第6号議案
     連合北海道「第3次男女平等参画推進計画」(案)
 
一、はじめに
 
1.連合北海道は、これまでの男女平等参画推進計画(◇第1次「R・H.レディス・ス テップアップ・プラン(1993年2月)」◇第2次「連合北海道男女平等参画推進計 画(2001年11月〜2006年10月)」の期間が終了し、2006年11月か  ら新たな「計画期間」に入ります。
  連合本部においては、10月4日の第48回中央委員会で、2006年11月から 2012年10月までの「第3次男女平等参画推進計画」が提案され確認されました。 そして、社会のあらゆる分野における男女平等の実現のため、雇用、就労形態間、男 女間等の均等待遇、男女の人権が尊重され、全ての分野で対等なパートナーとして平 等に参画でき活動できる社会づくりに取り組むこととしています。
 
2.連合北海道は、これまでの推進計画を検証し連合本部方針を受けながら、以下のと おり新しい推進計画を策定して男女平等参画を積極的に推進します。
  新しい推進計画については、連合北海道「第3次男女平等参画推進計画」(以下、「第 3次推進計画」)とし、連合本部の第3次男女平等参画推進計画と名称を統一しますが、 この推進計画は、1993年以降、連合北海道として掲げた男女平等参画の目標を着 実に達成しなければならないという意味で、第4次以降の計画を想定するものではな く、事実上の最終計画であると位置づけます。
  また、後述しますが、第3次推進計画の期間については、2006年11月〜20 12年10月までの6年間(前期3年・後期3年)とします。
 
 計画目的 = 男女平等参画がめざすものは
 
  1.仕事の場での男女平等参画の実現
     (男性も女性も共に責任を担い、安心して働き続けることのできる仕事を)
  2.男女が共に仕事と生活の調和を実現 
     (これまでの働き方基準の見直し、長時間労働の是正)
 
 統一目標 = 第3次推進計画が掲げるもの
 
  1.行動目標として
    ○ 運動方針へ「男女平等参画」を明記
    ○ 「男女平等参画推進計画」の策定
  2.数値目標として
    ○ 女性組合員の比率に応じた女性役員
    ○ ゼロ解消/役員・機関会議への参加
 
 
二、特徴的な社会の情勢
 
1.拡大する雇用の二極化、深刻な少子化の進行
 
  所得格差は拡大し、OECD主要国の中で日本の貧困率(15.3)は、アメリカ(17.1) に次いで高く、年収300万円以下の女性が増加しています。さらに、労働 時間、 雇用形態も二極化が進行、正社員は長時間労働を強いられる一方、他方では不安定な パートや有期契約、派遣労働者などが増加し、男性も女性も、安心して働き、人間ら しく暮らせる生活を実現することが難しくなっています。また、こうした厳しい雇用 の場における実態を背景に、少子化には歯止めがかからず、2005年の合計特殊出 生率は、1.25(北海道においては1.13)にまで低下しています。
                        【貧困率】=可処分所得が全人口の中央値の50%                               以下しかない人の割合    
2.均等法改正、限定的だが間接差別も禁止へ
 
  男女雇用機会均等法では、男女別の賃金表や定年制度などが禁止されていますが、「コ ースが異なるから」「雇用形態が異なるから」とする、間接的な姿となって男女差別が 温存されてきました。10年ぶりとなった2006年の改正では、限定的でしたが間 接差別も規制の対象となりました。今後においては、間接差別の具体的な掘り起こし と問題解決が求められています。
 
3.第2次男女共同参画計画(内閣府)の決定
 
  男女平等参画の推進に向けて、政府は、2005年12月に「第2次男女共同参画 基本計画」を決定し、さらなる取り組みの強化を計画しました。一方、男女平等参画 を誤解・曲解して、男女共同参画は「伝統や文化を否定するもの」「男女に違いを機械 的・画一的になくすもの」などとして反対する動きの一環として、自治体議会での意 見書採択などの動きも広まっています。
 
4.次世代法などの環境整備、問われる実効性
 
  次世代育成支援対策推進法は、301人以上の企業に行動計画策定を義務付け、2 005年4月から計画の届出が始まりました。計画の策定に伴い、働き方の見直し、 育児支援策などを進めている企業も目立ち、北海道での一般事業主行動計画の届出率 は100%(北海道労働局調べ)となっています。一方、努力義務とされている30 0人以下の企業については、2006年9月末では47社が届出されていますが、企 業間での取り組みに格差が拡大しています。
 
三.連合北海道「第2次男女平等参画推進計画」のまとめ(概要)
 
1.取り組みの進捗状況
 
(1)男女平等参画推進委員会の設置
    産別では、アンケ−トで回答のあった34産別のうち8産別(5)で設置。地協   においてはゼロですが、4地協が検討中。連合北海道は、設置していますが、その   活性化が課題です。
(2)男女平等参画推進計画の策定
    産別では6産別(5)が策定、今後予定は2産別(4)。地協では1地協(0)   が策定、今後予定は4地協(5)となっています。連合北海道は2006年11月   からの新しい推進計画を策定します。
(3)役員育成のための講座
    連合北海道としては、連合本部の「女性リーダー養成講座」に積極的に参加。    男性役員を対象とした「男女平等講座」を2年(2005、2006年)開催して   います。         (上記の数値は2006年4月現在、カッコは2005年3月時点)
 
2.女性参画の実態と指摘される要因
 
  労働組合における男女の平等参画の状況について、2005年3月(第4回)と2 006年4月(第5回)に実施した連合北海道「男女平等参画アンケート調査」結果 を比較してみると、あまり進んでいないという状況です。男女平等参画が進んでいな い要因は、これまでも指摘されてきたことですが、
 
(1)「男女平等参画推進」についての議論、合意形成が不足し、実態に即した方針・   計画が不在であり、計画があっても具体化されていない。
(2)女性役員のなり手がいない、負荷が一部の女性に集中して後継者がなかなか出な   いという状況が継続している。
(3)男性役員・組合員の意識の遅れや理解度と女性組合員の意識改革の双方が求めら   れているが、互いに指摘するという域にとどまっている。
(4)仕事と組合活動の両立が困難な状況であり、組合活動スタイルの見直し、組合運   営の改善が十分図られていない。
(5)根強く残る性別役割分業意識のもとで、男女ともに仕事と生活の調和の実現、職   場における直接差別・間接差別の撤廃の取り組みが不十分である。
   ことなどがあげられ、改めて全体的に共有化をはかる必要があります。








 
区    分
 
女性執行委員比率
 
  大会・総会
女性代議員
摘   要
 
産   別
 
第4回    8.39%   10.91%  
第5回    5.59%    8.03% 全国6.6%(2005年)
地   協
 
第4回    2.30%    5.66%  
第5回    2.50%    6.49%  
連合北海道
 
第4回   10.53%    6.56%  
第5回   14.29%    6.25%  
連合本部 2005年   22.20%    7.20%
  (注)回答を得た産別などについては、必ずしも同一ではないため、厳格な比較は出来ませんが、
    傾向は示しているものと判断できます。
 
 
四.連合北海道「第3次男女平等参画推進計画」の策定
 
1.「第3次推進計画」策定の背景と基本的考え方
  「第3次推進計画」では、以下のような状況認識と基本的考え方で労働組合への女 性の参画を促進し、「男女平等参画をすすめる労働組合」づくりをめざします。
 
1) ますます高まる男女平等参画の期待と重要度
   男女共同参画社会基本法の施行と行動計画を受けて、労働組合をはじめ社会のあら  ゆる分野での男女平等・参画のとりくみが期待されていますが、同時に社会保障制度  等の諸制度を社会的・文化的に作られた性別(ジェンダー)の視点から見直す機運も  さらに高めていかなければなりません。
 
 (2) 仕事中心の生活から、バランスのとれた生活を
   少子・高齢化の進展は、私たちに働き方の見直しを求めています。性別役割分担に  よる「男性の仕事」中心のライフスタイルを見直し、男女が共に育児・介護等の家族  的責任を担いつつ、働き続けることのできる労働・社会環境を整備し、仕事と家庭の  バランスのとれた生活づくりが従来に増して重要な課題となっています。
 
 (3) 男女格差の解消と非正規労働者の組織化
  男女雇用機会均等法の施行等によって、多くの職種に女性が進出し、女性の職域が  拡大しています。仕事の配置や昇進・昇格等処遇においての男女格差解消のため、女  性の能力発揮を促進するための積極的なとりくみ(ポジティブ・アクション)や一定  の枠を女性に割り当てるクォータ制が重要かつ有効です。
  また、女性労働者を中心に増加するパートや派遣・契約労働者の均等待遇確保と組  織化も労働組合の大きな課題となっています。
 (4) 労働組合改革と社会的価値ある労働運動の実現
   労働組合は長い歴史を有していますが、社会の固定的な性別役割分担の考え方の影  響を受けて今日に至っています。労働組合の活動を社会的・文化的につくられた性別  (ジェンダー)の視点から労働組合の方針・活動・運営を見直し、「労働組合イコー  ル男性」といったイメージを払拭する改革が不可欠です。
   そして、女性参画の拡大は、労働組合自身の改革そのものであり、社会的に価値あ  る労働運動を実現することであることを共有化・全体化しなければなりません。
 
 (5) 男女組合員比率に応じた目標の設定と実効ある取り組み
   国際自由労連は、意志決定機関における女性の参画目標を2004年まで30%、  2008年まで40%、2016年まで50%としています。第17回世界大会では  規約を改正し、大会代議員のうち半数を女性にすることとしました。国際産業別組織  の多くも規約を改正し、女性の執行委員を一定割合にすることにしています。また、  国連等の機関も意志決定のための諸会議等への女性参画目標を30%としています。
   連合北海道は、こうした国際的な目標を踏まえながら、労働組合役員や活動への男  女平等参画について、男女組合員比率に応じた目標を設定し、人材育成も重要視しな  がら実効性の高い取り組みを展開していきます。
 
2.「第3次推進計画」の計画期間の設定
  「第3次推進計画」は、連合本部「推進計画」との整合性をはかり、2006年11 月から2012年10月までの6ヶ年としますが、前期3年、後期3年にわけ、年次  目標を設定するとともに、進捗管理、見直しを行いながら、段階的に計画をしっかり  と推進していきます。
      前      期       後      期
1年次 2年次 3年次 4年次 5年次 6年次
06.11〜
  〜07.10
07.11〜
  〜08.10
08.11〜
  〜09.10
09.11〜
  〜10.10
10.11〜
  〜11.10
11.11〜
  〜12.10
 
3.計画の統一重点目標
  労働組合における男女平等参画は、@労働組合活動への男女平等参画、A労働組合 役員への男女平等参画を目的とし、めざしているものは、@仕事における男女平等参 画の実現、A男女双方の仕事と生活の調和の実現にあります。
  以上のような目的達成や実現をめざすため、連合北海道・構成組織(含む単組)・地 域協議会(地区連合)では、
 
  【行動目標】として
   □ 運動方針に男女平等参画を明記(前期1年次中に明記)
   □ 男女平等参画推進計画の策定(前期1年次までに策定)
  【数値目標】として
   □ 女性組合員比率に応じた女性役員の配置(後期6年次まで段階的に達成)
   □ 女性役員と機関会議への女性参画ゼロの解消(前期3年次までに解消)
 
 を統一重点目標として掲げ、後述する「男女平等参画指標」および「女性参画目標」 をもとに、それぞれ具体的計画を作成して取り組みます。
        [参考資料]別紙@/「男女平等参画推進計画の策定のための指針(案)」
 
4.共通する男女平等参画指標
  連合北海道・構成組織(含む単組)・地域協議会(地区連合)に共通する男女平等参 画指標を次のとおり設定し、推進計画で具体化します。
  なお、それぞれの組織実情において重点化や附加することを妨げるものではありま せん。
 
 男女平等指標(◎は統一重点目標、※は数値目標)
 
  ◎ 男女平等参画推進の運動方針への明記
  ○ 男女平等参画推進委員会の設置
  ◎ 男女平等参画推進計画の策定
  ○ 男女平等参画アンケ−トの実施(実態把握・進捗管理)
  ○ 女性リ−ダ−養成講座等の実施
  ○ 男性のための男女平等講座の実施
  ○ 女性委員会(青年・女性委員会)の設置
  ◎※組合役員への男女平等参画(執行委員会、各種委員会)
  ◎※機関会議への男女平等参画(大会等決議機関)
  ○ 女性組合員と意見交換の場の設定
  ○ 組合活動スタイル(時間帯、活動のあり方)の見直し
  ○ 職場における男女差別の撤廃
  ○ 審議会等への男女平等参画
 
5.労働組合の諸機関への女性参画目標
  執行委員、大会代議員をはじめ、労働組合の諸機関における女性の参画割合の目標 を当該組織における女性組合員比率とします。したがって、連合北海道の目標は30 %(2005年度労働組合基礎調査では、組合員総数に占める女性組合員比率は30. 66%)、構成組織、地域協議会・地区連合は、それぞれの女性組合員比率を目標とし ます。取り組み方は、それぞれの実態等も考慮し、目標に向けて段階的に進めていく こととし、計画期間中に以下の実現に取り組みます。
      [参考資料]別紙A/「男女平等参画推進計画策定のための数値目標等」
 
(1)執行機関への女性の参画目標(数値目標)
  @ 女性執行委員がゼロの場合は、早急に1名を選出し、複数選出の条件づくりを行   います。
  A 1名選出している場合は、早急に複数を選出し、女性組合員比率の50%を選出   する条件づくりを行います。
  B 女性執行委員が女性組合員比率の50%まで達している場合は、女性組合員比率   までに近づけます。
  C 女性組合員比率が50%以上の場合は、三役への女性配置を行います。
  D 専従役員総数が10名を超える場合は、最低複数の女性専従役員を配置します。
    なお、すぐに執行委員の選出が困難な場合は、時限を定めた過渡的措置として女   性特別執行委員(複数が望ましい)の枠をつくります。
 
(2)大会(総会)決議機関への女性の参画目標
  @ 大会(総会)の代議員については、男女組合員比率を展望しつつ、女性代議員数   の目標を定めて告示し、女性の参加を推進します。
    なお、大会(総会)代議員の選出が困難な場合は、過渡的に時限を定めた、女性   の特別代議員枠(複数以上が望ましい)やオブザーバーの制度を設けるよう取り組   みます。
    また、大会の雰囲気に慣れることや人材育成の観点から女性の傍聴参加を増やす   よう努力します。
  A 女性代議員が複数いる場合等は、大会(総会)の議長や大会(総会)役員に女性   を選出するよう取り組みます。
  B 中央委員会等、大会(総会)に次ぐ決議機関等についても大会(総会)代議員・   役員に準じた考え方で取り組みます。
 
6.目標等を実現するための主な取り組み
(1)「男女平等参画推進委員会」の設置と、目標を定めた男女平等計画の作成
(2)「女性委員会(部)」の設置
(3)教育活動の実施
  @ 男女平等の考え方を学ぶセミナーの実施
  A 女性のエンパワメントを図る研修の実施
(4)規約や方針などに「男女平等参画」の理念を導入する
(5)広報活動
  @ 機関誌等への男女平等課題を積極的に掲載する
  A 教材・周知等の器材を作成する
  B 連合は、構成組織、単組等の先進事例集を発行する
(6)労働組合運営の改善
  @ 会議日程・場所・時間の設定を家庭責任を持っている方も参加できるよう工夫す   る。集会等を開催する場合は、必要に応じた保育室を設置あるいは保育費の補助等   を工夫して、組合員が安心して参加できるようにする。
  A 非専従役員の場合、労働組合活動のために職場を離れることができるよう労使で   環境づくりを行う。
  B 組合事務局の男女平等の推進、セクシャル・ハラスメント防止にとりくみ、男女   が快適に業務を遂行できるように環境整備する。
(7)予算措置
  「男女平等参画推進委員会」、「女性委員会(部)」等の活動、研修の実施と参加へ  の活動保障、調査や広報関係費用について予算措置をきちんと行い、取り組みの基  礎を確立する。
 
.「第3次推進計画」のフォローアップ
 (1)構成組織、地域協議会・地区連合は、それぞれ計画のフォローアップを行う。
 (2)連合北海道は
  @ 推進計画についてのアンケ−ト等を毎年定期的に実施し、その進捗状況につい   ては、大会や集会等で公表する。
   A 前期3年のフォローアップを受けて、後期4年次目で具体的なとりくみを再提   示する。





 
   前 期(2006.11〜2009.10)    後 期(2009.11〜2012.10)
 1年次  2年次  3年次  4年次  5年次  6年次
→○推進計画策定
→○運動方針明記

 
   (役員・大会等)
○女性参画ゼロ解消

 

 

   (段階的達成)
   
[参画アンケ−ト]

[参画アンケ−ト]

 

 
  ○女性役員配置
[参画アンケ−ト]  
   →第3次推進計画          →第3次推進計画(補強)
 
           【附属資料】
              @ 「第6次答申と男女平等参画推進の状況及び課題」
              A 連合 第3次男女平等参画推進計画(概要