その10
「互助・共助」の精神を高め、スケールパワーを活かして
            労働者自主福祉運動を拡大します
 
【現状と課題・展望】
@ 近年、失業や災害を含めた生活のリスクが拡大する一方で、年金や医療などの公的福祉が後退し、労働者や地域市民の生活は益々不安定化しています。
 そのような変化の中で、誰もが安心して暮らせる福祉社会を構築するため、組合員の現役時代および定年後の生活を保障する共助としての労働者共済や自主福祉運動はますます重要性を増しています。
A しかし、労働者自主福祉運動の現状は、労働組合組織率の低下や職域に限定された活動など、さまざまな困難や課題に直面しています。
 こうした困難を克服し、労働者自主福祉運動の領域拡大、機能強化を図っていくためには、労働運動と労働者共済・自主福祉事業団体との有機的連携をこれまで以上に強化していくことが重要です。 
B 連合北海道も労働者共済・自主福祉事業団体も、組合員や地域に働く労働者の要請に応える組織であります。労働者共済・自主福祉運動の原点をもう一度、お互いに見つめ直し、組合員の福祉ニーズを掴み、労福協、各事業団体と連携して、時代の要請に応える新しい労働者共済・自主福祉政策をつくり、推進組織・機構の再構築に取り組みます。
 
二、重点課題と進め方                             
@ 労働者自主福祉運動の拡大の方向は、労働者のライフステージごとの課題やライフスタイルの大きな変化への対応の中で、公共政策ではカバーできない新しい商品やサービスを如何に提供し、事業団体としての活性化や職域での運動の活性化、労働組合に結集しきれない膨大な未組織労働者を如何に自主福祉運動やサービス体系の中に取り込んでいくかであります。
 その具体的な第一歩として、連合を含む中央の4団体は、目的を同じくするNPO諸団体等とも連携し、全国の都道府県における地協を拠点とした勤労者の総合生活支援ワンストップ・サービス体制の確立にむけ共同作業で取り組むこととしました。
 北海道においては、組織改正してから3年目を迎えるブロック労福協が、地域における勤労者福祉センターとして機能の充実、日常活動の体制をどのように整備していくか、労福協、労働金庫、全労済などと連携して、具体的な検討を進めていきます。 
A 団塊の世代が60歳定年退職を迎える−いわゆる「2007年問題対策」においては、年金・医療などの公助の機能が低下するなかで、退職後の生活を保障する共助としての労働者自主福祉の役割がますます重要になっています。
 現在、労福協が中心となって取り組んでいる「団塊の世代アンケート調査」(2005年9月下旬スタート)の結果などをふまえ、退職後も保障や融資を継続できる生涯取引のあり方、高齢者・退職者組織の拡大や活動をどのように整備していくか、労福協、労働金庫、全労済などと連携し、エイジレス社会の環境づくりに向けた具体的な検討を行っていきます。
 
二、継続課題と進め方
 
@ 職場や地域で労働者自主福祉運動を展開する上での課題は、中央労福協が実施した「労働者自主福祉活動に関するアンケート」(平成16年6月)の分析結果から、最大の課題は「活動を進める人材不足」であり、「商品の理解不足」「組合員の助け合い理解」などが挙げられています。
 また、本年の1月〜3月に実施した「連合1万人アンケート」では、労金の「知名度」、「利用度」において、若年層、女性層へのアプローチがまだまだ不足していることが明らかになっています。
A これらの課題は、労働組合が自力で解決しなければならない側面もありますが、事業団体や労福協が「サポートすべき課題」として、相談機能の充実を求めていきます。
 また、連合北海道は、労働福祉対策特別委員会を春と秋に年2回定期的に開催し、構成産別と事業団体の連携強化にむけて、単組・支部・分会等における「職場推進委員会」の整備促進、福祉担当者のスキルアップに取り組んでいくこととします。
 
三、事業団体の重点課題と進め方
 
1)北海道労働金庫(労働金庫)
@ 連合北海道・道労福協が進める「生活改善運動」を柱に、引き続き「轟ローン」「教育ローン」「リフォームローン」「マイプラン・ポケットカード」の利用拡大、「クレサラ利用の撲滅」に向けた各産別・単組における学習会・研修会の開催に取り組みます。
A 組合員の総合的な財産形成促進活動を基本に据えながら、給振・公振・年金振り込み契約等の拡大をはかります。
B IYバンクとのATM提携やZATTS(ろうきん電話振替サービス)の利便性等の周知活動を強化し、課題となっている若年者や女性層の利用拡大をはかります。
C 失業者や季節労働者の生活を支援する「勤労者生活支援特別融資制度」(道の制度融資)の積極的な周知活動を行っていきます。
 
2)全労済北海道本部(全労済)
@ 組合員の総合生活保障をめざし、「こくみん共済」「火災共済」「自然災害共済」「団体生命共済」「マイカー共済」など、各種共済商品や各種サービスの周知・加入活動を積極的に取り組みます。
A 組合員の「安心と豊かな暮らしの実現」に向けて、引き続き、各産別・単組での生活保障設計運動の推進、学習会・研修会の開催に取り組みます。
B 地域連帯活動の強化と地場中小企業に働く仲間の福祉向上を目的としている「連合スクラム共済」の加入促進・拡大強化に取り組みます。
C 労金住宅ローン利用顧客に対して、労金と全労済の提携(掛け金は労金負担)により提供してきた「質権火災共済」は、2006年1月から個人契約(掛け金が個人負担)による「労金住宅ローン専用・質権火災共済」に制度変更となります。
 したがって、制度変更および新しい制度の周知徹底をはかり、引き続き全労済が提供する「労金住宅ローン専用・質権火災共済」への積極的な加入にむけ取り組みます。
D 団塊世代課題の到来とともに「退職後の保障」提案、さらに「生涯保障設計」の視点で組合員の保障点検、保障提案活動の取り組みを実施します。
E 共済運動基盤の確立・拡大をめざし、「未加入団体対策」として、共済制度未導入の労働組合に全労済の各種共済制度の取り組みを要請し、労働者自主福祉活動の向上、組合員への保障提案活動をすすめます。
 
3)北海道勤労者住宅生活協同組合(住宅生協)
@ 勤労者の住宅ニーズに応える住宅生協の利用拡大に向けて、各産別・単組、地協・地区連合における住宅生協運動の一層の推進に取り組みます。
A 特に、住宅生協の主力事業である「注文住宅」「リフォーム」「不動産流通」の受注活動の強化に向けて、各産別・単組において、家を「建てたい人」「直したい人」「買いたい人」「売りたい人」の情報提供、顧客の紹介活動の強化に取り組んでいきます。
 また、住宅生協団地や個人住宅のアフター点検、住宅無料点検などを積極的に提案し、需要期にタイムリーなリフォーム工事の推進活動に取り組んでいきます。
                    
4)北海道医療生活協同組合(医療生協)
@ 地域の組合員・家族、退職者・OB、近隣職場の組合員を中心に、定期健診、生活習慣病(成人病)健診、各種人間ドック健診、すこやか健診の受診者の拡大にむけ、引き続き取り組んでいきます。
A 医療生協は、労災専門院として道内の医療機関の先駆的役割を果たしてきており、職場の安全衛生対策の強化にむけて、安全衛生センターの活動強化、労災職業病・産業衛生対策など、積極的な連携を図っていきます。