活動方針[その4]

 春季生活闘争を推進し、総合的生活改善と安心・公正のワークルール確立を目指します。

【取り組みの総括と課題】
@ ここ数年はデフレを背景とする春季生活闘争が闘われ、雇用確保を優先としたため、十分な賃金改善を実現できませんでした。今年は、輸出主導とリストラの結果によって企業収益が大幅に改善したことから、国内全体としては、一定の賃金改善成果を勝ち取ることができましたが、景気が低迷する北海道では、昨年水準の確保に終わりました。
 また、北海道をはじめ有効求人倍率(MEMO欄)が全国平均の半分程度しかない地域との色分けもはっきりして、地域間、産業間、企業規模間、雇用・就労形態などあらゆる分野における格差が拡大し、経済社会と地域の二極化が進んでいます。
A 本道の雇用情勢は、全体的には若干ながら改善しつつあるものの、依然として失業率(MEMO欄)は5.3%(05年平均)と高止まりし、全国と約1%(=2.6万人)の開きがあります。季節労働問題も解決していませんし、若年者の高失業率とフリーター、ニートの増大が大きな社会問題化していますが、産業・社会の均衡ある持続的発展の観点からは、女性や高齢者の雇用改善や均等待遇も実現する必要があります。
B 雇用の多様化は、労働基準法が予定しないような多岐にわたる労働問題を発生させています。募集・採用や配転・出向・転籍、労働条件の変更、解雇・退職・雇い止めなど労働契約の成立から終了まで、労働者保護の観点に立った「労働契約法」の制定が求められます。しかし、いま厚生労働省が提出しようとしている労働契約法・労働時間法案は、経営者に都合のよい内容であり、長時間労働を追認する「ホワイトカラー・イグゼンプション」(MEMO欄)を含み、断じて認められません。
C 法定の地域最低賃金の役割は極めて重要です。10月1日より北海道の最低賃金は3円引き上げられ、644円となりましたが、月額では11万円程度の低水準であり、影響率も2%以下となっています。労働の再生産にふさわしい水準への引き上げと、最賃違反の摘発強化を強く求める必要があります
 また、産業別最低賃金については、職種別設定賃金への移行の議論が続いていますが、公正競争の確保の観点で実効性のある制度にする必要があります。同時に、地域最賃の違反が著しいハイタク産業における産別最賃の創設が急務となっています。
D 2005年の北海道における労働災害による死亡者数は100名を超え、減少傾向にあるものの、残念ながらまたもや全国最多となりました。仕事や職業生活に対して強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者が増加し、「過労死」や「過労自殺」の件数も増加しています。今年は労働安全衛生法が改正され、リスク・マネジメント(MEMO欄)やメンタルヘルス管理が強化されました。新たな問題としてアスベスト問題も惹起しています。労働環境の改善は急務で、特に労働時間管理を徹底する必要があります。









































 


【重点課題】
@春季生活闘争の強化
 07春季生活闘争については、連合本部の基本構想と闘争方針を踏まえ、第19回年次大会で基本構想を決定し、12月に闘争方針を確立して闘争委員会を設置して、全道的な討論集会の開催など、取り組みを進めます。
 闘争にあたっては、@格差の是正、A集中決戦方式、B中小・地場・パート重点、C労働分配を重視、D企業内最賃協定の締結・改善の促進を中心に据え、道内における社会的波及を目指します。
A労働者保護のための労働契約法・労働時間法の制定
 連合本部の方針に基づき、引き続きシンポジウムや学習会などを開催し、労働契約法・労働時間法の政府案の問題点と、求めるべき労働法制のあり方について、理解を広めます。
 厚生労働省の研究会報告に基づいた労働契約法・労働時間法の制定には反対します。
B企業内最低賃金協定の締結促進
 春季生活闘争の重点目標として、パート労働者等を含めた企業内最低賃金の創設と改善に関する要求に取り組み、成果を法定地域最賃、産業別法定最賃に反映させます。
 法定ハイタク最賃については、過度な規制緩和の見直し運動と連携しつつ、引き続き、制度創設に取り組みます。
 また、介護労働者や観光産業など、北海道の主要な産業の産業別最賃の可能性について、具体的な調査、検討に取り組みます。
C季節建設労働者の雇用と生活対策の強化
 冬期間の就労が困難な季節建設労働者が、いまだ13.5万人います。しかし、厚生労働省は「冬期雇用援護制度」を平成18年度で廃止し、また、短期特例一時金の廃止・縮小を含む見直しをはかろうとしています。
 冬期就労の確保など根本的な解決策を放置したまま、一方的に制度改悪することは、断じて認められません。季節労働者の冬期の生活確保を実現する就労や助成等の対策を、今後も政府に強く求めます。
 公共事業の縮小は建設労働に大きな打撃と犠牲を強いています。季節・建設労働のあり方を含めた産業の環境改善を求めます。

【継続課題】
@雇用対策の強化
 雇用の確保と質の改善については、国・道などの労働行政と協力しつつ、一方で制度の評価を行うなど、実効性のある制度の実現に向けた取り組みを行います。
 また、若年者対策については、勤労観・職業観教育や労働者の権利教育の実施やジョブカフェ等の維持と活動強化、女性雇用対策としては、賃金・労働条件の均等待遇実現など、労使交渉の中心課題として産別・地域の取り組みを求めます。高齢者雇用対策については、改正高齢法を踏まえ、65歳までの定年延長や希望者全員の再雇用など、協約の整備に取り組みます。北海道労使就職支援機構の運営に協力します。
A健康で働き続けられる労働時間(ワーク・ライフ・バランス)の実現
 年休取得の促進、割増率の引き上げなどによる時間外・休日労働の削減を中心に、年間総実労働時間1,800時間の実現を目標とする、労働時間の短縮を図ります。
 また適正な労働時間管理を更に強め、仕事と生活の調和のとれた働き方の実現を図ります。
 不払い残業撲滅の取り組みを強化し、労働基準行政の厳格な対応を求めます。
 11月には全国キャンペーンにあわせた取り組みを道内でも行います。
B労働安全衛生対策の強化
 この4月から労働安全衛生法が改正され、本格的な労使の責任ある自主的活動、リスクアセスメント・マネジメントシステムの時代に入りました。また、労働関連法の改正・施行も相次いでいます。その主なものとして、労災保険法・石綿新法・労働時間等設定改善法・高齢者雇用安定法・障害者雇用促進法など多岐にわたっています。
 こうした労働環境の変化を労働者保護の視点から労働組合や連合などがチェックし、対応していく必要があります。連合北海道と安全衛生センターは「職場の安全・衛生対策、健康増進、労災・職業病、環境保全対策等の調査、研究と予防対策の活動」を基本として、その使命である「働く者の安全と健康第一」に考え、産別・地区の安全衛生運動を指導実践していきます。
Cワークルールの徹底の取り組み
 労働法違反に関する相談件数は依然増加傾向にあります。この根本的な原因は経営者の無知にありますが、一方、労働者の側にも対応の未熟が認められます。今後も、悪質な法違反については、労働基準監督行政による指導、監督を求め、法違反の一掃を図りますが、学校教育において「働く者の権利」を知る機会をつくるため、道や道教委に対し、副読本の作成や新卒生徒、学生のための権利教育の講習会の開催などを求めるとともに、「働く人のパンフ(仮称)」の作成について検討をはじめます。
D外国人労働者の人権尊重と平等待遇の実現
 「研修生」を名目とする外国人労働者は道内でも増加しつつありますが、その実態は比較的明確ではなく、労働相談でも実態は低賃金で劣悪労働条件である事例や就労資格問題をたてに、強制労働的な取り扱いを受ける事例もあります。
 就労の資格とかかわりなく、道内で就労する外国人労働者の人権尊重と、日本人と同等の平等待遇確保、法律遵守の取り組みを促進しなければなりません。
E北海道労働委員会・労働審判制度の有効活用と強化
 集団的労使関係の調整をする「北海道労働委員会(道労委)」と、個別的労使関係を判じる「労働審判制度」の有効利用をはかります。特に、労働審判制度の活用には、提訴者が組合員となり、団体交渉等をへた証拠提出を準備するよう、取り組み体制の周知と徹底をはかります。
 北海道労働委員会の定数削減には強く反対し、その役割を後退させないよう道に求めるます。
 また、労働者委員・労働審判員の資質向上と研究支援のため、「労使関係問題研究会」の活動強化に取り組みます。











□有効求人倍率
有効求人数を求職数で割ったもの。「有効」とは当月の新規数と前月からの繰り越し分を合わせたものを指す。
□完全失業率
完全失業率とは、完全失業者数を労働力人口で割ったもの。完全失業者とは「調査期間中にすぐに就業できるが、就業しなかった、あるいは就業準備をしていた」もののこと。

□ホワイトカラーイグゼンプション
いわゆるホワイトカラー労働者に対する労働時間規制を適用免除(exempt)すること。ホワイトカラーを全員裁量労働制とみなすようなものである。

□リスクアセスメント・マネジメントシステム
リスクの大きさを評価し、そのリスクが許容できるか否かを決定する全体的なプロセスのことで、リスクを組織的にマネジメントし、ハザード(危害)、損失などを回避もしくは、それらの低減をはかるプロセスをいう。
労働安全では、職場の物理的・精神的リスクを評価し、低減・消滅させる作業をPDCA(MEMO欄)で行うこと。

□PDCA
Plan(計画)→Do(実行)→Check(点検・評価)→Act(処置・改善)
のサイクルで継続的な業務改善をしてゆく法。
Actは更なる次のPlanにつながることでスパイラル(螺旋)として上昇させる。管理業務を計画とおりスムーズに進めるため導入される。