第18回定期大会/2005.12.1
 
連合北海道
2005春季生活闘争総括(案)
 
 
はじめに
 連合北海道の役割と任務は、全労働者の視点に立った、働く者の雇用や賃金・労働条件の改善に向けて、産業別労働組合間の共闘や地域共闘の強化を図るとともに、使用者との交渉では解決を図ることが困難な年金・医療・介護・税制などの政策・制度課題に取り組み、労働を中心とした福祉型社会を構築し、公正な社会を実現することにある。
 とくに春季生活闘争は、各組合が一斉に賃金を中心とする労働条件改善に向けて要求書を提出し、団体交渉を展開して、その成果を未組織労働者まで波及させるという点で労働運動の重要な役割を担っている。しかしバブル崩壊以降、デフレ経済の進行と雇用情勢や企業経営の悪化に伴い、経営側も総額人件費抑制の姿勢を強く打ち出したことから、春季生活闘争は大きな転換を迫られてきた。
 1994年、連合北海道は、本道の企業・団体のうち北海道で団体交渉を実施し、労働条件を決定する地場中小労働組合に対し、要求目標を示すとともに、回答ゾーンを設定し、集中して解決を図る地場集中決戦方式を全国で初めて提起して以来、本年で11年目を数えた。
 2005春季生活闘争の総括にあたっては、昨年から全国で展開となった地場集中決戦方式を中心とする共闘体制、とりわけ地域共闘や官民共闘について成果と課題を明らかにするとともに、増加の一途をたどっているパート労働者、契約社員、派遣労働者など同一職場で働く仲間の均等待遇の実現と雇用の安定を図る取り組み、更には経済的に自立できる水準と公正競争の確保を目指し、賃金引き上げの基盤となる企業内最低賃金協定の締結促進など、中小・未組織労働者の賃金、労働条件の底上げ・波及の取り組みについて本年の到達点と次年度に向けた課題を整理する。
 また、政策課題については、全国レベルの定率減税廃止反対などの課題とともに、本道で取り組んだ雇用創出を中心とする雇用課題と交通運輸産業の行き過ぎた規制緩和政策の変更を求める取り組みなどについて、今後の課題を明らかにすることとする。
 
 
T.2005春季生活闘争の課題と取り組み経過
1.連合北海道は、昨年10月29日開催した第17回年次大会で2005春季生活闘争の基本構想を、その後12月3日の第1回拡大闘争委員会で闘争方針を確認・決定した。
そのなかで、わが国経済は回復基調にあり、また、企業の経常利益はバブル以降最高水準に達しつつある一方で、勤労者の可処分所得は、98年から6年連続で対前年比マイナスとなっており、雇用の回復も一向に改善しておらず、労働側への一方的なしわ寄せが続いていること、また、産業間、企業規模間、地域間、雇用形態間の格差拡大が急速に進行し、「中流社会」は「二極化社会」に変質しつつあること、更に政府の規制緩和を中心とする構造改革も「二極化」の流れを加速させている状況を踏まえ、2005春季生活闘争では、こうした労働側へのしわ寄せ、「二極化」を突破する積極的な成果配分と格差是正を全国の仲間と実現する闘いと位置付け取り組むこととした。
 
2.こうした位置付け、基本的スタンスを明らかにしたうえで、連合本部、連合北海道は、全ての組合が取り組むミニマム運動課題として、第一に「賃金カーブの確保」と賃金カーブ維持分の労使確認、第二に規模間や男女間格差の是正、均等処遇の実現、第三に「全従業員対象の企業内最低賃金の協定化」、第四に「労働時間管理の協定化」の4つを掲げ、統一して取り組むこととした。
このうち、中小地場組合の格差是正や底上げを図るため、12月24日開催した第1回闘争委員会で格差是正の目安として「賃金カーブ相当分5,200円+500円以上」又は「5,700円以上」と確認・決定するとともに、本年の北海道地域年齢別ミニマム賃金についても、賃金実態調査結果と標準生計費、生活保護費の水準などを考慮し設定額を公表し、底上げを図ることとした。
また、あわせて先行組合の集中回答ゾーン、中小組合の集中回答ゾーン、第一次解決促進ゾーン、第二次解決促進ゾーンなどの闘争日程を示すとともに、エントリー組合の報告、登録を2月末までに行うことを決定し、これを各構成産別、地協・地区連合に提示し、1月下旬から2月中旬にかけて討論集会を開催した。
討論集会においては、北海道独自の取り組みとしてパートや派遣、契約社員などの有期雇用契約労働者の雇用の安定に関するモデル協定の締結促進や、ハイ・タク最賃新設に向けた取り組み指針、更には労働条件の不利益変更に対する取り組み方針などを示し、地域・産別での取り組み強化を訴えてきた。
 
3.また、政策制度の課題については、第一に雇用と地域を最優先した予算編成、第二に定率減税の縮減・廃止反対、第三にパート労働者の均等待遇の法制化、第四に社会保障全体の抜本改革の4つの連合本部が提起する課題を全国の仲間と連携して取り組むとともに、連合北海道の独自の地域政策課題として、第一に地域雇用創出、第二に子育て支援・少子化対策、第三に公契約基本条例、第四にハイタク規制緩和の見直し、第五に公務労働者の地域給与の導入問題と労働基本権回復問題に取り組み、対自治体要請行動や経営団体への要請、地方自治体議会決議運動に取り組んできた。
 
 
U.具体的な取り組みの結果と課題
1.賃金改定の取り組み
(1)要求状況について
@ 2005春季生活闘争における地場集中決戦エントリー組合は、ハイタク関連や地域ユニオン及び地区直加盟組合などのエントリーが増えたため、昨年より50組合ほど多い420組合にのぼった。このうち賃上げ集計の対象となる組合は、歩合給制度が一般的なことから通常の賃上げ要求・回答形式とは異なるハイタク関係労組を除き、平均方式や個別方式で要求する349組合である。
349組合の要求方式の内訳は、平均要求方式が339組合、個別A方式が3組合、個別B方式が7組合となっている。個別A方式の3組合のうち2組合はベア要求をしておらず、また1組合は昨年、複数年協定により決着している。B方式の7組合のうち、賃上げ要求を行った組合は5組合で、そのうち2組合は個別方式の要求に対して、会社側は平均方式で回答している。
A 2005春季生活闘争で連合北海道は、道内地場組合の格差是正、賃金底上げをめざして、賃金カーブ算定の可能な組合は「賃金カーブの確保・カーブ維持分の労使確認+500円以上」、賃金カーブ算定の困難な組合は「賃金カーブ確保相当分5,200円(目安)+500円以上=5,700円以上」とする要求目標を設定した。
要求額の最終集計(7/30)は、加重平均で4,703円・1.99%、単純平均で5,041円・2.19%となり、加重平均の要求額は、設定した要求目標をかなり下回る結果になった。各産別・加盟組合の要求額をみると、賃金カーブ維持分ないし定昇相当分のみの賃上げ要求にとどめ、純ベアを要求しない組合が人数比で多数を占め、全体の要求水準を引き下げたものと考えられる。
 
(2)賃金カーブの確保について
@ 賃金改定にあたって、賃金カーブ維持分の確保を方針に掲げる産別が増え、各単組段階でもこのことを基本とした要求を提出し交渉を展開する組合が増えている。しかしながら、賃金体系が未整備な中小組合を抱える産別や地域では、十分な取り組みができておらず、賃金カーブを確保できたか否かを検証することもままならない実態にある。
A 賃金カーブの確保を確実なものとするためには、賃金実態の把握と賃金制度の整備が基本である。このことが論理的な賃金交渉を可能とし、一定の妥結水準を確保し早期決着に導く環境を整えることにつながるのである。
今春闘においても、賃金制度が整備されているところは、少なくとも賃金カーブを確保し、ベア要求を行ったところではベアを勝ち取り妥結した組合も多く、その大半は、3月内か遅くとも4月内に決着している。
しかし、賃金制度がある組合とない組合における「結果の二極化」傾向は、依然として課題が残る。平均賃上げ額・率だけを指標とする賃金決定方式の限界を認識し、自らの賃金実態(絶対水準)の分析を踏まえた要求・交渉や、通年的な賃金制度整備の取り組みを継続的に行う必要がある。
 
(3)解決時期と妥結結果について
@ 地場集中決戦にエントリーした420組合中、7月末までに304組合、8月に2組合が解決し、最終的に合計306組合が決着(72.9%)したことを確認した。
時系列で解決組合数の推移をみると、集中回答ゾーン(3/22〜3/26)までに昨年より6組合多い80組合が妥結し、3月末段階では101組合(昨年比+9)が決着した。4月に入り、第1次解決促進ゾーン(4/4〜4/9)までに134組合(昨年比+7)が決着するなど、解決時期が早まる傾向を示した。だが、4月末時点では昨年とほぼ同数の205組合の解決にとどまり、例年同様、地場中小組合を中心にエントリー組合の半数以上が5月連休明け以降に決着を持ち越こすこととなった。
5月以降の解決組合数の推移は、5月末段階で276組合(昨年比+15)、6月末段階で296組合(昨年比+4)などとなっており、ほぼ例年並みである。合理的な理由がなく常態的に遅れている組合は、今後、産別・地協の支援・協力を得ながら労使で早期解決を目指す対策を講じる必要がある。
A 7月末の最終集計で、平均要求方式による地場組合の妥結集計結果をみると、単純平均で3,090円(昨年比+188円)・1.38%(同+0.11P)、加重平均で3,651円(昨年比+168円)・1.53%(同+0.06P)となり、久々に前年の妥結水準を上回る結果を引き出して、賃金デフレの流れを押し止める成果が得られた。
B 昨年に引き続き、全国的には業績のよい産業・企業における一時金シフトの傾向が強まっている。道内地場の一時金妥結結果は、業種・規模ごとに支給水準のばらつきは大きいが、年間協定で昨年と比較可能な100組合のうち、昨年を上回った組合が62組合、同額が1組合、下回った組合が37組合となっており、昨年に比べると上回ったとする組合の割合が増えている。
7月末段階の集計で、年間協定を締結した119組合の加重平均は1,122,578円(昨年比+2,416円)・4.17ヶ月(+0.1ヶ月)、単純平均では952,603円(昨年比+49,528円)・4.03ヶ月(同+0.13ヶ月)となっており、平均支給額・月数は昨年を上回っていることがわかる。
C なお、最終的な解決結果を確認できないエントリー組合があるが、次年度はすべてフォローするよう、産別・地協との連携を深める必要がある。
 
(4)闘争日程と地場集中決戦の結果
@ 3月16日〜19日の中央主要組合の一斉回答と同時期に、道内地場でも先行決着をめざす組合が精力的な回答引き出しを図り、38組合が解決した。さらに、中小組合の集中回答ゾーンに設定した22日〜26日の間で42組合が決着、3月末までには昨年より9組合多い合計101組合が解決した。
3月内決着をめざして、交渉・解決の前倒しに取り組む組合は昨年以上に増え、集中回答ゾーンへの集中度がさらに高まったと言える。
A 4月に入り2つの解決促進ゾーンを設定し、4月内総決着をめざして回答引き出しを図ることとした。第1次解決促進ゾーンに設定した4月4日〜9日の間に30組合が解決、この時点で昨年同時期よりも7組合多い累計134組合が決着した。
また、第2次解決促進ゾーンに設定した4月18日〜23日の前段では、「2005地場春闘勝利!4.15解決促進総決起集会」を開催し、そのなかで「賃金カーブ維持分の確保と格差是正分を要求した組合はその獲得に全力をあげ、最低でも『昨年実績を確保し3,500円以上の獲得』をめざす」とする妥結ミニマム基準を示して、交渉の追い上げを図ることとした。
その結果、第2次解決促進ゾーンまでに184組合が妥結し、さらに4月末までには205組合が決着したが、昨年に比べると3組合少なく、この時点ではエントリー組合の48.8%ほどが解決するにとどまり、過半数以上は5月以降の交渉に持ち越した。
B 地場中小組合のうち、5月に入り本格交渉を展開しているのは、主に交通・運輸、サービス・販売関連業種の加盟組合や地域ユニオン、地区直加盟組合、地区中小労連などである。これらの組合の交渉が長引く背景には、外的・内的要因がからんでおり早期解決への道筋は簡単ではないが、連合と産別とが連携して地域共闘の強化と解決促進に向けた取り組みを具体化することが必要である。加えて、地域・地区段階では、地場中小組合の交渉が最終的に決着するまで当該組合との連携・連絡を密にし、交渉促進を働きかけるなど、きっちりフォローアップする態勢をとることも怠ってはならない。
 
2.パート労働者等有期雇用労働者の雇用の安定と処遇の改善
(1) 長期にわたる経済の低迷、人件費の抑制、雇用分野の規制緩和政策のなかで、パート・派遣・契約社員などの非正社員労働者は増加の一途をたどっている。事業所・企業統計調査(北海道分)によると、民営事業所(非農林漁業)の雇用者のうち、正社員・正職員は61.4%に過ぎず、38.6%が正社員以外の労働者と大幅に増加している。
 
(2) 連合北海道中小・パート対策委員会が2005春季生活闘争に向けて実施した、パート労働者等実態アンケート調査結果でも、回答組合のうち、民間では31.4%、公務では24.2%が非正社員労働者が占めている。
また、非正社員であるパート・契約・嘱託社員の約8割以上が雇用期間の定めが設けられ、常に雇止めの不安下にあり、賃金水準についても地域最賃に釘付けされており、均等待遇にはほど遠い実態にある。
こうした同じ職場で働く有期雇用労働者の雇用の安定と労働条件の改善を図る第一歩として、今春闘で雇用安定協定の締結と組合員化を提起してきた。
 
(3) その結果、流通産業関係の産別では、パートの組合員化など更なる取り組みの前進が図られたものの、構成産別全体の取り組みレベルまで達していない。「労働組合は正社員のもの」という考え方について、早急な意識改革と行動が急務である。
来春闘に向けて、各産別が方針化するとともにモデル単組を設定するなど、取り組みの強化が求められる。
 
3.企業内および社会的な最低賃金の規制
(1) 所得の上下の格差が拡大するなかで、賃金の最低額を法律や労働協約の締結を通して規制する最低賃金制度の役割は、増している。しかし、最低賃金法により北海道で決定されている最低賃金額は、時間額638円であり、理論一ヶ月平均労働時間173.8時間では月額110,884円となり、この水準では生活保護単身世帯の金額水準にも達せず、経済的自立を確保するセーフティネットの役割を果たしているとは言えない。
そのため2005春季生活闘争では、個人署名や地方議会での意見書採択、さらに総決起集会などの運動を展開して、地域別最低賃金の引き上げに向けた世論喚起に努めた。その結果、7月に中賃の目安(北海道Cランク・3円)が示され、使用者側の反対をはね返して、時間額3円の引き上げを勝ち取った。
 
(2) わたし達は、増加するパート、契約労働者の賃金底上げを目指して、全ての従業員を対象とする企業内最低賃金協定の締結や金額の改正を目指して労働協約の改定を図る取り組みを昨年に引き続き提起してきたが、その取り組みには、産業間で大きなばらつきがあり、全体の取り組みからすると十分とは言い難い。
企業内最賃協定の取り組みは、その職場の労働者の賃金底上げを図るものであり、併せて法定最賃の引き上げにつながり、より多くの産別・単組が協定化を図ることによって社会的波及効果を獲得できる取り組みであることを再認識し、組織労働者の役割を発揮しなければならない。
 
(3) 本道の4つの業種に設定されている産業別最賃とハイタク最賃の新設についても、その産業にふさわしい賃金水準と公正な競争条件の確保の立場から取り組んだ。
とりわけ、ハイタク最賃の新設については、その設定に向けほぼ全ての組合が使用者に対し、企業内最賃協定の締結を求め要求書を提出し、交渉に臨んだが、使用者によって拒否されている状況にある。
したがって、今春闘での取り組みの成果と問題を明らかにしたうえで、今秋、もしくは来春闘での前進を図るため、一層の共闘の強化を図る必要がある。
また、厚労省の研究会がとりまとめた産別最賃の廃止・抜本的見直しの報告については、連合本部と連携し、反対運動に取り組む。
 
(4) 生活できる賃金を保障するために、「連合リビングウェイジ」の運動を強化すべきとの声が強い。また、公契約において公正労働基準確保を図り、低賃金労働を拡大・固定化させないために公契約条例の制定運動も重要な課題である。今後、公務・公共サービス部門の外部委託・外注化の拡大が想定されるなか、地域・地区レベルの取り組みを急ぐ必要がある。
 
4.不払い残業撲滅と労働時間短縮の推進
(1) この数年の不払い残業の撲滅の取り組みで改善度合いは前進しているが、2004年の連合生活アンケート調査では、依然、平均的な不払い残業時間が1ヶ月28時間という実態にある。
また、長時間の残業で高まるストレスなどが原因で精神障害を発症したり、不幸にも自殺し、労災請求、認定される件数が増えている。
このため、わたし達は、秋の段階から不払い残業撲滅のキャンペーンを実施するとともに、適正な労働時間管理の徹底に向け、協定の締結や総労働時間の短縮に向けて取り組むこととした。
 
(2) その結果、多くの産別では協定化などの方針化がなされているが、単組段階までの徹底は十分とはいえない。
日本経団連や政府の規制改革・民間開放推進3カ年計画等でも検討課題となっている「ホワイトカラー・イグゼンプション制度」(一定のホワイトカラーに対し労働時間規制の適用を除外する制度)の導入に反対するとともに、引き続き労働時間管理の徹底と仕事と生活の調和が図られる連合の時短方針の取り組み推進を図る必要がある。
 
5.政策・制度課題について
(1) 政府は、この間、経済活性化の名のもとに法人税率の引き下げなど企業や高所得層に対する減税を実施する一方で、勤労者など個人に対しては、年金保険料の引き上げや配偶者特別控除の廃止に加えて、2007年度を目途に定率減税の廃止、消費税率の引き上げ、給与所得控除、退職所得控除などの見直しによる負担増も視野に入れている。
とくに定率減税について連合は、景気回復の足を引っ張るという懸念、最高税率や法人税などもセットで見直すべきと主張して、その縮減・廃止に反対してきたものの、結果として景気動向を見極めるということで、2005年では半分となり、縮減が決定した。
 
(2) 2005春季生活闘争では、第一に定率減税の縮小・廃止に反対する団体署名や議会決議運動の取り組み、第二に年金・医療・介護・福祉の社会保障全体の一体的改革の実現に向けたセミナー・講演会の開催に加え、制定された雇用創出基本条例にもとづく基本計画やハイタク産業における行き過ぎた規制緩和の政策見直しの立案と運動に取り組んだ。
このうち、道の雇用創出基本計画では、8万人の雇用創出を指標として掲げているが、失業率改善への具体的目標もなく、雇用を創出する具体的施策が欠落した基本計画では、単に市場任せのプランと言わざるを得ない。
具体的な雇用改善を図る施策とそれを裏打ちする予算の確保など、変更・修正を求めていく必要がある。
 
(3) 2002年の改正道路運送法の施行により、道内においてもハイタク事業への新規参入や増車が相次いでいる。
その結果、道内約24,000人のハイタク運転者は、歩合給賃金のもとで年々、賃金の低下を迫られ、約1割の労働者が賃金の最低規制額である最低賃金額を割る異常な事態を招いている。
このため、こうした行き過ぎた規制緩和の政策を見直しを求めて、北海道ハイヤー協会との協議や民主党国会議員団による調査など対応してきた。今後も引き続き、この政策転換を勝ち取るまで議会決議運動など道民運動を展開する必要がある。
 
6.公務労働者の賃金・労働条件改善、権利確立の取り組み
(1) 人事院は、昨年11月2日に示した「地域給与・給与制度見直し」(素案)に続き、3月8日、「(素案)の説明資料」を提示し、その具体的な内容や数値を示した。この内容は、俸給表を全体として5%程度引き下げるものの、その原資は「地域手当」「転勤手当」、本省府手当の新設などに配分され、国家公務員にとっては“原資配分”的性格がはっきりした一方で、こうした手当が該当にならない地方公務員にとっては、昇給カーブのフラット化に伴う水準低下(▲2%)とあわせ、中高年齢層では最大7%の賃金引き下げが明らかとなった。
 
(2) 公務労協中央の公務員連絡会は2月14日、春闘期の要求書を人事院、総務省にそれぞれ提出、焦点の地域給与・給与制度見直しに関しては「地域給与撤回、労使合意を前提とした制度見直し」を要求し、交渉を展開した。
連合北海道も北海道公務労協と連携して、団体署名、地方議会意見書、自治体要請行動などに取り組み、各職場や地域・地区から公務員賃金を一方的に引き下げる地域給与・給与制度見直しに反対の声をあげた。
しかしながら人事院が5月25日に公表した、8月の勧告に盛り込む国家公務員の「給与構造の基本的見直し(措置案)」は、3月に示された「(素案)の説明資料」をさらに具体化したものであり、5%の俸給水準引き下げは変わっていない。加えて、政府ならびに経済財政諮問会議は、公務員バッシングに便乗し財政再建のためと称して定員の純減や総人件費の削減をもくろみ、公務員給与を政治的に取り扱っている。
連合北海道は、引き続き公務労協の取り組みを最大限支援し、人事院に対して十分な労使協議を重ねることを求め、一方的な引き下げ勧告を許さない闘いを展開する。
 
 
V.今後の検討課題
1.連合「2005春季生活闘争のまとめ」
連合本部は、「2005春季生活闘争のまとめ」の中で今後の検討課題を次の通り確認している(2005年8月5日・第25回中央執行委員会)。連合北海道としてもこれらの提起を踏まえつつ、より地域に根ざした地場春闘のあり方を中心に、そして北海道の独自課題も織り込みながら、2006春季生活闘争に向けた検討課題を整理する。

1.「連合の進路」やこれまでの総括で整理してきた、連合、産別、単組の基本的な役割を踏まえ、春季生活闘争を組み立てていく必要がある。具体的には、「連合は、マクロの視点に立った基本的な考え方を示し、具体的要求基準は産別が責任をもって設定する」「連合は、共闘の枠組みを設定するなど調整機能を発揮する」「政策制度課題については連合が責任を負い、その実現に向け職場や地域での取り組みを行う」との考え方に立って、役割分担の明確化をはかる。

2.通年的な運動である総合生活改善闘争のなかに春季生活闘争を位置づけ、運動のエネルギーの結集力を高める必要がある。そのためには、「労働を中心とする福祉型社会」を実現するための主要な雇用・労働分野の課題について、とりわけ、公正な配分の実現という視点で、連合としての考え方の整理と中期目標とをセット明確にする必要がある。それらを検討するための特別委員会を設置する(2003闘争方針で提起した8項目の「当面の運動目標」の深掘りを含め検討)。

3.企業業績の改善が雇用増・収入増に波及しないことに加え、個別の支払能力論だけに傾斜していく経営側の賃金決定に対する考え方などを考慮し、マクロの分配と下支え・底上げについてのメッセージを発していく必要がある。2006春季生活闘争にむけては、デフレ経済の出口が見えてきたことなども踏まえ、ベアの取り扱いを含め(月例ベースでの成果配分として)、様々な労働条件を対象とした「共闘項目」を検討していく。

4.中期的な課題として、わが国の賃金決定メカニズムを抜本的に見直していく必要がある。賃金の社会性確保、格差是正などの観点が重要性を増しており、上げ幅だけではなく、個別賃金の絶対水準(社会的賃率とミニマム水準)を重視した相場形成と波及のメカニズムを構築していく必要がある。一部の産別で取り組まれた産業内格差圧縮の動きをより拡大していけるよう、連合の調整力を発揮していく。
 最低賃金の取り組みと「連合リビングウェイジ」の運動を一体的に扱い、強化する必要がある。公契約における公正労働条件確保の取り組みと合わせ、実態を十分に把握しながら取り組みを進める必要がある。

5.中小共闘強化の課題
 2年目の取り組みとなった「中小共闘」は、産別と地方連合会の協力によって成果をあげ、社会的にも注視されてきた。賃金カットの提案は減少しているが、依然として2割の組合が対前年比マイナスでの解決となっている。3年目に向けたさらなる共闘体制の充実と地域共闘への支援体制の強化をはかり、賃金実態把握と制度整備、一層の情報公開を進める必要がある。

6.部門別連絡会の春季生活闘争での機能強化
 部門別連絡会は、要求と解決の情報交換の場として機能している。さらに、要求項目の絞込みや、闘争の枠組みなどの議論を深め、類似産業としての条件整備を他部門や未組織へと波及させる取り組みが必要である。
 
 
2.連合北海道としての今後の検討課題
(1)地場共闘における連合北海道・産別・地協の役割と連携の強化
 @ 地場集中決戦方式による中小・地場共闘は、11年前の取り組み当初の頃とは明らかに経済・社会環境が激変し、個別企業の支払い能力論を盾に賃上げが抑制され、雇用確保を優先する傾向が強まった。設定したゾーン内に集中的に解決をはかって相場を形成・波及させるという、地場集中決戦方式の相乗効果が薄れ、「4月内総決着」という目標をなかなか実現できないまま今日に至っている。
 A 3月および4月に解決する組合の交渉経過をみると、要求策定討議を経て殆どが2月内に要求提出、そして精力的に交渉を展開し、回答指定日を明確に示して回答引き出しをはかり、早期決着に導いている。妥結結果をみても、最低でも賃金カーブ維持(定昇相当分)を確保し、ベア獲得を果たしたところも少なくない。それらの組合が地場の賃上げ相場を形成していることは紛れもない事実で、地場共闘の牽引役となっている。
この様な交渉展開を可能にしている背景には、産別が闘争方針に基づいて強力な指導や情報交換を行い、単組段階での徹底した職場討議が実践されていることである。そのような闘争体制を構築している「組織力」には見習うべき点が多々ある。
 B 課題となるのは、交渉が長引き解決が5月や6月以降になってしまうケースである。その多くは地場中小であり、主に企業業績の低迷が災いして交渉が難航し、なかなか有額回答を引き出せないといったものだが、それだけではなく、春季交渉に臨む体制に根本的な弱点があることも指摘できる。
春季生活闘争は、賃金をはじめとする総合生活改善の取り組みの一環である。例えば賃金要求はまず、職場の賃金実態を把握することから始まるものだが、そこで検討すべきことは、勤続や年齢、性別、職種等を考慮して不合理な賃金格差はないか、年齢ポイントで同業他社あるいは地域相場との比較を行うことであり、その上で求めるべき賃金水準を決定し、賃金制度の整備も含めて要求化することである。そのような作業を可能とするためには、連合が取り組む「地域ミニマム運動・賃金実態調査」への参加が極めて効果的である。
その他、労働安全衛生や労働時間の管理・短縮、60歳以降の雇用延長の課題など、加盟組合が要求策定と提出のために必要な情報を共有できる体制整備が地場共闘の基本であり、連合北海道・産別・地協の連携なくして作り上げることはできない。
 C 地場中小組合が「4月内総決着」を実現させるためには、以上に述べたような各地域における共闘体制の整備がカギとなる。そして、4月に設定する解決促進ゾーンでの決着を目標とした交渉スケジュールを確立するためには、2月内の要求提出をめざして早い時期から要求策定作業に着手し職場討議に付し、入念な準備を心がけることである。各地協・地区連合は、産別地域組織や単組と連携して、このような行動に地域の中小組合が一斉に取り組むよう音頭を取り、支援を強めていくことが課題である。
 D 官民共闘はそれぞれの状況を理解し合うことが重要である。2005春季生活闘争で取り組んだ様々な署名活動や集会等を通じて、官民の課題に対する相互理解が深まったと言える。とくに賃金改定にあたって、公務員賃金は民間賃金に準拠するとされているが、一方、公務員賃金の動向は民間賃金決定のファクターともなっている。
今後、地域給与導入や道職員の給与削減問題は、道内の民間賃金や地域経済への影響を考慮した慎重な協議が求められる。そのため、連合北海道は公務労協と連携して必要な官民共闘体制を構築する。
 
(2)中小・パート労働者の賃金底上げと労働条件の改善
 @ 道内の企業規模別の労働組合組織率(民間)は、300人未満では約2.26%、100人未満では約0.85%に過ぎない。道内では100人未満規模の事業所数は全体の99%、従業者数では80%を占めており、およそ中小職場の圧倒的多数に労働組合が存在しない。また、パートやアルバイト・臨時などの非正社員はおよそ738,000人おり、パートタイム労働者の組合員数は約29,000人弱なので、4%程度の組織率にとどまっている。
このような現実を踏まえると、労使対等の立場で労働条件を決定する意味の大きさを考えずにはいられない。殆どの職場には労働組合がなく、使用者によって一方的に定められた就業規則ないしは個別の労働契約によって労働条件が決定されているからである。
 A 春季生活闘争の取り組みを通じて、このような中小・未組織、あるいは臨時・パート等の非正社員の賃金・労働条件の底上げをはかることは、今後ますます重要性を増してくる。
2005春季生活闘争で連合北海道は、中小・パート対策委員会を中心に関係行政機関への要請行動や格差是正と均等待遇実現をめざす集会の開催、パート等の有期契約労働者の雇用安定協定の締結運動などに取り組んだ。今年の行動で目に見える成果が得られたわけではないが、職場と地域を巻き込みながら継続していく課題である。
 B 中小・未組織への波及という点では、様々なメディアを通じた社会的アピールと併せて、中小職場の組織化を進めることが求められる。各産別は、連合北海道組織拡大センターと連携し、関連や取引先企業労働者への働きかけを強める必要がある。
 
                                   以 上
 
 
連合北海道
2006春季生活闘争 基本構想(案)
 
2005年12月1日
第18回定期大会  
 

2006春季生活闘争 基本構想(案)の特徴

@ 連合全体で、マクロの生産性向上に見合った労働側への成果配分と可処分所得の引き上げをめざし、月例賃金を重視した「賃金改善」や政策制度課題などの取り組みの強化によって、労働組合の社会的な責任を果たす。

A 二極化の流れに歯止めをかけるために、組織化促進と均等待遇実現のための「パート共闘」を立ち上げ、「中小共闘」の更なる強化と情報の開示によって、未組織を含めた全雇用労働者に底上げの社会的メッセージを発信する。

B 連合は、経営者団体等の主張との対抗軸を明確に示す。
 
 
はじめに
・ 企業業績の回復と家計の苦しさが好対照。その中で、二極化が鮮明になっている。今次闘争では、「生活防衛から生活向上へ」「下支えから底上げへ」と取り組みの基調を変える。
・ 日本経団連は、経営課題を理解する場としての「春討」を提起しているが、連合は、社会の改革勢力として、労働者全体の生活向上と不安の解消をめざし、労働基本権を行使する「春闘」にこだわる。
 
T.情勢と課題
 ○足下の経済と生活の状況 〜企業部門から家計部門への所得移転が課題〜
・ 2005年度見通し:実質GDPは2%台(名目1%台)の成長。失業率は4%台前半で改善傾向。本道の雇用情勢も厳しいなか、緩やかな改善の動き。CPI(消費者物価指数)はゼロ近傍。
・ 企業業績は、ばらつきがあるものの、4年連続の増益見通し。人件費抑制傾向が続いている。その中で、所得の二極化が拡大。
・ デフレ経済から脱却し、安定成長に至るカギは、家計所得の増にある。マクロ的には、中期的なマクロの生産性向上に見合った賃金改善が必要。
・ 勤労者世帯のガマンが続いている。2004年の可処分所得は、ピークである97年と比べて1割以上低下しており、家計は、苦しいやり繰りを余儀なくされている。低所得層ほど落ち込みが大きく、深刻である。
・ 年金保険料や定率減税の半減などの負担増が既に決まっており(年収500万円世帯で約0.7%の負担増)、さらなる負担増・給付減も懸念される。生活の維持・改善のためには、可処分所得の維持・向上が不可欠である。
 
○雇用形態間、規模間などの所得格差拡大が進んでいる。
・ 規模間の賃金格差拡大が続いている。パート・有期契約・派遣・請負等労働者の増加傾向も続いている。賃金闘争では、賃金水準の底上げを重視する必要がある。
・ その背景には、デフレ経済のもとで人件費や取引価格の引き下げ圧力が強まったことがある。デフレ経済からの脱却が格差是正をはかる上でも重要であり、そのためには全体で積極的な賃金改善を行うことが有効である。また、取引関係問題への関与も重要な課題である。
 
 ○人口減少社会をみすえ、働き方の改善をはかる必要がある。
・ 長時間労働者の増加が目立つ。パート・有期契約・派遣・請負等労働者の不安・不満が大きい。仕事と生活の調和の動きははじまったばかり。働く側の立場に立った働き方の改善が必要。
・ 中長期的に「みんなで働く社会」をめざす必要がある。男性長時間労働者をスタンダードとする企業社会を変えていく取り組みが必要。
・ 低所得者が増え、とりわけ若年労働者の就業形態の不安定化が、スキルや定着率の低下など、将来の経済・社会を支える不安要因となっている。
 
U.2006春季生活闘争の基本的な枠組み
1.マクロの分配のあり方と春季生活闘争の役割
・ 春季生活闘争の役割は、生活の維持・向上をめざし、社会的な分配のあり方に関与すること。同時に、マクロ経済への影響力を発揮すること。
ミクロの交渉結果をマクロの分配にどう影響させるかが課題。
・ 足下の状況を踏まえると、マクロ的には労働側に1%以上の成果配分がなされるべき。未組織を含む全雇用労働者を視野に入れ、特に中小やパート等労働者など、所得が低い層を重視した全体の底上げを重視すべき。
・ 生活の質の向上のために労働時間にも目を向ける必要がある。不払い労働撲滅は当然として、総実労働時間短縮に向けた共闘を検討すべき。
 
2.2006春季生活闘争の基本スタンスと枠組み
(1) デフレ経済から脱却し、労働を中心とする福祉型社会への展望を切り開くことがマクロの最大の課題である。2006春季生活闘争では、@所得増、A均等待遇、B増税阻止、C働き方の改善と不安の解消、などを大きな柱として労働者全体の生活向上をめざしていく。
 
(2) 政策制度と通年的な取り組み、時限共闘の課題を明確にするとともに、連合と産別の役割分担を踏まえ、相乗効果が発揮できる共闘の枠組みをつくる必要がある。
連合は、マクロの視点に立った基本的な考え方を社会的メッセージとして発信していく。具体的要求基準は、産別が責任をもって設定する(マクロの認識を共有化した上で産業状況を加味して共闘の一翼を担う)。
 
・ 政策制度=秋の取り組み方針に基づき既にスタート(状況をみて方針を補強)。地域、職場まで浸透させる活動が必要。
・ 通年的な取り組み=雇用の安定。不払い労働の撲滅とワークルール確立。
取引関係の改善。賃金制度や労働協約の整備など。
・ 時限共闘=昨年の「すべての組合が取り組む課題」を継続。その上に所得増と長時間労働の是正を課題とした共闘の枠組みを設定。
参考:2005闘争での《すべての組合が取り組む課題(ミニマム運動課題)》
@ 「賃金カーブの確保」と賃金カーブ維持分の労使確認
A 規模間や男女間等の格差是正、均等待遇の実現に向けた継続的な取り組み
B 全従業員対象の企業内最低賃金の協定化
C 労働時間管理の協定化
※2006闘争では、@、C項を以下のように修正することでの検討が必要。
@ 「賃金カーブ維持分」を確保したうえで、「賃金改善」に取り組む
C 労働時間管理の協定化と長時間労働の削減に向けて取り組む
 
(3) 賃金の相場形成・波及メカニズムの構築
・ 個別賃金の絶対水準を重視した相場形成と波及メカニズムの構築をめざしていく。
・ その一つとして、すべての労働者が、最低限、単身で生活できる賃金水準を上回ることができるよう、連合リビングウェイジや最低賃金の運動を強化する。パートの賃金についても水準目標設定等を検討する。
・ 銘柄別の個別賃金水準の相場形成と波及は、段階的な取り組みが必要である。まず、各組合が自らの賃金実態を調査し、各種労働条件調査などを通じ、個別賃金水準のデータの情報開示を行う必要がある。定昇込み一人平均賃上げ方式による賃金改定であっても、自らの賃金の社会的位置を確認して要求・交渉を行うべきである。
・ 交渉結果についてどのように把握し、相場形成に結びつけるかが課題である。現状の集計に最大限協力していただき(賃金改善分を含め数字での報告を求める)、さらに工夫の余地がないか検討する。
 
V.具体的な課題
1.政策制度の課題
・ サラリーマン大増税阻止
・ 年金制度の抜本改革、安心と信頼の社会保障制度実現
・ 2006年度道予算編成に向けた政策提言
・ 季節労働者の冬期雇用援護制度の存続・改善
・ ハイタク最賃の新設とタクシー産業における政策転換
・ 公契約条例の制定
 
2.雇用、ワークルールの課題
(1) 高齢法への対応を徹底する。
・ 希望する者全員が65歳までの就労が可能となる制度の実現をはかる。
 
(2) 連合、産別、地方連合会が連携してワークルールの確立に取り組む。
・ パート・有期契約・派遣・請負等労働者のワークルール、安全衛生(アスベスト対策含む)、労働時間管理など、直近の法改正への対応を含め、法令と労働協約の遵守を徹底する。
・ 職場点検活動、労働相談活動等の計画的・効果的な配置を検討する必要がある。
 
(3) その他
・ 事前協議体制の確立や労働協約・人事条項の整備
・ 単組の合理化対策の支援・指導
・ 企業のカベを越えた職業能力開発の場の整備や再就職支援活動など
 
3.賃金の課題
(1) 基本的考え方
・ 賃金カーブ維持分を確保したうえで、ベースアップや時給引き上げ、賃金カーブの是正、低賃金層の底上げ等によって、積極的な「賃金改善」に取り組む。
・ 月例賃金の改善を最優先し、年間収入の維持・向上をめざす。
・ 産別は、産業内格差圧縮、産業間格差是正なども考慮し、具体的要求基準を設定する。
 
(2) 中小・地場組合の賃金改善
@ 単組は、自らの賃金実態や賃金カーブの課題を把握し、社会水準や生計費等との比較、時系列での分析などを行い、その是正に取り組む。
A 産別・連合北海道は、中小・地場共闘を通じてこうした取り組みを支援する。
B 中小組合の要求目安
・ 格差是正のための水準目標値 35歳所定内賃金 ***,***円以上
・ 上げ幅の目安
賃金カーブの算定が可能な組合
「賃金カーブの確保」とカーブ維持分の労使確認+格差是正(****円)
賃金カーブの算定が困難な組合
賃金カーブの確保相当分****円(目安)+****円
定昇込み ****円
 
(3) 男女間の労働条件格差の是正
@ 各単組における男女別賃金分布の実態把握
A 間接差別是正の取り組み
B 「世帯主」を要件とする手当の改善
 
(4) 賃金改善の参考目標値
○35歳勤続17年労働者
所定内賃金     309,000円以上
年間収入     4,920,000円以上(一時金4カ月程度を含む)
 ○30歳勤続12年労働者
所定内賃金     268,000円以上
年間収入     4,220,000円以上(一時金4カ月程度を含む)
※連合主要組合の実態値をベースにした暫定値であり、闘争方針(案)で2005調査値をベースに確定する。
 
4.パート労働者等の待遇改善
(1) 均等待遇の実現と組織化の促進をめざす「パート共闘」を立ち上げる。連合北海道は、常設の中小・パート対策委員会で「パート共闘」の具体化に取り組む。
その際、共闘項目を含めた具体的な共闘のあり方については、2005闘争での経過を参考に別途検討し、闘争方針(案)で明らかにする。
 
(2) 同じ職場で働くパート・有期契約・派遣・請負等労働者の待遇改善(休暇制度や一時金支給など)のために、単組は、未組織やパート等の全ての労働者を意識した交渉を進める。産別・連合北海道は、最大限それを支援する。
 
(3) 派遣や請負労働者を受け入れる場合、必ず労使協議を行い、法令遵守を徹底する。また、派遣・請負元の企業に違法行為などがある場合、CSR(企業の社会的責任)の観点から経営側に姿勢を正し、公正な労働条件や働く場の確保を求める。
 
(4) 法律面での取り組みをどう前進させるかが課題である。








 
<2005闘争での6項目>
@ 労働条件の明示など法令遵守と「パートだから」という考え方に起因する差別的取り扱いを排除する。擬似パートの均等待遇をめざす。
A 同一価値労働同一賃金を基本とした、労働条件決定システムにおけるフルタイム正社員とパート労働者等との整合性が確保された人事・賃金制度づくりを行う。
B パート等を含む企業内最賃協定額の引き上げに取り組む。
C パート労働者の時間あたり賃金の引き上げに取り組む。目安は、10円以上。
D 対話・交流などを通じた組織化や交渉支援を積極的に行う。
E その他パート労働者の待遇改善に関与する。
※上記を参考に、共闘軸としての取り組み課題や具体的な要求目安などについて検討し、闘争方針(案)で明らかにする。
 
5.最低賃金の課題
すべての労働者が、最低限の生活ができる賃金水準を実現すべく、社会的な水準規制を行う。
(1) 企業内最低賃金の取り組み
・ すべての組合で企業内最賃の協定化を行い、法定最賃引き上げに結びつける。
・ 全従業員対象の企業内最賃の目標水準を闘争方針で示す。
2004・2005では、単身最低生計費146,000円÷法定労働時間174時間=840円で設定。
 
(2) 法定最低賃金の課題
・ 連合本部は最低賃金対策会議、全国会議を適宜開催し、最賃部会の動きに対応し、産別最賃の継承・発展と地賃の機能強化を推進する。連合北海道は、最賃対策委員会を開催し、地賃の引き上げ要求目標を定める。
・ 組織労働者の賃金改定結果を踏まえ、法定最賃の引き上げを行う。
 
6.労働時間、働き方の課題
法令や労働協約を守り、現状の働き方を改善する取り組みを通じて、働く側の選択肢が保障され仕事と生活の調和がはかれる公正な働き方の実現をめざす。
(1) 労働時間管理の徹底と不払い残業撲滅の取り組みを継続する。
 
(2) 総実労働時間1800時間実現をめざし、社会的な動きをつくる。
・ 1800時間をめざすうえでの課題の一つは、有休消化率とともに恒常的な時間外労働の削減である。時間外労働抑制のために時間外の割増率引き上げで足並みを揃えた取り組みを検討する。
・ 連合は、すでに中期目標として、時間外50%、休日100%を掲げている。
中期目標を2006年の取り組みのなかにどう位置づけるかは、本部方針に則って連合北海道としても闘争方針で提起する。
 
(3) 仕事と生活の調和をはかる取り組みを前進させる。
・ 今後進めるにあたって、連合として統一的な対応を求めるものはあるか、産別でどこまで把握できているのかを(先進事例の情報交換など必要か)、検討する。
 
(4) 男女平等の働き方
・ これまでの取り組み経過と職場実態を踏まえて検討する。
 
7.取引関係の改善と公契約に関わる運動
・ 取引関係の改善と公契約に関わる運動をいかに進めるか検討する。
・ いくつかの産別でCSR(法令遵守などを取引基準とするなど)や労使会議、行政の認定制度(貨物輸送の安全性優良事業所制度等)などを活用した動きも出はじめている。企業グループでの改善や支援も必要。
 
W.闘いの進め方
1.効果的な相場波及の取り組み
・ 道経協をはじめとする道内経済団体に対し、公開質問状や公開討論会を申し入れ、連合北海道の主張を明確にする。
・ 地場集中決戦を軸に地域共闘の役割を明確にし、地場交渉の促進をはかる。
・ パート共闘の設置と中小共闘のさらなる強化。(中小・パート対策委員会)
・ 情報開示や集約方法などを検討し、内容の充実と波及につとめる。
 
2.闘争機関の設置
・ 春季生活闘争本部
・ 闘争委員会
・ 拡大闘争委員会
・ 各種委員会、産業別部門連絡会
(中小・パート対策委員会、労働条件委員会、最賃対策委員会、政策委員会)
 
3.要求書の提出と回答ゾーンの設定
 
4.通年的取り組みの強化
・ 職場点検活動
・ 労働相談
・ 格差是正フォーラム
・ 取引関係改善や公契約
 
5.官公労働者の取り組み
労働基本権の回復が棚上げにされたまま、公務員の人件費総額の削減などが進められようとしている。労働基本権制約の代償措置である人事院・人事委員会勧告制度の根幹に関わる課題について、労働組合を無視して議論することは許されない。
連合は、公務員制度等改革対策本部を中心に官公部門連絡会と必要な取り組みを行う。
 
6.政策・制度要求実現の取り組み
 
X.当面の日程
11月30日   中央委員会   「闘争方針」の決定(連合本部)
12月1〜2日  第18回定期大会 「基本構想(案)」の提起
  中旬   闘争本部の設置 「闘争方針(案)」の提起
 
以 上