活動方針 [その2]

 労働組合の機能と役割を再確認し、
産別と連合運動との有機的連携を促進します。

【取り組みの総括と課題】
 産業別組織の機能強化は、企業別労働組合の弱点を補い、賃金、労働時間をはじめとする労働条件の改善と底上げ、産業の健全な発展のための公正競争の実現、CSRなど企業倫理の確立など産業政策を実現する要となります。しかしいま産別内では中央集権化がすすみ、運動の強化と組織拡大を目的にして再編・統合を進める方向にあり、道内産別本部の専従者も暫減し、非専従化されたところもあります。
 連合北海道も、産別再編の影響を受け、1990年の結成時には61産別31万人でしたが、昨年大会時点で47産別組織、4直加盟組織、1特別加盟組織で27万人となっています。未加盟単組の産別結集や、関連企業・非正規労働者(MEMO欄)の組織化に積極的な取り組みが必要です。
 また、労働運動の活性を維持し、社会の未来を形成するため、青年の労働運動への興味と関心を高め、参加を進める必要があります。
 社会保障制度が毎年後退する中で、07年問題といわれる大量の退職者が生じる時期を迎え、退職者組織の任務と課題は増大しています。組織の結成を促進し、労働運動との継続的な連携を強める必要があります。
 この1年間、産別運動に関わる情勢では、労働契約法・労働時間法など、労働条件の引き下げに関する動きが顕著となり、また、官民とわず、同一職場内における正規・非正規の格差の解消を求める声も大きくなっています。
 パートなど非正規労働者問題について、春闘期(4月25日)に「パート労働者の集い」を開催しました。いまパートなど非正規労働者は、企業内における過半数組合確保の点で、単組労働運動にとって重要な課題となっています。また、「パートタイム(有期短時間)」(MEMO欄)「契約」(MEMO欄)「派遣」(MEMO欄)「偽装請負」(MEMO欄)など非正規労働者の課題としては、ILO100号条約(MEMO欄)の同一価値労働・同一報酬の原則による公正な労働基準の確立を、各産別、地域労働運動の最大課題として取り組まなければなりません。
 道内の中小労働運動は、産別への吸収やネットワークの解散等により、縮小してきました。今年は6月に十勝で「全道中小労働者研修交流集会」を開催し、労働法の学習と交流を実施することができましたが、地協内交流から全道交流へと枠組みを広げて、労働協約の締結や賃金体系の整備、労働福祉活動や世話役活動など、日常的な労働運動の取り組みをすすめ、産別結集をはかるための職場内労働運動を確立する必要があります。
 ハイタク労働者の置かれている状況は悪化しています。過度の規緩和によって地域の需給を無視した増車・新規参入と、100%生産性賃金の導入により、地域最賃割れが拡大するとともに、労働時間が長時間化して、安全が脅かされています。公共交通労働者にふさわしい賃金を実現するために、台数の再規制や保障給制度の導入など、労働条件の改善が急務です。 今年は5月に道内一円を回る“ハイタクキャラバン”を実施し、地域の未組織労働者に総結集を訴えましたが、引き続き、世論喚起の運動を続ける必要があります。
 官公労に対しては、いわゆる「公務員バッシング」が続いています。自公内閣の“小さな政府”方針により、人件費抑制と定数の削減が大幅に行われつつありますが、一方で公共サービスに対する国民の需要は、社会保障の縮小とともに拡大しつつあり、公共サービスや公務員制度のあり方について、国民合意を確立する必要があります。



















































 


重点課題】
@パート・有期契約・派遣等非正規労働者の平等待遇実現と権利擁護・偽
装請負の解消
 パート・有期契約・派遣などの非正規雇用・就労形態で働く労働者の雇用安定と平等待遇の確立を図るため、正規労働者との格差是正の取り組み指針を作成します。また、「パート・有期契約労働法」の制定をめざし、「パート・有期労働者の集い」を引き続き開催するほか、適時にシンポジウムや学習会などを開催します。「パートニュース」を発行し、有期労働法制の周知や改善に向けた意見集約などに取り組みます。偽装請負については、実態調査を含めて取り組みを強めます。A中小労働運動の強化
 毎年、継続している地域ミニマム運動を強化すべく、道内における産別および地協・地区連合加盟の地域・地区ユニオンと、すべての直加盟組合の中小企業における賃金実態調査を実施して、年齢別のミニマム賃金の設定や、企業内最低賃金協定の到達目標を示し、底上げを図ります。また、民間における公正取引の実現を進めるとともに、総合入札制度の導入あるいは「公契約条例」(MEMO欄)など、道や市町村の委託契約における公正労働基準の確立に取り組みます。
 「全道中小労組者研修交流集会」は継続して開催し、地場中小労働運動ネットワークの再確立をはかります。
B労働条件委員会・中小パート委員会の統合
 労働条件委員会は通年で産別・地域単組の労働条件に関わる運動を構築するため設置され、一方中小・パート委員会は、非正規労働者の結集と交流をはかる目的で設置されてきましたが、ローカルセンターの機能として整理すると、議論すべき課題は地場中小の課題が大半を占める実情にあり、両方の委員会を統合し、機能と運動の強化を図ることとします。

【継続課題】
@産別組織の強化と道本部組織の確立
 連合北海道を構成する産業別組織は、道内における同一産業に働く労働者を総結集し、統一要求と統一行動を強めて、賃金・労働条件等の改善を図るとともに、雇用の確保や、公正競争実現のための産業政策を確立するよう活動の強化を求めます。
 連合本部加盟で、連合北海道に未加盟の生保労連、損保労連、全国農団労、ヘルスケア労協、全信労連、全銀連合・全国ユニオンなどに対し、連合北海道への加盟を促進するため、連合本部、産別中央組織と連携し、道本部機能の確立を求め、情報・意見交換などを実施し結集を図ります。また、道段階の産別に結集していない中央加盟単組の未加盟解消に努めます。
A産業別部門連絡会の機能強化
 産業別部門連絡会は、○春季生活闘争での情報交換・共闘づくり、○産業政策の確立と実現、○未加盟未組織の連合加盟の促進など、その役割と機能の強化に努めてきましたが、活動が停滞している部門の再活性化など、運営を担う責任産別、事務局産別を設けるなど活動の強化を図ります。
B労働協約の整備・拡充
 法令改正と雇用・就業形態の多様化などをふまえて、「連合・モデル労働協約指針」にあわせた労働協約の点検・整備・拡充に取り組みます。
 また、労働組合法に合致した労働組合規約の点検活動に取り組みます。
C地域労働運動への参加拡大
 連合北海道・地協・地区連合などの地域共闘課題に産別の積極的な参加を促し、地域運動の発展強化を図ります。
D青年委員会の強化と組織の拡大
 青年の連合運動への積極的な参加は、労働運動の活性化、持続的発展に必要であり、各産別に青年委員会などの組織を確立するとともに、地協・地区連合にも青年組織の結成に取り組み、次代を担うリーダーの育成に努めます。

E退職者連合の強化
 退職者組織は、この一年間で新たに士別、網走地区が組織化され、北海道高齢・退職者連合は、27産別59,529名、31地区組織41,321名となりました。引き続き、全構成産別、全地協、主要地区連合における退職者会の組織化を目指し、未結成産別の調査やオルグを実施します。
F公共サービスと公務員制度のあり方に関する合意の形成
 国民の期待する公共サービスを実現する効率的な公共のあり方の観点で、公務員の定数と労働条件のあり方を議論する必要があります。連合本部がまとめた「公共サービス・公務員制度のあり方に関する連合の考え方」をテーマに、公務員制度改革と地方分権のあり方について学習と意見交換をはかります。
 公務員制度の変更について、労使合意のない労働条件変更には反対します。労働基本権の早期付与を求めます。
 















□正規と非正規
正規労働者はいわゆる正社員・正職員のこと。非正規労働者とは、有期・短時間(パート・アルバイト)、契約、派遣など。
□有期労働者
通常の労働者と同一の事業所に雇用される労働者で期間を定めて雇用されるもの。本来は臨時的な雇用形態だが、雇用調整の意味合いで、非正規労働者には常態化している。
□短時間労働者
通常の労働者と同一の事業所に雇用される労働者で通常の労働者に比べて時間が短く雇用されるもの(=パート労働者)。通常の労働者と同じ労働時間契約の場合はパートとは言わない。
□契約労働者
一般的呼称で、法律的位置付けはない。多くは有期労働者のこと。
□派遣労働者
労働者派遣法により派遣業者から派遣される労働者で、この法律に基づかなければ労働基準法6条違反となる。
□偽装請負
契約上は業務請負や個人事業主であっても実態が単なる肉体労働の提供であり人材派遣に該当するもの。違法だが、電機・自動車メーカーや食品化工などに存在しているとされる。連合では12,000単組で調査中。
□ILO100号条約
同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約。労働基準法4条で実現されている。
□公契約条例
ILO94号条約(公契約における労働条件に関する条約)に基づいて公共事業の現場で働く全ての労働者に対して、賃金の最低基準額を条例(法)により保障することを目的とした自治体条例。