その1
組織拡大を積極的に推進するとともに
労働者連帯システムの強化に取り組みます
【取り組みの総括と課題】
@ 厚生労働省が毎年6月末現在で実施している「労働組合基礎調査」によると、平成18年の労働組合の推定組織率(雇用労働者に占める労働組合員の割合)は、全国では前年比0.5ポイント低下して18.2%に、また、最大限焦点を当ててきたパート労働者の組織率は1ポイント上昇したものの4.3% にとどまりました。
また、北海道では推定組織率は18.0%(※)で前年に比べ0.3ポイント下回り、1983年以降低下傾向が続いています。(※ 国勢調査結果により修正)
A 前年に比べると本道では、労働組合数では144組合減少し3,899組合、労働組合員数は368,657人で8,123人減少、そのうち連合北海道は269,994人となっています。
組合員数を産業別に前年と対比すると、飲食店・宿泊業や卸売り・小売り業で増加しましたが、建設業や公務の減少が著しく、企業規模別では、規模500人以上では増加しましたが、中小零細企業では減少しています。
また、パートタイム労働者の組合員数は、36,159人で前年より、15%増加(4,727人)し、労働組合員数全体の9.8%となりました。
B この間、連合本部では、社会的影響力のある労働運動の展開のため、推定組織率20%の回復を目指し、本年9月までに新たに60万人(内、パート労働者12万人)の組織拡大目標を掲げる第3次アクションプラン21を策定、産別・地方組織一丸で取り組んできました。
また、連合北海道も地域目標を2年間で2万人の組織化目標を掲げ取り組むことと
しました。その結果、連合全体では2007年9月末現在13,975人(内パート労働者10,959人)の組織拡大を達成しました。
C しかし、こうした組織拡大の取り組みによる一定の成果にもかかわらず、組織率の回復にいたっておりません。組織拡大を上回る勢いで組合員の減少が続いています。
その第一の分野は民間企業の企業再編・分社化や公務部門の財政問題を背景にした公務労働者の削減と業務の民間委託化に伴う組合員の減少です。分社化された従業員や委託先に対する組織化の取り組みは十分とは言えません。
第二の組織減少の分野は正規社員(職員)の減少、非正規社員の増大と非組合員の増加です。平成16年の道内の事業所統計調査によると、雇用者数に占める正社員(職員)の割合は56%まで低下しており、有期雇用・間接雇用を特徴とするパート契約・派遣・嘱託・アルバイトなどの非正規労働者が増加の一途をたどっています。「雇用形態の区別なく、全ての従業員を労働組合に結集しよう」と連合運動で非正規労働者の組織化を重視してきましたが、その取り組みは労働組合全体のものとなっていません。
D こうした連合運動の足下における組織の組織化の現状を踏まえ、各産別、単組が関連中小企業労働者や企業内の非正規労働者の組織化を図ることが極めて重要です。
そのため、連合北海道は引き続き、産別、単組地域段階の組織化を担うオルガナイザーの育成研修を実施するとともに、ワーキングプアの多くを占める非正規労働者を支援し連帯していくための取り組みや、地域中小労働者を結集する取り組みを強化することとします。 |
【重点課題】
1.非正規労働センター(仮称)の新設について
@ 企業による総人件費抑制を目的とした正規労働者から非正規労働者の置き換えは、政府の雇用・労働分野の規制緩和政策により加速されています。
その結果、道内では雇用労働者に占める正規社員(職員)の割合は6割を割り56%となり、約80万人を超える労働者がパート・契約・嘱託派遣・臨時等の雇用形態で働いています。
こうした雇用形態で働く非正規労働者の処遇の特徴は、第一に有期雇用であること、第二に低賃金で制度的な昇給はなく、退職金制度やボーナスもないこと、第三に社会保険・労働保険・有給休暇・育児・介護休業制度から除外されている方が多く、また使用者に対し、交渉できない未組織労働者が大部分を占めています。
連合北海道はワーキングプアの増加、格差社会をもたらした最大の要因は、こうした 非正規労働者の増大にあることを踏まえ、@無期雇用の原則化・有期雇用の許可限定 A 雇用形態に関わらない均等待遇、「同一価値労働同一賃金」の原則確立など処遇改善に向け法整備に取り組むとともに、非正規労働者対応の専門の部署「非正規労働センター」(仮称)を設置し、組織化・組合づくり、パート・契約・嘱託・請負・派遣労働者への情報提供、社会的キャンペーンの展開、労働相談、共済サービスの提供、労働条件改善のための交渉など、専従者を配置し、総合支援体制を確立します。
この「非正規労働センター」は、札幌労働相談センターと統合する方向で検討し、有機的連携を図ります。
また「非正規労働センター」の運動、事業運営に際しては、弁護士、社会保険労務士、税理士団体との連携や各種行政機関や使用者団体にも協力を求めていきます。
2.組織拡大目標の設定と集中行動月間の展開について
@ 連合本部は、連合結成20周年を大きな節目と捉え、2010年度までに連合組合員の純増を達成し、組織率20%の回復、「700万人連合」を目指すため「組合づくり・第4次アクションプラン21」を作成しています。
A 北海道における組織拡大目標についても各構成組織人員の10%増を目安に組織拡大目標を設定し、構成組織・地協・地区連合が一体となって取り組むこととします。具体的には、組織拡大推進特別委員会で確認し、取り組むこととします。
B これまで年2回(6月・11月)、組織拡大集中行動月間を設定し、ターゲット企業や未加盟労組へのオルグ活動を展開してきましたが、このほか、春闘課題の意見交換オルグ(1〜3月)・メーデー参加拡大オルグ(4月)や、労働者自主福祉運動オルグなどを設定し、通年的なオルグ体制を実施し、未組織企業の組織化や産別結集を図っていきます。
【継続課題】
1.労働者教育とオルガナイザーの育成・研修について
@ 全国の労働基準監督署への平成18年度の総合労働相談件数は、前年比4.2%増の94万6,000件に昇っています。(本道36,219件)
一方、連合総研「第13回勤労者短観」(2007年4月実施)の社会保障や労働法に関する制度の認知度調査によると、最低賃金制度は66%、割り増し賃金制度は53%、育児休業制度は45%であり、誰でも労働組合を作ることができる(団結権の認知度)は29%という回答結果で、若年層・女性・非正規社員・労働組合のない・年収の低い層ほど認知度が低い状況にあります。
A このような、急増する労働相談と労働者の権利の低認知度は、相関関係にあり、単な る対処療法、びほう策では解消できません。
働く価値と働く者の権利を知ることは、特に若年層にとって重要であり、中学・高校 ・大学等などにおいて積極的に取り組む必要があります。
B 連合北海道は本年10月に設立認可されたNPO法人「職場の権利教育ネットワーク」と連携し、a)就職担当教職員に対する研修 b)就職内定者に対する講習の実施など権利学習、トラブル解決法の理解促進につとめます。
また、組織拡大のオルガナイザーを育成するユニオンスクールについてはNPO法人「職場の権利教育ネットワーク」に委託し、継続実施することとします。
2.資本系列・関連企業・委託先の組織化について
@ この間、各企業は競争力を拡大するため、企業合併とあわせてコア部分の業務を分社化するなど会社組織を再編していますが、労働組合の組織化が立ち遅れ、組織率の低下を招いています。
また、官公庁においては地方財政危機を背景に、公務員の労働条件の引き下げ提案と合わせて事業の民間委託、指定管理者制度の導入を図ってきていますが、この分野でも組織化の取り組みが遅れています。
A こうした現状を踏まえ、連合北海道は、各産別の組織化対象リストに、同一資本系列・連結決算対象企業や、委託先企業等の組織化を最優先とするよう求めるとともに、組織化事例研修会を開催するなど組織拡大を支援します。
3.地域ユニオンによる組織化について
@ 全国では企業規模100人未満で働く労働者が、全雇用者数の半数近い約2,600万人にも昇っています。しかし、その組合員数は28万人・組織率は1.1%にとどまっています。本道でも企業規模100人未満の組合員数は16,431人にとどまっています。
A 連合本部は、このような中小企業における組織化状況を改善するため、a)個人や100人未満の単組の加盟 b)加盟組合費は産別組合費に準ずる額とする c)地方連合会への権利・義務は地方構成組織と同様の扱いとするなどを骨格とした、地方連合会や地協が主体となった「地域ユニオンを積極的に組織化する」ことを提起しています。
B 本道では現在13地協段階に約1,700名の地域ユニオン組合員を組織化し、中小零細企業労働者が結集していますが、引き続き地域ユニオンの組織拡大を図るため、a)直加盟組合の地域ユニオンへの移行 b)地場中小労働者の労働相談を通じた組織拡大に取り組むとともに、組合費・加盟費の到達率の設定など財政基礎の確立や活動強化に向け取り組むこととします。