめざす教育政策を確立していきます。
C 「日の丸・君が代」については、「義務化・強制」には反対との立場であり、1999年の連合北海道組織・財政特別委員会第2回全体会議では、「今後、日の丸・君が代の教育や官公庁・自治体職場での強制が予想される。それに対する、反対運動、教職員、自治体職員等の処分に対する連合の対応について検討する必要がある」としています。今後も、論議を重ねながら、具体的取り組みを行う必要があります。教育現場にいたずらに混乱を持ち込む強制に対しても、歯止めをかける取り組みをします。
3.環境問題と循環型社会の実現、食の安全を求める取り組み
@ 地球温暖化や砂漠化、大気汚染と酸性雨問題、増えつづける廃棄物や環境ホルモン(内分泌かく乱物質)など、環境問題は極めて多岐にわたっています。連合エコライフ21運動による、「環境にやさしい10の生活の実践」と地域運動としての理解を求める取り組みを進めます。
A 森林の保全のために、持続可能な林業経営に向けて、道や各自治体に道産材の普及と林業活性化を求めていきます。また、林業活性化議員連盟との連携を強めると共に、間伐材を使ったクラフトの普及などに取り組みます。
B 食料基地としての北海道の未来に確信の持てる農業を目指し、北海道農民連盟との連携を強めていきます。
また、北海道農業・漁業を守るためにも、道産作物の地場消費が重要であり、「地産地消」運動を積極的に取り組みます。
C 生産現場から食卓まで責任ある体制の整備を求め、食の安全性を追及します。BSE対策については、検査基準の緩和を認めず、全頭検査の堅持など対策の徹底を求めていきます。米国産牛肉については日本と同様の検査体制を求め、安全が確保されない輸入や月齢基準の緩和について反対します。
また、遺伝子組み換え作物は、消費者・生産者の多くが、種子汚染や環境への影響に対して強い不安感を抱いており、道の「遺伝子組み換え作物の栽培に関する条例」にもとづく厳格な管理と十分な情報公開を求めるとともに、遺伝子組み換え食品の表示について消費者が十分にわかりやすいものとなるよう改善を求めていきます。
ミートホープ社の食肉偽装や石屋製菓の賞味期限改ざん問題など食の安全・安心の問題については、品質管理の徹底と偽装を許さない管理体制を求めていきます。
D 「植樹祭」については、04年の台風18号による倒木被害跡地である「支笏湖周辺の国有林内」において、05年より実施しています。今後も「連合の森」づくりのための植樹等、環境との深まりをもてる取り組みとして進めていきます。
E 「食・みどり・水を守る道民の会」の事務局を担うと共に、WTOや日豪EPA問題、政府要求をはじめ、大衆行動や署名及び地域街宣など多彩な取り組みを行います。
4.人権・共生の社会づくり、社会連帯
@ DPI北海道ブロック会議と連携し、今後も国際障がい者人権条約の制定やノーマライゼーションの社会づくり、バリア・フリーの実現、そして、障がい当事者主体の「障がい者自立支援法」制定などの取り組みを進めます。
A 北朝鮮による日本人拉致事件は、重大なる人権侵害であり、わが国の主権を侵害した国家犯罪です。政府は、毅然たる態度で問題の解決をはかるべきであり、拉致問題の解決無くして国交正常化は無いとの決意と働きかけをもとめていきます。
また、在日朝鮮人や朝鮮人学生に対するイジメなどの問題については、人権擁護の立場に立ち、許さないことと合わせ取り組んでいきます。
B 安心・安全の住まいとまちづくり、防災・減災の体制整備と子どもの安全を確保する地域づくりを関係する諸団体との交流を深めながら取り組みを行います。
C 様々な市民団体やNGO・NPOに対する連帯活動を強めると共に、連帯のあり方については、執行委員会で確認して支援行動など提起していきます。各種署名活動については、連合北海道としてのかかわり方を含め、執行委員会で確認し、タテ及びヨコなど取り組み方法を提起していきます。
D 連合発足当時からの労働組合の原則ともいうべき、「友愛」と「連帯」の基本でもある「連合愛のカンパ」は産別タテで取り組まれています。連合北海道としては直加盟組織に対し、積極的に取り組みます。
また、難病による緊急・渡航手術などの人道カンパ、また台風・地震などによる災害カンパについては、産別・地域の支援要請、連合中央の動向を確認し、執行委員会で確認して取り組むこととします。
E 「連合北海道ボランティア・サポートセンター」は、2007年度2年目を迎えていますがより充実した講座・実践を積み重ね、サポーターの育成を図ります。
5.全道メーデー
@ 第79回全道メーデーについては、引き続き、5月1日に開催することとし、内容については全道メーデー実行委員会などで協議していくこととします。今後の全道メーデーのあり方・実施日・具体的内容については、道民運動推進委員会で検討します。
A メーデータオルの組合員からの図案募集の周知徹底をはかり、全道メーデーへの理解と参加の取り組みを強めます。
B メーデーを国民の祝日とするよう、本部と連携して世論喚起などの活動に取り組みます。