T.はじめに−1年を振り返って

1.連合北海道は、昨年(2005年)12月1〜2日に第18回定期大会を開催し、2年間(2006〜2007年度)の運動方針を決定、三つの起点(MEMO欄)を確認してスタ−トしました。そして、「中間駅」である第19回年次大会を向かえましたが、連合北海道が掲げた[2年間の重点達成目標]の到達点について要約して言及し、この一年を振り返りたいと思います。詳細は、後述の[情勢と課題][主要な課題]に委ねることとします。

◇組織的目標/組織的目標の柱は、@組織拡大推進と組織率低下に歯止めをかり、A民主的で透明・公正な公務員制度と労働基本権の確立でした。
(1)2年間で2万人(連合本部は60万人+α)の組織拡大目標に対する組織化実績(2006年9月末現在、10,862人)は、一部産別に大きく依存されており、組織率低下の歯止めは、現段階で見通せる状況にはありません。組織率低下の影響は、長時間労働か不安定雇用かという「労働の二極化」の拡大と、個別労働関係紛争の増加や後を絶たない労働相談の増大などの「労働法制の形骸化と空洞化」として現れています。
 2007年度は、労働契約法制・労働時間法制など「あらたなワ−クル−ル確立の元年」と位置づけ、このことと連動した能動的・計画的組織拡大運動を展開していかなければなりません。

(2)公務員制度については、労働基本権回復に向け、政労協議と「専門委員会」設置など一歩踏み出しましたが、労働基本権問題は、いわゆる公務員バッシングを乗り越えた「新しい公共サ−ビスのあり方」に対する具体的提起と一体のものとして社会性を高める努力が引き続き重要です。

◇政治的目標/政治的目標の柱は、言うまでもなく@第16回統一自治体選挙とA第21回参議院選挙であり、具体的目標は、それぞれ「知事奪還・道議会与党勢力過半数制覇」「道内複数議席確保・与野党逆転」としましたが、陸上競技に例えますと、第4コ−ナ−にさしかかっているという重要局面にあります。
(1)最大の焦点である知事選については、一年前の候補擁立への期待は実現しませんでしたが、北海道政権戦略会議とともに、公募方式による知事候補擁立に関わり、他薦された有資格者(6人)からの年内早期擁立が求められています。全議席の過半数をめざす道議選では、43人の推薦(第1次から5次、10月17日現在)となっていますが、空白区解消と可能な限りの複数擁立など、一層の努力が必要です。
 高橋道政に対する検証と評価は、昨年の定期大会で既に定まっていますが、連合北海道は、時代の大きな変革期における真・開拓時代という時代認識のもと、新しい知事と道政の変革をめざします。(第3号議案参照)

(2)また、第21回参議院選挙では、北海道選挙区候補と8名の全国産別組織内比例区候補の推薦にとどまっていますが、北海道重点比例区および選挙区二人目の候補擁立については、知事選を視野に入れた確かな検討が急がれます。

◇政策的目標/政策的目標の柱は、@季節労働者の通年雇用実現とA大増税阻止、社会保障制度の抜本改革でした。
(1)連合北海道は、季節労働者(2005年度−13万5千人)に対する冬期雇用援護制度(暫定2制度−MEMO欄)が今年度で廃止されることを踏まえ、これまでの制度の根幹を残したあらたな支援制度の創設と事業の年間平準化、さらには、見直しの検討が行われている「短期特例一時金」の廃止反対を求めてきました。具体的には、各産別・地域から集約された、会社・団体署名(6千社)、個人署名(32万2千筆)闘争支援カンパ(7百万円)を背景に、幾度となく国への交渉等を展開しましたが、8月に示された国の通年化に向けての「新制度」枠組みでは、現行制度活用者(3万7千人)の6割(2万2千人)が通年雇用化に向かう列車から途中下車せざるを得ません。季節労働者の生活安定と維持に向けた取り組みは、これから大きな峠を乗り越えていかなければなりません。

(2)サラリ−マン大増税阻止に向けては、給料日街宣や街角アンケ−ト、そして、特に医療制度改革では、ブロック別学習討論会や街宣、チラシ・ハガキ行動、集会など、全道各地からの行動を積み上げながら、「格差是正431」6.15東京大結集(MEMO欄)に結集してきましたが、定率減税の全廃、医療制度改悪は強行されました。連合北海道は、引き続き2007年政治決戦と連動した政策・制度闘争および創意ある道民運動を展開しながら、国政・道政における政権交代を通じての社会改革、労働を中心とした福祉型社会を展望し実現をめざします。
◇運動的目標/運動的目標の柱は、@男女平等参画の積極推進および新計画の策定とA平和・道民運動の拡大・統一でした。
(1)男女平等参画については、昨年につづいて今年も「男女平等アンケ−ト調査」を実施しましたが、女性の社会参画が進む一方、労働組合運動への女性参画は思うように進んでいません。女性の参画拡大は、自己改革と社会的価値ある労働運動の実現を意味します。連合北海道は、各構成産別、地協(地区連合)が出来る限り数値目標化し、段階的に、着実に推進できるよう、連合北海道「第3次男女平等推進計画」(前期3年・後期3年の6ヶ年計画)を策定し提起します。(第5号議案参照)

(2)平和・道民運動について、連合北海道は、官民統一から16年、いわゆる「不一致課題」であっても、可能な限り真正面から向き合いながら論議する場(憲法講座、教育を考える対策委員会、エネルギ−・環境政策委員会など)を設定し、一致点の拡大と合意形成に努力してきました。こうした努力の延長線上には、「不一致のため取り組めない課題」やそのための「継承組織」は存在していないとの基本認識に立ち、一層、連合を結集軸にすえた平和・道民運動の拡大・統一を推進していきます。

       未来への希望が見える2007年に!
2.以上、[2年間の重点達成目標]に沿って連合北海道の組織と運動の一年を振り返りましたが、いま、2007年度を向えようとするとき、昨年の定期大会で示した、歴史の峠、時代の大きな変革期における真・開拓時代であるという時代認識を、より実感を持って再確認することができます。
 9月26日、安倍政権が誕生しました。安倍新首相は、歴史認識を語ろうとせず、「戦後レジ−ム(体制)からの脱出」と称して戦後民主主義社会のあり方に懐疑的態度をとり、そして、新自由主義と国家主義によるあらたな戦後の保守主義をめざすようにも見える安倍新首相は、臨時国会での質疑を通して、首相就任の前と後では言動の調整が伺えます。この政権が持つ「危うさ」と「不安」に対して、理念や政策でしっかりと対抗し、民主党を軸とした政権交代を早期に実現していかなければなりません。
 今年の暑い夏、3連覇ならずとも駒大苫小牧高校は栄光と輝き、道民に多くの感動を与えました。さらに、道内初の球団として、道民の厚い応援に応えてくれた北海道日本ハムファイターズのパ・リーグ優勝と日本シリーズです。野球だけではない労働運動もまた、すべての働くものを構造的に代表し、社会の根幹である労働と生活の現場からの課題を社会化して政治決戦に勝利し、未来への希望が見える2007年度にしたいと思います。

【MEMO&用語解説】

三つの起点
 第1には、戦後・被爆60年、連合北海道官民統一15年を乗り越えた新しい連合北海道のスタ−トとすること。
 第2には、三つの「2007年問題」(政治決戦・団塊世代・総人口減少)を視野に入れた新しい社会のあり方を問う転機とすること。
 第3には、格差拡大・二極化の社会ならばこそ、社会的「連帯」と「協働」をキ−ワ−ドとする連合運動の具体的第一歩とすること。



































□冬期雇用援護制度
 1977年「積雪寒冷地冬期雇用安定給付金」として創設、その後、恒久制度の「通年雇用奨励金」と暫定制度である「冬期雇用安定奨励金」「冬期技能講習助成給付金」の3制度として3年ごとに9回更新されてきたが、2004年の見直しで暫定2制度は、H18年度で廃止と提示された。


□「格差是正431」
 6.15東京大結集
全国すべての地協(431)と47地方連合会、構成産別が、格差是正をテ−マに運動を積み上げ、6月15日、5000人が東京に大結集(連合北海道は33名参加)