その6
くらしの安心と社会的公正を確立する
政策・制度の実現をめざします。
【取り組みの総括と課題】
【格差是正、サラリーマン大増税に反対の取り組み】
 小泉政権は、廃止する条件であった「所得税の最高税率や利益を上げている法人税率の見直し」を行わないまま、サラリーマンへの定率減税【MEMO欄】を全廃する税制改悪を2006年3月に強行成立させました。その結果、昨年1月からの半減に続き、今年1月から所得税、6月からは住民税の定率減税が全廃となり、勤労者へ大幅な増税の負担が課せられました。
 連合北海道は、今年1月の所得税、そして6月の住民税の定率減税全廃に対しては参議院選挙の争点の一つとしても「全廃反対」の宣伝行動を組織してきました。とりわけ住民税における負担増に対する国民の怒りは大きく、市役所、町村役場に問い合わせが殺到する事態となりました。
 また、税制のみならず@社会保険料、医療費などの負担増、生活保護の給付削減、A生活保護以下で働いているワーキングプアの急増、生活出来ない最低賃金制度、B働く人の3分の1は正社員以外の働き方、パート・派遣労働者等の劣悪な待遇問題、C長時間労働によるメンタルヘルス問題、過労死・過労自殺、D夫婦世帯の所得水準の低下により子どもをつくれない、社会的子育て支援が進まず一層の少子化、等々、あらゆる分野で格差の拡大・固定化が深刻な問題が生み出しています。この改善に向けて国の法・制度改正を求める取り組みを積み上げてきましたが、大きな成果を得るまでには至っていません。
 連合北海道は、勤労者のみへの増税という不公平税制の改革、あらゆる格差是正に向けた法・制度改正、個別労使における闘いも含めて運動を強化しなければなりません。

【医療制度改悪反対の取り組み】
 連合北海道は、医療制度改革関連法案反対の取り組みを強めてきましたが、昨年6月、関連法案は強行成立させられました。
 今後、高齢者への負担増が強められてきますが、第1に、75歳以上の後期高齢者医療制度の創設については、道や各市町村の自治体に責任・運営が課せられ、必要な財源が国から措置されるのか危惧されることから、道や厚生労働省への「要求と提言」活動を行い、要請を強めてきました。第2に、社会的入院者をなくすための療養病床の大幅な廃止計画【MEMO欄】は、北海道の基幹産業が農林水産業という実態や積雪寒冷地という自然環境の条件などの地域実態を考慮し、「介護・入院難民」が発生することのないように、計画を立案する道に提言と要請をさらに強めていく必要があります。

【エネルギー・環境政策活動】
○ 北電は、泊原発において2010年を目途にプルサーマル計画(使用済み核燃料の再処理によるプルトニウムを利用したMOX燃料を利用して稼働させる)を実施する予定です。
 連合北海道は、エネルギー・環境政策委員会において、@日本のエネルギー政策と連合の考え、Aプルサーマル計画によるMOX燃料で原発稼働の安全性は確保されるのか、B欧米諸国等においても技術やコスト面について検討が進められている核燃料サイクル計画【MEMO欄】の是非、等について連合本部、北電、推進・反対の立場の学者を招いて学習講座を5回、また再処理工場等が立地する青森県六ヶ所村施設の視察見学も行ってきました。今後は、委員会として各産別間の意見交換を深め、この課題に対する一定のまとめを行う必要があります。
○ 泊原発3号機建設現場で今年7月3日から不審火が連続して6回発生しました。不審者による「放火の疑い」が濃厚であるとのマスコミ報道のなかで、警察当局の捜査や北電の再発防止策がとられてきました。連合北海道も最も安全対策を怠ってはならない原子力発電所において、再三にわたって火災が発生した事態は極めて遺憾であり、地元4町村の不安が解消されるように、北電にはさらに万全な対策、道にも再発防止のために北電への指導強化を求めてきました。
○ 全国の各電力会社においてデータ改ざんや原発事故隠しが相次ぎ、経済産業省は、2006年11月末に各電力会社に発電設備に係わる調査・点検を指示しました。その結果、北電においても今年2月21日、複数の火力発電設備のデータ改ざんが明らかになりました。さらに、3月30日に経済産業省へ提出した総点検の報告書には「伊達火力発電所での検知装置の不正改造(2004年時点で65基、その後40基は正常なものに交換されたが、現在も25基が設置されている)が隠蔽されていたことが明らかになりました。
 連合北海道は、企業の社会的責任とコンプライアンス(法令遵守)が問われているとの認識に立って、2月、4月に北電にデータ改ざんに対する抗議、原因究明と再発防止策を示すように強く求めてきました。
【地方分権改革、夕張市再建、自治体財政の充実・確立の取り組み】
○ 地方分権改革推進法【MEMO欄】の成立をうけて設置された地方分権改革推進委員会は、今後、地方自治体への権限移譲や国の義務付け・関与等の整理・合理化、国庫補助負担金や地方交付税、国と地方の税源配分等の財政上の措置のあり方等について検討します。この勧告を受けて政府は、「分権改革推進計画」をまとめ、2010年に分権の具体像を盛り込んだ「地方分権改革一括法」の制定をめざすことになっています。
 連合北海道は、これらの改革が地方の立場に立った地方分権改革となるように国・道等への「要求と提言」活動を更に強めなければならないと考えます。
○ 夕張市財政再建の基本的枠組み案【MEMO欄】は、大幅な人件費・職員削減により行政機能を維持することが出来るのか、さらに各事業の4割が廃止等により市民生活への大幅なサービス低下が懸念されます。その結果、産業の衰退や人口流失により再建そのものが不可能となる事態も否定できない厳しい内容のものでした。
 連合北海道は、この枠組み案がどのような影響を与えるのかについて関係機関(夕張市、市教育委員会、市立病院、ゆうてつバス、石炭の歴史村観光、夕張商工会議所、夕張農協)からの現地ヒアリングを実施してきました。そして、地方財政問題対策委員会において、@枠組み案と行政機能の影響、市民生活における問題点、A夕張市の実態をふまえた再建計画づくり、B国と道からの必要な支援策、等々について集約・整理しながら、とりわけ道に対して要請行動を行い、高齢者や子どものために必要な措置を強く求めてきました。
 しかし、大幅な給与削減や残業手当の不払いで市職員の退職が止まらず、今年7月末に新たに5人が退職し、再建計画上の2009年度までの削減目標「134名」を既に前倒しで達成したうえ、さらに2007年度内・末までに計37名が退職の意向を示していることから、再建の前に行政機能が維持できなくなるという危惧が強まっており、再建計画の見直しも不可避と思われます。
○ 空知管内など旧産炭地の自治体は、いずれも厳しい財政状況にあり、赤字再建団体への転落を避けるために必死な努力を続けていますが、国や道からの支援強化が不可欠です。
 地方公共団体財政再建法が成立し、報道機関(読売新聞)の道内の自治体への市町村長アンケートにおいて、財政再建法の対象となる可能性を示唆したのは45市町村となってます。その理由としては「公営事業会計の赤字」を挙げる自治体が目立ちます。特に病院事業会計は7割以上が赤字となる深刻な状況で、医師不足に加え、慢性的な赤字に悩む自治体の現状を反映しています。
 よって、新しい財政再建法が病院事業会計や国民健康保険会計など財政運営の如何にかかわらず構造的な赤字を抱える特別会計を算定の対象にしていることは検討すべき課題の一つであり、国にしっかり対応させる努力が必要です。
【道及び国への政策要求活動】
 連合北海道は、道議会議員団・国会議員団会議との連携と協力を得て、2007年度道予算(2006年12月)・2008年度政府予算(2007年8月)に対する政策・制度要求の実現をめざす「要求と提言」活動を進めてきました。
 道に対しては、重点課題について各部交渉、国に対しては、国会議員の参加も得て各省交渉(民主党道民連合議員会と合同交渉も含む)を実施してきました。特に、@季節労働者の雇用確保と冬期失業解消、A夕張市再建、自治体財政の確立に向けた地方税財源の充実策、B食料自給率の向上、日豪EPA交渉、C地球温暖化防止に向けた温室効果ガスの削減と森林の整備・保全、を重点課題に位置付けて実施してきました。継続した取り組みで成果を出していかなければなりません。
 また、今年度は各地協・地区連合も当該自治体への「要求と提言」活動を取り組むように「統一要求」を作成するなど努力してきています。
 































































































































 

【重点課題】
1.格差是正、不公平税制の改革
 連合は、格差の拡大・固定化が深刻になるなかで、格差社会の現実についての認識を深め、その問題点や解決策の共有化について社会全体に拡げていく活動を強化してきました。こうした状況のなかで連合を軸とする労働運動がその運動の先頭にたたなければ、多くの未組織の非正規労働者であるパート・派遣労働者等の支持を得ることはできないことを再確認すべきです。私たち連合組合員の職場に格差の実態が渦巻いているのです。
 連合北海道は、高額所得者の税率や利益を上げている法人税率を改正することなく、サラリーマンへの定率減税の廃止のみ強行する不公平税制の改革を求めます。さらに、生活できる水準の最低賃金制度の確立、すべてのパート労働者の均等待遇の法制化と労働者派遣法の見直し、公正なワークルールの確立、社会的子育て支援の推進、等々の法・制度改革に向けて民主党との連携を強化し、組織内での取り組みと道民世論喚起のための道民運動を強化します。

2.道の雇用創出に対する取り組み
 道は、北海道雇用創出基本計画【MEMO欄】で3年間で8万人の雇用創出目標を掲げ取り組んできました。平成17年度は、29,740人の雇用創出がはかられ、目標を達成出来たという報告(平成18年度はとりまとめ中)ですが、全道の就業者数は平成14年度が267万人平成17年度は266万人、そして平成18年度は263万人となっており、雇用が拡大されたという実績は感じられない状況が続いています。
 推察するには、パートなどの短期間の雇用形態など非正規労働者が増大しており失業者数を大きく減少させるには至っていないと思われます。
 連合北海道は、とりわけ@他の年齢層より失業率が高い若年労働者、A懸案である季節労働者の通年雇用化と生活確保、B地域経済の活性化による地域雇用対策、を重点にして、長期安定的で良質な雇用創出に向けた道の施策の推進を強く求めていきます。
 さらに、各地協(地区連合)は、地域の雇用現状や地域産業の実態を把握し、雇用創出のための政策課題について積極的に支庁・自治体への提言活動を実施します。

3.社会保障制度の抜本改革、安心の地域医療を確立する取り組み
@ 昨年、多くの反対の声を無視して医療制度改革関連法案が強行可決され、高齢者への負担増の施策が強いられてきています。
 そうした中で、a)来年4月から施行する75歳以上の後期高齢者医療
制度に関して、財政運営は道及び全市町村が加入する広域連合が実施、
保険料徴収するのは市町村と定められており、その運営のあり方や必要
とされる財源措置などの解決すべき課題について、またb)社会的入院者
をなくすための療養病床の大幅な廃止計画を立案するにあたって、「入
院・介護難民」が発生することのないように、道への要請と提言を強め
ていきます。
A 消えた年金記録問題の発覚により国民の年金制度への不信が高まるなかで、年金記録問題の早期解決、国民「皆年金・皆保険」制度の確立に向け、2008年度年金改革において基礎年金の税方式化などの年金制度改革、パート・派遣・有期契約労働者等への社会保険の完全適用、介護福祉サービスの充実など、連合本部の取り組みと連携し、社会保障制度の抜本改革の運動を強化していきます。
B 道は、2008年度から新たに開始する「北海道保健医療福祉計画」
の改定作業を進めています。
  「医師がいない」「過疎化で病院がなくなる」という地域医療の現実のなかで、財政難や医師不足に苦しむ道内の自治体病院の現状を直視して、中核となる病院に医師や医療機器を集約して市町村間の連携強化と役割分担をはかる「広域化・連携構想」【MEMO欄】について道は検討しています。
  連合北海道は、設置した「北海道保健医療福祉計画政策提言委員会」
(自治体病院労組、民間医療労組、社会福祉施設労組等で構成)おいて道の医療の広域化・連携構想や保健・福祉に関わる計画等について検討・協議し、積極的な提言活動を強めます。さらに、各地協においても「地域医療検討委員会」(仮称)を設置し、その管内の地域医療の充実に向けた政策課題等について明らかにし、支庁・関係自治体に要請していきます。

4.「炭鉱技術移転計画」の長期的推進・旧産炭地域対策、エネルギー・環境政策を充実させる取り組み
@ 釧路炭鉱(釧路コールマイン梶jは、「炭鉱技術移転5カ年計画」【MEMO欄】の受け皿炭鉱として位置付けられ成果をあげてきました。2007年度は事業が継続さていますが、2008年度以降も長期事業として推進されるように北海道石炭対策連絡会議に結集して国に求めていきます。また、旧産炭地域の各自治体は、厳しい財政運営を強いられ、「夕張市に劣らない行財政合理化」によって赤字再建団体を回避する努力を続けていますが、地域産業の振興や新たな産業の創出をいかにはかるかが問われています。道に対して新たな「産業振興方針」の充実と具体的施策、そして国からの支援策を強く求めていきます。
A 連合北海道は、昨年度、エネルギー・環境政策委員会において、a)日本のエネルギー政策、b)プルサーマル計画、c)核燃料サイクル計画の是非、等について講座を開催し、学習を深めてきました。今後、各課題について産別等の意見交換を深め、一定の考え方を整理していきます。
  同時に、地球温暖化防止に向けて地球環境を保全するために、エネルギー供給のあり方(消費エネルギーの石油依存体質からの脱却、自然エネルギー導入の積極的推進、原子力発電にどこまで依存していくべきか等々)についても検討を深めていきます。

5.地方分権改革、夕張市再建支援、自治体財政確立の取り組み
@ 今年4月からスタートした地方分権改革推進委員会では、行政コストの削減を優先する行政改革、財政再建のための分権改革の議論が先行し、国・地方の役割や税財源配分の見直しなど、地方自治の拡充のための分権改革とかけ離れた議論が展開されています。
  そして、5月末に取りまとめられた「地方分権改革推進にあたって基本的考え方−地方が主役の国づくり−」では、「基礎自治体のさらなる体制の充実強化のために市町村合併を推進し、基礎的自治体の完全自治体化を進め、道州制に移行」という大きな流れのなかに地方分権改革が位置付けられています。これは、国が進める行政コスト削減等を最優先とする自治体再編は、小さな単位である基礎自治体の意思・自治を優先するのではなく、「基礎自治体の都道府県化、都道府県の国化」を招くものであり、地方自治の本旨や地方分権的な視点からの議論が極めて不足していると言わざるを得ません。
  連合北海道は、自治体の機能と役割や本来的な道州制のあり方など地方の活性化をはかるための地方分権改革を進展させるために、国・道・市町村自治体への「要求と提言」活動を強めていきます。
A 夕張市は、今年4月から財政再建の道をスタートさせました。
  大幅な給与削減や残業手当の不払い等、将来への生活不安が募り、市職員の退職が続いており、再建の前に行政機能が維持できなくなるという危惧が強まっています。
  また、市庁舎のボイラーが老朽化で破損するなど想定外の事態も発生しており、予算がないため修復出来ない状態となっています。
  いずれにしても市職員の慢性的な時間外労働が続く中で、時間外手当支給や施設の補修費の計上など再建計画の見直しの検討や国や道の必要な支援策を強く求めていきます。
  また、夕張市の行政機能の回復や市民の自立や生活を支援するためにNPO法人「夕張市民自立・生活支援サポートセンター」(仮称)を立ち上げ、夕張市再建をサポートしていきます。
B 今年6月の通常国会で地方公共団体財政健全化法【MEMO欄】が成立しました。既存の財政再建制度では特別会計の赤字や将来債務などを含む普通会計の実質的な債務が捉えられない公会計上の限界がありましたが、新たな制度ではこうした問題点を踏まえ財政状況をより的確に捉えて注意を促す仕組みについては前進したと言えます。
  しかし、a)従来の財政再建制度は申請方式ですが、新制度では財政指標に基づき適用されるため自己決定権はない、b)財政規模、財政力等による債務負担能力の差が考慮されない、c)国民健康保険会計や老人保健医療会計のように、財政運営の如何にかかわらず構造的な赤字を抱える特別会計を算定の対象にしている。d)政府会計と企業会計の会計原則が異なる赤字を連結にしている。等々の検討・是正されるべき課題があります。道・各自治体と連携しながら国への是正措置を求めていきます。


【継続課題】
1.国の雇用創出に対する取り組み
 北海道は依然として厳しい雇用情勢が続いています。
 今年の通常国会において雇用情勢が厳しい地域及び雇用創造に向けた市町村の意欲が高い地域に支援を重点化するために「地域雇用開発促進法改正案」が成立し、2005年度から実施されてきた地域提案型雇用創出促進事業(パッケージ事業)に代わって地域雇用創造推進事業(新パッケージ事業)の募集が開始されています。
 パッケージ事業は、道内で21地域が選定され10億円を超える事業が国の委託を受けて実施されてきました。新パッケージ事業については既に4地域が選定されています。今後、希望する自治体・地域の要望に応えるように道及び厚労省に求めていきます。

2.泊原発防災訓練及び地域防災体制の充実
 今年は、10月30日に2007年度の泊原発防災訓練が実施されます。連合北海道として調査団を派遣し、調査活動で得た防災訓練の改善課題や住民アンケートの結果を活用し、原発の安全運転や地元4町村の地域原子力防災体制の充実のための課題について、道及び地元4町村等に求めていきます。
 今年度は、特に昨年の総括からの課題として@マニュアル依存を克服し防災従事者が主体性のある実践的な訓練とする、A住民の防災意識の高揚のために多数の住民が参加するように想定訓練を積極的に取り入れる等、を課題とします。

3.幌延深地層研究センター事業の監視活動
 日本原子力研究開発機構の幌延深地層研究センターは、PR館も今年6月末に完成・公開され、そして地下の掘削作業も本格的に進むなど研究事業も進展しています。
 連合北海道は、「道・幌延町・原研機構の三者の深地層研究に関する協定書」や「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」が遵守されるように、さらに研究事業により発生する環境問題の情報公開と解決策が徹底されるように事業説明会の開催や監視活動を継続して取り組みます。
 一方、経産省は、原発から出る高レベル放射性廃棄物の「最終処分場選定の新しい方法」【MEMO欄】を導入する方針です。道は放射性廃棄物の道内持ち込みを拒否する条例を制定しています。しかし、経産省は「道内自治体も申し入れ対象から排除しない」としています。連合北海道は、道条例を無視して、市町村が調査を押し付けられることがないように取り組みを強化します。

4.道財政再建、支庁制度改革、道警不正問題の取り組み
@ 道の財政再建計画において1800億円の赤字対策として人件費削減をはじめとする2年間の集中対策が進められてきましたが、1年が経過し、財政収支見通しや中長期収支試算が第2回定例道議会に報告されたが、a)2007年度において100億円の収支不足、b)2008年度470億円、それ以降も500〜600億円の収支不足が見込まれる、というものです。道は、1999年の非常事態宣言以降、財政再建計画をたて実施してきましたが、すべて破綻しています。今回も初年度が終わった段階で収支不足となっています。
  連合北海道が指摘してきたように道、道議会だけでは再建計画の作成進行管理はむずかしいのではないか、道庁外の専門家や道民各層代表も入れて、厳しい再建計画の再検討が必要なのではないかと思われます。
  連合北海道・道財政問題対策委員会での検討・討議を深め、道議会民主党道民連合との連携もはかりながら、道や北海道行財政改革推進会議への「要求と提言」活動を強めていきます。
A 道は当初2007年度に支庁設置条例の改正、2008年度から支庁再編を行う予定でしたが、撤退が想定される支庁所在地の市町を中心に地域からの反発・要望が続くなかで調整が難航し、9月10日の3定道議会の前日の特別委員会に「支庁制度改革の検討状況」【MEMO欄】を報告しました。この報告案は、単なる道の機構としての支庁の統合と職員削減であり、コスト削減のための行財政改革合理化にすぎません。
  支庁改革は、市町村とともに地域づくりを進めるためにどのような役割と機能を果たすのかという視点が問われます。単なる総合出先機関ではなく、厳しい財政難に苦しむ市町村とともに疲弊する医療・福祉など道民生活の安心・安全を確保し、総合的な地域づくりの中での役割を明確にすべきです。連合北海道は、地域・市町村との合意無き一方的な改革案には反対し、地域づくりに果たせる支庁制度改革を求めます。
B 道警不正問題については、不正問題を許してきた「知事の予算監督権の行使」や「公安委員会のチェツク機能拡充」の課題を実現する必要性について道民世論を喚起するために、「道民の会」とも連携しながら道民運動を取り組みます。

5.郵政民営化による郵便事業の公共性を維持させる取り組み
 郵政民営化は、2007年10月からスタートしました。
 連合北海道は、国民のための郵政事業の目的達成のためには「郵便局全国ネットワーク維持」、「事業の社会性・公共性の維持」等が損なわれないように監視・検証するとともに、郵政労組と連携をはかりながら、国民・利用者の声が反映されるように関係機関への提言活動を強めます。

6.道及び国への政策・制度要求の取り組み
@ 連合北海道は、2008年度道予算については、勤労道民の立場にたった「要求と提言」を掲げ、道議会議員団との協力・連携をはかりながら、政策要求の実現をめざします。
  具体的には、2007年度の取り組み総括や産別・地協からのヒアリング及びアンケート調査を集約して、政策委員会で検討・討議し、11下旬までに「要求と提言」をとりまとめ、道に提出します。12月から来年1月にかけて交渉(重点)、決着をめざします。
A 各地協・地区連合においても当該自治体(予算)への「要求と提言」活動が取り組まれるように「統一要求・提言」の課題を提起します。
  その重点には、a)地域経済の活性化と雇用創出、b)パート労働者をはじめ非正規労働者の雇用安定と均等待遇、c)地域医療の確保、d)介護サービスの充実と介護労働者の待遇改善、等とします。各地協間の取り組みの実情や課題等が交流できるように政策委員会に地協担当者会議を設置します。
B 2009年度の政府予算への政策・制度要求活動については、北海道に係わる重点課題について政策委員会での議論を経て、来年7月に関係省庁交渉、予算確定期における重点交渉を配置し、政策実現に取り組みます。
C 道・国への「要求と提言」作成にあたって、課題に応じて関係産別等からの協力もいただき、政策委員会の事務局機能の充実・強化をはかります。さらに、各産別が抱える課題等について、全体の共通認識を高め合うために「産別交流・政策討論集会」(仮称)の開催に努力します。
 



定率減税
1999年度税制改正において家計の税負担を軽減する目的で導入された恒久的な減税のこと。
所得税については税額20%相当(25万円を限度)が、個人住民税では税額の15%相当(4万円を限度)が控除されるというもの。






□療養病床の廃止
医療制度改革に伴い全国で38万床(医療型25万床、介護型13万床)の療養病床を2012年3月までに介護型を廃止し医療型を15万床に縮小して、治療の必要度の高い人を老人保健施設などの介護施設へ受け入れる政策。道内では療養病床が3万床(医療型約2万1000床、介護型約9000床)あり、道は今秋をめどに地域指針をまとめる予定。

核燃料サイクル計画とは
青森県六ヶ所村再処理工場は現在、アクティブ試験が続けられており2007年11月から操業開始予定、MOX燃料工場は2007年12末月着工、2012年10月操業という予定になっています。





地方分権改革推進法
地方6団体からの強い働きかけのなかで2006年12月8日に成立しました。この推進法は、国と地方の役割を明確にし、地方の自主性・自立性を高めることにより、地方自治体が自らの判断と責任において行政運営することを基本理念に掲げており、3年間の時限法として制定されました。そして、今年4月に「地方分権改革推進委員会」が内閣府に設置されました。

夕張市再建の基本的枠組み案夕張市は、昨年11月14日に提起しました。その概要は、「約360億円の赤字を『約20年程度』で返還していくために、市の施設の統廃合と大半の休止、小・中学校の統廃合を進め、各1校にする。歳入増のために市税やゴミ有料化、下水道使用料を全国最高水準に引き上げ、市民の負担増を求める。さらに、職員給与を約3割削減、退職金も4分の1まで段階的にらし、現在270名(公営企業除く)の職員数を3年間で半減する。」という



















北海道雇用創出基本計画
実施計画は平成17〜19年3年間で8万人(各年度目標として平成17年度28,000人、18年度27,000人、19年度25,000人)の雇創出目標を掲げてきました。
平成17年度は、29,740人の雇用創出がはかられたという報告(平成 8年度はとりまとめ中)。
















「広域化・連
携構想」
その概要は、「道
内を30区域に
分け、各区域ご
とに200床以
の規模で高度医療や手術をう中核病院を設置。その他の病院は、初期診療を担う診療所などに役割分担、地域の医療体制の維持をめざす」というもの。

炭鉱技術移転5カ年計画
2002〜2006年
の5年間、太平
洋炭鉱閉山後、
釧路炭鉱を設立
し、釧路地域の
経済・雇用の安
定、中国・ベト
ナム等のアジア
諸国の炭鉱労働
者の採炭・保安
技術等の習得、
国内炭の供給に
寄与するための
事業計画。「5
カ年計画」は2
006度で終了したが、今年度は事業が継続
されている。
















地方公共団体財政健全化法
同制度は普通会
計の赤字要因を
新たな指標を含
む4つの指標で
とらえ、早期是正段階と再生段
階の2段階で財
政再建させるも
のです。今後の
予定では200
7年度決算より
4つの財政指標
の公表義務が課
され、正式には
2008年度決算より制度が適
用されます。な
お、2段階それ
ぞれの具体的な
基準は2007
年秋の政省令に
より定められま
す。



























最終処分場選定の新しい方法従来の「公募方式」に加え、「経済産業省が総合的に判断」して、誘致に意欲を示す自治体の中から候補地を選び、初期の文献調査を申し入れる方式。どのような基準で調査対象の自治体を選ぶが示していない。文献調査に応じる市町村に年間10億円が交付されるため、財政が厳しい市町村は処分場の調査を押し付けられる懸念がぬぐえない。

支庁制度改革の検討状況
新しい支庁の所管区域は、新しい総合計画原案の「連携地域」(6圏域)を基本とするが、道央地域の取り扱いは「さらに検討が必要」とされた。新しい支庁の名称は「総合振興局」とし、支庁所在地が変更となる地域には「振興局」を置く。振興局の機能は、現在の支庁が担っている機能のうち、地域住民に身近な行政サービスを引き続き地域で担い、その業務は現行支庁の全体業務の「概ね6割に相当」であり、地域への影響の緩和等の観点から事務の集約(職員の減少)は段階的に行う、というもの。2009年度からの実施を予定。





 
 
 
 
 
 
 
 
総括 その1 税制改革、格差社会の是正の取り組み
 定率減税の全廃など不公平税制のみならず@社会保険料、医療費などの負担増、生活保護の給付削減、A生活保護以下で働いているワーキングプアの急増、生活出来ない最低賃金制度、B働く人の3分の1は正社員以外の働き方、パート・派遣労働者等の劣悪な待遇問題、C長時間労働によるメンタルヘルス問題、過労死・過労自殺、D夫婦世帯の所得水準の低下により子どもをつくれない、社会的子育て支援が進まず一層の少子化、等々、あらゆる分野で格差の拡大・固定化が深刻な問題が生み出しています。この改善に向けて国の法・制度改正を求める取り組みを積み上げてきましたが、衆議院での圧倒的多数を占める自公政権のもとで大きな成果を得るまでには至っていません。
 
総括 その2 医療制度改悪反対の取り組み
 医療制度改革関連法案は、昨年6月、強行成立させられました。
 今後、高齢者への負担増が強められてきますが、第1に、75歳以上の後期高齢者医療制度の創設については、道や各市町村の自治体に責任・運営が課せられ、必要な財源が国から措置されるのか危惧されることから、道や厚生労働省への要請を強めてきました。第2に、社会的入院者をなくすための療養病床の大幅な廃止計画【MEMO欄】は、北海道の地域実態を考慮し、「介護・入院難民」が発生することのないように、計画を立案する道に提言と要請を行ってきました。
 
総括 その3 エネルギー・環境政策活動
 北電は、泊原発において2010年を目途にプルサーマル計画を実施する予定です。
 エネルギー・環境政策委員会において、@日本のエネルギー政策と連合の考え、AMOX燃料による原発稼働による安全性は確保されるのか、B核燃料サイクル計画【MEMO欄】の是非、等について連合本部、北電、推進・反対の立場の学者を招いて学習講座を5回、また再処理工場等が立地する青森県六ヶ所村施設の視察見学も行ってきました。この課題に対する一定のまとめを行う必要があります。
 泊原発3号機建設現場で今年7月3日から不審火が連続して6回発生、さらに今年2月21日には複数の火力発電設備のデータ改ざん、さらに、3月30日に「伊達火力発電所での検知装置の不正改造の隠蔽」について明らかになりました。
 連合北海道は、企業の社会的責任とコンプライアンス(法例遵守)が問われているとの認識に立って、北電に不審火やデータ改ざんに対する抗議、原因究明と再発防止策を強く求めてきました。
 
総括 その4 地方分権改革、夕張市再建・自治体財政の確立
 昨年12月8日に地方分権改革推進法が成立し、内閣府に設置された推進委員会は、地方自治体への権限移譲や国の義務付け・関与等の整理・合理化、国庫補助負担金や地方交付税、国と地方の税源配分等の財政上の措置のあり方等について検討します。この勧告を受けて政府は、「分権改革推進計画」をまとめ、2010年に分権の具体像を盛り込んだ「地方分権改革一括法」の制定をめざすことになっています。
 連合北海道は、これらの改革が地方の立場に立った地方分権改革となるように国・道等への「要求と提言」活動が問われてきます。
 夕張市財政再建については再建の基本的枠組み案は、行政機能を維持することが出来るのか、さらに市民生活への大幅なサービス低下が懸念され、その結果、産業の衰退や人口流失により再建そのものが不可能となる事態も否定できない厳しい内容でした。
 連合北海道は、この枠組み案がどのような影響を与えるのかについて関係機関からの現地ヒアリングを実施し、夕張市の実態をふまえた再建計画づくり、国と道からの必要な支援策について整理しながら、とりわけ道に対して要請行動を行い、高齢者や子どものために必要な措置を強く求めてきました。しかし、今日、市職員の退職が止まらず、再建の前に行政機能が維持できなくなるという危惧が強まっており、再建計画の見直しが求められています。
 地方公共団体財政再建法が6月に成立し、報道機関のアンケートに財政再建法の対象となる可能性を示唆したのは45市町村となってます。その理由としては「公営事業会計の赤字」を挙げており、特に病院事業会計は7割以上が赤字となる深刻な状況で、医師不足に加え、慢性的な赤字に悩む自治体の現状を反映しています。
 2008年度決算から対象とする新しい財政再建法が病院事業会計や国民健康保険会計など財政運営の如何にかかわらず構造的な赤字を抱える特別会計を算定の対象にしていることは検討すべき課題であり、国にしっかり対応させる努力が必要です。
 
重点課題
その1 税制改革、格差是正に向けた政策・制度の取り組み
 サラリーマンへの定率減税の廃止のみ強行する不公平税制の改革を求めます。さらに、生活できる水準の最低賃金制度の確立、すべてのパート労働者の均等待遇の法制化と労働者派遣法の見直し、公正なワークルールの確立、社会的子育て支援の推進、等々の法・制度改革に向けて民主党との連携を強化し、組織内での意思確認の取り組みと道民世論喚起のための道民運動を強化します。
 
その2 社会保障制度の抜本改革、地域医療の確保
 消えた年金記録問題の発覚により国民の年金制度への不信が高まるなかで、年金記録問題の早期解決、2008年度年金改革において基礎年金の税方式化などの年金制度改革、パート・派遣・有期契約労働者等への社会保険の完全適用、介護福祉サービスの充実など、連合本部の取り組みと連携し、社会保障制度の抜本改革の運動を強化していきます。
 道は、2008年度から新たに開始する「北海道保健医療福祉計画」の改定作業を進めています。
 北海道は「医師がいない」「過疎化で病院がなくなる」という地域医療の現実を抱え、財政難や医師不足に苦しむ道内の自治体病院の現状を直視して、中核となる病院に医師や医療機器を集約して市町村間の連携強化と役割分担をはかる「広域化・連携構想」について道は検討しています。
  連合北海道は、設置した「北海道保健医療福祉計画政策提言委員会」において医療の広域化・連携構想や保健・福祉に関わる計画等について検討・協議し、積極的な提言活動を強めます。さらに、各地協においても「地域医療検討委員会」(仮称)を設置し、その管内の地域医療の充実に向けた政策課題等について明らかにし、支庁・関係自治体に要請していきます。
 
その3 夕張市再建への支援
 市職員の慢性的な時間外労働が続く中で、時間外手当支給や施設の補修費の計上など再建計画の見直しが一部認められましたが、今後も必要な国や道の支援策を強く求めていきます。また、夕張市の行政機能の回復や市民の自立や生活を支援するためにNPO法人「夕張市民自立・生活支援サポートセンター」(仮称)を立ち上げ、夕張市再建をサポートしていきます。
 
継続課題
その1 幌延深地層研究センター
 経産省は、原発から出る高レベル放射性廃棄物の「最終処分場選定の新しい方法」を導入する方針です。道は放射性廃棄物の道内持ち込みを拒否する条例を制定しています。しかし、経産省は「道内自治体も申し入れ対象から排除しない」としています。連合北海道は、道条例を無視して、市町村が調査を押し付けられることがないように取り組みを強化します。
 
その2 道財政再建
 道の財政再建計画において1800億円の赤字対策として人件費削減をはじめとする2年間の集中対策が進められてきましたが、1年が経過し、財政収支見通しや中長期収支試算が第2回定例道議会に報告されましたが、a)2007年度において100億円の収支不足、b)2008年度470億円、それ以降も500〜600億円の収支不足が見込まれる、というものです。
 道は、1999年の非常事態宣言以降、財政再建計画がたて実施されてきましたが、すべて破綻しています。今回も初年度が終わった段階で収支不足となっています。財政再建計画がたてられ実施されてきましたが、すべて破綻しています。今回も初年度が終わった段階で収支不足となっています。
 厳しい再建計画の再検討が必要なのではないかと思われます。
 連合北海道は道財政問題対策委員会での検討・討議を深め、道議会民主党道民連合との連携もはかりながら、道や北海道行財政改革推進会議への「要求と提言」活動を強めていきます。